2019年02月28日

[産経新聞] 【主張】血液がん製剤 新薬治療に万全の態勢を (2019年02月28日)

厚生労働省の専門部会が、難治性の血液がん治療製剤「キムリア」の製造販売を了承した。春にも公的医療保険が適用になる見通しだ。待たれていた治療である。患者とともに喜びたい。

患者の免疫細胞(T細胞)を採取し、遺伝子操作でがん細胞を攻撃しやすくしたCAR(カー)?T細胞を患者の体内に戻す。米国や欧州では既に認可されているが、日本では、CAR?T細胞を使ったがん免疫治療製剤の第1号だ。

治療の対象は、ある種の白血病と一部のリンパ腫の患者だ。現在の最善の治療は化学療法や骨髄移植である。効かなかった場合の予後は芳しくない。これら難治性の患者が年約250人生じる。新しい製剤の治療効果はそれぞれの疾患に8割、5割の高さで出た。そうした人々に光明となる。

一方で、副作用も報告されている。高熱や悪寒、脳症を伴うこともある「サイトカイン放出症候群」が高い割合で生じている。

新薬には常に未知の副作用がある。承認前に効果や副作用を調べる「治験」が行われるが、対象患者が少ないと症例の蓄積が限られる。このため、使う医療機関や医師を限定する条件がついた。

厚労省は通常、新薬発売後、安全性と有効性を調査する「市販後調査」を行う。キムリアでは当面、全例調査を実施する。人生で突然の病に襲われた人が安心して治療を受けられるよう、万全の態勢を作ってもらいたい。

課題は価格である。製剤はオーダーメードで、米国では1回5千万円以上の価格がついた。価格の決定はこれからだが、公的保険が適用され、患者は手頃な価格で使える見通しだ。根本匠厚労相は26日の会見で、対象患者が少ないことから「医療財政への影響は限定的だ」との見方を示した。

1剤の価格が高くても患者数が少なければ財政影響は小さい。逆に、薬がさほど高額でなくても、患者数が多ければ財政に与える影響は大きい。

わが国の医療財政を考えたとき何を公的保険の対象にし、何を対象としないかは今後、真剣に議論しなければならない。

一部には、高額薬への保険適用を限定的にすべきだとの意見もある。だが、いざというときの、大きなリスクに対応できてこその公的保険である。その基本を外すことなく考えたい。
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[東京新聞] 同性愛の暴露 尊厳傷つけぬ配慮を (2019年02月28日)

同級生に「同性愛者だ」と暴露され、心身に不調をきたし、校舎から転落死した−。遺族が大学側を相手にした訴訟は敗訴した。だが、もはや性的問題などでの差別や不当な暴露は許されぬ時代だ。

LGBT(性的マイノリティー)への差別を禁ずる条例は、全国各地で広がりをみせている。二〇〇二年には堺市で全国で初めてつくられた。

東京では一三年に文京区や多摩市で。同性カップルなどをパートナーとして公的に認める「パートナーシップ制度」は世田谷区や渋谷区でも生まれた。

昨年には国立市で「女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」が施行された。性的指向(恋愛対象の性)などによる差別を禁じている。同時に他人が本人の意に反し暴露(アウティング)することも禁じる内容である。

背景がある。国立市内の一橋大で一五年、法科大学院生が同級生に「おまえがゲイであることを隠しておくのムリだ」と、無料通信アプリ「LINE」のグループに実名入りで暴露された。学生は直後から心身不調に。二カ月後には授業中にパニック発作を起こし、学内の保健センターで休養後に六階の校舎から転落死した。

遺族と同級生とは和解が成立したが、二十七日に東京地裁で大学に損害賠償を求めた訴訟の判決があった。大学がセクハラ対策を怠ったほか、ハラスメント相談室の担当者が学生と面談して状況を把握しているのに、適切な対応をしなかったとの遺族の主張だった。

判決理由はこうだ。「安全配慮義務違反により、アウティングが発生したとはいえない」「(死の当日は)体調不良の可能性や認識は予見できても、自殺など本人も制御不能な行動に出る危険までは予見できない」と−。

遺族敗訴でも、社会への大きな問題提起となったと考える。同性愛は本人のプライバシーの問題であり、勝手に他人に暴露される理由などありえない。暴露されれば、誰かに嫌悪されたり、差別されたりする恐怖を持つ恐れもあろう。いわれなき攻撃の対象となるかもしれない。

だから、大学であれ、職場であれ、個人の尊厳を前提にとらえねばならない。守秘義務のある専門の相談窓口の設置なども必要であろう。アウティングは、セクシュアルハラスメントでもある。根絶を目指す必要があろう。何より深刻な人権問題であるという意識を共有したい。
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[産経新聞] 【主張】日韓合意「不十分」 国連舞台にした嘘許すな (2019年02月28日)

韓国の康京和外相が国連人権理事会の演説で、慰安婦問題の日韓合意は不十分だとの立場を示した。その理由も「被害者中心の視点に欠けた」などと一方的で事実をねじ曲げている。明らかな合意破りである。

繰り返すまでもないが2015年の日韓合意で「最終的かつ不可逆的な解決」を明言した。「国連など国際社会」において互いに非難、批判することは控えると約束した。国連機関の場で国同士の約束を守らず恥じない姿勢にあきれる。

康氏は、別の委員会が慰安婦問題で日本政府に「被害者中心のアプローチによる解決」を勧告したことに触れ、「これまでの努力はこうした視点に欠けていた」などと述べた。日本が元慰安婦らに冷淡で何もしてこなかったかのように言いたいのだろう。

だが事実に反する。

合意に基づき日本政府は10億円を拠出し元慰安婦らを支援する財団が韓国につくられた。元慰安婦の多くが財団による現金支給事業を受け入れた。財団を勝手に解散するなど、一方的に反故(ほご)にしようとしているのは文在寅政権だ。

紛争下の女性に対する暴力をめぐり、国際会議を開く方針も示した。人権問題にすり替え、慰安婦が強制連行された「性奴隷」などと歴史の捏造(ねつぞう)を広めることは到底、許されない。

人権というなら独裁下の北朝鮮の甚だしい人権侵害に物言わず、融和していいわけはない。

日本政府は合意の着実な実施を求め抗議するとともに、国連人権理事会で辻清人外務政務官が演説し、慰安婦支援財団の解散を「受け入れられない」などと反論した。当然であるが、さらに厳しく撤回を迫るべきだ。

許せば、国際社会でいわれなき日本批判が独り歩きし、さらなる要求を招くのは過去の教訓から明らかである。

日韓合意は北朝鮮の核・ミサイル開発など地域の安全保障上の危機に対し、日韓関係改善が欠かせないと交わされた。

日本の朝鮮半島統治時代の「三・一運動」100年を機に、文大統領は閣議で「親日を清算し独立運動に礼を尽くす」などと述べたという。

だが清算すべきはその反日姿勢である。現下の国際情勢を顧みず独裁国家にすり寄って、平和や人権は守れない。
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[東京新聞] 統計不正調査 やはり隠蔽の疑念残る (2019年02月28日)

毎月勤労統計の不正問題を調査していた特別監察委員会は、追加調査の結果を公表した。やはり組織的な隠蔽(いんぺい)は認定しなかった。監察委の独立性が疑問視されている。額面通りには受け取れない。

追加調査でも疑問は残った。

二〇〇四年から、全事業所を調査すべき東京都内の大企業を一部の抽出調査にしていた。減らしたデータの復元作業もしていなかった。ところが一八年一月から復元したため賃金がそれまでより高く算出された。

誰がどんな動機で始めたのか、それが長年放置されたことはなぜか。厚生労働省に組織的隠蔽はなかったのか。なぜ、突然データを復元したのか。

これらが知りたいことだが、前回の報告書から解明が前進した部分はほぼないと言っていい。

この不正とは別に中規模事業所の調査手法を一八年一月に変えたことで賃金が上振れした。これはアベノミクスの成果を強調したい政権の関与があったと疑われている。この疑惑については検証すらしなかった。

新たな疑問がある。

追加報告書では、隠蔽行為を「違法行為を認識しながら意図的に隠そうとする行為」と定義、これに照らし隠蔽は認定しなかった。

しかし、担当者が大企業が抽出調査だったことを知りながら有識者検討会の場で全数調査だと説明したり、別の担当者が抽出調査が不正だと認識していたため総務省に説明できなかった事実がある。

監察委は今回、これらを事実と異なる説明として「虚偽申述」と新たに定義したが、不正を知っていて虚偽説明したことは隠蔽とどこが違うのか。監察委の明確な説明はなかった。前回報告書の結論を変えたくないための理屈づけとみられても仕方がない。

そもそも樋口美雄委員長は、厚労省所管の外郭団体理事長だ。前回調査では厚労省職員が対象者を聴取していたり、報告書の原案も職員が作成するなど監察委の第三者性に疑問符がついている。

日本弁護士連合会の第三者委員会ガイドラインは、第三者委は企業などから独立した委員のみで構成されると定める。厚労省から独立した人材に委員を入れ替えて再調査を行う必要がある。

国会審議でも与党は原因究明に消極的だ。特別委員会を設け究明を続けることもできる。

国会には行政監視の役割がある。その責任は与野党がともに果たすべきだ。
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[毎日新聞] 統計不正の原因は 政府が解明を阻んでいる (2019年02月28日)

そもそも政府は統計不正問題を解明し、体制を改革する気があるのだろうか。そんな疑問が募る。

厚生労働省の特別監察委員会はきのう、毎月勤労統計の不正調査問題に関する再調査結果を公表した。しかし組織的にも職員個人としても隠蔽(いんぺい)の意図は認められないと結論づけるなど、先月の調査とほとんど変わらない内容だった。

それ以上に看過できないのは政府の統計を統括する総務省が、非常勤の学者である西村清彦統計委員長は多忙のため国会審議に協力できない意向だとの文書を勝手に作り、与野党に提示していたことだ。

西村氏は昨年12月、毎月勤労統計の不正を指摘し、一連の問題が発覚するきっかけを作った。

今回の文書に対し、西村氏は「そのような文書提出を指示していない」と否定し、石田真敏総務相も謝罪したが、厚労省だけでなく、総務省もこれ以上の国会追及を避けたかったのではないかと見られても仕方がない。なぜ官僚側が独走したのか。その検証も必要だ。

統計不正問題の焦点は現在、中規模事業所の調査方法が変更されたことに首相官邸の意向が影響していたかどうかに移っている。

サンプルとなる事業所を毎年一部入れ替える方式に変えたことで賃金の伸び率は上ぶれした。このため野党側はアベノミクスの成果をアピールするために恣意(しい)的に操作したのではないかと指摘している。

この方式に関し監察委の報告は「統計学的にも十分な合理性がある」などと記すだけだった。経緯については担当者の説明を採用しているに過ぎず、十分な調査とは言えない。

一連の問題で安倍晋三首相は「私が指示したわけではない」「私が関与していないのは明らかだ」との国会答弁を繰り返している。もっぱら行政側の責任だと言いたいようだ。

仮に首相の直接関与がなかったとしても政策の土台である統計データがなぜ、これほど不透明な取り扱いをされてきたのか。全容の解明は首相ら政治の責任であり、それがなければ今後の対策も取れない。

これではいくら監察委が「組織としての認識の甘さ、ガバナンスの欠如などを強く非難する」と報告書に記しても言葉だけに終わるだろう。
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[毎日新聞] 辺野古めぐる新状況 「唯一」の固定観念を正せ (2019年02月28日)

米軍普天間飛行場の辺野古移設問題は、埋め立て反対が7割強を占めた県民投票を経て新たな状況に入った。これを受け安倍晋三首相と玉城デニー知事があすにも会談する。

しかし、このまま互いの主張をぶつけ合うばかりでは、本土と沖縄の溝がさらに広がる深刻な状況に陥りかねない。この際、政府は「辺野古が唯一の選択肢」と有無を言わせない論理を改めるべきだ。

現在の政府の主張では、移設先は辺野古しかないというのが軍事上の固定観念となっている。だが、どこに基地を置くかは軍事的要素だけで決まるものではない。候補地の歴史的・文化的背景や経済的な問題などさまざまな要素を考慮しなければならない。唯一の選択肢ということが現実にあろうはずがない。

実際、沖縄に海兵隊を置くことが不可欠かどうかについては、米国内でも議論があった。中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発を受け、むしろ日本側が駐留の継続を求めてきた側面がある。

普天間飛行場を本土に移そうとすれば激しい反対運動に直面することが予想され、政治的なハードルは高い。それを避ける意図が「唯一」という言葉の裏に見え隠れするから、政府に対する沖縄の不信感が増幅されてきたのではないか。

県民投票では、普天間飛行場の危険性を最も知る宜野湾市でも反対票が66%を占めた。普天間の危険除去を最優先するという政府の主張が信用されていない証左だろう。埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかったことにより、技術的にも早期移設の見通しは立たなくなっている。

戦後長らく米軍統治下に置かれ、本土にあった米軍基地の多くが沖縄に集約されてきた歴史がある。そこで生じた不平等が固定化されるのは耐えられないというのが県民投票に込められた沖縄の訴えではないか。

米軍に多くの特権を認めた日米地位協定の見直しなど、沖縄の不利益をなくすために努力する姿勢が政府には求められている。

首相は「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と言いながら、工事を続行するのは矛盾している。

まずは「唯一」の固定観念を正し、沖縄の不信感を解きほぐすところから始める必要がある。
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[読売新聞] 企業型保育所 安心して預けられる仕組みに (2019年02月28日)

保育の受け皿が増えても、質が確保されなければ、子育て世帯の安心につながらない。必要な見直しを急ぐべきだ。

企業が主に従業員向けに開設する「企業主導型保育所」でトラブルが相次いでいることを踏まえ、内閣府の有識者委員会が改善策の骨子案を提示した。

新規参入要件の厳格化や、保育士の配置基準の引き上げを打ち出している。政府は、委員会が近くまとめる報告書を受け、来年度から実施する方針だ。制度の信頼性向上のため、着実に進めたい。

企業主導型は、待機児童解消の切り札として2016年度に導入された。認可外施設だが、認可施設並みの助成金が受けられる。

企業が設置する形態と、保育事業者が設置した施設を企業が利用する方式がある。地域の子供を受け入れることもできる。

自治体の認可が不要で、従業員の働き方に合わせた柔軟なサービス提供と、迅速な施設整備が可能だ。開設数は17年度末で約2600施設、定員6万人に上る。

反面、助成金目当ての安易な参入も目立ち、突然の閉鎖や助成金詐欺などの問題が起きている。制度設計の甘さは否めない。

骨子案は、保育事業者が新規参入する場合、5年以上の事業実績を要件とするよう求めた。助成金の支給決定に際しても、従来の書面審査に加え、必要に応じてヒアリングや現地調査を実施する。

ノウハウを持たない事業者の参入を防ぎ、運営の安定化を図る上で、妥当な措置だろう。

企業主導型への立ち入り調査では、7割超の施設で保育計画などに不備があった。指導・監督や相談・支援体制の拡充が急務だ。

保育士の配置増も骨子案は提言した。保育事業者が営む定員20人以上の施設では、保育スタッフに占める割合を現行の半数以上から75%以上に引き上げる。

認可保育所は原則全員が保育士だ。手厚い助成を受ける以上、高い質を確保せねばならない。

課題は、市町村との連携促進である。市町村の整備計画と関係なく開設できるため、待機児童がいない地方でも乱立し、多くが定員割れだ。需要との乖離(かいり)が著しい。開設や運営について、市町村の関与をルール化すべきだ。

空きのある施設と需要のある企業をマッチングする仕組みも構築する必要がある。

10月に予定される保育無償化に伴い、保育ニーズのさらなる増大が見込まれる。企業主導型を有効に機能させねばなるまい。
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[読売新聞] 自衛官の募集 市町村の協力得る態勢整えよ (2019年02月28日)

少子化が進む中、防衛や災害派遣などの任務を的確に遂行できる人材をどう確保するのか。政府は自治体と連携する態勢を築かねばならない。

陸、海、空3自衛隊の採用環境が険しさを増している。

任期付きの自衛官候補生の場合、応募者が減少し、採用数は4年連続で計画を割り込んだ。中でも海自は、計画の6割にとどまった。海上での生活が長く、携帯電話を使えないことへの若者の不満があるのだろう。

防衛省は昨年、採用年齢の上限を26歳から32歳に引き上げた。民間からの中途採用を想定している。採用層の拡大によって人員不足を補うのは、やむを得まい。

昨年決定した防衛計画の大綱は、自治体との連携や隊員の処遇改善、女性の活躍推進などにより、人的基盤を強化する重要性を強調した。これほどの危機感を示したことは、過去に例がない。

過酷な任務を伴う自衛官は50代から定年が始まる。段階的な定年延長も検討課題となろう。

採用難と厳しい財政事情から、自衛官はこの10年で2万人近く減少した。現隊員を有効に活用するため、3自衛隊の役割を弾力的に見直すことが欠かせない。

国会論戦では、自衛官の募集を巡る問題が論点となっている。安倍首相が「6割以上の自治体から所要の協力を得られていない」と述べたのが発端だ。

防衛省は採用活動で、主に18歳と22歳の名簿を紙か電子媒体で提出するよう、市区町村に要請している。防衛相は自治体に協力を求めることができる、と定めた自衛隊法やその施行令が根拠だ。

2017年度は、36%が提出に応じる一方、住民基本台帳の閲覧や書き取りだけを認めた自治体が53%、自衛隊が要求していないケースなどが10%だった。

野党は「閲覧も協力にあたる」と首相を批判するが、台帳を書き写すのは膨大な作業を伴う。法に基づく協力とは言い難い。

一切の協力を拒んだ自治体もあった。自衛隊に批判的な一部政党や市民団体におもねり、前向きな対応に二の足を踏んだのだろう。自衛隊に対する国民の信頼が深まる中、理解に苦しむ。

自衛隊は災害時に人命救助や救援物資の搬送、がれきの撤去などに従事する。政府は募集活動への支援が得られるよう、自治体への働きかけを強める必要がある。

与野党は、自衛官の確保という重要な課題を政争の具とせず、真摯(しんし)に対応を考えるべきだ。
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[朝日新聞] 統計不正検証 これでは納得できない (2019年02月28日)

事実に反すると知りながら職員はうそをついていた。しかし意図的に隠そうとしたとまでは言えない――。毎月勤労統計の不正調査問題を検証した厚生労働省の特別監察委員会が、そんな追加報告書を発表した。

こんな言い訳が通るのであれば、本人の主観次第で隠蔽(いんぺい)はすべて否定されてしまう。とても納得できない。

問題の発端は、本来は全数調査の大規模事業所のうち、東京都分を04年から勝手に抽出調査に変えたことだ。抽出であっても、データを全数調査に近づける統計処理をしていれば、雇用保険などの過少給付は生じなかったが、それを怠っていた。

これまでの検証で、東京都分が全数調査でないと認識している職員が複数いたことはわかっているが、必要な統計処理がなされていないことに誰がいつ気付いたのか、あいまいだった。

追加報告書はこの点について、08年に担当係長が気付いたが課内の誰にも伝えず放置したと認定。15年に担当課長も認識したが、必要な対応を取らないまま後任に引き継いだとした。

この後任が、システム改修に合わせて東京都分の統計処理を改めるよう指示を出した。これが昨年1月の「こっそり修正」になった。

16年には、中規模事業所の調査方法の変更を申請する際に、大規模事業所の全数調査について「原則」「基本的に」の言葉をつけようとした。しかし総務省の担当者から「変更予定があるのか」と問われ、「これまでの不適切な取り扱いの説明に窮する」と考えて断念した、と監察委に述べたという。

これこそ、隠蔽行為そのものではないか。データに問題が生じると知りながら放置した行為は、統計法で罰則の対象となるデータの改ざんなどに相当する可能性もある。厚労省は告発すべきであるし、甘い事実認定に基づいた1月の処分はやり直すべきだ。

この間、国会では調査手法を変更する過程で首相官邸が関与した問題も浮上した。監察委は変更について「統計学的にも十分な合理性が認められる」と結論づけたが、変更の過程については全く検証していない。理解に苦しむ。

報告書は、厚労省の統計の重要性に対する認識の甘さ、職務怠慢を指摘し、「猛省を促す」とした。しかし真相と責任の所在があいまいなままでは、信頼回復も再発防止もできない。

役所から独立した第三者委員会を設け、検証をやり直すべきだ。
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[朝日新聞] 英のEU離脱 時間稼ぎでない延期を (2019年02月28日)

自らが選んだ決断を、どうやって実現するか決められない。英国の政治の迷走に世界が不安を募らせ、いよいよ「最悪」への備えが目立ち始めた。

英国が欧州連合(EU)から抜ける期日は、3月29日。離脱の仕方をめぐる合意がまとまらないなかで、各国の企業が英国を去る動きがでている。

日本企業では、パナソニックやソニーが欧州の拠点をオランダに移す。日産自動車も、一部モデルの生産を日本へ切り替えるという。各国の金融機関も、ドイツやオランダに新たな拠点を開いたり拡張したりする。

見切りをつけつつあるのは、外国の企業だけではない。英国内の政治家たちの間でも、旧来型の政党政治から離反する動きがでてきた。

先週、下院で計11人の議員が与野党から相次いで離党した。党利党略に明け暮れる二大政党に業を煮やし、新たな中道をめざすという。

全員、欧州の枠組みに残りたいと考える議員たちだ。最初に離党した議員は「政治はもう壊れている」と嘆いた。与党を離れた議員は、EUからの無秩序な離脱をおそれている。

こんな状況に陥ってやっと、重い腰を上げたのか。メイ英首相が初めて、離脱期日の延期を容認する姿勢を示した。

議会が拒む今の離脱案にこだわるのか、国際経済を巻き込む無秩序な離脱を選ぶのか――。絶望的にみえた二択に「延期」の選択肢が加わったのは当面の救いだ。議会は3月半ばの採決で確実に延期を選ぶべきだ。

延期についてEUの各国も一致して認めてもらいたい。新たに生まれる猶予は、各国が冷静に未来を考える期間となりえるだろう。英国は単なる時間稼ぎにしてはならない。

ブレグジット(BREXIT)と呼ばれる問題が示した現実は数々ある。過去の国家像にこだわって単独行動に走っても、国境を超えた経済活動の結びつきは簡単に変えられない。これからを生きる若い世代ほど国際協調の価値を認めている。

メイ氏が姿勢を変えたのは、与党保守党の分裂を恐れてのことかもしれない。その懸念は野党の労働党も同じだろう。いまでは解散総選挙を求める態度を改め、「2度目の国民投票」を求める方針に変わった。

延期は6月末まで、とメイ氏は言うが、決めてかかるべきではない。再度の国民投票を含め、国民が納得する道は何か。欧州と世界にとって最善の策は何か。英国政界は全員で立ち止まり考えてほしい。
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2019年02月27日

[東京新聞] 巨大IT課税強化 国際ルールで公平に (2019年02月27日)

国境を越えて稼ぐ巨大IT企業への課税強化は世界共通の課題。だが国ごとの対応では効果が限定されてしまうのが現実だ。税の不公平は社会不安に直結するだけに国際的な枠組み構築が急務だ。

一月、米グーグルの日本法人が東京国税局から約三十五億円の申告漏れを指摘された。同社はすでに修正申告したという。

ただこれが課税強化につながるかは不透明と言わざるを得ない。

国際展開する企業への課税は、原則として、進出した国で支店や工場など、恒久的な施設を持って利益を上げた場合に対象となる。

IT企業は、進出国に拠点がなくてもビジネスができる。仮に日本市場で稼いでいても、国と国の間を自由に行き交う取引に対して、国内の税法を適用するには困難が伴う。

さらに、複雑な手法で法人税率の低い国に利益を移すなどして節税を行っているケースが多い。現地法人が、一般の上場企業と違い有価証券報告書など決算内容の開示義務を負っていない場合もある。国別の売上高の把握などが難しく、課税を阻む一因にもなっている。

英国は二〇二〇年から売上高に一律2%の法人税を課す制度を独自に導入する。欧州連合(EU)も3%課税する案を検討中だ。しかし、課税強化の対象となるIT大手四社、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・コム)を抱える肝心の米国が消極的で、国際的な足並みはそろっていない。

ネット空間には国境がない。IT企業の多くは、社会基盤の維持に向け、特定の国や自治体に税を支払うという意識が薄いのではないだろうか。

だが企業自体も成長過程で、各種行政サービスや道路などを利用してきたはずだ。こうした社会基盤の大半は税金で整備されている。IT企業も当然、社会に育てられたという一面を持っている。

EUの政策執行機関、欧州委員会は、世界展開するIT企業の法人税率は一般企業の平均の半分程度と試算する。きちんと税を払っている人々が「不公平だ」と怒りを感じるのは、むしろ自然だろう。

各国政府はその怒りの意味を理解し、国境を超えたルールづくりのため連帯すべきだ。六月、大阪で開かれる二十カ国・地域(G20)首脳会合は、その意識を共有する格好の場となるはずだ。
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[産経新聞] 【主張】米中貿易協議 「覇権」封じる姿勢を貫け (2019年02月27日)

トランプ米大統領が来月2日に予定していた対中制裁関税の強化を延期すると表明した。米中両国の閣僚級貿易協議の結果、「構造問題などで実質的な進展があった」ためだとしている。

対中交渉を延長した上で、近く習近平国家主席と首脳会談を開き、最終合意を目指すというのがトランプ氏のシナリオだ。この通りに進めば、米中貿易戦争はひとまず沈静化する可能性がある。

両国の全面的な衝突は日本を含む世界の貿易や経済の重大なリスク要因である。そこに打開の道筋がつく意義は大きい。

だがそれは、不公正貿易や知的財産権の侵害、過剰な補助金など、中国の国家資本主義がもたらす根源的な問題を抜本的に改めさせることが前提である。

トランプ氏が貿易赤字解消という目先の成果を焦り、構造問題で妥協しては元も子もない。経済、軍事面で覇権を追求する中国に対抗するのが米国の対中外交の基本であるはずだ。その姿勢を貫いて詰めの交渉に臨んでほしい。

米国は閣僚級協議が不調に終われば、中国産品2千億ドル(約22兆円)分に課す追加関税を10%から25%に引き上げる方針だった。

4日間の協議では、中国側が巨額の米農産物などを購入すると提案したほか、中国が人民元を安値に誘導しない「通貨の安定」でも一致した。中国が外国企業に求める技術移転の強要防止や知財保護でも進展があったという。

問題は、中国が本気で改革に取り組むかどうかだ。国有企業に対する支援や、合意順守を担保する仕組みについて隔たりがあるとの報道もある。そうした中でトランプ氏が、大統領選を視野に前のめりになっていることはないか。

米政権や議会内に、安易な合意に対して警戒があることもうなずける。中国との覚書の扱いをめぐり、トランプ氏と、対中強硬派である米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表の溝が表面化したのも気がかりだ。

「新冷戦」とも評される米中対立は、貿易にとどまらない大国間の覇権争いである。腰を据えた長期戦となる覚悟が欠かせない。

構造問題に切り込むこともなく米国産品の大量購入という中国の提案に飛びつき、安易に対中融和に傾斜するようでは、中国の覇権主義傾向を野放しにしかねない。米国はそう認識すべきである。
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[東京新聞] 沖縄投票「無視」 民主主義を軽んじるな (2019年02月27日)

安倍政権にとり「真摯(しんし)に受け止める」は「無視する」と同義らしい。沖縄県民投票で、辺野古埋め立てに鮮明な反対の民意が示されても新基地工事は止まらない。それでも民主主義国といえるのか。

安倍晋三首相は二十五日の衆院予算委員会で、前日の県民投票結果について「真摯に受け止め、基地負担の軽減に全力を尽くす」と述べた。だが、言葉とは裏腹に辺野古では埋め立てが続く。

理由は「世界で最も危険な普天間飛行場の固定化は避けなければならない。これは地元との共通認識」(首相)。相変わらず外交・安全保障に関わる基地政策は、国が強引に進める姿勢だ。

しかし、国の専管事項とされる外交・安保も、民主主義国では主権者である住民の生活環境を害さない限り、との条件が付けられよう。生活を犠牲にするような安保政策は民主的とはいえない。たとえ基地ができたとしても、地元の協力がなければ円滑な運用などできるはずがない。

沖縄の人たちは知事選や国政選挙を通し、主権者として、沖縄への過重な負担となる新基地建設に繰り返し異議を表明してきた。

本来なら、議会制民主主義によって立つ政権はその声に誠実に耳を傾けて是正を図らなければならないが、沖縄に限っては一顧だにしない。選挙による間接民主主義が機能しない「構造的差別」の下、直接民主主義で再度民意の在りかを示さなくてはならなくなったのが今回の県民投票だ。

結果は、自民、公明両党が自主投票だったとはいえ、投票率は県内の最近の国政選挙並みに50%を超え、72%が反対だった。県内全市町村で反対多数だったことも民意を歴然と示している。首相は、辺野古埋め立てを前提とした普天間返還が「地元との共通認識」となお真顔で言えるのか。

県民投票が持つ意味の重さは米メディアなども報道した。琉球新報と沖縄タイムスの両編集局長は本紙への寄稿で「日本が人権と民主主義をあまねく保障する国であるのか、県民投票が問いかけたのはそのこと」「沖縄は答えを出した。今度は日本政府、ひいては本土の人たちが答えを出す番」と、それぞれ訴えた。

政権は埋め立てを直ちに中断し基地再編について米国と再協議すべきだ。本土の側も最大の関心を持って見守り、参院選などの判断材料にしなければならない。それこそが、機能不全に陥った日本の民主主義を再起させる道である。
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[産経新聞] 【主張】バスケW杯切符 改革断行の成功例に学ぶ (2019年02月27日)

さまざまな示唆に富む快挙だった。あきらめてはいけない。組織は変えられる。変わらなくては未来はない。

バスケットボールの男子日本代表がアジア予選を勝ち抜き、自国開催の2006年大会以来、13年ぶりのワールドカップ(W杯)出場を決めた。予選を突破しての自力出場は21年ぶりで、東京五輪の開催国枠獲得へも大きく前進した。

4連敗のどん底から8連勝でつかんだW杯の出場切符だ。潮目を変えた立役者は日本国籍を取得したファジーカスであり、米国で活躍中の八村塁、渡辺雄太の参戦だったろう。だが八村、渡辺の米国帰国後も、国内組の選手らは勢いを失わなかった。彼らを支えたのはBリーグでの経験である。

日本のバスケット男子は、1976年モントリオール大会を最後に五輪出場を逃し続けている。5年前には、再三の勧告を受けながら国内2リーグ併存の混乱を解消できない日本協会に、国際バスケット連盟(FIBA)は「選手のことを考えていない日本の組織に目を覚ましてほしい」と無期限の資格停止処分を科した。

日本協会の会長に就任して大胆な組織改革を断行し、一本化したBリーグを発足させたのは、元サッカー協会会長の川淵三郎氏である。Jリーグ開幕からW杯初出場への、サッカーにおける成功体験が生かされた格好だ。

今回の最終戦がカタールのドーハだったことも因縁めく。Jリーグの開幕直前、アジア予選最終戦終了間際の同点弾でW杯出場権を失った「ドーハの悲劇」で、「舞台に上がって突然、奈落の底に落ちた気分」と言葉を絞り出したのは、選手団長の川淵氏だった。

東京五輪のバスケットは開催国枠が未定のままだ。リオデジャネイロ五輪8強の女子はともかく、日本の男子には実績がなかった。川淵氏の後任、三屋裕子会長は3月、FIBAの理事会で、自力で決めたW杯出場を好材料に開催国枠の獲得を訴える。選手の帰国を迎えた三屋氏は「ここからが私の仕事。選手を東京五輪会場に立たせます」と約束した。

三屋氏はバレーボールのスター選手だった。川淵氏同様、他競技の出身だから見えたものがあり、強烈な反発にもさらされたろう。間違いないのは、こうした外部の力を抜きに組織改革も、その先の栄光もなかったことだ。
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[毎日新聞] がん新免疫療法 公的保険でどう支えるか (2019年02月27日)

新たながん免疫療法として期待される「CAR?T細胞療法」に使われる製剤の製造・販売が、厚生労働省の専門部会で承認された。今夏にも公的医療保険が適用される。

効果は高いが、治療費も超高額なことでも注目されていた新薬だ。こうした薬を医療保険制度にどう組み込んでいくのか。国民皆保険の日本が直面する大きな課題と言える。

承認されたのは製薬大手ノバルティスファーマの「キムリア」だ。

患者から取り出した免疫細胞に遺伝子操作を加え、がん細胞への攻撃力を高めた製剤で、点滴で体内に戻す。これがCAR?T細胞療法で、キムリアは特定の白血病とリンパ腫の患者の一部が対象となる。

患者数は年間約250人と予測されている。臨床試験では白血病患者の8割で症状が大幅に改善した。

他の病気でも同種の技術を使う治療法の開発が進んでおり、がん治療の新たな柱になる可能性を秘める。

ただ、キムリアの臨床試験では重い副作用が出るケースも報告されている。体制が整った医療施設で、慎重に効果を見極める必要がある。

キムリアの日本の薬価はこれから決まるが、米国では1回の治療に約5200万円かかる。巨額の開発費に加え、製造工程も複雑だからだ。

日本には高額療養費制度があるため、超高額な新薬でも、患者の自己負担には上限がある。一方で、高額な薬の保険適用が拡大すれば、医療財政の圧迫は避けられない。

超高額な薬価で話題になったがん免疫治療薬「オプジーボ」の価格引き下げ騒動を教訓に、厚労省は、市場規模が拡大した薬については、薬価の改定時期を2年に1回から年4回に見直した。適切に運用していく必要がある。

米国では、キムリアの投与から1カ月後に治療効果が上がった場合に限り、製薬企業に費用が支払われる。企業の新薬開発意欲を保ちつつ、薬剤費の膨張を抑える方策として、日本でも検討の余地がある。

貧富の差を問わず、一定の医療が受けられることが皆保険の利点だ。

高額だが有効性の高い薬に保険を適用するため、症状の軽い病気に使う薬は患者負担を増やして財政のバランスをとる。そんな観点での国民的な議論も深めるべきだ。
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[毎日新聞] きょうから米朝会談 非核化のてこを手放すな (2019年02月27日)

米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による再会談が、きょうからベトナムのハノイで行われる。

昨年6月の初会談では、朝鮮半島の完全な非核化という抽象的な合意にとどまった。今回は核開発の全容がどこまで開示され、実質的な非核化につなげられるかが焦点だ。

昨年の会談後、米国は非核化に向けた工程表作成や核施設のリスト申告などに応じるよう求めてきたが、北朝鮮は拒否してきた。

問題は、米国が北朝鮮の主張に一定の理解をしているように見えることだ。米国のポンペオ国務長官は経済制裁は維持するとしつつ、「できることはほかにもある」と見返りの提供を示唆した。

北朝鮮は核開発の象徴的存在である寧辺(ニョンビョン)の核施設廃棄など部分的な措置で、制裁の一部解除を目指しているようだ。韓国では、米国が金剛山(クムガンサン)観光事業など南北経済協力の再開を容認するのではないかという期待感が高まっている。

停滞する交渉を前進させるために柔軟姿勢を示すこともあるだろう。しかし、非核化に導くためのてこを安易に手放してはならない。

トランプ氏は北朝鮮による核実験やミサイル発射が停止されている現状について「私たちは幸せだ」と語り、自らの実績だと強調している。実験の凍結だけで満足してしまっては、非核化には至らない。

また今回は、朝鮮戦争の終戦宣言などを行うという見方がある。

トランプ氏は前回会談後の記者会見で、国防長官との調整なしに米韓合同軍事演習を中止する意向を表明した。在韓米軍の将来的な撤退にも前向きな考えを示した。

北東アジアの緊張が緩和するのは望ましいが、あくまで核問題で進展することが前提条件である。

北朝鮮は現在も核開発を継続していると指摘されている。1990年代以降、実験凍結や核廃棄の合意をしては破棄する歴史を繰り返しており、非核化に応じないとの見方も根強い。金氏はこうした国際社会の疑念を払拭(ふっしょく)する責任がある。

昨年4月には経済再建に注力する新方針を打ち出した。核を温存したままこれを実現するのは難しいことを認識すべきだ。
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[朝日新聞] 米中通商協議 不毛な消耗戦はやめよ (2019年02月27日)

米国と中国の貿易紛争のいっそうの激化は、ひとまず避けられそうだ。

トランプ米大統領は3月1日としていた中国との通商協議の期限を延期し、3月にも米中首脳会談を開く意向を示した。交渉が決裂すれば、関税のさらなる引き上げという、不毛な消耗戦が続く可能性があった。

首脳会談での最終合意をめざし、両国は丁寧に対話を重ねてほしい。世界が納得できる、実効性のある結論を見いだし、紛争を終えなければならない。

2大経済大国はこの1年あまり、制裁・報復関税のかけ合いで、世界を揺るがしてきた。中国では景気の減速が鮮明となり、米国経済も不透明感が増している。協議をまとめることは、双方にとって利益となるはずだ。

トランプ氏はこれまでの交渉について、「知的財産の保護、(中国の強制的な)技術移転、農業、サービス、為替その他多くの課題を含め、重要な構造問題でかなりの進展があった」とツイッターに投稿した。

中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相も「実質的な進展があった」と述べ、国営新華社通信はトランプ氏が挙げた項目をほぼなぞる形で、内容を配信した。

だが、交渉の行方は予断を許さない。

これまでに、米国産大豆を中国が追加輸入し、人民元の安値誘導を防ぐことではおおむね合意したという。しかし、技術移転の問題などはどこまで詰まっているのか。新たな交渉期限も明らかになっていない。

特に溝が深いのが、国有企業への補助金など中国の産業政策の見直しだ。米国は市場機能をゆがめていると厳しく批判し、補助金の撤廃などを求め、日欧も問題視している。

一方、中国の抵抗感は根強い。国有企業は、政治と経済が密接に絡み合う、特殊な「社会主義市場経済」を支える存在だからだ。

しかし、投資依存の経済体質を改善するため、国有企業改革は中国自身にとって必要なことだ。実行には時間がかかるだろうが、現実的な対応策を示し、改革に踏み出す機会にしなければならない。

対する米国も振る舞いを改めるべきだ。ルール違反の制裁関税をふりかざし、相手国に譲歩を迫るトランプ政権の姿勢は、貿易の秩序を傷つけた。

まず中国との紛争を終える。そしてルールにのっとって行動する。自由で公正な貿易体制を取り戻すため、米国は大国としての責任を自覚してほしい。
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[読売新聞] 法科大学院改革 学生の目標は司法試験合格だ (2019年02月27日)

司法試験を受験できるまでの期間を短縮するだけでは、法科大学院離れを食い止めることはできまい。抜本的な立て直しが急務である。

政府が、法曹養成制度の改革案をまとめた。大学法学部3年と法科大学院2年の計5年で修了する「法曹コース」の創設が柱だ。法科大学院在学中の司法試験受験も可能にする。関連法の改正案を今国会に提出する。

現在は、法科大学院の修了が司法試験受験の条件となっている。法曹コースと在学中受験を組み合わせれば、今よりも約2年早く受験資格を得られる。

法科大学院の志願者減少は深刻だ。2018年度は8058人で、制度がスタートした04年度の約1割にまで減った。撤退や募集停止に踏み切る学校も相次ぐ。

改革案には、期間短縮で学費や時間的な負担を軽減し、学生を呼び込む狙いがあるのだろう。

法科大学院の創設は、司法制度改革の目玉だった。社会人経験者らを含む多様な人材を法曹として養成する機能が求められている。今回の改革で、法学未修者が置き去りにされることはないのか。

在学中の司法試験受験を認めることで、法科大学院での実務教育が疎(おろそ)かになる懸念もある。

法科大学院離れの最大の要因は、司法試験の合格率の低迷だ。修了者の昨年の合格率は25%で、法科大学院を経ずに受験資格を得られる「予備試験」組の78%に大きく水をあけられている。

学生の目標は、司法試験に合格し、法律家として活躍することだ。修了しても法律家になれなければ、魅力は当然、薄れる。

司法試験に合格する実力を身に付けさせるため、大学と法科大学院が連携し、カリキュラムを再構築しなければならない。

予備試験の在り方にも問題がある。元々は、経済的な事情などで法科大学院に進学できない人のための例外的な制度のはずだ。

それが今や、優秀な学生が法科大学院を経ずに受験資格を得るためのバイパスとなっている。現状が、予備試験が設けられた趣旨に反していることは明らかだ。

法科大学院を今後も法曹養成の中核として存続させるのなら、予備試験の受験資格を制限することも選択肢の一つだろう。

現行の司法試験については、一部の科目で問題の分量が多すぎるとの指摘がある。国民の役に立つ法曹を増やすために、学生の実力をどう測るか。法科大学院改革と同様に、重要な論点である。
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[読売新聞] 米中貿易協議 摩擦緩和へ一層の歩み寄りを (2019年02月27日)

世界経済を脅かす無益な争いを、いつまでも続けてはいられない。対立の沈静化へ、一層の歩み寄りを図るべきだ。

トランプ米大統領が、中国との貿易交渉の期限を延長すると表明した。3月2日に予定していた制裁関税の上乗せを当面見送る。中国の習近平国家主席との首脳会談を3月中にも開き、最終合意を目指す考えも示した。

閣僚級協議が、米国産品の輸入拡大や人民元相場の安定などで、一部合意に達したためである。

対立続きだった交渉は、ようやく一定の前進をみた。貿易摩擦による自国経済への打撃に、双方が危機感を強めたからだろう。

中国の昨年の成長率は、28年ぶりの低水準となった。米国では消費や企業業績が悪化している。

米中摩擦は、世界各国の貿易や生産も滞らせる。経済大国の衝突が招く危うさを直視し、両者は詰めの協議を急いでもらいたい。

交渉の行方は楽観できない。米中が、貿易だけでなく、先端技術や安全保障を巡る覇権争いも繰り広げているためだ。

米国は、国有企業への補助金支給などが公平な競争環境を歪(ゆが)めるとして、見直しを迫っている。

中国にとって、こうした施策は国家主導で産業を振興しようとする経済戦略の根幹を成す。ハイテク産業の強化は、軍事技術の開発にもつながる。米国の求めに簡単には応じられまい。

だが、中国経済の再生には摩擦緩和が不可欠だ。自国本位の政策を続けると、対中投資を控える外国企業も増えかねない。中国は自ら是正に取り組むべきである。

貿易赤字の削減に固執するトランプ氏にも問題はある。貿易収支は、世界の景気動向や為替水準など、様々な要素で決まる。中国との合意だけでは制御できない。

次の首脳会談で妥結しても、貿易収支が改善しなければ、摩擦が再燃する恐れがある。「脆弱(ぜいじゃく)な合意」にならないだろうか。

懸念されるのは、制裁回避を望むあまり、中国が米国の理不尽な要求を受け入れかねないことである。中国は、大豆などの米国産品の購入拡大を、具体的な数量を示して約束しようとしている。

特定の国からの輸入量を事前に定める数量規制がまかり通れば、自由貿易は阻害されよう。

日本は今春にも、米国と物品貿易協定(TAG)交渉に入る。

トランプ政権が、対中交渉での成果を踏まえ、数値目標の導入を日本にも無理強いしないか。十分に警戒しなければならない。
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[朝日新聞] アフガン情勢 和平模索こそ米の責務 (2019年02月27日)

米同時多発テロを受けて、米軍がアフガニスタンを攻撃してから17年以上がたつ。だが戦乱は収まらず、国連によれば過去10年で3万2千人を超す市民が犠牲になった。

混迷が続くなか、米トランプ政権は米軍の撤退を探る動きに出ている。もし重荷を振り払うかのように一方的に立ち去るならば、無責任に過ぎる。長年の流血に終止符を打ち、和平を築く責務を忘れてはならない。

中東からの米軍の撤退はトランプ氏の選挙公約だった。昨年は唐突にシリアからの全面撤退を表明し、その後は米国内からの反対を受けて修正した。

トランプ氏が強調するのは、常に米国第一の考え方だ。アフガニスタンについても、米軍駐留の目的を終えたか否かではなく、国内支持層の歓心をかう判断に走る不安がぬぐえない。

ただ、米軍関与の最終的な出口を探り、そのために整えるべき環境を考えることは必要だろう。その条件は、アフガン政府の自立と、反政府勢力タリバーンとの和解である。

その点、米政府が昨年夏からタリバーンとの直接交渉に踏み切ったのは前進といえる。今週も協議を重ねており、行方が注目されている。

だが、肝心のアフガン政府は蚊帳の外だ。タリバーンが、アフガン政府を米国の操り人形だと批判し対話を拒んでいる。米国はまずタリバーンを説得し、アフガン国民自身による和平づくりへの道を開くべきだ。

4年ほど前に米軍などから権限を移譲されたアフガン治安部隊の力不足は否めない。実効支配しているのは国土の約半分。米軍1万4千人の駐留があって何とか支えられているのが現状だ。戦火がやむまでにはさらに曲折も覚悟せねばなるまい。

和解のためには、タリバーン側への一定の譲歩もありえる。だが、タリバーンはかつて女性の教育を認めないなど、極端な政策をとった。活動の資金源として麻薬生産も続けている。詰めるべき課題は多い。

米国に呼応するように、ロシアも外交を活発化させている。しかし今月モスクワでの会合にアフガン政府は参加せず、米国への牽制(けんせい)の色が濃かった。

かつてアフガニスタンに拠点を置いた国際テロ組織アルカイダは水面下で生き延び、過激派組織「イスラム国」(IS)も新たな活動を模索している。

この国が再びテロ組織の巣窟と化せば、国際社会全体への脅威が増す。米ロは主導権争いではなく、アフガンの将来を見すえて協調を探るべきだ。
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