2017年08月07日

[東京新聞] 犯罪被害給付金 不断の見直し続けたい (2017年08月07日)

犯罪被害者への給付金支給制度について警察庁は支給条件を見直す。現行では原則支給されない親族間の犯罪も対象とする。夫婦間の殺人事件で後に残された子どもらにも手厚い支援を求めたい。

だれもが事件に巻き込まれる可能性はある。犯罪被害給付制度は、犯罪に遭った本人や遺族を社会全体で支えようと一九八一年に施行され、改正を重ねてきた。

現行では被害者が死亡した場合に最高約三千万円が遺族に給付され、けがや病気にも治療費などの給付がある。警察庁のまとめでは、二〇一六年度に受給した人は三百九十人、支払総額は約八億八千二百万円だった。

それでも原則として支給されない犯罪がある。夫婦や親子の間で加害者と被害者となった事件だ。「被害者に支払われた給付金が加害者に流れる恐れがある。加害者を利することになれば社会の納得を得られない」として、国が給付に否定的な見解を示してきた。

しかし、この考え方にどれほど現実性があるのだろうか。

核家族化が進んだ今、夫婦など親族間の犯罪は年々増える傾向にある。全国の警察が一六年に摘発した殺人事件(未遂を含む)七百七十件のうち、55%は親族の間で起きている。

父と母の間で殺人事件が起きた場合も、残された子どもへの給付には制限がかけられるが、計り知れない痛手を負った子どもが被害者として扱われないのは理不尽ではないか。こうした線引きによって経済的に追い詰められ、学業の機会を得られない子もいる。

犯罪被害者を支援する制度でありながら、現状では対象外になる人の割合が増えている。不支給の方が多い逆転現象が続くなら、制度として機能しなくなる。

親族間の犯罪をどう扱うのか。給付金の支給要件を見直そうという論議は、十五年前に両親と姉の長男(当時十二歳)を義兄に殺害された被害者遺族らの訴えを受けて始まった。警察庁の有識者会議がまとめた提言で、緩和の道筋が示されたのは一歩前進だろう。

被害者が加害者の暴力から逃げるために別居していたり、離婚調停中であるなど家族関係が事実上破綻していた場合は全額を支給するとし、無理心中などで残された十八歳未満の子どもについても支給を求めた。

警察庁は提言に沿った運用を来年四月にも始める。被害者に対する支援はまだ道半ばにある。不断の見直しを続けたい。
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[産経新聞] 【主張】日米原子力協定 河野外相は延長に万全を (2017年08月07日)

来年7月に30年間の満期を迎える「日米原子力協定」の延長の可否は、日本のエネルギー政策にとどまらず、日米関係の根幹に関わる最重要案件である。

万一、米国が自動延長に難色を示すような事態となれば、わが国の原子力発電や再処理事業は存続の危機に立つ。

この問題を担当する河野太郎外相には、協定継続に向けて細心かつ万全の取り組みを求めたい。

半世紀に及ぶ日本の原子力発電は当初から米国との協力関係を軸に発展してきた。非核保有国中、日本だけが原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出せるのは、1988年に発効した現行の同協定によるものだ。

エネルギー資源に乏しい日本が将来を見据えて推進する核燃料サイクルには、プルトニウムの回収と利用が不可欠である。

だが近年、原子力利用をめぐる日本と世界の情勢には、大きな変化が生じている。

福島第1原発事故を機に新設された原子力規制委員会による各原発の安全審査は長期化し、再稼働の足取りは重い。一般の原発で、プルトニウムを燃やすプルサーマル発電もまだ少ない。核燃料サイクルの中核施設として、プルトニウムを使う高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉になった。

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米トランプ政権や議会には、消費減で日本が余剰のプルトニウムを持ちつつあると映りかねない。北朝鮮の核開発で、世界は核拡散に神経をとがらせている。

こうした微妙な時期に日米原子力協定の満了が重なった。米国がその延長に不同意なら、期間満了の6カ月前に、日本に文書で伝えることになっている。来年1月がその時期だ。

河野氏は外相として自動延長を確実にすべく、米国との緊密な調整の陣頭指揮に立たなければならない。

経済産業省と文部科学省も、政府一体での原子力発電の立て直しを世界に示すことが必要だ。

現行の日米原子力協定は実利用や研究開発で日本の自由度が高く理想的な構造だ。重大な変更も回避し、現状維持が望ましい。

河野氏は、使用済み燃料の再処理を含めて脱原発の見解を表明してきた政治家だが、まず考えるべきは閣僚の責務と国益だろう。事は、日本の将来に関わる問題なのである。
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[産経新聞] 【主張】トヨタ・マツダ 世界率いる再編の主役に (2017年08月07日)

トヨタ自動車とマツダが資本提携し、電気自動車(EV)の共同開発に乗り出すことになった。世界市場で環境技術などの開発競争が激化しており、開発の効率化などを進めて量産技術の確立を急ぐという。

英国やフランスでは、2040年までにガソリン車などの販売を禁止する動きがある。世界の自動車市場を牽引(けんいん)してきたトヨタなども、今後は厳しい競争を迫られる。

活発な提携戦略で次世代技術を早期に確立し、世界をリードして存在感を示してほしい。

そのためには政府の後押しも欠かせない。特に自動運転では、縦割りの安全規制が技術開発の障害となる恐れもある。柔軟な規制緩和を通じて民間の商品開発を支援する体制を構築すべきだ。

トヨタは20年前にハイブリッド車「プリウス」をいち早く発売するなど、世界のエコカー市場を開拓してきたが、欧米勢はEV開発を急ピッチで進めている。

トヨタが安全・環境分野で提携するマツダと協力し、出遅れ気味だったEV開発を両社で加速させるのは妥当といえる。

トヨタとマツダは19年ごろにEVを世界市場で売り出す計画という。共同開発を通じて早期の商品化を目指してほしい。

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EV市場は勃興期にあり、いち早く市場を握った企業が有利となるからだ。

同時に両社は、米国での自動車の共同生産にも踏み切る。米国に工場がないマツダはトヨタと組んで投資負担を軽減することができ、トヨタにも現地生産比率の向上につなげる狙いがある。

「米国第一」を掲げるトランプ大統領は、米国内での投資拡大を求めている。両社が効率的な共同生産に取り組み、政治リスクを抑えながら海外事業を拡大するのは合理的である。

世界各国が自動車の環境規制を強化し、各社は技術開発にしのぎを削る中で今後も生き残り競争が激化するのは確実だ。

日産自動車・ルノーは昨年、燃費データ不正を引き起こした三菱自動車を傘下に収め、EV開発の共同化に乗り出している。

トヨタもいすゞ自動車やSUBARU(旧富士重工業)に出資し、共同開発などを手がけている。日本勢として競争しながらも連携を図り、次の再編の目玉として主導権を発揮してほしい。
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[東京新聞] 強権ポーランド 自由への気概忘れるな (2017年08月07日)

ポーランドで報道の自由を侵害し、司法に介入する強権政治が進んでいる。社会主義時代に抱いた民主化や自由への熱い思いをいま一度、思い起こし、欧州連合(EU)の価値観を共有したい。

上下両院は七月、裁判官の人事権を持つ評議会のメンバーを下院が選出することなどを定めた法案を可決した。三権分立を損なう内容だ。一昨年十月の総選挙で勝利した右派政党「法と正義」政権は憲法裁判所の判事をすげ替え、公共放送や通信社を国有化し、司法や報道への介入を続けてきた。今回の法案もその一貫だ。

司令塔となっている党首のカチンスキ元首相は、ともに政権交代を繰り返してきた中道リベラル政党への敵意を募らせる。

「法と正義」はカトリック的価値観重視を掲げて党勢を拡大。子ども手当拡充や、年金受給年齢引き下げなどの社会保障をアピールし、地方で暮らす人や中小企業経営者らの支持は根強い。

強権体質と自国第一主義はトランプ米大統領とも通じる。トランプ氏は七月の二十カ国・地域(G20)首脳会合のための訪欧の際、わざわざワルシャワに立ち寄り、「法と正義」出身のドゥダ大統領と会談した。

ポーランドでは二〇〇四年のEU加盟後、域内での貿易や就業が活発となり、経済は好調だ。しかし、EUは単なる経済共同体ではない。民主主義、自由の保障などの価値観共有が基盤となる。

与党の司法介入に対し、ポーランド各地で市民らが連日、抗議デモを繰り広げている。

社会主義政権下では、自主管理労組「連帯」が中心となり自由選挙を勝ち取ってきた。その気概と誇りを思い起こし、自由な社会を守ってほしい。

EUは、「法の支配順守」を定めたEU基本条約違反の疑いがあるとして、加盟国議決権停止などポーランドへの制裁を検討している。これに対し、やはり強権政治を進めるハンガリーは反対、EU内の亀裂も深まっている。追い詰めてしまうと、ポーランドやハンガリーも、EU離脱へと走りかねない。

ドゥダ大統領は可決された司法介入法案への署名を一部留保した。社会の分断を進めてはいけないとの危機感からだろう。

EUのトゥスク大統領は「法と正義」の政敵であるポーランドの中道リベラル政党出身。EUとの懸け橋となり、極端へと走る母国に歯止めをかけてほしい。
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[毎日新聞] 東京23区の大学定員抑制 若者が地方選ぶ施策こそ (2017年08月07日)

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政府は地方創生の一環として、大学改革の施策を決めた。

柱は二つある。地域の産業振興と人材育成を担う地方大学を支援することと、都心への学生の流入を抑制することだ。

特に後者は、東京23区内で大学の定員増を認めない方針を掲げる。23区内で大学が新学部などを設ける場合も、既存学部の改廃が条件だ。

「東京に学生がみんな吸い上げられてしまう」。そんな思いを地方が抱くような実態は理解できる。

文部科学省の調べでは、23区の大学の大学院を含めた学生数は52万6000人で、全国の18%を占める。この10年間一貫して増えており、校地移転で都心に集まる傾向も続く。

一方、地方の大学は恒常的な定員割れに苦しんでいる。特に都市部以外が深刻で、私立大が自治体運営の公立大に転換して、大学存続を図ろうとする例も各地で見られる。

だが、23区内の大学定員を抑制することで、地方大学が活性化するかは疑問がある。

2018年以降、18歳人口は急速に減少していく。定員割れを危惧する都市部の大学も出てくるだろう。定員規制にどこまで実効性があるだろうか。また、都心部にしかない学部への進学を生徒が希望した場合、その選択肢を狭める恐れもある。

問題は肝心の地方大学の支援に迫力が乏しいことだ。

政府は、東京圏の大学と地方大学との単位互換などで、学生が双方を行き来する仕組みも促している。

ただ、地元高校生を引き留めるためには、国が総合的な支援策をもっと明確に打ち出す必要がある。たとえば優秀な教員を確保しやすくする支援の具体化や地方大学への奨学金制度拡充も有効だろう。

若者が東京を目指す理由のひとつに就職の問題もある。行政や大学が地域の企業などと連携して、雇用につなげる努力も重要だ。

政府が今回、地元に就職した学生への奨学金返済の支援制度などを盛り込んだのは、その反映だろう。

最近は、経済的な理由などから、東京に進学するよりも、地元の大学を選ぶ若者も増えている。その流れを生かすためには東京への流入規制よりも、地方大学拡充という本道に立ち返るべきだ。
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[日経新聞] ITで医療・介護を抜本改革せよ (2017年08月07日)

高齢化で医療・介護費は膨らみ、日本は先進国で最悪の財政状態にある。そんな中で一人ひとりが自立した生活を送ることができる「健康寿命」を延ばし、医療・介護費を抑える対策が急務だ。

カギを握るのがIT(情報技術)だ。政府はこれを最大限使い、医療・介護の抜本改革につなげてほしい。

まず個人が病院や診療所で受診したときの診療報酬明細書(レセプト)の情報の活用だ。今は匿名に加工処理されて厚生労働省のデータベースにたまっている。

中医協のあり方見直せ

その数は100億件を上回る。介護のレセプト情報や、健康診断の情報もそれぞれ数億件ある。問題は医療・介護・健康の詳細なデータが制度ごとにバラバラに管理され、ビッグデータとして一元的に利用できていないことだ。

医療や介護のビッグデータによる解析がすすめば、重度の病気にかからないように予防する方策を特定しやすくなる。厚労省はデータベース構築を急ぐべきだ。

企業や個人レベルの健康管理にも役立つ。ビッグデータを参考に、健康保険組合は社員の健康状態を定期的に把握し、必要な指導をしやすくなるからだ。

介護は、医療よりITの活用が遅れている。要介護者の筋力や骨密度、心機能などの詳細なデータを集めて分析すれば、科学的に自立支援に効果のあるサービスを定め普及させることができる。

2018年度には医療・介護費の公定価格である診療報酬と介護報酬の増減率が同時に改定される。政府は全体として費用を抑えつつ、遠隔診療やロボット介護などは報酬面で配慮してほしい。

レセプトを審査している社会保険診療報酬支払基金の改善の余地も大きい。審査に人工知能(AI)を導入したり、審査の9割をコンピューター処理したりする合理化策を厚労省がまとめた。

ひとまず妥当な内容だ。しかし、47都道府県ごとに置く支部で別々に審査している体制は早期に改め一元化すべきだ。職員の削減はもっと上積みできるだろう。

同時に重要なのは、ビッグデータを診療報酬・介護報酬の決め方の改革につなげることだ。

診療報酬は中央社会保険医療協議会(中医協)で決めているが、その過程は透明とはいえない。「議論の技や交渉の巧拙で決められていた」とある中医協会長経験者は著書で明らかにしたが、責任は中医協の公益委員にもある。

日本の財政事情を踏まえると、医療・介護費を大盤振る舞いする余裕はない。ビッグデータでいまよりも客観的・科学的な根拠にもとづき、真に有効な治療法や医薬品を評価する。限られた予算の中から重点配分する。そんな改革が不可欠だ。

25年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる。40年代にかけて高齢者の数はピークを迎える。こうした中長期の視点から、政府は中医協の改革工程表をつくるべきではないか。

レセプト情報と並び健康維持活動や医薬品の効果を客観的に評価する基礎となるのが、病院や大学が個別にもつ画像診断や遺伝子解析などの大量のデータだ。宝の持ち腐れも多く、治療・予防研究や創薬にもっと生かす工夫がいる。

AIによる創薬支援を

来春に施行される「医療ビッグデータ法」により、こうしたデータを製薬会社などに提供する際のルールが明確になるのは好機だ。病院などはデータを自ら匿名加工しなくても、国が認定した事業者に委託できるようになる。

信頼できるデータを豊富に使えて初めて、AIによる創薬や診断支援も可能になる。政府は優れたデータ処理力や漏洩防止技術をもつ企業の参入を促す必要がある。患者にデータ利用の意義を伝え、了解を得る努力も欠かせない。

データの収集、統計処理などの専門家の育成も不可欠だ。これまで「情報処理屋」と軽視する傾向があったが、米欧では高給で引く手あまただ。大学の教育課程に組み込むなど早急に手を打たないと産業の裾野は広がらない。

ITをうまく使い、個人の利便性を高めるための規制改革も加速してほしい。たとえば、インターネットで遠隔診療を受けても、処方箋は郵送で届けられるのを待たねばならない。悪用を防ぐ技術的解決策とあわせて「電子処方箋」を認めるべきだ。

国家戦略特区では「遠隔服薬指導」が解禁されたが、実績はゼロだ。遠隔診療と一体で利用しやすくする方策はないか。規制改革推進会議は総点検してほしい。
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[毎日新聞] 岐路の安倍政権 憲法改正 首相主導の日程は崩れた (2017年08月07日)

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もはや安倍晋三首相が憲法改正を主導できるような政治環境にはない。首相に必要なのはその自覚だ。

首相は内閣改造時の記者会見で改憲の進め方について「スケジュールありきではない」と答えた。2020年の改正憲法施行を目指し、今秋の臨時国会に自民党案を出す日程が険しくなったことの反映だろう。「私は一石を投じた。党主導で進めてもらいたい」と弁解もした。

改造直後の毎日新聞世論調査で内閣支持率は35%だった。7月調査の26%から若干持ち直したものの、長期政権のおごりが目立った首相に対する国民の不信感はなお強い。

首相は改造内閣の姿勢として「経済最優先」を掲げ「政権を奪還した時の原点に立ち返る」と表明した。

気になるのは、これまでも支持率が下がるたびに経済最優先を強調し、支持が戻れば改憲に意欲を示す、という繰り返しだったことだ。

今回も経済で得点を稼ぎ、支持率の「貯金」ができれば、それを改憲の「資金」に振り向けようと考えているのではないか。国民の暮らしを豊かにする経済政策を、自身の宿願をかなえる手段のように扱う発想にそもそも無理がある。

首相が憲法9条1、2項をそのままに自衛隊の存在を明記する案を提起し、具体的な改憲の目標時期を打ち出したのは、支持率が5割前後を維持していた今年5月だった。

首相は自民、公明に日本維新の会などを加えた「数の力」で改憲を進める姿勢をにじませた。国会の憲法審査会における、与野党の合意形成を重視してきた自民党憲法改正推進本部には従来路線の転換を求め、同本部の人事にも介入した。

9条を巡り意見対立を抱える民進党に「踏み絵」を突きつけ、党分裂を誘う思惑もちらつかせた。

「安倍1強」の慢心からくる首相の強硬路線は、その基盤となる世論の支持が細った瞬間に崩れた。

憲法は将来にわたって国のかたちを定める根本規範だ。時々の支持率に寄りかかって議論すべきではない。だからこそ、憲法審査会では「憲法を政局に利用しない」との不文律が与野党間で共有されてきた。

「謙虚に、丁寧に」が改造内閣のうたい文句だ。まずは憲法論議を従来の与野党協調路線に戻すべきだ。
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[読売新聞] 対「北」制裁決議 今度こそ実効性のある圧力を (2017年08月07日)

核ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対して、国際社会は結束して、今度こそ実効性のある圧力を加えねばならない。

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2度も発射したことを受け、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を全会一致で採択した。

北朝鮮の主要な外貨収入源である石炭、鉄鉱石、海産物などの輸出を全面的に禁止した。

過去の制裁決議は、民生用輸出を例外として認め、北朝鮮の中国への鉄鉱石輸出はむしろ増加していた。今回の決議が、「抜け穴」を塞ぐため、一段と厳しい措置を盛り込んだことは評価できる。

厳格に履行されれば、北朝鮮は年間輸出収入の約3分の1にあたる約10億ドルを失うと試算されている。トランプ米大統領は「北朝鮮に対する過去最大の経済制裁だ」と強調した。金正恩政権には、財政面で大きな打撃となろう。

決議は、制裁逃れの資金獲得ルートとなる北朝鮮側との合弁企業の設立も禁じた。北朝鮮が外貨稼ぎの手段とする労働者派遣についても、各国が現在の受け入れ数を増やさないことを定めた。

北朝鮮が、稼いだ外貨で関係国から機材を購入し、核ミサイル開発を進めている現状に歯止めをかける必要がある。

安保理非常任理事国の日本は、決議採択で米国と協力した。安倍首相は記者会見で「国際社会が、現実の脅威となった北朝鮮に対する圧力を一段と高い次元に引き上げねばならない、との確固たる意思を示した」と述べた。

物足りないのは、北朝鮮への原油輸出の制限が、決議に盛り込まれなかったことだ。北朝鮮と原油パイプラインを結ぶ中国が、金正恩体制の不安定化を懸念して、供給制限に反対する姿勢は、変わらないのではないか。

北朝鮮貿易は、対中国が9割を占める。中国は、自国の企業や金融機関が北朝鮮の違法な取引や資金調達に関与しても、厳しく取り締まってこなかった。これ以上、放置することは許されまい。

中国とロシアの国連大使は決議採択後、北朝鮮の核ミサイル開発と米韓合同軍事演習の同時停止を改めて主張した。国際法に違反する北朝鮮の挑発に対し、米韓が抑止力維持のために行う演習を中止するのは筋が通らない。

韓国も、北朝鮮の行動を変えさせるため、決議の完全な履行が重要だとしている。日米韓3か国が中国に対して、北朝鮮への圧力強化を働きかけることが大切だ。
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[朝日新聞] 元号と公文書 西暦併記の義務づけを (2017年08月07日)

政府は来月にも皇室会議を開き、天皇陛下の退位と改元の日取りを決めるという。新しい元号の発表はこの手続きとは切り離され、来年になる見通しだ。

代替わりは多くの関心事であり、日常のくらしにも少なからぬ影響が及ぶ。「来年夏ごろまで」とされていた改元時期の決定が早まるのは歓迎したい。

1年前の陛下のビデオメッセージは、象徴天皇のありようや国民との関係について議論を深める良い機会となった。今後の作業においても、常に主権者である国民の視点に立って考えることが欠かせない。

中国で始まった元号は皇帝による時の支配という考えに源があり、民主主義の原理と本来相いれないと言われる。一方で長い定着の歴史があり、1979年に元号法が制定された。

この法律に基づき、新元号は内閣が政令で定める。意見公募をしないことが退位特例法で決まっており、一般の国民がかかわる余地がないのは残念だ。

改元の時期は「2019年元日」と「同4月1日」が検討されている。朝日新聞の世論調査では前者を支持する人が70%で、後者の16%を圧倒する。

政府はこうした意見を踏まえて、適切に判断すべきだ。

4月案は、年始は祝賀行事や宮中祭祀(さいし)が重なり、皇室が多忙なことから浮上した。しかし言うまでもなく、優先すべきは市民の日々の生活である。

年の途中で元号が変わるのは不便で、無用の混乱をもたらす。あえて世論に反する措置をとる必要はあるまい。

あわせて人々の便宜を考え、公的機関の文書について、元号と西暦双方の記載の義務づけを検討するよう求めたい。

既に併記している自治体は多いが、公の文書は事務処理の統一などを理由に元号使用が原則とされる。国民への強制はないものの、西暦に換算する手間を強いられることが少なくない。

併記の必要性は平成への代替わりの際も指摘された。国際化の進展に伴い、公的サービスの対象となる外国人もますます増えている。改元の日をあらかじめ決めることのできる今回は、運用を見直す良い機会だ。

利便性の問題だけではない。政策の目標時期や長期計画に元号が使われる例は多い。国民が国の進路や権力行使のあり方を理解し監視する観点からも、わかりやすい表記は不可欠だ。

事務作業が繁雑になるとの反論が予想される。だが、公的機関は誰のために、何のためにあるのかという原点に立てば、答えはおのずと導き出されよう。
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[読売新聞] 経済財政白書 人手不足を官民で克服しよう (2017年08月07日)

深刻な人手不足に適切に対応し、ピンチをチャンスに変えることができるだろうか。日本経済に突きつけられた大きな課題と言えよう。

内閣府がまとめた今年の経済財政白書は、バブル期を上回るとされる厳しい人手不足の原因や影響について詳しく分析した。

人手不足は経済成長の制約となる。生産性向上などの対策を粘り強く続けて克服するほかあるまい。失速気味のアベノミクスを再び軌道に乗せるためにも、官民を挙げて取り組まねばならない。

白書が人手不足の要因として挙げたのが、生産年齢人口の減少だ。バブル期には8500万人もいたのに、2016年は7600万人に減った。働く女性やシニアは増えたものの、労働人口の減少をカバーし切れなかった。

出生率などから見て、人口全体が増加に転じることは望み薄だ。労働力確保の頼みの綱である「働き方改革」も、本格的に動き出すのはこれからである。

人手不足になれば通常、賃金は上昇するはずだが、近年の1人当たり賃金の伸び率は、わずか0・4%にとどまる。

白書は原因について、「労使ともにリスクを避けて雇用の維持を優先している姿勢がみられる」と指摘した。バブル崩壊に伴う危機の経験が、過度な守りの姿勢を招いたという見立てだろう。

日本企業は総額390兆円の内部留保があるのに、賃上げに十分な資金が回っていない。労働者も、自らの雇用を守ることを第一に考えて、賃金の抑制に甘んじてきた面はあろう。

労使に染み付いた弱気を払拭(ふっしょく)して、継続的な賃金上昇を実現するには、意識改革が必要だ。政府・日銀には、それを後押しするとともに、リスクを取りやすい良好な経済環境を作る責務がある。

白書は、景気回復期間がバブル期を超えた可能性があるとして、経済運営の実績を強調した。

人工知能などの活用で生産性を高める第4次産業革命についても「一定の進展がみられる」と、これまでの施策を自賛した。

だが、個人消費は振るわず、景気回復の実感は乏しい。日本企業の生産性も、国際的に見て低いままだ。評価が甘くはないか。

低生産性の原因として白書は、非効率な研究開発投資や人材不足を挙げたが、それらを解消するための具体策は物足りなかった。

産学官の連携強化などの地道な努力を積み重ねて、「成長の天井」を突き破っていきたい。
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[朝日新聞] 甲子園の夏 白球追う選手にエール (2017年08月07日)

この夏も全国高校野球選手権大会が阪神甲子園球場で開かれる。代表49校の選手には、悔いのないプレーを期待したい。

6月半ばから各地で開かれた地方大会には計3839チームが出場、厳しい暑さや雨のなかで熱戦を繰り広げた。

高知大会の決勝に初めて進んだ梼原(ゆすはら)(梼原町)は、四国山地の山あいにある県立高校だ。新入生の減少で統廃合の危機にひんした2006年、校長らが生徒を呼び寄せる機会になればと、野球の同好会を作った。翌年、正式に部となった。

学校や生徒の奮闘を知った町が、練習用にグラウンドを提供。町内の有志は後援会を結成し、寄付金を集めて用具や遠征用のマイクロバスを購入するなど、支援の輪が町全体へと広がった。寮生活を送る部員は、清掃や冬の雪かきを手伝って地域に貢献した。

創部から10年のこの夏。我らの野球部の活躍に人口約3600人の町はわき、明徳義塾との決勝には住民の5人に1人が高知市の球場にかけつけた。

惜しくも敗れたが、後援会事務局長の西村茂則さん(65)は「夢にまで見た甲子園まであと一歩まで来た。町がこんなに盛り上がったことはなかった」と振り返る。球児の活躍が、過疎化に悩む町に、感動と元気を与えたのは間違いない。

福島大会では、約2年前に開校したふたば未来学園(広野町)が相手を無安打無得点に抑える快挙で初勝利を挙げた。

原発事故のため、住民が一時は全町避難した町で、学園は復興の象徴的な存在だ。今年初めて全学年そろっての出場で、記念すべき1勝となった。

日本高校野球連盟によると、今年度の加盟校数は29年ぶりに4千校を割った。背景には少子化や学校の統廃合がある。一方で、はつらつと白球を追う球児の姿は、全国どこであっても、人々を勇気づける。高校野球のもつそんな不思議な力を、大会を通じてかみしめたい。

来年は100回の節目を迎える。出場校はその歴史を背に、郷土の球児たちの思いも胸に、実力を発揮してほしい。

初出場は6校。藤枝明誠(静岡)と津田学園(三重)が初日に対戦。春夏通じて初出場のおかやま山陽(岡山)は、11年連続出場の聖光学院(福島)が相手。史上初の2度目の春夏連覇に挑む大阪桐蔭、昨年の覇者、作新学院(栃木)のほか、横浜(神奈川)、中京大中京(愛知)、興南(沖縄)と、過去に春夏連覇した5校も出場し、球趣を盛り上げてくれそうだ。
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