2018年06月30日

[産経新聞] 【主張】働き方改革法 残業代削減の還元考えよ (2018年06月30日)

安倍晋三政権が今国会の最重要法案としてきた「働き方改革関連法」が成立した。

長時間残業の是正や正社員と非正規社員の待遇格差の解消、高所得の一部職種を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の創設が柱だ。

労働者の心身の健康を守る上で残業時間に罰則付きで上限を設ける意義は大きい。ただ、残業が減ればその分、収入は減少する。従業員に対する還元策も同時に考えるべきである。

働き方が多様化する中で、一部の専門職を対象に仕事の成果で賃金を支払う高プロは、労働生産性の向上に資する制度と位置づけられる。柔軟な働き方を促す選択肢としたい。

働き方を大きく変えるものだけに、政府は産業界への周知徹底を図り、働く現場で混乱が起きないようにしてもらいたい。

残業規制の導入は、日本の労働法制で初めてとなる。現在は労使で協定などを結べば事実上、青天井で残業時間を延ばせる。これを年720時間までに制限する。

違反すれば企業に罰金などを科す。大企業は来年4月、中小企業には2020年4月の導入だ。

各企業が順守するためには、業務を効率化し、無駄な残業を排する取り組みが不可欠だ。必要に応じて、労働者を増やす対策なども求められよう。

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それ以上に、残業規制による残業代の減少への目配りは欠かせない。減少分は産業界全体で5兆円に上るという試算もある。

収入の目減り分をそのままにすれば日本経済に悪影響を与える。それを避けるには、浮いた人件費を従業員に再配分する仕組みが求められる。ボーナスによる還元などの制度設計を急ぐべきだ。

高プロは、年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなど高度専門人材を対象とする。立憲民主党などは「過労死を招く」などと反対した。本人同意が適用の条件とされ、年104日の休日取得も義務化した。

国会審議を通じ、高プロの対象者となった後でも、本人の希望で元の雇用条件に戻れるようにした。現実的な修正といえよう。

仕事の多様化に伴い、労働時間で賃金を決める方式が合わない職種も増えている。国民の懸念を払拭しつつ、高プロに幅広い理解を得る努力が欠かせない。
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[東京新聞] <北欧に見る「働く」とは>(5) 「貧困のわな」から救う (2018年06月30日)

ベーシックインカム(BI、基礎的な収入)は働いていても、そうでなくても月五百六十ユーロ(約七万三千円)を受け取れる。

失業給付に代わり導入できないか、フィンランド政府が社会実験を続ける目的は「貧困のわな」の解消だ。

失業給付は働き始めると減らされたりカットされる。働いた収入が少なくて、それだけで生活できない人は就労をあきらめたりやめてしまう。結局、貧困から抜け出せない。

「こうなる恐怖が一番大きい」 BIを担う社会保険庁のオッリ・カンガス平等社会計画担当部長は話す。わなに陥らぬ制度としてBIの可能性を探っている。

背景には近年の経済格差の拡大や、人工知能(AI)やITの進展による働き方の多様化がある。

経済成長率は五年前からやっと上向きに転じたが、失業率はここ数年、8%を超えたままだ。3%前後の日本よりかなり高い。少子高齢化も進む。

AIの活用が進めばなくなる職種がでてくる。就業できても短時間労働になり十分な収入が得られない仕事が増えるといわれる。

若者が減り高齢化が進む中で就業率を高く保つために長く働けるような社会にせねばならない。

ピルッコ・マッティラ社会保険担当相はBIに期待を寄せる。

「BIの実験対象者は経済的に厳しい人たちだが、BIが働く意欲を後押しし前向きに人生を考える機会を提案していると思う」

実験は終わり次第、検証作業に入る。

他方で実は、働いていることや求職活動をしていることを条件に現金を支給する別の給付制度も始めた。

また四十種類もの給付制度が林立、複雑化して国民に分かりにくくなってしまった今の制度全体を思い切って簡素化し、必要な給付が分かりやすく国民に届くようにする案も検討されている。

どんな支援なら働く人が安心し増えるのか。いうなれば、走りながら考えている。 (鈴木 穣)
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[東京新聞] W杯日本代表 結束し勝負に徹した (2018年06月30日)

サッカーのワールドカップ(W杯)で日本が決勝トーナメント進出を決めた。大会前は圧倒的不利が予想されたチームは、自分たちの力を謙虚な気持ちで俯瞰(ふかん)し、結束して番狂わせを起こした。

日本の躍進はサッカー界に起こした奇跡だ。W杯前の予想では、大方の評論家や担当記者はグループリーグ三試合を0勝3敗、あるいは0勝2敗1引き分けとしていた。それを覆した原動力は、やはりチームの結束力ではないか。

今年四月七日、日本サッカー協会は突然に日本代表監督だったハリルホジッチ氏を解任した。当時の技術委員長で後任監督に指名された西野朗氏が選手と個人面談し、その報告を受けた協会が「コミュニケーション不足」と判断したとされている。

W杯開幕まで約二カ月と迫った時期の監督交代は、通常ならあり得ない。その上、日本の世界ランクは六十位台を前後している。世界各地の予選を突破した三十二カ国が出場する大会で白星を挙げることは難しいと評されても、チームは誰も反論できなかったのではなかろうか。

だが、そのような当たって砕けろの気持ちが集団を生まれ変わらせることが往々にしてあるのが、スポーツの面白いところだ。

初戦は開始直後の退場者で十人となったコロンビアが、引き分けに持ち込むより勝つことにこだわった“強者のおごり”を見せた。それに対し、日本は最後まで一人一人がチームでの自分の役割に徹して勝利をもぎ取った。

二戦目は体格やスピードで上回るセネガルの攻撃に対し、執拗(しつよう)な守備や相手の動きを読んだパスカットで最後は精神的に相手を追い込み、引き分けに持ち込んだ。

そしてポーランド戦は自分たちの力を冷静に分析して自力による決勝トーナメント進出を試合終盤にあきらめ、批判の声が出ることを覚悟の上で他会場の試合結果に委ねる決断を下した。

かつてプロ野球の東京ヤクルトスワローズを率いて弱小から強豪に変貌させた名将の野村克也氏は「弱者の勝利戦略」として、選手一人一人が謙虚となってチームの目標に向かって一つとなる大切さを説いた。

西野監督は急造態勢でW杯に臨んだチームの現状を俯瞰し、世界各国のリーグにちらばる選手たちをまとめ上げて勝負に徹するサッカーを貫いた。その手腕は称賛に値する。今後の采配に、ますます注目していきたい。
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[産経新聞] 【主張】W杯日本代表 KOラウンドに期待する (2018年06月30日)

サッカーのワールドカップ(W杯)で日本代表は決勝トーナメントに進出した。強豪揃(ぞろ)いの1次リーグで1勝1分け1敗は立派な成績である。

最終のポーランド戦では他会場の試合経過をみながら、したたかに「負け方」を選んで勝ち点、得失点差などで2位に並び、フェアプレーポイントの差で勝ち進んだ。

警告数の少なさが決勝トーナメントへ歩を進めさせたのは、いかにも日本らしかったといえる。

ポーランド戦終盤に自陣でパスを回し続けた戦術に批判があるが、これも激戦を勝ち抜くための選択肢である。まず、こうした戦い方を可能にした1、2戦の結果を称賛すべきだろう。

日本代表は大会直前にハリルホジッチ前監督が解任され、西野朗監督が後任を任された。与えられた時間が少ないなか、西野監督はチームを掌握し、選手らは各自の役割を全うしようとしている。

そうした速成を支えているのは個々の選手の経験値だろう。

日本は1次リーグの1、2戦を同じ先発メンバーで戦い、11人中10人が欧州のクラブに所属する選手だった。

6人の先発を代えたポーランド戦でも9人が欧州組であり、Jリーガーの槙野智章、山口蛍の2人も欧州リーグを経験している。途中交代で入った3人も欧州クラブの選手だった。

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産経新聞は2014年の正月、「2020年 111人の予想図」と題して各界のトップにアンケートを行った。この中で日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏は「フル代表は全員が海外のトップクラブで活躍している」と答えている。当時の初夢は、時を前倒しして理想に近づいている。

日本が初めてW杯に出場した20年前のフランス大会では、代表選手の中に欧州クラブ所属の選手は一人もいなかった。それが今や、多くの代表選手にとって各国のエースらは日常の対戦相手であり、同僚である。20年の進歩を支えたのは、こうした若い選手らの海外への雄飛である。

ただしW杯の決勝トーナメント進出は02年、10年大会に次いで3度目である。引き分けのない、ノックアウト(KO)ラウンドのここからが、本当のW杯ともいわれる。次戦の相手は優勝候補のベルギーだ。16強の壁を破り、新たな地平を開いてほしい。
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[毎日新聞] 「働き方改革」法が成立 健康と生活を守るために (2018年06月30日)

安倍政権が今国会の目玉としていた働き方改革関連法が成立した。

過労死の根絶を求める声が高まるなど、雇用の状況や人々の価値観が大きく変わる中での制度改革だ。時代に合わせて、多様な働き方を実現していかねばならない。

関連法は三つの柱から成り立っている。残業時間規制、同一労働同一賃金の実現、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入である。

残業時間については労働基準法が制定されて初めて上限規制が罰則付きで定められた。「原則月45時間かつ年360時間」「繁忙期などは月100時間未満」という内容だ。

過労死ラインは月80時間とされており、規制の甘さも指摘されるが、現行法では労使協定を結べば青天井で残業が認められている。長時間労働が疑われる会社に関する厚生労働省の調査では、月80時間を超える残業が確認された会社は2割に上り、200時間を超える会社もある。

甘いとはいえ残業時間の上限を法律で明記した意義は大きい。


労基署は監督の強化を
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日本の非正規社員の賃金は正社員の6割程度にとどめられており、欧州各国の8割程度に比べて著しく低い。このため「同一労働同一賃金」を導入し、非正規社員の賃上げなど処遇改善を図ることになった。

具体的な内容は厚労省が作成する指針に基づいて労使交渉で決められる。若年層の低賃金は結婚や出産を控える原因にもなっている。少子化対策の面からも非正規社員の賃上げには期待が大きい。抜け道を許さないための厳しい指針が必要だ。

これらの改革を着実に実行するには、公的機関による監視や指導が不可欠だ。2015年に東京と大阪の労働局に「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」が新設された。検察庁へ送検する権限を持つ特別司法警察職員だが、現在は計15人しかいない。これでは全国の会社に目を光らせることなどできないだろう。

労働基準監督署による指導だけでなく、労働組合のチェック機能の向上、会社の取り組みに関する情報公開の徹底などが求められる。

最も賛否が分かれたのは高プロの導入だ。年収1075万円以上の専門職を残業規制から外し、成果に応じた賃金とする制度である。本人が希望すれば対象から外れることになったが、上司との力関係で、高プロ適用を拒否できる人がどれほどいるのか疑問が残る。

残業代を払わずに長時間労働をさせられる社員を増やしたい経営者側の意向を受けて、安倍政権が関連法に盛り込んだものだ。対象の職種や年収の基準を法律で規定することも一時は検討されたが、省令で決められることになった。

これでは、なし崩し的に対象が広げられる恐れがある。長時間の残業を強いられると過労死した人の遺族が懸念するのはよく分かる。経営側の利益のために制度が乱用されないよう、監視を強めるべきだ。


多様な労働実現しよう
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一方、働く側からは柔軟な働き方を求める声が高まっている。介護や育児をしながら働く人は増え、地域での活動や副業、趣味などにもっと時間をかけたい人も多いはずだ。

求められるのは、コスト削減のための制度ではなく、働く人が自分で労働時間や働き方を決められるような制度である。

時代とともに単純労働は減り、付加価値の高い仕事が増えている。もともと創造的な仕事は労働時間で賃金を決めることが難しい。特に専門性の高い仕事をしている高収入の社員は、経営者に対してもっと発言力を持てるようにすべきだ。

企業にとっては、労働時間が減り、非正規社員の賃金が上がることで生産性の向上を迫られることになる。長時間労働につながる職場の無駄を見直すことから始め、人工知能(AI)やロボット、ITによって省力化できるものは進めていかねばならない。設備投資の余力のない中小企業への支援策も必要だ。

政府は今後、自宅での勤務を認めるテレワークなどについても検討する予定だ。今回の改革は初めの一歩に過ぎない。

労使ともに意識を変える時だ。

柔軟な働き方を広げていくには、時代のニーズに合った知識やスキルを個々の労働者が身につけられるよう、大学など高等教育や公的職業訓練を充実させないといけない。中高年の労働者も含めて、社会全体でバックアップしていくべきである。
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[読売新聞] 働き方改革法 多様な人材の活躍促す契機に (2018年06月30日)

弊害が目立つ日本の労働慣行を見直し、多様な人材が能力を発揮して活躍できる環境を整える。その契機としたい。

政府が今国会の最重要課題と位置付ける働き方改革関連法が参院本会議で、自民、公明両党と日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決、成立した。

残業時間の罰則付き上限規制と同一労働同一賃金の推進が柱だ。来年度から順次実施する。

実質的に青天井だった残業時間に制限を設け、長時間労働を是正する。1947年の労働基準法制定以来の大改革だ。正社員との格差が大きい非正規労働者の処遇も改善する。長年の懸案解決に道筋をつけた意義は極めて大きい。

労働力人口が減る中、社会・経済の活力を維持するには、子育てや介護と仕事を両立できる働き方を広め、女性や高齢者らの労働参加を促すことが欠かせない。

長時間労働の恒常化は、多様な人材の活躍を阻み、生産性を低下させてきた。過労自殺などの悲劇も招いた。低賃金で不安定な非正規雇用の拡大は、消費を低迷させ、少子化の要因にもなっている。

残業の上限は、いわゆる「過労死ライン」ぎりぎりだ。「緩すぎる」との批判もあるが、上限いっぱいの残業を肯定する趣旨ではないことは、言うまでもない。

関連法には、有給休暇の一部を企業の責任で付与する制度も盛り込まれた。終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル制度」の導入については、企業の努力義務とした。企業は労働時間削減に可能な限り努めるべきだ。

同一労働同一賃金に関しては、雇用形態による不合理な格差の禁止をより明確にした。処遇差についての説明義務も企業に課す。

労使で協議を重ね、正社員と非正規労働者の双方が納得できる処遇体系を構築してもらいたい。

高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「脱時間給」(高度プロフェッショナル)制度も、新たに導入される。

研究開発など、働く時間と成果が一致しない仕事が増えた。残業が長いほど高賃金になる現行制度では、効率的に働く人が不利になる。職種を限り、賃金と時間を切り離すことには合理性がある。

残業代がなくなることで、長時間労働が助長される、との不安も根強い。新制度は、対象者の健康確保措置を企業に義務付けている。適正な運用が求められる。

働き方改革を通じて生産性を高め、企業の成長力強化につなげる視点が重要である。
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[読売新聞] 日米防衛相会談 地域安定へ連携をより深めよ (2018年06月30日)

東アジアの安全保障環境は今後も変わり得る。日米安保条約を根幹とする同盟の意義について、日米両国が確認し続けることが大切だ。

マティス米国防長官が来日し、安倍首相や小野寺防衛相らと会談した。防衛相会談は4月のワシントン、5月のハワイでの開催に続くものだ。緊密な連携の証しであり、評価したい。

防衛相会談では、核を含む北朝鮮のすべての大量破壊兵器と、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全、不可逆的、検証可能な廃棄を目指す方針で一致した。

北朝鮮は日本に届く中・短距離の弾道ミサイルを数百発配備している。脅威の除去に日米が共同して対処することが求められる。

政府は、ミサイル対応で中国、四国地方などに配備している地対空誘導弾「PAC3」の撤去を視野に入れている。米朝間の対話が続く限り、警戒態勢を縮小するのは妥当と言えよう。

世界第2の経済大国であり、軍事強国化を進める中国にどう対峙(たいじ)するか。それが、日本にとって最優先の長期的課題である。

小野寺、マティス両氏は、対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の沖縄県・尖閣諸島への適用を確認した。中国公船の領海侵入が常態化しており、両氏が認識を共有したことは重要だ。

マティス氏は会談後の共同記者会見で「長年の同盟国への我が国の関与は盤石だ」と述べ、日本防衛の決意を強調した。

中国は南シナ海に人工島を造成し、軍事拠点化を進めている。広範な太平洋地域では空母や爆撃機の活動も目立つ。

中国に自制を促し、自由で開かれた海を守るためには日米の協力が不可欠である。

首相はマティス氏との会談で、「日米同盟は日本の平和と安全はもとより、地域の繁栄の礎だ」と語った。同盟を強固にし、中国への抑止力を高めるべきだ。

トランプ米大統領は、同盟関係よりも米国内の経済を優先する姿勢が目立つ。同盟国には不安感が広がっている。閣僚間で、米軍と自衛隊の協力などを確認した意味は小さくない。

防衛相会談では、日米間で共同訓練を着実に実施することを確認した。両国で共同対処能力を向上させる必要がある。

安全保障関連法に基づく米艦防護などで自衛隊の役割を拡大することが、米国の対日防衛への真剣な取り組みにつながる。双方向の協力を深めなければならない。
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[朝日新聞] 新宿区のデモ 一律規制は許されない (2018年06月30日)

短絡的で乱暴な措置に驚き、あきれる。憲法が定める「集会の自由」や「表現の自由」を侵害するおそれが大きい。

東京都新宿区が、街頭デモの出発地として使用を認める区立公園を、これまでの4カ所から1カ所に限ることを決めた。区役所内部だけの検討で「学校や商店街に近接していない」という条件を追加することにして、区議会に事後報告した。

同区内で行われたデモは昨年度77件あった。うち60件は、今後は使えなくなる三つの公園から出発している。デモがしにくくなるのは明らかだ。

吉住健一区長は当初、朝日新聞の取材に、ヘイトスピーチ対策に重点を置いた説明をしていた。だが担当部長による議会への報告では、住民の生活環境を守ることが理由とされ、デモ全般の制限を意図したものであることが明確になった。

77件のうち区がヘイト行為を確認したのは13件で、それ以外は労働、平和、反核などテーマはさまざまだ。これらにも広く網がかかることになる。

シュプレヒコールの音や交通規制などにより、デモが近隣住民の日常生活に一定の迷惑をかけるのは否定できない。

だが、デモや集会を通じて、意見を形づくり、それを他人に伝え、異なる考えにも耳を傾けて考えを深めることは、民主主義社会にとって極めて大切だ。誰もが利用できる公園は、それを実現する場所として大きな役割を果たしてきた。

ヘイト対策を検討する場合も、丁寧な議論を経て、しかるべき手続きを踏むのが筋だ。

たとえば川崎市は、公園などの利用を事前に規制できる仕組みを設けているが、要件を厳しく定め、有識者でつくる第三者機関にも意見を聴くことにしている。集会や表現の自由との調整に悩みながら、一件ごと慎重に判断する。そうしたとり組みを避けて一律規制に走るのは、安易な発想というほかなく、到底受け入れられない。

この問題をめぐっては、司法の場で蓄積された議論がある。公の施設の利用を自治体が拒否することの是非が争われた裁判で、最高裁は、拒めるのは人の生命・身体に明らかで差し迫った危険が予想できる場合に限るなどとして、集会の自由を重くみる見解を示している。

住民の生活環境を整えるのは自治体の大切な役割の一つだ。しかし、議会とも話し合わず、積み重ねられた司法判断も無視して突き進むのは危うい。

いったん立ち止まって考え直すよう、新宿区に求める。
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[朝日新聞] 働き方法成立 懸念と課題が山積みだ (2018年06月30日)

安倍政権が今国会の最重要テーマに位置づけた働き方改革関連法が、多くの懸念と課題を残したまま成立した。

制度の乱用を防ぐための監督指導の徹底など47項目もの参院での付帯決議が、何よりこの法律の不備を物語る。本来なら、議論を尽くして必要な修正を加えるべきだった。

国会審議で浮き彫りになったのは、不誠実としか言いようのない政府の姿勢だ。比較できないデータをもとに、首相が「裁量労働制で働く方の労働時間は一般労働者よりも短い」と誤った説明をし、撤回に追い込まれた。その後も、法案作りの参考にした労働実態調査のデータに誤りが次々と見つかった。

一定年収以上の人を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)の必要性も説得力に欠ける。政府は当初、「働く人にもニーズがある」と説明した。しかし具体的な根拠を問われて示したのは、わずか12人からの聞き取り結果というお粗末さ。審議終盤、首相は「適用を望む労働者が多いから導入するのではない」と説明するほかなかった。

一方、これから答えを出さねばならない課題は山積みだ。

「この制度は本人の同意が必要で、望まない人には適用されない」と、首相は繰り返す。それをどのように担保するのか。

高プロと同じように、本人同意が条件になっている企画業務型の裁量労働制の違法適用が、野村不動産で昨年末に発覚したばかりだ。しかも、社員が過労死で亡くなるまで見抜けなかった。実効性のある歯止めをつくらねばならない。

省令など今後の制度設計に委ねられる部分は、ほかにも多い。政府は、高プロを「自由で柔軟な働き方」とするが、使用者が働く時間や場所を指示してはならないという規定は法律にない。適用対象業務を含め、労働政策審議会での徹底した議論が必要だ。

今回の法改正で、これまで労使が協定を結べば事実上無制限だった残業時間に、罰則付きの上限を設けることになったのは、働き過ぎ是正に向けた第一歩だろう。だが、この上限も繁忙月では100時間未満と、労災認定の目安ぎりぎりだ。さらなる時短の取り組みが欠かせない。

今回の改革の原点は、働く人たちの健康や暮らしを守ることである。その改革の実をどのようにあげるか。それぞれの職場の状況に応じた、労使の話し合いが重要となることは言うまでもない。
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2018年06月29日

[産経新聞] 【主張】はやぶさ2の探査 感動の発見が待っている (2018年06月29日)

地球を出発してから3年半、32億キロに及ぶ旅程を踏破した。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の科学探査機「はやぶさ2」が目指す小惑星「リュウグウ」の上空20キロの定位置に到着した。

過酷な長旅にもかかわらず故障もしていない。先代機の「はやぶさ」で学んだ教訓を反映しての見事な宇宙航行だ。

これから、リュウグウに関するさまざまな観測が始まる。どんな新発見があるか楽しみだ。

小惑星には、46億年前に太陽系が誕生したころの状態が保存されている。C型小惑星に分類されるリュウグウには、有機物と水の存在が見込まれる。

今秋から来春にかけて、はやぶさ2は計3回、地表にタッチダウンして地質標本を採取する。

2年後に、はやぶさ2が地球に持ち帰るリュウグウの試料からは、太陽系の生い立ちや、地球の生命の起源の解明につながる鍵が見つかる可能性がある。

少年、少女の諸君には、はやぶさ2によるリュウグウの科学探査への関心を深めてもらいたい。生きたサイエンスを勉強する最高のチャンスの訪れだ。

リュウグウが算盤(そろばん)玉の形をしているのは、なぜだろう。試料採取のために、はやぶさ2が舞い降りる場所は、どこがよいだろう。

公開されたリュウグウの画像を見詰めながら、そうしたことを自分なりに考えてもらいたい。

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疑問を持ちながら、新聞記事やテレビのニュースに接すると思考力が磨かれる。JAXAのホームページにも、はやぶさ2の特集コーナーなどが用意されている。

そこでの解説に登場する研究者は、宇宙科学への扉を開いてくれる最高の先生だ。用意されているCGも実画像も素晴らしい。

見ていると星の王子様になったような気がする小惑星探査は、ワクワク感で満ちている。その感動を専門家とともに味わえる機会は貴重だ。ゲームに劣らず面白い勉強だと思うが、どうだろう。

はやぶさ2の探査活動を確認しながら、自分が気付いたことや考えたことなどを記録すれば、夏休みの自由研究にもなるはずだ。

将来の科学技術の担い手は、若い世代だ。先代のはやぶさは、度重なるピンチをひとつずつ乗り越えた。その姿勢も学びつつ、成長の糧にしてもらいたい。
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[東京新聞] ごり押し「働き方」法案 額に汗して働けない (2018年06月29日)

「働き方」関連法案が成立する見通しだ。働く人の健康を守り待遇格差を是正する。そこに疑問と不安が残ったままでは、とても額に汗して働けない。

働き方の実情を知るため今月、スウェーデンを訪れた際、こんな体験をした。

ある研究機関の研究者に話を聞いていて一時間ほどたったころ、彼は「これから学童保育に子どもを迎えに行くのでこれくらいで」と場を後にした。時刻は午後四時半ごろ。子育てを退勤の理由として堂々と言える。

なにより、勤務時間を自身で調整できるような「裁量」のある働き方をしていた。この国の労働者はだれも残業はしない。仕事と生活の両立ができているようだ。


◆裁量のない働き方
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国情はもちろん違うとしても、日本の「働き方」関連法案は働く側にとってどうか。

政府は、高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)を働く本人が労働時間や仕事の進め方を決められる働き方だと説明してきた。だが、法文上、明確とはいえない。

政府の説明をうのみにできないのは日本では裁量のない働き方が大半だからだ。

欧米では猛烈に働く専門職はいる。能力が評価されれば高年収を得られるし、労働条件が合わなければ転職する。働く側の立場は弱くはない。

高プロは年収千七十五万円以上の人が対象だ。だが、収入が高いからといって自分で業務量を調整できるか、はなはだ疑問だ。

日本の会社の正社員はどんな業務でもこなし、どこへでも転勤する働き方が主流だ。業務の担当範囲が不明確なため次々と仕事を振られ過酷な長時間労働に追い込まれかねない。


◆対象者拡大する懸念
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高プロとは労働時間規制から丸ごと外す働き方だ。行政の監視の目が緩みやすい。さらに労働時間の把握がされないことで労災認定が難しくなるとの懸念も指摘されている。

厚生労働省が約七千六百事業所を対象に行った監督では、約四割で違法な時間外労働があった。時間規制という“重し”がある今の働き方でも違法に長く働かせる例は潜んでいるだろう。

この状況での高プロ導入は、過労を増やし過労死を増大させかねない。

野党の質問もここに集中した。だが、加藤勝信厚労相はじめ政府側の答弁は、知りたい点を明らかにしたとは言い難い。この制度に対する最も根本的な疑問と不安は消えていない。

対象業務は金融ディーラーやアナリストなどに限定すると政府は言うが、これも疑問だ。

高プロは経済界が長らく導入を求めてきたものだ。経団連は同種の制度導入を求めた二〇〇五年の提言で対象を年収四百万円以上とした。これでは多くの人が対象になってしまう。経済界の制度導入への思惑は人件費抑制だろう。

経営者の皆さんに言いたい。

労働コストの抑制が生産性の向上策と考えていないでしょうか。本来なら人材育成に取り組み収益の上がる業務を追求し、業務量を減らして効率化を進めるべきではないか。無理でしょうか。

もちろん政府・与党の姿勢は批判を免れない。

経済界の意向を受けて高プロ創設が盛り込まれた法案が一五年に提示された際、当時の塩崎恭久厚労相が「(制度を)小さく産んで大きく育てる」と発言した。対象業務の拡大を想定したとして批判を浴びた。

過去には制度の対象を広げてきた例がある。労働者派遣法は、制度創設後拡大を続けた。製造業にも拡大され〇八年のリーマン・ショックでは「派遣切り」で失業者が出た。立場の弱い労働者が追い詰められてしまった。

制度ができれば、対象を広げたいというのが政府の考えではないのか。

一五年当時、高プロは批判されて法案は国会を通らなかった。

安倍政権は今国会で「働き方改革」を前面に出し、「長時間労働の是正」と非正規で働く人の「同一労働同一賃金の実現」を目玉に掲げた。


◆不誠実な政権の対応
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批判されにくい政策を掲げる陰で、過労死を生むような高プロと裁量労働制の対象拡大を滑り込ませる手法は姑息(こそく)である。

首相は、高プロを批判する過労死の遺族との面会を拒み続けている。一方で、国会では数の力で法案成立を強行する。政策の責任者として不誠実ではないか。とても働く人の理解を得られる法案とは言えまい。

論点が多い八本の法案を一括提案し成立へごり押しした政府の責任は重い。
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[産経新聞] 【主張】イタリア新政権 移民問題で協調見失うな (2018年06月29日)

イタリアで今月発足したコンテ政権が移民問題で強硬姿勢をとり、フランスなど他の欧州連合(EU)加盟国との間で軋轢(あつれき)を生んでいる。

きっかけは今月中旬、アフリカからの移民629人を乗せて地中海を漂流していた民間救助船アクエリアス号が、伊南部へ入港するのをコンテ政権が拒否したことだった。

マクロン仏大統領が「無責任な対応だ」とこれを批判すると、コンテ首相は「偽善的だ」と反論した。救助船はスペインが人道的見地から入港を認めた。だが、移民への反発はイタリア国内のポピュリズム(大衆迎合主義)のさらなる高まりを招いている。EUの深い亀裂への警戒が必要だ。

コンテ政権は、3月の総選挙でばらまき政策を掲げて第一党となった「五つ星運動」と右派「同盟」との連立で発足し、財政規律などを求めるEUの路線に一貫して懐疑的な姿勢をとっている。

特に強硬なのは同盟党首のサルビーニ内相だ。最近は不法滞在する移動民族ロマ人の人口調査実施を提案し、物議を醸した。

イタリアには、ムソリーニ政権がナチス・ドイツと連携してユダヤ人排斥のための人種法を制定した歴史がある。ロマ人の人口調査は特定の民族を標的としたものだとして、他の閣僚からも反対の声があがった。

サルビーニ氏の排外的な言動は若者の支持を集めており、同盟の支持率は最近の世論調査で五つ星をしのいで首位に立った。

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EUの「ダブリン規則」は、移民・難民が最初に入った加盟国が保護手続きなどを担う義務を定めている。一方で、加盟国の受け入れ分担の制度化は東欧の反対で合意できていない。

イタリアは地理的に中東・北アフリカからの流入の玄関口だ。自国だけが、他のEU加盟国から負担を押しつけられている、との不公平感を抱いている。

フランスとともに、ドイツのメルケル首相も制度改革を目指す。だが、受け入れの厳格化を迫る強硬派の閣僚と対立している。加盟国に内向き志向が広がれば、欧州統合に逆行しかねない。

EUは28、29日の首脳会議などで対応を協議する。イタリアはユーロ圏3位の経済規模を持つ。コンテ氏は主要国の自覚を持ち、独仏とともに事態打開へ責任を果たしてほしい。
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[毎日新聞] 2代目はやぶさの挑戦 太陽系の歴史探るロマン (2018年06月29日)

日本の探査機「はやぶさ2」が、小惑星リュウグウ上空の目的地に到着した。「人類未到の天体」での探査活動が本番を迎える。太陽系の成り立ちや生命の起源に迫る成果が得られることを期待したい。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)によれば、2014年12月の打ち上げから約3年半で、約32億キロを飛行した。機体は健全だという。

小惑星イトカワから試料を持ち帰った初代はやぶさは、姿勢制御装置やエンジンの故障などトラブルが相次いだ。順調に往路を終えることができたのは、その経験を生かし、機器の改良を重ねた成果だろう。

はやぶさ2はリュウグウの周辺に1年半滞在する。計3回着陸してリュウグウの試料を採取し、20年末に地球に帰還する計画だが、いくつもの難関が待ち受けている。

まずは約2カ月かけて、直径約900メートルのリュウグウの地形や重力、組成などを調べ、8月下旬に着陸地点を決める。到着前の観測で、表面は岩の塊が多いことが分かっており、安全に着陸できる場所を見極めることが最初の関門となる。

来春には、金属弾を撃ち込んでクレーターを作り、小惑星内部の物質を採取する世界初の試みに挑む。これが探査活動で最大の難所だ。

地球の水や有機物は、小惑星が運んできたとする仮説がある。リュウグウは太陽系誕生時の姿をとどめており、風化していない内部試料は、太陽系の歴史や生命誕生の謎を解き明かす手がかりになる。

リュウグウの名は、試料回収の成功を願い、玉手箱を持ち帰る浦島太郎の物語にちなんでつけられた。

はやぶさ2には、独仏が開発した着陸機も搭載された。日本と同様に小惑星からの試料回収を目指す米航空宇宙局(NASA)とJAXAは協定を結び、試料の一部を交換することになった。こうした国際協力の広がりは、日本が宇宙科学探査で高く評価されていることの表れだ。今回の探査を着実に成功させ、存在感を更に高めてもらいたい。

では、その成果をどう生かすのか。JAXAは火星の衛星の探査計画などを検討しているが、まだ正式決定はされていない。はやぶさ2の活躍は、日本の太陽系探査の今後を改めて考える契機にもなる。
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[毎日新聞] 米国のイラン原油禁輸要求 日本は毅然として拒否を (2018年06月29日)

イラン核合意から5月に離脱したトランプ米政権が、イランへの制裁の一環として、日本を含む各国にイラン産原油の輸入を完全に停止するよう求めている。

イランの収入源を遮断し、より厳しい核合意を実現するための圧力とする狙いがあるようだ。

制裁が適用されれば、イラン原油の取引がある金融機関が米国の金融市場から締め出される恐れがある。日本の金融機関も例外ではない。

核合意は今もイランと英仏独中露の合意参加国で維持されている。米国が金融市場での絶大な影響力をテコに力ずくで合意を崩壊させようとしているなら、横暴に過ぎる。

イラン原油の禁輸制裁はオバマ前政権が2012年に発動した。欧州連合(EU)も独自に制裁した。

厳しい制裁にもかかわらず国際社会が足並みをそろえたのは、核開発の疑念がそれだけ強かったためだ。

日本など多くの国がイラン原油の輸入を減らし、その結果、経済的に困窮したイランが交渉に応じて3年前の核合意に至った。

しかし、今回の禁輸要求は関係国の理解と支持を得られていない。そもそも問題は核合意を離脱したトランプ政権の決定にある。

イランが核開発を制限する見返りに各国が制裁を解除するのが合意の柱で、国際機関は関係国が順守していることを認めてきた。

ところが、トランプ政権は合意の不備を理由に日欧などの反対を押し切って離脱し、制裁の再発動を表明した。理屈を欠く制裁への国際社会の理解が低いのは、当然だろう。

トランプ政権は11月に制裁を発動する方針だ。例外は認めないという。イランに原油調達の5・5%を依存する日本への影響は大きい。

もとより、国際的な取り決めを一方的に破り、民間企業を人質に他国のエネルギー政策に干渉することなどあってはならないことだ。

だが、日本の態度は定まらない。核合意を支持しながら、破棄したトランプ政権に理解を示し、禁輸要求を批判せず回避策を探っている。

米国の顔色をうかがうばかりに、筋の通らぬ振る舞いを見過ごしていいはずがない。安倍晋三首相は毅然(きぜん)として禁輸要求を拒否し、制裁発動の再考を求めるべきだ。
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[朝日新聞] 二階氏の発言 「産めよ」の発想の罪 (2018年06月29日)

これが「女性活躍」を掲げる安倍政権中枢の本音なのか。人権意識の乏しさ、政治が果たすべき役割への無理解に、あぜんとする。

自民党の二階俊博幹事長が都内で講演し、少子化問題にふれて次のように語った。

「このごろ、子どもを産まない方が幸せじゃないかという勝手なことを考えて(いる人がいる)」「この国の一員として……みんなが幸せになるためには子どももたくさん産んで、国も栄えていく」

まるで、「産めよ殖やせよ国のため」と呼びかけた戦前の発想だ。「一夫婦の出生数平均五児」などの目標を掲げた人口政策確立要綱を閣議で決めた時代と、根っこは同じではないか。

言うまでもなく、結婚も出産も、個人の自由だ。政治家が口出しする話ではない。政治がなすべきは、結婚、出産を希望する人が安心して子どもを産み、育てることが出来る環境を整えることだ。

深刻な少子化の責任を、国民に転嫁するのも全く筋違いだ。女性の社会進出、家族の多様化など、社会の変化に対応し、必要な政策を進めてこなかったのは、政治の怠慢である。

1992年には共働き世帯が専業主婦世帯を初めて上回った。子育て支援の必要性が叫ばれたのに、日本の予算は先進諸国の中で最低レベルという状態が続き、出生率は2005年に1・26まで落ち込んだ。01年に掲げた待機児童ゼロの目標はいまだに達成されていない。

同じ講演で、二階氏は今の日本に貧困問題がないかのような発言もした。不安定な収入、将来への不安から結婚や出産をためらう若者が多くいる現実が、目に入らぬのだろうか。7人に1人という子どもの貧困率は、先進諸国で最悪の水準だ。

国家のために子どもを産むのは当たり前、子育ては女性の仕事だという価値観に基づく発言は、自民党の有力政治家がこれまでも繰り返してきた。子どもを一人も産まない女性の老後に税金を使うのはおかしいと述べた森元首相(03年)、女性を「産む機械」に例えた柳沢伯夫・厚生労働相(当時、07年)。

最近も「『男も育児だ』とか言っても、子どもには迷惑な話かも」(萩生田光一・党幹事長代行)などの発言があった。

長年、政権を担ってきた自民党のそんな姿勢が、子育てを社会全体の問題ととらえて支援を充実させることを阻み、少子化を深刻化させたのではないか。そのことを猛省し、発想を転換することが出発点だ。
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[朝日新聞] 帰宅困難者 都市の即応力を磨け (2018年06月29日)

大阪北部地震ではさまざまな場面で都市の弱点が明らかになった。多くの帰宅困難者の発生もそのひとつだ。丁寧に検証して教訓をくみとりたい。

JRや阪急、大阪メトロの運行再開が夜になったため、主要駅には帰宅の足を奪われた人が長時間滞留した。大阪駅と新大阪駅の間にある淀川にかかる橋は、歩いて帰途に就く人の列が車道にまであふれた。

人が集中すると転倒などの危険が高まる。車を使おうとすると道路は渋滞し、緊急車両の通行まで妨げてしまう。首都圏で約515万人の帰宅困難者を生んだ東日本大震災のとき、思い知ったことだった。

政府は当時の混乱を受け、3年前にガイドラインを定めた。発災後、行政が帰宅を抑制するように呼びかける。企業は3日間、社員を無理に帰らせない。かわりに滞在施設や食料を準備する――といった内容だ。

しかし今回、大阪府は「被害は局所的」と判断し、帰宅抑制の措置はとらなかった。結果として後手に回ったのは否定できない。どの段階で、何をすべきだったか、点検が必要だ。

東京都や愛知県なども、ガイドラインに沿った独自ルールを定めている。ただしそれは、首都直下や南海トラフといった大規模地震に備えるものだ。震度6弱だった今度のような地震でも混乱は起きるという構えで、対応力を磨く必要がある。

東京都は昼間人口が約1500万人。首都直下地震での帰宅困難者の数は、茨城県を含む1都4県で最大800万人と予想される。最悪の事態も考えながら、ガイドラインの3日間にこだわらない帰宅抑制や在宅勤務の呼びかけなど、状況に応じた選択肢が当然あっていい。大切なのは早めに情報を提供して、人々が判断に迷わないようにすることだ。

企業も自主的に対応できるよう準備しておく必要がある。

いち早く社員に自宅待機の指示メールを出したり、宿泊用に社員寮を開放したりした会社もあった。しかし地震発生が朝だったこともあり、出社するかどうかを社員の判断にゆだねたところも多かったようだ。

行政の判断は判断として参考にしつつ、自助・共助の観点から、企業はそれぞれの事業継続計画(BCP)を策定して、備えを固めておきたい。

鉄道の運行は安全の確認が大前提だ。そのうえで、駅や街に群衆が滞留しないように、どんな情報を発信し、いかなる措置をとるべきか、国土交通省と鉄道各社は知恵を絞って欲しい。
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[読売新聞] トルコ大統領選 新体制で安定を築けるのか (2018年06月29日)

欧州とアジアをつなぐ地域大国の指導者として中東の混乱収拾へ建設的な役割を果たせるのか。強権政治だけで、国内の安定と経済成長を実現するのは容易ではない。

トルコ大統領選で、エルドアン大統領が再選された。同時に行われた総選挙でも、与党連合が過半数を確保した。

昨年の憲法改正に伴い、トルコは議院内閣制から大統領制に移行し、首相職は廃止される。エルドアン氏は行政トップの座に加え、国会の解散権や閣僚の任免権など広範な権限を手にする。

首相時代も含め、エルドアン氏は過去15年間、国政を率いてきた。今回の勝利で、さらに2期10年の長期政権の基盤を築いた。経済の悪化や支持率低下を見越して、来年11月の選挙予定を前倒しした戦略が功を奏したと言える。

エルドアン氏は「この勝利で、我々はもっと強くなる」と強調した。低中所得層を中心に多くの有権者が経済成長の実績を評価し、政権継続を選んだのだろう。

懸念されるのは、国内の分裂と対外関係の不安定化が深刻さを増していることだ。

2016年7月のクーデター未遂事件後、野党やメディアに対する政権の厳しい弾圧が続く。

非常事態宣言は解除されず、野党は集会すら自由に開けなかった。それでも、エルドアン氏の得票率は約53%にとどまった。

内政の混乱を受けて、海外からの投資は減少傾向にある。通貨リラの下落と物価高騰により、景気の先行きは不安視される。政権は分断の修復と経済再生を優先課題に据えねばならない。

トルコは北大西洋条約機構(NATO)の一員だが、エルドアン氏は、シリア内戦などを通じて、NATOと敵対するロシアやイランとの連携を深めてきた。欧州連合(EU)との関係は悪化し、EU加盟交渉は停滞している。

欧米諸国との対立や、少数派クルド系勢力への敵意を煽(あお)り、「強い指導者」を演出して求心力を高める。エルドアン氏の手法には、疑問を拭えない。難民問題や過激派のテロに効果的に対処するには、西欧との協調が不可欠だ。

トルコには、多くの日本企業が進出し、経済連携協定(EPA)交渉が行われている。安倍首相は、「重要な日トルコ関係をあらゆる分野で発展させていきたい」とのメッセージを送った。

トルコの新体制が中東の安定に資するよう、政府は働きかけを強めてもらいたい。
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[読売新聞] 米韓国防相会談 同盟堅持の意義を忘れるな (2018年06月29日)

北朝鮮の非核化と緊張緩和を進めつつ、不測の事態に備えて同盟関係を堅持する。米韓両国が、その重要性を確認した意義は小さくない。

マティス米国防長官が韓国を訪問し、宋永武国防相と会談した。米朝首脳会談後の対話ムードを受けて、米韓は夏の合同軍事演習「フリーダム・ガーディアン」や、海兵隊合同訓練の中止を決めたばかりだ。

マティス氏は会談で、演習中止によって米朝交渉を促進する余地が広がる、との立場を表明した。宋氏も「信頼構築と平和定着のための措置」と説明した。

双方は、北朝鮮が「善意の対話」を続ける限り、こうした措置を推進することでも合意した。

演習中止によって、北朝鮮の前向きの対応を引き出す狙いは理解できる。昨年は米朝衝突の懸念さえ高まっていたことを考えれば、対話を重視し、軍事的緊張を緩和する動きは歓迎すべきだろう。

問題なのは、北朝鮮の非核化が足踏みしていることだ。米朝首脳会談の直後に行われるはずだったポンペオ国務長官と北朝鮮高官の協議にも時間がかかっている。

マティス氏と宋氏が、「非核化の具体的、不可逆的な措置がとられるまで、国連安全保障理事会の制裁が履行されねばならない」と確認したのは当然である。

両氏は、「同盟に対する脅威に対処し、強力な連合防衛体制を引き続き維持する」と強調した。

北朝鮮が軍事境界線付近に火砲を集中させ、米韓軍と対峙(たいじ)している状況に変わりはない。大規模な合同演習を中止しても、即応能力が低下しないよう、米韓は態勢を整える必要がある。

マティス氏は、在韓米軍について、「現在の水準を維持する」と明言した。高く評価したい。

トランプ米大統領は、米朝首脳会談後、将来の縮小や撤退の可能性にも言及していた。軽率な発言だと言わざるを得ない。

在韓米軍の削減や撤収は、北東アジアの安全保障体制に大きな影響を与える。中国の軍事的脅威の増大や、在日米軍への波及を踏まえれば、現時点で見直しを議論するのは時期尚早だ。

戦時作戦統制権の米国から韓国への移管は、両国間の懸案となっている。両国防相は、実現に必要な環境整備に努めることで一致した。早期移管を求める韓国の文在寅政権の意向が垣間見える。

北朝鮮の脅威への対処が弱まることがないよう、移管問題は慎重に協議されねばならない。
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2018年06月28日

[産経新聞] 【主張】交番襲撃 「治安の象徴」どう守るか (2018年06月28日)

交番は、日本社会の安心、安全を象徴する施設である。海外からの評価も高く、「KOBAN」の名称は広く世界的に認知されている。

その交番が襲われた。富山市の交番で男性警部補が刺殺され、奪われた拳銃で近くの小学校で警備員が射殺された。

警察官が奪われた拳銃で民間人が撃たれ、死亡するという最悪の不祥事である。富山県警の本部長は会見で「交番勤務の警察官が拳銃を奪取され使用されたことは誠に遺憾」と述べた。当然の謝罪だろう。

だが、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された元自衛官の容疑者は、複数の刃物で武装し、警部補にいきなり襲いかかった。亡くなった警部補には同情を禁じ得ない。

交番のおまわりさんは基本的に訪れる人を笑顔で迎え入れる。計画的に拳銃奪取を狙う凶刃を防ぐ手立てがあったろうか。数十回にわたって刺され、致命傷を負った警部補に拳銃を守ることは不可能だったのではないか。

「警察官等けん銃使用及び取扱い規範」は、制服着用時の警察官に拳銃の携帯を義務づけている。室内勤務の際は「この限りではない」としているが、交番など公衆の見やすい場所で勤務する場合を除いている。管内のどんなトラブルにも即応できるためであり、拳銃携行の警察官の存在が犯罪の抑止につながるからでもある。

一方で、拳銃の所持が犯罪の標的となる事実も重視すべきだ。まず拳銃を容易に奪われることがないよう、装備を充実させる必要がある。平成17年に岐阜県多治見市で、拳銃とベルトをつなぐひもを引きちぎられて奪取された事件を受け、ひもの芯を強化する対策も取ったが、それでも今回の事件では刃物で断ち切られた。

警察庁は、着装器具の改良により警察官本人以外は拳銃を抜きにくくする再発防止策を検討しており、約2年後までの改良予定を前倒しする方針という。できることは、すぐにやるべきである。

室内勤務時の拳銃不携帯は、交番勤務時にも適用し、厳重保管することも選択肢の一つだ。交番が襲撃対象となる危険性を軽減できるのではないか。

憎むべきは警察官を襲い、奪った拳銃で警備員を撃った容疑者である。治安を守るため、危険と対峙(たいじ)する警察官の待遇改善や増員も真剣に検討すべきだ。
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[産経新聞] 【主張】イラン原油の禁輸 国益損なわぬ調達交渉を (2018年06月28日)

イラン核合意から離脱して制裁の復活を表明したトランプ米政権が、日本を含むアジアや欧州各国に対してイラン産原油の輸入禁止を求めた。

日本は原油の9割を中東からの輸入に依存しており、そのうちイラン分は5・5%を占める。古くから友好関係を築いてきた歴史もある。

輸入停止を回避するよう、欧州とも連携しながら、米国の説得に努めるべきである。

3年前、オバマ前政権が英独仏露中の6カ国でイランとウラン濃縮など核開発の制限で合意した。これを受けて米は、イラン向けの制裁を解除した。

だが、核合意が不十分だと指摘するトランプ氏は、制裁を復活する大統領令に署名した。11月4日までにイラン産原油の輸入を全面的に禁止するよう、同盟国に求めてきたのは、その一環としての措置である。

菅義偉官房長官が、日本企業に影響が出ないよう、関係国と協議する考えを示したのは当然だ。

原油輸入は長期契約を原則としており、急に変更すれば不利益を被る恐れがある。影響を避けるには、多方面に目配りした粘り強い交渉が欠かせない。米国が指定した11月という輸入停止の期日について、さらに延長を求めることも考えるべきだ。

米国が復活させた経済制裁は、イランと取引する第三国も対象とする厳しいものだ。政府内には米国との関係を考慮し、「イラン産原油の輸入停止はやむを得ない」との声も上がっている。

そうした事態を避ける取り組みを重ねつつ、代替原油の確保に向けた準備も怠ってはなるまい。他の産油国との調達交渉を急ぐ必要があり、第三国を通じたバーター取引の拡大など、多様な調達を工夫してほしい。

米国による原油輸入の停止要求は、周囲を海に囲まれた資源輸入国という、日本の厳しいエネルギー事情を改めて浮き彫りにしたといえよう。

原油など資源の調達先とエネルギー構成の多様化は、日本にとっての生命線である。だからこそ、安全性を確認した原発の早期再稼働は、喫緊の課題といえる。それなくして、資源調達における交渉力の向上は難しい。

原発を含めた安定電源の確保は、日本のエネルギー安全保障の確立にとり急務である。
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