2019年05月31日

[東京新聞] 旧開智学校 教育の尊さ語る新国宝 (2019年05月31日)

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明治時代の初期に建てられた長野県松本市の旧開智(かいち)学校の校舎=写真=が、明治以降の学校建築では初めて国宝に指定される。先人が教育を尊び、熱意を傾けた歴史を今に語り継ぐ貴重な新国宝だ。

旧開智学校は、一八七六(明治九)年に完成した。幕末から明治に全国で流行した「擬洋風(ぎようふう)建築」で、木造の二階建て。中央の八角形の塔などハイカラな洋風建築の特徴とともに、竜の彫刻など和風の意匠も併せ持っている。

一九六一(昭和三十六)年に国の重要文化財となり、国の文化審議会は今月、国宝への格上げを柴山昌彦文部科学相に答申した。

この学校が誕生した背景には明治時代、開国を受けて海外列強の国力を目の当たりにした新政府が、軍備の拡大などの一方で教育の充実に力を入れたことがある。

一八七二(明治五)年に公布された学制は、すべての国民が教育を受けられることを眼目としていた。これを受けて全国で学校が次々と建設されたが、そのころは学区内の住民が資金を拠出するのが一般的だった。旧開智学校の場合、当時の金額で一万一千円余り、現在では一億円以上にもなる建築費の約七割を、住民約一万六千人で出し合ったと伝えられる。

教育に熱心な土地柄で、「学都」とも呼ばれる松本市。市内には八五(明治十八)年の建築で、同じく八角塔を持つ擬洋風の旧山辺学校校舎も現存している。

市内にはまた、天守が国宝に指定された五つの城のうちの一つ、松本城もある。これも明治時代、地元の住民たちが解体や倒壊の危機から守った貴重な史跡だ。

だが、武士階級の統治や戦闘の拠点だった城郭とは異なり、民主国家の基礎である識字をはじめ、一般国民への教育の場となった地域の学校を国宝に位置づけることは意義深いといえよう。

今年は「第二の開国」といわれる外国人労働者受け入れの拡大が実施された。夜間学校など働きつつ学べる仕組みや、日本語教育の充実が懸案となっている。

こうした今、先人が教育に費やした労力を伝えるためにも、各地の歴史ある学校建築への関心を高めていきたい。旧開智学校の国宝指定をそのきっかけにしたい。
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[東京新聞] 布川事件に賠償 再審でも証拠開示を (2019年05月31日)

再審無罪となった男性に対し、「国と県は賠償せよ」と東京地裁が命じた。一九六七年の布川事件(茨城)だ。検察に不利な証拠でも開示義務を指摘した点は大きい。再審でも同じルールが必要だ。

「母親が早く自白するように言っている」「被害者宅近くで目撃証言がある」−。取り調べでは事実と異なる供述の誘導があった。公判でも捜査官の偽証があった。検察官も証拠開示を拒否した。

損害賠償を認めた根拠には、警察・検察側の不公正の数々が積み重なっている。何より判決が証拠開示の在り方について、「裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白なものは、被告に有利か不利かを問わず法廷に出す義務がある」と述べた意義は大きい。

検察が合理的な理由がなく証拠開示を拒否することは、できないはずである。手持ち証拠は基本的にすべて法廷に出すという規範が働くことが期待される。万一、証拠隠しが発覚すれば、賠償義務が生じることになるからだ。

問題は再審のケースである。刑事訴訟法には、再審での証拠開示についての明文規定がない。検察側は再審では積極的に応じようとしない傾向があるし、訴訟指揮権も裁判官の裁量次第である。

日弁連は今月、再審での証拠開示が適切に行われるための意見書をまとめている。そこでは積極的な裁判官と消極的な裁判官の間で生じる「再審格差」の問題が指摘されている。つまり、喫緊に求められるのは、新たな証拠開示の法制化である。

布川事件が再審決定となったのは、無罪を示す新証拠が次々と出たからだ。犯行現場近くで目撃された人物は、この男性とは別人だという証言。殺害方法が供述と矛盾する鑑定書。さらに現場から採取された毛髪も男性のものとは異なっていた。指紋もなかった。

取り調べ段階で、自白した録音テープを音声分析したら、「重ねどり」の編集痕跡があった。問題なのは、これら検察に不利な証拠を検察自身が長く隠していたことだ。見逃せない。

近年の再審無罪のケースは、検察側の証拠開示が決め手になっている場合が多い。松橋事件(熊本)、東京電力女性社員殺害事件(東京)、東住吉事件(大阪)…。新証拠が確定判決をゆるがせ、無罪に導いている。

もはや全面的な証拠開示が必要なときだ。裁判員裁判の時代でもある。冤罪(えんざい)をこれ以上、生んではいけない。
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[産経新聞] 【主張】姓名ローマ字表記 首相官邸から範を垂れよ (2019年05月31日)

日本人の名前のローマ字の表記は、日本語通り「姓・名」の順で。河野太郎外相と柴山昌彦文部科学相が相次いでそう推奨した。長年染みついた欧米型「名・姓」の順で書く「国民の常識」は変わるだろうか。

両氏が発言したのは21日の記者会見だ。河野外相は、安倍晋三首相の名を例に「Abe Shinzo」と、「姓・名」の順で表記するよう海外報道機関に要請すると述べた。中国の習近平国家主席が「Xi(シー) Jinping(ジンピン)」と表記されるようにアジアの首脳は「姓・名」の順で定着している。

提唱は唐突なものではない。19年前の平成12年12月、当時の文部相の諮問機関・国語審議会がローマ字表記を日本式に「姓・名」の順にするよう答申していた。

名前の形式は文化や歴史を背景に成立しており、固有の形式を尊重して紹介、記述されることが望ましいという提言だ。柴山文科相はこれを踏まえ、「周知を図っていきたい」と述べた。文化庁が行政機関などに要望していく。

国語審の提言などを受け、現行の中学の英語教科書では日本人の名前の表記について「姓・名」順で教えられている。パスポートも「姓・名」の順だ。

ただし受け止め方はさまざまで、菅義偉官房長官は「これまでの慣行もあり、考慮すべき要素が多々ある」と慎重だった。

首相官邸ホームページ(HP)の英語版は「Shinzo ABE」と姓を大文字で目立たせているものの「名・姓」順のままだ。外務省HP英語版も「名・姓」の順である。「閣内、省内不一致」では、国民が混乱する。

大相撲夏場所の表彰式でトランプ米大統領は、優勝した朝乃山英樹の名を「Asanoyama Hideki」と読み上げた。東京五輪・パラリンピックで日本選手が「姓・名」で紹介されれば、その定着が進むかもしれない。

言葉の違いを乗り越えて交流する機会は多くなっている。そこでは相互に伝統文化への理解が欠かせない。自国文化を軽視し、安易に相手の土俵にのぼることは、その妨げになると懸念する語学教育の専門家もいる。

国旗、国歌に背を向けるような自虐史観、領土について腰がひけた姿勢は侮られ、国際的信用も失う。呼称の変更は、真の国際性を考える契機ともなるはずだ。
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[産経新聞] 【主張】国民投票法改正案 会期延長して成立を図れ (2019年05月31日)

憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の今国会成立が、極めて困難な状況になった。

与党は30日の衆院憲法審査会での質疑、採決を提案したが、立憲民主党など主要野党が応じないためだ。同日の審査会開催も見送られた。

今のカタツムリのような歩みでは、6月26日までの国会会期内に参院まで通過する見通しは立たない。与党は日本維新の会など憲法改正に前向きな野党と協力して、会期を延長してでも成立を図るべきだ。定例日以外の審議も当然である。

改正案は駅や商業施設への「共通投票所」の設置や、水産高校実習生に洋上投票を認めるなどの7項目で、平成28年の公選法改正の内容を反映させるものだ。

国民投票は憲法第96条に定められており、主権者国民にとって重要な権利だ。一人でも多くの国民が投票できる仕組みを整えることは、国会と政府の責務である。

改正案は昨年6月に国会提出されたが、審議は先送りにされ続けた。3国会目となる今国会でも成立できなければ、与野党は職務怠慢のそしりを免れない。

最大の責任は、長く審議に応じてこなかった立憲民主にある。国民投票法で認められているCMの規制強化を求めており、同党の枝野幸男代表らを参考人として招致しなければ、改正案の質疑、採決を認めないという立場だ。

CM規制強化を持ち出し、3年も前の公選法改正を反映させる国民投票法改正案の質疑、採決を妨げることは、極めておかしい。

立憲民主などは参院選で共産党と共闘する。憲法改正に反対し、国民投票法の制定さえ必要ないとしてきた共産党との協力に、同法改正案の採決容認が不利に働くとする計算があるとすれば、党利党略の極みである。

与党は、CM規制の議論を拒んでいない。改正案の採決後に討議すればいい。

ただし、CM規制論は疑問だ。立憲民主などは改憲賛成派が資金力に物を言わせ反対派を圧倒する量の宣伝を行う、という想定に立つ。いかにも極論ではないか。

節度を超えるCMには視聴者はむしろ反感を持つだろう。

国民投票法は投票日の14日も前から賛否を勧誘するCMを禁止しており、さらなる規制強化は過剰だろう。国民の知る権利に関わる問題である。
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[毎日新聞] ドローン人気と規制 国は利用者啓発にも力を (2019年05月31日)



 小型無人機(ドローン)の人気に伴い、事故やトラブルの報告が増えている。違法飛行の摘発は昨年82件と2年で2・3倍になった。背景には、利用者の間で規制が十分理解されていない問題があるようだ。




 ドローンは誰でも購入ができ、免許なしで操縦できる。鳥になった気分で空からの景色を楽しんだり撮影したりできるため、個人の間でも人気が高まっている。



 ドローンの国内利用者数は不明だが、国の許可が必要な飛行の申請をした件数が昨年度、2年前の3倍近くになっており、利用の急増をうかがうことができる。



 ところが、安全やテロ対策のために導入された規制への理解は十分進んでいない。特に外国人観光客が飛行禁止区域内で飛ばして問題になる事例が増えているという。



 ドローンの飛行に関しては、住宅密集地(人口集中地区)や夜間の飛行を原則禁じた航空法がある。国会議事堂など国の重要施設をテロから守るため、小型無人機等飛行禁止法(ドローン規制法)も制定された。



 だが、実際にどこで飛ばせるのか、どのような行為が違法となるのかがわかりづらく、具体的な中身の伝え方に課題がありそうだ。



 例えば東京都の23区内は全て人口集中地区となっているため、無許可でドローンの飛行はできない。ところが実際は、公園など広々とした場所なら飛行できると誤解している人が少なくないようだ。周知の方法にもっと工夫ができないか。政府は積極的な啓発を心がけるべきだ。



 まずは、外国人が到着する空港や港で運営会社と協力し、日本のドローン規制に関する情報提供に力を入れる必要がある。英政府が今年、大手小売店と連携して始めたドローン規制の周知活動など海外の事例も参考になりそうだ。



 ドローンは個人の趣味による飛行のほか、広大な農地の管理や人命救助など活用範囲が広い。今後は物品輸送など産業利用の可能性も広がりそうだ。技術やサービスの発展段階に応じたルール作りが求められる。



 ただルールだけがどんどん進み、利用者が取り残されるようでは困る。政府はなぜ個々のルールが必要なのかまで利用者に理解してもらえるよう、努力を怠ってはならない。

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[毎日新聞] 中道退潮の欧州議会選 統合に多様な民意反映を (2019年05月31日)



 第二次世界大戦後に「非戦の誓い」から産声を上げた欧州統合の歩みが足踏みする事態は避けられた。




 欧州連合(EU)に加盟する28カ国で計751人の議員を選ぶ欧州議会選があり、統合推進派が3分の2の議席数を維持した。



 だが、政治地図は様変わりした。EUをけん引してきた中道右派と中道左派の伝統政党が過半数を割った。1979年に直接選挙制となって以来初めての出来事だ。



 「加盟国の主権回復」などを求める反EU勢力がフランスやイタリアで勝利し、英国ではEUからの早期離脱を訴える新興の「ブレグジット党」が第1党になった。



 しかし、EUの存在意義が否定されたわけではない。離脱を巡る英国の混乱が「反面教師」となり、事前世論調査でEUの支持率は6割超に上った。その結果、反EU勢力の議席増は事前予想を下回った。



 顕著になったのは、多党化だ。移民流入や地球温暖化、自由貿易などグローバル化時代の問題への対応が新旧各党の明暗を分けた。



 移民排斥を掲げる右翼政党は有権者の不安をあおって勢力を広げ、環境政党やリベラル派は若年層へのアピールが奏功して飛躍した。伝統政党は対応能力を欠くと判断された。



 EUでは長年、欧州委員会のエリート官僚が政策立案で決定的な役割を果たし、加盟国民の意思が反映されにくい、「民主主義の赤字」と呼ばれる弊害が指摘されてきた。



 「赤字削減」のため、市民代表である欧州議会の権限が強化されたことが、今回の高投票率につながった面もある。支持が分散した選挙結果は、多様な民意の反映と言える。



 課題は、政治の分極化が進む中、いかに意見集約を図るかだろう。



 今秋の次期欧州委員長選びを巡っては早くも独仏が対立している。辞任するメイ英首相の後任に離脱強硬派が就けば、「合意なき離脱」の恐れが高まる。団結が必要だ。



 意思決定に手間取り、EUが機能不全に陥ってはならない。市民のための政策を実行できなければ、統合への支持が揺らぎかねない。



 「自国第一主義」が広まるトランプ時代、EUの掲げる自由と多様性の価値観は重要だ。欧州の「壮大な実験」が後戻りしないよう望む。

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[読売新聞] ルノー・FCA 競争激化がもたらした再編劇 (2019年05月31日)

世界のクルマ業界では次世代技術の開発競争が激化している。それを象徴する再編劇である。

欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、仏ルノーに対等な形での経営統合を申し入れた。事実上の合併を想定している。

実現すれば、日産自動車と三菱自動車を含めて年間販売台数が1500万台を超え、世界最大の自動車連合が誕生する。

ルノーとFCAは自動運転技術や電動化で出遅れている。巨額の研究開発費を賄うため、規模拡大が必要だと判断したのだろう。

FCAは部品の共通化などで年間50億ユーロ(約6100億円)の統合効果が見込めると試算する。世界的な合従連衡が再び加速するきっかけになるかもしれない。

無論、経営基盤が大きくなっただけでは競争力は高まらない。

両社は地元の欧州でさえ主力ブランドの販売が伸び悩む。成長が見込めるアジアでも独フォルクスワーゲンなどに遠く及ばない。魅力あるクルマ作りに加え、販売戦略の立て直しが重要になる。

ルノー筆頭株主のフランス政府は合併新会社に出資を続ける。イタリア政府が対抗して、新会社の株式を取得する可能性がある。

FCA株の3割弱を持つフィアット創業家の影響力が強まるとの見方が出ている。新会社の株主構成も焦点の一つになりそうだ。

注目されるのは、ルノーが4割超を出資する日産への影響である。日産・三菱自・ルノーの3社連合の枠組みがどのようになるか、現時点では見通せない。

ルノーが検討する日産との経営統合構想は、当面棚上げになるとみられる。しかし、新会社が誕生すれば経営規模で日産を上回り、ルノー側の発言力が高まる公算が大きい。いずれ統合圧力を強めてくるのではないか。

日産は、2社の合併交渉にもできるだけ関与し、自らの意向を反映させていくことが望ましい。

FCAと日産は主力の北米事業では競合相手になる。調整すべき課題も多いはずだ。

日産がグループ内で存在感を示すためにも、収益力の回復を急がねばならない。日産は電気自動車(EV)の開発で先行している。技術面での強みを生かした、したたかな戦略が求められる。

自動車関連産業の就業者数は国内で500万人を超える。日産は、その一翼を担う企業として、高水準の製造・開発技術や、生産拠点の維持に努めてもらいたい。

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[読売新聞] 就職氷河期世代 雇用安定へ官民連携で支援を (2019年05月31日)

バブル崩壊後の経済低迷期に社会へ出た世代には、今も不安定な就労にとどまる人が目立つ。官民が連携して対策を急がなければならない。

いわゆる就職氷河期世代の雇用安定へ向けた支援プランを、厚生労働省が公表した。職業訓練や採用企業への助成金の拡充を掲げた。政府は今後3年間を集中取り組み期間と位置づける。

1993?2004年ごろに就職活動をした氷河期世代は1700万人に上る。今は30歳代半ばから40歳代半ばで、そのうち約400万人が非正規雇用や無職だ。

経済情勢の好転に伴い、新卒の就職状況は改善したが、就職氷河期に安定した仕事に就けなかった人は、多くが取り残された。低収入のため家庭も持てず、将来に不安を抱く人も少なくない。

こうした人たちの救済に政府が乗り出すのは意義がある。緩やかな景気回復が続き、企業業績は底堅い。採用側にとっても、受け入れやすい時期と言える。

氷河期世代が老後に入る40年ごろには、65歳以上人口が最多になる。現状のままでは困窮する高齢者が急増して、生活保護費などが膨れあがり、社会保障財政が立ちゆかなくなる恐れがある。このような事態は避けねばならない。

プランは、行政と経済団体などが連携して支援する枠組み作りを打ち出した。行政側は支援対象者が希望する職場体験や実習の内容を取りまとめる。経済団体は傘下企業に対し、求人募集や就職面接会の実施を呼びかける。

建設、運輸業など人手不足の業界団体を通じ、就職に結びつく資格を短期間で取得する訓練コースを設けることも提言している。

円滑な採用につなげるには、産業界のニーズに合う職業訓練を拡充することが大切だ。実効性あるメニューを揃(そろ)えてもらいたい。

氷河期世代には、長期にわたって無職の人やひきこもり状態の人もいる。生活リズムや対人関係に問題を抱える場合、直ちに正社員を目指すのは容易ではない。

それぞれに応じた社会参加と自立の在り方を工夫し、後押しする必要がある。若者の就労サポート機関や生活困窮者支援の窓口が一体となって取り組むべきだ。

非正規労働者の老後所得を充実させることも欠かせない。

正社員と異なり、パートなどの多くは厚生年金から除外され、基礎年金しか受け取れない。厚生年金の適用範囲のさらなる拡大は、来年に予定される次期年金改正の重要な検討テーマである。

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[朝日新聞] NHK同時配信 改革と理念を示さねば (2019年05月31日)

「公共メディア」とは何か。民間でも国営でもない「公共」の番組とは何か。すぐ答えが思い浮かぶ人は少ないだろう。

残念ながら、当のNHKからも腑(ふ)に落ちる説明が聞こえてこない。予算などを承認する国会での論議も低調なままだ。

そんななかで、改正放送法が成立した。NHKによるインターネットでの常時同時配信が認められることになった。

放映中のテレビ番組をパソコンやスマートフォンでも見られる。東京五輪・パラリンピックに間に合うよう、今年度中の開始をめざすという。

ネットの役割が飛躍的に増す時代だ。大切な情報や教養、娯楽をもたらす番組が電波だけでなく、ネットでも視聴できることは暮らしの向上に資する。

ただ、NHKは受信料を徴収して成りたつ組織だ。その役割と規模について、不断の論議と国民の理解が欠かせない。ネットに本格進出するうえでの使命と理念が、広く理解できる形で定義づけられるべきだ。

常時同時配信の方針は約10年前に打ち出されていた。曲折をたどった背景には、放送界に広がる財政事情の格差がある。

民放の広告収入は頭打ちの一方、NHKの収入は今や7千億円を超す。同時配信でNHKが独走すれば、民放とNHKが共存して多元的な価値を提供する機能が損なわれかねない。

そのため、NHKはネットを「放送の補完業務」と位置づけたうえ、受信料の値下げも決めた。だがそれでも、肥大化の懸念を拭うにはほど遠い。

地上波・衛星放送に4K・8Kも加わったテレビの電波をどう整理するのか、ネット配信の予算規模をどう制限するか、受信料体系をどう見直すか――そうした喫緊の改革をめぐる答えはまだ示されていない。

放送・通信の融合に向けた制度設計の詳細はこれからだが、前提となるのは何よりも番組への視聴者の信頼である。

NHKの政権との距離については、批判が絶えない。森友問題、米軍普天間飛行場移設の報道での問題が指摘されたほか、先月は政権寄りとされる専務理事の復帰が物議を醸した。

2人の経営委員が採決を棄権する異例の事態となったが、上田良一会長は「適材適所」と型どおりの説明に終始した。視聴者の疑問に誠実に答えようとしない姿勢は、それこそ公共性にそぐわない。

ネット空間では、無限に飛び交う情報の信頼性が担保されていない。NHKにとどまらず、報道に携わるメディアは改めてネット上でも「自主自律」「正確」「公平・公正」の原則を肝に銘じる必要がある。
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[朝日新聞] たばこ規制 法の不備を埋めながら (2019年05月31日)

受動喫煙の防止を目的とする改正健康増進法の全面施行まで1年を切った。まずこの7月に学校や病院、行政機関が原則として敷地内禁煙となり、続いて来年4月から飲食店や職場などでの規制が始まる。

もとは今秋のラグビーW杯前の実施をめざしたが、自民党内の調整が難航し、法の成立が大幅に遅れた。結果として東京五輪直前の施行となる。混乱を招かないよう、早め早めの周知と準備に努めたい。

もっとも改正法には欠陥がある。個人や中小企業が営む既存の小規模飲食店が、規制対象から外れてしまったのだ。多くの人が利用する場所であり、すみやかな見直しが必要だ。

救いは、法の不備を補おうとする自治体独自の取り組みだ。

東京都では、経営規模などにかかわらず、従業員のいる店では喫煙室以外を禁煙とする条例が来春施行される。千葉市も同旨の条例を制定した。たばこ規制枠組み条約が求める「屋内全面禁煙」には届かないものの、前進であるのは間違いない。

愛知県豊橋市は、国の対策では別扱いになった加熱式たばこを、紙巻きたばこと同様とする条例を設けた。加熱式でも、吸った人が吐く息に有毒物質が含まれるとの報告がある。「公の場所での使用は認められない」とする学会の見解を踏まえ、今回の措置に踏みきった。

民間の動きも見逃せない。ファミリーレストランを展開する「すかいらーくホールディングス」は9月から、グループの全3千店余の敷地を全面禁煙にする。いまある喫煙ブースは、おむつ交換や授乳に利用できるスペースに改装するという。

ただし、吸える場所をなくしてもなお課題は残る。

ある大学が敷地内を禁煙にしたところ、校門付近や路上でたばこを吸う人が増え、住民から苦情が寄せられた。こうしたトラブルを防ぐため、改正法で認められている「人が通常立ち入らない場所」に、わざわざ喫煙所を新設した大学もある。

京都府亀岡市では駅周辺での路上喫煙を禁止する代わりに、煙が漏れにくいタイプの喫煙所をつくる方針を決めた。ところが、その費用として計上された400万円の予算額をめぐって賛否が巻きおこった。

たばこをやめたい人をサポートしつつ、受動喫煙による健康被害をなくすためのコストを、誰が、どう負担するのか。喫煙者は採用しないという企業や大学もある。「喫煙の自由」をどうとらえ、どこまでの介入ならば許されると考えるか。

きょうから禁煙週間が始まる。議論を深め、社会の合意点を見いだしていく必要がある。
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2019年05月30日

[東京新聞] EU懐疑派 伸長すれど「出口」なし (2019年05月30日)

欧州議会選で欧州連合(EU)懐疑派が伸長した。しかし、EU不信をあおる懐疑派の主張からは、将来へのビジョンは全く見えない。EU離脱で立ち往生する英国の轍(てつ)を踏んではなるまい。

欧州議会は、閣僚理事会と共同での立法権や欧州委員らの承認権を持つ。定数七五一で、加盟全二十八カ国ごとに選挙を実施した。

親EUの中道右派、中道左派の二大勢力の合計議席が初めて半数を割り込む一方で、緑の党や新興リベラルなどが躍進し、親EU派が議会の主導権を握る状況に変わりはない。

しかし、欧州議会でEU懐疑派が三割を超えるのは初めてだ。フランスの極右「国民連合」、イタリアの極右「同盟」はともに国内第一党に躍進。ドイツでは反移民・反EUの右派「ドイツのための選択肢」が票を伸ばした。

EU離脱を決めながらも実現できないままの英国も、今回の選挙に参加した。新造の離脱党が英国配分議席の約三割を獲得し、メイ首相の与党、保守党に20ポイント以上の差をつけた。

「人々の勝利」「権力を取り戻す」「欧州は変わらなければならない」。勝利宣言したEU懐疑派の文句は威勢がいい。

しかし、三年前を思い起こしてほしい。当時、英国独立党党首だったファラージ離脱党党首らが移民の脅威などをあおり、国民投票では離脱支持が多数を占めた。

しかし、離脱の手順、紛争再燃の恐れもある英領北アイルランドの国境管理など入り口の問題にすら解決策が見いだせず、三月末だった離脱期限を十月末まで延期。メイ首相は退陣表明に追い込まれた。展望もなく、「合意なき離脱」が国際社会に不安を広げる。

EUへの不満として、「民主主義の赤字」が指摘される。同質な「欧州国民」なくして民意は存在しないという。官僚らが決定するEUではなく、主権国家である加盟国のほうに正当性がある、とのEU懐疑派の主張だ。

加盟国とEUは本来、対立するものではない。各国が領土や秩序の保全、EUが金融政策などの権限を持つ一方で、産業、環境、エネルギーなど地域の安定に関わる権限の多くは各国とEUが共有する。このバランスを具体的に考えていくことが、EUへの不満解消につながるのではないか。

欧州議会選は各国の政治動向にも影響する。離脱の夢を振りまいた英国は苦闘している。EU懐疑を乗り越える欧州の良識を望む。
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[東京新聞] 日米安保体制 一体化の度が過ぎる (2019年05月30日)

トランプ米大統領の四日間にわたる日本訪問。安倍晋三首相は日米「同盟」関係の緊密さをアピールしたが、自衛隊と米軍の軍事的一体化の度が過ぎれば、専守防衛の憲法九条を逸脱する。

大統領の日本での最後の日程は海上自衛隊横須賀基地(神奈川県横須賀市)に停泊中のヘリコプター搭載型護衛艦「かが」を、首相とともに視察することだった。

海自や米海軍の隊員ら約五百人を前に訓示した大統領は「日米両国の軍隊は、世界中で一緒に訓練し、活動している」と述べた。まるで自衛隊があらゆる地域に派遣され、米軍と一緒に戦っているかのような口ぶりだ。

トランプ氏の目に、自衛隊がそう映ったとしても無理はない。

歴代内閣は、戦争放棄と戦力不保持の憲法九条の下、専守防衛に徹し、節度ある防衛力整備に努めてきたが、安倍内閣は、違憲とされてきた「集団的自衛権の行使」を一転可能としたり、専守防衛逸脱の恐れありとして保有してこなかった航空母艦や長距離巡航ミサイルを持とうとしているからだ。

「かが」は全長二百四十八メートル。通常はヘリコプターを載せる「いずも」型の二番艦だが、政府は昨年、「いずも」型を改修し、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを運用する方針を閣議決定した。

米空母ロナルド・レーガン(全長三百三十三メートル)や、中国の遼寧(同三百五メートル)などと比べれば小型だが、事実上の空母化である。

専守防衛の逸脱が指摘される状況での「かが」乗艦には、中国けん制の狙いに加え、事実上の空母化や、一機百億円以上という高額な米国製戦闘機の大量購入を既成事実化する意図もあるのだろう。

不安定さが残る東アジア情勢を考えれば、日米安全保障条約に基づいて米軍がこの地域に警察力として展開することは当面認めざるを得ないとしても、自衛隊が憲法を逸脱してまで米軍と軍事的に一体化していいわけはない。

安倍内閣は米国製の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入も進めるが、配備候補地である秋田、山口両県の地元住民から、強力な電磁波による健康被害や攻撃対象になることを心配する声が上がる。沖縄県民の過重な米軍基地負担も深刻だ。

高額な米国製武器の大量購入によるのではなく、専守防衛という日本の国家戦略への国際理解を求め、また基地負担に苦しむ住民の思いに応えてこそ、真に緊密な関係と言えるのではないか。
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[産経新聞] 【主張】旧優生法違憲判決 謝罪と救済から逃げるな (2019年05月30日)

旧優生保護法下の強制不妊手術をめぐり国に損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は旧法を「違憲で無効」と判断する一方、手術から20年以上が経過して原告らの損賠請求権は消滅したとして、賠償請求は棄却した。

強制手術は、不良な子孫の出生防止という優生思想により、法の名の下で全国的に行われた。憲法13条は国民一人一人が幸福を追求し、その生きがいが最大限尊重されることを保障している。出生を望む者の幸福を一方的に奪う根拠法となった旧優生保護法が13条のうたう「幸福追求権」に反するものであることは明らかだろう。

違憲判決の意味は大きい。政府や、昭和23年に与野党全会一致で同法を成立させた国会は、違憲判断を受け入れるべきである。

過去の過ちを改むるにはばかることなかれ。

平成13年にはハンセン病罹患(りかん)者の隔離政策をめぐる損賠訴訟(熊本地裁)で、当時の小泉純一郎首相が原告勝訴の1審判決を受け入れ、国による謝罪と補償につながった前例もある。

一方で、強制手術から20年以上がたっているとして除斥期間の規定から賠償請求を棄却した。

「除斥」は法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度で、原則として当事者の事情は斟酌(しんしゃく)されない。純粋な法解釈としては妥当といえる。

ただし、それで救済の責務が消えるわけではない。

4月には、強制不妊手術の被害者に一時金320万円を支給する救済法が成立した。

その前文には「我々(われわれ)はそれぞれの立場において真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と記されたが、国の責任は明記されず、憲法判断は避けている。安倍晋三首相と根本匠厚生労働相もそれぞれ反省とおわびの談話を発表したが、文言はほぼ同一だった。

320万円の金額にも不満は強い。国からの個別通知はなく、被害者側からの申告制のため、救済から多くの被害者が漏れる可能性も指摘されている。

旧優生保護法が悪法であった事実は明白である。首相らがおわびの談話を発表しながら、同種の損賠訴訟は各地の地裁で続く。極めて分かりにくく映る。

謝罪と救済から逃げず、まず救済法を見直すべきではないか。
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[産経新聞] 【主張】欧州議会選挙 多様性ふまえ統合深化を (2019年05月30日)

欧州連合(EU)の統合を深化させていくための歩みは、かろうじて維持されそうである。

欧州議会選挙は、EU拡大に懐疑的なポピュリズム(大衆迎合主義)政党が伸長した。

議会安定を支えてきた親EUの中道系2大会派は、初めて過半数を割り込んだ。リベラル派と緑の党を合わせて多数派を確保した形である。

EUの分断が深まれば、これに乗じてロシアと中国が影響力拡大を図ろうとするだろう。世界経済にも悪影響を及ぼしかねない。

これを避けるためにも、選挙結果に表れた域内諸国の不満を真摯(しんし)に受け止め、結束を取り戻せるよう知恵を絞ってもらいたい。

フランスでは、ルペン党首の極右「国民連合」が与党を下した。イタリアではサルビーニ内相が率いる「同盟」が第1党に躍進し、英国では早期離脱を公約とする「離脱党」が得票率約32%でトップとなった。いずれも移民の受け入れや格差拡大への不満を吸収したことが追い風となった。

中東やアフリカから流入した移民への反発は、その経路となるイタリアやスペインなどの地中海沿岸や東欧諸国で特に強い。治安が悪化し、雇用を奪われるという懸念が高まっているためだ。

EUは経済に始まり、外交や安全保障、司法・警察などで段階的に共通性を高めてきた。加盟国は28カ国に増えた。西欧や旧共産圏諸国など経済体制や社会が異なる国々が集まっているため、所得格差や政策目標の違いも目立ち、統合深化を難しくさせている。

特に顕著なのが、債務危機の震源となったギリシャやスペインなどの南欧諸国と、経済力のある仏独との南北問題である。多くのシリア移民が流入したポーランドやハンガリーなどの東欧諸国が、その扱いをめぐって西欧諸国に反発した東西問題もある。

これらの構造問題に対し、粘り強く打開策を模索することが統合深化の前提となろう。

各国の多様性をふまえず、これを縛る共通政策を急げば、かえって遠心力が働き、ポピュリズム勢力が拡大しかねない。

日本にとってEUは、民主主義や法の支配などの価値観を共有する重要な存在である。経済連携協定(EPA)も発効し、経済のつながりも強まった。分断が進まぬよう連携を深めていきたい。
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[毎日新聞] 広がる衆参同日選論 風に浮つく国会を戒める (2019年05月30日)

夏の参院選に合わせて安倍晋三首相が今の通常国会で衆院を解散し、衆参同日選に踏み切るのではないかとの見方が政界に広がっている。

衆院議員の任期は2021年秋まで。その直前に安倍首相の自民党総裁としての任期も来る。どうせそれまでに衆院選を行うのなら、景気後退が心配される今年10月の消費増税後や来夏の東京五輪後よりも、今、同日選を行った方が政権には得策だ??。そんな声が自民党内に強まっているからだ。

仮に同日選となれば衆院に小選挙区比例代表並立制が導入されて以来初めてとなる。しかし異例の同日選まで実施して国民の信を問う緊急性や必要性が今あるだろうか。


2院の役割は異なる
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実際に自民党から聞こえてくるのは、有権者は二の次で「ここで勝てば首相は自民党総裁4選の可能性が出てくる」といった声ばかりだ。

与野党ともに解散風にあおられて関心が同日選に集中し、国会の審議はおろそかになっている。国民にとってはその影響の方がはるかにマイナスではないだろうか。

麻生太郎副総理兼財務相は4月末、今後の景気の見通しを踏まえ「衆院選をやるなら今年夏以外にない」と首相に同日選を進言したという。

菅義偉官房長官も、野党が国会会期末に内閣不信任決議案を提出した場合には、安倍首相が衆院解散・総選挙によって国民に信を問う理由になるとの考えを示した。政権中枢のこうした言動が同日選論が拡大する要因となっている。

首相は政権に返り咲いた後、2度衆院を解散した。14年は消費増税を延期する方針転換が理由だった。17年は消費増税分を社会保障だけでなく教育無償化などにも充てると唐突に発案し、それを理由とした。

今回も消費税を絡めて同日選の大義名分に使うのではないかとの臆測が消えないのはそのためだ。

加えて17年の総選挙では、首相は少子高齢化や、当時続いていた北朝鮮の核開発とミサイル発射の危機を強調して、「国難突破」のための解散だとも語った。

確かに2度とも自民党は勝利した。だが17年に力説した「国難」はその後どうなったのか。首相はそれを総括もせずに、次々と目新しい政策を看板に掲げて政権維持を図ってきた。やはり2度の解散に大義は乏しかったということだろう。

衆参同日選は過去、1980年と86年に行われた。いずれも自民党が大勝し、同日選は議員の個人後援会と業界団体の組織力を生かせる自民党が有利だと言われてきた。

ただし、そもそも参院は衆院の足らざる点を補い、行き過ぎを防ぐという独自の役割が求められているはずだ。衆院を解散して同日選になった場合、国会には参院の半数しか議員が残らない問題もある。別々に選挙をするのが本来の姿である。

しかも小選挙区制の導入以降、衆院選は有権者が政権を選択する選挙であり、参院選は次の衆院選の前に政権の現状を有権者が評価する中間選挙だと認識されてきている。

同日選はその中間評価の機会を省いてしまう。中選挙区制時代と違い、衆院も有権者は2票を投じる。衆参で微妙に違う投票を同時にする複雑さを強いることになる。


まず予算委員会を開け
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自民党の二階俊博幹事長は「参院のための衆院解散はあり得ない」と語った。その通りだろう。ところが有利になりそうだという理由で自民党の参院側にも同日選を期待する声がある。参院の独自性と存在意義を自ら否定しているようなものだ。

立憲民主党など野党も準備不足を見透かされたくないのか、「同日選を受けて立つ」と勇ましいが、自民党の党利党略と言える同日選論をまず、戒めるべきではないのか。

日米貿易交渉やロシアとの北方領土交渉。首相が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と前提なしで会談したいと言い出した拉致問題。なお「緩やかに回復している」という政府の景気判断等々、課題は多い。

深刻な人口減少問題に関する議論も欠けている。森友・加計問題も解明はされたとは言えず、政府の統計不正問題では、不適切事例がさらに明らかになっているのが実態だ。

こうした課題に対応するため、まずは今国会で久しく開かれていない衆参両院の予算委員会を早急に開くべきだ。解散風に浮ついている場合ではない。国会の役割をきちんと果たすよう強く求める。
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[読売新聞] 欧州議会選 EUの信頼回復は道半ばだ (2019年05月30日)

欧州連合(EU)の欧州議会選挙が行われ、親EU勢力が過半数を維持した。「自国第一」を志向するEU懐疑派は伸び悩み、議席の約3割を獲得するにとどまった。

これでEUが結束を取り戻し、安定に向かうとは楽観できない。難民、治安問題や域内の経済格差など、喫緊の課題で具体的な成果を上げ、信頼を回復していくことが求められる。

欧州議会は、EUの立法機関の一つだ。各国の人口比に合わせて議席が配分され、各議員は国を横断した会派を作って活動する。

フランスでは、マクロン大統領の与党「共和国前進」とルペン氏率いる極右「国民連合」が第1党の座を激しく争い、「国民連合」がわずかに上回った。

マクロン氏は、ユーロ圏の共通予算創設など、意欲的なEU改革構想を打ち出してきた。国内ですら、幅広い支持を得られないようでは、欧州統合推進を呼びかけても説得力に欠ける。

経済停滞に悩むイタリアでは、昨年政権入りした極右「同盟」が圧勝した。財政問題などを巡るEUとの対立をアピールする戦術が功を奏した。「反EU」の浸透は、深刻な事態である。

EU懐疑派の政党が各国で一定の勢力を保ち、あつれきを引き起こす状況は今後も続くだろう。

これまで欧州議会を主導してきた中道の左右両派は退潮し、リベラル派と環境派が伸びた。親EU勢力の多極化に伴い、合意形成が困難になることが懸念される。

当面の焦点は、秋に退任するユンカー欧州委員長の後任人事だ。中道右派勢力が推すドイツ人候補に対し、マクロン氏らは経験不足として反対している。欧州中央銀行(ECB)総裁人事と合わせ、円滑な調整が必要だ。

5年前の前回選挙では、欧州財政・金融危機の拡大を許したEUの不手際に乗じて、EU懐疑派が躍進した。その勢いにひとまずブレーキがかかったのは、EU離脱を巡る英国の混乱で有権者の危機感が強まったからではないか。

投票率は約51%で、前回に比べて8ポイントも増えた。1979年の第1回選挙以来、低下が続いていたが、初めて反転した。

最近の世論調査では、自国がEUに加盟していることを「利益になっている」と評価する意見は、7割近くに上る。

多くの有権者が、今回の選挙の意義を真摯(しんし)にとらえ、1票を投じた。それが、穏当な結果につながったと言えよう。

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[読売新聞] 川崎殺傷事件 凶行から子供をどう守るか (2019年05月30日)

悲惨な事件に胸がつぶれる。子供を守る方策を探らねばならない。

川崎市多摩区の住宅街で、スクールバスを待っていた小学生ら19人が刃物で刺された。保護者の男性と、6年生女児の計2人が亡くなった。1分足らずの凶行の後、容疑者の男(51)は現場で自殺した。

男は児童の列の背後から、無言で刃物を振り回してきた。児童の多くは低学年で、敏捷(びんしょう)に逃げるのも難しかった。卑劣な手口に怒りを禁じ得ない。

スクールバスの乗り場に並ぶ子供の列は、都市部では見慣れた風景だ。今回の事件を知って、背筋を凍らせた保護者や学校関係者は少なくないだろう。

学校は容疑者に心当たりがなく、通り魔的な犯行とみられる。男が所持していた複数の刃物からは、強い殺意がうかがえる。

予兆はなかったのか。なぜこの場所が狙われたのか。容疑者は死亡しているが、警察は動機や、凶行に至る経緯を出来る限り解明すべきだ。捜査結果を何らかの形で公表し、社会全体で教訓をくみ取れるようにしてほしい。

現場にいた数十人の児童は、凄惨(せいさん)な光景を目の当たりにした。心の傷が心配だ。小学校では、系列の中高からカウンセラーの派遣を受けてケアに当たる。支援チームを送る神奈川県や川崎市は、全力で学校を支えてもらいたい。

事件を受けて、安倍首相は関係閣僚に登下校の安全対策の徹底を指示した。ただ、犯罪者から子供を守り抜くのは容易ではない。

学校の安全対策自体は、大阪教育大付属池田小学校で2001年に起きた児童殺傷事件以降、強化された。100%近い学校が学校安全計画を策定し、防犯カメラの設置が進んだ。侵入者への対応訓練も行われるようになった。

通学路の安全は度々問題になっている。一昨年、千葉県松戸市で、登校中のベトナム国籍の小学女児が殺害された。昨年5月にも新潟市で下校中の女児が犠牲になり、文部科学省は改めて、学校に通学路の点検を求めていた。

登下校の安全対策の基本は、子供を一人にしないことだ。集団登下校やスクールバスの活用は子供を守る手段だった。ところが今回は、バスを待つ集団が襲われた。想定外の事態と言うほかない。

子供の集合場所には、教員に加えて警備員を配置するなど、地道な努力を重ねる必要がある。

不審者の情報などを、学校と警察が共有し、犯罪の未然防止につなげることも求められる。

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[朝日新聞] 欧州議会選挙 足元見つめ統合堅持を (2019年05月30日)

欧州の統合が揺さぶられる事態は、何とか避けられた。再び推進の流れを取りもどすには、さまざまな格差へのきめ細かい取り組みが欠かせない。

欧州連合(EU)の立法機関である「欧州議会」の選挙があった。加盟28カ国で5年ごとに行われ、今回は特にEUそのものの信認が問われた。

EUの支持派は、3分の2の勢力を守る見込みだ。EU懐疑派で、移民の排斥などを掲げる右派は議席を増やしたが、事前の予想ほどは伸びなかった。

皮肉にも支持派に追い風となったのは、EU離脱をめぐる英国の混迷だった。「人々は離脱の現実を知り、投票先を決めている」。トゥスクEU首脳会議常任議長は、そう安堵(あんど)した。

実際、投票率は5割を超え、この20年間で最高だった。特に投票率が上がったドイツやデンマークなどで懐疑派が伸び悩んだのは、英国を背景にした危機感の表れだったのだろう。

だが、難局が去ったわけではない。債務危機や難民の流入、テロなど相次ぐ難題を経て、統合に異議を唱える訴えは一定の広がりを見せている。

今回、イタリアで第1党に躍進した右翼政党「同盟」の党首は語った。「EUのルールは何十年間も、官僚と銀行家のためにあった。それを変えるための仲間は至る所にいる」

そうした主張がなぜ民衆の間に共鳴するのか、EUと各国の指導者は考えねばなるまい。

経済大国ドイツとギリシャやイタリアなどの間で広がる国家間格差。ドイツやフランスの国内でも高まる経済階層の不満。そうした平等・公正をめぐる政治の目配り不足が、反移民・反EU感情に結びついている。

それでも欧州議会が今年行った世論調査では、域内の7割近くが「EU加盟によって自分の国は利益を得ている」と答え、1983年以来で最高だった。問題は、その利益の分配であろう。拡大路線を走ってきたEUは少し立ち止まり、しっかり足元を見つめる時だ。

今回の選挙では、EUへの賛否を超えた潮流も見せつけた。中道の既成政党が沈む一方、新興右派のみならず、緑の党などの左派も伸びるという世論の分極化がめだった。

英国の二大政党の退潮や米国のトランプ現象などが示すように、既存の政治は各地で逆風を浴びている。細分化する民意をすくい取る難しさは、ネット時代の世界共通の課題だ。

国境の垣根をなくすという壮大な実験に挑んでいる欧州は、古くから政治思想の先進地でもあった。寛容で持続可能な社会づくりへ向けて、これからも範を垂れる姿を期待したい。
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[朝日新聞] 布川事件賠償 「証拠隠し」の罪深さ (2019年05月30日)

1967年に茨城県で起きた強盗殺人事件「布川事件」で無期懲役刑が確定し、2011年に再審無罪となった男性が賠償を求めた裁判で、東京地裁が注目すべき判決を言い渡した。

捜査や公判を担った警察と検察に違法行為があったとして、県と国に計7600万円余の支払いを命じたのだ。

地裁は、警察は男性にうその事実を突きつけて自白に追い込み、検察は男性に有利な証拠を開示しないまま公判を進めて、有罪判決を得たと認定した。

いずれも許し難い行いだが、とりわけ証拠隠しがこのような形で断罪されたのは異例だ。

元の刑事裁判では、被害者宅近くで男性を目撃したなどとする証言が、有罪を支える柱となった。だが捜査の初期段階ではそうした話は出ておらず、証言の信用性を疑わせる捜査報告書などがあったのに、検察は公判で明らかにしなかった。

地裁はこの行動を厳しく批判した。検察官は「公益の代表者」として真相を明らかにする職責があり、重要な証拠は有利不利を問わずに、法廷に提出する義務を負うと指摘。特に弁護側から具体的な開示の申し立てがあった場合は、合理的な理由がない限り、応じなければならないと述べた。

当時と異なり、いまは裁判員制度の導入に伴い、捜査側が持つ証拠のリストが弁護側に示されるなど、開示の仕組みは相当整備された。しかし、その対象にならない事件も多い。

今回、東京地裁が検察官のあるべき姿を説き、これに反すれば賠償責任が問われると宣告した意義は大きい。過去の話だと片づけず、検察官一人ひとりがえりを正す必要がある。

一方で判決には、納得できない箇所もある。

男性が再審請求した後も、検察は証拠開示に非協力な態度をとり続けたが、判決は「協力する職務上の法的義務はない」と述べ、免責してしまった。

2度目の請求で裁判のやり直しが決まるまでに、男性は26年の歳月を要した。この事実を地裁はどう受け止めたうえで判断したのか。公益の代表者としての責務が、再審段階では軽減される理由などないはずだ。

最高検は11年、郵便不正事件をめぐる証拠改ざんへの反省に立ち、「有罪そのものを目的としてはならない」などとうたう「検察の理念」を策定した。捜査、公判、再審すべての局面で忘れてはならない姿勢だ。

あわせて、この理念を具現化するルールの整備も急がれる。再審における当事者の権利や義務、証拠の取り扱いをはっきりさせる法律の制定を、政府・国会にあらためて求める。
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2019年05月29日

[東京新聞] 強制不妊は違憲 人生踏みにじる罪深さ (2019年05月29日)

障害を理由に不妊手術を強制された−。非人道的な旧優生保護法を仙台地裁は「違憲」と認めつつ、原告の賠償の求めは退けた。無念だろう。人生を踏みにじられた人には誠実な救済を急ぐべきだ。

国家の罪と呼んでもいいほどだ。一九四八年に施行された同法は、超党派の議員による議員立法だった。「不良な子孫の出生を防ぐ」目的で、遺伝性疾患や精神障害の人に本人の同意がなくても不妊手術ができる内容だった。

手術を受けた障害者らは約二万五千人、このうち実に約一万六千五百人は本人の同意がなかった。被害の賠償を求め、東京、静岡など計七つの地裁で起こされている裁判でもある。

法の根にある優生思想により、子どもを産み育てたいという希望は踏みにじられた。幸福追求権も無視されたのだ。だから、仙台地裁が「幸福の可能性を一方的に奪い去り、個人の尊厳を踏みにじるもので、誠に悲惨」と述べ、同法を「違憲」としたのは当然だ。

だが、原告の求めを退けたのは納得いかない。損害賠償の請求権が消える除斥期間(二十年)を既に経過したという。不妊手術からも、法改正の九六年からも…。だが、原告にその期間に訴訟を起こすことは現実的にできたのか。

あまりに杓子定規(しゃくしじょうぎ)な考え方ではないか。苦しんでいる人に寄り添わない判決は、冷酷である。確かに国会は今年、救済法をつくり、政府が一人三百二十万円の一時金を支給するとした。「おわび」の首相の談話も発表された。

それでおしまいならば、障害者だけが大きな犠牲を背負うことになる。最も重い責任は、非人道的な法をつくった立法府、問題を知りつつ放置してきた行政にあるはずである。例えば旧厚生省は四九年の通知で、公益目的があり、「憲法の精神に背くものではない」とも見解を示していた。

行政の責任が明確化されず、司法から追及されないのはおかしい。政府自身、責任をもっと自覚すべきであろう。このままでは真の救済にも謝罪にも遠い。被害者が求める賠償額とも開きがある。手術後に体調不良に苦しんだり、結婚の機会を奪われた人もいる。被害は時間を経ても積み重なっていると考えるべきだ。

手術の資料などは廃棄されたり、証言できる家族が死亡している実態もある。早く被害の全体像を明確にし、血の通う救済に全力を挙げねば個人の尊厳は回復されない。
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