2018年12月31日

[産経新聞] 【主張】回顧2018 米中が対決局面に入った 国益の最大化をためらうな (2018年12月31日)

世界は米中の対決局面に入った。両国のパワーゲームの狭間(はざま)でわが国には今こそ、国家百年の計が求められている。そんな思いを抱かされる一年となった。

世界は、良くも悪くもトランプ米大統領が主役だった。特に、中国と北朝鮮への対応は、わが国の安全保障に直結するだけに目が離せない展開が続いた。

その米中両国だが、かつて蜜月ぶりの象徴としてG2と呼ばれた時代が遠い過去のごとく、「新冷戦」とか「第2次冷戦」とも評される深刻な事態を迎えた年として記憶されるだろう。

≪日米同盟の強化が基軸≫

軍事、経済両面で台頭を続ける中国は、国際秩序に挑戦するゲームチェンジャーとしての立ち位置を強めている。南シナ海での傍若無人な振る舞いや、相手国を借金で縛る覇権主義との批判が絶えない「一帯一路」が典型だ。

そんな中国相手の貿易戦争について、トランプ大統領が2期目を目指し、貿易赤字減らしを狙ってパフォーマンスを仕掛けているとだけ見るのは、間違いだ。

対中強硬姿勢に転じた米国の動きは、決して大統領の個人的で浅慮な言動ではなく、国を挙げての強固な意思決定が背景にあるとみるのが正しかろう。

新冷戦の本質は軍事、経済、科学のあらゆる分野で、米国こそが世界を支配するのだという覇権争いなのだ。オーストラリアやニュージーランド、英国、カナダも追随した。英語圏で構成する「ファイブアイズ」だ。

米国の要請でカナダ当局が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者を逮捕したのが好例だ。スパイ行為やサイバー攻撃が疑われ、米国として安全保障面で譲れない一線を越えたことへの警鐘だろう。

日本は事実上、華為技術などの中国製機器を政府調達から排除することにした。同盟国として足並みをそろえたのは当然だ。米中の対決は長期戦になる。

わが国は日米同盟を基軸とし、時代の大きな変化に活路を見いだしていく努力が求められる。

北朝鮮は、わが国にとって目の前の脅威として存在する。日本人拉致問題の解決も急務だ。

今夏、トランプ氏と金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が行われた。共同声明で金委員長は「朝鮮半島の完全な非核化」を表明し、トランプ氏はこれが成果だと胸を張った。だが、残念ながら何も決まらず、何も変わっていない。

金委員長に約束させるべきは北朝鮮の核や大量破壊兵器、弾道ミサイルを「完全かつ検証可能で不可逆的に廃棄」させることだったのに、できていない。

≪地殻変動を乗り越えよ≫

トランプ氏が北朝鮮の体制保証を約束し、会見で国交正常化への意欲を示したのは、いかにも前のめりだった。在韓米軍の撤退を要求し、自国の非核化を遅らせる口実すら与えた感がある。

北朝鮮が偽りの政治ショーにたけた国であることを忘れてはならない。同盟国としっかりと足並みをそろえ、制裁の厳格な履行など強い姿勢で臨み続けるべきだ。

ひるがえってわが国は、安倍晋三首相が自民党総裁選で3選を果たし、戦後外交の総決算に向け正念場を迎えている。この一年、米中露という大国相手に、長期政権と国民世論の支持を背景に大いに存在感を発揮したといえよう。

ただ、首相の訪中はいただけない。国際社会が「一帯一路」から距離を置き始める中、それに手を貸すかのような経済協力は世界の潮流に逆行してはいまいか。ペンス米副大統領の中国に関する演説は、対中融和に傾く日本の外交姿勢に鋭く突き刺さった。

プーチン露大統領とは1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結の交渉を加速させることで合意したが、これも危うい。宣言は色丹島と歯舞群島を引き渡すと記されているだけだからだ。

来春、天皇陛下が譲位され、御代が替わる。

世界は大きな地殻変動が起きている。そのスピードはとてつもなく速い。まるで、自分で自分の国を守るための憲法改正すら議論できない、わが国の未熟な国内情勢をあざ笑うかのようでもある。

国際社会は日本の事情を斟酌(しんしゃく)しない。国益の最大化をためらう理由もない。来年は日本がより一層飛躍する一年としよう。
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[東京新聞] 年の終わりに考える じわじわじわじわ (2018年12月31日)

「今年の漢字」は「災」でした。自然災害に、トランプ台風まで含めれば、世界も納得の一字かも。でも、ここでは「漸」を挙げてみたいのです。

クリスマスまで一週間、ジングルベルに街が浮足立ったころでした。新たな防衛力整備の指針、いわゆる「防衛大綱」が閣議決定されたのは。いろいろ重いニュースも多かった一年も最終盤になって、またまた嘆息を禁じ得なかったのは、その中身です。

ヘリ搭載型護衛艦の事実上の空母化、敵基地攻撃能力とみなされかねない長距離巡航ミサイルの配備などが盛り込まれました。改修した護衛艦には最新鋭ステルス機の搭載が想定されています。


◆戦争に近づく
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政府は、艦船には「戦闘機は常時搭載しない」から空母ではないといい、長距離巡航ミサイルもあくまで防衛のためだといいます。しかし、いずれも使い方によっては簡単に「攻撃型」に転じ得る。長く守ってきたわが国の原則、「専守防衛」が骨抜きにされていく印象が否めません。

安倍政権は「専守防衛は逸脱しない。心配ない」と言いつつ、この国をまた少し、じわっと戦争に近づけたのではないか、と感じました。そして、思い起こせば、第二次安倍政権になってから、この「じわっ」が続いています。

きなくさい情報が隠されてしまう面がある特定秘密保護法で、じわっ。過去の政権が「保持しているが行使できない」としてきた「集団的自衛権」を、閣議決定で「行使容認」し、じわっ。同盟国の戦争に加われるようにした安保関連法で、じわっ。反戦運動など市民の自由な行動を縛りかねない「共謀罪」法で、じわっ。そして、空母化や長距離巡航ミサイルで、また…。

そのつど、「平和主義は堅持する。心配ない」と政権は言いながら、その実、原則を次々に変質させ、日本はじわじわじわじわと戦争へ近づいている−。そんな気がしてなりません。だから、「漸」の字が思い浮かんだのです。

安倍晋三首相が念願とする九条に自衛隊を明記する改憲は、そのとりあえずの仕上げでしょうか。

もし、政権が「平和主義も専守防衛の看板も下ろし、憲法九条を変え、戦争用の法整備もし、敵基地攻撃可能な軍備を強化して、いつでも戦争をできる国にします」と言ったら、どうでしょう。個々のことは「政権が『心配ない』と言うのだから」と許容した人も、考えを変えるかもしれません。

いっぺんに大胆にことを進めるのではなく、漸進。まるで、歩哨の目を恐れる兵士の匍匐(ほふく)前進みたいに、じわじわ少しずつ…。


◆温暖化も人口減も
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この「じわじわ」というのは、本当に曲者(くせもの)です。

話が桂馬筋に進むようですが、例えば地球温暖化。今月、温暖化防止の国際ルール・パリ協定の締約国会議で協定実施の指針が決まりましたが、世界が一枚岩で切迫感をもってこの問題に取り組む体制になったとは、言い難い。

もし、いっぺんに五度も十度も平均気温が上がれば、さすがに「温暖化はでっち上げ」などという妄言も消えうせましょう。しかし、温暖化もじわじわ少しずつ進む。無論、まだそれで助かっているわけですが、ゆえに、真の脅威と実感しにくい面があるのは確かでしょう。

わが国の人口減にも同じことが言える気がします。今から五十年足らず後、二〇六五年には現在より四千万人も減って八千万人台になると、ほかならぬ国が推計しているのに、まだ、政治は成長主義一辺倒。成長の限界の先、今より小ぶりな国として、それでも堂々、豊かに生き抜いていける道を模索する気概をほとんど感じません。人口も漸減、一挙にではなく、じわじわ少しずつ減っていくからでしょう。

そういえば、私たちには、最悪のことはわが身には起こらないと考え、好ましくない兆候を過小評価する心の傾き、いわゆる「正常性バイアス」があるそうです。また、問題の当事者が多いほど、自分でなくても誰かがやるだろうと高をくくって行動しない、いわゆる「傍観者効果」も働くと、心理学は言います。

どちらも「じわじわ」の眩惑(げんわく)力を助長しかねず、心しておきたいところです。


◆ゆで上げられないよう
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よく言われるたとえで恐縮ですが、カエルの話を思い出します。

熱い湯にカエルを入れたら、すぐに飛び出すが、水に入れてじわじわ温度を上げていくと、そのままゆで上がってしまう−。

来る年には、うれしい出来事も多く待っておりましょう。ただ、よくない方にじわじわ進むこともあるはず。“温度変化”に敏感でいたいものです。
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[毎日新聞] 国会のこの1年 首相の下請けが強まった (2018年12月31日)

「国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか」??。大島理森衆院議長が、こんな異例の談話を発表したのは通常国会終了後の今年7月末だった。

森友学園問題で財務省が手を染めた決裁文書改ざんなどに対し、三権の長の一人が「民主主義の根幹を揺るがす問題」と言い切って政府に猛省を促す一方、それに国会がきちんと対応できなかった危機感を与野党議員に問いかけたものだった。

だが談話が、その後生かされなかったのは、先の臨時国会で安倍晋三首相ら政府と与党の自民、公明が短い審議時間で強引に成立させた改正入管法を見れば明らかだ。

結局、国会の空洞化が一段と進んだ1年だったと言うほかない。


内閣がいびつに突出
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森友学園問題が発覚したのは昨年2月。そして安倍首相や妻昭恵氏らの名が記された部分の削除等々、財務省が文書改ざんを認めたのは今年3月だった。この間、国会は偽りの文書を基に質疑が続き、昨秋の衆院選も行われたということだ。

その後、財務省は改ざんに関する調査報告をまとめ、国会でも野党の追及が続いたものの、肝心の「なぜ値引きされたか」「なぜ改ざんしたか」の疑念は今も解明されない。

麻生太郎財務相は国会と国民を欺いた改ざんの責任を取ることなく続投し、首相も「自分も妻も無関係」と言い続けるだけで説得力のある説明はない。憲法が記す衆参両院の国政調査権が、いかに弱いものかを知らしめてしまったと言ってもいい。

国会を「国権の最高機関」と明記している憲法に貫かれているのは、立法、行政、司法が相互に抑制し合い、バランスを保つことで権力の乱用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する三権分立の秩序と原則だ。

ところが安倍首相の「1強体制」が続く中、内閣の力がいびつな形で突出し、国会はもはや内閣の下請け機関に成り下がっている。

言うまでもなく、国会を軽視する安倍首相の責任が一番重い。だが議院内閣制の下、与党は内閣を支えると同時に、その内閣を厳しく監視・チェックするのも責務のはずだ。国民の代表という誇りを自民党議員は捨ててしまったのだろうか。

9月の自民党総裁選で安倍首相は3選され、既に第2次安倍政権は7年目に入った。総裁選の党員票では石破茂氏が予想を上回る約45%を獲得し、地方の根強い不満を示した。にもかかわらず首相が批判を誠実に受け止める様子はなく、首相に物言わぬ自民党の空気も変わらない。

自民党は国会で質問時間の配分を増やすよう要求しながら、外国人労働者受け入れを拡大する改正入管法の審議では会期中の成立を急ぎ、参院での与党の質問時間を一部放棄した。まるでつじつまが合わない。


「予備的調査」の活用を
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状況を変える方策はある。例えば1997年の衆院規則改正で設けた「予備的調査」の活用だ。40人以上の議員が要請すれば、府省に対して資料提出などの協力要求ができる。与党が同意しないと国政調査権に基づく証人喚問が実現しない現状を見れば野党にとっては有効な手段だ。

最近用いられなくなったのは、拘束力に乏しく「刑事訴追を受けている事件」は見合わせる制限もあるからだという。今年3月の森友問題に関する佐川宣寿・元財務省理財局長の証人喚問でも突き当たった壁だ。

しかし国会と司法の役割は違う。それを考えれば予備的調査は、規則を変更してでも、もっと柔軟に活用すべきではないか。調査を単なるパフォーマンスに終わらせないためにも、調査後は報告書を与野党でまとめて公表する作業も欠かせない。

国会の議論を活性化させるためには、かつて小泉純一郎政権で検討された与党による事前審査の廃止も真剣に考える時だ。

政府提出法案を事前に政府と与党が調整し、国会に出てきた時には修正することなく成立する。事前審査が、国会を単なる採決機関にしてしまう元凶と指摘されて久しい。

非公開の調整より国会の場で政府をただした方が国民にも分かりやすい。自民党が国会での質問時間を増やしたいというのなら、なおさら事前審査はやめるべきではないか。

自民党の小泉進次郎氏は財務省の文書改ざんを「平成の政治史に残る大きな事件」と語った。国会のふがいない対応も含め大事件と言うべきである。来春、平成が幕を下ろす前に各党で国会改革を実現させたい。
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[読売新聞] 文化財の被災 安全対策を施して活用したい (2018年12月31日)

観光資源として文化財を活用する以上、災害による被害を極力防ぐ対策を講じる必要がある。

今年相次いだ地震や台風など、自然の猛威は、被災地の歴史的建造物や史跡などに多大な被害をもたらした。国指定のものだけで、800件超が倒壊や崩落などの損傷を被った。

9月の台風21号では、京都・西本願寺の土塀が倒壊した。奈良・春日大社の屋根も一部破損した。北海道地震では、函館市の五稜郭跡の石垣が部分的に崩落した。

突然の揺れなどで建造物が損壊すれば、観光客らが負傷する恐れがある。地震や強風に見舞われた際の危険性を調べた上で、必要ならば耐震補強や樹木伐採といった安全対策を急ぎたい。

問題なのは、対策を講じる必要があるのに、実行に移されていないケースが多いことだ。

会計検査院報告で、実態の一端が明らかになった。耐震予備診断で「疑義あり」と判定された国の重要文化財423棟のうち、約9割が専門的な診断に進んでいなかった。いずれも不特定の人が出入りしている建造物だ。

専門的な診断へ進み、「性能不足」と判定されながら、耐震補強などを1年以上実施していない建造物も複数あった。

政府は、地域活性化などのために文化財の活用を掲げている。多くの人が訪れる場であり続けるためには、所有者や管理者による適切な管理・保全が不可欠だ。

それには相応の費用を要するとはいえ、安全確保を蔑(ないがし)ろにしてはならない。国の補助金に頼るだけでなく、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを採用するなど、知恵を絞りたい。

長野県松本市の国宝・松本城のように、耐震性に問題のある一部の建造物を立ち入り禁止にするといった手法もある。問題を放置せず、対処方針を立てることが大切である。文化庁は、その必要性を周知徹底すべきだ。

無論、文化財の災害対策は、見学者の安全確保のためだけに行うものではない。貴重な文化財を保護し、次代に継承していく本来の趣旨を忘れてはならない。

修復は、原状回復が原則だ。大雨により石垣が崩落した香川県丸亀市の国史跡・丸亀城跡では、石の一つひとつを元の位置に戻すことが可能だという。石垣の形状などを詳細に記録した図面を事前に作成していたためだ。

日頃から文化財をしっかり管理する取り組みが、ひいては活用にも資することを認識したい。
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[読売新聞] TPP発効 自由貿易強化へ加盟国拡大を (2018年12月31日)

公正で高度な経済ルールを世界に行き渡らせ、自由貿易体制の強化につなげていきたい。

日豪など11か国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)が、手続きを終えた6か国で発効した。

関税撤廃に加え、貿易や投資、知的財産権などに関するルールが整った。成長著しいアジア太平洋地域でモノや資金の流れが円滑になる意義は大きい。

日本の消費者や企業は、TPPで多くのメリットを得る。輸入牛肉の関税は、38・5%から27・5%に下がった。16年目で9%になる。カナダへの乗用車輸出は5年目に関税が撤廃される。

2月には、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も発効する。TPPとEPAを輸出入拡大の好機とすべく、企業と生産者は、実効性の高い投資計画や販売戦略を練ることが大切になる。

トランプ米政権は自国第一主義を掲げ、TPPから離脱した。制裁関税を一方的に課すなど、身勝手な振る舞いを続け、自由貿易を蔑(ないがし)ろにすることは許されない。

参加国が自由貿易の恩恵を享受することは、保護主義政策を進める米国への圧力になるだろう。

TPPは、経済と軍事の両面で域内の覇権を握ろうとする中国を牽制(けんせい)する役割も担う。

協定には、中国を念頭に知的財産権の侵害を防ぐ規定なども盛り込まれた。将来、TPPのルールが国際標準になれば、こうした行為を中国は続けにくくなる。

世界にTPPルールを広げるには加盟国の拡大が欠かせない。

11か国は来月、新規加盟について協議を始める。タイや英国などTPPに関心を持つ国は多い。

日本は米国離脱後のTPP交渉を主導した。加盟交渉でも指導力を発揮することが求められる。

他の経済圏の構築に力を入れ、自由貿易体制をより強固にすることも日本の重要な課題になる。

中国やインドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の妥結を急ぐべきだ。

日本は来月にも米国との物品貿易協定(TAG)交渉を始める。米国は農業の市場開放や、通貨安誘導を制限する「為替条項」の導入などで、TPPを上回る成果を上げようとする可能性がある。

TPPの合意内容は、参加国が長年の交渉の末に至った、ぎりぎりの落とし所だ。TPPを超える譲歩は避けねばならない。

TAGを同水準の内容にすれば、米国が将来、TPPに復帰する素地を残すことにもなろう。
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[朝日新聞] 平成の30年 それでも、確かなことは (2018年12月31日)

平成最後の天皇誕生日、一般参賀。2時間半立ちっぱなしで待ち続け、11時50分、さあ、いよいよ。

「天皇陛下万歳!」

声を上げたのは、民族派新右翼団体「統一戦線義勇軍」議長の針谷大輔さん(53)。朝6時半までタクシーに乗務し、30分仮眠して駆け付けた。「万歳!」。メンバーが後に続くが、広がりはない。会場を満たすのは日の丸の小旗が振られる音。パタパタパタ。皆が息を合わせて振り、下ろし、お言葉に静かに耳を傾け、粛々と帰途につく。

■格差拡大と「成熟」

「最後だから、実物を見てみたいと思って」と話す、平成元年生まれの女性2人組。「こんな大変なイベントとは思ってなかった」と、ディズニーランドの待ち時間と比較していた20代前半くらいの男性グループ。

熱狂はない。屈託もない。

「つまり、『自然』ってことですよ」。針谷さんは滔々(とうとう)と語る――世の中は足早に変わる。人は自分の存在意義がわからず不安になる。冷戦が終結し、災害が頻発した平成は特にそう。でも、陛下は変わらずいて下さる。安心する。ありがたいと思う。それはごく自然な感情でナショナリズムとは違う。あなたたちリベラルは、そういう感情を否定しすぎた、だから今、力を失っているんですよ――。

どう答えるか思案するうち、皇居外苑で記帳を待つ長い列に行き当たった。針谷さんがつぶやく。「この列の長さは、不安の深さなのかもしれませんね」

この日集まったのは8万2850人。平成で最多だった。

今年話題となった「新・日本の階級社会」。著者の橋本健二・早稲田大教授は「格差社会」という言葉が認知された最初の例は、1988年11月19日付の朝日新聞社説「『格差社会』でいいのか」ではないかと書く。元号が平成になる約2カ月前、時はすでにバブル。昭和最後の国民生活白書は、国民の格差に対する意識は「成熟化しつつある」とした。多くが「格差は拡大した」と実感していたが、個人の選択や努力で生じた格差は容認する傾向が強い、と。

社説はこれを真っ向批判した。「資産課税の強化を求める声を、『女こどものひがみ』と切り捨てた政治家がいた。ひがまないのを成熟した『おとなの意識』というのなら、未熟の方がましだ」

そして、30年。バブルの崩壊、就職氷河期、ワーキングプア……。個人の選択や努力では覆せぬ理不尽に、当事者も傍観者も仕方ないと独りごち、社会は熟した。いびつに、過剰に。

■残酷な個別化の浸透

90年代半ば以降、日本の若者は雇用環境や労働条件の変化に翻弄(ほんろう)された。一方、経済の低迷や閉塞(へいそく)の原因は若者の「劣化」だとの言説が広まった。「ニート」批判はその典型だ。

「結果、若者の雇用状況に対する政策的な対処が極めて不十分なものにとどまり、個々人のサバイバルを称揚する社会的風潮が色濃くなった。罪が深い」と、教育社会学者の本田由紀・東京大教授は話す。さらに、学校教育へのてこ入れも強化される。その基盤は2006年、安倍政権のもと、教育基本法の改正によって整えられた。

幸福度や満足度は高いが、自己否定的。自分の能力だけで生き抜かなければと強迫観念を持ち、能力がないやつがどうなろうと知ったことではない、現状に不満はあっても変えようなんて思えない――そんな「残酷で個別化された意識」が、平成の若者の間に広く深く浸透していると本田さんは見る。ただし、若者はただバラバラにされているだけではない、とも。

■「自然」ってなに?

こんなデータがある。福岡県の高校生約1600?1700人を対象に、01年、07年、13年に実施した調査結果によれば、「日本の文化や伝統は他の国よりも優れている」を肯定するのは29%→38%→55%。「行事の際に国歌・国旗を用いるべきだ」を肯定するのは、17%→26%→39%だった(友枝敏雄編「リスク社会を生きる若者たち」)。

「つまり、『自然』ってこと」。その言葉を反芻(はんすう)する。

天皇は、国民統合のあくまで「象徴」である。この社会のあちこちにある亀裂や分断線を修復し、「共に生きている」という安心感を醸成する責任は政治にある。ところが今、その役回りを象徴天皇に背負わせてしまっていないか。人々が抱いている不安や不満から目をそらし、力で抑え込むことさえいとわない安易かつ無責任な政治のもとで、もしなにか生きづらさを感じるのなら、声をあげ、政治に責任を果たさせる。それこそが「自然」ではないだろうか。

もうすぐ平成が終わる。

この先、なにがどう変わるのか、それはわからない。ただ、「こんな社会にしたい」という意志を持つことなしに、自分たちが望む社会は生まれ得ない。

そのことだけは、確かだ。
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2018年12月30日

[産経新聞] 【主張】TPP発効 飛躍につなぐ好機とせよ 保護主義封じる自由貿易圏に (2018年12月30日)

新たな成長への扉を開く自由貿易圏の誕生である。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効がもたらす恩恵に期待したい。

人口減少による国内市場の縮小に直面する日本にとって、アジアなどとのつながりを深め、その活力を取り込むことのできるTPPが始動する意義は大きい。

企業はこれを存分に活用し、貿易や投資のビジネス機会を広げてほしい。消費者にとっても、安価で安全な海外産品が広まれば、暮らしを豊かにする一助となる。

世界に台頭する保護主義とは対極をなす枠組みである。日本はTPPを通商の基本に据えて、開かれた自由貿易圏づくりをさらに進めていかなければならない。

《中小企業の恩恵大きい》

米国の離脱で規模こそ縮小したものの、11カ国の国内総生産(GDP)は世界の13%を占める巨大さである。高水準の関税撤廃や先進的な共通ルールは、自由貿易の世界標準たり得る内容だ。

関税の撤廃や削減は輸出産業を後押ししよう。ただ、日本からの輸出は、企業の競争力や為替動向にも左右される。むしろ注目したいのは、日本企業が海外に出やすくなることである。

11カ国の中には不透明な貿易慣行や過剰な国内産業保護が残る途上国もある。これらが日本企業の海外展開の障害となっていた。

TPPはルール分野で、投資や知的財産の保護、通関手続きなどを幅広く規定し、国有企業の優遇策にも制限を加えた。

その効果は、海外で柔軟に対応してきた大企業よりも、海外進出に踏み切れなかった中堅・中小企業や地方企業の方が大きいのではないか。これを飛躍につなげる構想力と行動が問われよう。

輸入品流入への警戒は、特に農畜産業界において強い。国内農業が弱体化しないよう、適切な対策を講じるべきは当然である。

国は巨額の対策費を予算に計上してきた。ただし、お金をつぎ込めば済むと考えるのは誤りだ。かつてコメを部分開放した際、巨費を投じたのに農業衰退に歯止めがかからなかった教訓もある。

大切なのは、品質やブランド力に磨きをかけるとともに、IT活用などで生産性を高めて競争力をつけられるかである。TPP各国に農産品を輸出する攻めの経営も有益だ。担い手不足を解消するためにも農業の魅力を高めたい。

TPPには、タイやインドネシア、韓国、台湾、コロンビア、英国などが関心を寄せている。これらが合流する、加盟国の拡大論議が来年以降の焦点となる。

ここで思い起こすべきは、経済や軍事の覇権を追求する中国である。中国は国家による経済への不透明な介入など、市場経済とは相いれない経済運営を改めようとしない。TPPには元来、これと異なる経済秩序を築き、中国の膨張を牽制(けんせい)する戦略的意義がある。

《整合性ある対米交渉を》

米国がTPP離脱を決めた際には、中国になびこうとする国も多かった。それが今では世界の目が再びTPPに向かっている。この機を逃さず仲間を増やしたい。

米中摩擦の激化により、日本企業は米国や中国で展開する生産網の再構築が迫られている。TPP発効や加盟国拡大は、進出先の選択肢を広げることにも資する。

TPPの意義を高める上で、米国との通商協議も重要である。トランプ政権がTPPに復帰するとみるのは現実的ではない。だからといって「ごね得」を許す道理もない。TPPを上回る譲歩はしないという原則を貫かなければ、日本に対する加盟国の信頼は失墜すると覚悟すべきだ。

農業などの物品貿易に限った協議を優先させたい日本に対し、米国はサービスなども含む包括的な協定を目指しており、この違いを懸念する声がある。

ただ、米国が列挙する22項目の交渉分野の多くはTPPとも重なる。保護主義的な管理貿易の手法を排すなど、TPPと整合的な中身にできるなら、包括的かどうかに大きな意味はない。重要なのは将来的に米国がTPPに復帰する余地を残すことである。

来年2月には欧州連合(EU)との経済連携協定も発効する。自由貿易の枠組みが成果を重ねることは保護主義の広がりを封じる最善の手立てとなる。TPPを主導した日本は、今後も旗振りの役割が期待されていることを認識しておかなければならない。
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[東京新聞] 平成と経済 昭和と格闘した日々 (2018年12月30日)

平成はバブル経済と共に幕が開きました。虚構の繁栄は間もなく崩壊し模索の時代が始まりました。平成経済は昭和を残したまま終わろうとしています。

「日本人はバイタリティー(活力)がある。だから大丈夫だ」

平成が始まった一九八九年暮れに日銀総裁となった三重野康氏(故人)から、取材中に何度も聞いた言葉です。

当時、低金利が原因で金が野放図に駆けめぐり、株価や地価が異常に高騰。一部の人々は投資に酔いしれていました。


◆バブル退治の鬼平
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いびつな時代に終止符を打ったのが三重野氏です。バブル退治を掲げ、国が嫌がる金利引き上げを何度も断行しました。「平成の鬼平」と呼ばれました。

この利上げが効き過ぎ、デフレを引き起こしたとの指摘があります。しかしバブルを退治しなかったら、日本は闇資金がうごめく破綻国家になっていたのではないか。三重野氏はやはり正しい選択をしたのでしょう。

戦後復興の活力があれば、バブル最大の負の遺産、不良債権を片付け景気は上昇軌道に戻る。三重野氏は、こう確信していたのではないか。

だが、政府・日銀は、公共投資による景気刺激と、金融緩和による円安で輸出企業を支援する従来の経済政策を繰り返す。古い産業を捨て新たなビジネスを生み出すには、バブルの傷は深すぎたのです。


◆広がる将来への不安
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不安に拍車をかけたのは少子高齢化です。この問題は平成初期にすでに指摘されていました。少ない働き手が高齢層の年金を負担する近未来図が、逆三角形型のグラフを用いて説明されていました。

平成六(一九九四)年二月、細川護熙内閣が国民福祉税構想を打ち出す。消費税を廃止し、新たな税収は年金の原資を念頭に福祉に使うという計画でした。

細川首相が旧官邸で未明に行った記者会見に出ました。首相が新税について「腰だめではありますが…」と言った直後、質問が噴出。首相は説明不足を露呈し、数日後には構想自体を撤回せざるを得なかった。

平成は消費税という大型付加価値税と向き合った時代でした。国民は、年金の財源として消費税率を上げざるを得ない現状を認識しています。ただアップした税収が本当に年金に使われるのか疑念を持ち続けています。

消費税をやめて使い道を年金の原資と限定した税が創設されていたら、今どうなっていたのか。好機を逸してしまったという思いはぬぐえません。

米国の著名な経済専門家であるグレン・ハバードとティム・ケイン両氏は共著「なぜ大国は衰退するのか」(日本経済新聞出版社)で日本経済について、「起業家精神や革新を重視し、個人の失敗にきわめて寛容で、資本市場が小規模なベンチャー企業にも開かれている制度を、まったく新しい形で創造しなければならない」と指摘する。

しかし起業家を過度に警戒し、個人の失敗に不寛容で、資本市場では依然大企業が幅を利かせているのが現状ではないか。

平成の三十年はすでに色あせてしまった昭和の成長モデルと格闘し、結局、そのかなりの部分を残存させました。

この間、世界各国ではグローバル経済が広がりました。その象徴的な存在が巨大な金融資本とIT企業です。

この二大勢力は国境を無効化しつつあります。多くは巧妙に巨額の節税をします。納税者はこうした資本家たちに怒っています。

米国のトランプ政権の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱、フランスのマクロン政権への反発は、グローバル化による分断が背景にあります。日本でも格差による分断は進行しています。ただ大きな社会不安には至っていない。

それは戦後経済が生み出した果実が、金融資産や社会基盤という形で残っているからです。日本経済には、まだ少し余力があるといえます。


◆民を救う日々は続く
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経済という言葉は経世済民を略したとされます。「世を治めて民を救う」との意味です。世界では「救われていない」と感じた人々が、国家や資本家に憤り、無力感さえ漂っています。

国内でも同様です。少子化に伴う働き手不足、ブラック企業の広がり、増える非正規労働…。足元の課題に加え、人工知能(AI)の発達による職場激変の波も押し寄せるでしょう。

新しい時代、まずは経世済民の言葉に恥じない「温かな資本主義」というべき、包摂型の経済運営の広がりを主張していかねばなりません。
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[毎日新聞] 沖縄市町村に直接交付金 根拠法なき恣意的配分だ (2018年12月30日)

米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐって政府と沖縄県が対立する中、政府が県を介さず市町村に直接渡すことのできる新たな交付金30億円を来年度予算案に計上した。

従来の沖縄振興一括交付金は国から県に支出し、県がその3割を市町村に配分してきた。2014年度の1759億円をピークに来年度は1093億円まで減っている。

県が要望していたのは一括交付金の増額であって、新交付金については寝耳に水だった。8月の概算要求になかったものが突然、関係者への説明もなく予算案に盛り込まれた。

9月の知事選で辺野古移設に反対する玉城デニー氏が当選したことと無縁ではないだろう。市町村に対する県の影響力をそぐ狙いがあるのではないかと県側は警戒している。

そもそも一括交付金制度は民主党政権時代、自治体側が使い道を選べる自由度を広げ、地方分権を進める目的で導入されたものだ。安倍政権に代わって、全国を対象とした制度は13年度に廃止された。

沖縄のみに残されたのは基地負担などの特殊事情を考慮したからだ。沖縄振興特別措置法に基づき、県のつくる事業計画を国が支援する仕組みになっており、市町村への直接交付は想定されていない。

政府は新交付金について「一括交付金を補完するもの」と説明している。しかし、その裏付けとなる法律はない。特措法に基づく一括交付金とは全くの別物なのに、あたかもその一環のように見せかけ、国が恣意(しい)的に配分できる予算の確保を図ったように思えてならない。

県は来年2月に辺野古埋め立ての是非を問う県民投票を予定しており、投票の実施には県内市町村の協力が必要になる。ただ、一部に協力を拒否する動きもあり、そうした市町村に優先的に配分するようなことを政府は考えていたりしないか。

政府の政策に賛成するかどうかで補助金の配分を決めてよいのなら、与党系の首長がいる自治体ばかりを優遇できることになる。

国費の地方への配分は公平・公正でなければならない。特定の自治体に配分するには適正な法手続きが必要になる。そんな民主主義国家として当たり前の原則を安倍政権は軽んじているように見える。
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[毎日新聞] 児童相談所の役割 虐待の一掃に向け全力を (2018年12月30日)

児童虐待の深刻さを改めて突きつけられた1年だった。

全国の児童相談所が対応した虐待は13万件を超え、過去最多を更新した。東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃんが虐待され死亡した事件では、児相職員のずさんな対応や児相間の連携不足が露呈して批判を集めた。

虐待されている子どもを迅速に救済できるよう、児相の機能強化を急がなくてはならない。

政府は結愛ちゃん事件を受け、2022年度までの4年間に児相職員を2890人増員するなどの新プランを正式決定した。現在の1・6倍に当たる人員増である。

この中には経験の浅い職員を指導するスーパーバイザー約300人が含まれる。児相の現場では3?4年で異動する職員が多く、困難なケースに対応できる職員が足りないと指摘されているためだ。

「子ども家庭総合支援拠点」を全市町村に設置することも新プランに盛り込まれた。虐待を受けた子が施設に入らず家庭にとどまる場合、継続的に見守る制度だ。16年の児童福祉法改正で導入されたが、まだ106市町村にとどまっている。

緊急事態に児相が集中するためには、それ以外の仕事を市町村がもっと担う必要がある。

支援拠点は社会福祉法人などに委託することも認められている。子どもの支援の経験が豊富な職員のいる法人もある。地域ぐるみで児相をバックアップすべきだ。

来年の通常国会に提出される児童福祉法改正案には、児相が被虐待児を迅速に保護する方策が盛り込まれる予定だ。全児相に弁護士を常勤させることなどが検討されている。

現行法でも弁護士配置の規定はあるが、常勤しているのは全国212の児相のうち7カ所に過ぎない。親の意向に反しても子どもを保護するには、弁護士の知識やセンスをいつでも活用できる体制が必要だろう。

児相の増設も検討すべきだ。増え続ける虐待に対応するには、都道府県と政令市だけでなく、すべての中核市や特別区に児相があることが望ましい。そのためには国の財政支援が不可欠だろう。

児相は虐待される子を守る最後のとりでだ。国も自治体も全力を挙げて機能強化を図るべきである。
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[朝日新聞] 安倍政権2018年 政治責任とらぬ悪例残す (2018年12月30日)

ことしは日本政治史に大きな汚点を残した。

財務省による組織的な公文書の改ざんと廃棄である。国会と国民を欺き、歴史を冒涜(ぼうとく)する。民主主義の根幹をずたずたにする大事件だった。

それなのに、安倍首相は麻生太郎財務相を続投させた。麻生氏もみずから身を引くことはなかった。

未曽有の不祥事でも、政治責任を取らない。悪(あ)しき前例をつくってしまった。

■麻生財務相の居座り

「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」

安倍首相のこの国会答弁の直後から、森友学園との土地取引に関する公文書の改ざんが始まった。昨年2月のことだ。

朝日新聞が今春に報じて発覚した。だが、その後の財務省の調査はおざなりだった。

国有地がなぜ8億円も値引きされたのか、問題の核心は不明のまま。学園の名誉校長をつとめた首相の妻昭恵氏から直接、話を聴くこともなかった。

改ざんは国有財産を所管する理財局内であったとして、当時の理財局長ら20人を処分した。麻生氏は1年分の閣僚給与170万円を自主返納するだけだ。

行政への信頼を失墜させながら、その重い責任を政治家が正面から受けとめず、もっぱら官僚に負わせる。

これでは、社会全体のモラルが崩れてゆく。

ただでさえ、麻生氏については、閣僚としての見識を欠く言動が相次いだ。

改ざんの方向性を決定づけたとされる幹部を「適材適所」と評価し続ける。財務省の調査ではっきりしなかった改ざんの動機を問われ、「それが分かりゃ苦労せん」と言い放つ。財務事務次官のセクハラについても、「はめられて訴えられているんじゃないか」。

■問われる閣僚の資質

この1年、安倍政権の閣僚は多くの問題を引き起こした。

しかし、麻生氏が重要ポストに居座ったことで、閣僚たちがおのれの責任を軽んじる風潮がまんえんしたように見える。

柴山昌彦文科相は就任早々、「教育勅語」を「道徳などに使える」と発言した。片山さつき地方創生相は政治資金収支報告書を短期間に4度も訂正した。河野太郎外相は記者会見で4回続けて「次の質問どうぞ」と記者の質問を無視した。

答弁の粗雑さも目立った。

野党の質問をはぐらかし続ける加藤勝信厚労相(当時)らの手法は、パンは食べたが米は食べていないので、「朝ご飯は食べていない」と答える「ご飯論法」と命名された。

山下貴司法相は、外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案の審議で、技能実習生が法令に反する労働環境に置かれていたのを隠すような説明を繰り返した。

閣僚の野放図さに加えて、与党の強引な国会運営が、立法府の空洞化をさらに進めた。

働き方改革法も、参院の定数6増も、カジノ実施法も、入管法改正も、噴き出た異論や慎重論をねじ伏せて採決を強行し続けた。

これまでも安倍政権は、特定秘密保護法、安全保障関連法、「共謀罪」法などを「数の力」で成立させてきた。その手法が極まった観がある。

■42年前の警句いまも

政治責任をないがしろにする政治は首相自身がつくった。

森友・加計問題について、いまだに国民が納得できる説明をしていない。森友問題では「贈収賄はないという文脈で関わっていない」と述べ、責任を限定する構えを示した。

しかし、刑事責任がなければいいという話は通じない。国民の負託を受けて公権力を行使する政治家には、より幅広い政治的道義的責任が求められる。

現状に通じる警句がある。

「政治責任が有効に機能しないところには民主主義が存在しない」

憲法学の杉原泰雄・一橋大名誉教授の言葉だ。42年前のロッキード事件の際に発せられた。疑惑をもたれながら刑事責任までは問えない「灰色高官」が話題になったころだ。

時代状況は違うが、安倍政権のもとで、民主主義はいま危機的状況に陥っている。

典型例が、国会での採決強行や沖縄の辺野古の海への土砂投入だ。「上意下達」で異論を切り捨てる姿勢は、少数意見も尊重し、自由な討議を通じて政策や法律を練り上げる民主主義のあるべき姿からはほど遠い。

それでも政権への支持は底堅い。朝日新聞の12月調査でも内閣支持率は40%あった。

理由は「他よりよさそう」が圧倒的だ。経済はそれなり。野党は頼りない。だからとりあえず現状維持でいい、ということなのだろう。

だが、年の瀬に改めて問う。

政治責任を顧みず、「多数に従え」という政治を、来年も続けますか。
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[読売新聞] パイロット飲酒 基準の強化はやむを得ない (2018年12月30日)

パイロットは多くの人命を預かる立場にある。乗務前の飲酒について、厳格なルールを定めるのはやむを得ない。

航空各社で相次ぐパイロットの飲酒問題で、国土交通省が新基準をまとめた。アルコール検査で呼気1リットルあたり0・09ミリ・グラム未満という基準は、世界で最も厳しいレベルだ。

国内25社のパイロットの場合、精密な検知器で少しでも値が検出されたら、乗務を禁じる。機内での飲酒を防ぐため、乗務後にも検査する。他部門の職員の立ち会いや検査記録の保存、飲酒事案の国交省への報告も義務付けた。

新たな基準の適用は、来年2月以降となる見通しだ。再発防止に向けて、航空各社は態勢整備を急がなければならない。

日本航空の副操縦士による乗務前の大量飲酒が発覚したことが、問題の発端だ。「酩酊(めいてい)状態だった」として、英国で11月に禁錮10月の実刑判決を受けた。自社の呼気検査を不正にすり抜けたとされ、同僚も異変に気付かなかった。

日航以外の航空会社でも、自社基準を超えるアルコールが検出され、乗務停止になっていた事例が相次いで明るみに出た。各社の検査方法は統一されていなかった。検知器さえ使用していない会社があったのには驚かされる。

業界全体で、危機管理の意識が低かったと言わざるを得ない。

現行法令にはアルコールの基準値がなく、検査も義務付けられていない。パイロットの高い職業倫理に基づき、自己管理するのが前提だったからだ。国交省も「基準の運用は各社の自主性に委ねるのが望ましい」との立場だ。

厳格なルールに頼るしかない事態は嘆かわしいが、信頼が損なわれた以上、必要な措置だろう。航空各社には、疑念を生じさせない検査の実施が求められる。

国内の航空会社にだけ、アルコールが少量でも検知されれば乗務できないとの基準が示されたことには、現場から戸惑いの声もある。誤検知などによる混乱が生じないようにすることが大切だ。

航空業界では、パイロット不足による業務負担の増加が懸念される。ストレスから逃れるため、アルコールに過度に依存する可能性も否定できない。日航では、乗務中の女性客室乗務員が機内で飲酒したとされる事案も発覚した。

依存症が疑われる職員へのカウンセリングを充実させ、早期かつ適切に実施する必要がある。航空各社は、乗務員全体の教育の徹底と健康管理に努めるべきだ。
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[読売新聞] 訪日客3000万人 さらに伸ばすには工夫が要る (2018年12月30日)

増加する訪日客を円滑に受け入れられる環境を整えることが大切だ。

訪日外国人旅行者が今年、初めて3000万人を超えた。この5年で3倍の急増ぶりである。

政府がアジア諸国に対するビザの発給要件を緩和したほか、航空各社が路線を拡充するなど、テコ入れ策が功を奏した。

外国人観光客の増加は、日本に関する国際的な理解を広げる。買い物や宿泊を通じて経済の下支えにもつながる。「観光立国」に向けた取り組みが順調に進んでいることを歓迎したい。

政府は2020年に4000万人に増やす目標を掲げる。成長戦略の柱として実現を図りたい。ただ、達成には課題も多い。

大勢の観光客を受け入れたことによる弊害が目立ち始めた。国際線の座席がすぐに埋まり、海外へ行く日本人が希望通りに確保しにくい状態が続いている。輸送力の強化は喫緊の課題だ。

国際空港の発着枠拡大やパイロット不足の解消などを着実に進めることが求められる。

大都市や人気の観光地を中心にホテルなどは満杯状態だ。地域ごとの需要を十分に勘案し、宿泊施設の整備を進めたい。

訪日客の増加による「観光公害」も看過できない。

京都や神奈川・鎌倉では電車、バスの混雑や交通渋滞で、住民生活に支障が出ている。マナーや生活習慣の違いも、各地であつれきを生んでいる。日本人観光客の足も遠のきかねない。

観光公害の背景には、外国人客の訪問先が、東京―京都―大阪の「ゴールデンルート」に集中していることがある。地方の魅力ある観光資源を発掘して外国人に周知し、訪問地を分散化させたい。

相次ぐ災害への対応も重要だ。北海道地震や台風21号の際には、避難先が分からず、立ち往生した外国人旅行者が目立った。

各自治体は、多言語で避難に役立つ情報を発信する態勢を整備するなど、外国人の不安解消に資する施策を急ぐ必要がある。

政府は来年1月7日、国際観光旅客税を導入する。海外への出国者から1人1000円を徴収する。日本人も対象となる。

19年度予算案では500億円の税収を見込んだ。空港手続きの迅速化や公共交通機関の多言語対応など利便性向上に充てる。文化財や国立公園の付加価値を高める取り組みにも使う。

新税を導入する以上、効果的に活用することが欠かせない。
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2018年12月29日

[東京新聞] 沖縄県民投票 全有権者参加の道探れ (2018年12月29日)

辺野古新基地の是非を問う沖縄県民投票を巡り、一部の市が意義を疑問視し実施を拒否・保留する事態となっている。県、市は協議を重ね全有権者参加の道を探ってほしい。分断と対立は無意味だ。

県民投票は県民有志が約九万三千筆の有効署名を集め県に請求。県議会が条例案を可決し来年二月二十四日に行う。辺野古埋め立てを賛成、反対の二者択一で問う。

県が経費を負担し四十一市町村に投開票を委ねる。ただ十二月議会で、米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市など七市町が実施経費を含む予算案を否決した。

予算は義務的経費であり、議会が否決しても市町村長が執行できる。だが、宜野湾、宮古島両市の市長は議会判断を尊重し投開票を行わない意向を示した。与那国町長は否決された予算を執行する考え。残り四市は流動的だ。

六市には県内の約35%に当たる有権者がいる。これらの市で投票が行われないとしたら県民投票の意義は大きく損なわれる。

新基地の是非だけでは、返還対象の普天間飛行場の扱いについて県民の意見が反映されないとの宜野湾市などの反対理由も分かる。

しかし、知事選や国政選挙で繰り返し示された新基地反対の民意を無視し政府は今月から、埋め立ての土砂投入を強行している。

十月の就任後、玉城デニー知事は工事を中止した上で普天間の危険性除去を含む沖縄の基地の在り方について政府に話し合いを申し入れてきた。県民の意思を確認するため、あらためて民意を問う意義は大きい。

県民投票条例は投開票を市町村の義務としている。県は必要に応じ反対派の市長に勧告、是正要求をするが、同時に投票の狙いを粘り強く説明する必要がある。市長側も、直接民主主義の意義などを考慮し慎重に最終判断すべきだ。

二〇一九年度の沖縄関係予算編成で、政府は使途に県の裁量権が大きい一括交付金を大幅に減額する一方、市町村に直接交付できる費用を新設した。基地建設に従順な市町村を、県を飛び越え「一本釣り」するつもりなのかと疑う。県民投票を巡る対立まで沖縄分断策に利用されるとしたら、残念極まりない。

辺野古埋め立てについては、県民投票の実施まで中止を求める米大統領あて嘆願サイトへの署名がきのう現在十七万筆に迫るなど世界が注目する。基地負担軽減に沖縄が一丸となって対応することに、私たちも支援を惜しむまい。
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[東京新聞] 少子化対策 子どもの未来へ視線を (2018年12月29日)

チグハグ感は否めない。子育て支援策のことである。妊婦の医療や未婚のひとり親への税制で冷たい対応が露呈した。政府・与党には社会を担う子どもたちを社会で育てようとの気概が見えない。

一年前、安倍晋三首相は「今年の漢字」に「挑」を選んだ。北朝鮮の脅威と並び少子高齢化を挙げ「この国難に挑むため、総選挙に挑んだ年だった」と説明した。

子育て支援は少子化対策の柱だ。政府・与党のその思いは変わっていないはずではなかったか。

ところが一見別々に見える制度のほころびに同じ疑問がわく。

妊娠中の女性が受診した際に「妊婦加算」という自己負担が増える制度が問題となった。今年四月の診療報酬改定で新設された制度で、医療機関は妊婦を診察すると報酬が上乗せされる。妊婦や胎児には投薬などで配慮が必要だ。それを医療機関に促すことが狙いだったが、一方的な負担増に「妊婦税」だと批判が出た。

診療報酬は医学的な観点から必要な医療に報酬をつける制度だ。妊婦に配慮した医療を評価しようとの考えは理解するが、患者目線が足りなかった。

費用負担の多寡ではない。それを求める発想に出産や子育てを社会から歓迎されていないと感じる人もいるだろう。制度は見直しが決まったが、当然である。

与党の対応も指摘する。税制改正大綱で自民・公明両党が対立した項目が、未婚ひとり親の税を軽減する寡婦(夫)控除改革だった。

婚姻歴のあるひとり親が受ける控除を同様に認めようというものだったが、見送られた。自民党の伝統的な家族観がそれを阻んだ。

結婚観も家族の形も多様化している社会の変化を理解しているだろうか。それに親の婚姻歴は子どもとは関係ない。むしろ深刻化する子どもたちの貧困をどう防ぐかに政治は知恵を絞るべきだ。

教育・保育や福祉政策に限らず、子育て支援の視線が必要な政策分野は多いはずだ。政策を考え制度をつくる際には、子育て支援の視線でも見直してみる。そんな意識が大切ではないか。

子育て支援政策を総動員しているとのメッセージを絶えず発する責任が政府・与党にはある。

首相は今月、「今年の漢字」に「転」を選び「未来を好転させるかどうかは私たち自身にかかっている」と述べた。子どもたちはまさに私たちの未来だということを忘れるべきではない。
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[産経新聞] 【主張】米軍シリア撤退 「力の空白」極めて危うい (2018年12月29日)

内戦が続く中東のシリアに「力の空白」が生じて混乱が深まり、イラクなど周辺国にも波及することを強く懸念する。

約2千人のシリア駐留米軍が全面撤退を開始した。トランプ米大統領は過激組織「イスラム国」(IS)に対する勝利をその理由に挙げた。

イラクを初訪問したトランプ氏は、同国駐留米軍の撤退計画はないと言明したが、シリア全面撤退への批判に対して、「米国は世界の警察であり続けることはできない」と強調した。

シリアとイラクにまたがる広い地域を支配したISの打倒は、米軍が主導した。有志連合を率い、地上のイラク軍やクルド人らの武装勢力を支援した。シリアから米軍の姿が消えることが、ISの再起につながらないか心配だ。

支配地の大半を失ったISだが、その実態はテロリスト集団であり、なお多くの戦闘員が一般住民に紛れたり、砂漠に潜んだりしているとみられている。

イラク戦争後駐留した米軍の2011年の全面撤退とシリア内戦で生じた「力の空白」がIS台頭を招いた。オバマ前政権は14年に米軍のイラク再派遣を余儀なくされた。トランプ氏は、オバマ前政権の判断ミスを批判したことを忘れたわけではあるまい。

シリアのアサド政権が勢いを得て、戦闘が激化する事態も懸念される。政権側の化学兵器使用に対し、トランプ政権は2度にわたりミサイル攻撃で応じた。地上軍不在でも、蛮行を阻止する即応態勢を維持せねばならない。

アサド政権は、ロシアやイランが支える。シリア内戦の行方が、同政権とこれらの国々の思惑のみで進められることは望ましくない。米国が何らかの形でシリアにとどまることが不可欠だ。

トランプ政権は、約1万4千人のアフガニスタン駐留米軍も半減させる計画だと伝えられる。世界の警察官の役割を拒むトランプ氏の理屈は、経済的負担が「割に合わない」からであり、その発想自体が極めて危うい。

アフガンではイスラム原理主義勢力、タリバンが跋扈(ばっこ)し、ISも浸透している。イラクも宗派、民族の対立で安定とはほど遠い。

これらの地域では、テロの抑止や秩序の維持に、米軍のプレゼンス(存在)自体が大きな役割を果たしている。撤退に向けた性急な判断は将来に禍根を残す。
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[産経新聞] 【主張】照射動画の公表 動かぬ証拠認め謝罪せよ (2018年12月29日)

海上自衛隊P1哨戒機が撮影した映像のうち、韓国艦が火器管制レーダーを照射したのを確認した場面。レーダーの電波を音に変換してヘッドホンで聞いていた自衛隊員が「めちゃくちゃすごい音だ」と反応している=20日、能登半島沖(防衛省提供) 海上自衛隊P1哨戒機が撮影した映像のうち、韓国艦が火器管制レーダーを照射したのを確認した場面。レーダーの電波を音に変換してヘッドホンで聞いていた自衛隊員が「めちゃくちゃすごい音だ」と反応している=20日、能登半島沖(防衛省提供)

改めて言う。

韓国の政府と海軍は過ちを正直に認めて責任者を処分し、日本に謝罪すべきである。

韓国海軍の駆逐艦が日本海で、海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制用レーダーを照射した問題をうやむやに終わらせることはできない。

防衛省が28日、P1が当時撮影した関連動画をホームページで公開し、韓国大使館にも提供した。新型機のP1が警戒監視活動に当たっている動画を示すのは異例だ。照射を頑(かたく)なに認めない韓国に業を煮やし、具体的な証拠を世界に発信した。

映像には、韓国駆逐艦から火器管制用レーダーを照射され、無線で照射の理由を質(ただ)す様子や、韓国艦の近くに、救助されているとみられる北朝鮮船が映っていた。

照射の事実は歴然としている。韓国側は当初、遭難した北朝鮮船を捜索するためレーダーを用いたと説明したが、動画からは北朝鮮船発見後の照射だと分かる。

韓国はその後、レーダーの使用自体を否定した。火器管制用レーダー使用を否定しようと、ウソを重ねているということだ。

27日の日韓防衛当局のテレビ協議で、日本はこの映像を韓国側に示した。それでも韓国はしらを切った。事実を認めないのだから再発防止策を講ずるはずもない。このままでは自衛隊員の安全は脅かされ続けることになる。

北朝鮮をにらんだ、日米韓による安全保障協力は重要だが、問題を棚上げして実効性ある協力はできない。不実な相手の行動や情報を、どう信用せよというのか。

火器管制用レーダーの照射は、ミサイルなどで攻撃するための準備行為だ。極めて危険で、不測の事態を招きかねない。

中国海軍のフリゲート艦が平成25年1月に、尖閣諸島沖で海自護衛艦などに火器管制用レーダーを照射した。日本は抗議したが中国は捜索用レーダーだったと虚偽の主張をして非を認めなかった。

韓国は、日本に対する敵対的行為を中国と競うつもりか。

日韓防衛当局の協議は継続されるという。韓国国防省は日本の「誤解を解く」協議と位置づけているが、事実に基づく立場をとる日本は誤解などしていない。

韓国がとるべきは、ありもしない「誤解」を解くことではない。潔く非を認め、日本人の韓国への不信の念を解くことである。
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[毎日新聞] TPPあす発効 保護主義を排する基盤に (2018年12月29日)

米国の保護主義に戦略的に対抗する足がかりになるだろう。

日本など11カ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)があす発効する。米国が離脱したが、なお経済規模で世界の1割強を占める大型自由貿易圏の誕生だ。

米中貿易戦争を懸念して世界的に株価が急落しただけに、TPPの意義は増している。なかでも発効を主導した日本の責任は重い。

まず保護主義の防波堤とするため足場を固める必要がある。政府は国内総生産(GDP)が8兆円近く増えると試算するが、自由貿易の利点が広く行き渡るよう努めるべきだ。

日本は人口減少に直面し、経済発展には輸出を増やすことが欠かせない。TPPは、成長著しいアジア太平洋地域への輸出を後押しする効果が見込める。海外とのつながりが弱い中小企業の支援強化が大切だ。

日本の消費者にもメリットが多い。オーストラリアやカナダといった農業大国が参加し、輸入農産物の値下がりが期待できるからだ。

一方、日本の農家の不安は解消されていない。

TPPは、海外でも品質が評価される日本の農産物の輸出をもっと伸ばす好機である。政府は輸出促進策に取り組んではいるが、従来型のばらまきも目立つ。生産効率を高めるIT(情報技術)導入など競争力を強化する政策に注力すべきだ。

そのうえで、重要なのはTPP参加国を拡大していくことである。

TPPには既にタイやインドネシア、韓国、英国などが関心を示している。日本政府は、参加11カ国の閣僚会合を東京で来月開き、新規参加の手続きを議論すると決めた。

規模が大きくなるほど、関税撤廃の恩恵を受けられない米国は、農産物などの輸出で不利になる。米農業界などからトランプ政権に方向転換を促す声も強まるのではないか。

日本は年明けにも米国と新たな貿易交渉に入る。米国からは一方的な市場開放を迫られる恐れがある。TPP拡大の議論が進めば、米国の焦りを誘い、日本が交渉を優位に進められる可能性が出てくる。

日本が欧州連合(EU)と結んだ経済連携協定も来年2月に発効する。TPPとともに、保護主義の拡大を食い止めるてこにしたい。
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[毎日新聞] 次世代の巨大加速器 国内誘致には課題が多い (2018年12月29日)

宇宙誕生直後の高エネルギー状態を作り出し、物理法則の解明を目指す次世代の巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内誘致に慎重な見解を日本学術会議がまとめ、文部科学省に伝えた。

ILCは世界の物理学者らが国際協調で計画を進めている。建設費約8000億円、運営費は年間約400億円とされ、誘致国がその半額程度を負担することになる。

学術会議は、想定される科学的成果が巨額の費用負担に十分見合うか疑問があると指摘。建設時や運転時の安全性や、海外との費用分担が不明確な点も懸念材料だとした。

学術会議は日本の科学者を代表する機関であり、指摘はうなずける。政府は近く誘致の是非を決めるが、見解を重く受け止めるべきだ。

ILCは、地下約100メートルに長さ20キロのトンネルを掘り、その中で電子などを衝突させる装置だ。質量の源とされるヒッグス粒子の性質を詳しく調べ、宇宙の謎に迫るという。

ILC計画に学術的意義があることは確かだ。成果が上がれば、ホスト国日本の評価も高まるだろう。

一方で、巨額の予算がILCに集中投資されると、他の研究分野の予算にしわ寄せが及ぶ恐れがある。

日本の研究者らは2013年、国内の建設候補地を北上山地(岩手・宮城両県)に一本化した。

誘致推進側には、東日本大震災からの復興名目など、通常の科学技術予算とは別枠で建設費を賄うことを求める意見もある。地元には経済波及効果を期待する声も根強い。

だが、学術会議の議論では、別枠であっても国民の税金が原資となることに変わりはなく、経済波及効果も限定的だとされた。ILCに導入予定の機器には開発のめどが立っていないものもあり、計画が予定通り進むかも実は不透明だという。

こうした点を踏まえれば、ILCの国内誘致を進めるには、課題が多いと言わざるを得ない。

近年、日本の研究力の低下が指摘されている。ILCの誘致は、日本の科学界を活性化するという意見もある。だが、ビッグプロジェクト頼みでは、問題の根本的な解決にはつながらない。科学技術の振興を図るなら、多様な研究分野に、バランスよく資金を割り振るべきだ。
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[朝日新聞] 消費増税対策 あまりに問題が多い (2018年12月29日)

来年10月の消費税率10%への引き上げに向け、所得の低い人への影響や景気の変動を抑える政府の対策が、出そろった。

安倍政権は2019年度、増税による増収分を上回る予算を投入し、増税しても18年度より経済が上向く姿を描く。

しかし、この対策には疑問が尽きない。財源の裏付けはあるのか。公平でわかりやすく、使い勝手はよいか。費用対効果をどこまで考えたのか。

まず、飲食料品と新聞の税率を8%に据え置く軽減税率は、毎年1兆1千億円かかる財源に問題を残したままだ。

所得の低い人向けの対策の柱として3年前に決まり、政府・与党は「安定的な恒久財源の確保」を約束した。ところが、昨年までに決定済みの所得税とたばこ税の増税や、これまでの社会保障改革の削減効果の一部を充てることで、決着とした。

新たに財源を見つけるのではなく、過去の努力の成果を付け替えただけだ。政府内には当初、株式の配当などにかかる金融所得課税を増税する案もあった。しかし株価への悪影響を気にする官邸の意向も踏まえ、議論にも入らなかった。

しかも、2千億円分は当面、穴が開いたままだ。インボイス(適格請求書)により、これまで免税されていた事業者の一部が納税すると見込む分の増収をあてにするが、実際に始まるのは増税の4年後だ。つじつま合わせにもなっていない。

さらに、20年6月までの増税後の9カ月間は事実上、「五つの税率」が共存する。政策が積み重なった結果だ。

キャッシュレス決済でのポイント還元策は、中小の小売店で買えば5%相当分、コンビニなどのチェーン店なら2%分のポイントがつく。

どの店で何を買うか、軽減税率の対象になる飲食料品かによって、ポイント分を差し引いた実質的な消費税率は10%、8%、6%、5%、3%の五つになる。日本チェーンストア協会などが「消費者に極めてわかりづらく、混乱が生じる」と懸念を表明したのは、もっともだ。

ポイント還元はそもそも、クレジットカードなどを持たない人には恩恵がない。消費を押し上げる効果は未知数だ。

景気の落ち込みだけはなんとしても避けたい安倍首相と、税率10%を実現したい財務省。与党と各役所の思惑も絡まり、国民を置き去りにするかのように対策は決まった。

年明けの通常国会では、議論を尽くして問題点を洗い出し、見直していく必要がある。
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