2018年09月30日

[産経新聞] 【主張】組合健保4割赤字 人口減に耐える改革図れ (2018年09月30日)

大企業の会社員などが加入する健康保険組合のうち4割の組合が、平成29年度の決算で赤字の見込みとなった。

高齢者医療制度への拠出金が膨らみ、財政を圧迫していることが大きな原因である。

保険料率が、中小企業の会社員向けの全国健康保険協会(協会けんぽ)を上回る組合も少なくない。財政悪化によって解散を余儀なくされるところも相次いでいる。約50万人が加入する「人材派遣健康保険組合」も、今年度末での解散を決めた。

健康保険組合連合会(健保連)は高齢者医療制度への拠出金そのものの見直しを求めているが、国民皆保険を維持するには世代間の扶養が欠かせない。とはいえ、現役世代の負担にも限界はある。

当面の措置としては、年齢を問わず支払い能力のある人が負担する仕組みをさらに徹底すべきだ。低所得者への配慮は必要だが、現行1割となっている75歳以上の医療費窓口負担を早急に引き上げることを求めたい。

一方で、高齢者数がさらに増えることを踏まえ、長期的な視野を持った対策にも取り組んでいかなければならない。

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まず、人口が激減する時代に、働く立場で加入する健康保険が異なる今の仕組みは成り立ち得るのか、という視点を持つべきである。保険とは、加入者の数が多く、質的な偏りが小さいほど機能する仕組みだが、健保組合はそれに合致しにくくなっていく。

健保組合の運営は、原則として国からの補助を受けずに独立採算となっている。解散すると加入者は国の補助金の入っている協会けんぽに移るため、それだけ国の支出が拡大してしまう。

このため厚生労働省は、存続が危ぶまれる組合への支援の拡充を図る方針だが、多くの財源を確保することは難しく、問題の解決とはならない。さらに働き手世代は激減していく。終身雇用や年功序列といった古いモデルに縛られない働き方も広がっている。

少子高齢社会で求められるのは、小規模な健保組合の「延命」ではなく、むしろ組織の拡大による安定化と業務の効率化だ。発想の転換を求めたい。

厚労省は自営業者などが加入する国民健康保険を含め、根本的な制度の作り直しに向けた議論をスタートさせる必要がある。
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[産経新聞] 【主張】朝鮮学校判決 不当な支配に公金出せぬ (2018年09月30日)

朝鮮学校を高校授業料無償化の適用対象外とした国の措置について大阪高裁は適法と認め、学校側の訴えを退けた。

北朝鮮の独裁者を礼賛する教科書を使うなど、教育内容や学校運営にわたって朝鮮総連から「不当な支配」を受けていると判示した。朝鮮学校の実態を踏まえた常識的な判決である。

大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」が、教育の機会均等を奪い、差別にあたるなどと訴えていた。

全国5裁判所に同種の訴訟が起こされ、係争中だ。1審の大阪地裁は原告の訴えを認め、無償化除外を「違法」とする、他の裁判所とは異なる判決を出していた。

これに対し、控訴審の大阪高裁は、朝鮮学校について朝鮮総連から「教育の自主性をゆがめるような支配を受けている疑いがある」と認定した。

根拠として総連が組織的に朝鮮学校を指導する関係が成立し、幹部の人事交流など人事面のほか、財政支援をしていることなどを具体的に明示した。

総連から教育内容に強い影響を受けていることを高裁が認めたことは重い。総連傘下の出版社が作成した教科書を使わせ、金日成、金正日父子を「絶対的な存在として礼賛し、朝鮮労働党や総連を褒め称(たた)える記載が多数見受けられる」と具体的に示した。

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無償化の支給要件は、法律で「適正な学校運営」と定められている。国民の税金を使う以上、当たり前である。高裁も法令に照らし、不支給を決めた国の対応を支持した。

北朝鮮は拉致をはじめテロ事件を実行してきた。核・ミサイルを放棄せず、国際社会から制裁を受けている。その独裁体制を支える教育内容を不問にして、公金を使うことは到底理解されない。北を利するだけである。

昨年7月の広島地裁判決は、民族教育を受ける権利を侵害するなどの訴えに対し、支給要件は合理的で差別にはあたらないと退けた。朝鮮学校が無償化から除外されたのは差別などではなく、教育内容や学校運営に看過できない問題があるからである。

無償化除外に対し、教育の「自由」が奪われたなどの批判が相変わらずあるが、不当な支配で自由を奪っているのは、いったい誰なのか、よく考えるべきだ。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 雨を感じる者として (2018年09月30日)

秋分もすぎて、天文学上の定義でも、ついに夏は去りましたが、顧みれば、獰猛(どうもう)な、とでも表現したくなるような、自然の脅威にさらされた夏でした。

まずは、言うまいと思えど、今夏の暑さ、です。

東京都内や名古屋市で観測史上初めて最高気温が四〇度超え。七月二十三日には埼玉県熊谷市で四一・一度と国内最高気温が更新されました。

その日、気象庁は連日の高温について異例の会見を行い、「災害と認識している」と。熱中症などで亡くなる人が続出し、テレビで連呼された「命にかかわる危険な暑さ」というフレーズも、大げさには聞こえませんでした。


◆この夏、自然の脅威
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そして、「過去に経験したことのない雨」という言葉も大げさではなかった。七月初旬、九州から岐阜県までの広い範囲で被害をもたらした西日本豪雨。気象庁は「数十年に一度の大雨」を警告する特別警報を過去最多の十一府県に発出。河川氾濫、土砂災害が多発し死者は二百人を超えました。

台風も、また。連絡橋にタンカーが衝突したり滑走路が浸水したりした映像は衝撃でした。21号が徳島、ついで兵庫県に上陸したのは今月四日。最大風速四四メートル以上の「非常に強い台風」が上陸したのは二十五年ぶりです。死者は十人を超え、関西を中心に大きな被害が出ました。

そして、六日には北海道で震度7の大地震が。

大規模な土砂崩れが発生した厚真町を中心に、死者四十人を超えるなど甚大な被害。住宅の全半壊は約千棟、全道を停電が覆うブラックアウトも出来(しゅったい)して、暮らしは大混乱に陥りました。

この夏を振り返れば、私たちは本当に何というやっかいなところに暮らしているのだろうと、改めて思わずにはいられません。


◆猛暑、大雨、台風、地震
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気象庁のデータを瞥見(べっけん)すれば、例えば夏の台風は、ざっと発生数の半分が列島に接近、その半分が上陸といった感じでしょうか。今も新たに24号が…。偏西風や気圧配置からそうなるだけだと聞いても、何か腹に落ちない。どうしても台風は日本列島を目指してくるような気がしてしまいます。

「日本人であるということは、どうやら多くの自然災害とともに生きていくことを意味しているようです」。作家の村上春樹さんは二〇一一年にカタルーニャ賞を受けた時、大震災や毎年のような台風被害にふれたスピーチでそう語りましたが、まさに、です。

確かに、テクノロジーは素晴らしい。科学技術の進展がどれほど減災に貢献してきたか分かりません。でも、自然そのものを力ずくでどうこうはできない。ほぼ半世紀前、大阪万博で大人気だったパビリオン、三菱未来館で見た「未来には実現する」技術の映像では、確か、ジェット機が台風の目に爆弾のようなものを投下して台風を消滅させる…。幸か不幸か、そんな未来は来ていません。

それでも、はるか昔から、人々がこの地でどうにかこうにか生きてこられたのは、自然とうまく折り合いをつけてきたということでしょう。パスカルの『パンセ』じゃありませんが、自然に比べれば人間は弱い、ちっぽけだと自覚しているからこその強さ。強面(こわもて)でなく柔らかい物腰、対峙(たいじ)というより対話するように自然とつきあってきたのだという気がします。

例えば、平生は恵みの雨だが、時に猛(たけ)り狂うこともある雨。なのに「篠突(しのつ)く雨(激しく降る雨)」「私(わたくし)雨(ごく局地的な雨)」「一篩(いっし)の雨(篩(ふるい)で粉をひとふるいした程度の少雨)」など、それだけで本が一冊できるほど(実際にあります)多くの凝った名前をつけて、愛(め)でるように接してきたことにも思い当たります。

<雨を感じる者もいれば、ただ濡(ぬ)れるだけの者もいる>とは、誰か西洋の人が言った言葉ですが、身びいきを承知で言えば、私たちは、断然、前者でありましょう。

そして、人々のそういう柔らかな心性とも、あちこちでぐらぐらする柔らかい国土とも決定的に相性が悪いと思うのが、原発なのです。そう、この歌が静かに訴えるように。<やはらかきふるき日本の言葉もて原発かぞふひい、ふう、みい、よ>高野公彦。


◆柔らかく、しなやかに
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北海道地震で、泊原発の外部電源が一時喪失した時、あの福島の記憶、自然をねじ伏せようとする営みが脆(もろ)くも崩れた記憶が苦く蘇(よみがえ)ったという人もおられましょう。今回は活断層でない断層がずれたともみられ、「原発は活断層の上には造らない」というルールの意味も揺さぶられています。

この美しくも災害だらけの国でしぶとく生き抜いていく。それには自然と、柔らかく、しなやかにつきあっていくほかないのです。
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[毎日新聞] 消費税率10%まで1年 将来に向き合う誠実さを (2018年09月30日)

来年10月1日に予定される消費税率10%への引き上げまであと1年となった。3年前に行うはずだったが、安倍晋三首相が景気への影響を理由に2回も延期していたものだ。

首相は今回「基本的に上げていく」と述べている。だが増税の原点をわきまえているようには見えない。

消費税は急速な高齢化社会を支える重要な財源である。

高齢化で増え続ける社会保障費を巡り、政府は多くを借金で賄ってきた。積み上がった国の借金は1000兆円超と危機的な状況にある。

このままでは将来世代が背負う借金が膨らむ一方だ。無責任なつけ回しをなくすには、現在の世代の負担を増やすことが避けて通れない。


高齢化と人口減の危機
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ところが首相は、先の自民党総裁選で党のインターネット番組に出演した際、「できれば上げたくない。しかし昨年の総選挙で約束した教育無償化を始めるには上げなければならない」と述べた。増税の目的を自分に都合良くすり替えるものだ。

増税による税収の多くは、将来へのつけ回しに歯止めを掛けるのが目的だった。なのに首相は教育無償化に充てると変更してしまった。無償化は大事だが、引き換えに将来に負担を先送りするのはおかしい。

加えて首相は増税時の景気対策として大規模な財政出動を行う方針も打ち出した。景気への一定の配慮は必要だが、借金の膨張を防ぐための増税分を、過度の景気刺激策で使い果たすようでは本末転倒だ。

来年の増税時は食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率が導入される。低所得層の負担を軽減し消費落ち込みを防ぐ効果が見込める。

同じ品目でも店内飲食と持ち帰りで税率が異なるなどまぎらわしいケースもあるが、円滑な導入に向け政府は対策に万全を期してほしい。

そもそも税率10%はゴールではない。日本社会は今後、かつてない高齢化と人口減少という構造的危機に直面し、これに見合った社会保障制度を構築する必要があるからだ。

厚生労働省などは今年5月、高齢者人口がピークの約4000万人になる2040年度の社会保障費は今より68兆円も多い約190兆円に膨らむとの推計を初めて公表した。

主な財源である保険料と税金のうち、税金での負担は30兆円以上多い約80兆円に増える。大和総研によると、この80兆円をすべて消費税で賄う場合、税率を20%程度に上げなければならない計算になるという。

人口の急減という問題もある。厚労省などの推計は65年には総人口が8000万人台に減るという国の見通しを前提にしている。高齢者を支える働き手が減少すると1人あたりの負担も重くなるのは不可避だ。

税率10%は、自民、公明、旧民主3党が12年に合意した「税と社会保障の一体改革」に基づく。ただ、ベースとなったのは、団塊の世代がすべて75歳以上になる25年度までの社会保障費の推計である。


青写真示す政治の責任
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新たに40年度までの推計が示され、社会保障費は一段と膨張することがはっきりした。ならば、さらなる負担増も含めた「ポスト一体改革」の議論は待ったなしである。

それなのに首相は、目先の景気を優先し、抜本改革に本格的に取り組もうとはしてこなかった。3年前に打ち出した「50年後に人口1億人」という現実離れしたスローガンをいまだに掲げている。

首相は今後3年間で社会保障改革を行うと表明した。だが示したのは年金受給開始年齢の選択肢を広げることくらいである。憲政史上最長の政権を担うというなら、長期的課題に対する責任もより重くなる。

深刻な人口減少が進む日本は高成長を望みにくい。加速する高齢化社会を支えるには、国民全体で負担を分かち合う重要性が一段と高まる。理解を求めるのは政治の役割だ。

首相は少子高齢化を「国難」と呼んだ。それなら危機を乗り切れる負担と給付の青写真も示すべきだ。

石油危機後の財政難に陥っていた1979年当時、大平正芳首相は施政方針演説で消費税導入の必要性をこう訴えた。「財政があらゆる要求に適応できた高度成長期の夢はもはやこれを捨て去らねばならない」。その年の衆院選で敗れたが、不人気な政策にも正面から取り組む政治のあるべき姿を示したと言える。

厳しい将来に誠実に向き合い、痛みを伴う改革に踏み込むことも辞さないのが指導者の責任である。
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[読売新聞] 朝鮮学校敗訴 無償化否定の流れが強まった (2018年09月30日)

適正に学校が運営されているのか、疑念が拭えない以上、公金の支給を認めないのは当然だ。

朝鮮学校を高校授業料の無償化対象から除外した国の処分の是非が争われた訴訟で、大阪高裁が処分を適法と認めた。無償化対象にするよう命じた大阪地裁判決は取り消された。

同様の訴訟は計5地裁・支部に起こされた。判決は5件目で、高裁では初めてだ。国の処分を違法としたのは、大阪地裁だけだった。無償化を認めない司法判断が定着しつつあると言えよう。

無償化制度は民主党政権だった2010年に導入された。公立校以外にも国が各校に就学支援金を支給している。外国人学校も、文部科学相の指定を受ければ対象としたが、自民党の政権復帰後の13年に朝鮮学校は除外となった。

北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との密接な関係が疑われ、就学支援金が授業料に充てられない懸念があったためだ。

朝鮮総連は、北朝鮮の大使館としての役割があると指摘される。北朝鮮の意向に沿って非合法活動に関与しているとみて、公安調査庁が調査や監視の対象にしてきた事実は無視できまい。

教育基本法は、教育に対する不当な支配を禁じている。一連の訴訟では、朝鮮学校と朝鮮総連の関係をどのように捉えるか、が判断の分かれ目になった。

朝鮮総連傘下の出版社が発行した教科書を使用している。教科書には、北朝鮮の指導者を礼賛する内容が含まれる。大阪高裁はこうした事実を重視し、教育の自主性を歪(ゆが)める不当な支配を受けている疑いがある、と結論付けた。

教育基本法の趣旨に照らせば、うなずける判断である。朝鮮学校側は「拉致問題など、教育と無関係の政治的、外交的理由で除外された」とも主張したが、大阪高裁は「不当な支配があるかどうかを検討した結果だ」と一蹴(いっしゅう)した。

「学校は自主的に運営されている」という見解を示した大阪地裁は、運営実態に対する認識が甘かったのではないか。

朝鮮学校は学校教育法上、予備校などと同様の「各種学校」の扱いだ。日本の幼稚園、小中学校、高校に相当し、昨年5月時点で休校中の5校を含めて66校ある。

一部の自治体は、住民との交流費などとして補助金を支給してきたが、朝鮮総連との関係を理由に見直しが相次いでいるという。

地域の理解を得るには、朝鮮学校が財務状況の透明化を進め、情報公開を徹底する必要がある。
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[朝日新聞] 公害認定50年 「水俣病」は終わらない (2018年09月30日)

熊本と新潟で発生した水俣病を、政府が「公害病」と認定してから50年になる。

これだけの長い時間が経ったにもかかわらず、いまも訴訟が続き、患者に対する心ない中傷と差別、そして補償の有無や金額をめぐる対立・葛藤が、地域に暗い影を落とす。

認定は68年9月26日。熊本で患者の発生が最初に報告(公式確認)されてから、実に12年が過ぎていた。原因企業のチッソはこの年の5月まで、大量のメチル水銀を不知火海に排出し続けた。対応の遅れは膨大な患者を生み、昭和電工による新潟水俣病の被害ももたらした。

認定時に政府がとりまとめた見解にあらためて目を通すと、事実に基づかない、きわめて不誠実な内容に驚く。

水俣湾内の魚介類を食べることを禁止し、チッソ工場の排水処理施設を整備したことによって、患者は60年以降出ていないとして「終息」を宣言。補償問題も民事上の和解が成立しているとして、幕引きを図った。

だが摂食禁止は有名無実で、施設も水銀を完全に除く機能はなく、汚染は止まらなかった。和解も、圧倒的に強い立場のチッソが、新たな要求はしないと患者に約束させたうえで低額の見舞金を支払う内容で、73年に熊本地裁が「公序良俗に反する」と述べ、無効とした。

その後も新たな患者の存在が次々と明らかになり、現在、新潟を含む全国の裁判所で1500人以上が被害を争い、水俣病と認定するよう申請している人は2千人にのぼる。

「終息」にほど遠い状況を作りだした大きな原因は、行政のかたくなな態度にある。

患者の認定制度は対象を絞り込む装置として機能し続け、最高裁が幅広く救済する判決を言い渡しても、政府は基準を見直さない。このため司法に助けを求める動きが繰り返される。

被害の実態も本当のところはわかっていない。民間医師団が自分たちの検診活動の結果と政策とのギャップに驚き、住民たちの広範な健康調査の必要性を訴えても、政府が一切応じないからだ。高齢になって症状の悪化を訴える被害者は少なくないが、その日常を支える体制も十分とはとても言えない。

人の生命や健康よりも産業の振興が優先され、政官産学のもたれ合いの中で真相が覆い隠される。それが水俣病の歴史だ。そしてそのゆがんだ構造は、克服されないまま日本社会の中に厳然としてある。

公害病認定から半世紀。「水俣病」は終わっていない。
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[朝日新聞] 原発と火山 巨大噴火から逃げるな (2018年09月30日)

火山の噴火、とりわけ1万年に1回程度という巨大噴火が原発にもたらす危険とどう向き合うのか。安全審査を担う原子力規制委員会を中心に検討を続けねばならない。

四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)の運転再開を巡り、阿蘇山(熊本県)噴火のリスクに関して広島高裁の2人の裁判長が正反対の判断を示した。昨年末には運転差し止めを求める住民の申請が認められたが、四電からの異議を受けた今月の決定は運転にお墨付きを与えた。

原子力規制委には「火山影響評価ガイド」という審査の内規がある。原発から160キロ以内の火山を対象に、噴火に伴う危険性を評価する手順を定める。

伊方から130キロの阿蘇山について、広島高裁はガイドに沿って9万年前の破局的噴火を想定し、火砕流が及ぶ可能性を検討。今月の決定も昨年末と同様に「ガイドに従えば原発の立地は認められない」とした。

それにもかかわらず結論が分かれた根底には、「社会通念」への姿勢の違いがある。

原発以外では巨大噴火に備える規制や対策は特になく、国民の不安や疑問も目立たない。巨大噴火のリスクは受け入れるのが社会通念ではないか――。

昨年末の決定は、こうした考えに理解を示しつつ、福島第一原発事故後に発足した規制委の科学的・技術的な知見に基づくガイドを重視した。今月の決定は、噴火の予測が困難なことなどからガイドは不合理とし、社会通念から結論を導いた。

あいまいさを伴う社会通念を前面に出した司法判断には疑問が残る。放射能に汚染された地域への立ち入りが厳しく制限される原発事故の深刻さは、福島の事故が示す通りだ。原発を巡る「社会通念」とは何か、議論を尽くす必要がある。

まずは規制委である。

規制委は3月、事務局を通じて「巨大噴火によるリスクは社会通念上容認される」との考えを示した。今月の広島高裁の決定も触れた見解だが、「委員会の使命である科学的評価を放棄した」との批判が出ている。

その広島高裁決定が「火山ガイドは不合理」としたことについては、更田豊志委員長が会見でガイドにわかりにくさがあることを認め、修正に言及した。

表現の手直しにとどめず、自らの役割を含めて「原発と火山」を問い直さねばならない。

火山噴火が懸念される原発は伊方に限らず、九州電力の川内原発(鹿児島県)など各地にある。国民的な議論の先陣を切ることを規制委に期待する。
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[読売新聞] FRB利上げ 新興国への副作用に目配りを (2018年09月30日)

世界経済を牽引(けんいん)する米国は堅調な成長を持続できるか。米国の金融当局は、より丁寧に政策運営を進めていくべきだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、今年3回目となる利上げを決めた。

米国では、大型減税の効果などで成長率が4%台の高い伸びを示している。物価上昇率はFRBが目標とする2%に達し、失業率も歴史的な低水準にある。

景気の過熱やインフレを防ぐため、FRBが追加利上げに踏み切ったのは、適切な判断だろう。

政策金利は2%を超え、リーマン・ショックが発生した2008年以来、約10年ぶりの水準に回復した。金融政策の正常化は着実に進んでおり、利上げは米経済の力強さを改めて示したと言える。

FOMCは今後も景気が拡大するとして、年内にあと1回、来年に3回の利上げを想定した。

ただ、今後の金融政策には慎重さが求められる。まず警戒すべきは、利上げで新興国からの資金流出に拍車がかかるリスクだ。

経済基盤の脆弱(ぜいじゃく)なアルゼンチンやトルコなどでは、すでに激しい通貨安が起きている。利上げが続けば、世界の投資資金が、高い金利収益を見込める米ドルでの運用にさらに向かうことになろう。

急激な通貨の下落は、新興国に深刻な物価高や景気減速を招きかねない。FRBは政策決定に際して、新興国に及ぼす副作用に一段と目配りすることが大切だ。

「市場との対話」に万全を期し、金融政策の方向性を十分に織り込ませることも欠かせまい。

トランプ政権の通商政策も不安の種だ。米国は、中国からの輸入品2500億ドル相当(約28兆円)に制裁関税を課している。

制裁が長期化すれば、高関税による物価上昇などで米国の消費者や企業の負担は大きくなり、景気を下押しする恐れが高まる。

FRBは、保護主義政策が自国の経済に与える悪影響を的確に分析していくことが重要になる。

利上げで日米の金利差が拡大すれば、円安・ドル高が進みやすくなる。日本からの輸出を促進する効果が望める一方で、原油などの輸入価格が高騰し、企業や家計の重しとなる懸念も指摘される。

FOMCは今回、2020年に利上げを停止する可能性を示唆した。将来、市場が利上げの終了を意識し始めると逆に円高・ドル安に相場は振れやすくなる。

日銀は、FRBの舵(かじ)取りを一層注視していかねばならない。
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2018年09月29日

[産経新聞] 【主張】新車検査の不正 構造改革へ危機感あるか (2018年09月29日)

自動車の完成検査をめぐる不正が、またも拡大した。日産自動車で新たな検査項目での不正が判明し、スズキでは排ガスや燃費の測定データで改竄(かいざん)がみつかった。

一連の検査不正は昨年9月、日産で資格を持たない担当者による検査が発覚して以降、各社が調査するたびに新たな不正が明らかになる。

そのたびに経営トップが法令順守の徹底を約束するが、不正の根絶はできない。

とくに懸念されるのが、人手不足による検査体制の不備である。人員削減などのコスト対策を優先し、必要な検査要員を確保していないなど、構造的な問題が明らかになっている。

これは日本の自動車産業への信頼失墜だけでなく、国際的な産業競争力の低下にも直結する深刻な事態だ。業界全体で、厳しく受け止めるべきである。

日産がまとめた調査報告によると、すでに判明している燃費や排ガスの測定データの改竄に加え、ブレーキ液残量の警告灯でも検査をしていなかったり、クラクションの音量データを偽ったりしていた。スズキは8月時点の燃費・排ガス検査の不正報告で「データの改竄はない」と説明していたが、さらなる調査で、改竄の事実が判明したのだという。

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いずれも、当初の社内調査では自らの検査不正を発見できていなかった。「本当に不正は根絶されるのか」という消費者の疑念は深まるばかりである。検査不正を排除するには、全社的な意識、構造の改革が必要である。その危機感があまりに希薄ではないか。

とくに日産は、2000年代以降に排ガス測定値の改竄が常態化したという。仏ルノー出身のカルロス・ゴーン氏が主導してリストラを進め、新興国で相次ぎ工場を建設した時期と重なる。厳しいコスト削減が不正を招く要因になったのは確かだろう。

スズキでも、少ない検査要員が膨大な完成検査に従事していた実態が判明している。SUBARUも検査設備などに対する投資が不十分だった。各社とも厳しい国際競争の中で完成検査をおろそかにしてきた構図が読み取れる。

独アウディの輸入車でも検査不正がみつかるなど、問題は拡大するばかりだ。国土交通省は、検査の実効性を高め、業界全体に構造改革を強く促してほしい。
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[東京新聞] 「新潮45」休刊 老舗の名を泣かせるな (2018年09月29日)

性的少数者(LGBT)への差別的な表現が批判された月刊誌「新潮45」が休刊する。世間の批判への反論特集がさらなる批判を浴びた。新潮社は休刊で済ませず、問題の核心の検証が必要だ。

ヘイト本は売れる−。そんな時代なのだろう。嫌韓・嫌中など特定の民族や国などへの差別や憎悪をあおる本や雑誌がひしめく。編集者にそんな思想がなくても、売り上げが目当てで、ヘイト市場に手を出す出版社もあるという。

「新潮45」の場合はどうだったのか。八月号でLGBTのカップルを「生産性がない」などと否定する自民党の杉田水脈(みお)衆院議員の寄稿を掲載した。むろん、多くの人々はこの原稿の中身に疑問を持ったり、差別的であると感じたのだろう。批判的な反響がわき起こった。

すると同誌は十月号で「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題した擁護特集を組んだ。中には「LGBTの権利を擁護するなら、痴漢が触る権利を社会は保障すべきでないのか」という趣旨の文章も掲載された。暴論だ。

これは致命的である。作家や評論家らから抗議が起こった。社内からも、書店などからも批判の声が上がった。一連の特集について社長が「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」という声明を出さざるを得なかった。

それでも批判は続き、二十五日に休刊の発表に至った。

<ここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていた>

新潮社側はそう説明する。確かに一九八五年の創刊からピーク時十万部あった部数は今や二万部を切る状態である。だが、「編集上の無理」とは具体的に何なのか。それが「企画の吟味や原稿チェックがおろそかになった」ことと、どうつながるのか。ヘイト化した実態がつかめない。

東京新聞(中日新聞東京本社)にコラムを書く文芸評論家の斎藤美奈子さんも「そんなの言い訳になんないよ」と厳しく指摘する。「差別に乗じて利益を上げている以上、それは『差別ビジネス』で、普通の差別より悪質」とも。

休刊するとしても、同社は今回の事態を招いた詳細な検証と分析はいる。新潮社は多くの文学者を世に出した名門出版社である。老舗の名を泣かさぬよう「差別ビジネス」とは決別してほしい。
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[東京新聞] 大分・伊方決定 社会通念というリスク (2018年09月29日)

司法はまたしても「社会通念」という物差しを持ち出して、四国電力伊方原発(愛媛県)の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。原発リスクにおける「社会通念」とは、いったい何なのか。

伊方原発は、四国の最西端、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。

対岸は、豊後水道を挟んで九州・大分だ。最短で約四十五キロ。半島の三崎港から大分側の佐賀関港へは、フェリーを使えば七十分。古くから地理的に深く結び付いており、人や物の行き来も頻繁だ。

伊方原発に重大な事故が起きたとき、原発の西側で暮らす約四千七百人の住民は、大分側に海路で逃げることになる。

細長い半島には、ほかに逃げ場がないのである。

伊方原発は「日本一再稼働させてはいけない原発」と言われてきた。

わずか八キロ北を半島に寄り添うように、長大な「中央構造線断層帯」が九州へと延びており、南海トラフ巨大地震の震源域にある。

さらに、伊方原発は阿蘇山から百三十キロの距離にある。

原子力規制委員会の「火山ガイド」も指摘する、噴火による火砕流や火山灰の影響が心配される距離感だ。

両岸の住民は、巨大地震と巨大噴火という原発事故の“二大要因”を共有する間柄、原発事故は「対岸の火事」ではないのである。

大分地裁は、やはり四国電力側の主張を丸のみにするかのように「原発の耐震性評価は妥当」と判断し、「阿蘇山の破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない。破局的噴火に相応の根拠がない場合、社会通念上無視できる危険である」とした。

三日前の広島高裁と同様、またもや「社会通念」という、科学でもない、法律でもない、あいまいな“物差し”を持ち出して、大分地裁も、住民側が主張する具体的な不安を退けた。

重ねて問う。「社会通念」とは、いったい何なのか。

地震や噴火のリスクは確かにそこにある。しかし、確率は低く、取るに足らないものであり、そのようなことに不安を覚える人たちが、非常識だということなのか。

だから、備えを図る必要もないという判断なのか。

このような「社会通念」が定着し、原発が次々と息を吹き返していくとするならば、「安全神話」の復活以上に危険である。
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[産経新聞] 【主張】北朝鮮外交 融和先行のブレーキ役を (2018年09月29日)

安倍晋三首相はトランプ米大統領との会談後、米朝首脳の2度目の会談について、「当然、大きな進展がなければならない」と述べた。

北朝鮮による核・ミサイルの廃棄に向け、実質的で明確な成果を得ることが会談開催の前提だとくぎを刺したものだ。

文在寅大統領が訪朝を果たした韓国同様、米国も北朝鮮との対話に前のめりの姿勢がみえる。懸念するのは、両国が融和を前面に出すことで圧力が緩み、非核化が遠のくことである。

こうした流れに歯止めをかけるのが、日本の役割だ。目指すべきは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」であると言い続けなければならない。

同時に、米朝、南北の接触を、拉致問題解決へとつなげる努力が欠かせない。国連で短い日朝外相会談も実現した。機を逃さぬよう耳を研ぎ澄ます必要がある。

国連総会演説で、トランプ、文両氏は、金正恩朝鮮労働党委員長の非核化への意欲を評価した。北朝鮮は核実験、弾道ミサイル発射をせず、関連施設の廃棄も表明した。だが、これらの措置は直接、非核化に結びつかない。

核・ミサイルの脅威はトランプ氏が「ロケットマンの自殺行為」と難じた1年前と、本質的には何も変わっていない。

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トランプ氏は会見で、非核化に期限を設けない意向を示したが、先延ばしの口実になる。現段階であってはならない発言だった。

非核化への行動を引き出すために重要なのは圧力の継続である。国連安全保障理事会で、北朝鮮制裁を討議する閣僚級会合を開いたのは時宜にかなっていた。

ただ、会合で際立ったのは、制裁の厳格履行を強調する日米と、北朝鮮の後ろ盾として緩和を要求した中露との対立の構図だ。

文氏は総会演説で、北朝鮮の取り組みに「国際社会が応える番」と述べた。これは中露に与(くみ)し、日米との連携を乱す発言である。自制を求めたい。

安倍首相は総会演説で「すべての拉致被害者の帰国を実現する」と決意を表明した。同時に、金氏と「直接向き合う用意がある」と述べ、「北朝鮮がもつ潜在性を解き放つため助力を惜しまない」と誘い水を向けた。

「拉致の解決なしに北朝鮮は未来を描けない」とする従来の一線は、決して譲ってはならない。
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[毎日新聞] 相次ぐ仮想通貨の盗難 標的の国にならぬために (2018年09月29日)

仮想通貨の交換業者に対する行政の監督や規制を、根本から見直す時ではないか。

今年1月、コインチェックで約580億円相当の仮想通貨が何者かに盗まれたのに続き、今月また、巨額の仮想通貨が交換所から流出した。

今回も、インターネットに接続した状態で仮想通貨を保管する「ホットウォレット」がハッカーに狙われている。コインチェックでの事例が教訓として生かされなかった。

前回と異なるのは、顧客資産45億円分を含む70億円相当の仮想通貨を盗まれた交換業者、テックビューロ(大阪市)が、金融庁の登録業者だった点だ。コインチェックは、登録待ち状態の「みなし業者」だった。

しかも、テックビューロは3月と6月に金融庁から、安全策の強化などを求める業務改善命令を受けていた。他人の資産を扱う事業者としての自覚がなさ過ぎる。

情報開示でも問題が多い。同社が運営する交換サイト「Zaif(ザイフ)」に外部から不正アクセスがあったのは14日のことだが、流出を確認し当局に報告したのは18日だった。一般への公表はさらに20日までずれ込んだ。

金融庁への説明も不十分で、再報告を求める業務改善命令を受けた。再報告はしたが記者会見はまだだ。

深刻なのは、こうした業者が登録業者として営業してきたことだ。

テックビューロに限らない。国内では、登録業者16社、みなし業者3社が交換業務を行っているが、行政処分はテックビューロ分も含め、今年すでに延べ20件を超えている。

自社の資産と顧客の資産を分別管理する態勢の不備や、テロリスト・反社会勢力による悪用を防ぐ措置の不徹底など、多岐にわたり改善を求められている。

だがほとんどの場合、改善の完了を待たず業務を継続している。今回のように、改善途上の事業者が外部からの攻撃対象となる例は今後も起こり得る。

仮想通貨の交換所を攻撃する側から、「日本は狙い目」と思われるようではいけない。当局には、業務停止や登録取り消しなど、より厳格な行政対応が求められよう。同時に、現行の規制の総点検と必要に応じた強化を急がねばならない。
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[毎日新聞] 三菱電機の労災続出 裁量労働制の実態検証を (2018年09月29日)

三菱電機の男性社員5人が精神障害や脳疾患で2014?17年度に労災認定されていたことが判明した。過労自殺をした1人を含む3人には裁量労働制が適用されていた。

同社は約3万人の社員のうち1万人に裁量労働制を適用していたが、今年3月にすべて廃止した。大企業では異例の措置だ。

実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定めた「みなし労働時間」を基に残業代込みの賃金を払うのが裁量労働制である。成果さえ出せば、どのように働くか、何時間働くかは労働者自身の判断に委ねられている。本来であれば働き過ぎによる過労死などは起こりにくいはずだ。

ところが、14?17年度に裁量労働制で労災認定された人は三菱電機の3人を含め全国で42人に上る。制度の理念と実態に大きな落差がある。矛盾が生じている原因を詳しく調べなければならない。

裁量労働制は「専門業務型」と「企画業務型」がある。三菱電機の3人はいずれもシステム開発の技術者で、専門業務型の裁量労働制が適用されていた。

技術の高度化や細分化が進み、特定の技術者に掛かる負荷が増えているとの指摘がある。「みなし労働時間」内にできない量の仕事を課されている人が多いのではないか。

会社から課されるノルマはなくても、他社との間や職場内での競争に追われて長時間の仕事をしている人も少なくないだろう。

自分で労働時間を決められるとはいえ、過酷な勤務を続けているとストレスがたまって判断能力が働かなくなる場合がある。

裁量労働制を導入する会社は増えており、16年は約1万3000社に上る。安倍政権は今年の通常国会に対象拡大を盛り込んだ法案を提出する予定だったが、不適切データの問題を受けて断念した。厚生労働省は改めて裁量労働制について検討する有識者会議を今月設置した。

しかし、どのような事情で裁量労働制の人に労災が起きているのか、ほとんど明らかになっていない。

安倍政権としては安易に対象拡大に走るよりも、現在適用されている裁量労働制の実態を把握し、なぜ制度の趣旨と行き違いが生じているのかを分析するのが先だ。
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[読売新聞] 公害病50年 環境に配慮する意識をさらに (2018年09月29日)

水俣病が1968年に公害病と認定されてから50年が経過した。

イタイイタイ病と新潟水俣病も、公害病認定から今年で50年だ。四日市ぜんそくを加えた4大公害病は、高度成長時代の負の遺産である。教訓を基に、環境に配慮した社会作りを今後も進めたい。

水俣病は、熊本県水俣市のチッソの工場から八代海に流れ出た排水が原因だ。56年に最初の患者が公式に確認されたが、公害病認定までには12年を要した。

チッソは当初、排水が原因であることを否定した。政府による原因究明や排水規制なども迅速さを欠いた。中川環境相は先の記者会見で、「当初の対策の遅れが被害を拡大させ、深刻な被害の回復は容易でない」と語った。

異変を察知したら、速やかに手を打つ。それが、被害拡大を食い止める上で最も重要だ。今にも通じる危機管理の要諦だろう。

公害病の発生は、「汚染者負担の原則」が日本に根付くきっかけとなった。公害の原因企業は、環境浄化や被害者補償に取り組む責任があるとの考え方だ。70年代から80年代にかけて、経済協力開発機構(OECD)が提唱した。

いったん環境破壊を引き起こすと、そのツケは極めて大きいことは、チッソを見ても明らかだ。

企業の環境意識は現在、格段に向上している。法的にも、有害物質の排出規制などが強化され、かつてのような深刻な公害が生じる事態は考えにくい。

それでも、過去の企業活動の悪影響が、時間の経過とともに顕在化するケースがある。典型例が、建材として使われていたアスベストによる健康被害だろう。

企業には、環境への不断の目配りが求められる。万一、被害が発生した際に即座に対応できるよう態勢を整えておく必要もある。

水俣病と同様、水銀による健康被害が途上国で問題となっている。採掘した金の精錬に水銀が用いられているためだ。

昨年8月に発効した「水俣条約」は、水銀による環境汚染や健康被害の防止を目指す。水俣病を発生させた日本が主導し、脱水銀を世界的に加速させたい。

空調機器に使われるフロンガスによるオゾンホールの破壊や温暖化、大量のプラスチックごみの海洋流出など、近年は地球規模の環境破壊が深刻化している。

特定の企業だけでは到底、対処しきれない問題ばかりだ。地球環境の保全に向けて、各国の協調が重要性を増している。
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[朝日新聞] 日朝関係 自らの構想描いてこそ (2018年09月29日)

日本は、北朝鮮との不正常な関係の打開をめざすべきだ。ただ、それには主体的な構想と対話の積み重ねが要る。風向き次第で政治的な成果を焦るような外交に走ってはならない。

米・ニューヨークで安倍首相は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長との会談を含め、関係改善への意欲を強調した。

「相互不信の殻を破り、金氏と直接向き合う用意がある」。国連総会では「北東アジアから戦後構造を取り除くための労をいとわない」と演説した。

安倍政権は昨年の総選挙で核・ミサイル問題を「国難」と呼んで危機を強調し、情勢が対話局面に転じてからも脅威の「基本的な認識に変化はない」(18年版防衛白書)としてきた。

圧力一辺倒から、会談の呼びかけへ。大きな変化である。

金氏との会談を中国と韓国は複数回こなし、トランプ米大統領も再会を調整中だ。金氏のロシア訪問も取りざたされる。

日本が蚊帳の外にある現状は憂慮すべきだ。対話の輪に加わり、地域の緊張緩和に資する道を日本も探るのは当然だ。

同時に、日本が後れをとる理由を直視する必要がある。朝鮮戦争の法的な当事国でない、というだけでは済まない。

和平へ向けた独自の構想をもたず、米国の態度次第で方針を変転させる。そんな姿勢が周辺国に熟知されている。それが、存在感の低迷の要因なのだ。

首相は金氏の対話姿勢について、日米が国際社会をリードし、圧力をかけ続けた成果だという。衝動的なトランプ外交の影響は確かに大きいが、それに追随した日本の貢献を認める声は国外に見いだしがたい。

日本が抱く朝鮮半島の未来像と、その実現のための条件や道筋は何か。植民地支配の歴史に向き合い、未来志向の安定を築く指針は何か。ビジョンを発することが北朝鮮だけでなく、米韓中などに対しても日本の譲れない一線を示すことになる。

まずは北朝鮮を冷徹に見つめねばならない。

韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の説明では、金氏は日本との対話の用意があると語ったという。融和ムードを高めたい文氏の思惑も込めた伝言とみるべきだ。

日朝間には双方の首脳が02年に直接会い、署名した平壌宣言がある。国交正常化をめざす意思を確認した中身は、まだ色あせてはいない。

建設的な成果を生むには、日朝間の高官協議を軌道に乗せることが大切だ。一足飛びの局面転換より、堅実に間合いを詰める思考で臨むべきだ。
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[読売新聞] 対北朝鮮外交 拉致解決の本気度を見極めよ (2018年09月29日)

日本人拉致問題を本当に解決するつもりがあるのか。北朝鮮の姿勢を見極めつつ、冷静に対処することが重要だ。

安倍首相はニューヨークでの国連総会で演説し、「北朝鮮との相互不信の殻を破り、金正恩朝鮮労働党委員長と向き合う用意がある」と語り、日朝首脳会談への意欲を改めて表明した。

膠(こう)着(ちゃく)状態に陥っている拉致問題の打開には、トップ同士の交渉は有効な手立てだ。北朝鮮が対話姿勢に転じた機会を捉え、解決の糸口を探る狙いは理解できる。

今月中旬の南北首脳会談で、金委員長は「適切な時期に日本と対話し、関係改善を模索する用意がある」と語ったという。韓国の文在寅大統領が首相に伝えた。

一方で、北朝鮮は公式メディアなどで「拉致問題は解決済み」との立場を変えていない。

河野外相は国連本部で、北朝鮮の李容浩外相と会談した。日朝外相の接触は8月以来だ。7月には、北村滋内閣情報官が朝鮮労働党関係者と会談している。

金委員長が拉致問題解決の重要性を認識しているか。様々な機会を通じて確認すべきだ。

譲歩を小出しにし、より多くの見返りを得ようとするのは北朝鮮外交の常とう手段である。

環境が整わないまま、日朝首脳会談を急げば、北のペースにはまりかねない。首相が「拉致問題の解決に資する会談にしなければならない」と述べたのは当然だ。

2014年の日朝ストックホルム合意に基づく拉致被害者らの再調査は、北朝鮮が一方的に中止した。こうした不誠実な対応を繰り返させてはならない。

北朝鮮の核と弾道ミサイルは日本にとって脅威だ。拉致問題と包括的に解決することで、北朝鮮との国交正常化の道が開ける。そうすれば、経済支援も可能になる、というのが日本の主張だ。

日本はこの方針を崩さず、北朝鮮側から譲歩を引き出すことが大切だ。日朝間の実務的な折衝を積み上げたうえで、首脳会談に臨まなければならない。

北朝鮮の非核化に向けて、2回目の米朝首脳会談の準備が本格化している。米朝交渉の進(しん)捗(ちょく)状況を見定めながら、日朝協議を進めることが欠かせない。

日米韓の緊密な情報交換と政策協調が一層重要となる。

拉致被害者の家族は、高齢化が進み、被害者の一刻も早い帰国を待ち望んでいる。長年の懸案をいかに解決に導くか、安倍外交の真価が問われよう。
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[朝日新聞] 大学の将来像 連携深め地域に貢献を (2018年09月29日)

少子化の大きな流れのなか、2040年ごろの大学進学者数はいまより2割ほど減り、経営が成り立たなくなる大学が増えると見込まれている。

そんな時代を見すえ、中央教育審議会の部会が先日、国立大学同士の法人統合や私大間の学部の「譲渡」を可能にする改革案をまとめた。大学間の連携をしやすくして運営の効率化を図る制度改正や、設置基準の見直しも盛りこまれている。

経営破綻(はたん)によって学生が行き場を失うことがないよう対策を講じておくのは社会の責任だ。実現を急がねばならない。

特に心配されるのが地方の小規模大学だ。なくなると地域の灯が消えるだけではない。都会と地方の進学機会の格差はますます広がる。県外の大学に進むには多くの経費がかかる。経済的な理由で進学を断念する子を生まないためにも、一定の規模で地方に大学は必要だ。

もちろん、存続しさえすればいいという話ではない。それぞれの地域で、大学の果たせる役割を再確認し、強みを生かす道を探ることが求められる。

参考になる動きが前橋市で進む。市内にある国公私立の6大学・短大と商工会議所、市役所の三者が手を結び、地域人材の育成と定着のために知恵を出し合う協議の場を設けた。

大学が活性化すれば、地元に就職して産業を支える人材が育つ。保育士不足や中小企業の後継者難といった地域の課題に対しても、大学は社会人の「学び直し」の場を提供するなどの貢献ができる。そんな共生の関係を築き、地域に活力を生み出す。そのために、それぞれ何ができるか、何をすべきかを検討する場にしていくという。

参加する共愛学園前橋国際大の大森昭生学長は「学問分野が異なる6大学・短大が組めば、大きな総合大学ができるのと同じ」と話す。単なる生き残り策ではない、「連携」の可能性に期待を寄せる。

他大学との協力により、自校にはない分野の講義を受けられるようにする試みも広がる。

京都工芸繊維、同府立、同府立医科の3大学は、4年前に教養教育の共同化を始めた。年に82の科目が用意され選択の幅は格段に広がった。学生の半分は他校の講義を経験するという。

連携による教育内容の充実は大学の魅力を高め、学生の成長につながる。どの大学からも通いやすい講義場所の確保や学生の移動に必要な費用など、運営コストの一部を公費で援助することも含め、意欲のある大学を社会全体で後押ししたい。
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2018年09月28日

[産経新聞] 【主張】日米の新貿易交渉 理不尽許さぬ姿勢を貫け (2018年09月28日)

安倍晋三首相とトランプ米大統領が会談し、日米物品貿易協定(TAG)締結へ新たな交渉に入ることで合意した。

米国が市場開放を求める農産物や自動車の扱いを協議する。その最中には、米国が検討する輸入車への追加関税を発動しないことも確認した。

2国間協定に固執する米政権が、多国間の枠組みである環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に復帰することは当面期待できない。むしろ米国の対日圧力が強まる中で、事態打開のため物品貿易に限って米国との交渉に応じるのは、やむを得まい。

問題は、TPPとの整合性である。米国の理不尽な要求をのんで管理貿易の手法を強めるようでは禍根を残す。

安倍首相は国連で、自由貿易体制の強化こそが日本の使命だと訴えた。この姿勢を貫けなければ、TPP交渉などで培った信頼も失墜すると覚悟すべきだ。

米国が当面、日本車への追加関税を控えるのは当然である。これを恫喝(どうかつ)の材料にするようでは、まともな協議などできない。米国が問題を蒸し返すことがないよう強く念を押しておく必要がある。

米国が2国間協定を志向するのは、その方が自国利益を反映させやすいと考えるからだ。新交渉は米国がもくろんだ包括的な自由貿易協定ではないが、日本が避けてきた2国間の関税交渉であることに変わりはない。米国の強硬姿勢には引き続き警戒が必要だ。

自動車貿易などで数量規制を求めてくる恐れもある。数量自体を国が管理するのは関税による輸入制限より保護主義色が強く、断じて認めるわけにはいかない。

一方、共同声明で農産品について「TPPで合意した水準までしか関税引き下げを認めないという日本の立場を米国は尊重する」と明記した意味は大きい。

米国が対日輸出の恩恵を受けられないのはTPPを離脱したからである。米国との新協定により、米国を除く11カ国のTPP11が不利になるようでは本末転倒だ。TPPと同様の関税引き下げにとどめて、米国が将来的にTPPに復帰する余地を残したい。

声明は中国を念頭に、不公正な貿易慣行に連携対処することも確認した。米国が中国の覇権を阻もうとするなら日欧と対中包囲網を強めるのが筋だ。この点を粘り強く訴えることが重要である。
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[東京新聞] 日米関税交渉 粘り腰の協議続けよ (2018年09月28日)

日米は新たな通商協議入りで合意した。自動車への追加関税はひとまず回避したが、米国の圧力は続く。妥協点を探りながら米国を多国間協議に引き戻す粘り腰の通商戦略が求められている。

日本は日米二国間の自由貿易協定(FTA)を避け、多国間交渉である環太平洋連携協定(TPP)への復帰を米国に求める戦略をとってきた。

二国間交渉となる新通商交渉「日米物品貿易協定(TAG)」の開始は、貿易赤字削減を強く求めるトランプ大統領の圧力で方針転換を余儀なくされた結果といえる。

それと引き換えに、交渉中は日本車を制裁関税の対象としないことで合意、日本の基幹産業である自動車への打撃をとりあえず回避した。牛肉や豚肉など農産品では、TPPで合意した水準までしか関税引き下げを認めない旨を共同声明に明記。日銀の金融政策を縛りかねない為替条項は触れられておらず、当面の時間稼ぎには成功したといえる。

ただ、関税が対象の新通商交渉が、交渉分野の広い日米FTA交渉につながるのかどうかでは、早くも両首脳の見方が食い違っている。

「FTAとは全く異なる」とする安倍晋三首相に対し、トランプ大統領は「われわれは今日、FTA交渉開始で合意した」と記者団に明言している。新交渉は、十一月の中間選挙、来年の参院選を控える両首脳がお互いに配慮し合った玉虫色の合意であることを示しており、年明けにも始まる交渉は難航が必至だろう。

貿易立国である日本の経済は自由貿易体制を土台にしている。

トランプ大統領は「グローバリズムを拒絶する」と国連で演説。米国第一主義を一段と鮮明にしているが、日本が目指すのはグローバリズムの否定ではなく、弱肉強食に陥りがちな自由貿易の欠点を修正しながら、多国間の協調体制を維持、発展させることにあることは言うまでもない。

その要でありながら役割を果たしていない世界貿易機関(WTO)の改革で、日米欧は近く共同提案することで合意した。国家主導の経済体制が批判を浴びる中国が欧州連合(EU)とWTO改革で協議する動きもある。

日本は米国との新通商協議に粘り強く取り組む一方で、WTO改革で主導的な力を発揮し、トランプ大統領をWTOにとどまらせる戦略的な経済外交が必要だ。
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