2018年10月31日

[東京新聞] 元徴用工判決 日韓摩擦減らす努力を (2018年10月31日)

韓国最高裁が元徴用工裁判で原告の請求権を認め、日本企業に賠償を求める初の確定判決を出した。日本政府と対立する結論だが、摩擦がこれ以上拡大しないよう、関係者の歩み寄りを促したい。

原告は朝鮮半島の植民地時代に強制労働をさせられたとして補償を求め、日本国内で提訴。敗訴したため、韓国で裁判を起こした。

日本政府は、元徴用工の対日賠償請求権問題に関しては一九六五年の日韓国交正常化に伴って結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」ことを確認している。

ただ、日本政府は国会答弁で、個人が賠償を求める「請求権」自体は残っているとも説明してきた。個人が賠償を求めて提訴はできるが、日本側には賠償責任はない、との考え方だった。

韓国の政府、司法も同じ解釈を取っていた。ところが韓国大法院(最高裁)が二〇一二年五月、元徴用工の請求権を初めて認める高裁差し戻し判決を言い渡し、問題が再燃した。

この日の判決も、「賠償請求権は、協定には含まれない」と踏み込んでおり、日本側からは、請求権協定を否定したものだとの批判が出ている。

河野太郎外相も確定判決を受けて、外務省に韓国の李洙勲(イスフン)駐日大使を呼び、「国際社会の常識では考えられないことが起きた」と抗議した。韓国政府は司法の判断に従う方針だが、日韓関係を踏まえた慎重な対応を求めたい。

一方で、元徴用工による裁判は新日鉄住金、三菱重工業など約七十社を相手取って計十五件にのぼり、原告は千人近くになる。

戦後七十年以上たって、いまだに訴訟が続く背景も考えたい。過酷な環境で働かされたことを法廷で証明し、謝罪を受けたいという原告の切実な思いがあるのだ。

原告の一人は「一日十二時間働かされた」と証言した。国家間の協定の陰で後回しにされてきた心の痛みを、無視できるだろうか。

日韓間では、最近も自衛艦旗や、竹島問題をめぐりぎくしゃくが絶えない。しかし、北朝鮮問題をはじめ両国の協力は欠かせない。

原則論をぶつけ合うだけでなく、原告と被告企業をつなぐ接点はないか、政府レベルでも探る必要があるだろう。例えば基金をつくって賠償をする方式も、専門家の間で論議されているという。

摩擦を拡大させず、冷静に和解策を探ってほしい。
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[東京新聞] 辺野古基地問題 法治国の否定に等しい (2018年10月31日)

法治国の否定に等しい政府内の自作自演に失望する。沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、国土交通相は県の承認撤回の効力を停止。工事再開を認めた。民意尊重の誠意こそ必要なのに。

国交相のきのうの決定は、沖縄防衛局が行政不服審査法(行審法)に基づき行った申し立てを有効とした点でまずおかしい。

行審法は、国民の権利利益の救済を目的とする。防衛局は国民、つまり私人なのか。

防衛局は、仲井真弘多元知事から民間の事業者と同じ手続きで沿岸の埋め立て承認を得たことなどを挙げ私人と同じと言うが、新基地建設は閣議決定に基づき行う。私人という強弁が通じるはずがない。

翁長雄志前知事が二〇一五年に承認の取り消しをした際にも同じ論理で申し立てが行われ、国交相が認めた。しかし、その後の改正行審法施行で、私人とは異なる法的地位「固有の資格」にある国の機関への処分は法の適用外になった。行政法学者らは、今回の申し立ては違法だと批判する。

効力停止は、防衛局が同時に行った撤回取り消しの訴え(審査請求)の結論が出るまでの緊急避難ともいうが、これも無理がある。

防衛局は、工事中断で現場の維持管理に一日二千万円かかっているほか、米軍普天間飛行場の返還が進まず日米間の信頼も失うと強調し、国交相も追認した。

だが、前回の承認取り消し時に防衛省は即刻対抗措置を講じたのに、今回は撤回から申し立てまで一カ月半かかった。県知事選への影響を避けようとしたためで緊急性の主張は説得力を欠く。

承認撤回は、知事選などで何度も示された辺野古反対の民意を無視して工事が強行された結果だ。普天間の危険性除去や日米同盟の信頼性維持も責任は国側にある。

却下が相当にもかかわらず、国交相は早期の工事再開を図る国のシナリオ通りに判断した。公平性も何もない、制度の乱用である。

沖縄では二十六日、埋め立ての賛否を問う県民投票条例が成立し来春までに実施される見込みだ。防衛局は今後、埋め立ての土砂投入に踏み切り、基地建設は後戻りできないとの印象を広めるつもりだろうが、県との対立は決定的となる。

政府にはその前にもう一度、県側との話し合いを望む。

法治主義を軽んじてまで基地建設に突き進み、何が得られるのか。日米同盟のために沖縄の民意を踏みにじっていいはずがない。
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[毎日新聞] 韓国最高裁の徴用工判決 条約の一方的な解釈変更 (2018年10月31日)

日本の植民地時代に日本企業に動員された元徴用工の損害賠償訴訟で、韓国最高裁が1965年の日韓基本条約を覆すような判決を下した。この判決の論理を放置していれば、日韓関係は極めて深刻な事態に陥ってしまう。

基本条約に伴う請求権協定では、日本が韓国に経済支援を実施することで、両国の財産や請求権問題について「完全かつ最終的に解決された」と明記している。

徴用工については、協定の合意議事録で補償金の支払いなどに関し、いかなる主張もなしえないと確認している。日韓両政府は、請求権問題は解決済みとの立場をとってきた。

ところが判決は、日本の植民地支配を不法とし、元徴用工の賠償請求権は不法行為を行った日本企業への「慰謝料請求権」のため日本企業が賠償すべきだと断じた。請求権協定に徴用工に対する賠償問題は含まれていないとの見解を示したものだ。

植民地支配の法的性格については、正常化を優先させることであいまいにした経緯がある。正常化交渉に当たった韓国の金鍾泌(キムジョンピル)元首相は回顧録で、双方が国内的に都合の良い説明をし、お互い黙認することで政治決着したと明らかにしている。

また、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権は2005年、徴用工の被害者補償問題は請求権協定に基づいて日本が拠出した3億ドルに「解決金」の趣旨で含まれていたと結論付けている。元徴用工への補償は韓国が行ってきた。

にもかかわらず、一方的に条約や協定の解釈を変更するなら、国際法の規範をゆがめ、日韓関係に大きな対立を生むのは避けられない。

賠償を命じられた新日鉄住金のほか、韓国では既に100社近くが提訴されており、今後日本企業が財産を差し押さえられる可能性もある。日本政府が「断じて受け入れられない」と表明したのは当然である。

韓国政府は「司法の判断を尊重する」としつつ「韓日関係を未来志向的に発展させていくことを望む」とのコメントを発表した。今後、対応策を検討するというが、矛盾した内容をどのように実行するのか。

日本も感情的な対立を招かないよう自制が必要だ。しかし、主体的に問題解決を図るべきは韓国政府だということを自覚してほしい。
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[毎日新聞] 辺野古埋め立て再開へ お手盛りでは解決しない (2018年10月31日)

政府が米軍普天間飛行場の辺野古移設へ向けた埋め立て工事を近く再開する見通しとなった。

沖縄県が埋め立て承認を8月に撤回したのに対し、石井啓一国土交通相がきのう、県の承認撤回を無効とする「執行停止」を決めたからだ。

一体、政府はこじれにこじれた辺野古問題の出口をどのように展望しているのだろうか。海を埋め立ててしまえば、反対している県民もあきらめると考えているなら間違いだ。

政府は仲井真弘多(なかいまひろかず)元知事による5年前の埋め立て承認を錦の御旗(みはた)に、知事が代わるたびに県の判断が変わるのはおかしいと主張してきた。

だが、「県外移設」を唱えて当選した仲井真氏の変節に対し、その後2回の知事選で「辺野古ノー」の民意が示されたというのが事実だ。

国交相による執行停止は、行政不服審査法に基づき防衛省の沖縄防衛局が申し立てた。県の撤回処分を裁判で取り消そうとすれば、判決の確定までに数カ月はかかる。そのため、政府内の手続きですぐに工事を再開できる執行停止を選択した。

しかし、同法は本来、行政から不当な処分を受けた国民の権利を救済するものだ。国の機関である沖縄防衛局が私人になりすまし、同じ国の国交相に申し立てるというのは、お手盛りのそしりを免れない。玉城(たまき)デニー知事が「自作自演の極めて不当な決定」と批判したのは当然だ。

移設工事の既成事実化を急ぐあまり、立法趣旨に反する手法まで駆使し、なりふり構わず工事を進めてきたのが政府だ。力ずくで抑え込もうとすれば、県民の反発はさらに強まると考えなければならない。

仮に基地の完成にこぎつけたとしても、県民の反感と憎悪に囲まれた環境で米軍基地を安定的に運用するのは難しいのではないか。

辺野古埋め立てへの賛否を問う県民投票が来春までに行われる。反対が多数を占めれば、互いにますます妥協の余地が狭まるだろう。

対立だけが残る事態を事前に回避する努力が必要だ。玉城氏は「対話と協議で問題解決を」と訴えている。政府は普天間の移設先に関する対話の場をただちに設けるべきだ。

そこでは日米地位協定の見直しも含め、あらゆる沖縄の負担軽減策を虚心に話し合えばよい。
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[読売新聞] 「徴用工」判決 日韓協定に反する賠償命令だ (2018年10月31日)

日本と韓国が国交正常化に際して結んだ合意に明らかに反する。両国関係を長年安定させてきた基盤を損ねる不当な判決は到底容認できない。

日本の植民地時代に朝鮮半島から動員された元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は新日鉄住金の上告を棄却した。

これにより、計4億ウォン(約4000万円)の賠償を命じた2013年の高裁判決が確定した。

問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めたにもかかわらず、最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能だとしたことだ。

請求権協定の適用対象に元徴用工も含まれることは交渉記録から明白だ。韓国の歴代政権も認めており、盧武鉉政権は2005年に元徴用工に対して韓国政府が救済を行う方針を打ち出している。

最高裁判決は、こうした事実関係を十分に考慮しなかった。「日本の不法な植民地支配に直結した日本企業の不法行為」としての徴用に対する請求権は、協定の対象に含まれない、と断じた。

一部原告が日本で起こした賠償請求訴訟で、敗訴が確定している点についても、日本の判例が「韓国の公序良俗に反する」と主張し、認容しなかった。

韓国最高裁は2012年にも、元徴用工が個人請求権を行使できる、との判断を示している。今回の大法廷の審理でも、反日ナショナリズムに迎合し、不合理な認定を踏襲したと言えよう。

1910年の日韓併合条約が合法かどうかは、国交正常化交渉でも決着しなかった。両国がこの問題を棚上げして、和解の道を進んだ経緯について、韓国司法が無視したのは理解できない。

安倍首相が「判決は国際法に照らしてありえない判断だ」と強く批判したのは当然である。

河野外相は駐日韓国大使に抗議し、「日本の企業や国民が不利益を被ることがないように、韓国政府は毅然(きぜん)とした、必要な措置をとってもらいたい」と強調した。

放置すれば、新日鉄住金の資産が差し押さえられかねない。元徴用工らによる同様の訴訟も相次いでおり、日本企業への賠償命令が続くことが懸念される。日本政府は国際司法裁判所への提訴など、あらゆる措置を検討すべきだ。

韓国の文在寅大統領は、「未来志向の日韓関係構築」を目指すのであれば、事態の収拾に全力を尽くさねばならない。
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[朝日新聞] 辺野古移設 工事再開を強行するな (2018年10月31日)

結論ありきの身内の決定を掲げて工事再開を強行し、辺野古の海に土砂を投入することなどあってはならない。

米軍普天間飛行場の移設をめぐり、石井啓一国土交通相がきのう、沖縄県による名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回の効力停止を決めた。

行政不服審査法にもとづいて防衛省が申し立てていたが、国民の権利を守るためにある法律の趣旨を逸脱していることは明らかだ。政府と県の対立を、同じ政府内の国交相が審査するのは、公平性・中立性を欠き、身内同士のなれ合いと言われても仕方あるまい。

沖縄県の玉城デニー知事が「法治国家においてあるまじき行為だ」と反論したのは当然だろう。岩屋毅防衛相は、準備が整い次第、工事を再開する意向を表明したが、考えを改めるべきである。

そもそも石井国交相が会見で述べた効力停止の理由は、納得できるものではない。

普天間周辺の住民の危険性除去や騒音の被害防止を「早期に実現することが困難となる」などと語ったが、政府が強引に工事を進めたとしても、基地が完成し、普天間から部隊が移るまでには何年もかかる。危険性の除去を急ぐのなら、普天間の機能の国内外への分散を進める方が理にかなっている。

石井氏は、工事の中止が続けば経済的損失ばかりでなく、日米同盟に悪影響を及ぼしかねないという外交・防衛上の理由もあげた。防衛省の主張を丸のみしており、沖縄県の意向は一顧だにされていない。

こうした政府の姿勢こそ問題をこじらせてきた原因ではなかったか。沖縄に重い負担を押しつけながら、県民の声を無視する姿勢が、日米同盟の安定的な運用に資するとは思えない。

安倍首相はきのうの国会で、効力停止の決定について「法治国家として、法律に基づき必要な法的手続きが行われたと認識しており、尊重すべきだと考えている」と強調した。臨時国会の所信表明演説で「沖縄の皆さんの心に寄り添い」と言ったばかりだが、先の知事選で示された「辺野古ノー」の民意は眼中にないということか。

沖縄では、県民の明確な意思を政府に突きつけようと、来春までに、埋め立ての賛否を問う県民投票の実施が決まった。

先手を打って、既成事実をつくらんばかりの政府の対応は、沖縄の民意を重ねて踏みにじるものだ。政府は工事再開を思いとどまり、沖縄と真摯(しんし)な対話に踏み出すべきである。
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[読売新聞] ハロウィーン 不心得者の騒ぎは目に余る (2018年10月31日)

悪ふざけにも、程がある。騒ぎが相次げば、せっかくのイベントも社会から敬遠される。

31日のハロウィーンを控えた先週末の夜、東京・渋谷の繁華街に仮装した若者らが集まり、大混乱となった。

周囲の人に殴る蹴るの暴行を加える。女性の体を触り、盗撮に及ぶ者もいた。立ち往生した軽トラックは、若者らに横転させられた。目撃者は「まさに暴徒のようだった」と語っている。

酒に酔った上に、仮装で気分が高揚したのだろうか。それにしても、傍若無人な振る舞いが目に余る。渋谷区長が「大変憤りを感じる。到底許せるものではない」と非難したのは、もっともだ。

警視庁は、暴行や痴漢の容疑で5人を逮捕した。犯罪行為に厳しく臨むのは当然である。

ハロウィーンは、欧州に住んでいた古代ケルト人が、死者を迎えるために執り行った宗教的儀式が起源とされる。米国では、仮装した子供たちが近所を回ってお菓子をもらう習慣がある。

日本でも数年前から急速に広がり、全国各地で仮装イベントなどが開かれている。日本記念日協会によると、カボチャグッズの売り上げなどによる今年の推計市場規模は、バレンタインデーに迫る約1240億円に達する。

盛り上がりとともに、迷惑行為が目立つようになったのは残念だ。路上に大量のゴミが散乱する。着替えのために駅や商業施設のトイレが占拠される。夜通し騒ぐトラブルも後を絶たない。

渋谷区は今年、駅周辺のコンビニエンスストアなどに対し、瓶入りの酒類の販売自粛を要請した。割れた瓶によるけがや車のパンクを防ぐためにはやむを得まい。

混乱を避けるため、周辺の商店の中には、早めに店を閉じるところもあるという。治安上、近隣住民にも迷惑が及んでいる。

無論、ルールを守って楽しむ若者や親子連れは多いだろう。地方では、町おこしや商業施設の集客に一役買っている側面もある。

一部の不心得者が、健全なイベントとしての定着を妨げていると言えるのではないか。

渋谷では、ゴミの分別や、ボランティアの清掃活動を支援する「ハロウィンごみゼロ大作戦 in 渋谷」が4年目を迎えた。こうした取り組みを広げたい。

警視庁は31日まで、渋谷駅周辺に機動隊員ら数百人を配置し、厳戒態勢を敷くという。

マナーを守って、楽しいハロウィーンの一日にしたい。
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[朝日新聞] 徴用工裁判 蓄積を無にせぬ対応を (2018年10月31日)

植民地支配の過去を抱えながらも、日本と韓国は経済協力を含め多くの友好を育んできた。だが、そんな関係の根幹を揺るがしかねない判決を、韓国大法院(最高裁)が出した。

戦時中、日本に動員された元徴用工4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、1人あたり約1千万円を支払うよう命じた控訴審判決が確定した。

同様の訴訟はほかにもあり、日本企業約80社を相手取り、韓国各地の裁判所で進行中だ。

日本政府や企業側は、1965年の国交正常化に伴う請求権協定で元徴用工への補償問題は解決済みとし、日本の司法判断もその考えを踏襲してきた。

原告側は、賠償に応じなければ資産の差し押さえを検討するという。一方の日本政府は、協定に基づいて韓国政府が補償などの手当てをしない場合、国際司法裁判所への提訴を含む対抗策も辞さない構えだ。

そんなことになれば政府間の関係悪化にとどまらず、今日まで築き上げてきた隣国関係が台無しになりかねない。韓国政府は、事態の悪化を食い止めるよう適切な行動をとるべきだ。

元徴用工らへの補償問題は長年の懸案であり、これまでも韓国政府が一定の見解と対応をとってきた。

盧武鉉(ノムヒョン)政権は05年、請求権協定当時の経済協力金に、補償が含まれるとの見解をまとめた。文在寅(ムンジェイン)・現大統領はこの時、大統領府高官として深くかかわった当事者だ。

その見解を受けて韓国政府は国内法を整え、元徴用工らに補償をした。国内の事情によって国際協定をめぐる見解を変転させれば、国の整合性が問われ、信頼性も傷つきかねない。

韓国併合の合法性を含め、日韓は国交正常化の際、詰め切れなかった問題がいくつかある。だが、互いに知恵をしぼって歩み寄り、今や年間1千万人近くが行き来する関係になった。

判決を受けて韓国政府は有識者の意見も聞き、総合的に対応を検討すると表明したが、今後に暗雲をもたらすような判断は何としても避けるべきだ。

日本政府は小泉純一郎政権のとき、元徴用工らに「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」と認め、その後も引き継がれた。

政府が協定をめぐる見解を維持するのは当然としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない。

負の歴史に由来する試練をどう乗り切り、未来志向の流れをつくりだすか。政治の力量が問われている。
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2018年10月30日

[東京新聞] 首相の改憲発言 国会では控えるべきだ (2018年10月30日)

国会の場では憲法改正の内容についての発言は差し控えると言いながら、お尋ねですのでと自説をとうとうと述べる。安倍晋三首相は、憲法を尊重し、擁護する義務を軽視しているのではないか。

首相の所信表明演説に対する各党代表質問がきのう始まった。今年、日本各地を襲った災害からの復旧・復興に向けた二〇一八年度補正予算案はもちろん、首相が今の臨時国会に自民党案を示す意欲を示した憲法改正や安倍内閣が来年四月からの対象拡大を目指す外国人労働者の受け入れ問題が主要な論点である。

冒頭、質問に立った枝野幸男立憲民主党代表は、首相が「国の理想を語るものは憲法」と述べたことを「憲法の本質は国家権力を縛ることにある。縛られる側の中心にいる首相が先頭に立って旗を振るのは論外だ」と批判した。

首相は改憲を巡る枝野氏の指摘には答えず、続く稲田朋美自民党筆頭副幹事長の質問に「首相としてこの場で答えることは控える」としながら「お尋ねですので、自民党総裁として一石を投じた考えの一端を申し上げる」として、自衛隊の合憲性には依然、議論があり、自衛隊の存在を明文化することは政治家の責任だ、と述べた。

国民を代表する一国会議員としては、憲法改正の要不要について自らの見解を国会の場で表明することは認められるべきだろう。

しかし、首相は今、自民党の国会議員、党総裁であると同時に、行政府の長たる総理大臣だ。「憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定める憲法九九条の規定を軽んじ、自らの権力を縛る憲法の改正を安易に主張すべきではない。

議員と首相との厳密な使い分けは難しいとしても、首相として答弁に立っている以上、たとえ質問されても、改憲に関する発言は控えるべきではなかったか。自民党の歴代総理・総裁がなぜ改憲に関する発言を慎んできたのか、首相は思いを巡らせるべきだろう。

そもそもなぜ枝野氏の指摘には答えず、身内の自民党議員の質問に答えたのか。これでは稲田氏の質問は首相が国会で改憲意欲を重ねて表明するための振り付けと指摘されても仕方あるまい。

首相は所信表明演説で、在任期間の「長さゆえの慢心はないか」と自問したが、首相の立場で国会で堂々と改憲を主張するのは長期政権ゆえの緩みにほかならない。

首相の改憲発言は憲法に反するのでは、という国民の指摘や疑問にも真摯(しんし)に向き合うべきである。
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[東京新聞] 中国の政治宣伝 「喉と舌」との思い違い (2018年10月30日)

中国が対外発信を強めている。だが、自国に有利な国際世論づくりを狙った「政治宣伝」が多いのが実情だ。メディアを「宣伝機関」とするのは二十一世紀の大国にふさわしい認識ではあるまい。

米国のブランスタッド駐中国大使が九月末、かつて知事を務めたアイオワ州の地元紙に、中国の政治宣伝を批判する寄稿をした。

米地元紙にはその直前、米中貿易摩擦で米生産者が損害を受けると主張する中国政府系の英字紙・中国日報が有料広告を出した。

四ページの広告はニュース記事の体裁を取り、中国政府の意図を代弁するものに映る。同紙の内容について大使は「米国が守ってきた報道の自由を利用し、政治宣伝をしている」と批判した。

中国が進める経済圏構想「一帯一路」要衝の新疆ウイグル自治区では、ウイグル族が再教育施設に収容されている事実が分かった。「完全な虚偽」と強弁してきた中国政府は「テロ対策」などとして最近、その存在を認めた。収容者数は百十万人以上とみられる。

一方、中国は「一帯一路」ルートに重なる他国メディア責任者を同自治区に招いた「学習会」を繰り返してきた。少数民族への人権弾圧には口をつぐみ、中国が描く「一帯一路」のバラ色の未来像を刷り込もうとする姿勢に映る。

最大の問題は、中国が言論の自由を一顧だにせず、ニュースの装いで、国策遂行の国際世論づくりに血道を上げていることだ。

中国の憲法は公民に言論や出版の自由を認めているが、共産党の指導が憲法より優先される。中国は伝統的に党や政府の「喉と舌」との表現を用いてメディアを「宣伝機関」に位置づけてきた。

政治宣伝を通じた社会の安定が最重要との考えが、「喉と舌」を重視する理由なのだろう。習近平国家主席は今年夏の宣伝工作会議で、言論統制を強めてきた自身の宣伝工作を「完全に正しい」と自賛した。だが、言論の自由こそが民主主義を守る砦(とりで)との価値観が国際社会では主流であり、政治宣伝とニュースの間には一線を画すのが当然である。

「国境なき記者団」による二〇一八年の報道自由度ランキングで、中国の報道の自由度は百八十カ国・地域で百七十六位だった。

世界第二の経済大国として国際社会で存在感を増そうというのなら、この結果に危機感を持ってほしい。社会のマイナス面も伝えてこその報道である。
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[毎日新聞] ブラジルに極右大統領 「大衆迎合」の不安な旋風 (2018年10月30日)

ブラジル大統領選で極右・社会自由党のボルソナロ氏が、左派・労働党の候補者を破って勝利した。来年1月1日に就任し、自国優先を鮮明にした政権が誕生する。

同氏はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を駆使し、強硬な発言から「ブラジルのトランプ」と呼ばれる。軍人から政治家に転身し、少数政党を渡り歩いたが、数年前まで無名に近い存在だった。

勝因ははっきりしている。汚職のまん延や治安悪化、経済停滞に関し、国民の反発に乗じ、与党や旧来の政治家を声高に非難したからだ。

労働党は長期政権を築いたが、2014年サッカー・ワールドカップ(W杯)や16年リオデジャネイロ五輪の前後から構造汚職疑惑などが噴き出し、政治家とその周辺で逮捕者が相次いだ。

同党のルセフ前大統領は国家会計の不正操作で弾劾されて失職した。ルラ元大統領は汚職で収監された。ボルソナロ氏は左派政権や既成政党の失敗を利用してポピュリズム(大衆迎合主義)を奏功させたと言える。

トランプ米大統領に見られるようなポピュリズムが世界に拡散している。欧州では昨年以来、反移民を掲げる極右政党がオーストリアとイタリアで連立政権入りした。ドイツでも極右政党がじわじわと支持を広げている。ボルソナロ氏は「ブラジル第一主義」を口癖ともしている。

ボルソナロ氏に関しては気がかりな点が多い。まず同氏は1964年から85年まで続いた軍事政権を称賛している。民主化後33年を経たブラジルでタブー視されていた見解だ。

また、女性や性的少数者、黒人に対し差別的発言を行ってきた。人権を重んじるブラジル憲法に照らし合わせれば不適切だろう。

国際問題に関しては、国連人権委員会からの離脱を示唆したり、在イスラエル大使館のエルサレム移転を提案するなどしている。いずれもトランプ氏に追随するような策だが、ブラジルは本来、穏健な多国間外交が伝統ではなかったか。

新興5カ国(BRICS)の一員であるブラジルは中南米の大国だ。ボルソナロ氏は勝利宣言で「憲法と民主主義、自由を守る」と語ったが、その言葉が本気なのかどうかを見極めねばならない。
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[毎日新聞] 野党はどう立ち向かう 批判力も提案力もほしい (2018年10月30日)

安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党の代表質問がきのう、衆院本会議で始まった。

まず注目したのは立憲民主党の枝野幸男代表の質問だ。同党は衆院に続き参院でも野党第1党となり、その責任はより重くなったからだ。

枝野氏は冒頭、大島理森衆院議長が7月に発表した談話に関し、首相が所信表明演説で言及しなかった点をただした。談話は財務省の文書改ざんなどを踏まえて「民主主義の根幹を揺るがす」等々と政府側を批判し、対応策を求めたものだ。

首相は「責任を痛感している」とあっさり答えるだけだったが、国会を軽視する安倍政権の本質を真っ向から突いた点は評価したい。

しかし多くの不満も残った。

今国会の重要課題となる外国人労働者の受け入れ拡大を目指す入国管理法改正案について、枝野氏は「首相が否定してきた移民受け入れ政策とどう違うのか」と追及し、「見切り発車では禍根を残す」と語った。もっともな疑問であり指摘だろう。

だが将来、移民政策につながること自体に賛成なのか反対なのか、基本的な立場は明確にしなかった。確かに世論も割れる問題だが、この状態が続くようでは無責任となる。

憲法改正問題でも枝野氏は「憲法の本質は国家権力を縛ること。縛られる側の首相が先頭で旗を振るのは論外」と一蹴するにとどまった。

「立憲は政権を批判しているだけだ」という声は枝野氏も承知しているはずなのに、その傾向はますます強まっているように見える。やはりこれでは国民の支持は広がらない。

立憲との違いを出す狙いもあるのだろう。対照的に国民民主党の玉木雄一郎代表は、北方領土問題に関し「2島返還」での解決を加速するよう促すなど提案型質問が目立った。

外国人労働者への日本語教育の充実を要請すると同時に、自衛権の制約や発動要件を書き込む「平和的改憲」を提案し、国会での議論を進める考えもにじませた。ただし国民民主の場合は、こうした姿勢が結果的に安倍政権を助けることにつながっていると見られがちなのは事実だ。

野党が安倍政権にどう立ち向かうかは引き続き大きな課題だ。立憲も国民も自らの弱点を素直に認め、ともに補い合うことが必要だ。
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[読売新聞] 代表質問 野党は建設的論戦を主導せよ (2018年10月30日)

中長期の課題に対し、批判一辺倒では、建設的な論戦は望めない。政府が進める政策について、野党は具体的な対案を示さなければならない。

安倍首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が始まった。

立憲民主党の枝野代表は、来年10月の消費税率10%への引き上げについて「賃金や内需の伸びは力強さを欠く。過去の先送りを決めた時点と比べ、経済状況の見通しはより不透明だ」と反対した。

首相は「あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応する」と説明した。

消費増税は、民主党政権時代に自民、公明との3党による税・社会保障の一体改革で決まった。

2度延期されたとはいえ、高齢化で増大する社会保障費をまかなうために、消費増税は避けられない。その方向性は与野党で共有できるはずである。

衆参両院で野党第1会派となった立民党は、国民負担のあり方について、中長期的な視点に立って具体策を示してもらいたい。

軽減税率についても、枝野氏は中小事業者の準備不足で混乱は避けられない、などと批判した。

住宅購入の助成拡大や自動車課税の軽減を含めて、政府は、国民の負担感を和らげる施策を総合的に講じる必要がある。

枝野氏は、政府が進める外国人労働者の受け入れ拡大について、移民政策への転換ではないか、とただした。首相はこれを否定し、「真に必要な業種に限り、即戦力となる外国人材を期限を付して受け入れる」と説明した。

少子高齢化で将来の労働力不足が見込まれ、外国人労働者の受け入れは中長期的な課題だ。治安悪化や不法滞在が生じないよう、与野党で審議を尽くすべきだ。

枝野氏は「憲法の本質は国家権力を縛ることだ。縛られる側の首相が旗を振るのは論外だ」と持論を展開した。首相主導の憲法改正論議を批判したものだ。

国会はこの20年近く、憲法の様々な論点について、問題意識の共有を図ってきた。議論に入ることすら、認めない姿勢は疑問だ。

国民民主党の玉木代表は、必要最小限度の自衛権などを明記する「平和的改憲」を提案した。自衛隊を9条に明記するための自民党の条文案では、自衛権の範囲が拡大されかねない、との主張だ。

自衛隊を憲法にどう位置付けるかは、長年の重い課題である。

衆参両院の憲法審査会で、各党が見解を明らかにし、論議を深めることが欠かせない。
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[朝日新聞] 沖縄県民投票 民意を反映する回路に (2018年10月30日)

沖縄の声を政府に届けるために、できる限りの手立てを尽くす。そんな切実な思いのあらわれと見るべきだ。

米軍普天間飛行場の移設をめぐり、来春までに県民投票が行われることになった。名護市辺野古の海の埋め立てについて、賛成か反対かを問う。法的拘束力はないが、県議会で成立した条例は、賛否いずれであれ、多数が有権者の4分の1に達すれば「知事は結果を尊重しなければならない」と定める。

住民に選ばれた議員らが話し合って、予算や政策を決める。それが日本がとる統治システムの基本だ。だが重大な問題について、この間接民主主義が適切に機能しない場合、民意をじかに確かめ、政治に反映させる道は当然あっていい。中央と地方が対立し、解きほぐす糸口が見えないときも同様だろう。

翁長雄志氏が当選した4年前の知事選をはじめとして、県民は「辺野古ノー」の意向を繰り返し表明してきた。だが政府はいっさい耳を傾けない。

象徴的なのは、翁長氏の遺志を継ぐ玉城デニー氏が9月の知事選で勝利をおさめた直後に、政府がとった措置だ。

県による「埋め立て承認の撤回処分」に対抗するとして、行政不服審査法にもとづき、処分の効力を失わせる手続きを始めた。本来国民の権利を守るためにある法律を持ち出して、政府の方針を押しつける。異様な手法に多くの法律専門家が批判の声をあげたのは当然だ。

選挙を通じて示した民意を無視するのなら、別の手段で民意を明らかにするしかない――。県民投票の実現に取り組んできた市民団体などの考えだ。

政府は「外交・防衛は国の専管事項だ」と牽制(けんせい)するが、それは「県民は国に黙って従え」と命じるのに等しい。この一方的で高圧的な姿勢が、問題の解決を遠いものにしてきた。

投票が県民の間に分断を生む懸念も指摘されている。だが、政府の意向に従うか否かで予算配分に差をつけ、分断を進めてきたのは当の政府ではないか。

地方自治とは何か。民主主義はどうあるべきか。「辺野古」が突きつける課題は全ての国民に及ぶ。県民投票を機に、そのことを改めて確認したい。

気がかりは、県内の数市が投開票事務に協力するかどうか、態度を保留していることだ。県は投票の趣旨を丁寧に説明する必要があるし、市側も政治的立場を超えて、人々が納得できる対応をとってもらいたい。

投票の機会は、県民に等しく与えられなければならない。
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[読売新聞] 就活ルール 企業は秩序ある新卒採用を (2018年10月30日)

新卒一括採用という日本型の雇用慣行を一気に見直せば、学生や企業が混乱しよう。慎重に検討することが大切だ。

就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議は、現在の大学2年生にあたる2021年春入社組について、現行ルールを踏襲することを決めた。

会社説明会は「3年生の3月1日」、選考は「4年生の6月1日」に、それぞれ解禁される。

新卒一括採用を前提とした現行ルールは、守らない企業が増え、形骸化も指摘されている。

だが、学生、企業とも、何らかの目安が必要だと考えている割合は依然として高い。就職・採用活動に一定の秩序をもたらしてきたのも事実である。現状維持は現実的な判断と言えよう。

22年春入社組以降も、当面は現行日程を維持する方向という。学生が安心して就活や学業に取り組めるよう、早めに各年度のルールを確定させることが大事だ。

今回から政府の連絡会議がルールを定めることになったのは、経団連が就活に関する指針を廃止したためだ。採用の中長期的な在り方についても、政府の未来投資会議が協議を始めた。

ただ、採用活動は本来、企業の経営判断に委ねるべきものだ。政府の関与は最小限にしたい。

就活指針は、「青田買い」の横行など採用活動が早期化し過ぎた反省から設けられた。各企業は、自主的に節度ある新卒採用を心掛けねばならない。

日本型雇用の特徴は、具体的な職務を定めずに新卒をまとめて採用する点にある。終身雇用制度に基づき、社内教育によって人材を長期的に育成してきた。効率的な採用システムと言える。

一方で、景気変動によって採用数が増減し、社員の年齢構成がいびつになるなどの短所もある。

欧米では、必要な人材を年間通して職務別に採用する「通年採用」が基本だ。新卒の就活時期は大学の卒業前後が一般的で、学業への影響は少ないとされる。

その反面、一定の経験や専門知識を持った既卒者が有利で、大学卒業後にすぐに希望の職に就ける学生が少ない。若年層の失業率を高めている面は否めない。

人材獲得競争がグローバル化する中で、欧米のように即戦力を重視した採用を行う日本企業は、一段と増えていくだろう。

それぞれの雇用慣行には歴史があり、一長一短がある。どんな方法が自社のニーズに合うのか、各企業が模索する時代である。
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[朝日新聞] 国会代表質問 通り一遍の首相答弁 (2018年10月30日)

自らの意に沿う与党の質問には滔々(とうとう)と応じる一方、野党の質問には通り一遍の説明に終始する。首相の答弁がこれでは、議論が深まるはずがない。

安倍首相の所信表明演説に対する代表質問がきのう、衆院で始まった。

政府が今国会での成立を急ぐ、外国人労働者受け入れ拡大に向けた出入国管理法改正案について、立憲民主党の枝野幸男代表は、職場環境、日本語習得、住宅問題、社会保障などの課題をあげ、受け入れ態勢整備の具体策をただした。

国民民主党の玉木雄一郎代表も、「外国人と共生できる社会づくりに正面から取り組むべきだ」と迫った。

これに対し、首相は「移民政策」への転換には当たらないと強調し、環境整備の具体案を語ることはなかった。

政権への追及と同時に、野党側からは政策の対案の提示も目についた。来年夏の参院選に向け、安倍政権に代わる選択肢をアピールする狙いだろう。

枝野氏は、国会に提出済みの原発ゼロ基本法案に加え、分散型エネルギー社会推進4法案、「公文書記録管理庁」設置法案などを準備中だと説明。玉木氏も日米地位協定の改定や思い切った子ども・子育て支援策の実施を求めた。

しかし、首相が正面から受けとめることはなかった。見解を示さなかったり、議員立法については「国会が決めること」と取り合わなかったりした。

一方、首相が雄弁になったのが、重用する自民党の稲田朋美・総裁特別補佐から憲法9条に自衛隊を明記する改憲案についての見解を問われた時だ。

「首相としてお答えすることは差し控えたい」と言いながら、「自民党総裁として一石を投じた考えの一端」として、「命を賭して任務を遂行する隊員の正当性を明文化することは国防の根幹にかかわる」などと強い意欲を示した。

きのうの代表質問は、開会が45分遅れるという異例の事態となった。議会運営の要、衆院の議院運営委員長である自民党の高市早苗氏が先週示した国会改革の試案に野党が強く反発、撤回に追い込まれたからだ。

試案には、議員立法の審議には、会期末前の「残った時間」を充てるという項目があった。政府提出法案の審議という行政府の都合を優先するもので、不見識というほかない。

森友・加計問題を受け、いま最優先で求められる国会改革は、行政監視機能の強化であることを忘れてはならない。
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2018年10月29日

[東京新聞] 外国人労働者 差別のない就労条件で (2018年10月29日)

外国の単純労働者を迎え入れる新在留資格の法案が出される予定だ。人手不足への対応だが、高度な専門人材に限っていた従来の政策から大転換となる。差別のない社会をつくるのが大前提だ。

「移民」に対して保守層は強い反発を持っている。だから、政府は強く「移民とは異なる」と説明する。だが、高度な技術などを持つ外国人に限って就労できる−という建前は既に崩れている。

昨年十月段階で外国人労働者は百二十七万人超と増え続ける。その約四割は技能実習生と留学生アルバイトなのだ。実習生は日本での技術の習得を目的としているが、実際には単純労働をさせられ、低賃金や長時間労働などに苦しむ問題が判明している。

留学生はむろん学業のためだが、こちらもコンビニや飲食店などでの単純労働者になっている。つまり外国人がいないと、人口減に直面する日本では、さまざまな業種で人手不足が深刻になる。政府は建設や介護、農業など十数業種を検討対象に考えている。

だが、人手のために単純労働者の受け入れ制度を−との考えは発想が単純すぎるのではないか。例えば一定の技能を持つ「特定技能1号」の在留資格の外国人は、在留期限が通算五年で、家族の帯同は認められない。

これは人権保障の観点から大問題である。日本にいる限り憲法や国際人権法などの光に照らされる労働者でなければならない。長期間の家族の分離を強いる仕組みであってはなるまい。

職場移転の自由があっていいし、日本人の労働者と同様の労働条件にすべきだ。賃金や労働時間などで国籍や民族を理由とした差別を認めてはいけないはずだ。

熟練者対象の「特定技能2号」の場合は家族帯同も、事実上の永住も認める仕組みだ。それならば、まず家族のための日本語教育が求められよう。医療も福祉も教育も、日本人と同様のサービスを提供すべきなのだ。

日本社会とどう溶け合っていくかも大きな課題になる。国や自治体、企業、NGOなどとの連携も不可欠である。日本でともに働き、暮らす仲間を快く迎えられる環境づくりがまず必要だ。

政府は法改正し来春にも新制度を実施するという。急ぎすぎではないか。

技能実習生の例があるように、外国人をまるで使い捨て感覚で雇用すれば、国際社会から「奴隷的」と烙印(らくいん)を押されるだろう。
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[東京新聞] 核廃絶と日本 被爆国の責務がある (2018年10月29日)

米国の核廃棄条約の破棄方針で、新たな軍拡競争への懸念が広がっている。唯一の戦争被爆国である日本は、この事態を静観するだけでなく、核兵器なき世界を実現するため、積極的に動くべきだ。

トランプ米大統領が旧ソ連との中距離核戦力(INF)廃棄条約から離脱する方針を示したことをめぐり、来月、米ロ首脳会談が開かれる見通しとなっている。

本当に米国が離脱し、条約が破棄されれば、米ロの核秩序が崩れる。さらに、中国も巻き込んだ核開発競争に発展する危険もある。もちろん、日本を含む北東アジアの安全保障への影響も、避けられないだろう。

しかし、日本政府の対応は鈍い。菅義偉(すがよしひで)官房長官は会見で、破棄方針について「望ましくない」と語ったものの、トランプ大統領を説得する姿勢は見せず、あいまいな物言いに終始した。

そもそも日本政府は、核廃絶に向けて、核保有国と非保有国との「橋渡し役」を果たすと、繰り返し表明してきたはずだ。

安倍晋三首相は、トランプ大統領、ロシアのプーチン大統領とも近い関係だ。中国の習近平国家主席とも二十六日に会談したばかり。関係国の調整役になれる立場だが、動きは見えない。

日本政府が二十五年続けて国連に提出した核兵器廃絶決議案も、国際社会にアピールしていない。

米国など核保有国の賛同を得るため、核兵器を法的に禁止する核兵器禁止条約(昨年七月、国連で採択)に触れていないためだ。核兵器の非人道性に関する表現も、従来より弱めている。

昨年も核兵器の非人道性に関する表現を弱めており、賛成は前年の百六十七カ国から百四十四カ国に減少してしまった。

日本の決議案は来月上旬に委員会通過後、十二月上旬に総会で採択されるが、今年も、幅広い賛成を得るのは難しいだろう。

確かに日本は米国の「核の傘」に入っている。それでも安倍首相は八月上旬、長崎、広島での平和祈念の式典で「『核兵器のない世界』の実現に向けて粘り強く努力を重ねることは、わが国の使命だ」と明言していたはずだ。

一方、核廃絶を目指す核兵器禁止条約は、少しずつ批准国を増やしている。二〇一九年後半には、発効に必要な五十カ国・地域に達するとの見通しもある。

日本政府は、この条約への参加も含め、核廃絶への断固とした姿勢を示し、責務を果たすべきだ。
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[毎日新聞] 大山古墳の共同発掘 「陵墓」調査の対象拡大を (2018年10月29日)

仁徳天皇陵と呼ばれ、5世紀ごろの築造とされる日本最大の前方後円墳・大山(だいせん)古墳で、古墳を管理する宮内庁と地元の堺市による共同発掘調査が始まった。

大山古墳は、宮内庁が歴代天皇や皇族などの墓として指定した「陵墓」の一つだ。宮内庁は陵墓の保全や調査を一手に担い、外部の立ち入りは原則、認めてこなかった。

発掘は12月上旬までで、墳丘の外周に巡らされた濠(ほり)の堤が対象となる。保全のための基礎調査という位置づけだが、堤の一部を掘削し、遺物収集もする。新たな埴輪(はにわ)などが見つかったり、より詳しい築造年代の特定につながったりする可能性もあるだけに、歓迎したい。

宮内庁は899カ所の陵墓を管理している。立ち入り制限は、陵墓が皇室の祭祀(さいし)の対象であり「静安と尊厳」が必要、というのが理由だ。歴史・考古学関係団体の長年の要望に応じて2008年、限定的な立ち入りを認めたが、墳丘の最下段から観察させる程度にとどめていた。

それが一昨年春、地元教育委員会や考古学者にも発掘調査への協力を要請するという新方針を公表した。今回の共同調査は新方針を踏まえた初のケースとして注目できる。

陵墓は明治時代、当時の宮内省が文献や伝承をもとに定めた。だが埴輪や土器などから年代を特定する研究が進むにつれ、異論が出ている。

大山古墳に関しても、周辺の天皇陵とされる古墳との築造順が、天皇の系譜と矛盾しており、被葬者が仁徳天皇とは言い切れない。多くの教科書で「仁徳天皇陵」から「大山(仙)古墳」などと表記が変わったのも、そのためだ。

大山古墳を含む百舌鳥(もず)・古市古墳群について、政府は世界文化遺産への登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請している。

だが、推薦書に「仁徳天皇陵古墳」などと記述されていることに日本考古学協会など学術団体は異議を唱えている。登録を目指す以上、学術調査は欠かせない要素であろう。

古代史研究が進む中、陵墓に関してだけタブーとするのは、歴史的、文化的損失につながる。今回の発掘をきっかけとして自治体や研究機関との連携を進め、共同調査の対象を広げていくことを求めたい。
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[毎日新聞] 消費増税と景気対策 目的がさらに薄れていく (2018年10月29日)

来年10月に予定する消費税率10%への引き上げを巡り、政府が景気対策の検討を本格化させている。安倍晋三首相は先週の所信表明演説で「あらゆる施策を総動員する」と述べ、大型対策にする方針を強調した。

景気への目配りは必要だ。だが増税の目的は高齢化で増え続ける社会保障費の財源を確保し、借金のつけ回しに歯止めをかけることだ。

首相は既に増税の半分を借金返済ではなく、教育無償化などに充てると決めている。さらに景気対策の規模を膨らませると、増税の目的がますます薄れるばかりである。

まず問題なのは、買い物の際に現金を使わずクレジットカードなどで払う「キャッシュレス決済」を行った場合、ポイントを還元する案だ。

対象は中小の小売店が売る商品とし、8%の軽減税率が適用される食品も含めるという。還元するのは増税幅と同じ2%分なので食品の税率は実質6%と減税になる。これでは何のための増税か分からない。

店がカード会社に払う手数料の引き下げも促す方針だ。地方の商店街にもキャッシュレス決済を広げポイント還元を増やしたいのだろう。

だが手数料は店の売上高などを踏まえてカード会社が決めるものだ。企業の経営判断に干渉してまで景気押し上げを図るのは筋が通らない。

政府は訪日外国人がよく使うキャッシュレス決済を全国的に拡大して観光振興も図ろうとしているが、景気対策とは性質が全く異なる。強引に一緒にするから無理が生じる。

もう一つ懸念されるのは、低所得者向けに、購入額以上の買い物ができるプレミアム付き商品券の発行を検討していることである。

2014年の消費増税後にも行ったが、効果は乏しかった。非効率な財政出動を繰り返すのだろうか。

首相は所信表明演説で「少子高齢化に真正面から立ち向かい、子や孫の世代のため誇りある日本を創り上げよう」と語った。ならば1000兆円超の借金を抱える財政を再建し負担の先送りをやめる責任がある。

今国会は、首相が閣議で増税を予定通り来年行うと表明して初めての国会だ。所信表明演説で目的を丁寧に説明し、国民に理解を求める必要があったのに言及しなかった。今後の質疑できちんと説明すべきだ。
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