2019年03月31日

[産経新聞] 【主張】日産の経営体制 実効性の高い企業統治を (2019年03月31日)

会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告による事件を受け、同社が設置した特別委員会が経営監督機能の強化を求める提言をまとめた。

権限が集中した会長職を廃止し、社外取締役を中心に経営を監督する「指名委員会等設置会社」への早期移行を促した。

経営トップによる暴走を防ぐためには、企業統治の強化は当然である。そうした取り組みは、日産に対する支配力を強めようとする仏政府やルノーに対抗することにもつながろう。

ただ、形式的に企業統治体制を整えるだけでは意味がない。監督機関として取締役会の実効性を高めることが何よりも求められる。日産として進化した企業統治の姿をみせてほしい。

特別委が重視したのは、経営における執行と監督の分離だ。業務執行の責任は最高経営責任者(CEO)が担い、経営全体の監督は取締役会議長が総括する。この分担を明確にするため、外部から起用する社外取締役を取締役会議長に充てるように求めた。

指名委員会等設置会社に移行すれば、社外取締役が取締役会の中核を担う経営体制となる。外部の目による経営監視を徹底するためにも、特別委の提言は妥当である。日産は提言にもとづいた経営体制を早期に構築すべきだ。

留意が必要なのは、組織の形ばかりを整えても、その内実が伴わなければ、求められる役割を果たせないことである。企業統治の強化を目指し、いち早く指名委員会等設置会社に移行した東芝も不正会計は防げなかった。

経営監視の機能を高めるためには、社外取締役にどのような人材を起用するかが重要だ。経営トップに苦言を呈し、取締役会にも厳しく注文できるような社外取締役が欠かせない。日産はそうした視点で人選してもらいたい。

今回の提言が、ゴーン被告の不正を許した西川広人社長ら現経営陣の責任に言及しなかったのは物足りない。特別委は企業統治の改善策を検討するのが目的だというが、経営者の不正を防ぐという役割を果たせなかった取締役会の責任は極めて重大である。

完成検査で相次いだ不正を含め、同社の法令順守が厳しく問われている。会社再生のためにもそのことを忘れてはならない。
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[産経新聞] 【主張】小学校の英語 過熱化で国語軽視招くな (2019年03月31日)

先生たちが慌てて英会話教室に通っても間に合わない。来年4月から小学校5、6年生で正式教科となる英語の教科書検定が初めて行われ、その内容が公表された。

英単語600?700語程度が盛り込まれ、学ぶ会話もかなりハイレベルだ。これを十分教えられる小学校教員はどれだけいるだろうか。

指導態勢など実際の授業への懸念は拭えない。英語に気を取られ、国語力の育成がおろそかになっては元も子もない。

現在、英語に親しむ「外国語活動」の授業が週1コマある。新学習指導要領でそれを3、4年生に早め、5、6年生では教科として週2コマ行う。

「聞く」「話す」を中心に英語に慣れ親しむことに加え、「書く」「読む」を含めた4技能をバランス良く学ぶねらいだ。教科書検定もこれを踏まえて行われ、7社が申請して合格した。

教科書は日常場面を想定した会話を中心に、身の回りの単語をイラスト付きで紹介し、音声教材を活用するなど配慮がされている。一方で「What do you want to be?」と、何になりたいかを聞いて職業や夢を語る会話などもあり、かなり高度な内容も含まれる。

外国語指導助手(ALT)らを活用するにしても、基本的に学級担任が指導にあたるから、教科化に不安を抱える教員も少なくないようだ。素人が素人を教えて英語は身につくだろうか。

国際化の中で就職に有利などとして幼少のころから英会話教室などに通わせる親の「英語熱」は高く、学校教育への求めも多い。

しかし早くから学べば英語ができるようになると考えるのは安易だ。英語を日々使う環境がなければ、すぐに忘れて身につかないことは専門家も指摘してきた。

教科化で中学受験に英語を導入する私立が増えるなど、早期化が過熱する悪循環に陥れば、英語に親しんで好きになるという本来の趣旨も損なわれよう。

確かに幼児期から小学校にかけては言語吸収力が高いとされる。だが国語の基礎が形成される大切な時期であることを忘れてはならない。国語力が思考を支え、理系を含め、あらゆる知的活動の基礎であることはこれまでも指摘してきた。小学校で重視すべきは英語より国語である。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 鼓腹撃壌とはいかない (2019年03月31日)

自分の生活に政治なんて関係ない−。無論、そんなはずはないのですが、このごろ社会で一層、そういう気分が強まっている感じを受けます。

実際、統一地方選では後半も含めて無投票がまたぐんと増えそうですし、低投票率の記録更新が心配される選挙もそこかしこに。そういう懸念は当然、今夏の参院選にも共通します。

ふと、思い浮かんだのは、『十八史略』などにある<鼓腹撃壌(こふくげきじょう)>の故事です。


◆イメージとの落差
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尭(ぎょう)という王帝が、うまく国を治められているのか気になり、変装して街に出てみた。すると、一人のじいさんが食べ物を頬張り、腹鼓を打ち(鼓腹)ながら、足で地面を踏みならし(撃壌)調子を取って、こんなふうに歌っている。

日が昇れば働いて、日が沈んだら休む/井戸を掘って水を飲み、田を耕してものを食う/帝の力なんて、何か自分に関係あるか、いや、ないね

帝への悪口のようですが、さにあらず。それどころか帝は安堵(あんど)する。民は政(まつりごと)を意識することなく幸せな暮らしを謳歌(おうか)している、これぞ善政、というわけです。

日本の現状にも、いいところは多くあります。が、呑気(のんき)に<鼓腹撃壌>できるほどかというと大い

に疑問。実は思っているほどではない、イメージはそうだが実は…ということ、案外ある気がします。

最近、国連関連団体が発表した「幸福度ランキング」。日本は百五十六カ国中五十八位でした。評価に使われた六つの指標には疑問のあるものもあり、額面通り受け取る必要はないのですが、正直、「え、そんなに下位?」と思われた方もありましょう。

指標の一つが「国民一人当たりGDP」。これは二十四位でした。上位には北欧諸国などが並び、近くではオーストラリアも日本より上。主要七カ国(G7)では、日本より下位はフランス、イタリアだけです。政治はともかく経済は一流、世界に冠たる経済大国−。そんなイメージとは少しギャップを感じませんか。もちろん、それだけが国の豊かさを測る数字ではないのですが。


◆経済、格差、環境、安全
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経済関連では、こんなデータもあります。いわゆる「相対的貧困率」。経済協力開発機構(OECD)によれば、日本は三十八カ国中、よい方から数えて二十九位という低位です。格差を示す「収入不平等指数」でも、平等の方から数えて二十六位…。比較的平等で格差の少ない国。そんなイメージともかなり落差があります。

何となくいい印象、という点では日本経済の現状もしかりです。減速懸念は出ているものの、一見まずまず順調。最も分かりやすい指標は、日経平均二万円超の水準が続く株価でしょうか。

しかし、実は株は、アベノミクスの名の下、上場投資信託(ETF)という形で、日銀によって買い支えられています。昨年の買い入れ額は六兆五千億円以上。ETF保有残高は約二十四兆円に達し、日銀が実質的に大株主という会社も増えています。

主要国はどこもやっていないという荒業。専門家は知らず、素人目には“粉飾”にしか見えません。大量に売れば株価は大きく下げるから、売ろうにも売れないのでは? 第一、もし暴落したら?

あるエコノミストが本紙でこう言っています。「取得額から三割余り株価が下がれば、日銀の自己資本はほぼなくなる。常に爆弾を抱えているようなものだ」

ならば経済以外、例えば、「環境」はどうでしょう。

あの公害克服の経験もあって、日本は「環境先進国」というイメージも私たちは持っています。しかし、原発に拘泥するうち、再生可能エネルギーへの取り組みでは他国に完全に出遅れ、導入量の将来目標でも、ドイツなど欧州諸国の水準とは相当な差が。地球温暖化防止でも、国際的環境団体などからは、しばしば「化石」扱いされています。

では、「食品の安全性」は? 日本の規制は厳しいと思われがちですが、最近、厚生労働省は「ゲノム編集」食品の多くについて、厳格な安全性審査を求めず、国へ届け出れば販売OK、という報告書をまとめました。でも、例えば欧州連合の司法裁判所はもっと厳しい判断を示しているようです。


◆政を監視していかないと
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どうも、漠然と思われているほど、この国は豊かでも平等でも安心でも先進的でもないのかもしれません。私たちには、「政治なんか自分の生活に関係ない」と、腹鼓を打ち歌い踊っている余裕などないということでしょう。むしろ政をしっかり意識し、監視していかないと。まずは、統一選、参院選で、確かな一票を。
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[毎日新聞] 就労外国人 新制度あすスタート 日本社会が変わる転換点 (2019年03月31日)

外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が、あす施行される。

昨年12月に成立したこの法律は、細部を詰め切れず生煮えだった。その後3カ月余しかたっていないため、政府の準備不足は明らかだ。

それでも専門職以外の外国人は受け入れないという従来方針の大転換である。そのインパクトは大きい。

背景にあるのは、少子高齢化と人口減少が同時に進行する日本の構造変化だ。

国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年国勢調査で1億2700万人の人口は、半世紀後の65年、8800万人と推計される。

さらに、65歳以上の高齢化率は15年の26・6%から、65年には38・4%に上昇する。長寿化を反映した人口構成となり、元気で働ける層は割合、絶対人数とも減る。


技能実習の反省生かせ
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国内の働き手が細る中で社会の活力をどう維持するのか。外国人労働者の受け入れ拡大は、行き着くべくして行き着いた道と言える。

国会審議では、政府から「深刻な人手不足を補うため」との説明が繰り返された。ただし経済の論理だけで新制度をとらえるべきではない。

安い賃金で都合よく労働力を使おうとすれば、この政策転換は早晩、頓挫するに違いない。実習とは名ばかりの技能実習生が置かれてきた低賃金、長時間労働の現実は、失踪の多発など社会にひずみを生んだ。その反省を生かさねばならない。

受け入れ企業の意識改革が欠かせない。また、労働者としてだけでなく、生活者として日本人と同等の権利を認め、必要な支援をすべきだ。

送り出し国はベトナムやフィリピン、カンボジアなど9カ国程度とみられている。それぞれ独自の文化を持つ。日本の民族的同質性にこだわれば、摩擦が生じる。異なる歴史を持つ国の文化を認める多様性ある社会を築くことが大切だ。

振り返れば、日本の植民地政策に由来する在日韓国・朝鮮人の人たちは、長年不安定な在留資格の下にあった。日本で暮らさざるを得なかった人たちに対し、政策的な配慮を欠いてきた歴史がある。

こうして体系的な外国人政策を持たないままに、日本が当面の人手不足対策として踏み切ったのが、日系人を対象にした1990年の入管法改正である。

バブル期のジャパンマネーを目当てにブラジルなどから最盛期で30万人以上が来日した。だが、政府は住宅や社会保障、日本語習得や教育など共生策に責任を負うことはなく、対応は自治体に委ねられた。

この結果、義務教育の就学年齢に当たるのに日本の学校にも外国人学校にも通わない不就学児が多数存在することが今社会問題化している。


都市集中防ぐ手立てを
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日本に暮らしながら日本語がほとんど話せない子どもは社会に適応できず、働き先も限られる。その子どもが結婚し、子どもを持つ時代だ。社会の安定のためにも、同じことを繰り返してはならない。

打開のお手本は先進自治体にある。90年代に日系ブラジル人の子どもが急増した浜松市は、非営利組織(NPO)などの協力を得ながら、能力に応じたきめ細かい日本語指導を展開し、「不就学児ゼロ」に近い実績を上げている。こうした取り組みを全国に広げていくべきだ。

「日本語教育推進法案」が今国会に議員立法で提出される見通しだ。今国会で成立させ、外国人支援に生かしたい。政府が600時間以上の語学教育を保障しているドイツのような制度の導入を目指すべきだ。

働き手世代の人口減少が著しい地方の方が新制度への期待は高い。ただし、都市とは賃金格差がある。

同一職種内の転職が可能なため、地方の企業に雇われた労働者が、一定期間後に都市の企業に移ることも予想される。調整のため業界ごとの協議会ができるが、まずは地方企業が待遇の底上げを図る必要がある。

移民の受け入れを巡り世界各地で議論が続いているように、多文化共生社会の実現は容易ではない。

日本社会に必要なのは、文化の違いをありのまま受け止め、それを認める寛容さだ。共同体のメンバーとしてともに暮らし、地域社会を作っていく覚悟が求められる。

国際的な人材争奪戦は今後、激しさを増す。外国人労働者から、働きやすく住みやすいと思われる国にならなければ、日本社会の活力は維持できなくなる。
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[読売新聞] キトラ国宝へ 修復の成果を活用し継承を (2019年03月31日)

かけがえのない文化遺産を国民の宝として、いかに活用し、後世へ伝えるか。国は自治体や専門家とも連携を深め、知恵を絞ってもらいたい。

奈良県明日香村の国特別史跡キトラ古墳(7世紀末?8世紀初め)の極彩色壁画が、国宝に指定される見通しとなった。

石室内の壁に描かれた青龍、白虎、朱雀、玄武の四神図が全て消滅せずに残っている。天井の天文図は東アジアで最古のものだ。

国内で見つかった古墳の極彩色壁画は、同村の高松塚古墳の国宝壁画と合わせ、2例しかない。

大陸から伝来した様々な技術が生んだ、飛鳥時代の優れた文化を今に伝える。古代絵画史を研究する上で欠かせない史料である。国宝指定は当然だろう。

1983年に発見され、後に壁画が剥落(はくらく)しかけていることが判明した。文化庁は2004年、漆喰(しっくい)ごと取り出して保存する方針を決定した。厚さ数ミリの漆喰を、1100片以上に分けて、専門の技術者らがはぎ取り、修復した。

12年をも費やし、完了にこぎ着けたのは、関係者の熟練の技と根気の賜物(たまもの)と言える。

再構成した壁や天井は、古墳そばの保管・公開施設に移された。原寸大の石室模型が設けられ、既に10万人が観覧した。実物の壁画も定期公開している。

古墳を間近に感じつつ、その価値や保存技術などを知る。文化財の理想的な活用例である。

国宝指定によって、壁画への関心は一層高まる。より多くの人々に、文化財の重要性を再認識してもらうことが大切になろう。

村内では、高松塚古墳の壁画修復も約1年後に終わる。杜撰(ずさん)な管理から石室内にカビが発生し、07年に石室を解体して墳丘から取り出した。キトラと同様、当面、別施設で保存・公開する方針だ。

奈良県や地元自治体は、キトラと高松塚の両古墳を始めとする、一帯の遺跡や寺跡の世界遺産登録を目指している。07年に国の暫定リストに掲載された。登録には、壁画を現地に戻して、元のまま保存しなければならない。

遺跡は、墳丘や石室、壁画を一体で残す現地保存が原則である。ただ、新たなカビの発生など、懸念が払拭(ふっしょく)できない現状では、慎重な対応が必要となる。

キトラ壁画の修復では、難題が持ち上がる度、新たな手法や技術が工夫された。科学的なデータも蓄積された。得難い知見を生かしつつ、将来的な保存の在り方について議論を深めるべきだ。
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[朝日新聞] 森友検審議決 疑念直視し捜査尽くせ (2019年03月31日)

「検証がなされていない」「社会的常識を逸脱した行為」「言語道断」……。

くじで選ばれた市民の代表が、こんな疑問や不信、怒りを込めた議決をした。検察は真摯(しんし)に受け止め、再捜査を尽くさねばならない。

学校法人森友学園への国有地売却や財務省の関連文書改ざんをめぐる問題で、大阪地検特捜部が不起訴処分とした佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長ら10人について、大阪第一検察審査会が「不起訴不当」と議決した。

地中のゴミ撤去費として鑑定価格から8億円余、8割超も値引きしたのは妥当なのか。検察は「業者による見積額は不合理とはいえない」としたが、審査会の議決は「利害関係のない他の業者などの意見を参考に、客観性のある試算を行うなど捜査を尽くすべきだ」と指摘した。

売却への政治家秘書らの関与についても、不起訴記録にある証拠だけでは影響の有無は判断しがたいと言及し、さらなる解明を求めた。

一方、安倍首相の妻昭恵氏らの名前が削除された決裁文書の改ざんに関しては、社会的常識を逸脱していると厳しく非難。「原本が証明していた内容が変わってしまった」として変造だと結論づけ、罪に問わなかった検察と異なる見解を示した。財務省が廃棄した学園側との交渉記録についても、検察の「公用文書とは認められない」との判断を否定した。

いずれも、一般的な市民感覚に沿った内容と言えるだろう。

行政の公平性がゆがめられたのではないか。国民を代表する国会の審議が、うその資料と答弁に基づいて重ねられたのではないか。審査会の議決には、そんな民主主義への危機感がうかがえる。

今回の議決は、強制起訴につながる「起訴相当」ではなく、検察が再び不起訴とすれば捜査は終わる。一方で、議決は「公開の法廷で事実関係を明らかにすべく起訴する意義は大きい」とも付言した。市民の代表が事実を知ることを願い、説明責任を果たすよう求めたことを、検察は重く受け止めるべきだ。

そのメッセージは、国会にも向けられている。

統一地方選が始まり、国会はすっかり選挙モードともいう。しかし、森友問題をうやむやにしたままでは、行政を監視する役割を国会が十分に果たしていないのではないか、との疑問符は消えない。

森友問題は、民主主義の根幹にかかわる。関係者はそのことを思い起こさねばならない。
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[朝日新聞] 入管法施行 拙速のツケを回すな (2019年03月31日)

外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が、あす施行される。

政府・与党が昨秋の臨時国会で強引に成立させた法律だ。当時から準備が間に合うのかとの声が多かったが、その懸念が現実のものになってしまった。

例えば、外国人を募り、送り出してくる国外の仲介業者の問題だ。政府は、新設された「特定技能」の資格で働く人が多数見込まれる9カ国と、悪質業者を排除するための協定を結ぶと表明していた。だが締結に至ったのは4カ国にとどまる。

法外な保証金や渡航費を業者に徴収され、借金を抱えて来日した結果、勤務先で不当な扱いを受けても働き続けざるをえない――。そんな人権侵害行為がこれまでもまかり通ってきた。根絶に向けて態勢を整えることは喫緊の課題である。

在留手続きや生活全般の相談に応じる「ワンストップセンター」の創設も心もとない。支援策の目玉のひとつとして、全国に約100カ所に設ける計画だが、国に運営交付金を申請したのは62自治体だけだ。

今後も募集するというが、穴のあいた状態をいつまでも続けるわけにはいかない。

外国人を単なる労働力ではなく「人」として受け入れる。この基本姿勢を欠いていたことを改めて突きつける調査結果が、法務省から公表された。

職場から姿を消し、後に見つかった技能実習生5218人を調べたところ、約15%にあたる759人が、最低賃金割れや不当な残業、外出制限などの扱いを受けていたという。

臨時国会で同省が示した資料に誤りや不備が目立ち、やり直しを求められていたものだ。なお全体を網羅したものとは言えないが、これほど多くの問題事例が発覚したことを、政府は真剣に受け止めねばならない。

驚くのは、失踪の事実を把握してもそのままにして、実習先の職場環境などをほとんど調べてこなかった法務省の対応だ。外国人を取り締まりの対象としてしか見てこなかったことを、如実に物語っている。

同省入国管理局は出入国在留管理庁に格上げされ、職員も増える。「管理」の意識を根底から変え、労働基準監督署や自治体と連携して「保護・共生」の視点から業務に取り組まなければ、働き先として日本を選ぶ外国人は減るばかりだろう。

従来の政策に対する反省抜きに、受け入れ拡大を拙速に進めたツケを、外国人に回すことは何としても避けなければならない。政府には重い責任がある。
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[読売新聞] 南西諸島防衛 部隊常駐で対処能力を高めよ (2019年03月31日)

中国が「海洋強国」を掲げ、急速な軍拡や威圧的な活動を繰り広げている以上、南西諸島の防衛力を中長期的に強化することが肝要である。

陸上自衛隊が、鹿児島県の奄美大島と沖縄県の宮古島に新たな駐屯地を開設した。

奄美大島に地対空、地対艦のミサイル部隊と警備隊の550人、宮古島に警備隊380人を常駐させる。2016年の沖縄・与那国島への沿岸監視隊配備に続き、態勢を拡充するものだ。

全長1200キロ・メートルに及ぶ南西諸島では、長年、陸自が沖縄本島にしかおらず、安全保障上の「空白地帯」とされていた。抑止力を高める意義は大きい。

政府が12年に沖縄・尖閣諸島を国有化して以降、中国公船が周辺海域での活動を活発化させたことが、一連の措置の背景にある。

中国は公表ベースで日本の防衛費の4倍近い軍事予算を有し、空母建造や戦闘機開発を進める。

南西諸島周辺での中国軍の動向には、警戒を怠れない。海軍が、沖縄本島と宮古島を結ぶ宮古海峡を通過する事態が常態化している。中国軍機に対する航空自衛隊の緊急発進も増加した。

新たに配備されるミサイル部隊は、島に近づく他国軍艦船などをけん制する効果を持とう。

防衛省は、石垣島でも駐屯地の建設に着手したが、地元には反対論がある。陸自の存在は、災害時の迅速な対応にもつながる。住民に部隊配備の意義を訴え、理解を求めることが欠かせない。

陸海空3自衛隊で最多の14万人を抱える陸自は、南西対応を重視し、戦力の移行を進める。機動的な部隊運用を可能にすべきだ。

離島奪回を目的に、長崎県の駐屯地に昨年新設された陸自の水陸機動団は、移動手段に想定した輸送機オスプレイの導入が遅れ、当面の活動領域は限られる。海自と協力し、輸送や指揮系統を確立することが必要である。

3自衛隊の統合運用を進めるとともに、米軍と訓練を重ね、対処能力を高めることが重要だ。

護衛艦「いずも」を改修し、戦闘機の運用を可能にするのは、離島防衛が念頭にある。警戒監視能力の高いイージス艦や、空自のステルス機の増強など、装備の充実も着実に進めねばならない。

武装した外国漁民らの離島への上陸など、武力攻撃と判断できないグレーゾーン事態への対応も課題だ。自衛隊は、領海を警備する海上保安庁や、警察などと連携を密にすることが求められる。
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2019年03月30日

[東京新聞] ゴラン高原 弱肉強食を許すのか (2019年03月30日)

武力による領土拡張を容認すれば、ルールに依拠する国際秩序は崩壊する。トランプ米大統領がゴラン高原に対するイスラエルの主権を認めた。世界を弱肉強食の時代に逆戻りさせてはならない。

イスラエルは一九六七年の第三次中東戦争で、戦略拠点のゴラン高原をシリアから奪い、占領を続けている。

国連安保理はイスラエルに撤退と返還を要求し、八一年にイスラエルが併合を宣言した時も、無効決議を採択した。イスラエルの横紙破りを許さない国際社会の足並みは米国も含めてそろっていた。

それをトランプ氏は乱した。ネタニヤフ・イスラエル首相も同席する中で二十五日、イスラエルの主権を認める宣言に署名した。

トランプ氏は昨年、エルサレムをイスラエルの首都と認めて在イスラエル大使館を移転させた。これに続くイスラエルへの一方的な肩入れである。再選を目指す来年の大統領選をにらんで、親イスラエルのキリスト教福音派の支持を取り付ける狙いがあるのだろう。

加えて、蜜月関係にあるネタニヤフ氏への側面支援でもある。ネタニヤフ氏は四月に総選挙を控えるが、汚職容疑がかかる苦しい立場だ。

一方、アラブ世界はイスラエル主権の承認に反発している。両者の間の摩擦が高まり、中東を一段と不安定化させかねない。

選挙対策が外交政策を乗っ取ることで生じるひずみは、深い禍根を残す。

九四年の中間選挙に大敗し、大統領再選に危機感を抱いたクリントン氏は、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を進めた。ポーランド系をはじめ東欧系移民の支持狙いだった。

こじれにこじれた今の米ロ関係の根底には、東方拡大がある。

北朝鮮制裁決議の順守を他国に求める一方で、都合の悪い安保理決議は無視する。こんな身勝手な米国を誰が信用するだろうか。

ロシアのクリミア併合を認めない従来の立場との整合性もとれない。

米ロが一方的に現状変更に踏み切ったり、容認したりすることは、法の支配をないがしろにするものだ。まねする動きも出てくるだろう。そのつけはいずれ米国にも回ってくる。

目先の利益にとらわれるトランプ流は、米国にもプラスにならないことを米国民は理解してほしいし、世界は決して認めないだろう。
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[産経新聞] 【主張】虐待緊急調査 幼い命守る手を緩めるな (2019年03月30日)

家庭での虐待に苦しむ子供を救うには、親から引き離すしかない。命の危険にさらされている子供の多さを改めて知り、がくぜんとする。

幼い命を守る手を緩めてはならない。

厚生労働省と文部科学省の合同プロジェクトチームが実施した児童虐待の緊急安全確認の結果が公表された。

児童相談所が在宅で指導している全ての虐待事案のうち、35人の所在を確認できず、144人を一時保護し、26人を児童養護施設などに入所させた。

全国の小中学校で2月1日以降、2週間欠席が続いている子供について、理由が判然としないなどの理由で学校側が児相などと情報共有したケースは1万2545件に上った。健診の未受診や未就園の子供に対する安全確認では、3月時点で423人の安全が確認されていない。

いずれも、深刻な虐待を受けている可能性がある事案だ。

緊急安全確認は、千葉県野田市立小学校4年の女児が両親の虐待を受けて死亡した事件を受け、全国で2月以降、短期間で行われた。一人でも多くの子供を虐待から救うためである。

調査には一定の成果が認められる。今後も徹底した追跡調査で、救える命を増やしてほしい。

一方でこれらの数字は、児相や学校の現場がそれぞれの職責を果たせず、連携不足などから多くの危機を見逃してきたことを物語っている。短期間の調査であぶり出されたケースの多くは、通常の業務で把握できたはずだ。

野田市の事件でも、児相や教育委員会、学校などの多くの大人に虐待を止める機会があった。野田市と市教委は、父親からの暴力を訴える女児のアンケートの回答コピーを父親に渡した担当者ら12人を懲戒処分とした。

すでに女児は命を失っており、後悔は先に立たない。それでも反省は生かさなくてはならない。

東京都は4月1日、保護者の体罰禁止を明記した虐待防止条例を施行する。政府も同様の趣旨を明記した児童虐待防止法改正案を国会に提出し、来年4月1日の施行を目指している。

だが、条例や法で禁じただけで虐待はなくならない。現行法でも子供への暴力は罪である。緊急調査にかけた熱量を持ち続けることが全ての関係者に求められる。
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[産経新聞] 【主張】総合取引所誕生へ 世界と競える市場を築け (2019年03月30日)

日本取引所グループ(JPX)と東京商品取引所が10月の経営統合で基本合意し、さまざまな金融商品を一元的に扱う総合取引所が来年にも誕生することになった。

東商取が扱う貴金属や農産物、ゴムなどの商品先物を、JPX傘下で金融証券先物を扱う大阪取引所に移し、ワンストップで取引できるようにする。

投資家の利便性を高めることで世界の投資マネーを呼び込み、先物などの金融派生商品(デリバティブ)取引を活性化するのが狙いである。そのための効果的な再編としなければならない。

世界の主要取引所では総合取引所が主流であり、日本は立ち遅れていた。これを機に日本の金融市場の競争力を高め、日本経済全体の成長へとつなげたい。

JPXが東商取にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化する。これにより、JPXの傘下には、現物株式を扱う東京証券取引所と大阪取引所、東商取の3つが並ぶことになる。

大阪取引所と東商取が別々にデリバティブを扱う弊害はかねて指摘されてきた。金融証券先物と商品先物の違いだけでなく、仲介業者の資格といった法制も異なり、使い勝手が悪かったからだ。

だが、デリバティブは世界の取引所を牽引(けんいん)する成長分野だ。総合取引所にすることで市場参加者が増えれば取引高も厚みを増す。先物には、商品の生産者や需要者が価格変動による損失を抑えるリスクヘッジの役割もある。取引活性化はこれにも資するだろう。

ここで留意すべきは、メリットが分かっていながら対応が遅すぎたことだ。総合取引所構想は平成19年からあり、成長戦略でも可及的速やかな実現がうたわれた。

それがここまで遅れたのは、JPXを所管する金融庁と、東商取所管の経済産業省・農林水産省の間で縄張り争いがあったためとされる。調整がもたつく間に東商取の経営は悪化し、日本の商品市場は世界から取り残された。厳しく認識しておくべきである。

基本合意によると、原油については当面、大阪取引所に移さず東商取に残す。東商取は、原油のほかに電力先物なども上場させて総合エネルギー市場の創設を目指すというが、それが経産省の権益確保の場となるようでは元も子もない。あくまでも投資家の目線で使い勝手を吟味してほしい。
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[東京新聞] 原発と民意 なぜ“声”は届かない (2019年03月30日)

女川原発の再稼働の是非を問う住民投票の直接請求を、宮城県議会が否決した。原発を抱える静岡や新潟県でも「国策になじまない」などとして、議会に退けられている。なぜ“声”が届かない。

地方自治法の規定では、有権者の五十分の一以上の署名をもって、自治体の長に住民投票条例の制定を請求できる。

年内にも原子力規制委員会の審査に通るとされる東北電力女川原発2号機。その再稼働の是非を問いたいと、十一万を超える署名が集まった。法定の約三倍だ。それでも県議会は「多様な意思を正しく反映できない」などとして、条例案を否決し請求を退けた。

女川原発も震災の被害に遭っている。原子炉を停止に導く外部電源や非常用電源にもトラブルが生じ、使えないものが出た。

原発事故の放射性物質は広い範囲に降り注ぐ。宮城県内でも今現に、水産物の輸出禁止や汚染廃棄物の処理問題など、福島第一原発の影響が続いている。

女川原発の三十キロ圏内では、七つの市町に二十一万人が暮らしていて、避難計画の策定を国から義務付けられている。過酷事故の大混乱の中、果たしてスムーズに避難などできるのか。住民の多くは避難計画そのものに懐疑的だ。

それでも再稼働への“事前同意権”を持つのはやはり、原発が立地する女川町と石巻市、そして県に限られそうで、他の五市町には資格がない。それこそ多様な意思を正しく反映できていない。

危険も義務も不安も不便もそこにある。それなのに、ノーという権利はない−。理不尽と言うしかないではないか。

宮城県の村井嘉浩知事は、条例案への賛否を明らかにせず、議会に付した。しかし、県議会の質疑の中では「(原発再稼働は)これからも国が責任を持って判断すべきだ」と、まるで人ごとだ。

国や電力会社は「立地自治体などの理解と協力を得られるように取り組む」という、一方通行的な基本姿勢を崩さない。

宮城県だけのことではない。国民の過半が原発再稼働に反対し、大半が再稼働への同意権を持っていない。それなのに3・11後、五カ所九基がすでに、立地自治体の同意の下に再び動き始めている。

原発再稼働に不安を覚える住民と「国に任せろ」という議会や首長。この温度差は、なぜ起きてしまうのか。統一地方選真っただ中で、私たちも思いを巡らせたい。
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[毎日新聞] 児童虐待の緊急調査 予想超える深刻さに驚く (2019年03月30日)

子どもの虐待は一部の特別な家庭の問題ではない。どこでも起きている可能性があることをうかがわせる調査結果が判明した。

厚生労働省と文部科学省が合同で行った緊急調査によると、学校や保育所を長期欠席している子どものうち、教師らが面会して「虐待の恐れがある」と判断したのは2656人に上った。面会できなかった子どものうち「虐待の可能性が否定できない」のは9889人にも上る。

これだけ多くの子どもに虐待リスクがあることが判明したのは初めてだ。児童福祉法などの改正案が今国会に提出される。親による体罰禁止を法律に明記し、児童相談所の機能強化を図るだけでは足りない。学校や地域社会も含めた根本的な改善策を考えないといけない。

小中学生の不登校は増え続けており、2017年度は14万人を超えて過去最多となった。文部科学省は学校に来なくてもフリースクールに通うことを積極的に容認するなど、不登校そのものを否定的に見ない方針へ転換している。先生が忙しいこともあって不登校の子どもに対しては家庭訪問などのフォローも行われないことが多くなった。

一方、児童相談所は増え続ける虐待通報に手いっぱいだ。虐待で死亡した子どもの8割近くが0?3歳児ということもあり、学校に行かない児童や生徒への対応には手が回らないのが実情だ。

野田市の小4女児は死亡が確認されるまで冬休みを含んで1カ月以上学校に登校していなかった。顔のあざで虐待が発覚することを親が恐れたためという。不登校の中に虐待リスクが高い子どもがいることを改めて浮かび上がらせた。

面会できない子のうち「虐待の可能性が否定できない」が1万人近くもいるというのは衝撃だ。これまでも自治体が所在を確認できない子どもが多数いることは、厚労省や民間団体の調査で指摘されている。今回調査の1万人と重なる部分が多いのではないか。

学齢期の子どもが学校を長期欠席し、自治体もどこにいるか確認できない。そんな異常な事態に対して社会の感度が低かったのは否めない。

虐待は身近な問題として、社会全体が本気で取り組まねばならない。
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[毎日新聞] 地方議会選の女性候補数 共同参画法に反している (2019年03月30日)

日本の女性議員の割合の低さは、国際的に際立っている。そこで、男性主体の議会を変えようと「政治分野における男女共同参画推進法」が昨年制定された。

ところが、きのう告示された41道府県議選で、女性候補の割合は4年前の前回より微増の約13%という残念な結果だった。

衆院議員で女性議員の割合は10・2%にとどまる。経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位だ。地方議会も都道府県議会で1割、市区議会は15%程度という水準である。

共同参画法は衆参両院や地方議会選挙で、男女候補の数を均等にするよう政党に促している。国会への女性の進出を進めるうえでも、地方議会で素地を作ることは欠かせない。制定後迎えた初の大型選挙として、統一地方選は注目されていた。

にもかかわらずこの結果では法律の掲げた理念からは遠い。とりわけ自民党は道府県議候補の女性候補は4%に過ぎない。現職が多く候補を変えにくいとはいえ、新人候補に限っても1割程度だ。女性の人材発掘に本気で取り組んだとはいえまい。

共同参画法は全会一致で定められた。男女の機会均等に向けた規範であり、結果を示すことは政党の責任のはずだ。

地方議会が女性にとって、活動しにくい環境にあることも指摘しなければならない。

議員が産休を取れるようにしたり、育児との両立を支援したりするなどの取り組みが広がりつつある。だが、実際に女性が地方議員になると「マタハラ」「セクハラ」などに直面し、活動をあきらめてしまうケースが少なくない。

人口減少が加速し、地方議員の成り手不足が問題になっている。女性の参入は今後、地方議会の機能を維持するため欠かせない。来月は市区町村議選が告示される。生活に身近な課題がテーマとなるだけに、多くの女性の出馬が期待される。

推進法制定を受けて、前向きな動きもある。各地の女性議員が連携しての情報交換や、女性の出馬を後押しする活動が増えている。

政党はその動きをけん引する必要がある。主要な選挙の女性候補について、もっと具体的な数値目標を示すべきだ。
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[朝日新聞] ネット犯罪摘発 行きすぎ戒める判決だ (2019年03月30日)

捜査機関の前のめりの姿勢に警鐘を鳴らす判決だ。

運営するウェブサイト上に、他人のパソコンの演算機能を無断で利用できるプログラムを仕組んだとして、刑法の不正指令電磁的記録保管の罪に問われた男性に対し、横浜地裁は無罪を言い渡した。

サイトを開くと、プログラムが動いて仮想通貨を獲得するのに必要な演算が始まり、対価は運営者が受け取る。閲覧者は何も知らずに利用されるだけで、17年秋にこのシステムが登場すると批判がわき起こった。

一方で、動く原理自体は、ネットを見ていると画面に現れる広告の多くと変わらない。サイト運営を支える新たな収益手段として容認する声も聞かれた。

そんななか警察が乗り出し、同様のサイトに関わっていた人々を相次いで検挙。うち1人が今回の被告だった。

判決は、パソコンの電力消費量などサイトの閲覧者が受ける影響は軽微で、ネットユーザーの間でも賛否が割れていたことから、「社会的に許容されていなかったとはいえない」と判断した。そして、公的機関による事前の警告などもない状態でいきなり摘発したのは、「行き過ぎ」と批判した。

納得できる結論だ。議論が熟す間もないうちの強制捜査は、いかにも性急だ。関係者の萎縮を招き、新しい技術の芽を摘むことにもなりかねない。

むろん、プログラムの内容や被害の程度によっては刑事責任を問うべき場合もある。大切なのは、状況に見合った適切な対応と、どんな技術や運用であれば許されるか、社会で共通認識を形づくることだ。専門家や業界団体で一定のルールをつくることはできないだろうか。

今回適用されたのは、コンピューターウイルスを取り締まる目的で11年に制定された罪だ。国会審議では対象となるウイルスの定義があいまいだとして、乱用を危惧する声が出た。それが現実のものとなった格好だ。

首をひねる例は他にもある。「無限アラート」にリンクを張った疑いで、先ごろ兵庫県警は少年を含む3人を立件した。パソコン画面に同じ文章を何度も表示させるプログラムだが、それ以上の害はない。一種のいたずら行為に警察がどこまで介入すべきか、課題を残した。

警察庁は2月、この罪に関して「積極的な取り締まり」を全国に指示している。サイバー犯罪への対応は重要だが、やり過ぎは社会にきしみを生む。判決が説くところを、捜査機関は十分認識しなければならない。
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[読売新聞] 働き方改革 長時間残業の慣行を断ちたい (2019年03月30日)

労働力人口が減少する中、長時間労働の慣行を改め、多様な人材が活躍できる環境を整えることが急務である。

働き方改革関連法が4月1日から順次施行される。第1弾のポイントは、実質的に青天井だった残業時間に罰則付きの上限規制が設けられた点だ。大企業から適用を開始する。

長時間労働の常態化は、育児や介護と仕事の両立を困難にし、過労死の悲劇も招いてきた。その見直しは、女性や高齢者の就労を促し、社会・経済の活力維持につながろう。働き手の多様化は企業の創造性を高める上でも重要だ。

残業の上限は、いわゆる「過労死ライン」に準拠する。臨時的な業務量の増大に配慮したもので、上限いっぱいの残業を肯定する趣旨ではない。企業は、可能な限り残業削減に努めるべきだ。

同時に、無駄な業務の排除やIT(情報技術)活用などで生産性を高め、長時間労働に依存した経営から脱却する。それが成長力を底上げするはずだ。残業削減を人件費抑制に利用せず、従業員の賃金を維持する工夫も望まれる。

2020年度から、中小企業にも新たな残業規制が適用される。人手不足に悩む企業にとって、達成は容易ではあるまい。円滑な実施に向け、政府は中小企業への支援を拡充する必要がある。

無理な納期を押しつけられるといった取引先との関係も、残業を増やす要因だ。取引条件や商慣行の適正化が欠かせない。指導監督体制の強化が求められる。

関連法では、年5日の有給休暇を企業の責任で取得させることが義務付けられた。終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル制度」導入は努力義務に定められた。従業員の健康維持や意欲向上に有効だろう。

高所得の一部専門職を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル(脱時間給)制度」もスタートする。

企画・開発など働く時間と成果が一致しない仕事が増えた。職種を限り、労働時間と賃金を切り離すことには合理性がある。

長時間労働を強要されるとの懸念も根強いが、適用は本人の同意が要件だ。企業には対象者の健康確保措置が義務付けられた。適切に運用されることが大切だ。

働き方改革の柱の一つである同一労働同一賃金は、20年度から段階的に実施される。労使で十分に協議を重ね、正社員と非正規労働者の間でバランスの取れた処遇体系を構築しなければならない。
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[読売新聞] 松橋再審無罪 検察は証拠開示を徹底せよ (2019年03月30日)

検察の証拠開示の重要性を、浮き彫りにした裁判だったと言えよう。

熊本県で1985年に男性が刺殺された「松橋(まつばせ)事件」の再審判決で、熊本地裁が無罪を言い渡した。検察は控訴を断念した。殺人罪などで懲役13年の刑を受けて服役した宮田浩喜さんの無罪が確定した。

この事件は物的証拠に乏しく、検察の立証は自白頼みだった。今回、有罪の確定判決を覆す決め手になった新証拠は、弁護団が再審請求に向けて、検察で証拠を閲覧した際に見つけた布片だ。

自白では「シャツの左袖を切り取り、小刀の柄に布片を巻き付けて犯行後に燃やした」とされた。燃やされたはずの布片が出てきたのだから、「自白の重要部分に客観的事実との矛盾がある」と再審で認定されたのは当然である。

当時の捜査で、自白の裏付けがずさんだったと言うほかない。そもそも当初の公判で検察が布片を証拠提出していれば、有罪にはならなかった可能性がある。

税金と公権力を使って収集された証拠を検察が独占し、弁護側を排除すべきではない。検察は自らに不利な証拠であっても明らかにし、真相の究明と公正な審理の実現に努めることが求められる。

今回の再審で得られた教訓を、検察は胸に刻んでもらいたい。

近年、当初の裁判で検察が開示しなかった証拠が、再審請求の過程で明らかになり、再審無罪につながる事例も相次いでいる。

2人が再審無罪となった「布川事件」では、真犯人は別人であることを示唆する目撃証言が再審の扉を開けるきっかけになった。

2016年に改正された刑事訴訟法は、検察が全証拠のリストを弁護側に開示することを義務付けた。一方、再審ではこの仕組みは取り入れられず、検察や裁判所の裁量に委ねられている。

再審における証拠開示の在り方は重要な検討課題である。

松橋事件の再審公判は1回だけで結審し、わずか30分で終わった。今回の再審に対しては、取調官の証人尋問などを通じて捜査の問題点をあぶり出すことを期待する声もあったが、地裁は早期の公判終結を優先した。

事件から34年が経過し、85歳の宮田さんは認知症などで寝たきり状態にある。地裁は宮田さんの体調を考慮したのだろう。

とはいえ、誤判の検証を怠ってはなるまい。この事件では立証を支える証拠が脆弱(ぜいじゃく)だったにもかかわらず、自白を偏重して有罪となった。裁判所も反省すべきだ。
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[朝日新聞] 「無投票」最多 現状放置は許されない (2019年03月30日)

きのう告示された41道府県議選で、過去最多の「無投票当選」が決まった。

その数は全選挙区のほぼ40%にあたる371区で、総定数の約27%の612人にのぼる。

選挙区数、人数とも、4年前に続いて最多を更新した。

岐阜、香川、広島、熊本、愛知では、4月7日の投票日を待たずに、定数の4割以上の顔ぶれが決まった。

議会は行政監視を担うとともに、予算や事業の最終決定権を握っている。首長と並び、自治の「車の両輪」といわれる。その権力の源泉は、選挙での有権者の支持、つまり民意だ。

無投票が増える現状は、議会と民意の関係を希薄にしてしまう。このままでは、有権者が選挙で権力を形づくる民主主義の基礎が朽ちてゆくばかりだ。放置していてはいけない。

無投票が増えた理由のひとつに、大政党に有利な1人区、2人区が全体の7割を占める選挙区割りがある。過疎化に伴う定数減などで、70年前は2割弱だった1人区が4割に増えた。強固な地盤を築く現職に、新顔が挑みにくい構図が広がる。

野党の弱体化も一因だ。知事選での相乗りが目立つ野党は、議員候補者も減らしている。それが福岡市東区(定数5)、広島市西区(同4)など定数3以上の選挙区での「無投票」が50カ所に達する結果を招いた。

12年前、政権交代をめざす民主党は476人を立てたが、今回は立憲民主と国民民主を合わせて300人に届かない。

下げ止まらぬ投票率が象徴する関心の低さもある。市町村議員ほど身近でなく、国会議員ほどは目立たない。道府県議の仕事の中身を知らない有権者が多いのではないか。

現状を打開するため、選挙の仕組みから見直してはどうか。

たとえば、1人区と2人区は広域行政の視点から「合区」を大胆に検討すべきだ。一方で、定数10を超す県庁所在地の大選挙区は分割した方がいい。

違う視点の改革論もある。

2年前、大学教授らでつくる総務省の「地方議会・議員に関する研究会」は、都道府県議選への「比例代表選の導入」を提言した。地域政党も含めて政党化がすすむ実態や、選挙区割りの見直し作業の難しさなどを踏まえたアイデアだった。

比例代表にすれば、政党に政策本位の政治を促せるし、女性を増やすといった候補者の多様化も図りやすい。検討に値する一案だと考える。

現在の制度を続けているだけでは、展望は開けない。
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2019年03月29日

[産経新聞] 【主張】実刑被告の保釈 度を超す傾向を危惧する (2019年03月29日)

殺人罪で懲役11年の実刑判決を受け、控訴している被告について、東京地裁が保釈を認める決定を出した。東京地検の抗告を受けて東京高裁が地裁決定を取り消したのは当然の判断だろう。

保釈請求を許可する割合(保釈率)は平成12年の13・5%から29年には32・7%と倍以上に増加している。会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、否認を続ける日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告の保釈も認められた。今回の地裁決定もこの流れに沿ったものなのだろう。

だが、殺人罪で実刑判決を受けた被告に対する保釈決定は極めて異例である。高裁が取り消したとはいえ、治安への影響や逃走の恐れを無視するような地裁決定には大きな疑問がある。

実際に、保釈中に被告が逃走したり、再犯に及んだりするケースは後を絶たない。29年に保釈中に再犯で起訴された被告は246人を数えた。

中には、覚せい剤取締法違反罪に問われた暴力団員が保釈中に男性を射殺し、拳銃を所持したまま逃走しているとみられる最悪のケースもある。本来なら、保釈決定を出した裁判所が責任を問われなければならない。

今回の被告は自宅で妻の首を圧迫して窒息死させたとされ、今月6日の東京地裁判決は「態様は危険で悪質だ」と指摘していた。

被告は判決を不服として控訴しているが、保釈は社会の理解を得られまい。

すでに実刑判決を受け、服役の可能性が高い被告に逃亡の恐れがないと、どう担保することができるのか。全く理解に苦しむ。

ゴーン被告の保釈に際しては、長期の勾留や、いわゆる「人質司法」に対する海外からの批判も影響したとの見方があった。

だがルノーが本社を置くフランスの刑事法では、捜査の必要があれば検察官が「予審」を請求し、予審判事の下で捜査が行われ裁判を開くかどうか決める。予審での勾留は原則1年以内で、重大事件の場合は最長4年8カ月の勾留が可能である。日本の勾留期間が長いとは必ずしもいえない。

刑事司法の目的は捜査や公判を通じて事件の真相を明らかにし、適切な刑罰を科し、社会の安全や公平性を守ることにある。保釈に関する過剰な傾向は、これに反してはいないか。
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[東京新聞] 地域の議員選び 「白紙委任」はやめよう (2019年03月29日)

自分たちが暮らす自治体のことは自分たちが決める。当たり前のことを貫くには地域の議会に無関心ではいられない。「白紙委任」にならぬよう、候補者の主張に耳を傾け、貴重な一票を投じたい。

統一地方選の前半戦。四十一の道府県と十七の政令指定都市の議会議員選挙がきょう告示される。すでに告示された十一の道府県知事選、六つの政令市長選と合わせて四月七日に投開票が行われる。

自治体が無駄な予算を使ったり、平穏な暮らしを脅かす政策を強行するとき、止めるのは住民代表たる議会の役割だ。監視機能が働かなければ自治体は放漫財政に陥り、暮らしづらくなる。不利益をこうむるのは住民自身だ。

自らの役目を自任する議員だけが選ばれているはずだが、そうなっていないのが実態だ。聞こえてくるのは政務活動費の不正受給や議場などでの暴言、無駄な海外視察など不祥事ばかりである。

議員や議会に責任があるのは当然としても、私たちも無関係ではいられない。そうした議員を選んだのは私たち自身だからだ。

自治体の議会選挙は、私たちの暮らしに直結する身近な選挙にもかかわらず、あまり関心を持たれていないのが実態だ。

一九四七年の第一回統一地方選で、都道府県議選の投票率は81・65%だが、四年前の前回は45・05%。政令市議選の投票率も前回、44・28%にまで落ち込んだ。

棄権は白紙委任に等しい。公職選挙法の改正で今月から国政選挙や首長選だけでなく、都道府県議選や市区議選でも選挙ビラが配れるようになった。せっかくの機会だ。多少面倒でも各候補の主張を吟味し、投票所に足を運びたい。

議員のなり手不足や無投票当選の増加も大きな問題だ。過疎化や少子高齢化、人手不足、公共施設の老朽化など、地域の課題を一つ一つ解決するには、地域の知恵を結集することが必要で、そのためには多様な層が地域の意思決定に参加することが前提である。

しかし、実際には誰もが簡単に選挙に出られるわけではない。立候補を阻む障壁があるのなら、夜間や休日に議会を開くなどの工夫で乗り越えるか、立候補しやすいように思い切って制度や社会の意識を変えることも必要だ。

投票しても変わらない、と白紙委任を決め込むのは早計である。自分の住む自治体や議会に関心を持ち、自分たちの選んだ代表を送り込む。一票の積み重ねが、地域を変える大きな力になるはずだ。
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