2017年08月04日

[東京新聞] 改造内閣が始動 憲法守る政治、今度こそ (2017年08月04日)

安倍晋三首相が内閣改造を行った。内閣支持率の続落を受けた政権の立て直しが狙いだが、憲法を尊重し、擁護するのか否か、政治姿勢が問われている。

第三次安倍第三次改造内閣が始動した。首相にとって第一、二次内閣を含めて八回目となる組閣は二〇一二年の政権復帰以降では、最も厳しい政治状況の中での改造人事ではなかったか。

昨年七月の参院選での自民党勝利で「安倍一強」は強固になったかに見えたが、今年に入り局面は一変。学校法人「森友学園」への国有地売却問題や「加計学園」の獣医学部新設問題、防衛省・自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)、防衛省・自衛隊を選挙応援に政治利用する稲田朋美前防衛相の発言などが相次いだ。


◆真相の解明が先決だ
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自民党は七月、四年前には大勝した東京都議選で惨敗を喫し、内閣支持率は共同通信社の調査で30%台にまで落ち込んだ。今回の内閣改造には、その失地を回復する狙いがあるのだろう。

次の党総裁候補と目される岸田文雄前外相は政調会長として閣外に出たが、麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官ら内閣の骨格は変えず、初入閣は六人にとどめた。引き続き厳しい追及が予想される文科相には林芳正氏、防衛相には小野寺五典氏を配したことからも、その狙いがうかがえる。

林、小野寺両氏は一二年十二月に発足した第二次安倍内閣でそれぞれ農相、防衛相を務めた閣僚経験者でもあり、答弁能力も高いとされる。首相が二人を起用した理由は、分からなくもない。

ただ、安倍政権が国民の信頼を取り戻したいのなら、真相解明が先決のはずだ。

二つの学校法人の問題では、首相による関与の有無について真相は明らかになっていない。稲田氏が防衛省の日報隠蔽を了承していたのか否かも、証言が食い違う。


◆民主的手続きを軽視
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林、小野寺両氏にはまず真相解明、次に再発防止に取り組んでほしい。今回の内閣改造によって、指摘された数々の問題の解明に幕を引くことがあってはならない。

野党側は憲法五三条に基づく臨時国会の召集や閉会中審査の開催を求めている。蓮舫代表の辞任表明を受けて民進党は次の代表選びに入っているが、安倍内閣は新しい代表が決まった後、速やかに臨時国会の召集に応じ、首相が所信を明らかにすべきである。

自民党は稲田氏を参考人招致しての閉会中審査を拒んでいるが、真相解明に依然、後ろ向きと断ぜざるを得ない。加計学園の加計孝太郎理事長を含め、関係者の参考人招致を引き続き求めたい。

ちょうど一年前の内閣改造を振り返ってみよう。

七月の参院選を経て、憲法改正に前向きな「改憲派」が、衆参両院で改正発議に必要な三分の二以上の議席を占めた。これを受け、私たちは社説で、憲法尊重・擁護義務を負う首相や閣僚が、現行憲法を蔑(ないがし)ろにするような言動を繰り返さないよう自覚を促した。

ところが、その後の政治はどうだろう。現行憲法を軽視または無視したり、民主主義の手続きを軽んじる政治がまかり通ってきた一年ではなかったか。

首相は自ら期限を切り、九条など項目まで指定して政治目標とする憲法改正を主導してきた。議論を深めるために「一石を投じた」と説明したが、自民党の歴代首相が憲法尊重・擁護義務に反するとして避けてきた「禁じ手」だ。

その一方、憲法に基づく野党側の臨時国会召集の要求は無視し続ける。改正したいからといって現行憲法を軽視・無視していい理由にはなるまい。

稲田氏による自衛隊の政治利用発言は、行政の政治的中立性を著しく逸脱する憲法に反する発言だが、首相は罷免要求を拒否した。稲田氏を重用してきたからだろうが、憲法に反する発言をした閣僚を擁護したことは、憲法を軽視する首相自身の姿勢を表すものだ。

首相は記者会見で「結果重視、仕事第一、実力本位の布陣を整えられた。政策課題に結果を出すことで信頼を回復する」と述べた。


◆政治姿勢改める必要
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しかし、いくら内閣改造で体制を一新したからといって、憲法や民主主義の手続きを軽んじる政治姿勢を改めない限り、国民の信頼回復は望めまい。

「共謀罪」法の成立強行を挙げるまでもなく、「安倍一強」の鎧(よろい)の下にあった憲法や民主的手続きを軽視・無視する強権的手法を国民が見抜いたからこそ、支持率が落ちた事実を注視すべきだろう。

憲法改正論議自体は否定しないが、国民から遊離した拙速な議論は避けるべきだ。現行憲法を蔑ろにする政治の継続はもちろん、許されてはならない。内閣改造を機に、あらためて指摘したい。
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[産経新聞] 【主張】内閣改造 憲法改正へ歩み止めるな 北の脅威から国民を守り抜け (2017年08月04日)

安倍晋三首相は内閣改造と自民党役員人事にあたり、「反省すべき点を反省し、結果を出すことで国民の信頼を勝ち取りたい」との姿勢を強調した。

それは「しっかりと政策を前に進めていきたい」との思いを実現するためにほかなるまい。

政権が重要政策を遂行するには国民の強い信頼が重要である。だが、稲田朋美元防衛相は防衛省・自衛隊を統率できない姿勢を露呈した。首相自らも、「加計学園」の獣医学部新設をめぐる国会対応のまずさを認めた。

政権基盤の再構築が急務であり、首相が目指そうとする方向性は妥当なものといえる。

《政権基盤の再構築急げ》

この際、念を押しておきたいのは、憲政史上、初めてとなる憲法改正の歩みに決してブレーキをかけてはならないことである。

現憲法が抱える最大の問題は国防の概念とそれを担う組織の規定が欠如している点にある。自衛隊違憲論がはびこり、現実的な防衛政策の展開を妨げ、国民の安全を損ねてきた。

首相は会見で、憲法への自衛隊明記や東京五輪がある2020年の改正憲法施行を提起してきた点について、「議論を深めるべきだと一石を投じたが、スケジュールありきではない」と語った。

戦後日本で、憲法改正を現実の政治日程に乗せたのは首相だけだ。その旗印が揺らげば「安倍政治」の意味は大きく減じ、自己否定につながりかねない。

首相の決意を改めて問いたい。首相と自民党は、改正案の策定や有権者との積極的な対話を通じ、改正への機運を高めてほしい。

喫緊の課題として、安倍政権がさらに力を入れるべきは、北朝鮮にいかに対処するかである。

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核開発を進め、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを日本の排他的経済水域(EEZ)へ撃ち込んでくる。脅威の度合いは格段に増している。戦後最大級の国難に直面していることを自覚しなければならない。日本に対する軍事攻撃さえ懸念すべき状況にある。防衛相経験者の小野寺五典氏を再び起用したのは妥当だろう。

具体的に何をすべきか。それは防衛態勢の抜本的強化にほかならない。弾薬の備蓄増は自衛隊の抑止力を高める。これまでも合憲とされながら見送られてきた敵基地攻撃能力の保有を決断し、整備を急ぐ必要もある。

河野太郎外相は「国民の平和、安全を守る」と語った。ならば国際社会とともに最大限の圧力を北朝鮮にかけ、核・ミサイル戦力を放棄させなければならない。

近く開催される日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は重要な機会となる。日米同盟の抑止力と対処力の一層の強化を急ぐべきだ。

外相、防衛相だけの仕事ではない。国民保護を担う野田聖子総務相をはじめ、すべての閣僚が団結し、国民を守り抜く方策を考え、実行してほしい。

《暮らしの安定に注力を》

首相は、経済再生を最優先の仕事と強調した。国民の暮らしの安定と向上も喫緊の課題である。息切れが目立つアベノミクスの立て直しは避けて通れない。

金融緩和と財政出動で景気を刺激する間に成長戦略を深め、経済再生を図るのが、首相が描いた青写真だったはずだ。だが、肝心の成長戦略が力不足である。円高是正や法人税減税などで企業の収益力は着実に高まったものの、賃金や設備投資への資金配分は十分とはいえない。

個人消費を活性化させ、経済の好循環を生むよう、さらなる賃上げが必要だ。投資や賃上げを促すため、企業が成長産業に参入しやすい環境づくりが欠かせない。

規制緩和や税制改革を通じて成果を生み出す、実効的な成長戦略に知恵を絞ってほしい。

大きな懸念がある。首相は新たに「人づくり革命」を打ち出したが、これまでも「1億総活躍」「地方創生」など重なり合う部分が多い政策を掲げてきた。それぞれ担当閣僚が置かれ、混乱も生じた。今回も同じ構造がみられる。政策遂行に遅れは許されない。

国民の信頼回復を図るといいながら、おかしなことがある。陸上自衛隊の日報問題をめぐる閉会中審査について、自民党が稲田元防衛相の出席を拒んでいることだ。臭いものにフタをする対応は、改めなければならない。
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[毎日新聞] 安倍首相が窮余の内閣改造 政治姿勢も手法も変えよ (2017年08月04日)

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安倍晋三首相は今の危機的状況をこれで乗り切れるだろうか。重大な岐路を迎える中で安倍改造内閣がきのう発足した。

首相が頼みとしてきた内閣支持率の急落が続き、来秋の自民党総裁選で3選を狙う筋書きが揺らいでいる事態を踏まえた人事である。

今回は、首相と距離を置いてきた野田聖子氏を総務相に起用するなど、これまでと違った姿を強調しようとしたのは確かだろう。「お友達内閣」批判に配慮し、挙党態勢作りを目指した点も認めていい。

だが、支持率の急落は、「加計学園」問題での乱暴な対応や、「共謀罪」法をはじめ、世論を二分する法律を数の力で成立させてきた首相の強引な手法に国民の不信感が強まっていることが大きな要因だ。

首相は記者会見で、まず「おわびと反省」を口にしたが、自身の政治姿勢や、取り組む政策の優先順位を、目に見える形で転換しないと国民の信頼は簡単には戻らない。


許されない疑惑隠し
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人事のもう一つの注目点は、「ポスト安倍」を目指す岸田文雄氏が外相から党政調会長に転じたことだ。首相は外相留任を望んでいたが、岸田氏の要望を受け入れた形である。

首相はここで岸田氏を敵に回しては総裁3選がいよいよ危うくなると判断したと思われる。今まで思い通りに人事を進めてきたことを考えれば、これも「安倍1強」体制が崩れつつある状況の表れと言っていい。

そんな首相がさっそく試されるのは国会への対応だ。

今回の改造では山本幸三氏が地方創生担当相を、松野博一氏が文部科学相を、萩生田光一氏が官房副長官をそれぞれ退いた。いずれも疑問が広がるばかりとなっている「加計」問題にかかわってきた人たちだ。

改造直前には、稲田朋美氏が南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題の責任を取って防衛相を辞任している。

ところが日報問題は解明が不十分にもかかわらず、野党が求めている閉会中審査に対して、自民党は稲田氏の国会出席を拒んでいる。

山本氏らも国会で説明する必要はないということになるのだろうか。これでは疑惑隠しと言われても仕方がない。同様に解明が進んでいない「森友学園」問題も含め、首相自らがリードして国会を早期に開き、関係者を交えて説明を尽くすべきだ。

「加計」問題では、内閣人事局が官僚の幹部人事を握った結果、官僚が首相らに意見を言えず、行政がいびつになっている深刻な実情も見せつけた。官邸側の情報統制も目に余るものになっている。こうした「政と官」のゆがみも早急に見直す必要がある。


アベノミクスの検証を
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一方、首相は宿願としている憲法改正について「スケジュールありきではない」と会見で語った。

憲法9条に自衛隊を明記する考えを突如提起し、2020年までの改憲を目指して自民党案を今秋の国会に提出するとの方針を変えなかった姿勢から軟化したように見える。

首相の求心力低下で、自民党内でも改憲に異論が増える可能性がある。世論調査を見ても多数の国民が賛同しているようには見えない。このため首相主導で改憲論議を進めるのは困難になっている。

ただし、仮にそれを認めるのであれば、方針転換をもっと明確にし、首相の言葉通り、「経済最優先」にきちんとかじを切るべきだろう。

アベノミクスは行き詰まりを指摘されて久しい。経済成長頼みの財政健全化の道も険しくなっている。政権が発足して4年半余。旧民主党政権時代と比較して成果を強調する時期はとっくに過ぎた。まずこれまでの経済・財政政策のプラスとマイナスを謙虚に検証した方がいい。

北朝鮮問題や、対中国、韓国外交など外交・安全保障面は厳しい状況が続く。今回、外相に河野太郎氏、防衛相には小野寺五典氏が起用された。首相と異なりタカ派色の薄い2人だけに、首相との連携をむしろプラスにつなげてもらいたい。また小野寺氏は日報問題で揺れた防衛省の立て直しが急務となる。

「国民の声に耳を澄ませ、国民とともに政治を前に進める」と首相は改めて語った。その言葉を実行に移すことだ。状況を変えられるかどうかは、そこから始まる。今回を機に、かつてのような活発な議論が交わされる自民党に戻ることができるかどうかも脱「1強」のカギとなる。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 改造内閣への注文(上) (2017年08月04日)

政権の浮沈を決める布陣ということになるのだろう。安倍晋三首相が3日、内閣改造・自民党役員人事に踏み切った。内閣支持率が急落するなか、挙党体制を意識した安定重視の布陣だ。有権者の信頼を取り戻し、政策を着実に実行できるのかが問われる。

「安倍1強」体制は数カ月前までなお盤石に見えた。だが評価は一変し、いま政権は発足以来の正念場を迎えている。

政権のおごりへ批判

自民党は7月2日投開票の東京都議選で歴史的な惨敗を喫した。日本経済新聞社とテレビ東京の共同調査で4月まで60%を超えていた安倍内閣の支持率は、7月下旬に39%まで低下した。

支持率の急落はマイナス要因が重なって起きた。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地の格安での払い下げと、学校法人「加計学園」(岡山市)だけに獣医学部の新設を認める決定に、国民の多くは強い違和感をもった。

森友学園は安倍昭恵首相夫人が名誉校長を務めていた。加計学園の理事長は、首相が飲食やゴルフをよく共にする長年の友人だ。野党が政治の圧力や官僚の忖度(そんたく)を追及しても、政権内には説明責任を丁寧に果たそうという意識が欠けていた。

閣僚の不適切な言動も追い打ちをかけた。なかでも防衛相だった稲田朋美氏は都議選で自衛隊が自民党候補を応援しているかのような演説をし、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽問題で辞任に追い込まれた。

多くの国民が一連の問題の根本に、4年半を超えた長期政権のおごりや緩みを感じている。個別の政策への賛否ではなく、政権そのものへの不信感の高まりという点で状況はより深刻だと言える。

首相は今回の改造・党人事を通じて、態勢の立て直しを急ぐ。麻生太郎副総理・財務相や菅義偉官房長官、二階俊博幹事長という政権の骨格は維持。一方で岸田文雄前外相を政調会長に起用し、後任の外相に河野太郎氏、防衛相には小野寺五典氏を充てた。

自民党の入閣待望組の処遇やサプライズ人事で世論受けを狙うよりも、専門性と経験を重視した実務型の布陣は妥当だといえる。現政権の下で雇用や企業収益は改善したが、成長力の底上げや財政健全化への取り組みは遅れている。難しい課題に結果を出せるかどうかが新内閣の評価を決める。

野党から国会で追及されることの多かった閣僚はそろって閣外に去った。しかし獣医学部新設や日報隠蔽の経緯はなお不透明で、閉会中審査などを通じて真相を解明する必要がある。今回の人事が「疑惑隠し」につながるようなら、政権の信頼回復にむしろ背を向けることになる。

日本を取り巻く外交や安全保障の状況は日増しに厳しくなっている。北朝鮮は今年に入り弾道ミサイルの発射実験を加速し、複数の同時発射や高高度、長射程の技術開発にメドをつけつつある。核・ミサイル開発が深刻な脅威であるにもかかわらず、中国やロシアは北朝鮮への厳しい制裁に及び腰の対応を続けている。

北の脅威、待ったなし

中国は南シナ海を着々と軍事要塞化している。日本の再三の抗議にもかかわらず沖縄県の尖閣諸島に公船を派遣し、東シナ海で一方的なガス田開発を加速している。

河野外相と小野寺防衛相は日米同盟の絆を再確認するとともに、国際社会の結束に向けてさらに努力する必要がある。日報問題で幹部が入れ代わった防衛省・自衛隊の組織立て直しも喫緊の課題だ。

首相は憲法9条の改正による自衛隊の明記を柱とする改憲案の早期取りまとめを自民党に指示している。ただ教育無償化の明記などには与党内にも異論が多い。経済・財政や安全保障政策への取り組みが後回しになるような政権運営は避けるべきである。

先の通常国会ではアベノミクスの評価や北朝鮮の脅威にどう向き合うかという重要な政策論争がかすみ、森友、加計両学園の問題をはじめ閣僚の資質や問題発言にばかり焦点があたった。

支持率が低迷する民進党は蓮舫代表の辞任表明を受けた代表選びが事実上始まった。与野党がより高いレベルで政策を競い合わなければ、日本の明るい未来は開けない。政治の信頼回復には地道な努力を積み重ねていくしかない。
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[読売新聞] 安倍内閣改造 「経済最優先」で原点回帰せよ  (2017年08月04日)

◆堅実な布陣で負の連鎖断てるか◆

かつてない逆風の中での再出発である。「人心一新」によって、国民の不信感を払拭(ふっしょく)するという安易な期待は禁物だ。

様々な政策を前に進めて着実に結果を出す。それが信頼回復を図る唯一の道である。

第3次安倍・第3次改造内閣が発足した。麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官ら5閣僚が留任し、内閣の骨格は維持した。

即戦力の閣僚経験者7人を再入閣させる一方、初入閣は6人にとどめ、堅実な布陣としたのは妥当だ。政策面で成果を上げるには、政権基盤の安定が前提となる。

◆政策テーマの整理を

7月2日の東京都議選での自民党大敗を機に、「安倍1強」の驕(おご)りや緩みへの批判が高まり、内閣支持率を低下させるという「負の連鎖」が続いている。新たな体制で反転攻勢できるかどうかが、安倍政権の将来を左右しよう。

安倍首相は記者会見で「最優先すべきは経済の再生だ。アベノミクスを加速させたい」と強調した。新内閣について「結果本位の仕事人内閣だ」とも語った。

経済政策を最優先する首相の方針は当然だ。2012年12月の第2次安倍政権の発足時に掲げた「デフレ脱却」は依然、道半ばにある。景気は緩やかに回復しているものの、安定した成長軌道には至っていない。

今月末には、18年度予算の概算要求を控える。成長戦略を強化し、好調な企業業績を賃上げや内需拡大につなげる好循環の実現に資する施策に重点を置くべきだ。

消費者の「貯蓄志向」の転換には、社会保障制度の持続可能性を高め、老後や子育てへの不安を解消することが欠かせない。

麻生氏や世耕弘成経済産業相、茂木敏充経済再生相、加藤勝信厚生労働相は緊密に連携し、こうした改革に取り組む必要がある。

茂木氏は、新たな看板政策「人づくり革命」も担当する。

◆防衛省再建を急ぎたい

人材育成を重視する理念は理解できるが、教育無償化など「人への投資」の野放図な拡大はバラマキに直結する。「1億総活躍社会」「働き方改革」といった既存のテーマと重複しないよう、施策と所管官庁を整理せねばならない。

北朝鮮の核・ミサイルの脅威が拡大する中、日米同盟を強化する必要性は一段と増している。経済、軍事両面で影響力と自己主張を強める中国や、反日的な姿勢を内包する韓国の文在寅政権との関係改善も重要かつ困難な課題だ。

外相には、河野太郎・前国家公安委員長が起用された。途上国援助の削減が持論で、外交手腕は未知数だ。6日からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で早速、真価が試されよう。

小野寺五典防衛相は3年足らずでの異例の再登板だ。陸上自衛隊の日報問題で防衛省は、閣僚、次官、陸幕長が辞任・退職したうえ、背広組と制服組の対立が表面化する異常事態に陥った。省内の態勢の立て直しが急務である。

加計学園問題を抱える文部科学相には政策通の林芳正・元農相が就任した。首相とともに、積極的に説明責任を果たしてほしい。

首相と親しい塩崎厚労相、高市総務相、石原経済再生相らは、そろって退任した。代わって、首相と距離を置き、時に苦言も呈してきた野田聖子・元郵政相が総務相に起用された。

安倍1強下での「お友達優遇」批判を踏まえ、首相は挙党態勢を重視したのだろう。出身の細田派の閣僚ポストも5から3に減らした。異なる意見にも謙虚に耳を傾ける姿勢を忘れず、政策の幅を広げることが肝要である。

自民党では、二階俊博幹事長、高村正彦副総裁は続投した。総務会長に竹下亘国会対策委員長、政調会長には岸田文雄外相が起用された。従来以上に政府と連携するとともに、政策面での情報発信を強めることが求められる。

◆異論聞く度量が大切だ

丁寧な国会運営を心がけつつ、不祥事が相次ぐ若手議員の研修にも力を入れる必要がある。

岸田氏の三役入りは、「ポスト安倍」をうかがう本人が希望し、首相が受け入れた。岸田派から4閣僚を選んだのと合わせ、首相の岸田氏への配慮が目立った。

憲法改正について、首相は「スケジュールありきではない。党主導で進めてほしい」と述べた。

自民党は、年内の改正案作成に向けて、自衛隊の根拠規定の明記、緊急事態条項の創設など、重点4項目を議論している。いずれも重要な課題だ。より幅広い支持と理解が得られるよう、しっかりと論議を深めることが大切である。
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[朝日新聞] 内閣改造 強権と隠蔽の体質正せ (2017年08月04日)

安倍首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。

麻生副総理・財務相、菅官房長官、二階幹事長を留任させる一方、政権に距離を置く野田聖子氏を総務相にあてるなど、「お友だち」に甘いという批判を意識し、刷新イメージを打ち出す狙いがあるようだ。

とはいえ、忘れてならないのは、政権失速の最大の原因がほかならぬ首相にあるということだ。朝日新聞の7月の世論調査では、首相の最近の発言や振るまいについて61%が「信用できない」と答えた。

辞任した稲田元防衛相を国会の閉会中審査に出席させようとしない姿勢は、身内に甘く、都合の悪い情報を隠そうとする政権の体質がまったく変わっていない現実を露呈している。

政権の強権姿勢と隠蔽(いんぺい)体質を正せるかどうか。改造内閣が問われるのはそこである。

加計問題では、野党の質問を「印象操作」と決めつけ、明らかになった文書を「怪文書」扱いするなど、首相や官房長官のおごりがあらわになった。

身内への甘さの裏側にあるのが、自らに批判的な人々を敵視する姿勢だ。東京都議選の最終日、「辞めろ」コールをする聴衆に向かい、首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を張り上げたのはその典型である。

国会での議論を軽んじる姿勢も改めるべきだ。多くの国民が懸念を抱く「共謀罪」法を、参院の委員会採決を省略して成立させたことに象徴される。

だが、その指揮をとった松山政司・参院国対委員長を1億総活躍相に、稲田氏の国会招致を拒んだ竹下亘・衆院国対委員長を総務会長に就けた。

首相は記者会見で反省を口にし、頭を下げたが、真意を疑わせる人事だ。

改造内閣がまずなすべきことは明らかだ。野党が求めている臨時国会をすみやかに開くことだ。これは憲法に基づく要求であり、首相の都合で可否を決められる問題ではない。

臨時国会では一連の問題について関連文書の調査を尽くし、すべて公開するとともに、関係者に出席を求め、事実を包み隠さず明らかにする必要がある。

今回、加計問題で野党の追及を受けた山本地方創生相と松野文部科学相、萩生田官房副長官を交代させたが、このまま説明責任を果たさないなら「疑惑隠し」の改造と言うしかない。

自らが深く傷つけた政治全体への信頼を取り戻す一歩を踏み出すことができるか。問われているのは首相自身である。
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[朝日新聞] 原子力機構 組織の根本にメスを (2017年08月04日)

危険な核物質を取り扱っているという意識が欠如した組織だと言わざるを得ない。

日本原子力研究開発機構の施設で作業員が被曝(ひばく)した事故を、原子力規制委員会は8段階(0?7)の国際評価尺度に照らして「レベル2」(異常事象)と暫定評価した。高速増殖原型炉「もんじゅ」で1995年に起きたナトリウム漏れ事故(レベル1)を上回る。

機構は当初、作業員1人の肺から2万2千ベクレルのプルトニウムが検出され、内部被曝量が50年間で推定12シーベルトに上ると発表した。その後、別の機関での測定で、50年間の被曝量は100ミリシーベルト以上200ミリシーベルト未満と100分の1程度に修正された。それでも基準に従ってレベル2と判断された。

事故では、金属容器内のビニール袋が破裂し、袋の中のポリ容器に入れていた核物質が飛び散った。ポリ容器や、核物質を固めるのに使った樹脂が放射線で分解され、ガスが発生したとみられる。

容器に核物質を詰める作業が行われたのは26年前。最近見つかった記録によると、作業から5年後にビニール袋の膨張が確認され、ポリ容器も破損していたため、容器と袋を交換した。作業前に作られた手引には「放射線分解によるガス圧の上昇に十分に注意」と書かれていた。

こうした情報をしっかり伝達・共有していたら、破裂は十分に予想できた。密閉型の作業台で作業していれば、破裂しても被曝は防げた。

機構は9月末を目標に再発防止策を発表する。ただ、自己チェックに基づき目先の対策だけを考えても不十分だ。

機構では、使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」でも核物質のずさんな管理が明らかになった。組織の体質に根本的な問題があるとみるべきで、外部の視点を生かしてメスを入れ、構造的な問題を洗い出さねばならない。

機構は今後、事故が起きた施設や廃炉が決まった「もんじゅ」を含め、国内に88ある施設の約半数を廃止する。作業を安全に進めるため、機構を所管する文部科学省に部会が置かれ、議論が始まっている。

しかし、組織の運営や職員の意識を抜本的に変えるには限界があろう。原子力の関係者だけでなく、航空・宇宙など厳しく安全管理が問われる産業分野などからも人材を招き、点検する仕組みが必要ではないか。

事故を二度と起こさない。その決意と緊張感が、機構をはじめ関係者に問われている。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする