2019年07月31日

[東京新聞] 米軍機事故指針 運用改善では限界ある (2019年07月31日)

日米両政府が日本国内の米軍機事故に関するガイドラインを改定した。ただ依然、米側の裁量を大きく認めたまま。日本側が主体的に対応できるようにするためには、日米地位協定の改定が必要だ。

米軍機の事故は在日米軍専用施設の七割が集中する沖縄で頻発している。現場一帯が米軍に封鎖され、地元警察や消防が立ち入れない状況が問題となってきた。

米軍の特権的な法的地位を定めた日米地位協定とその合意議事録で、基地外でも米軍の財産の捜索や検証は米軍の同意なしにできないとされているためだ。

二〇〇四年八月、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故を機に、日米両政府は〇五年にガイドラインを策定。日本の警察や消防の規制区域内への立ち入りは、日米当局の相互の同意に基づいて行うと決めた。

今回の改定では、そこに「迅速かつ早期の立ち入り」を可能とすることを追記。河野太郎外相は、事故対応が「多くの面で一層改善される」と強調した。

しかし、そう都合良くは受け取れない。

沖縄では一六年十二月、名護市沿岸に米軍輸送機オスプレイが不時着大破、一七年十月には東村(ひがしそん)の民有地に大型輸送ヘリが不時着炎上した事故があった。

いずれも直後の県警や海上保安庁の現場立ち入りは認められず、機体は米軍に回収された。従来のガイドラインも満足に機能していなかったのだ。今後、迅速な現場立ち入りを可能にするといっても、米側の同意がなければできないことに変わりがない。

改定ガイドラインには、事故機のすべての残骸を米軍管理とする点も引き継がれた上、米軍が「資格を有する者」のみにしか機密装備に近づくのを許可しない旨が付記された。日本側の捜査を排除するための一層の管理強化だ。

玉城デニー沖縄県知事が、今後の運用に「注視する必要がある」と述べたのはもっともである。

国際的にも、駐留米軍に国内法が原則適用されない日米地位協定が希(まれ)であるのは沖縄県が調査で明らかにしてきた。国民生活を米軍機事故の脅威から守るため、日本側が原因究明から飛行統制までを行うには、ガイドラインの改定では限界が見えている。

日米合意議事録、さらには地位協定そのものの抜本的見直しが不可避だ。日本政府は、場当たり的な地位協定の運用改善で満足している場合ではない。
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[東京新聞] シリア内戦 子どもの犠牲胸に刻め (2019年07月31日)

写真

内戦が続くシリアで、がれきに埋もれた五歳の女児が七カ月の妹を救出しようと、シャツをつかむ写真が世界に衝撃を与えている。女児は亡くなったという。痛ましい戦争をいつまで続けるのか。

現場は、アサド政権軍と後ろ盾のロシア軍が、反体制派の最後の拠点として激しい攻撃を続けているシリア北部イドリブ県。

写真=反体制派メディア「SY24」提供・共同=では、姉妹ら(中央)に向かい、父親(左上)が叫んでいる。現地のジャーナリストが撮影、インターネットで拡散した。ささやかな抵抗が、市民を犠牲にする内戦の悲惨に、再び世の耳目を向けさせた。

シリア内戦は八年前に始まり、政権軍、ロシア軍と、反体制側を支援する米欧、さらに過激派組織「イスラム国」(IS)が入り乱れて戦闘は拡大。シリアでのこれまでの死者は約五十二万人、難民約五百六十万人、国内避難民は推定約六百二十万人に上るという。「今世紀最悪の人道危機」と呼ばれる。

二〇一七年、ISは事実上壊滅し、トランプ米大統領は一八年十二月、シリアからの米軍完全撤収を決定した。米国の関心はイラン封じ込めへと移りつつある。

シリアでは政権、ロシアに加え、シリア政権を支持するイランが部分停戦や和平協議を主導。反体制派を支援するが米国への反発からロシアに接近するトルコも、協議に加わるようになった。

しかし昨年、主要な反体制勢力は反発して会議を欠席。国連安全保障理事会は各勢力に三十日間の停戦を呼び掛けたが戦闘はやまず、和平への糸口は見えない。

反体制派への攻撃は激化する一方だ。市民の犠牲が目立つ。無差別攻撃は許されない。

一五年九月、欧州を目指す途中でボートが転覆し、海岸に打ち上げられたシリア人男児の写真が、難民救済の国際的機運を高めた。今回の女児の写真も内戦終結の緊急性を強く訴えている。

来月、ロシア、トルコ、イランによる協議が開かれる。仏独参加の会議も計画されている。何よりも、人道を第一に考えてほしい。
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[産経新聞] 【主張】抑留者遺骨 国の責任を真剣に果たせ (2019年07月31日)

これでは祖国を想(おも)いながら凍土に斃(たお)れた抑留犠牲者も浮かばれまい。

厚生労働省の派遣団が旧ソ連に抑留された日本人の遺骨を取り違えていた。昨年8月には鑑定結果で間違いに気づいていた。それを公表せず、ロシア側にも伝えていなかった。

厚労省は、事実を知りながら、放置していたと指摘されても仕方あるまい。賃金や労働時間などの動きを示す毎月勤労統計をめぐる統計不正の記憶も新しい。役所を覆う隠蔽(いんぺい)体質に問題があるのではないか。

遺骨収集は国家の責任であり義務である。一つ一つの遺骨と真摯(しんし)に向き合い、慰霊の気持ちを持って取り組まねばならない。

厚労省は平成26年8月、先の大戦後に旧ソ連に抑留され、シベリア地域で死亡した日本人のものとして、ロシアから遺骨16柱分を持ち帰りDNA型鑑定を行った。

この結果、全ての骨が日本人のものではない、もしくは日本人のものではない可能性が高いことが昨年8月に開かれた遺骨の鑑定に関する会議で分かった。この時点でなぜ、事実関係を公表し速やかに遺骨返還に関する協議をロシア側と始めなかったのか。

菅義偉官房長官は30日の記者会見で、公表しなかった理由について「遺骨の出身地は相手国と協議して公表するものだからだ」と釈明したが、1年間も何をやっていたのか。厚労省に保管された遺骨に対しても礼を欠く。抑留された日本人は、故郷を想い、家族との再会を夢見て亡くなった。

厚労省によると、埋葬地は地図や近隣の人への聞き取りなどで特定したという。日本側の鑑定人は同行していなかった。遠路はるばる何をしに行ったのか。軽率であり、真剣さが足りない。

シベリア抑留は、昭和20年8月に日ソ中立条約を破って旧満州などに侵入した旧ソ連軍による歴史的な犯罪行為だ。関東軍将兵ら約60万人が収容所に連行され、約6万人が死亡した。

沖縄や硫黄島のほか、海外で犠牲になった約112万人分の遺骨が未収集だ。旧ソ連地域からは1万8689人分を収集し、1135人分の身元が判明した。

死力を尽くし、尊い命を故国に捧(ささ)げた人々との約束だ。遺骨収集事業は、国家の義務として、骨一片に至るまで帰還させる強い決意で取り組まねばならない。
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[毎日新聞] 縮小する日韓交流 草の根絶やすのは残念だ (2019年07月31日)

日韓関係悪化のあおりで、草の根交流にも影響が出始めている。

韓国の釜山(プサン)市は、日本との行政交流を中断すると発表した。朝鮮半島南端にある釜山は歴史的に日本との交流が活発だったが、両国関係が改善するまで友好関係にある長崎県などへの訪問を見送るという。

また韓国・瑞山(ソサン)市は姉妹都市の奈良県天理市に交流事業の一時停止を伝えた。昌原(チャンウォン)市はサッカーチームや合唱団の岐阜県大垣市への訪問延期を申し入れた。いずれも青少年交流の一環だった。

自治体国際化協会によると、日韓の間では162の自治体が姉妹・友好都市提携を結んでいる。日本の自治体の提携数としては米国、中国に次いで多いのに、交流見送りの動きが続々と出てきている。

交流中断を決めた韓国側は、日本の韓国に対する輸出規制強化を問題視している。釜山市は、規制措置の撤回を求める文在寅(ムンジェイン)政権に足並みをそろえたと主張した。

しかし、政府間の関係とは別に、市民レベルで相互理解を深めようというのが姉妹都市提携の本来の趣旨だったはずだ。政府同士の緊張が高まっている時こそ国民交流が重要なのに、残念である。

文氏は、国民が一致団結して輸出規制問題に当たるよう積極的に旗を振っている。こうした姿勢が交流中断を間接的に後押ししている。

河野太郎外相は「自治体間交流は国民交流の柱なので、しっかりやってほしい」と強調する。しかし、日本も静観以上のものは見えてこない。厳しい世論を背景に、韓国の対応に冷ややかな視線を送っているだけではないか。

日本政府は8月2日にも、輸出手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を外す政令改正を閣議決定する。韓国政府は除外しないよう求めており、正式に除外されれば韓国の対日感情は一層悪化しよう。

さらに、8月15日には日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」が控える。双方のナショナリズムがただでさえ高まりやすい時期だ。

日韓が国交正常化した1965年に1万人だった両国の往来者は、昨年1000万人に達した。市井の人々の重層的な関係は広がり続けている。逆戻りさせてはならない。
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[毎日新聞] 萩生田氏の「交代」発言 議長は政権の道具なのか (2019年07月31日)

自民党の萩生田光一幹事長代行が憲法改正論議に絡めて大島理森衆院議長の交代に言及した。

萩生田氏によれば、大島氏は「調整型」の議長だから、野党に気を使い過ぎて、国会の憲法論議が進まなかったのだという。そのため議長を交代させて「憲法改正シフト」を敷こうとの主張だ。

萩生田氏は議長の役割を一体どう理解しているのか。国権の最高機関として国民の利害を調整し、行政を監視するのが国会だ。議長はその機能を十全に働かせる責任を負う。

与党側に立って改憲の旗を振らないなら交代させようというのは、議長を政権の道具に使う発想だ。

萩生田氏は安倍晋三首相の側近として知られるが、同時に衆院の一員として議長の権威を守るべき立場にあるはずだ。しかも、大島氏を議長に推挙した自民党の幹部でもある。

衆院任期の途中で異例の議長交代を唱えるのであれば、与野党の納得を得られる理由が必要となる。しかし、自民党内でそのような議論がなされた節はない。

萩生田氏が首相側近であることをかさに着て、個人的な意見として軽々に交代を口にするのは不見識だ。

「安倍1強」の長期政権下、首相官邸の力が高まるにつれて国会の空洞化が指摘されるようになった。

官邸側が天皇退位特例法の検討作業を政府の有識者会議で進めようとしたのに対し、大島氏は「国会は下請けではない」と言って議論を引き取り、与野党合意に導いた。

森友問題をめぐる公文書改ざんの真相究明を果たせなかった昨年の通常国会閉会時には、行政府と立法府の双方に「自省」を求めた。

三権分立を全うするため政府に物申すのは議長として当然の仕事だ。それに対する不満が首相周辺に募り、萩生田氏の議長交代発言につながった側面もあるのではないか。

そもそも国会の憲法論議が進まないのは、首相側の強引な姿勢が野党を硬化させてきたからだ。

参院選で改憲勢力が3分の2を割り、野党に協力を呼びかける丁寧な姿勢に転換するのかと思いきや、萩生田氏のこの発言である。

野党は反発を強めている。国会の憲法論議にブレーキをかけているのが議長でないことは明らかだ。
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[読売新聞] 警察白書 時代に対応した犯罪対策を (2019年07月31日)

国民の生命や財産を守るためには、社会情勢の変化に応じた犯罪対策が欠かせない。

今年の警察白書は「平成の回顧と展望」との一節を設け、この30年の犯罪状況の分析と今後の課題をまとめた。

平成の中頃には盗犯が激増し、刑法犯の発生件数が戦後最悪に達した。交通事故の多発や、悪質な飲酒運転も社会問題となった。

防犯カメラや警報装置の普及により、刑法犯は激減した。昨年のひったくり件数は、ピーク時だった17年前の、27分の1になっている。交通事故死者も、平成初期の3分の1以下に減った。

防犯対策や飲酒運転撲滅の運動が成果を上げたと言えよう。

今後の課題として白書が重視したのは、ストーカーや配偶者からの暴力(DV)、児童虐待だ。いずれも、個人の私的領域で起きる犯罪で、表面化しにくい。

かつて民事不介入を原則とした警察は、埼玉県桶川市のストーカー殺人事件などを契機に、20年前、家族や男女間のトラブルに積極的に対応するよう舵(かじ)を切った。相談件数は増加傾向だが、被害者を救い切れていないのが現状だ。

女性警察官を配置し、女性が被害を訴えやすい環境を整える。被害者を一時的に避難させる場所を確保する。こうした取り組みを着実に進めてほしい。

児童虐待の早期発見のため、児童相談所などの関係機関と警察は連携を強化すべきである。

高水準で続く特殊詐欺被害についても、白書は「予断を許さない状況だ」と言及している。加速する高齢化社会で、お年寄りを被害から守るには、犯行手口を分析し、対策を講じることが大切だ。

だまされた人の7割は、電話に出た時点で相手を信じ込んでいた。例えば、電話に出る前に、通話内容を録音する旨を相手に伝える機能を使えば、犯人が警戒して詐欺を諦める可能性が高まる。

「オレオレ詐欺」を見抜いた人の半分は、声の違いで家族ではないと気づいた。日頃から家族が連絡を取っておく必要がある。

令和の時代は、サイバー犯罪の多発も予想される。白書によると、近年はメールの盗み見などの不正アクセスや、暗号資産(仮想通貨)の不正送信が目立つ。

インターネット空間の犯罪は、国外サーバーの悪用などで、犯人の特定が難しい。新たなウイルスも絶えず作製される。捜査当局が専門知識を備えた人員を確保・育成し、デジタル情報の解析技術を向上させることが求められる。

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[読売新聞] 低投票率 50%割れに危機意識を持て (2019年07月31日)

投票率の低落を深刻に受け止め、政府や自治体などはさらなる手立てを講じる必要がある。

参院選の投票率は24年ぶりに5割を割った。

自民党の1強体制が強まり、野党も存在感を示せていない政治の現状が、投票所から足を遠のかせた面はある。とはいえ、2人に1人が投票しないようでは、民主主義の土台が揺らぎかねない。

際立つのは若者の関心の低さだ。抽出調査によると、18、19歳の投票率は31・33%で、2016年の前回参院選を15ポイントも下回った。19歳に限ると3割を切る。

18歳選挙権が初めて導入された前回は、模擬投票や出前授業など投票の意義や仕組みを教える取り組みが活発に行われた。3年がたち、学校現場の熱意が失われているのではないか。主権者教育を充実させねばなるまい。

新しい学習指導要領により、高校では22年度から必修科目「公共」が設けられる。国の仕組みや安全保障など、現実の課題に即したテーマを学び、自らの問題として考えさせる狙いだ。

財政再建や社会保障制度改革の行方は、若い世代の将来にかかわる。早い時期から社会や行政への関心を持てるよう、息の長い指導を考えてもらいたい。

大学進学などで転居した後も、住民票を実家に残す学生が少なくない。不在者投票が煩雑なこともあり、学生が棄権する要因と指摘されている。学生に、住民票の異動を促すことが欠かせない。

だれもが投票しやすい環境を整えることが重要である。

人口減少などの影響で、全国の投票所数はピークから約1割減った。巡回バスの運行やタクシー利用など、投票所への交通手段を確保する。移動が困難な高齢者には、郵便投票を促す。自治体には、きめ細かい配慮が求められる。

期日前投票は増加傾向にあり、今回は計1706万人が投票した。有権者の約16%にあたる。

公共施設だけでなく、ショッピングセンターや大学、駅などに投票所を置く市町村が増えている。こうした動きを広げるべきだ。

候補者や政党の主張を見極めて選択することに意味がある。早めに票を投ずる際に、心に留めておきたい。自治体は選挙公報の速やかな配布に努めるべきである。

総務省は今年度、海外居住者のインターネット投票の実証実験を予定する。マイナンバーカードで本人確認を行う。国内の投票に応用できるかどうか。不正防止策を含め、検討を重ねるべきだ。

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[朝日新聞] プラごみ対策 安易な焼却は許されぬ (2019年07月31日)

2050年までに海に流れ込むプラスチックごみをゼロにする。先月のG20大阪サミットでそんな合意が成立した。

地球規模で広がるプラごみ問題で初めての国際的な目標だ。議長国として議論をまとめた日本は、今後の取り組みを引き続き主導していく責務がある。

そのためにはまず、足もとの課題を解決しないといけない。特に急がれるのは気候変動対策との両立である。

日本では廃プラの86%が有効利用されており、プラごみ対策が進んでいるといわれる。だがこの数字には、サーマルリサイクルと称して焼却されているものがたくさん含まれる。そのとき生まれる熱エネルギーを発電や給湯などに「有効利用」している、という理屈だ。

海外では通常、こうした一度きりの熱利用はリサイクルとみなされない。サーマルリサイクル分を除くと、日本のプラスチックリサイクル率は27%にとどまり、欧州連合(EU)の平均を下回る。この現実を直視する必要がある。

忘れてならないのは、熱を有効利用しようがしまいが、廃プラを燃やせば必ず二酸化炭素が発生するということだ。地球温暖化防止のためのパリ協定により、温室効果ガスの大幅な削減が求められるいま、大量の廃プラを燃やし続ける行為が許されるはずがない。

折しも5月に国際条約が改正され、東南アジアなどへの汚れた廃プラの輸出が難しくなる。それらが行き場を失い、安易に燃やされるようでは困る。対応は待ったなしだ。

徹底すべきはリデュース(削減)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)だ。この「3R」に努め、それでも残ってしまうものだけを燃やして熱を利用する。焼却は最後の手段だと考えるようにしたい。

いうまでもなく、3Rのうち本丸はリデュースである。

家庭のプラごみの多くは自治体が税金で回収して焼却するため、事業者が負担するリサイクル費用は限定的だ。このため使い捨てプラが安価に大量生産され、大量消費される。そして大量のプラごみが捨てられ、どんどん燃やされる。この悪循環を断ち切らねばならない。

事業者が担うべき責任をより重くし、製品の価格を上げることで使用を抑える。そんな施策を検討してはどうか。植物由来で環境負荷の少ないバイオマスプラへの切り替えや、プラ製品に頼らない生活スタイルの実践など、企業や消費者の取り組みも欠かせない。

手をこまねいていては、脱プラでも脱温暖化でも世界に後れをとる。そう肝に銘じたい。
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[朝日新聞] 米国と北朝鮮 実務協議の早期実現を (2019年07月31日)

米国大統領との会談を重ねても、挑発に走る姿勢は相変わらずのようだ。対話の機運に水をさす無責任な行動を、周辺国は黙認してはなるまい。

北朝鮮が、日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射した。日本政府が分析し、確認した。5月の発射に続く国連安保理決議の違反行為である。

南北の軍事境界線上で米朝首脳が3回目の会談をしてから1カ月。ミサイル発射は、その後も思うように進まない対米交渉へのいらだちの表れだろう。

会談では、両国間の実務者協議を開くことが合意された。しかし、実際は今も協議は行われていない。今週のバンコクでの日米韓を含む国際会議にも、北朝鮮外相は欠席するとみられている。

北朝鮮側は、昨年の初の首脳会談の共同声明に盛り込まれた「新しい米朝関係」と「朝鮮半島の平和体制」づくりにこだわっている。非核化に向けた措置よりも優先すべきだ、と反発している。

だが新しい関係と言っても、その定義すらない。平和体制についても具体的な工程を詰めるためには、実務者協議が欠かせない。北朝鮮は策を弄(ろう)せず、速やかに応じるべきである。

協議を始める前提として、経済制裁の緩和を求めるならば、筋が通らない。短距離といえども国際社会に弓を引くミサイル発射を続ける限り、安保理決議にもとづく制裁の変更は遠のくばかりだろう。

一方、北朝鮮に核とミサイルの完全放棄を迫るべき日米韓の最近の対応にも、懸念を抱かざるをえない。

トランプ米大統領は、5月に続き今回のミサイルも問題視しない姿勢を明らかにした。北朝鮮が韓国への警告だと主張している点を念頭に、米国を脅かさない短距離ならば事実上、容認する考えを示した。

日米韓で協調して北朝鮮問題に取り組む責任を忘れたのだろうか。近い国への脅威は米国に無関係というならば、日本を射程に含む中距離ミサイルも黙認することになりかねない。

トランプ氏が危うい自国第一主義を表明していても、安倍首相から特段の反応はなかった。今回のミサイルについて、日本の安全保障に影響を与えないとの見方を示したが、実際は2発とも日本の一部に到達可能な性能だったようだ。

日本と韓国の間では、徴用工問題と貿易規制強化などをめぐる対立が、防衛当局同士の関係にも影を落としつつある。

日米韓がそれぞれの個別事情に閉じこもり、連携して挑発行動に厳格な対応をとれないのは憂慮すべき事態である。
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2019年07月30日

[東京新聞] 参院選低投票率 民主主義の基盤を崩す (2019年07月30日)

二十一日に投開票された参院選の投票率は過去二番目の低さだった。低投票率は議会制民主主義の基盤を崩しかねない。投票率を上げる即効薬はなく、対応を地道に積み重ねることが必要だ。

なぜ有権者の半数以上が棄権したのか。「政策が分かりにくい」「投票しても結果は変わらない」「政治に期待していない」などの理由が挙がる。「政治不信」のひと言では片付けられない、さまざまな要因が重なり合った結果だろう。

今回参院選の投票率は選挙区48・80%、比例代表48・79%。選挙区では前回二〇一六年の54・70%を下回り、一九九五年の44・52%に次ぐ低さだった。

投票率は、投票を強いる独裁国家や棄権に罰則を科す義務投票の採用国で高い。投票率の低さは必ずしも悪いと言えないのかもしれないが、多くの有権者に支持されていない代表が、その地位の正当性を堂々と主張できるだろうか。

憲法前文は「国政は、国民の厳粛な信託による」と明記する。

安倍晋三首相(自民党総裁)は参院選を受けて「国民の皆さまから力強い信任をいただいた」と語ったが、全有権者に占める得票割合を示す「絶対得票率」は選挙区で18・9%と二割を切った。力強い信任と胸を張れまい。

低投票率の責任はまず、政治家側にある。有権者に分かりやすく政策や主張を伝えられたか。国会論戦は政治への期待に応えるものだったか。与野党ともに自らの言動を振り返り、反省すべきだ。

有権者が投票しやすい制度を整えることも必要だ。期日前投票は定着したが、投票可能な場所は限られ、使い勝手がいいとは言い難い。駅や商業施設、大学などへの投票所設置も進めるべきだろう。

人口減少で投票所が減り、投票時間の短縮箇所も増えた。投票所への移動が困難な高齢者らを支援する自治体もあるが、投票機会を確保し、多くの民意をすくい上げる工夫も続けるべきである。

十八、十九歳の投票率は31・33%と十八歳選挙権が始まった一六年参院選より約15ポイント低下した。未来を担う若者の低投票率はより深刻だ。政治への参加意識をどう高めるのか、教育現場で議論を深めることも必要だろう。

そもそも選挙権は先人たちが勝ち取ってきた貴重な権利である。暮らしをより良くするには、一票一票の積み重ねが必要だ。自分が投票しなくても大丈夫だろう、という「政治過信」は、政治を誤った方向に進ませかねない。
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[東京新聞] 台湾と米中 海峡の波を高くするな (2019年07月30日)

台湾総統選の与野党候補が固まった。米国が台湾への巨額な武器売却を決めたのに対し、中国は軍事演習で台湾をけん制した。総統選をめぐり、米中両国は緊張を高めるような行動を慎むべきだ。

来年一月に予定される総統選で、独立志向の与党民進党は六月、再選をめざす蔡英文総統(62)の出馬を決めた。

最大野党で対中融和路線の国民党は二十八日の党大会で、韓国瑜・高雄市長(62)を総統選候補に決定した。

無所属候補も出馬を検討しているが、蔡氏と韓氏を軸とする選挙戦の火ぶたが切られたといえる。

気がかりなのは、米中の動きである。米国は七月初旬、台湾に対して地対空ミサイルや戦車など計約二十二億ドル(約二千四百億円)相当の武器売却を決定した。

台湾の蔡総統は中国を念頭に「外からの脅威阻止」と述べ、米国に感謝の意を示したが、中国政府は「中国の主権と安全に損害を与える行為であり、強烈な不満と反対を表明する」と猛反発した。

間髪を入れず、中国は七月中旬に大陸南東部沿岸の海空域で軍事演習を実施。人民日報系の環球時報は「台湾独立派をけん制する狙いがある」と伝えた。

むろん、台湾総統選では「中台関係」が歴史的に最大争点になってきたし、今回もそれは変わらない。だが、米中が自国に有利となる総統選候補を応援するため、台湾海峡の波を高くするような干渉をするべきではない。

歴史を振り返れば、一九九六年に実施された初の民選総統選を威嚇するため中国がミサイル演習を強行。これに対し米国が空母を出動させ一触即発の事態となった。

ただでさえ米中関係は貿易摩擦の火種を抱えており、中国が「核心的利益」と主張する台湾問題での米中対立は、一歩間違えば世界の発火点になりかねない。

蔡総統は七月、訪問先の米国で「『一国二制度』の下で独裁体制と民主主義は共存しえない」と述べ、中国が台湾統一の手段と考える「一国二制度」を批判した。

韓氏は「蔡政権では暮らしが楽にならない」と訴え、経済大国・中国との緊密さを強調している。

「中台関係」で主張の違いはあれども、忘れてならないのは、台湾が民意により安定的に政権交代ができる社会を築いてきたことだ。台湾の人たち自身による将来の選択を、国際社会は温かく、静かに見守ることが肝要であろう。
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[産経新聞] 【主張】拉致被害者 救出は政治の責務である (2019年07月30日)

産経新聞は、拉致被害者、横田めぐみさんの両親、滋さんと早紀江さんによる連載、「めぐみへの手紙」を不定期で掲載している。29日の紙面では「被害者を救うのは政治の力です」と題し「最後に被害者を救うのは日本の政府、政治の力をおいて、ほかにありません」と訴えている。

政府、与野党すべての政治家に改めて熟読してほしい。

被害者家族の切なる願いを、わがこととして胸に刻み込み、行動に移してもらいたい。

「手紙」はこう記していた。

「国会を見ていると、日本にとって大切な外交、国際関係の課題は、あまり取り上げられていないように感じます。拉致事件も議題に上がることは少なく、嘆かわしい思いにかられます」

政治家の皆さんは目が、耳が、痛くはないか。痛くなければ政治家として失格である。国会や参院選の論戦にみる拉致問題に関する体たらくは、被害者家族ならずとも腹立たしいばかりだった。

それでも「手紙」は、「政治の力が真に発揮されるとき、残る被害者全員がきっと、祖国の土を踏めるはずです」と、政治への希望を捨てていない。これを裏切ることは許されまい。

28日には横浜市で、拉致問題の解決を求める集会が開かれた。早紀江さんはビデオメッセージで6月末に電撃的に行われた3回目の米朝首脳会談に触れ、「首相も早く直接、金正恩朝鮮労働党委員長と会談し、被害者が帰国できるようにしてほしい」と訴えた。

安倍晋三首相は参院選の結果を受けた22日の会見で「拉致問題について、いまなお解決できていないということは痛恨の極み」「果敢に行動すべきときには果敢に行動し、全力を尽くしていきたい」と述べている。言葉はいい。求めているのは、行動による政治のダイナミズムである。

「手紙」は拉致被害者5人の帰国につながった平成14年の日朝首脳会談の直前、「政治にかつてない、前向きな力を感じていました」と記し、「私たちが感じた政治の前向きな力を、今一度、見せていただきたい。あらん限りの知恵と志を注ぎ込み、再び、重い扉をこじ開け、すべての被害者に祖国の土を踏ませていただきたい」と懇願している。

政治には、これに応える責務があるはずだ。
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[産経新聞] 【主張】中国選手の疑惑 東京五輪へ監視緩めるな (2019年07月30日)

疑惑の主を心から称賛する気にはなれない。

2020年東京五輪の主役の一人として、このまま迎えていいのか。

韓国・光州での世界水泳選手権で、競泳男子自由形の孫楊(中国)が自身に持ち上がった薬物検査妨害の疑惑が晴れぬまま出場を認められ、2冠を達成した。

孫は五輪に3度出場し、金メダル3個を獲得した中国競泳界の顔だ。28日に閉幕した世界選手権では、400メートル自由形を4連覇し、200メートル自由形も制したが、各国のライバルは表彰台で孫と並んでの記念撮影や握手を拒んだ。

昨年9月に行われたドーピングの抜き打ち検査で、孫が自身の血液検体の容器を破壊したとする国際水泳連盟(FINA)の内部文書を、オーストラリア紙が7月半ばにスクープしていたからだ。

事実ならこれだけで十分、厳罰の対象となる。FINAが孫を警告で済ませたのは極めて不可解である。報道の真偽、処分の詳細について、FINAは明確に公表すべきである。

世界反ドーピング機関(WADA)は処分が不当として、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てを行った。9月に審理が行われる見通しといい、裁定によっては世界水泳のタイトル剥奪や、永久追放の可能性を指摘する海外メディアもある。孫の弁護士も公聴会を開くことを求めたという。疑念を晴らす責任が本人にあることは言うまでもない。

孫は14年にも禁止薬物の興奮剤が検出されたとして、3カ月の出場停止処分を受けた。今大会で見せたライバルらの不快感、拒絶反応は、むしろ当然だろう。

日本の競泳界も、傍観者であってはならない。

世界選手権の結果は各国の代表選考の重要な資料になる。孫が制した200メートル自由形では、松元克央(かつひろ)が2位に入った。金メダルなら東京五輪代表に内定していただけに、日本水連も真相究明を強く求めるべきではないのか。

ロシアの国ぐるみのドーピングをめぐっては、国際オリンピック委員会(IOC)の弱腰が物議を醸した。今回のFINAの対応といい、統括組織による感度の鈍さが目に余る。

最善の備えは事前摘発だ。東京五輪を台無しにしないためにも、疑いのある選手や国に対して、日本は監視を緩めてはならない。
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[毎日新聞] 高校野球の投手起用 夢つぶさぬ手立て探ろう (2019年07月30日)

全国高校野球選手権岩手大会の決勝で、超高校級として注目される3年生の佐々木朗希投手を起用せずに、大船渡が敗れた。

佐々木投手は初戦の2回戦から準決勝まで9日間で4試合435球を投げていた。決勝で登板すれば今大会初の連投となった。さらに当日は最高気温30度を超す暑さだった。

登板間隔が空いていないことと気温の高さから、国保陽平監督は「3年間で最も壊れる可能性が高い」と起用を見送った。甲子園出場を目前にしながらの難しい決断である。

同校には、なぜ登板させなかったのかとの批判が寄せられた。はつらつと甲子園でプレーする選手を応援したい人も多かったのだろう。

ただ、佐々木投手を入学以来最も近くで見続けてきた国保監督が「故障を防ぐため」と下した決断だ。尊重したい。

プロ野球界や高校球界の元指導者からも登板回避に疑問の声は上がっている。その中には、苦しい時の経験が将来の糧となるという精神論も見受けられる。

体力、技術力とともに精神力はスポーツに不可欠な要素である。過去には苦境にも投げ続けて甲子園を沸かせた投手はいる。

だからといって、同じような境遇でのプレーを今、佐々木投手に求める必要もなかろう。「スポ根」の風潮が残っていないだろうか。

さらに、こうした批判は監督の裁量や選択の幅を狭める圧力となりかねない。選手の酷使、けがへとつながっていくことを懸念する。

高校球界では、投手の肩や肘の負担を軽減する取り組みが進む。日本高校野球連盟による有識者会議は、全国大会で一定期間の投球数に制限を掛けることを決めた。

一方で、球数制限にとどまらず、日程の見直しを求める声もある。ゆとりある日程はけがの予防策として有効だ。

夏の沖縄大会は、週末を中心とした日程を組む。土日に連戦となっても前の試合との間隔が空いているため負担は少ない。こうした例を他の地域は参考にしてほしい。

選手の健康を守り、かつ、悔いなくプレーしたいと望む選手の夢を支えるための制度設計に知恵を出し合っていきたい。
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[毎日新聞] 米軍機事故ガイドライン 地位協定改定見すえたい (2019年07月30日)

米軍の航空機が基地外で事故を起こした場合の対応を定めた日米ガイドラインが改正された。事故現場への日本側の立ち入りが「迅速かつ早期」に行われると明記された。

これで実際に運用が改善されるのなら一歩前進と言えるだろう。ただし、米側の同意を必要とする規定が残されたままだ。実効性が担保されるのか、疑念は拭えない。

沖縄県の玉城デニー知事は「一定の評価」をしながらも「現場において速やかな立ち入りが可能なのか注視する必要がある」と指摘した。

改正のきっかけとなったのは2017年、同県東村の民間牧草地に米軍ヘリが不時着、炎上した事故だった。日本側の立ち入りが認められたのは6日後で、米側が事故機とともに、有害物質で汚染された可能性のある土まで持ち去った後だった。

ひとたび事故が起きれば、国民の生命・財産に重大な被害が生じかねない。日本側が主体的に現場を検証し、原因究明と再発防止に取り組むのは当然だ。米軍任せにすることがあってはならない。

改正前のガイドラインは同県宜野湾市の市街地にある沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故(04年)の翌年に策定された。そのときも米側が事故現場を封鎖し、県が強く反発したのを受けたものだったが、米軍による立ち入り規制を追認する内容にとどまっていた。

米軍が民有地に規制線を張るのは、米軍に幅広い特権を認めた日米地位協定に基づき、米国の財産を保護する措置とされている。

それが日本側の財産権や捜査より優先される背景には、日本の国内法が駐留米軍に適用されないとの立場を政府がとってきた問題がある。

日本と同じく第二次大戦で敗れた側のドイツ、イタリアでは駐留米軍に国内法が適用される。事故時の対応だけでなく、普段の訓練も厳しい法的な規制を受けている。

独伊と比較し、訓練の規制もままならない日本の現状は明らかに不公平だ。騒音防止協定を結んでも運用は米側の裁量に委ねられ、制限されたはずの夜間・早朝や低空の飛行訓練に住民は苦しんでいる。

政府は新ガイドラインの運用徹底を図るとともに、その先に地位協定の見直しを見すえるべきだ。
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posted by (-@∀@) at 12:11| 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 高校野球 過密な日程を改められないか (2019年07月30日)

超高校級投手がマウンドに立てず、ベンチから涙で敗戦を見守った。胸を痛めたファンは多いことだろう。

全国高校野球選手権岩手県大会の決勝戦で、県立大船渡高校は、エースの佐々木朗希投手が登板せず、花巻東高校に12―2で敗れ、甲子園出場を逃した。4回戦で見せた160キロの剛速球は、披露されずに終わった。

監督は「故障を避けるため」と登板回避の理由を説明した。前日の準決勝で129球を投げるなど、今大会の球数が計4試合で、435球に達していたためだ。

佐々木投手は監督の配慮に感謝しつつ、「投げたい気持ちはあった」と胸中を明かした。異例の判断をした監督も、従った佐々木投手も苦しんだことだろう。

66チームの参加する岩手県大会で、大船渡は10日間で決勝戦を含む6試合を戦っている。投手という一選手に負担が集中する高校野球において、あまりに過密な試合日程ではないか。

主催者側は、球場や審判員を確保できる期間が限られると説明する。7月に行われる期末試験の後に試合を集中させるという事情もある。他の都府県でも準々決勝以降の日程が厳しくなりがちだ。

もう少し早く予選を始めて、試合間隔に余裕を持たせられれば、選手がけがをするリスクも減らせるだろう。北海道や沖縄県では、早期に開幕している。主催者側は高校側と協議して、日程の改善について検討してもらいたい。

甲子園大会では、投手の肩を守るための方策が、徐々に取られている。昨春の選抜で、延長十三回から無死一、二塁でプレーを始めるタイブレイクが導入された。

今夏の選手権大会から、準決勝と決勝の間に休養日ができる。これで投手の疲労回復に十分か。大会日程が長引くと、選手や応援生徒の滞在費用がかさむが、選手たちの体調を第一に考えたい。

日本高校野球連盟では、球数制限の議論も始まっている。

「1試合100球」を掲げた、新潟県高野連の問題提起が発端だった。ただ、球数制限には指導者や選手の反対意見も強い。

1試合で制限すると、ファウルを狙って球数を稼ぐなどの弊害が懸念される。投手を複数そろえられない学校は不利になる。このため、複数試合で球数の上限を設ける方向で検討が進んでいる。

日本高野連の有識者会議は11月末に結論を出す。夏に懸ける高校球児たちに悔いを残させないよう、知恵を絞ってほしい。

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[朝日新聞] 大学入試英語 受験生の不安に応えよ (2019年07月30日)

受験生を預かる先生たちの切羽詰まった訴えである。文部科学省は責任の重さをかみしめ、対応を急がねばならない。

今の高2生から新たに始まる大学入学共通テストに、英語の民間試験が導入されることをめぐり、全国高校長協会が「不安の解消」を申し入れた。

大学入試センターが認定した6団体7種の民間試験のうち、どれを受けるかを高校生自らが決める。来年4?12月の間に何度か行われる試験のうち、最大2回まで受験でき、その結果が合否判定の材料となる。

ところがその全体像がいまだ固まっていない。参加予定だったTOEICは今月になって撤退を表明した。受験生に大きな影響が及ぶ変更がある際は、2年前には予告するというのが、文科省自身が定めた原則だ。異常事態というほかない。

校長たちの指摘は多岐にわたる。全員が望みどおりの時期や場所で試験を受けられる見通しが依然立っていない▽「お試し受験」が何度もできるなど、地域や経済格差への対応が足りない▽採点方式をはじめ、試験が公平・公正に行われるか、不信が拭えない▽民間試験の活用方法を公表していない大学がある▽障害のある受験生への対応が団体によって異なる――。

問題を解消できないのなら実施を延期すべきだという声が、「相当数の」校長から上がったという。もっともな話だ。

民間試験に関しては他にも、異なる試験を受けた者の成績を公平に比較できるか、試験場の環境を平等に整えられるかなど多くの疑問がある。朝日新聞の社説は「対応策を検討し、場合によっては導入の先送りも覚悟すべきだ」と主張してきた。

「まったく先が見通せないほどの混乱状況」(校長協会)に至ったのは、国が受験生や保護者、高校・大学の心配を置き去りにして、改革ありきで拙速に事を進めたツケといえる。

拍車をかけているのが、現場の不安に真摯(しんし)に応えようという姿勢の欠如だ。昨年末に文科省はこれらの課題を検討するための組織を設けたが、議論は非公開で、ホームページなどを通じての情報発信も一切ない。理解しがたい対応だ。

進路指導が秋から本格化するため、協会は8月中の回答を求めている。文科省はすみやかに対策を講じて説明の場を設け、受験生や現場の動揺を収めるために全力を尽くす必要がある。

共通テストに対しては、国語の記述式問題についても採点の公平性や質の担保に懸念が出ている。なし崩しに実施に踏み切れば、共通テスト、ひいては大学入試制度全体の信頼が損なわれる。そのことを恐れる。
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[朝日新聞] 公立図書館 開かれた「知の宝庫」に (2019年07月30日)

静けさの中で本を読み、学び、調べる場所。図書館といえば、そんな単色の風景を思い浮かべることが多いだろう。

折からの財政難や人口減といった問題も抱えている。だがその中でも、創意工夫で彩り豊かに転じた図書館も少なくない。

最近の試みの一つは、施設の複合化だ。図書館を狭くとらえず、カフェ、子どもの遊び場、生涯学習スペースなどを併設する自治体が増えてきた。

神奈川県大和市の複合施設ができたのは約3年前。それまでの市立図書館と比べると10倍超の年間300万人が集まる。

ふつうの市民が講師になる講座が連日開かれる。「五街道踏破/東海道五十三次」「昭和30年代の大和」「ワインの楽しみ方」……。健康器具が置かれ、ラウンジも充実し、売りは「おひとりさまの居場所」だ。

人々の様々な課題の解決を支援する取り組みも目立つ。

先進地の一つが鳥取県だ。医療・健康関連の相談は、認知症予防の音読講座などとともに、利用が多い。就業・起業についても高額な資料をそろえ、外国との取引や新商品の開発に成功した人らを表彰する。

新たな役割に挑む図書館の実情や規模は多様だ。共通するのは、「知の宝庫」をより多くの人が憩い、出会い、つながる場として開くこと。先が見えない時代を生き抜く力に役立ててもらおう、との方向性である。

もっとも、全国約3300ある公立図書館の基盤は厳しい。日本図書館協会によると、この20年、図書館数は増えたのに、1館あたりの本や雑誌などの資料購入費は4割近く減り、専任の司書も半減している。

運営の問題も横たわる。民間業者が担い手となる指定管理者制度は全館の15%を超すまでに増えた一方、トラブルもあり、直営に戻る例もある。この6月の図書館法の改正で、所管も教育委員会から首長部局に移せることになったが、政治的な中立性などの点で懸念の声もある。

教育施設である図書館の意義を再確認することは重要だ。人々のニーズに目配りしながら、数だけで測れない多様な価値観をどう守り、知る権利を保障するか。行政トップはぜひ理念と覚悟を語ってもらいたい。

市民の側も、わが町の図書館づくりに目を向けたい。

全国で公開が広がる映画「ニューヨーク公共図書館」は、図書館が人種や宗教、性別、障害の有無を超えて、あらゆる人々の利用を歓迎する「民主主義の柱」だと伝えている。

公共とは何か。その問いを考え続けることは、何冊もの本を読み進んでいく喜びにも似た、創造的な機会になるだろう。
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