2018年07月31日

[産経新聞] 【主張】財務次官人事 「危機」はもうおしまいか (2018年07月31日)

信頼失墜への危機感があるのか、疑念を拭えぬ人事である。

学校法人「森友学園」問題の決裁文書改竄(かいざん)や、前事務次官のセクハラなどの不祥事が相次いだ財務省が、岡本薫明主計局長を財務事務次官に昇格させた。

岡本氏は改竄当時、国会対応や文書管理を所管する官房長を務め、文書での厳重注意処分を受けている。それでも「改竄に直接関わっていない」という理由で本命とされた岡本氏がトップに上りつめたのである。

森友問題で嘘の答弁を重ねた佐川宣寿前国税庁長官や、セクハラ疑惑の福田淳一前事務次官をかばい続けた麻生太郎副総理兼財務相は今も同じポストだ。危機はすでに終わったかのように映る。

官僚が仕えるべきは組織ではなく、国民である。その目線と乖離(かいり)した組織優先の論理は捨て去らなければならない。財務省はもちろん、これを認めた安倍晋三政権が銘記すべきことである。

次官と国税庁長官という事務方トップ2人が3カ月以上も不在だった。国税庁長官は藤井健志同庁次長、主計局長は太田充理財局長が就任した。太田氏も森友問題で厳重注意処分を受けていた。

政権内では、処分を受けた岡本氏を昇格させることへの批判を意識し、森友と関係のない別の幹部を起用する案もあった。だが、最終的には「岡本次官」で乗り切れると判断したのだろう。岡本氏は予算編成を取り仕切る主計畑が長く、早くから次官候補と目されてきた。組織内の秩序を優先させたとみられても仕方あるまい。

そもそも、一連の問題への財務省の対応は不十分だった。国会の証人喚問で「訴追の恐れ」を理由に証言を拒んだ佐川氏は、文書改竄が不起訴となった今も明確な説明責任を果たしていない。福田氏は国家公務員法上の正式処分を受けておらず、処分相当として退職金を減額されただけである。

同省は再発防止策を議論するコンプライアンス推進会議も設置した。全省的に内部統制の強化や意識改革を促すのだという。だが組織の解体的な出直しを図る覚悟を行動で示せなければ、信頼回復などとても望めまい。

消費税率10%への引き上げや歳出改革など、財務官僚が全うすべき職務は多い。痛みを伴う政策に国民の理解を得ることの厳しさを再認識してもらいたい。
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[東京新聞] 核兵器禁止条約 被爆者の声に耳傾けよ (2018年07月31日)

世界で核兵器を禁止する動きが活発化する中、唯一の戦争被爆国である日本の役割が見えない。むしろ核保有国寄りの姿勢が目立ち、被爆者からは批判が起きている。謙虚に耳を傾けるべきだ。

一年前、核兵器の保有や使用を初めて法的に禁じる核兵器禁止条約が国連で採択された。賛成は、加盟国の三分の二近い、百二十二カ国にのぼった。

前文には「核兵器被害者の受け入れがたい苦しみと被害に留意する」と明記され、「hibakusha」(被爆者)という表現も盛り込まれた。

広島、長崎で被害を受けた人たちの思いを、世界が受け止めた結果と言えよう。

条文では核兵器の使用、開発、生産、保有、実験等を幅広く禁止。さらに核抑止力を事実上否定する「使用の威嚇」も禁じた。

採択実現の背景には、核保有国が非核化になかなか応じないことへの苛(いら)立ちがあった。

ピーク時よりは減っているが、世界には一万四千発以上の核兵器があるとされる。昨年六回目の核実験を行った北朝鮮だけでなく、世界全体で危機は続いている。

ところが米国、フランスなどの五大核保有国は核兵器禁止条約に反対。米国の「核の傘」に入っている韓国や日本も消極的だ。

日本政府は、核保有国と非保有国の「橋渡し役」になると宣言しているが、「(非核化の)ゴールは同じだが、アプローチが違う」(河野太郎外相)と、条約に冷ややかで、距離を置いている。

条約は現在、各国が調印、批准する過程に入っている。五十カ国の批准で条約として発効する。しかし、メキシコや、オーストリアなど十三カ国にとどまっており、核保有国からの圧力があるのでは、とも指摘されている。

そんな中、共同通信のアンケートで被爆者の八割が「日本政府は条約に参加すべきだ」と答えた。日本が参加すれば、批准に弾みがつくと期待しているのだ。

同じ調査では、日本の姿勢について「被爆者の長年の活動を無視した行為」との厳しい意見もあった。

朝鮮半島では、六月十二日に歴史上初の米朝首脳会談が開催され、朝鮮半島の非核化と朝鮮戦争の正式な終結が論議されている。

まだ十分な成果は上がっていないものの、半島情勢は変化を迎えている。非核化を実現するチャンスと言えよう。今こそ、日本が世界に語りかける時だ。
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[産経新聞] 【主張】iPS治験 再生医療の総合力向上を (2018年07月31日)

脳神経系の難病であるパーキンソン病患者の脳に、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った神経細胞のもとを移植する臨床試験(治験)を京都大学が始める。

学内審査と国の承認を経て、京都大が計画の詳細を発表した。

さまざまな組織や臓器の細胞に分化できるiPS細胞の臨床応用では、これまでに理化学研究所などにより目の病気の患者に対する手術が臨床研究として実施され、今年6月には重い心臓病患者を対象とする大阪大の臨床研究が国に承認された。

リスクの大きい脳神経や心臓の病気で、臨床応用に取り組む京大や阪大の姿勢を評価したい。

京都大の山中伸弥教授は、「難病患者を救いたい」という思いからiPS細胞を開発した。再生医療の切り札と期待され、多くの患者が「一日も早い実用化」を待ち望んでいる。

今回の治験は、臨床研究から一歩進んで、より実用化に近い段階と位置づけられる。iPS細胞による再生医療は、本格的な実用化に向けて大きく動き出す。

日本の医療、製薬は基礎研究のレベルは高いが、臨床研究や実用化段階で欧米に大きな後れをとってきた。iPS細胞に対する期待感が、臨床研究や治験に対する患者、国民の深い理解につながることは、日本の医学薬学界全体にとっても大きな意義がある。

だからこそ、性急に成果をあげることにとらわれず、安全性に最大限に配慮して着実に前進させてもらいたい。

目の治療で患者への移植手術が実施されているとはいえ、長期的な安全性の検証はこれからだ。この段階で阪大が心臓、京大が脳への移植に取り組む。

医師や研究者の思いが「患者を早く救いたい一心」であるとしても、国の承認など、iPS細胞と再生医療をめぐる大きな流れからは、「成果や経済効果にとらわれてはいないか」という危惧も浮かんでくる。

再生医療は、医療、製薬全般に革新をもたらす可能性がある。基礎から応用まで裾野は広く、未知の領域を一歩一歩、確かめながら進む堅実さが求められる。欧米で実績がある胚性幹細胞(ES細胞)にも目を配りたい。

再生医療の総合力を高める視点を、研究者と医薬行政、そして国民が共有する必要がある。
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[東京新聞] 辺野古工事 国は真摯な話し合いを (2018年07月31日)

ついに埋め立て承認の「撤回」だ。沖縄県名護市辺野古への米軍基地建設は重大局面。本当にそこに新たな基地が必要か。政府は法的対抗措置に出るのではなく県側と真摯(しんし)に話し合いをするべきだ。

建設阻止を掲げる翁長雄志知事は、二〇一五年に辺野古沿岸の埋め立て承認を「取り消し」た。これを違法とする国相手の訴訟は最高裁で知事側敗訴が確定したが、今度表明した撤回は取り消しとは意味が違う。

取り消しは、前知事による承認審査に法的な誤りがあったと、いわば身内の手続きを問題にした。

撤回は、その後政府が始めた建設工事に、県との事前の取り決めに対する重大な約束違反が生まれていることを根拠とする。

指摘しているのは、新基地全体の実施設計や環境保全対策が明らかでない点だ。辺野古の海底には、ぐにゃぐにゃの軟弱地盤があることが沖縄防衛局の調査で判明した。そんな場所に、大幅な設計変更もなく基地が造成できるのか。政府側は、そうした地盤の存在を市民団体による情報開示請求まで公にしなかった。自ら不都合を認めているようなものだ。

希少なサンゴの移植も進んでいない。現地では市民の反対運動も続いている。工事が無理に無理を重ねているのは明らかだ。

政府側は十分に県側との協議は行っていると主張。工事を進めていく考えに変わりがないとする。今回の処分には、裁判所への申し立てや訴訟で再び撤回を違法と認めてもらい、工事中断を最短に抑える構えだ。しかし、今度こそは、県民の代表である知事の判断を厳粛に受け止め、今後の聴聞会をはじめとして、県側にきちんと説明することから始めるのが筋ではないか。八月十七日から予定する土砂投入は延期すべきだろう。

前回の訴訟時には一時、政府と県との全面和解が成立。国地方係争処理委員会が、国と県は一から議論し直すべきだと提言したが、政府はまともに取り組まなかった。国策の名の下に、自治を踏みにじってきたのも同然だ。

沖縄では十一月に県知事選、その後には辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票が予定される。必要なのは、強引な埋め立てよりも、将来を見据えた議論である。

翁長氏は会見で、東アジア情勢の変化に触れ「平和を求める大きな流れからも取り残されている」と政府を批判した。仕切り直しは当然だ。
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[毎日新聞] 諫早開門命令の否定判決 事態の打開にはならない (2018年07月31日)

国営諫早湾干拓事業を巡って福岡高裁が、国に潮受け堤防の開門を命じた確定判決を事実上無効化する判決を言い渡した。確定判決に従わない国の姿勢を追認した形だ。

今回の判決で無効化された8年前の同高裁の判決は、佐賀県の漁業者らの主張を認め、排水門を5年間開いて環境への影響を調査するよう命じていた。

国は干拓営農地への悪影響を防ぎながら実効性のある調査をするための開門方法や、営農者に被害が出た場合の補償など説得力のある具体策を練る必要があったはずだ。

ところが国は、堤防建設の正当性を主張し、開門を回避する姿勢を固持した。

長崎県の営農者らが開門差し止めを求めた裁判では、国が敗訴すれば開門しない義務が認められるため、事実上の「不戦敗」を狙って十分な反論もしなかった。こうした姿勢が、漁業者側の不信感を募らせた。

結局、開門義務を巡って相反する判決を受け、開門しないまま漁業者側に制裁金を支払い続けた。その総額は約12億円に達する。

今回の判決は、漁業者が確定判決当時有していた漁業権は10年の免許期間の経過で消滅し、継続して免許を受けても以前の漁業権に基づく開門請求権は引き継がないと認定した。国の形式的な主張を容認した形で、制裁金の支払いも停止される。

しかし、この判決で漁業者が納得することはあるまい。漁業者の理解を得られなければ、干拓事業を巡ってこじれた糸は解きほぐせない。

戦後の食糧難解消のためのコメ増産という当初の目的が失われた後も干拓事業を強行し、諫早湾に対立をもたらしたのは国である。今回の判決で開門の義務は免れても、漁業者と営農者との紛争を打開する責任を免れるわけではない。

これまで国は、開門しない代わりに100億円の基金を設けて漁場環境を改善するとの解決案を提示。今回の福岡高裁もそれに沿った和解勧告案を示したが、不調に終わった。

国に対して不信感を強める漁業者側が、「開門せず」が前提の案に理解を示すことは考え難い。

国は、紛争の原因発生者としての責任を深刻に受け止め、事態の打開に向けてさらに汗をかくべきだ。
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[毎日新聞] 与党圧勝のカンボジア選挙 「中国式モデル」の広がり (2018年07月31日)

カンボジアの総選挙で、フン・セン首相率いる与党が完勝する見通しとなった。与党は下院議席を独占するとの見方を示している。政権運営が独裁化しかねないと憂慮する。

前回2013年の総選挙と昨年6月の地方選では、野党・救国党が半数に迫るほど躍進した。政権交代を恐れたフン・セン氏の意向を背景に警察当局は昨年9月、救国党党首を国家反逆容疑で逮捕した。さらに最高裁は同11月、政権転覆を図ったとして救国党を解党に追い込んだ。

今回の選挙に参加した計20の政党は、大半が与党の支配下にあるとされる。異論を封じ、与党に有利な状況で実施された選挙だった。

東南アジアでは近年、権威主義的な政権運営が復活しつつあり、欧米で懸念が広がっている。背景には、大型投資で存在感を強める中国の影響力がある。

カンボジアでは、フン・セン氏による長期政権の下、汚職と政治腐敗が深刻化しているが、最近10年間の平均経済成長率は約7%となるなど好調だ。

自国第一主義を掲げる米トランプ政権が東南アジアへ関心を示さない一方、人権問題などを気にかけない「中国式発展モデル」が広がっていると言えよう。中でもカンボジアは、南シナ海問題で中国支持に回るほど中国との関係が良好である。

それだけに、国際社会の関与や協力が欠かせない局面ではないか。

欧米は今回の結果を「欠陥選挙」などと一斉に批判しており、米国は制裁措置も検討するという。だが、力による価値観の押し付けは、かえって中国との関係を強化させる。

内戦後初めて国連監視下で行われた総選挙から25年を迎えた。当時、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)特別代表として現地で指揮した明石康氏は「民主主義や人権問題は普遍性があるが、どう実現するかは国や文化によって柔軟に考える必要がある」と話す。

日本は今回、選挙監視要員の派遣は見送ったものの、投票箱の提供など一定の協力は行った。1992年には初の国連平和維持活動(PKO)として自衛隊を派遣するなどカンボジアの国づくりに積極的に関わってきた歴史がある。日本ならではの関与政策を再構築すべき時だろう。
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[読売新聞] カンボジア与党 強権がもたらした総選挙圧勝 (2018年07月31日)

反対勢力を排除した選挙に勝っても、国民の信任を得たとは言い難い。安定した政治の実現には強権的な政権運営からの脱却が求められよう。

カンボジアで総選挙が行われ、フン・セン首相率いる与党・人民党が圧勝した。30年以上にわたり実権を握るフン・セン氏の続投が確実となった。

前回の総選挙で第2党に躍進した野党・救国党は最高裁から解党を命じられ、2月の上院選に続き、今回の選挙にも参加できなかった。フン・セン氏が勝利を確実にするため、露骨な野党潰しを続けたのは、極めて遺憾だ。

人民党は、投票率が8割を超えたことを「国民の熱意の表れ」と主張するが、説得力に欠ける。

国際社会は1993年のカンボジア初の総選挙を主導し、内戦後の和平と復興を支えてきた。民主化に逆行するフン・セン氏の政治で関係国の期待は裏切られた。

米ホワイトハウスは声明で「自由でも公正でもない欠陥選挙だ」と正当性に疑問を呈した。米下院はフン・セン氏ら政権中枢に対する入国制限などの制裁法案を可決し、欧州連合(EU)も関税の優遇措置の撤廃を検討している。

米国やEUが総選挙への支援を取りやめたのに対し、日本は投票箱提供などの支援を継続しつつ、選挙監視団の派遣は見送った。

不公正な選挙に「お墨付き」を与えるのを避けながら、フン・セン政権との関係を維持するための苦渋の選択だと言えよう。

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国に、強権政治が広がる動きがあるのは気がかりだ。

タイ軍事政権のプラユット暫定首相は、民政移管のための総選挙を繰り返し延期している。途上国が経済的に発展すれば、民主化が進むという先進国側の見方は、修正を迫られている。

中国がカンボジアなどの強権化を助長している側面は否めない。相手国の民主化や人権状況改善などの条件を付けず、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じたインフラ投資を進め、政治・経済両面で影響力の拡大を図っている。

過度な中国傾斜に抗する動きも出始めた。5月のマレーシア総選挙で首相に復帰したマハティール氏は、中国寄りの前政権が進めた高速鉄道計画の撤回を表明した。中国との距離の取り方は各国共通の課題だろう。

東南アジア情勢は、日本の安全保障に直結する。日本はASEANとの会議で、政治の安定や民主化に向けた議論を深めたい。
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[読売新聞] サイバー新戦略 官民連携で東京五輪に備えよ (2018年07月31日)

国境を越えたサイバー攻撃は巧妙化し、脅威は高まっている。官民の連携により、態勢の強化を急がねばならない。

政府がサイバーセキュリティに関する戦略を3年ぶりに改定した。金融機関や原子力発電所など重要インフラの防護を充実させることや、官民協議会の設置などを盛り込んだ。

2020年東京五輪はサイバー攻撃の標的になりかねない。「司令塔」の内閣サイバーセキュリティセンターを中心に、対策を着実に実行することが大切だ。

サイバー空間での犯罪は深刻さを増している。

米大統領選を巡るロシア疑惑では、民主党陣営の幹部らの文書やメールが盗まれ、流出した。「ランサムウェア」と呼ばれるウイルス感染では、世界各国で大規模な被害が発生し、日本企業もシステム障害などに見舞われた。

行政情報や最新の研究内容を扱う政府機関も、常にサイバー攻撃にさらされている。

新戦略では、重要インフラに空港を追加した。重点的に防護態勢を整備する対象である。

サイバー攻撃で社会に影響が出た場合の深刻度を5段階で評価する新基準を定め、公表することも決めた。被害の程度を国民に分かりやすく知らせ、冷静な対応につなげる狙いは適切である。

脅威に対処する上で、関係省庁と重要施設の事業者、セキュリティ関連会社が共同で被害事例を分析し、情報を共有することが重要だ。攻撃主体を特定し、抑止策を構築することが求められる。

官民協議会の創設を柱とする政府提出の法案は、先の通常国会で継続審議となった。次期国会で確実に成立させるべきだ。

大学や研究機関と協力し、専門技術者の育成・確保を計画的に進めねばならない。

自衛隊の活用も検討課題だ。サイバー防衛隊を中心に350人態勢で防衛ネットワークの監視などにあたっている。他の政府機関や民間システムの防護にも知見を生かせるようにしてはどうか。

現行法では、自衛隊はサイバー攻撃に反撃することはできない。国家による継続的な攻撃にどう対処するのか。限定的な反撃能力の保有のあり方について、法的に検討すべきである。

新戦略はサイバー空間での「法の支配」の推進も掲げた。公正なルールに基づく自由で安全なサイバー空間を重視する考え方だ。

米欧などと連携し、国際的な協調体制を整える必要がある。
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[朝日新聞] 猛暑再び 「災害級」に備えるため (2018年07月31日)

東から西に進んだ「逆走」台風が去り、日本列島は再び猛暑がぶり返している。

おとといは新潟県上越市で過去最高の39・5度を記録したほか、北海道や東北でも35度を超えた。春以降、熱中症とみられる死者は86人にのぼり、約4万3千人が搬送されている。

気象庁によると、8月上旬までは太平洋高気圧の張り出しによって、「災害級」の危険な暑さになる恐れがあるという。

命を守ることを何よりも優先させなければならない。

熱中症は高温多湿な環境に長くいて、体内に熱がこもる状態をいう。めまいや頭痛、吐き気などの症状が出る。重いと意識を失って死に至るが、正しい知識で防ぐことはできる。

くり返し言われているように、こまめに水分・塩分をとるのが基本だ。扇風機やエアコンで室温を調節する。作業中は適度に休憩する。日中の外出は控える。すだれや打ち水、日傘、帽子でも暑さはやわらぐ。

とくに配慮がいるのは子どもと高齢者だ。子どもは照り返しの影響を強く受け、高齢者は体温調節機能が低下している。日本救急医学会は今月20日に緊急提言をして、顔の紅潮や息の乱れなどの初期症状があれば、迷わず涼しい場所に移ることが大切、と呼びかけた。

その3日前には、愛知県豊田市で校外学習に参加した小学1年生が、重度の熱中症である熱射病で死亡している。夏休みは屋外活動が増えるシーズンだ。学校や関係機関は気象予報に注意し、高温時は行事を中止するなど柔軟に対応してほしい。

この夏は人類への警告のように地球規模で熱波が襲い、気象異変が相次いでいる。

ノルウェーの北極圏で33・5度、米カリフォルニア州のデスバレーで52度を記録したことなどを受け、世界気象機関は異常な高温に警告を発し、「気候変動の結果だ」とした。乾燥による森林火災や、アジアでは豪雨被害も頻発している。

先の通常国会で気候変動適応法が成立した。温暖化の影響を軽減するため、国が具体的な計画をつくり、さまざまな分野で対策に取り組むことを急ぐ。

生命・健康はもちろん、農林水産業や経済活動をどう守っていくかも大きな課題だ。猛暑日は自宅勤務としたり、公共施設を開放して大勢が涼めるようにするクールシェアを実施したりと、工夫は広がっている。暑さを逆手にとってビジネスチャンスを探る道もあるだろう。

暑さと戦うのではなく、暑さに適応する知恵を生みだそう。
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[朝日新聞] カンボジア 容認できぬ異常な選挙 (2018年07月31日)

カンボジアの民主主義が、いよいよ危うい淵に立っている。日本を含む国際社会は、フン・セン政権に自制を促すよう働きかけを強めねばならない。

おととい投開票された下院の総選挙で、与党・人民党の圧勝が確実視されている。与党関係者によれば、全125議席を人民党が独占する可能性すらあるという。

前回2013年の総選挙では最大野党の救国党が4割以上の議席を得ていた。それが今回、ここまで与党の圧倒的な勝利に転じたのは、公正な民意ではなく、弾圧による結果だ。

フン・セン政権は選挙に備えて、政権転覆を謀ったとして救国党党首を逮捕した。さらに最高裁は党の解散を命じた。こうした措置により、市民の政権批判は封じこまれた。

内戦終結後の1993年に国連が実施した総選挙から数えて6回目。今回の異常な選挙は、国際社会が支援してきた民主化を大きく後退させるものだ。この選挙結果と、それによる政権の正統性を認めるわけにはいかない。

欧米は選挙の環境が不当だとして選挙支援をやめた。欧米も日本も選挙監視団を送らず、毎回監視をしてきた国内団体も手を引いた。投票率は前回を大きく上回ったが、無効票や白票も相当含まれる可能性がある。

今年2月の上院選でも人民党が議席を独占した。33年間首相の座にあるフン・セン氏は、政権の世襲も視野に入れているとされる。政治の強権化が今後ますます進む恐れがある。

米国政府は「自由でも公正でもなく、国民の意思を表していない」との声明を出した。欧米からの指弾に対してフン・セン氏が強気でいられるのは、南シナ海問題などでカンボジアを味方につけたい中国が手厚く支援しているからだ。

カンボジア和平への参画は、日本外交が90年代に踏み出した大きな一歩だった。今も、この国の民主主義の発展に貢献するのは日本の責任でもある。

ところが日本政府は中国を意識して、フン・セン政権への批判的な姿勢を控えがちだった。今回も投票箱の寄贈などの選挙支援を続けたため、カンボジアの市民団体から批判された。

東南アジアでは他にも軍事政権が続くタイや、強引な麻薬撲滅作戦を進めるフィリピンなどで民主主義が後退している。

アジアの隣国として見過ごすわけにはいかない。カンボジア政治に対して厳しい態度が取れるかどうか、日本政府の姿勢も問われている。
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2018年07月30日

[東京新聞] 英国の迷走 リーダーシップ見せよ (2018年07月30日)

英国のメイ政権は欧州連合(EU)からの離脱を、EUとの協調を重視するソフト路線で進める方針を決めた。反発した閣僚らは辞任したが、期限は迫る。政治家のリーダーシップを見せてほしい。

EU単一市場や関税同盟からは表面的には脱退するものの、モノの取引に限定したEUとの自由貿易圏をつくる。北アイルランドと地続きのEU加盟国アイルランドとの間には税関を設けない−との路線。北アイルランドの帰属を巡って一九六〇〜七〇年代に激化した紛争の再燃を防ぎ、EUとの交渉をスムーズに進めるのが狙いだ。

離脱交渉の期限は来年三月末。今年十月までに実質的な交渉をまとめなければ間に合わない。

しかし、ソフト路線に反発するジョンソン外相、デービス離脱担当相が辞任した。EU単一市場からの完全な離脱を主張する強硬離脱派だ。ジョンソン氏は、二年前の国民投票で離脱キャンペーンをあおった張本人。途中で投げ出すのは無責任過ぎる。

本来なら「離脱すれば巨額の資金を国営医療制度に回せる」など事実に基づかないキャンペーンで離脱への賛成多数を獲得した国民投票を、やり直すのが筋だろう。

最近の英紙サンデー・タイムズの世論調査では、仮に投票を再び実施した場合、半数がEU残留を望むと答えている。強硬離脱を選んだのは38%だった。

しかし、再投票への世論づくりが間に合わないのなら、メイ首相が主張するソフト路線のほうが、強硬離脱よりまだ混乱は少ないのではないか。あるいは、首相の責任と決断で再投票にかけるか。リーダーシップを示してほしい。

交渉が時間切れとなり、EUと取り決めのないまま離脱するのは何としても避けたい。EUとの安定した関係を望むスコットランド独立や、英進出外国企業撤退など予想される混乱は計り知れない。

気になるのは、英国を訪問したトランプ米大統領の発言だ。EUを敵呼ばわりし、英国は交渉ではなく、裁判に訴えるべきだと主張する。英国や欧州の分断を楽しんでいるかのようだ。

エリザベス女王は、EU離脱についてトランプ氏に「とても複雑な問題だ」と語ったという。迷走に心を痛めているようだ。

EUは英国のソフト路線を「いいとこ取り」と警戒するが、交渉には柔軟に対応すべきだ。硬直した官僚的な姿勢こそ、EU離脱を招いた元凶なのだから。
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[産経新聞] 【主張】最低賃金引き上げ 着実な実施で意欲高めよ (2018年07月30日)

今年度の最低賃金の引き上げ額の目安を、全国平均で1時間あたり26円と過去最大の上げ幅とすることで決着した。

3年連続で3%増の引き上げを確保し、全国平均の最低時給は874円となる見通しだ。

賃上げは働く意欲を高めるだけでなく、個人消費にも刺激を与える。

とくに最近では人手不足が深刻化しており、パートやアルバイトなどの時給も大きく上昇している。今回の最低賃金の引き上げも着実な実施が欠かせない。

ただ、地方の零細企業などではここ数年の大幅な引き上げが影響し、経営が厳しくなっている企業も増えているという。

こうした企業が収益力を高め、安定的に賃金を払える環境づくりも求められる。そのためにも政府は、企業の生産性向上を後押ししなければならない。

外国人を含めて働く人すべてに適用される最低賃金は、厚生労働省の審議会が地域別の目安額を決める。それをもとに都道府県の審議会が具体的な上げ額を決定する仕組みだ。このまま引き上げられれば、第2次安倍晋三政権の発足以来、最低賃金の上げ幅は合計で120円を超える。

すでに東京や神奈川では最低賃金の水準が高く、目安通りに上がった場合、最低時給は980円台に上昇する。政府は「最低時給1千円」を目標としており、その実現に向けて大きく近づくことになる。全国の引き上げも着実に進めなければならない。

経団連がまとめた今春闘の賃上げ率は、2・5%と20年ぶりの高水準で最終決着した。好業績を背景に大手企業が賃金に充てる配分を増やしたのが大きな要因だが、人手不足感が強まり、優秀な人材確保のために賃上げに踏み切る必要にも迫られている。

こうした賃上げの動きを中小・零細企業に広げるため、まずは最低賃金の引き上げが欠かせない。とくに日本の場合、標準的な賃金に比べた最低賃金の割合は4割程度にすぎない。さらなる引き上げを通じて非正規社員らに対する処遇改善につなげたい。

中小企業をめぐる取引状況の監視も重要である。大手による不当な値引き要求や適正な価格転嫁を認めないなど、「下請けいじめ」の排除が不可欠だ。そうした取り組みで中小・零細企業の収益環境の底上げも図りたい。
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[産経新聞] 【主張】北朝鮮核危機 「時間稼ぎ」に騙されるな (2018年07月30日)

6月の米朝首脳会談から1カ月半もたったが、北朝鮮は真の非核化に向けた措置を何らとってはいない。

その厳しい現実をトランプ米大統領は直視し、核をはじめとする全ての大量破壊兵器と、あらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を北朝鮮に迫ってもらいたい。

ブルックス在韓米軍司令官は21日の講演で、北朝鮮が核兵器製造工場の閉鎖や核燃料の処分などの行動をとっていないと指摘した。「核兵器製造能力は失われていない」というのである。

その後、北朝鮮は北西部東倉里にあるミサイル発射場の主要施設の解体を始めた。だが、ミサイルの製造工場ではない。発射場の解体着手など評価に値しない。

北朝鮮は、今この時も、地下施設で核弾頭と弾道ミサイルの製造を続け、核戦力を拡大し続けていると見るのが自然だ。

朝鮮戦争の休戦協定締結65周年に合わせ、北朝鮮は戦没米兵の遺骨の一部を返還した。トランプ氏はツイッターで金正恩朝鮮労働党委員長に謝意を示した。

遺骨返還は首脳会談の合意の一つであり、それ自体は望ましいことだ。だが、米ホワイトハウスが声明で「北朝鮮の前向きな変化に向けた行動に勇気づけられている」と、非核化の進展に期待感を示したのはナイーブにすぎる。

ブルックス氏は講演で米朝交渉に「根本的に信頼が欠如している」とも断じた。極めて妥当な見方だ。

トランプ氏は非核化交渉を急がず、期限を設けない考えを示したこともある。不誠実な北朝鮮に甘い顔をみせればつけあがるだけだ。北朝鮮は朝鮮戦争の終戦宣言を要求するが、安易に応じては危うい。北朝鮮に対する軍事的圧力が一層弱まり、将来的には在韓米軍の撤退につながりかねない。それでは北朝鮮が核・ミサイル廃棄にますます応じなくなる。

米兵の遺骨返還や形ばかりのミサイル発射場の解体は、北朝鮮が核戦力を強化する時間稼ぎのための宣伝戦術であり、騙(だま)されてはなるまい。

北朝鮮が真の非核化に本気で踏み出そうとしているかを判断するバロメーターは、核・ミサイル計画、施設、戦力の全容の申告と、米当局による査察の受け入れである。その実現に向け圧力を強めなくては、平和は確保できない。
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[東京新聞] 水道法改正 市場開放ありきは危険 (2018年07月30日)

海外の巨大資本にも市場を開く水道法の改正案は、衆院を通過した後、参院で時間切れになった。次の国会では慎重な議論を望みたい。水を守るということは、命を守るということでもあるからだ。

水道法改正案は、水道事業の経営基盤強化の名の下に、事業者に施設の維持と修繕を義務付けるとともに、官民連携や広域連携を促す内容だ。

政府は次の国会で成立を図るだろう。

現行の水道法は「水道事業は、原則として市町村が経営するもの」と定めている。例外はあるものの、そのほとんどが公営だ。

財政難にあえぐ多くの事業者すなわち自治体が、老朽化する水道管など施設の維持、管理に困っているのは否めない。

法定耐用年数の四十年を超える老朽水道管の割合は、東京都が13・5%、愛知県が16・6%、大阪府では三割近くに上っている。

六月の大阪府北部地震では、水道管の破断による断水が多発し、老朽化の実態があらためて浮き彫りになった。対策が急がれるのも確かである。しかし、人口減による料金収入の目減りなどもあり、更新はままならない。

そこで民間の参入を促進し、経営の改善を図るのが、改正案の“肝”らしい。

具体的には、自治体に施設の所有権を残しつつ、事業の運営権を民間に委ねる仕組み(コンセッション方式)の導入だ。

これに対し、水や空気、穀物の種子などのように、人がそれなしでは生きていけない「社会的共通資本」を市場経済に委ねることへの懸念も次第に強まっている。

世界の民営水道市場は、下水道も含め「水メジャー」と呼ばれる仏英の三大資本による寡占状態。このほかにも、米国のスーパーゼネコンなどが日本市場の開放を待っている。

フィリピンの首都マニラでは、民営化によって水道料金が五倍になった。南米のボリビアでは、飲み水の高騰や水質の悪化に対する不満が大規模な暴動に発展した。

改正案には、民間の運営に対するチェック機能の定めがない。マニラやボリビアのようにはならないとの保証はない。

一方、北九州市のように、隣接自治体との事業統合により、料金の値下げや緊急時の機能強化に成功した例もある。

市場開放ありき、の法改正はやはり危うい。広域連携を軸にした、さらなる熟議が必要だ。
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[毎日新聞] 最低賃金の引き上げ 国際競争力はまだ足りぬ (2018年07月30日)

パートやアルバイトなど働き方に関わらず適用される最低賃金が3年連続で3%引き上げられることになった。引き上げ額の目安は26円で、過去最大のアップだ。

政府は最低賃金の目標値を1000円としている。このペースで引き上げが進めば、東京都は2019年度にも突破する。

ただ、働き手不足は深刻だ。政府はベトナムから介護労働者1万人を招く計画を立てたが、すでに韓国の最低賃金は実質的に日本より高い。中国の諸都市も近年は大幅な最低賃金の引き上げを図っている。

アジア諸国の高齢化は進んでおり、今の日本の最低賃金の水準では外国から介護労働者を集めるのは難しくなるだろう。国際競争力の弱さは否めない。

フルタイムで働く人の平均賃金との対比では、日本の最低賃金は約40%の水準にとどまる。フランスは60%、イギリス、ドイツは50%前後で、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では最低レベルにある。

今国会で成立した働き方改革関連法では、長時間労働を是正するため残業時間に上限規制が設けられた。最低賃金を少し上回る程度の賃金で働いている非正規社員は多く、複数の仕事を掛け持ちしないと生活できない人もいる。非正規社員の長時間労働を改善するためにも、さらなる引き上げが必要だ。

地域間格差も問題だ。諸外国では全国一律の最低賃金が一般的だが、日本は都道府県ごとにA?Dの4ランクに分かれている。今回の引き上げで、東京は985円となるが、沖縄などは760円にとどまる。前年度よりさらに差は広がった。

実際の賃金は物価など地域特性を理由とする差よりも、企業の規模や産業・職種による差の方が大きい。同じ内容の仕事なのに地域によって時給200円以上も差があると、最低賃金の低い地方からの労働力流出は進むばかりだろう。

連合の調査では世帯収入は改善の傾向にあるものの、暮らしに関する将来の不安を感じている人は多く、消費の回復にはつながっていない。

最低賃金の一層の引き上げと格差是正を進めるべきだ。税金や保険料を納める層が厚くなれば、社会保障制度の安定にもつながる。
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[毎日新聞] NHKのネット同時配信 受信料の議論を煮詰めよ (2018年07月30日)

インターネット時代における、公共放送をどう考えるべきか。丁寧な議論が欠かせない。

NHKが放送中のテレビ番組をネットにも同時に配信する「常時同時配信」を容認する報告書案を、総務省の検討会がまとめた。NHKは来年度の開始を目指している。

現在は、災害報道やスポーツ中継に限って同時配信が可能だが、すべての番組を24時間配信するためには、放送法の改正が必要だ。

ネットやスマートフォンの普及で、NHKには若年層を中心とした「テレビ離れ」への危機感がある。同時配信は新たな視聴者獲得の意味合いが強い。

スマホがあればどこでもテレビ番組が見られるようになるのは、確かに便利だ。英BBCなど欧米でも同時配信はすでに実施されている。

とはいえ、受信料の制度設計が不透明なままではいけない。NHKは当面、テレビで受信料を払っている世帯へのサービスとして、追加負担なしで利用可能にする考えだ。

受信料収入は4年連続で過去最高を更新しているが、人口減でいずれは減少に転じる。将来的には公平負担の考えから、パソコンやスマホでテレビ放送と同じ番組をリアルタイムに視聴する世帯も、受信料を請求される可能性は高い。

NHKは今年末に超高精細映像の4K・8Kの実用放送を始める。受信料制度で支えられているNHKの事業拡大で、民放との公正な競争が維持できるのだろうか。

NHKを巡っては、受信料着服などの不祥事も続いた。報告書案が、他事業者との連携やガバナンス(組織統治)の強化、受信料体系や水準の見直しを求めているのは当然だ。

放送法はNHKの目的を、公共の福祉のために、あまねく全国で受信できるように豊かで良い番組を放送することとしている。

偏った情報やフェイクニュースが多いネット上で、公共放送はどんな役割を果たすべきか。議論を深め、国民や視聴者に説明すべきだ。

総務省はNHKの取り組みを見定めたうえで、来年の通常国会に放送法改正案を提出する方向だ。

2020年の東京五輪・パラリンピックありきで実施を急ぐようでは、理解は得られまい。
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[朝日新聞] 朝鮮休戦65年 「普通の国」めざすなら (2018年07月30日)

同じ民族が3年余り戦火を交わした朝鮮戦争は、公式には今も終わっていない。65年前の7月、休戦の協定が結ばれた時、終戦の道がこれほど長く遠いと誰が想像しただろう。

この膠着(こうちゃく)を変える節目として期待されたのが、6月の初の米朝首脳会談だった。あれから1カ月半をすぎたが、朝鮮半島の平和体制や非核化への道筋はなお見えていない。

しかし会談前後に生まれた、かつてない首脳対話の機運はまだ消えてはいない。金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が中国、韓国、米国の首脳と相次いで対面した過程は、北朝鮮が「普通の国」をめざす兆しにも見えた。

65年間も凝結した氷を溶かすには、金委員長のさらなる決断が必要だ。北朝鮮国民のためにも東アジアの平和のためにも、指導者の顔の見える北朝鮮外交を広げていくべきだ。

これから9月に向け、多国間外交の季節がやってくる。8月のシンガポールでの東南アジア諸国連合(ASEAN)の会合、9月のロシアでの東方経済フォーラム、そして米ニューヨークでの国連総会と続く。

これらの機会に北朝鮮がどう向きあい、まっとうな対話に臨むか国際社会は注目している。とくに国連総会では世界の首脳級が一堂に会す。金委員長はこの場に参加し、閉鎖的な国からの脱皮を行動で示すべきだ。

朝鮮半島の分断を固定化させたのは冷戦構造だったが、北朝鮮をとりまく現状は冷戦後に自ら招いた側面が大きい。内にこもったまま身勝手な行動を重ね、困窮を招いた。

金委員長はいま、社会主義の看板は掲げつつ市場経済を導入し、経済の立て直しを急ぐ構えだ。外遊でも夫人や妹を伴い、自身の肉声や表情を見せる場面も増えた。

「普通の国」をめざそうというのならば、国際会議への出席を臆する理由はあるまい。そして米朝対話を進展させる健全な姿勢を示してもらいたい。

北朝鮮は約束どおり、ミサイル施設の解体を始めたほか、休戦協定65年を迎えた27日には、当時の行方不明米兵らの遺骨を米側に引き渡した。

それは対話をつなぐジェスチャーではあるが、体制の保証につながる証しを先に見せよとの主張は変わらない。トランプ米政権の出方も依然不透明だ。

だからこそ多国間外交の重みが増す。日本やロシアも金委員長との対話を探り、変化を促す努力が必要だ。朝鮮半島の和平をもたらす覚悟は、日本はじめ周辺各国に求められている。
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[読売新聞] 君が代判決 最高裁は起立斉唱を尊重した (2018年07月30日)

入学式などで君が代の起立斉唱命令に従わなかった教員を、定年後に再雇用しなくても、違法とは言えない。穏当な司法判断である。

起立斉唱せずに戒告などの処分を受けた東京都立高校の元教員らが、それを理由に再雇用を拒否されたのは不当だ、と損害賠償を求めていた。最高裁は訴えを退け、元教員側の敗訴が確定した。

当時は、再雇用の希望者全員が採用されたわけではない。判決は「選考で何を重視するかは任命権者の裁量に委ねられる」との見解を示した。その上で、都教育委員会の対応が「著しく合理性を欠くとは言えない」と結論付けた。

再雇用した場合、元教員らが再び職務命令に反する可能性を重視した常識的な判断だ。

1審は、都教委の対応が「裁量権の逸脱で違法」だとして賠償を命じた。2審もこれを支持したが、最高裁は覆した。不起立については、「式典の秩序や雰囲気を一定程度損なうもので、生徒への影響も否定できない」と指摘した。

入学式や卒業式は、新入生や卒業生にとって一度しかない大切な儀式だ。厳粛な式典で、教員らが調和を乱すような態度を取ることには到底、理解は得られまい。

日の丸・君が代を巡っては、「戦前の軍国主義の象徴だ」などとして、起立斉唱を拒む一部教員と学校側の対立が続いてきた。

都教委は2003年の通達で、式典で起立し、国歌を斉唱するよう教職員に義務付けた。起立斉唱の職務命令に従わなかった多数の教員が処分され、命令の違憲性を争う訴訟が相次いだ。

最高裁は11年、職務命令は「思想・良心の自由を間接的に制約する面がある」と認めつつ、合憲との初判断を示した。式典での秩序確保の必要性や、公務員の職務の公共性を鑑(かんが)みた結果だ。

年金の支給開始年齢の引き上げを受けて、都教委でも現在は、希望者を原則として全員、再雇用している。そうであっても、都教委が「今後も職務命令違反については厳正に対処する」との姿勢を示しているのは適切である。

言うまでもなく、教員は児童生徒に手本を示す立場にある。小中高校の学習指導要領にも、入学式や卒業式で「国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と明記されている。

東京五輪・パラリンピックを2年後に控える。子供たちが、自国や他国の国旗・国歌に敬意を表する。その意識を育むことが、教員としての当然の務めである。
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[朝日新聞] 名古屋城復元 「共生」が問われている (2018年07月30日)

車いすの人や体の弱いお年寄り、ベビーカーの家族連れらが皆、暮らしやすい社会を作っていく。その「共生」への行政の意識と姿勢が問われている。

戦時の空襲で焼失し、戦後にコンクリート製で再建された名古屋城の天守について、名古屋市が建て替え計画を進めている。市は、徳川家康の命で築かれ国宝にも指定されていた旧天守を木造で忠実に再現するとして、天守に上がるためのエレベーターをなくすことにした。

これに障害者団体が抗議している。高齢者や障害者の円滑な移動を目指すバリアフリー法や、行政に障害者への合理的配慮を義務づける障害者差別解消法などに反すると訴える。

木造での復元を唱える河村たかし市長は、豊富に残る資料をもとに「寸分たがわぬ復元ができる」として「本物」を目指すと強調する。「都市として自慢できるものが欲しい」とも話し、訪日外国人らを狙った観光戦略の一環でもあるようだ。

しかし、施設や商品作りでは、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」が意識されるようになっている。そんな今の時代に新たにつくる建築物であり、計画では500億円を超す公費も投じる。一部の人が利用できないとわかっているのに、見切り発車するべきではない。

河村氏は、障害者らが天守に上がれるよう、エレベーターに代わる「新技術」の導入案を例示した。各種のロボットやドローン、はしご車の活用などだが、実現は見通せておらず、障害者団体は「もの扱いされている」などと反発している。

障害者らは、訴えに耳を貸そうとしない市長に対して「差別されている」と感じている。住みよい街を目指してともに手を携えていく姿勢を欠くことに、問題の根本がある。

そもそも、「史実に忠実な復元」にはおのずと限界がある。輸入材も電気も使うし、法律に基づいて火災報知機をつける必要もある。建築を担当する大手ゼネコンの当初の提案には、小型ながらエレベーターが組み込まれていた。

昔の資料にないからと、障害者らに我慢を強いてまで「エレベーターなし」にこだわることに説得力は乏しい。愛知県も「基本的人権にかかわる、極めて重大な事案」と懸念を示し、再考を促している。やはりエレベーターが必要だ。

「尾張名古屋は城でもつ」と言われるように、名古屋城は地域のシンボルだ。今の計画を強行すれば、新しい城が「排除」のシンボルになりかねない。
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[読売新聞] グーグル制裁金 あくなき巨大化への警鐘だ (2018年07月30日)

巨大化して、ネット世界で支配力を強める米IT(情報技術)企業への強い警戒感を示したものと言えよう。

欧州連合(EU)の欧州委員会が、グーグルに過去最高となる43億4000万ユーロ(約5600億円)の制裁金を科すと発表した。

日本の独占禁止法に当たるEU競争法に違反したとの理由だ。

グーグルは、自社のスマートフォン向け基本ソフト「アンドロイド」を使う端末メーカーに対し、グーグル製アプリの搭載を強要していたという。

欧州委は、グーグルが高いシェア(占有率)を背景に、他社製アプリを排除し、消費者の選択肢を狭めていると判断した。これに対し、グーグルは、消費者の自由を奪っているわけではない、などとして徹底抗戦の構えだ。

巨額の利益を稼ぐIT企業について、健全な競争確保の観点から決着を図ることが求められる。

アップルやアマゾン・ドット・コム、フェイスブックなども便利なサービスを提供している。

一方で、市場でひとたび優位に立てば圧倒的な力を持ち、寡占化する傾向が強い。その弊害にも目を向ける必要がある。

欧州委は昨年6月にもグーグルに24億2000万ユーロの制裁金の支払いを命じた。自社の商品比較サイトが競合サイトより目立つ位置に表示されるようにしていた。

同じような問題は、日本で起きる可能性が十分ある。公正取引委員会は、不公正な取引への監視を強めるべきだ。

米IT企業は膨大な個人情報を集積している。それを基に広告ビジネスなどで利益を上げ、事業を世界的に急拡大させている。中国勢の台頭も著しい。こうした現状を懸念する声は強い。

EUは個人データの厳格な管理を義務づける「一般データ保護規則」(GDPR)を5月に施行した。顧客データを持つ一般企業も制裁対象になりかねないとの懸念はあるが、個人情報の保護体制を強化する方向性は理解できる。

さらに、サイトの運営企業と出品事業者の取引透明化などを定めた法整備を検討している。

日本でも、新たな規制について公取委や経済産業省などが議論を始めた。行き過ぎた規制は避けながら公正な競争環境をどう整えるか。検討を急いでもらいたい。

トランプ米大統領は欧州の規制強化を批判している。新たな貿易摩擦の火種にならぬよう、冷静に協議を進めるべきだ。
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