2019年08月31日

[東京新聞] 防衛費概算要求 どこまで膨張するのか (2019年08月31日)

安倍政権下で防衛費はどこまで膨張するのか。防衛省の二〇二〇年度概算要求は六年連続で過去最大となった。情勢の厳しさを理由とするが、防衛力整備に節度を取り戻すことが必要ではないか。

防衛省の二〇年度予算概算要求は一九年度当初予算比6・3%増の五兆三千二百二十二億円となった。「事項要求」にとどめた米軍再編関係経費などは含まれておらず、仮に一九年度と同額の二千五百五億円を計上した場合の実質的な前年度当初比は6・0%増となる。厳しい財政事情の中、増額要求が続くのは異例である。

日本の防衛費は冷戦終結後、減少傾向が続いていたが、安倍晋三首相が政権復帰後に編成した一三年度に増額に転じ、二〇年度まで八年連続の増額要求となった。

政府は昨年十二月、安全保障や防衛力整備の基本方針を示す「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と、それに基づいて防衛装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画(中期防)」を改定した。

新しい中期防では一九年度から五年間の防衛費の総額を二十七兆四千七百億円程度と定めている。改定前の中期防では、五年間の総額を二十四兆六千七百億円としており、すでに五年間で二兆八千億円も増やすことになっている。

防衛費を押し上げる要因はヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」型の事実上の空母化や、「いずも」型で運用する短距離離陸・垂直着陸可能な戦闘機(F35B)、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」など新しい装備の調達である。これらは新しい大綱や中期防に盛り込まれ、二〇年度概算要求に費用が計上された。

F35Bやイージス・アショアはいずれも高額で、米国が価格や納期の主導権を持つ「対外有償軍事援助(FMS)」で調達する。事実上の空母運用やイージス・アショア導入には、専守防衛を逸脱するとの指摘や、そもそも日本防衛に必要なのか、という議論がある。

トランプ米政権への配慮から導入を急げば、厳しい財政をさらに圧迫するばかりか、「専守防衛」という戦後日本の安全保障政策をも毀損(きそん)しかねない。

真に必要な防衛力を整備し続けることは当然としても、アジア・太平洋地域で続く緊張緩和に向けた模索に背を向け、防衛力を増強し続ければ、日本自身が地域の不安定要因となりかねない。

防衛費の増減は対外的なメッセージとなり得る。節度を持って予算編成に当たるべきである。
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[東京新聞] 香港デモ長期化 「戒厳令」は火に油注ぐ (2019年08月31日)

香港行政長官が抗議デモを収束させるため、事実上の「戒厳令」発動を検討する考えを示したが、三十一日には大規模な抗議行動も予想される。強圧的な対応は火に油を注ぐ悪夢となりかねない。

林鄭月娥長官は二十七日の記者会見で、「緊急状況規則条例」(緊急法)について「香港の法律を使い混乱を止める責任がある」と述べ、発動の可能性を示唆した。

怖いのは、長官とその諮問機関が「緊急事態」と判断した場合、立法会(議会)の承認なしで「公の利益にかなう、いかなる規則も制定できる」という点だ。

長官は、報道、ネット、集会などを幅広く制限でき、私有財産の没収さえ可能となる。

議会の意向を無視した長官の独善的な判断にお墨付きを与えることになりかねず、民主派が「事実上の戒厳令だ」と反発するのは当然である。

中国政府は、武力行使をちらつかせながらデモ隊への圧力を強めてきた。建国七十年を祝う十月までにデモを収束させたいとの習近平政権の思惑があろう。

一方、中国の政治学者は「武力弾圧で国際的批判を浴びた天安門事件の苦い経験があり、武力行使の可能性は低い」とみる。

こうした状況で、林鄭長官は「十月までの解決」の圧力にさらされ、武力行使に代わる沈静化策として「緊急法」を検討しているかもしれない。だが、その判断はデモ隊過激化の現状を見誤っているのではないか。

八月中旬の百七十万人規模のデモは警官隊との衝突もなく、デモ隊は「和理非の初心忘れず」のスローガンを掲げた。

「和理非」とは平和、理性、非暴力を指す。だが、「逃亡犯条例」の完全撤回やデモ参加者の釈放などの要求に香港政府は「ゼロ回答」を続け、失望した多くのデモ参加者が暴力を容認する強硬派に転じてしまった。

八月下旬には鉄パイプをかざして襲いかかる若者らを威嚇するため、警官が空に向けて初めて実弾発砲する事態も起こった。

民主的な選挙制度が確立していない香港で、デモは民意を示す有力手段である。それを香港政府が一方的に「暴乱」と決めつけ、警察力で抑え込もうとしたのが最悪の対応であった。

状況は一段と厳しくなったものの、香港政府は対話の糸口を見つけるしかない。「戒厳令」は決して解決策にはならぬ。
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[産経新聞] 【主張】北のミサイル発射 安保理沈黙は米の責任だ (2019年08月31日)

北朝鮮が短距離ミサイル発射を繰り返しているのに、国連安全保障理事会は警告すら発しない。安保理の権威を揺るがす深刻な事態である。

ミサイル発射は7月25日以降、7回に及び、その多くは短距離弾道ミサイルだと日米韓は分析している。安保理決議は北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったあらゆる発射を禁じている。当初より、安保理が決議違反に非を鳴らすべき状況である。

一連のミサイル発射で、安保理会合が2度開かれたが、英仏独3カ国による非難の声明が出されただけで、安保理として行動を起こすには至らなかった。怠慢というべきだろう。

安保理決議は、北朝鮮に核・弾道ミサイルを放棄させるのが目的であり、そのため、北朝鮮制裁として、国連加盟国に禁輸措置などを義務づけている。

日米などは、北朝鮮への圧力として再三、加盟各国に決議の厳格履行を求めてきた。だが、肝心の核・ミサイルの部分で違反が見過ごされるようでは、そうした呼びかけは説得力を持つまい。

これは、安保理の存在意義にかかわる問題だ。国際の平和と安全に責任を負う安保理は常に、決議違反に毅然(きぜん)とした態度で臨まなければならないはずだ。

今回、安保理が沈黙する最大の要因は、トランプ米政権が短距離ミサイル発射を問題視しない姿勢に終始していることだ。

そもそも、北朝鮮問題に関する安保理協議は米国が主導し、北朝鮮を擁護する中国、ロシアの抵抗を押し切って、米国案の制裁決議を重ねてきた。

ところがいま、その米政権が北朝鮮を擁護しているかのような振る舞いである。米国が動かないなら、中露が動くわけもない。トランプ大統領は北朝鮮との間で、「短距離に関する合意は交わしていない」とも述べているが、自分との約束さえ守れば、違反は構わないとする態度はおかしい。

北朝鮮の短距離弾道ミサイルは日本の一部も射程に収める。東アジアの平和に対する大きな脅威である。一連の発射は、技術向上を図ったものだとみるべきだ。

一連のミサイル発射の早い段階で安保理や米国が行動を起こしていたら、挑発はここまでエスカレートしていなかったはずだ。日本など関係国を含め、国際社会としての対応を見直すべきときだ。
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[産経新聞] 【主張】韓国の難癖 旭日旗批判を突っぱねよ (2019年08月31日)

九州を襲った豪雨は猛威をふるい、佐賀県では孤立した病院へは自衛隊のボートが物資を運び、職員らを脱出させた。船尾には自衛艦旗が立てられていた。

旭日旗である。救助を待つ人々には、さぞ心強く映ったはずだ。その旭日旗が、またぞろ韓国の難癖にさらされている。うんざりである。厳然と突っぱねてもらいたい。

韓国国会の文化体育観光委員会は、来年の東京五輪・パラリンピックの際に、旭日旗や、これをあしらったユニホームなどの競技場への持ち込みを禁止する措置を国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会に求める決議を採択した。

決議は「侵略と戦争の象徴である旭日旗が競技場に持ち込まれ、応援の道具として使われることがないよう求める」としている。

また障害者スポーツの団体である大韓障害人体育会はパラリンピックのメダルのデザインが「旭日旗に似ている」として国際パラリンピック委員会(IPC)と組織委に抗議する意向という。

メダルは扇をデザインしたもので、人種や国境を超えて人々の心を束ねるアスリートを「要」ととらえたものだ。言いがかりも甚だしく、放射状のデザインは全て認めないということらしい。

太陽を意匠化した旭日旗は大漁旗などにも用いられ、帝国海軍、海上自衛隊とも一貫して軍艦旗、自衛艦旗として採用してきた。国際的に認知、尊重されてきた「外部標識」であり、これを「戦犯旗」として批判の対象にしているのは韓国と北朝鮮のみである。

過去の韓国の反日デモでも、旭日旗や日の丸が焼かれる暴挙が度々みられた。

「徴用工」訴訟や「GSOMIA」破棄をめぐる関係の悪化から韓国側は「福島産食材」や放射線レベルをめぐって五輪準備に疑義を呈している。旭日旗の問題視もその一環なのだろう。

韓国で開催中の野球の18歳以下ワールドカップでは、日本選手団が国旗のマークがないポロシャツで韓国入りしたことに批判の声があった。開催国が隣国の旗に敬意を払わない以上、選手の安全を第一に考えた判断も仕方あるまい。選手らは胸に日の丸のユニホームでスペインとの初戦に逆転勝ちした。グラウンドで堂々と戦えば、それでいい。
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[毎日新聞] ラグビーW杯日本大会 北から南までスクラムを (2019年08月31日)

五輪やサッカー・ワールドカップ(W杯)と並ぶスポーツの世界的イベント、ラグビーW杯日本大会の開幕が来月20日に迫った。31人の日本代表も発表され、これからさらに盛り上がりを見せるだろう。

第9回の今大会はアジア初開催となる。北海道から九州まで全国12会場で44日間にわたり行われる。

会場の一つ「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」がある岩手県釜石市は、東日本大震災で多くの犠牲者が出た一方、防災教育を生かして小中学校の児童・生徒が即座に避難し、ほぼ全員が津波の難を逃れた土地だ。

そんな町の歴史を示すスタジアムには外国からの観戦者も多く訪れるはずだ。震災の記憶を世界の人々に伝える機会にしたい。

各地では独創的な取り組みが行われている。釜石市では、日本のルールやマナーを外国人に知ってもらおうと独自の絵文字を作成した。埼玉県熊谷市では市民が合唱団を結成し、国歌でファンらを歓迎する。こうした試みは大会の支えとなる。

気になる話もある。大会期間中に各チームが滞在する61自治体の公認キャンプ地での練習拠点や日程が「原則非公表」となっている点だ。

選手と市民による草の根交流はスポーツ文化の発展に不可欠だ。2002年サッカーW杯日韓大会が縁でカメルーンと交流が続く大分県日田市中津江村の例もある。五輪やパラリンピックでも施設公表は自治体と相手国の協議に委ねられている。

日本は若者のラグビー人口が伸び悩む。ラグビーを身近に感じてもらうことは競技人口増加やファンの裾野拡大の契機になる。交流の窓口を広げる手立てを組織委に求めたい。

大会は、これからの日本社会の在り方を考える鍵にもなりそうだ。

ラグビーは外国籍でも一定の条件をクリアすれば代表になれる。日本代表は15人が海外出身で、主将のリーチ・マイケル選手は日本国籍を取得したがニュージーランド出身だ。

合宿中、リーチ選手は日本の歴史や文化を全員で学ぶ機会を設け、結束を図ったそうだ。人種や民族の違いを乗り越え、思いを一つにする。その姿勢に学ぶところは大きい。

多様な文化を受け入れ、共生社会を目指す大会に日本中から声援を送りたい。
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[毎日新聞] 独禁法で巨大IT規制 公取委の実行力が課題だ (2019年08月31日)

公正取引委員会が「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT(情報技術)企業による個人情報の収集・利用を規制する独占禁止法の運用指針案を公表した。

プラットフォーマーは検索などのサービスを独占的に提供することを強みに、利用者から膨大な個人情報を吸い上げている。それを広告などに活用し多額の利益をあげてきた。

指針案は強大な影響力をテコに個人情報を不当に収集・利用する行為を独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」と見なし、排除措置命令や課徴金納付命令の対象になるとした。

「優越的地位の乱用」は従来、強い立場の大企業が下請け企業に不利益を与えた場合などが対象だった。

だが、独禁法はもともと、市場の独占で競争が妨げられ、価格設定が不当に割高になることで消費者が不利益を被ることを防ぐのが趣旨だ。

個人情報は今や「宝の山」と言われるほど経済的な価値を持つ。公取委がプラットフォーマー規制に独禁法適用を広げたことは評価できる。

プラットフォーマーが個人情報を不正流出させたり、利用者の明確な同意なしに第三者に情報を流したりする問題が続発している。

最近では、大手就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが就活生のサイト閲覧履歴などから「内定辞退率」を勝手に予測して企業に売っていた。

指針案で示された「優越的地位の乱用」の例に沿えば、リクナビの件は独禁法違反の可能性がある。

問題は実効性をあげられるかだ。指針案は「優越的地位」の要件を「容易に代替できるサービスがないこと」とする。ただ、巨大IT企業には規模が違うとはいえ競合事業者がおり、実際の判断は難しそうだ。

公取委の陣容が840人弱と米当局の半分以下で、ITに精通した人材が少ない点も不安だ。多数の法律家を擁する巨大IT企業に対抗し切れるかは分からない。

日本はプラットフォーマー規制で出遅れてきた。欧州連合(EU)は昨春施行した一般データ保護規則(GDPR)で個人情報保護を大幅に強化した。政府は来年に予定する個人情報保護法改正も含め、安心できるデジタル社会の実現に向けた包括的なルール作りを急ぐべきだ。
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[読売新聞] アフリカ会議 巨大市場の成長を支援したい (2019年08月31日)

急成長するアフリカと協力を深め、利益を享受し合う関係を築く。官民が連携し、戦略的に取り組む必要がある。

3年に1度、日本とアフリカの首脳が集うアフリカ開発会議(TICAD)の第7回会合が横浜市で開かれた。企業の進出や民間投資の拡大を柱とする横浜宣言を採択した。

アフリカは人口13億人を擁し、天然ガスや鉱物資源に恵まれる。近年、インターネットなど技術革新を生かし、めざましい成長を遂げている国も多い。

安倍首相は「企業のアフリカでの活動を後押しするため、支援を惜しまない」と強調した。アフリカ外交の軸足を、政府による援助から民間による投資・貿易の促進に移したのは妥当と言えよう。

日本勢の立ち遅れは否めない。日本の直接投資残高は78億ドル(約8300億円)にとどまり、トップ10位に入っていない。政情不安などを敬遠しているためだ。

TICADの一環で、日本とアフリカの企業関係者らが参加したビジネス対話が開かれた。アフリカ側からは「日本は主役の役割を果たしてほしい」など、積極的な進出を望む声が相次いだ。

日本企業の高い技術力や手厚いサービスへの期待は大きい。

政府は、現地企業の情報を収集し、日本企業と結びつける官民ビジネス協議会を6月に設置した。損失が出たときに補填(ほてん)する貿易保険の拡充も検討する。

相手国政府に働きかけ、投資にかかわる法規制や金融システムを整備することが欠かせない。

指導的な役割を果たすアフリカの若者を育成することも重要だ。政府は、今後6年間で3000人を大学院や企業に受け入れる方針だ。将来、日本との橋渡し役を果たすことへの期待もある。

巨大経済圏構想「一帯一路」を進める中国は、アフリカでも存在感を高める。3700社が進出しており、日本の4倍に上る。

中国の支援を受けた国が過剰債務に陥るケースも目立つ。首相は途上国に専門家を派遣し、債務管理に協力する考えを表明した。着実に進めることが大切だ。

忘れてはならないのは、各国の発展段階に合わせて、きめ細かく支援していくことである。

サハラ砂漠以南の地域では、1日1・9ドル未満で生活する貧困層も多い。統治が不安定で、食糧難に苦しむ国も少なくない。

国際機関やNGOと協調して、水の管理や衛生面の向上、感染症対策などを継続的に支えたい。

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[読売新聞] 整備新幹線 投資効果の再点検が必要だ (2019年08月31日)

整備新幹線の建設費用がさらに膨らんでいる。財源を確保し、安定した収益と沿線地域の活性化を見込める事業にできるのか。計画の妥当性について、再点検が必要だ。

当面の焦点となる区間は、2022年度の開業を目指す九州新幹線の武雄温泉―長崎と、北陸新幹線の金沢―敦賀だ。両区間の総事業費は、人件費や資材費の高騰により、当初の見込みと比べて計3460億円も増えるという。

建設費は国と沿線自治体、JRが分担する。国土交通省は来年度予算で、整備費の増額を要求する方針だ。一方、自治体やJRには負担増への警戒感が強い。

整備新幹線の今年度予算で、自治体はすでに前年度より101億円多い負担を強いられている。

甘い見通しのツケをだれがどう払うのか。将来にわたって財源を工面していけるのか。厳しい財政事情の中、高いコスト意識に基づく議論が求められる。

そもそも、博多と長崎を結ぶ九州新幹線の新鳥栖―武雄温泉間は整備方式が決まらず、未着工だ。新幹線と同じ「フル規格」、既存の在来線設備を活用する「ミニ新幹線」の選択肢がある。

新幹線と在来線ではレール幅が異なる。国交省は、直通運行できる新型車両を開発、導入する予定だったが、技術的な問題で頓挫した。これも、コストの不透明さが増した要因だと言えよう。

JR九州は、この区間は当面、在来線特急を利用してもらうことを想定している。新幹線と在来線を乗り継ぐリレー方式だ。

ただ、時間短縮効果は限られる。武雄温泉―長崎の完工後に暫定開業しても、博多―長崎間は20分程度の短縮にとどまるという。

新鳥栖―武雄温泉間をフル規格にすれば、長崎までの時間は大幅に短くなるが、見込まれる建設費は6200億円に膨れあがる。

与党のプロジェクトチームは、フル規格を推進する。だが、佐賀県は多額の財政負担に見合う時短効果を得られないとして反対している。当然の反応だろう。

フル規格とミニ新幹線、リレー方式の利点と短所について、国は今一度精査し直し、関係自治体への説明を尽くさねばならない。

整備新幹線計画は、高度成長期の1973年に策定された。地方の要望も酌みながら、政治主導で建設が進められた。

現在は高速道路網や地方空港が整備されている。交通インフラ戦略や費用対効果などを踏まえた総合的な視点が欠かせない。

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[朝日新聞] 来年度の予算 ばらまき封じの徹底を (2019年08月31日)

総額105兆円規模となる2020年度の政府予算の概算要求が出そろい、編成作業が本格的に始まる。年末に向けて削り込んでいくが、19年度に続き、100兆円規模の超大型予算が組まれる可能性が高い。

年金や医療などの経費が30兆5千億円、借金の返済にあてる国債費が25兆円と、この二つで要求総額の半分を占める。

税収を60兆円台と見込んでも、社会保障費だけで半分は使ってしまう。その他の政策経費をまかなう分だけでも、10兆円以上は新たな借金をしなければならない。

厳しい懐事情をよそに、防衛費など、のきなみ増額の要求が並ぶ。

消費税率が10%になって税収が増えるから、2年限りの消費税対策が別枠で認められるからと、絞り込みが甘くなっては困る。いまの暮らしに欠かせない政策や真の成長戦略に手厚く配分するのはもちろんだが、同時に将来世代も見据え、予算づくりに臨まねばならない。

予算編成のルールとなる概算要求基準には、本格的な歳出改革に取り組み、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除すると書いている。19年度も同じ表現があったが、実行できたとは言い難い。今回こそ本気で取り組むべきだ。

ところが各省の要求を見ると、不安が募る。

防災事業や水産業の交付金、企業や文化事業を支援する補助金では、政策効果が不十分、経費がかかりすぎている、といった問題点がこれまでに政府内で指摘されていながら、今回も盛り込まれた事業がある。

一つひとつの施策について、見直しの徹底が求められる。高齢化で増え続ける社会保障費も、聖域ではない。

景気対策も、予算をふくらませる要因だ。

確かに、米中の追加関税のかけあいや、英国の欧州連合(EU)からの離脱など、先行きには不透明感が漂う。10月の消費税増税後の消費の動きも、見極めなければならない。

安倍首相は増税の影響について、19年度の予算で「十二分の対策を取っている」と強調する。世界経済の行方も踏まえた目配りは必要だが、増税対策や景気対策の名を借りたばらまきは、封じなければならない。どんな対策なら、より少ない費用で最大限の効果を引き出せるか、精査するべきだ。

政権が掲げる25年度の財政健全化の目標は、新たな借金をできるだけ抑えなければ達成できない。次世代の負担を増やさぬよう、政策の費用対効果を見極め、ばらまき封じを徹底する。

それが予算編成の課題だ。
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[朝日新聞] 象牙国内市場 閉鎖に向け、第一歩を (2019年08月31日)

何とか日本の立場もくんだ妥協が成立したが、国際社会の潮流ははっきりしている。政府は状況を正しく認識し、施策の見直しを進めるべきだ。

アフリカゾウの象牙取引をめぐる見解の対立である。

密猟を防ぐには各国の市場を完全閉鎖し、取引できないようにする必要があるとするアフリカ9カ国の提案が、野生動植物の保護を話し合うワシントン条約締約国会議の議題になった。

最終的には、国内市場をもつ国に重い説明責任を課し、密猟や違法取引の防止対策を報告させることで落ち着いた。政府は「日本の主張が理解された」というが、象牙取引に注がれる目は厳しさを増している。将来の市場閉鎖に向けて、第一歩を踏み出さなければならない。

アフリカゾウの象牙は1990年以降、条約の下で輸出入が原則禁じられている。2016年の前回会議では、国境を超えた取引の禁止からさらに踏み込み、密猟や違法取引を助長する国内市場の閉鎖が勧告された。

これを受けて、最大の市場だった中国が17年末で製造・取引を禁止した。シンガポールや香港なども象牙取引を禁じる方針を打ちだしており、市場閉鎖の流れが加速している。

日本は、89年以前に輸入した分と、その後、南部アフリカの国々が特例輸出した際に受け入れた分について、国内取引を認めている。政府はかねて「市場は厳格に管理されている」と主張し、前回会議後には象牙を取り扱う業者を、届け出制から、より厳しい登録制にした。

しかし他国の評価は異なる。今回の9カ国の提案は日本を名指ししたうえで、「規制に抜け穴があり、違法取引を助長している」と非難した。

実際に、日本から中国への密輸の横行を指摘した国際NGOの調査がある。また、象牙製品を国外へ持ち出せるか販売業者に尋ねてみたら、本当は違法であるにもかかわらず、6割が「持ち出してかまわない」と答えたとの報告もある。市場の信用にかかわる話だ。

もちろん、市場閉鎖をただ急げばいいわけではない。闇取引が活発になり、反社会勢力の資金源になるようでは困る。象牙の印鑑や和楽器などを扱う業者の保護・支援策も必要だ。伝統文化として例外的に取引を認めるのであれば、他国が納得できる十全な管理体制を築き、説明する努力も求められよう。

この30年間で国内市場は10分の1にまで縮小した。象牙を取り扱わない大手スーパーやネット通販大手も増えている。

この象牙製品は不可欠なものか。消費者一人ひとりが立ち止まって考えることも重要だ。
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2019年08月30日

[東京新聞] 柏崎刈羽の廃炉 約束になっていない (2019年08月30日)

地元自治体の求めに応じ、東京電力は柏崎刈羽原発の廃炉方針に言及したが、廃炉より再稼働を優先させたい本音が依然見え隠れ。福島の事故を起こした東電に、原発を動かす資格があるか。

東電による柏崎刈羽原発の廃炉方針を、地元新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は「落第点ではないが、平均点までいっていない」と受け止めた。これでも、甘過ぎはしないだろうか。

七基の原子炉を有する柏崎刈羽原発は、世界最大出力の原発だ。

福島の事故で浮き彫りになった集中立地に伴うリスクを軽減すべく、桜井市長は、6、7号機再稼働の条件として、1〜5号機いずれかを廃炉にする計画を、基数、号機、そして期限を明らかにした上で、提示するよう求めていた。

「6、7号機の再稼働後五年以内に、一基以上の廃炉を想定する」というのが、東電からの回答だ。基数、号機の特定はなく、期限についても「再稼働から五年以内」という。「再稼働ありき」だと、むしろ東電の方が、廃炉の前提条件を突きつけてきたようにも映る。本末転倒ではないか。

「十分な規模の非化石電源確保が見通せる状況となった場合」という条件もつけている。洋上風力発電など、再生可能エネルギーの導入が進まなければ、廃炉にはしないということか。

条件だらけ。これでは、廃炉を約束したとは言い難い。

結局、東電の方針からは、原発への強い“こだわり”ばかりがにじむ。遅々として進まない福島第一原発事故の後始末に苦しみながら、なぜかくも、原発に執着し続けるのか。

原発を再稼働させれば火力発電の燃料代を節約できて、短期的には、ある程度収益を改善できる。だが、中長期的にはどうだろう。

原子力規制委員会は、柏崎刈羽6、7号機の再稼働に際して、「経済性より安全性を優先すべし」という趣旨の条件を付けた。東電が重大事故の当事者であることを重く見ているからだろう。

その結果、再稼働にかかる安全対策費は、約一兆一千七百億円と、すでに当初見込みの二倍に膨らんだ。

3・11を境に、原発で“もうかる”時代ではなくなった。その転換点をつくったのが東電だ。

世界は「大廃炉時代」に入っている。廃炉技術こそ収益につながる時代。東電は、その先頭に立つべきではないか。
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[東京新聞] やじ排除発言 「表現の自由」の曲解だ (2019年08月30日)

選挙の街頭演説にやじを飛ばした人がまた、警察に取り押さえられた。柴山昌彦文部科学相は、やじは「権利として保障されていない」というが、「表現の自由」を理解していないのではないか。

選挙の街頭演説を、私たち聴衆はひと言も発せず、黙って聞け、ということなのか。

埼玉県知事選の投開票前日、二十四日夜の出来事である。JR大宮駅近くで自民、公明両党推薦候補の応援演説をしていた柴山氏に対し、「柴山辞めろ」とか大学入試共通テストの「民間試験撤廃」などとやじを飛ばした男性が、埼玉県警の警察官数人に囲まれ、遠ざけられた。

柴山氏は二十七日、閣議後会見で「表現の自由は最大限保障されなければならないが、集まった人たちは候補者や応援弁士の発言を聞きたいと思って来ている。大声を出したりすることは、権利として保障されているとは言えないのではないか」と県警の行為を擁護したが、「表現の自由」を曲げて解釈しているのではないか。

もちろん政治活動の自由は最大限尊重されるべきで、公職選挙法は選挙演説の妨害を禁じている。

しかし、駅前という開かれた場での選挙活動である。そこに集まった人たちには政権の支持者もそうでない人たちもいて当然だ。そうした場でも、政策への賛否を言い表すことは許されないのか。

埼玉の事例は、やじで演説が続行できなくなるような悪質な行為に当たるとはとても思えない。もし選挙妨害に当たらない段階で、公権力がやじを強制排除したのなら、明らかに行き過ぎだ。

柴山氏が政治家として語るべきは、警察の介入を正当化することではなく、警察の公権力行使が表現の自由を侵しかねないことへの懸念ではなかったのか。

七月の参院選でも、札幌市で行われた安倍晋三首相の街頭演説でやじを飛ばした男女が北海道警の警察官らに相次いで排除された。道警は「現場でのトラブル防止の観点から措置を講じた」とするだけで、詳しい説明はしていない。

政権に異を唱える発言が、トラブル防止を名目に警察に排除される。公権力を行使する立場にある政治家は、表現の自由を尊重すると言うものの、実際に侵されても放置する。こんなことが安倍「長期」政権で続く。

その背景に、批判や異論に耳を傾けようとしない不寛容な政権の体質があるとしたら、構造的問題であり、根が深い。
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[産経新聞] 【主張】リクナビに勧告 個人情報は「商品」なのか (2019年08月30日)

大手就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の同意を得ずに「内定辞退率」の予測データを顧客企業に販売していた問題をめぐり、政府の個人情報保護委員会が是正勧告を出した。

売り手市場の就職戦線では、企業の内定を得ても辞退する学生が多い。同社は自社サイトに登録した約8千人分の個人情報を人工知能(AI)で分析して、内定辞退の確率を、独自に算出していた。

しかし、個人データを企業に提供する際に必要な手続きを行っていなかった。個人情報保護委が情報の取り扱いなどをめぐって改善を求めたのは当然だ。

年間約80万人の学生が登録する同社サイトは、就活インフラとして幅広く利用されている。それだけに学生の信頼を裏切った責任は重大である。個人情報を商品としか見ていない企業体質の抜本的な改革が急務だ。

個人情報保護法は、本人の同意なしに第三者に対して個人情報を提供することを禁じている。リクナビは利用規約に「採用活動補助のために利用企業に情報提供することがある」と記し、これで本人の同意を得たと主張していた。

だが、個人情報保護委は「説明が明確ではない」と是正を勧告した。同委は「人生を左右しうる情報を扱いながら、適切な法令順守を行っていない」とも批判し、情報の取り扱い体制も見直しを求めた。同委の勧告は初めてで、深刻な事態と受け止めるべきだ。

今回の内定辞退予測をめぐり、批判を受けた同社は販売を中止した。40社近くがこの予測を購入したものの、合否判定には直接使われなかったという。それでも知らない間に個人情報を勝手に売買された学生には、不信感が広がっているという。

リクナビは、企業と就活生を結ぶ就職情報サイトで最大手の地位にある。その自覚を欠いた行動にはあきれるばかりだ。個人情報保護の重要性を社内で徹底し、厳格な再発防止策を講じなければ信頼回復など望めない。

最近ではキャッシュレス決済が広がり、小売り現場でも個人情報を扱う場面が増えている。データ化が進む社会では、個人の嗜好(しこう)や行動が多角的に分析されている。そうした個人データが実際にどう使われているかを確認できるようにすることも課題だ。
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[産経新聞] 【主張】文大統領の発言 竹島侵略したのは韓国だ (2019年08月30日)

島根県の竹島で、防衛などを想定して訓練する韓国海軍の特殊部隊=25日(韓国海軍提供・共同) 島根県の竹島で、防衛などを想定して訓練する韓国海軍の特殊部隊=25日(韓国海軍提供・共同) その他の写真を見る(1/4枚)

韓国の文在寅大統領が、同国が不法占拠している竹島(島根県隠岐の島町)について、「日本の帝国主義による侵略によって最初に犠牲になった」と述べ、日本が「自身の領土だと根拠のない主張」をしていると批判した。

さすが、日韓関係を最悪の状態に追い込んだ張本人だけはある。とんでもない妄言だ。発言をそっくりそのまま文氏にお返ししたい。竹島を侵略して「自身の領土だと根拠のない主張」をしているのは、韓国の方である。

真実を知らないようだからお教えしよう。

竹島は歴史的に一貫して日本のもので、韓国の主張に根拠はない。遅くとも17世紀初頭から、日本人は漁業の中継地などに利用してきた。証拠となる過去の文書や地図は多い。明治38年に竹島を島根県の行政区画に編入した当時、どの国からも抗議はなかった。国際社会も日本領と認めていた。

先の大戦後、日本が連合国に占領されていた時期に、韓国が竹島の領有権を主張したが、米政府は昭和26年8月、ラスク国務次官補の書簡で竹島は日本領との認識を韓国に伝えている。同年9月調印のサンフランシスコ平和条約も竹島放棄など認めていない。

ところが韓国の李承晩政権は27年1月、沿岸水域の主権を唱えようと日本海に「李承晩ライン」を一方的に設定し、竹島をその中に含め日本の漁船を拿捕(だほ)するようになった。同条約発効(27年4月)により日本が主権を回復する直前の仕業である。

島根県や海上保安庁が28年6月に上陸して領土標識を建て、たむろしていた韓国漁民を退去させた。だが、翌月には竹島に上陸してきた韓国側の官憲が海保の巡視船を銃撃する事件が起きた。29年8月には、巡視船が約200発もの銃弾を浴びた。

北方領土の占拠はスターリンによる国家犯罪だが、竹島占拠は李承晩によるそれである。韓国は、軍が訓練した武装警察部隊を置き、軍事演習も重ねている。

25、26日の韓国軍の竹島演習について、米国務省が「生産的ではない」と不快感を露(あら)わにしたのはもっともだ。

文大統領は被害者意識が強いばかりに自国が加害者である点が分からないようだ。史実に学び、竹島を日本に返還すべきである。
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[毎日新聞] 政権交代選挙から10年 大変動期の野党像を探る (2019年08月30日)

自民党から旧民主党への政権交代が確定した2009年衆院選からきょうで10年になる。有権者の投票がストレートに政権交代をもたらしたのは戦後初めてだった。

それほど歴史的な出来事だったのに、積極的に振り返る機運に乏しいのは「失敗に終わった政権」のイメージが定着しているからだろう。

確かに旧民主党は政策も統治能力も未成熟のまま政権に就いて自壊した。最大の過ちは官僚を排除しての極端な政治主導を試みたことだ。

ただし、政権交代に意義がなかったわけではない。政権を奪還した安倍晋三首相は思想的には右派の立場をとりながら、幼児教育の無償化や最低賃金の引き上げなど、政策のウイングを左に広げている。

再び政権を奪われないよう旧民主党の政策を取り込む思惑もあるだろう。あの政権交代がなければ、硬直化した自民党の政策を見直すのは難しかったのではないか。


英米の政党政治も混迷
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ところが「安倍1強」の長期政権下、旧民主党は党名を変えながら再編を繰り返した。野党が多弱化した結果、国会の行政監視機能は空洞化が進んだ。さらに官僚機構が首相官邸におもねる忖度(そんたく)が横行している。

民主主義が健全に機能するには与党に緊張感を与える野党が存在し、競争の働く政党システムが必要だ。もう一度、国政の課題として野党のあり方を考える時期に来ている。

1990年代の政治改革で小選挙区制が導入されたのは、自民党に対抗し得る野党勢力の形成を制度的に促し、政権交代が起こりやすい政治状況を作り出すためだった。

万年与党体制を変革しようという大きな民意が日本社会にあり、それがいったんは結実した。

90年代は冷戦終結を受けて世界的に民主主義と市場経済が万能のように思われた時期だ。日本が政治改革のモデルとしたのが、2大政党が政権交代を繰り返す英国だった。

だが、今やその英国が欧州連合(EU)離脱をめぐり「決められない政治」の混迷を極めている。同じ2大政党制の伝統を持つ米国もトランプ大統領のもとで分断が進む。

中国が台頭し、米国の力が相対的に落ちた21世紀の世界は政治的にも経済的にも大変動期を迎えている。グローバリズムの進展は資本やヒト・モノの移動を拡大させる一方、それぞれの国内で経済格差を広げた。

英米の2大政党は、伝統的な価値観を守ろうとする保守系の政党と、社会的な平等を重視するリベラル系の政党とに分かれ、中間所得層の取り込みを競ってきた。

しかし、グローバル化はナショナリズムを刺激し、排他的な政治勢力を生むことにもつながる。

保守系の政党は自国第一主義へと右傾化し、その反作用としてリベラル系政党は反緊縮財政など左派色の濃い政策へと傾く。政党の主張が両極化すると、政党間の調整によって合意を形成する民主主義の機能が損なわれる。英米の現状がそれだ。


将来不安に応える必要
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国際秩序や世界経済が大きく変動していく中にあって、政党システムはどうあるべきなのだろうか。

日本でも自民党に右傾化、立憲民主党に左傾化がみられる。英米と大きく異なるのは、政権批判の受け皿となるべき野党の多弱化だ。こぼれ落ちた民意が棄権に流れた結果が5割を割った参院選の低投票率だとみることもできる。

立憲民主党は秋の臨時国会へ向けて国民民主党と統一会派を組むという。巨大与党と対峙(たいじ)する野党共闘の先に再度の政権交代を見据えるなら元のさやに収まるだけでは厳しい。

憲法改正や原発政策のような先鋭的な課題で野党内の主導権争いをする従来の発想からも脱却すべきだ。

民主政治は幅広い民意を集約する政党がなければ成り立たない。野党が与党に対峙するにはそれなりの大きなかたまりであることも必要だ。併せて重要なのは、与党への対抗軸となる政策パッケージである。

国政選挙で連勝を続ける安倍政権だが、それほど強い支持があるわけではない。経済成長頼みの政権に当面の安定を期待するが、このままで大丈夫なのかという漠然とした将来への不安が国民の間に募っている。

人口減少と少子高齢化に真正面から向き合い、将来世代に責任を持つ政策を基軸に据えれば、野党への期待感につながるのではないか。

政党政治にダイナミズムをもたらす新たな野党像を模索したい。
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[読売新聞] 英議会の閉会 EU離脱問題の議論を尽くせ (2019年08月30日)

英国の欧州連合(EU)離脱は国の針路を大きく左右する。その是非を巡り世論は二分している。にもかかわらず、議会での議論を回避し、離脱実現を優先させる手法は問題だ。

ジョンソン英首相が、9月中旬から10月中旬まで議会を閉会する方針を決め、議員に通知した。新しい会期のスタートは、10月14日に設定された。

約1か月の閉会期間は、戦後、例を見ないほど長い。統治権に関する文書や慣習を「憲法」として尊重する英国の伝統を踏まえ、下院議長は「憲法を踏みにじるものだ」と異例の批判を行った。

議会制民主主義の母国として、世界に範を示してきた歴史に似つかわしくない。

英国がEUから離脱する期限は10月31日に迫る。ジョンソン氏は、「EUとの合意の有無にかかわらず、期限通りに離脱する」と明言している。「合意なき離脱」を辞さない強硬姿勢だ。

ジョンソン氏は、新たな会期の設定について、治安や医療などの優先課題で野心的な政策を打ち出すためだ、と説明している。

だが、長期閉会により、EU離脱問題に関する審議時間の大幅な短縮は避けられない。野党は与党の穏健離脱派とも連携し、「合意なき離脱」を禁じる法案の成立を目指す。ジョンソン氏は、法案の芽を摘む狙いなのだろう。

メイ前政権とEUがまとめた離脱協定案について、ジョンソン氏は修正を求めている。今月下旬に独仏などの首脳と会談したが、突破口を開けなかった。

最大の対立点は、英領北アイルランドとアイルランドの国境管理問題だ。メルケル独首相は、英国がまず代替案を提示するよう、ジョンソン氏に促した。

円滑な離脱には、今後2か月で英国とEUが修正案で合意し、英議会の承認を得る必要がある。ジョンソン氏がEUとの交渉や議会で多数派を確保する取り組みに消極的な姿勢を続ければ、「合意なき離脱」の可能性が強まる。

2016年に行われた国民投票で離脱を支持した人も、大部分は現在のような混迷は想定していなかっただろう。議論を尽くさず、強硬離脱に突き進んだ場合、社会の分断は決定的になる。

安倍首相はジョンソン氏との会談で、「秩序立った離脱」を実現し、日本企業への影響を最小限にとどめることを要請した。ジョンソン氏は、「合意なき離脱」に反対する国内外の声に、真摯(しんし)に耳を傾けなければならない。

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[読売新聞] 救急の蘇生処置 人生の最期をどう看取るか (2019年08月30日)

終末期の高齢者らの救急搬送に駆けつけた時、心肺蘇生の中止を要望されたらどうするか。各地の救急隊員が重い課題に直面している。

総務省消防庁の調査では、全国約700の消防機関の8割がこのような経験を持つ。

蘇生を望まないという意思を示していた高齢者らが自宅や施設で心肺停止となり、気が動転した家族や関係者が119番通報した後、到着した救急隊に蘇生中止を要望するケースが目立つ。

消防によって対応は分かれる。あらかじめ対応指針を定めていたのは約300機関で、このうち3割は「医師の判断などに基づき蘇生を中止できる」としていた。一方、6割は「蘇生をしながら搬送する」という内容だった。

「救命」を使命としてきた救急現場の戸惑いがうかがえる。

現場からは国が統一指針を示すよう求める声が上がるが、消防庁の検討部会は7月、指針の策定を見送った。「実態把握が現時点で十分でない」との理由からだ。

現場の状況は様々で、救急要請が必要な場面もある。消防庁はより具体的な事例を集めて検証し、現場の判断の拠(よ)り所(どころ)となる標準的な手順を検討してもらいたい。

この問題の背景には、高齢化の進展と多死社会の到来がある。

全国で一昨年、救急搬送された人は過去最多の573万人に上り、このうち心肺停止状態だった12万人では70歳以上が7割を超えた。在宅医療の普及により、自宅など病院以外での看取(みと)りを希望する人が増えたことが要因だ。

本人の意向を尊重しつつ、救急現場の混乱を招かぬようにするには、人生の最終段階を穏やかに迎える環境の整備が欠かせない。

まず重要なのは、在宅医療の充実だ。住み慣れた地域でかかりつけ医が本人の状態を把握しつつ、急変時に蘇生処置の必要性などを判断する。東京都八王子市では、在宅医療に携わる医師が輪番で24時間態勢を取っている。

自治体や消防、地元医師会、病院などが連携し、意思疎通を図って対応する必要がある。

本人と家族、医療関係者が日頃から、終末期の医療に何を望むかについて話し合い、文書に残しておくことも求められる。元気なうちから、万が一に備えて自らの意思を周囲に伝えておきたい。

高齢の独居世帯が増えており、身よりのないお年寄りも少なくない。介護・福祉職らがこうした人たちの意思を十分酌み取ることも、忘れてはなるまい。

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[朝日新聞] 厚労政務官 辞任で幕引き許されぬ (2019年08月30日)

厚生労働省の上野宏史・政務官が突然、辞任した。外国人労働者の在留資格取得をめぐる口利き疑惑を、週刊誌で報じられたためだ。

上野氏は「法令に反する口利きをした事実はない」などとする1枚紙のコメントを出しただけで、記者会見など公の場での説明を一切していない。疑惑は残ったままで、政務官を辞めたからと言ってうやむやにはできない。

ましてや外国人労働者の受け入れは、安倍政権の肝いりで拡大しているさなかだ。その看板政策に関わる問題で、政府の人間が私腹を肥やそうとしていたのなら、とんでもない話だ。

議員本人に説明責任があるのは当然だが、政府・与党としてもきちんと調査をし、厳正に対処すべきだ。

上野氏は経済産業省出身。自民党で首相の出身派閥の細田派に所属し、昨年10月、厚労政務官に就いた。労働政策などを担当し、外国人技能実習制度の見直しに向けた検討チームのトップも務めてきた。

先週発売の週刊文春で、東京都内の人材派遣会社が法務省に申請した外国人の在留資格認定証明書が、迅速に交付されるよう法務省に働きかける見返りに、1件につき2万円を会社側から受け取るかのようなやりとりを、元秘書としていたことが報じられた。

実際に働きかけて見返りに報酬を得ていたなら、あっせん利得処罰法に問われかねない。働きかけの実態がないのに、あたかも自分のおかげで証明書が迅速に交付されたように思わせて見返りを得ようとしたのなら、詐欺まがいの所業だ。

だが、この報道以降、上野氏は役所に姿を見せず、報道各社の取材にも応じていない。不誠実極まりなく、国会議員としての資質も疑われる態度と言うほかない。

根本匠・厚労相は記者会見で「一議員としての政治活動に関する報道」と述べ、ひとごとのような姿勢だ。しかし労働行政を担当する政務官と人材派遣会社をめぐる今回の疑惑は、厚労行政への信頼も大きく傷つけるものだ。厚労省としてもしっかり調査すべきである。

週刊誌などの報道では、上野氏が口利きの見返りを、自民党員の党費に充てようとしていた疑いも出ている。上野氏が集めた党員が、本当に党員としての実態があったのか。自民党も厳しく調べるべきだ。

安倍内閣では、閣僚らの口利き疑惑が後を絶たない。首相側近の甘利明・元経済再生相、片山さつき・地方創生相もいまだに説明責任を果たしていない。政権の姿勢が問われている。
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[朝日新聞] 防災の日 身近なリスクを知ろう (2019年08月30日)

活発な前線の影響で九州北部が激しい雨に見舞われた。佐賀県では、水につかった建物や車に取り残される人が相次いだ。雨は週末まで続くという。国・自治体は警戒を続けるとともに、迅速な情報発信に努め、被害の拡大を防いでほしい。

9月1日は「防災の日」だ。一人ひとりが災害列島に住んでいることを自覚し、身の回りの備えを再確認したい。

災害は、同じ場所でくり返し起こることが少なくない。

今回、大規模に冠水した佐賀市中心部は、標高が低い平野が広がり、昔から洪水や高潮に悩まされてきた。昨年の西日本豪雨でも、かねて土砂災害の危険性が指摘されていた地域が大きな被害を受けた。そのひとつ広島県坂町では、1907年に土石流が発生し、地元に歴史を伝える石碑が立っている。

地域の災害史を学ぶことは、命を守る行動につながる。過去にさかのぼって、「わが町のリスク」を知るようにしよう。

国土地理院はこの6月、自然災害の記録を刻んだ石碑や供養塔を示す「自然災害伝承碑」の記号を新設した。対象は津波、地震、洪水、高潮、火山災害など多岐にわたる。自治体に情報を提供してもらい、地図に記載する。すでにウェブ版「地理院地図」で運用が始まっていて、アクセスすると、碑の写真や災害の発生年、その内容などがわかるようになっている。

こうした碑は全国に数千はあるとみられるが、登録されている数はまだ200を超えたばかりだ。さらに充実させ、学校での授業や防災訓練時のまち歩きなどに使って、教訓の共有を進めてもらいたい。

地球温暖化の影響で、「数十年に1度」とされる雨が、毎年のように全国のどこかで降っている。局地的な豪雨も多い。

そんなときにどう行動すべきか。参考になるのが、個人や家族単位の避難行動計画「マイ・タイムライン」だ。15年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫(はんらん)した際、多くの住民が逃げ遅れた反省から茨城県常総市などの呼びかけで始まり、他の地域にも広がっている。

例えば台風上陸を想定し、その3日前から時系列で、非常持ち出し袋を準備▽川の水位をネットで確認▽避難情報が出たら近所のお年寄りに声をかけて避難所へ――といった具合に、手順をノートに書き出しておく。地元のハザードマップを頭に入れておくのは言うまでもない。非常時でもあわてず、間違わずに行動するのが狙いだ。

被害をゼロにはできなくても減らすことはできる。言い古されたことだが、そのために大切なのは、日頃の準備である。
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2019年08月29日

[東京新聞] 漂流するG7 存在意義を問い直せ (2019年08月29日)

先進七カ国首脳が結束し強いメッセージを国際社会に発信する−。首脳宣言取りまとめを見送ったフランスでのG7サミットはその役割を果たせなかった。G7は存在意義を自ら問い直すべきだ。

トランプ米大統領と閉幕後の共同記者会見に臨んだ議長役のマクロン仏大統領は「われわれの共通点は時間を無駄にしたくないことだ」と述べた。会議を引っかき回すトランプ氏へのあきらめが見て取れた。

自国第一主義のトランプ氏は本来、国際協調の場であるG7とは水が合わない。マクロン氏はできもしない意見集約に時間と労力を費やしたくなかったのだろう。

サミットは一九七五年にパリ郊外のランブイエ城で初めて開催された。これを提唱したジスカールデスタン仏大統領は、サミットの在り方として、首脳だけが膝詰めで忌憚(きたん)なく論じ合うスタイルを描いていた。

ところが実際には、各国は大規模な随行団を送り込み、首脳は官僚が用意したペーパーを読み上げることが多く、官僚は成果文書の文案調整に徹夜する。

首脳宣言に代わる簡潔な総括文書の文言をマクロン氏自身がつくったのには、ジスカールデスタン氏が構想した原点へ戻ろうという意図もあったのかもしれない。

二〇一四年にクリミアを併合したロシアを追い出し、民主主義や法の支配、自由貿易という価値観を共有する本来のG7の姿に戻った。

国際情勢の不透明化が深まる中で、西側の結束を示す場となるサミットを再評価する声もある。

〇八年に起きたリーマン・ショックの危機対応として発足したG20が、参加国・地域が多い分まとまりを欠き、期待したほど機能していないことも再評価の後押しになった。

ただし、G7は足並みがそろってこそ価値がある。トランプ氏がいては価値観の共有ができているかも怪しい。

しかも、往時は世界全体のGDP(国内総生産)の七割近くを占めたG7だが、今では五割を割り込み影響力は低下した。

それでも、結束は望むべくもないトランプ時代だって永遠に続くわけではないと腹をくくって、あくまで価値観を同じくする国の集まりのままでいくのか。

あるいは影響力の回復を目指して、体制の違う中国やロシアにも門戸を開くのか。G7は方向性をじっくり考えてほしい。
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