2017年06月30日

[東京新聞] 憲法9条改正論 平和国家の道を外すな (2017年06月30日)

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定からあすで三年。憲法違反との指摘は放置され、九条改憲論が先行する。「平和国家」の道を外れてはならない。

あの日を境に、自衛隊の本質が根本から変わってしまった。二〇一四年七月一日。集団的自衛権は行使できない、という政府の憲法解釈の変更に、安倍晋三首相が踏み切った日である。

集団的自衛権は密接な関係にある外国への武力攻撃を、自らは直接攻撃されていないにもかかわらず、実力で阻止する権利を指す。

安倍内閣までの歴代内閣は日本は国際法上、集団的自衛権を有するが、行使は憲法九条の下で許容される自衛権の範囲を超え、許されないとの解釈を堅持してきた。


◆反省の上に戦争放棄
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なぜか。それは現行憲法が、国内外に多大な犠牲を強いた先の戦争を反省し、行使できる自衛権の範囲を自ら厳しく制限してきたからにほかならない。「平和国家」として生きる宣言でもある。

憲法九条はこう定める。

「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する」

「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」

一項「戦争放棄」と二項「戦力不保持」の下で自衛隊が創設されたが、「日本に対する急迫不正の侵害がある」「排除するために他の適当な手段がない」「必要最小限度の実力行使にとどまる」という三要件を満たさなければ、自衛権は行使できないとされた。

自衛隊を、日本を防衛するための必要最小限度の実力組織と位置付け、他国同士の戦争には加わらず、海外では武力の行使をしない「専守防衛」政策である。


◆集団的自衛権を容認
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ところが三年前の閣議決定でこの三要件が改められ、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合には、日本に直接攻撃がなくても、他国同士の戦争に加わり、海外で武力の行使ができる、となった。

自衛隊は個別的自衛権しか行使できない組織から、憲法違反とされてきた「集団的自衛権の行使」ができる組織へと変貌したのだ。

この閣議決定を基に、自衛隊が海外で武力の行使ができるよう、安倍政権は一五年九月、憲法学者ら多くの専門家が憲法違反と指摘したにもかかわらず、安全保障関連法の成立を強行した。

そして、首相が在任中の実現に意欲を示す憲法改正である。

今年五月三日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージでは、現行九条の一、二項を残しつつ、自衛隊の存在を明記するなど、改憲の具体案に踏み込んだ。

国防軍創設を目指してきた首相にとっては軌道修正だが、その狙いは、自衛隊を憲法に位置付け、合憲か違憲かという議論に終止符を打つことだという。

しかし、このまま自衛隊の存在を明記すれば、憲法違反とされてきた「集団的自衛権の行使」が許される存在として、自衛隊を追認することになる。それは専守防衛に徹してきた、戦後日本が歩んできた「平和国家」の道から外れることにならないか。

自衛隊は何をすべきで、何をすべきでないのか。本質的な議論を経て国民的合意に至ったのならまだしも、それを欠いたまま自衛隊の存在だけを明記しても、自衛隊による集団的自衛権の行使が合憲か違憲か、国論を二分した議論は続くだろう。

そもそも歴代内閣は、専守防衛に徹する自衛隊は戦力には該当せず、九条の下でも合憲と位置付けてきた。憲法にあえて書き込む必要があるのだろうか。

自衛隊の存在を憲法に明記しないことが、活動の歯止めとなってきたこともまた現実である。

首相や閣僚らには、憲法を尊重し、擁護する義務が課せられている。国民が憲法を通じて権力を律する「立憲主義」である。


◆軍事力重視の延長に
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その首相が進んで改憲を主導する。いくら自民党総裁としての発言だと強弁しても、憲法に抵触する行為と指摘されて当然だ。

ましてやそれが、自らと考えを異にする自衛隊違憲論者の意見を封じるためだとしたら、憲法の私物化だとの批判は免れない。

九条改正は、集団的自衛権の行使容認、安保関連法成立と続く、首相主導の「軍事力重視国家」造りの延長線上にある。

九条を改正することで深刻な影響が出るのではないか。国際的信頼を得るに至った平和国家の道を外れ、国を再び誤らせることはないのか。自衛隊の存在を明記するだけ、という言に惑わされず、その本質的な意味を問い続けたい。
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[産経新聞] 【主張】日欧EPA 大局的見地で合意逃すな (2017年06月30日)

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉がヤマ場を迎えている。7月上旬に開く日EU首脳会談での大枠合意を目指す。

日本とEUは、世界の国内総生産(GDP)の3割を占め、市場経済や民主主義などの価値観を共有する。貿易や投資での連携強化は、日本の成長を後押しする基盤となる。

関税分野などの残された懸案で双方が歩み寄れるか、最終的な知恵の絞りどころである。この機を逃さず、確実に合意できるよう万全を尽くしてほしい。

日欧が自由貿易の推進で足並みをそろえれば、世界への強いメッセージとなる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱したトランプ米政権の保護主義に対抗し、その広がりを阻む。そうした意義を踏まえた大局的な政治判断を日欧双方に求めたい。

これまでの首席交渉官会合でルール分野や豚肉などの関税交渉で前進がみられた。だが、欧州産チーズの関税撤廃などの交渉が難航している。日本側が、TPPで現状維持とした一部チーズを守ろうとしているためだ。逆に、日本側は自動車関税などの早期撤廃をEU側に求めている。

岸田文雄外相とマルムストローム欧州委員(通商担当)らの閣僚会談で打開を目指す。通商交渉は国益のぶつかり合いであり、安易な妥協は許されまい。それでも、現実的な解決策を見いだせなければ交渉自体が頓挫しかねない。

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懸念するのは、自由貿易の意義よりも関税死守を優先する声が政府・自民党に根強いことだ。TPPの合意水準を上回らないことにこだわるあまり、柔軟な交渉を妨げていないか。TPP加盟国と欧州では対日輸出で重視する品目が異なることも認識すべきだ。

日欧交渉もTPPと同様に関税の原則的な撤廃が期待されているはずである。安全で安価な輸入品は、国民全体の暮らしを高めるだろう。それで国内産業に悪影響が及ぶなら、関税ではなく、国内対策で解決するのが筋である。

山本有二農林水産相は農業担当の欧州委員との電話会談で「創意工夫を生かしたチーズを作る若い農業者の出ばなをくじかないよう日本側の要求をのんでほしい」と語った。農家の競争力を強めるのは本来、岩盤規制を取り払うなど日本の農業改革にかかっていることを忘れてはならない。
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[産経新聞] 【主張】車いすと搭乗拒否 共生社会への好機にせよ (2017年06月30日)

鹿児島県奄美大島の奄美空港で、車いすの障害者の男性が格安航空会社(LCC)バニラ・エアの社員から「歩けないと乗れない」といわれ、階段式のタラップを腕ではって上った。

ショッキングなニュースではあったが、バニラ側は男性に謝罪してアシストストレッチャー(座椅子型担架)の使用を始め、電動式の階段昇降機の導入も約束した。男性も、「対応が早く、改善できたのはよかった」と話しているという。

国が目指す「共生社会」を実現させる過程で、このトラブルが好機となったと受け止めたい。障害者が障害を理由に社会参加ができない事例は、可能な限り、減らしていかなくてはならない。

平成28年4月には「障害者差別解消法」が施行された。国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法の整備の一環として制定したもので、同法は事業者に対し、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」と明記している。

法があるから守れというのではなく、これは社会を構成する者の常識であり、当然の責務であると認識したい。

3年後には東京五輪・パラリンピックが開催される。奄美大島はさまざまな競技のキャンプ地としても有名だ。

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世界の障害者アスリートを迎え入れる上で、都市構造の充実とともに、変革が求められるのは、一人一人の心の持ちようである。

5色の五輪旗が5大陸を表しているのに対し、赤、青、緑の3色によるパラリンピック旗はそれぞれ、心(スピリット)、肉体(ボディー)、魂(マインド)を象徴している。そうしたパラリンピック精神を確認してこそ、大会を開催する意義がある。

効率化の徹底により低運賃を実現するLCCは、航空需要を増加させた。成田、関西空港と奄美空港を結んで利用客を飛躍的に増やしたこの路線は、バニラ・エアの象徴的存在ともいえるだろう。乗降タラップの改善により、より有用な路線となるはずだ。

格安運賃は利用客にとってありがたいが、効率化の対象が障害者の社会参加を疎外することに結びついてはならない。安全と同様、削れぬものはある。
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[毎日新聞] 香港返還から20年 閉塞感を強めさせた中国 (2017年06月30日)

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1997年7月1日の香港返還から20年を迎える。習近平中国国家主席は祝賀行事出席のため、香港入りしたが、市内は抗議行動を警戒して厳戒態勢が続いている。

政治、経済両面で強まる中国の圧力に民主派は「1国2制度」の形骸化だと反発を強めている。習主席は緊張の中で記念日を迎える香港の現実を直視すべきだ。

返還後、中国と香港の経済的な結びつきは強まった。中国人の香港旅行も段階的に自由化され、年間4000万人以上が香港を訪れるようになったが、副作用もあった。

不動産やブランド品を買いあさる中国人富裕層やマナーの悪い観光客への反発から「中国人と香港人は違う」という意識が強まったのだ。

政治でも中国の影響力が拡大した。全国人民代表大会(全人代=国会)は、簡単には抜けない「伝家の宝刀」の香港基本法の解釈権を行使し、民主化にブレーキをかけた。

政府も議会も親中派が主導権を握り、民主派は大衆行動に動いた。2003年には50万人デモで治安維持のための国家安全条例案を撤回に追い込んだ。14年には香港中心部を占拠する「雨傘運動」を起こした。

表面的な繁栄は続いてきたが、政治的な安定にはつながっていない。この間、香港はアジアの都市間競争に出遅れた。金融センターとしてはシンガポールに並ばれ、経済規模では上海や北京に抜かれた。

中国の世界貿易機関(WTO)加盟で、中国と世界の窓口の役割を失ったのに新たな成長戦略を見いだしていない。財閥に富が集中し、格差が解消されないことが若者の不満を強め、社会の閉塞(へいそく)感を高めている。

中国の民主化が進まないことも香港との溝を広げている。香港人が中国当局者の手で中国に連れ去られる事件まで起きた。これでは「1国2制度」の公約も信じられなくなる。

返還前後に生まれた若年層に中国への帰属意識は育っていない。むしろ抗議活動の中核だ。中国は香港独立論を目のかたきにするが、自らまいた種であることを自覚すべきだ。

中国が力で民主派を抑えようとすれば一層の混乱を招く。「高度な自治」の原則に立ち戻って香港人の知恵に未来を託すことが香港を再び輝かせる道だ。
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[毎日新聞] 大崎事件で再審開始決定 すみやかに名誉の回復を (2017年06月30日)

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2度目の再審開始決定である。検察は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。

鹿児島県大崎町で38年前、男性が殺害されたとされる「大崎事件」で、殺人罪で懲役10年が確定し、服役した90歳の原口アヤ子さんについて、鹿児島地裁が裁判のやり直しを決めた。証拠は脆弱(ぜいじゃく)で、原口さんの再審開始決定は当然だ。

決定は新証拠に基づく鑑定を踏まえ、「殺害行為はなかった疑いを否定できない」とし、共犯者とされる元夫(故人)の再審開始も認めた。

被害者は原口さんの義弟だ。自転車事故を起こし、意識のないまま自宅に運び込まれた後、牛小屋の堆肥(たいひ)の中から遺体が見つかった。警察は首を絞められた窒息死とみて、被害者の長兄である原口さんの当時の夫と、被害者の次兄を逮捕した。

2人の自白により、殺人を指示したとされる原口さんと別の親族も逮捕された。原口さん以外は公判で事実を争わず1審で判決は確定した。

一方、原口さんは取り調べでも公判でも一貫して犯行を否認した。

共犯者とされる3人は知的障害があった。決定は、3人の自白について捜査機関の誘導の可能性を指摘した。客観的な証拠がほとんどない中で、警察が描いたストーリーに迎合させられたのではないか。

過去の冤罪(えんざい)事件と同じ構図だ。自白に偏重した捜査への警鐘と受け止めなければならない。

確定判決を覆したのは、再審請求の途中で検察側が新たに開示したネガフィルムの写真だ。写真によって、死斑など窒息死の所見が見られないとする鑑定書がまとまった。弁護側は自転車事故によるショック死の可能性を主張した。

一連の経緯からは、司法の怠慢が見える。検察がネガフィルムなど200点以上の証拠を開示したのは事件後30年以上たってからだ。

裁判所の対応も問われる。第3次の再審請求に至るまでの間、弁護団は裁判所に対し、検察官に証拠を開示させるよう再三求めたが、応じずに審理を終結し、請求を棄却したこともあった。

原口さんは高齢だ。速やかに名誉の回復を図らねばならない。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に立てば、検察は即時抗告せず、再審裁判に応じるべきだ。
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[日経新聞] イロハのイが分かっていない (2017年06月30日)

お粗末というしかない。行政の政治的中立性を逸脱した稲田朋美防衛相の発言である。東京都議選の応援演説で「自衛隊としてもお願いしたい」と述べ、撤回する事態に追い込まれたものだ。

野党が罷免を要求、安倍晋三首相の任命責任を問うための臨時国会の召集も求め、拒否する政府・与党との対立が続いている。

憲法15条は「すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定めている。自衛隊法61条は選挙権の行使を除いて自衛隊員の政治的行為を制限している。公職選挙法136条の2は公務員の地位を利用した選挙運動を禁じている。

防衛相は「地元の皆さんに自衛隊、防衛省に対する感謝の気持ちを伝える一環として、そうした言葉を使った」と釈明しているが、稲田氏は弁護士出身ではなかったか。司法試験に合格して法律を扱う仕事をしてきた人が、いったいどうしたことだろう。

防衛省・自衛隊のトップとして「イロハのイ」が分かっていないといわざるを得ない。閣僚として失格のそしりを免れない。取り沙汰される今夏の内閣改造・自民党役員人事で、首相がよもや続投させるなどということはあるまい。

もうひとつお粗末というしかないのは、自民党に離党届を出した豊田真由子衆院議員の秘書への暴言・暴行だ。聞くに堪えない罵声に顔を背けた人も多かろう。

豊田氏は有数の進学校を経て東大法学部を卒業、旧厚生省に入り米ハーバード大で修士号を得た。自民党の公募で衆院埼玉4区から出馬、当選2回の若手議員だが、はき違えたエリート意識によるものといわざるを得ない。

人を人とも思わない言動は国会議員として失格のそしりを免れない。よもや次の衆院選に出馬するなどということはあるまい。

7月2日の東京都議選を前にして問題発言が相次ぎ、安倍自民党が大敗した2007年の参院選をほうふつとさせる政治の風景が繰りひろげられている。
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[日経新聞] 企業は株主との対話深め経営に磨きを (2017年06月30日)

3月期決算企業の株主総会がほぼ終わった。株主が企業統治(コーポレートガバナンス)のあり方や成長戦略を厳しく問う場面は例年になく多かった。

ガバナンス改革の一環として、機関投資家の行動規範を記したスチュワードシップ・コードが2014年に制定されてから、今年で4年目となる。企業に意見を表明する投資家は、アクティビストと呼ばれる一部のもの言う株主だけではなくなった。企業は投資家との幅広い対話を通じて経営を磨く必要がある。

今年の株主総会の特徴のひとつは、取締役の選任に厳しい目が注がれたことだ。例えば、三菱自動車の総会では、益子修最高経営責任者(CEO)の取締役選任への賛成率が82%にとどまった。

一般に、経営トップの取締役選任は満票に近い支持を得ることも珍しくない。賛成率が8割台にとどまったのは、昨年発覚した燃費不正問題の責任をとるべきだと考える株主の批判が反映されていると見ることができる。

今年の総会のもうひとつの特徴は、株主提案が全体で200件超と過去最高に達したことだ。利益還元を求めたり独自の社外取締役を立てたりするなど、内容も多岐にわたるようになった。

黒田電気は、もの言う株主が提案した社外取締役の選任議案が可決された。一般株主がガバナンス強化の視点で、もの言う株主の提案を冷静に検討する時代になったことを、企業は留意すべきだ。

企業側の出した議案への反対が多かったり株主提案への賛成が増えたりした背景には、機関投資家の姿勢の変化もある。

今年から資産運用会社などを対象に、議決権行使の個別開示制度が始まっている。運用会社はどの会社のどの議案に、賛否どちらを投じたか一件ずつ開示するようになった。運用会社は株主価値の向上を第一に考えて議決権を行使するよう求められ、会社側には厳しいと感じられる投票結果となる可能性も高まった。

企業は経営を理解してもらうために、株主との対話を増やす必要性が増している。特定日に集中する傾向が残る総会をさらに分散すれば、企業はより多くの株主の声に接することができるだろう。

もちろん、経営者が業績や経営戦略を語る場は総会に限らない。機動的な情報開示と説明が何よりも重要だ。
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[朝日新聞] 韓国の民主化 歩み30年不断の進化を (2017年06月30日)

朝鮮半島は冷戦構造が今も残り、民族が分断されている。その現実を背負う韓国で、民主化宣言が出て30年を迎えた。

軍事独裁政権の終わりを告げた宣言までの過程では、日本の支援活動も大きく寄与した。

以来、韓国は民主化とともに飛躍的な経済成長も遂げた。いま直面する少子高齢化や低成長下の財政難など様々な悩みは、日本も共有する難題だ。

活発な市民交流を背景に、今後も日韓ともにより成熟した民主主義を目指していきたい。

韓国ではかつて、権力による弾圧と抵抗する市民の壮絶な闘いが繰り返された。初代大統領の李承晩(イスンマン)氏は独裁を強め、不正選挙に怒りを爆発させた民衆らによって国を追われた。

その後、クーデターで権力をつかんだ朴正熙(パクチョンヒ)、全斗煥(チョンドゥファン)の二つの軍事政権は、反体制勢力を徹底的に抑圧した。だが、自由への渇望は絶えることなく人々は街頭に繰り出し、1987年6月、大統領直接選挙制をうたう民主化宣言を勝ち取った。

その後も人々は行動で民意を表してきた。

朴槿恵(パククネ)前大統領は韓国憲政史上初めて弾劾(だんがい)、罷免(ひめん)された。封建的なふるまいに民主主義の危機を感じた市民が毎週、通りを埋め尽くし、政治を動かした。

非暴力に徹して目的を遂げたことは、民主化の進展と評価される。一方で、議会や政党などはなぜ権力の暴走を許してしまったのかという、構造的な不備を指摘する声もあがる。

大統領への権力集中や財界との癒着など、確かに問題はあろう。どの国であれ、民主主義に完成型はなく、容易に後退もするものだ。不断の改善を積み重ねるほかあるまい。

日本政府はかつて外交青書で韓国を「我が国と、自由と民主主義、市場経済等の基本的価値を共有する重要な隣国」と表現してきた。だが、2年前からは「基本的価値」を削除し、最近では「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」としている。

産経新聞の記者が大統領の名誉を傷つけたとして起訴されたことなどが理由とされるが、日韓が自由と民主主義を土台とする基本的な価値を共有しているのは明らかだ。

一方、韓国民主化の過程で芽生えた日韓の市民交流は、世代を超えて広がっている。政治の関係が悪化してもこの絆がしっかりと両国をつないできた。

NGO、文化、学術、経済など、連帯の裾野をもっと広げていきたい。隣国との交流による学びあいは、日本の民主主義の発展にも役立つだろう。
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[読売新聞] 稲田防衛相発言 政治的中立に疑念持たれるな (2017年06月30日)

あまりに軽率で、不適切な発言である。自衛隊の指揮官としての自覚を欠いている。

稲田防衛相が、東京都議選の自民党候補の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と述べた。

公務と政務を混同してはいないか。公務員は、公職選挙法で地位を利用した選挙運動を禁じられている。防衛相も例外ではない。

稲田氏は当初、「駐屯地が近くにあり、地元の皆様に感謝の気持ちを伝える一環だ」などと釈明していた。だが、菅官房長官に促され、「誤解を招きかねない」として発言を撤回した。

自衛隊法は、選挙権の行使を除き、隊員の政治的行為を制限している。稲田氏は隊員に当たらないが、防衛相の指示によって組織ぐるみで特定候補を応援しているかのように受け取られかねない。

防衛相経験者からは、「自衛隊が政治的中立であるのはイロハのイ。稲田氏の意識が低すぎる」との批判の声が出ている。

実力組織として政治から一線を画し、抑制的な振る舞いに徹する自衛隊員にも迷惑な話だろう。

自衛隊の根拠規定を憲法に明記する議論が活発化してきた時期でもある。防衛相は、自らの言動に慎重を期すことが求められる。

安倍首相は、「厳しいおしかりをいただいており、おわびを申し上げたい」と陳謝した。「将来の首相候補」も視野に、稲田氏を引き立ててきたのは首相だ。

民進、共産など4野党は、稲田氏の罷免(ひめん)を要求した。閉会中審査の開催と臨時国会の召集も求め、首相の任命責任を含めて追及する構えだ。こうした事態を招いた稲田氏には、猛省を促したい。

稲田氏は昨年8月の防衛相就任後、物議を醸す言動が相次ぐ。

12月には、安倍首相の米ハワイ・真珠湾訪問に同行した直後に靖国神社を参拝した。学校法人「森友学園」が原告の訴訟に原告代理人として出廷していたのに、今年3月の国会答弁で「虚偽」と即答し、謝罪に追い込まれた。

稲田氏は衆院当選4回ながら、党政調会長、行政改革相などに抜擢(ばってき)され、日の当たる道を歩んできた。慢心はなかったのか。

北朝鮮は核・ミサイル開発に突き進み、尖閣諸島周辺では中国の挑発行為が続く。7月中旬には、日米外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も控えている。

そうした中で、防衛相への批判が強まるのは、日本の安全保障にとって好ましいことではない。
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[読売新聞] 大崎事件再審 自白頼みの脆い立証の結果だ (2017年06月30日)

新たな証拠で確定判決に疑義が生じた以上、再審の扉を開くのは、理に適(かな)った判断である。

鹿児島県で1979年に発生した「大崎事件」で、鹿児島地裁が再審開始を決定した。殺人と死体遺棄罪で懲役10年の刑が確定し、服役した90歳の女性の第3次請求を認めた。

決定は、有罪の根拠だった元夫ら共犯3人の自白の信用性を「捜査機関に誘導された疑いがある」などと否定した。元夫についても、遺族の再審請求を認めた。

裁判官は「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に沿って結論を導いたと言える。

女性の義弟が絞殺され、自宅横の牛小屋に遺棄された。犯行は女性が主導し、元夫ら親族3人と共謀した、というのが、確定判決が認定した事件の構図だ。

元夫らは、女性に犯行を持ちかけられた、などと自白した。女性は一貫して否認していた。

地裁は2002年、女性の第1次再審請求を認めた。自白と遺体の状況が合致しない、との判断だったが、高裁がこの決定を取り消した。再審開始が再び認められた異例の経緯は、自白頼みの立証の脆(もろ)さを物語っている。

女性以外の関係者が既に死亡する中、今回の決定の決め手となったのが「供述心理鑑定」だ。公判での供述記録などに基づき、話し手の反応の仕方や聞き返し方などから心理状態を分析する。

3人のうち1人から「殺してきた」と聞いたという義妹の証言がカギだった。鑑定は体験に基づかない話をした可能性を指摘し、決定は鑑定の証拠価値を認めた。

義妹証言の信用性を突き崩すことで、自白の信用性も崩壊させる。弁護側の戦略が奏功した。

裁判官には、自白偏重の立証に疑いの目を向ける傾向が強まっている。近年の再審開始決定では、DNA鑑定などの科学的な客観証拠が判断を支えている。

その点で、供述の鑑定を根拠とする今回の決定は異質である。

検察側は即時抗告を検討している。高裁の裁判官も、供述の鑑定を有力な証拠と捉えるのかどうか、が最大の焦点となろう。

審理の過程で、検察は、実況見分などを記録した大量の写真を初めて開示した。「存在しない」と主張していたものもあった。地裁が積極的に証拠開示するよう促したのは、適切な対応だった。

恣意(しい)的な証拠開示は、冤罪(えんざい)につながる。公権力を用いて集めた証拠は公共財である。検察はそのことを再認識せねばならない。
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[朝日新聞] 性犯罪厳罰化 重い課題がなお残る (2017年06月30日)

性犯罪の厳罰化を図る改正刑法が先の通常国会で成立し、来月13日に施行される。

相手をモノ扱いし、意思を抑えこみ、尊厳を踏みにじる。それが性犯罪の本質であり、魂の殺人と呼ばれるゆえんだ。

強姦(ごうかん)罪の名称を強制性交等罪に変え、男性の被害も対象とする。刑の下限を懲役3年から5年に引き上げ、起訴する際に被害者の告訴を必要とする定めをなくす。子どもの保護監督にあたる親らが、影響力に乗じてわいせつ行為などをするのを罰する規定も新設された。

被害者の声に応える改正で、むしろ遅すぎたと言っていい。

とはいえ国会内外の議論を通じて、なおただすべき事項や足りない点が浮上している。

例えば、改正後の強制性交等罪の条文にも「暴行または脅迫を用いて」との文言が残った。恐怖で抵抗できなかった場合など、暴行はなかったとして起訴が見送られたり無罪になったりするケースが現にある。

国会審議では、改正案づくりに関わった参考人の刑法学者から、大切なのは本人の自由な意思が奪われたか否かで、暴行・脅迫要件を過剰に重くみるべきではないとの発言もあった。捜査や公判ではこれまで以上に、それぞれの具体的事情に応じた適切な運用が求められる。

「監護者」を処罰する条文についても、学校の教師や部活動の指導者らは対象にならないため、さらなる手当てが必要だとの指摘が出ている。

改正法には「施行3年後の見直し」が盛りこまれた。暴行・脅迫要件の改廃や監護者規定のあり方は、その際の大きな検討テーマになるだろう。

性犯罪をめぐっては、被害者からの多様な相談に乗って支援する公的窓口の整備をはじめ、二次被害を生まない事情聴取の方法や裁判手続きの改善、子どもが自らの身を守る性教育、加害者に施す更生プログラムの充実など課題が山積している。

だが法務委員会での対政府質疑は、衆参両院で各1日、あわせて11時間ほどで、表面をなでただけで終わった。衆院で参考人の陳述はなく、性犯罪の被害女性から話を聴く機会は、参院でようやく実現した。

政府・与党が「共謀罪」法の成立を優先して刑法改正を後回しにする一方、加計学園問題などでの追及を恐れて国会閉会を急いだためだ。表向きの発言とは裏腹に、性犯罪の深刻さに対する無理解が見てとれる。

こうした体質の克服こそが問われている。議論をさらに深めて、「3年後」に備えたい。
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2017年06月29日

[産経新聞] 【主張】重病の劉暁波氏 中国は即時解放を認めよ (2017年06月29日)

大国を自称する中国のこれが実態である。

獄中でノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏が末期の肝臓がんと診断され、遼寧省の刑務所から省内の病院に移送された。

家族は高度な治療が受けられる北京や外国への移送を希望したが、受け入れられなかった。

夫人が「手術はできなくなった。放射線治療も化学療法もできない」と窮状を訴える映像が広がっている。

米国務省やノーベル財団は劉氏の即時釈放を求めた。だが、中国外務省の報道官は「いかなる国も中国の内政にあれこれ口出しする権利はない」と拒絶した。

全くわかっていないようだ。問われるのは、内政上の干渉にあたるか否かではなく、基本的人権に関することだ。中国は直ちに劉氏の釈放や出国を認めるべきだ。

劉氏が民主派の知識人ら約300人と発表した「08憲章」は、自由、人権など人々が享受すべき普遍的価値を掲げている。共産党独裁の終結も挙げたことから、「国家政権転覆扇動罪」に問われたとみられる。

劉氏を懲役11年の重刑に処したこと自体、人の尊厳を踏みにじった暴挙であり、一党独裁の異常性を改めて示している。

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劉氏の重刑が確定した2010年、中国の国内総生産(GDP)は日本を抜き世界2位となった。だが、急速な経済発展が政治体制の改革を促すことはなかった。海外からの人権批判を抑える高圧的な姿勢を助長したように映る。

経済成長がもたらした豊かな財源の下、国防費をも上回る治安維持費が計上され、中国国内の人権弾圧は一層激しくなった。

習近平政権は「反テロ法」「国家安全法」などの治安法令を施行し、インターネットを含む言論の抑圧や人権派弁護士らの投獄が相次いでいる。

中国の憲法は言論の自由などをうたうが、実体を伴わない。米国務省は人身売買に関する年次報告書で、4年ぶりに中国を最下位ランクとした。

国際社会はこの深刻な事態を注視すべきだ。ドイツでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議は、劉氏の問題を含め、中国に人権状況の改善を迫る場としてほしい。

隣国である日本も、中国の人権問題について口を閉ざしていることは許されない。
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[東京新聞] 防衛相発言 不問に付せぬ政治利用 (2017年06月29日)

撤回すれば済むという話でもあるまい。稲田朋美防衛相が東京都議選の応援で「防衛省・自衛隊として」自民党候補を支援するよう呼び掛けた。行政の中立性を逸脱する触法行為にほかならない。

法律に従って「政治的中立」を順守している防衛省職員、自衛隊員にとっては、迷惑極まりない発言だったのではないか。

稲田氏は東京都板橋区で開かれた都議選の自民党候補を応援する集会で演説し「ぜひ当選、お願いしたい。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と呼び掛けた。

板橋区の隣の練馬区には、陸上自衛隊の東部方面総監部や第一師団が置かれており、多くの隊員らが勤務する。その存在感を背景に自民党候補の当選に向けた支援を防衛省・自衛隊の組織として働き掛けているかのような発言だ。

自衛隊を政治利用し、行政の政治的中立性を著しく逸脱する不問に付せない発言である。

後に、稲田氏本人が認めたように「防衛省・自衛隊に限らず、政府機関は政治的に中立で、特定の候補を応援するのはありえない」のは当然であり、それらは法律にも明記されている。

弁護士出身である稲田氏がそんな基礎的知識を欠いたまま、自衛隊を率いていたとしたら、驚きを超え、危うさすら感じる。

軍隊や軍人は政治に関与せず、文民の統制に服するのが、近代国家の要諦だ。自衛隊は軍隊でないが、火力を有する実力組織である以上、政治に関与しないのは当然である。防衛相として不適格で、安倍晋三首相は罷免すべきだ。

にもかかわらず、政権中枢はなぜ、稲田氏をかばうのか。首相に関係が近いからか、稲田氏辞任が他の閣僚の進退にも波及し、政権の体力を奪うと恐れるからか。

安倍首相は国会演説で、自衛隊員らをたたえるため、起立して拍手するよう議員に促したことがある。自衛隊の存在を憲法に明記する憲法改正を提唱し、これに謝意を表明した自衛隊最高幹部の政治的発言を不問に付したこともある。

稲田氏発言の背景に、自衛隊重視の姿勢を吹聴して支持を広げたり、民主主義の基本原理や手続きへの理解を欠く政権の体質があるとしたら根は深い。

憲法一五条は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定める。防衛省・自衛隊を含めてすべての公務員を、自民党だけのために政治利用すべきではない。
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[東京新聞] 大崎事件再審 司法の恥と受け止めよ (2017年06月29日)

「やってないものは、やってない」−。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである。

厳しい取り調べにも、原口さんは一度も罪を認めたことはない。例え話であるが「認めれば仮釈放される」などの誘いにも乗ったことはない。事件は鹿児島県大崎町で一九七九年に起きたが、物証はないに等しく、共犯者とされる者たちの証言のみで立証されている。

知的障害者も含まれる。かつ共犯者も後に証言をひるがえして、原口さんの関与を虚偽であったとしている。それでも原口さんは懲役十年の刑を受け、服役を終えている。どんな証拠によるものだろうか。

発端は、義理の弟が自宅から一キロ離れた用水路に自転車とともに倒れていた。泥酔していたのだ。村人に引き上げられ、家まで軽トラックで送り届けられたものの、その後、所在不明となった。

義理の弟は敷地内にある牛小屋の堆肥から死体となって発見された。原口さんの夫らが逮捕された。確定判決では「タオルによる絞殺」である。今回の弁護側は鑑定書を基に「死斑などがなく、窒息死の所見は認められない」と指摘しつつ、「自転車事故による出血性ショック死の可能性が高い」と訴えていた。

検察から開示されたネガフィルムを基に現像した写真を調べても、遺体の皮膚に変色が見られなかった。つまり、首を絞めて殺害したとする供述は信用できなくなる。弁護側はそう主張した。

また、第二次再審請求の抗告審で「親族の自白を支えている」と判断された義妹の「共犯者から殺してきたと聞いた」という証言についても、「体験していないことを話している可能性が高い」とする鑑定書を出していた。

要するに「大崎事件」は人が死んでいたことは事実であるが、殺人事件であったかどうかさえ、あやふやである。確たる証拠は何もないのではないか。死体遺棄のような状態であったから、警察が殺人事件だと思い込んでしまったのではないか。

たまたま死亡した義理の弟に郵便局の簡易保険を原口さんがかけていたから、事件の首謀者に仕立て上げられたのだろう。原口さんは既に九十歳。三審制でも過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる。
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[産経新聞] 【主張】小中学「解説書」 国の守りに理解深めよう (2017年06月29日)

小中学校の新学習指導要領の解説書が公表された。日本の領土に関する記述が増えたほか、自衛隊の役割が明記されるなど、国の守りについて理解を深める学習が充実した。実際の授業に生かしてもらいたい。

解説書は、指導要領の内容を補足し、教科書の編集指針や授業の手引きとなる。これに沿い平成32年度から小学校、翌33年度から中学で教科書が一新される。

領土については、今年3月に告示された新指導要領で、北方領土に加え、竹島や尖閣諸島について「我が国固有の領土」と明記された。解説書では小5の社会科で、竹島は韓国に不法占拠されていることなどを明記した。

中学社会の公民分野では、渡航制限や船舶拿捕(だほ)の事例や、日本側に死傷者が出た事件の発生例など、国家主権が侵害された歴史と関連づけた。不法占拠による問題の理解を促すものだ。

また、北朝鮮による日本人拉致問題について、中学では、日本が解決に向け、国際社会の理解と支持を受けて努力していることなどを盛り込んだ。

戦後の学校教育では、こうした国の安全が脅かされている国際社会の厳しい現実を教えてきたとは言い難い。むしろ目を背けてきたのではないか。

内閣府の世論調査では竹島が不法占拠されていることを知らない大人もいる。拉致は北朝鮮の国家主導の誘拐という明白な犯罪行為だ。教師自身が歴史的経緯を含めて十分理解し、教えてほしい。

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北朝鮮が弾道ミサイル発射など暴挙を繰り返す中、武力攻撃やテロなどから国民自らが身を守る避難などについても周知が欠かせない。学校の防災教育などを通じて適切に取り上げるべきだ。

自衛隊については、災害時の救助活動だけではなく、解説書で「我が国の平和と安全を守ることを任務とする」と役割を明記したのも当然である。

教科書では、「憲法違反」との一部意見を強調するほか、自衛隊の任務が広がることを否定的にみる記述が相変わらずあった。

東日本大震災などの災害出動や国際貢献について記述は増えているが、自衛官ら国の守りにいそしむ人々の活動を、もっと広範囲に正確に教えてほしい。

子供のころから自国について理解を深める意義は大きい。
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[毎日新聞] 稲田氏「自衛隊としてお願い」 自覚の乏しさにあきれる (2017年06月29日)

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防衛相としての立場を自覚しているとは思えない。

稲田朋美防衛相が東京都議選の自民党候補の応援集会で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい」と演説で述べた。

自衛隊を率いる防衛相が組織ぐるみで特定候補を支援するかのような発言である。

行政の中立性をゆがめ、自衛隊の政治利用が疑われる不適切な内容だ。後に撤回したが、それで済む問題ではない。

自衛隊は約23万人を擁する実力組織である。国防や災害派遣は国民から負託された任務であり、憲法の規定に準拠して、自衛隊員は「国民全体の奉仕者」とされる。

だからこそ自衛隊法61条は国民の信頼が確保できるよう、自衛隊員の政治的行為を、選挙権の行使を除いて制限しているのだ。

稲田氏は法律を扱う弁護士でもある。しかし、自衛隊を統括する閣僚として、こうした自明の法的規範を理解していると言えるだろうか。

「防衛相」という地位を明確にして「自衛隊としてお願いしたい」と支援を求めれば、自衛隊の政治利用だと指摘されるのは当然だろう。

稲田氏の発言は、公務員の地位を利用した選挙運動を禁止する公職選挙法136条の2に抵触するおそれもある。公務員には特別職の国家公務員である閣僚も含まれる。

自衛隊は命令系統が明確だ。その責任者が自衛隊法に抵触する政治的行為を促すようなことは厳に慎むべきだ。自衛隊の信用も傷つける。

稲田氏にはこれまでも問題視される言動があった。自衛隊が派遣された南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)を巡って「武力衝突はあったが、法的な意味での戦闘行為ではない」と強弁し、批判された。

学校法人「森友学園」の弁護士活動では国会答弁で否定しながら後に撤回した。それでも「虚偽の答弁をした認識はない」と釈明し続けた。

稲田氏は今回の発言を「誤解を招きかねない」と撤回したが、自発的ではなく菅義偉官房長官に促された結果だったという。

こうした稲田氏を安倍晋三首相は一貫して擁護してきた。その姿勢が、無責任な閣僚の発言がとまらない要因になっているのではないか。
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[日経新聞] ITの巨人と対峙する欧州 (2017年06月29日)

欧州連合(EU)の欧州委員会が米IT(情報技術)大手のグーグルに対し、円換算で3000億円にのぼる巨額の制裁金を科すことを決めた。ネット検索における支配的な地位を乱用し、公正な競争を妨げたと判断した。

アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなど米国のIT企業の影響力が増し、日本でも公正取引委員会が監視を強化する方針を示している。対応で先行する欧州の動向に注目したい。

欧州委員会によると、グーグルは検索サイトで商品情報を調べた利用者に対し、自社の価格比較サービスの内容を優先して表示した。この結果、競合サービスの利用が減り、競争が弱まったという。グーグルは欧州委員会の判断を不服として、EU司法裁判所へ上訴する検討に入った。

欧州委員会は5月にも、フェイスブックがEU競争法(独占禁止法)に違反したとして140億円相当の制裁金を科している。欧州では寡占への警戒感が強く、厳しい対応が目立つ。

背景にあるのは、IT分野で「1強多弱」の色彩が濃くなっているという事情だ。ネットのサービスは利用者が増えるほど使い勝手が高まり、こうした傾向が強まりやすい。

日本では2010年、ヤフーがライバルであるグーグルのネット検索技術を導入する際に公正取引委員会は「問題なし」と判断し、ほぼすべての企業がグーグルの技術を使うようになった。従来、競争当局の対応はこのように鈍かったが、データの独占への監視を強めるなど変化の兆しもある。

ただ、ネットのサービスは無料なことも多く、価格の不当な引き上げなどを材料とする従来の基準では規制が難しい。技術の移り変わりが速く、競争状況が一変しやすい点も対応を困難にしている。

日本でも欧州の事例から学ぶとともに、必要に応じて競争当局どうしが協力し、時代の変化に即した形で健全な競争環境を保つ必要がある。
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[毎日新聞] 米入国禁止令の一部容認 「自由の国」の奇妙な判断 (2017年06月29日)

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玉虫色の、何とも奇妙な判断と言うしかない。

米連邦最高裁は、イスラム圏6カ国からの入国を一時禁止する大統領令を条件付きで認めた。一方で、その大統領令が合憲か否かという、最も重要な論点については10月以降に判断を先送りした。

トランプ大統領がテロ対策として1月と3月に出した大統領令は、いずれも下級審によって執行が停止された。イスラム圏のみを対象にするのは、憲法が定める信教の自由に反する恐れがあるなどの理由からだ。

だから、「連邦最高裁まで闘う」と言っていたトランプ氏が快哉(かいさい)を叫ぶのも無理はないが、今回の判断には重大な問題が少なくない。

まず連邦最高裁は、6カ国の国民でも米国と「真正な関係」を持つ人は入国禁止の例外とした。米国の大学や会社に入学・就職を予定する人や米国内に親族がいる人などだが、ニューヨーク・タイムズなどの社説が、何をもって「真正」と言うのかと問題提起したのは当然だ。

また連邦最高裁9人の判事のうち大統領令の全面執行を求めた3人は判断に賛同しつつ、例外を認める「妥協」は「訴訟の洪水」を招くと警告した。確かに施行上の混乱は必至だろうが、もっと根本的な問題もある。

入国禁止の対象は1月の大統領令ではイラクを含む7カ国だった。イラクは過激派組織との戦いで米国と共闘しているとして除かれたが、選定が場当たり的な印象は否めない。

しかも、その6カ国は米国と国交がないか人的交流に乏しく、入国希望者は前から少ない。加えて近年のテロは米国や欧州の在住者が実行する例が多い。入国禁止がテロ対策にどう役立つのか理解に苦しむ。

トランプ氏は大統領選時から「イスラム教徒の全面入国禁止」を訴えてきた。大統領令の背景にはこうした排外的な思想が指摘されているのに、たとえ条件付きでも連邦最高裁が容認するのは危険だろう。

90日間の入国禁止、120日間の難民受け入れ停止の措置は秋に失効する。だから連邦最高裁があえて最終判断をするかは微妙だが、ことは世界のテロ対策にも、米国のイメージにもかかわる。最終判断を行うなら、米国が「自由の国」であり続けられる見解を示してほしい。
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[日経新聞] 東芝のメモリー事業はどこへ行くのか (2017年06月29日)

経営危機にある東芝は株主総会を開き、綱川智社長は「度重なるご迷惑、ご心配をおかけし、おわびします」と陳謝した。監査法人との意見の相違から決算報告はできず、総会までに終えたいとしていた半導体メモリー事業の売却契約も間に合わなかった。名門企業再建の足取りは依然心もとない。

同社が当面の重要課題としているのは、最大の収益源であるメモリー事業の売却だ。虎の子の事業を高値で売ることで来年3月末の債務超過を回避、株主に迷惑をかける上場廃止を免れたい考えだ。

巨額の投資が必要な半導体事業は、財務力の弱った東芝から切り離し、新たなスポンサーのもとで再出発するほうが事業の発展につながるという判断もある。

ここまではひとまず理解できるとして、疑問が多いのが実際の売却案だ。東芝取締役会は先週、政府系ファンドの産業革新機構を軸にした「日米韓連合」との売却交渉を優先的に進めると決めた。

同連合は革新機構のほか日本政策投資銀行と米ベインキャピタルが出資者に名を連ね、韓国半導体大手のSKハイニックスもベインに資金協力する形で参画する。

疑問の第一は連合の中核である官製ファンドの革新機構に半導体のような世界を相手に戦うグローバル事業を経営できる力があるのかどうかだ。同機構の主導でつくった液晶会社のジャパンディスプレイは経営不振が続いている。

綱川社長は技術流出を招かないことを買い手の条件にあげるが、そうであるなら、SKが参加するのもよく分からない。「我が社の技術を不正に取得した」として3年前に東芝が損害賠償を求めて訴えた当の相手がSKである。

東芝のメモリー事業の長年のパートナーである米ウエスタンデジタルとの対立も気になる。同社は米国で売却手続きの一時停止を求めて提訴しており、ここで東芝が負ければ、売却そのものが宙に浮くかもしれない。これ以上の迷走はお互いメリットがなく、溝を埋める努力が双方に必要だろう。

最後に仮に交渉がまとまったとしても、来年3月末までに世界各国の独禁当局の許可を得て、売却を実施できるのかという不確定要素は残る。経営とは予見できない未来に向けて複数の選択肢を用意しておくことだ。「債務超過回避による上場維持」が果たせない場合を想定したプランBを東芝経営陣は持っているのだろうか。
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[読売新聞] ヒアリ初確認 水際の対策強化で拡散防ごう (2017年06月29日)

国内での繁殖を防ぐためには、港湾や空港など水際での監視の強化と徹底した駆除が大切だ。

南米原産の毒アリである「ヒアリ」が、国内で初めて兵庫県内で確認された。中国・広東省から神戸港を経て運ばれたコンテナの中に、幼虫や卵を含む数百匹がいた。

コンテナが留め置かれた神戸港でも約100匹が見つかった。

刺されるとやけどのような痛みを感じることから、「火蟻」の名が付いた。かゆみや腫れがしばらく続き、アレルギー体質の場合、呼吸困難や意識不明に陥るケースもある。侵入を許した北米では、多数の死者が出ている。

体長は2・5?6ミリだ。赤茶色で、肉眼では一般のアリと見分けるのが難しい。怪しいと思ったら、素手では決して触らず、自治体や保健所への通報を徹底したい。

刺された際には、20?30分ほど安静にして様子をみる。症状が重くなったら、直ちに医療機関で治療を受ける必要がある。

ヒアリの繁殖力は強い。既に中国や台湾、オーストラリアなどにも生息する。人や家畜に害を及ぼすことから、環境省は、国内への持ち込みを禁じる「特定外来生物」に指定している。

国際自然保護連合(IUCN)は、世界の侵略的外来種ワースト100に挙げている。

神戸港内で見つかったヒアリは、小さな集団だったとの見方が強いが、油断はできない。港内の別の場所に紛れ込んでいないのか。神戸港以外にも、侵入している可能性は捨てきれまい。

環境省は近く、主要な貿易港に専門家を派遣して、緊急調査を実施する。念入りにチェックし、繁殖、拡散を防がねばならない。

人や物の国境を越えた往来が活発になるにつれて、外来生物が入り込む機会は格段に増えた。地球温暖化により、これまで日本では生息できなかった南方の外来種が棲(す)み着くことも考えられる。

いったん拡散すると、駆除は極めて困難だ。1995年に初めて大阪府で見つかった毒グモ「セアカゴケグモ」は、今では40以上の都道府県で目撃されている。

侵略的な外来種は、その土地の固有種を駆逐してしまうことが多い。固有種が絶滅し、生態系が崩れると、元には戻らない。

環境省による定期調査では限界があろう。港湾や空港で、日常的に貨物を扱う業者の役割は重要である。不審な生物を見つけたら、殺虫剤などで駆除し、関係機関に連絡することが求められる。
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