2017年05月15日

[産経新聞] 【主張】大阪の地下鉄 民営化を復権の起爆剤に (2017年05月15日)

来年4月、大阪市営地下鉄が民営化される。「私鉄王国」と呼ばれる関西でも、JR西日本を別とすれば最大の鉄道会社が誕生する。

経済の地盤沈下を指摘されて久しい大阪にとって、復権の起爆剤として期待される。そのためにも、早期の株式上場による完全民営化を目指すべきである。

昭和8(1933)年に御堂筋線の梅田?心斎橋間が開業し、わが国初の公営地下鉄としてスタートした。現在は自動運転のニュートラムを含め9路線、総延長は約140キロに及ぶ。1日平均で、阪急や近鉄など在阪私鉄5社を上回る約260万人が利用し、年間の黒字額は300億円を超える。

今でも「優良企業」の部類だが、民営化で人員削減などのコストカットや事業の多角化が図られれば、さらなる収益増大や運賃値下げなどが期待できる。

民営化後は大阪市が新会社の株式の100%を保有する。それにより、新会社からの納税や株式配当で年間約100億円が入ると市は試算する。教育や医療、福祉などの財源に充てる考えだ。

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吉村洋文市長は当初、株式上場を前提とする完全民営化を目指していたが、「任期中は上場しない」と方針転換した。完全民営化に慎重だった、市議会の自民党の要望を受け入れたためである。

市側に人事や事業計画などへの関与の余地を残したのは、新会社の足かせにならないか。民間企業には経営判断の自由度とスピードが何よりも大切だ。

モデルにすべき例がある。東京メトロである。

特殊法人だった「帝都高速度交通営団」が平成16年に株式会社化された。以降、鉄道事業に加えて、駅ナカを商業スペースとして活用したり、沿線に不動産事業を展開したりして業績を伸ばした。都市の新たな魅力を生み出したともいえるだろう。

大阪の地下鉄にも街を変えうるポテンシャルがある。

関西国際空港と大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」は、オリックスなどが2兆2000億円という巨額で運営権を落札した。インバウンド(訪日外国人客)の追い風を受け、LCC(格安航空会社)向けの新ターミナルを増設するなど好調だ。

これも「官」から「民」への脱皮が功を奏したといえよう。
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[東京新聞] パワハラ防止 法定化を急ぐべきだ (2017年05月15日)

政府がまとめた「働き方改革実行計画」を受け、厚生労働省は職場のパワーハラスメント(パワハラ)防止対策の強化に向けた有識者会議での議論を始める。働く人の心身を守る対策は急ぐべきだ。

佐川急便の仙台市の事業所に勤務していた男性社員=当時(22)=が自殺したのは上司のパワハラでうつ病になったのが原因だとして遺族が、労災と認めなかった労働基準監督署の決定を取り消すよう国に求めた訴訟の判決で、仙台地裁は昨秋、自殺は労災だと認定した。

判決理由などによると、男性社員は上司から足元に向けてエアガンを撃たれたり、つばを吐きかけられたりした。退職を申し出たが、引き続き仕事を要求された。二〇一一年の年末にうつ病と診断され、その数日後に自殺した。エアガンで撃つなどはパワハラを超え、暴力に等しい。

厚労省によると、パワハラとは同じ職場で働く人に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為という。

同省のパンフレットでは、主に(1)殴る蹴るなどの身体的な攻撃(2)必要以上に長時間、繰り返し執拗(しつよう)に叱るなどの精神的な攻撃(3)業務上の過大な要求(4)過小な要求(5)一人だけ別室に席を移す、送別会に出席させないなど「人間関係からの切り離し」(6)交際相手について執拗に問うなどの「個の侵害」−がパワハラに相当する。

企業で働く一万人を調べた結果、三人に一人が過去三年間に職場でパワハラを受けたと回答していたことが厚労省の調査で明らかになった。憂慮すべき数字だ。

調査によると一回でもパワハラを受けた人は六割超が「怒りや不満を感じた」「仕事への意欲が減退した」と答えた。何度も受けた人に限ると「眠れなくなった」が四割近く、「通院したり、服薬をした」が二割超に上った。

セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や妊娠や出産を理由とする嫌がらせ、マタニティーハラスメントは男女雇用機会均等法などで定義され、事業主は防止するための体制整備が義務付けられている。

しかし、パワハラについては法律上の規定はない。このため労働基準監督署や裁判所で認定されにくいという。パワハラに関しても定義や対策義務づけを法定化することは待ったなしだ。
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[東京新聞] 日本の平和主義 9条の精神を壊すな (2017年05月15日)

憲法記念日に、安倍首相が自民党総裁としてとことわりつつも、九条改正を唱えたのを聞き、皆さんはどう思われただろう。

自衛隊の存在を書き込むだけなら認めていいと思われたか、それとも不安を覚えられたか。

私たち論説室は今年の元日前後に「日本の平和主義」と題した連載型の社説を掲げた。安保法が成立し次にはどんな形であれ、改憲の動きが出てくる。そうなれば焦点は九条、日本の平和主義が危うくなると考えたからだ。

連載の初回(十二月三十日)は、ずばり「憲法改正が来年の大テーマとなるでしょう」と書き出して、憲法の理想と現実の間には隔たりがあるが、現実を理想へと近づけることこそが正義の姿であると述べた。だから九条の平和主義を高く掲げよ、と。

私たちのその姿勢は今ももちろん変わらない。

連載は被爆国日本の役割、不戦の国の誇り、自衛隊らしい「人助け」、「非戦」は国家戦略であると続けた。

訴えたかったのは、戦後七十年余の長きにわたり戦争をせず今日に至ることのできたのは、それが国民多数の願いであり、願いの象徴的文言が九条であるということだ。政治に知恵を絞らせもした。

自衛隊はたしかに憲法の字句外にある。

戦力不保持をいう憲法下で発足し、国連PKО(平和維持活動)の名の下に今は外国へも行く。

しかしそれでも九条を侵しはしない。

守るべきは専守防衛。他国の侵害はしない。

首相は九条の一、二項、すなわち戦争放棄と戦力不保持を維持したうえで、自衛隊を認める明文を加えたいという。巧みな言い方である。

しかし、そもそも歴代の政府も多くの国民もその存在を認めてきた自衛隊を、急いで書き込む理由は何なのか。

しかも今の自衛隊は安保法により違憲濃厚な集団的自衛権を付与されている。展開次第では九条が歪(ゆが)められ、日本の平和主義は変質してしまうかもしれない。

父や母、祖父や祖母、戦争体験者たちが命がけで守ってきた戦後日本の思いが霧消してしまう。

キナ臭い現実をまだ見えぬ理想に近づけよう。現実の追認は未来への否認である。人類の正義は理想へ向かう行動にある。九条の精神を壊してはなるまい。
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[産経新聞] 【主張】北のミサイル 「対話」への回答も威嚇か (2017年05月15日)

北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射し、約800キロ飛行して日本海に着弾した。

韓国では、北朝鮮との対話に前向きな文在寅大統領が政権を発足させたばかりだ。だが、金正恩政権は意に介すこともないように、威嚇する暴挙に出た。

核・ミサイル戦力の放棄に応じない北朝鮮の姿勢は明白である。その厳しい現実を直視しなければならない。

北朝鮮のミサイル発射は、今年7度目だ。国連安全保障理事会の決議を踏みにじってきた。国際社会はその実態を踏まえ、これまでの制裁措置の厳格な履行とさらなる強化を急ぐ必要がある。

今回のミサイル発射は、日米韓のみならず、中国を含む国際社会に対する、時期と手法を計算し尽くした狡猾(こうかつ)な威嚇ともいえる。

特にミサイルの最高高度が、これまでにない2千キロ超に達したことは深刻にとらえるべきだ。

通常よりも高い角度で高高度へ打ち上げ、近くに落とす「ロフテッド軌道」をとった。ミサイルの落下速度が極めて速くなり、現状のミサイル防衛(MD)では迎撃が極めて困難である。

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通常の軌道をとっていれば、射程は4千キロ超になったとみられる。アジア太平洋地域における米軍の重要拠点である、グアム島を攻撃できる距離だ。

韓国の文大統領は「条件が整えば平壌にも行く」と述べるなど、南北対話に意欲的である。ただ、このミサイル発射を受け、「対話は北朝鮮が態度を変えてから可能になる」点を強調したという。

当然のことだろう。そもそも、対話に動く前提は、北朝鮮の核戦力放棄でなければならない。

中国では、習近平政権が重視する経済圏構想「一帯一路」をめぐる国際会議を始めたところだ。その初日にミサイルを発射され、顔をつぶされた格好だ。

北朝鮮の後ろ盾を続けるか、名実ともに北朝鮮包囲網の主要な一員となるかを迫られている。そういう認識を持ってほしい。

安倍晋三首相が「わが国に対する重大な脅威だ」と非難し、自衛隊による警戒態勢の維持や、米韓両国との連携を表明したのは妥当である。

国民の安全を守るため、北朝鮮に対してさらなる圧力をかけなければならない。日米韓3カ国の結束に率先して動くべきだ。
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[毎日新聞] マクロン新大統領とEU 再び独仏で統合けん引を (2017年05月15日)

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フランス大統領に、エマニュエル・マクロン氏が就任した。自国社会だけでなく、欧州統合にも前進の好機となり得る。特に、統合の機関車役を果たしてきた独仏の連携が息を吹き返す可能性に期待したい。

欧州連合(EU)の母体は、第二次世界大戦後、6カ国で発足した石炭鉄鋼共同体だ。独仏間の再度の戦争を物理的に不可能にする仕組みとして、戦略物資である鉄鋼と石炭を共同管理する機関を作った。

統合はめざましい成功を遂げ、国家主権の象徴的存在である通貨の一本化まで成し遂げた。そのユーロ創設の立役者も、ドイツ(西独)とフランスの首脳だった。

しかし、独仏間には、次第に経済力の差が広がっていく。フランスの失業率は今やドイツの2倍以上と高く、成長も停滞が続いている。欧州を引っ張る役目は、2頭立ての馬車からドイツ1頭立てに変わった。

ナショナリズムの台頭など、EUを揺さぶる動きの広がりは、独仏協調による主導が弱まったことと無縁ではない。

連携の軸を再び強化する時だ。

マクロン氏は、ユーロ圏版「ニューディール」を提唱している。ユーロ加盟国による共通国債の発行や、共同の予算、財務相の一本化など、財政面での統合である。

通貨を共通化し、中央銀行を一つにすれば、いずれ財政の一本化へと向かわざるを得なくなる。マクロン氏の提言は間違っていない。しかし、とてもその段階ではない、というのがドイツの見立てだ。財政統合を急げば、結局、ドイツが他国の赤字の穴埋めを強いられると懸念する。

マクロン氏は、メルケル政権の信頼を得る上でも、まず自国経済の構造改革に本気で取り組む必要がある。一方、メルケル氏は、加盟国を財政ルールで縛り過ぎると、EU再興の貴重な機会を逃しかねない。

ドイツも9月には総選挙があり、メルケル首相は、安易な支援と映る対応はしづらいだろう。しかし、マクロン大統領が失敗すれば、欧州が一段と分断の脅威にさらされる結果となることを忘れてはいけない。

フランス経済の強化は、欧州統合にとっても欠かせない。独仏の首脳は、これを共通の課題と位置づけ、協力し合う必要がある。
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[日経新聞] てるみくらぶ破綻の教訓 (2017年05月15日)

旅行会社、てるみくらぶ(東京・渋谷)の破綻から1カ月余り。インターネット予約の普及などで旅行業界は現在曲がり角にたつ。今回の破綻は今後の旅行業経営のあり方や、新たな被害防止策の必要性について教訓を残した。

同社は航空会社やホテルから空席や空室を安く仕入れて売る格安旅行で成長した。しかし近年、中国人旅行者の増加により世界的に空席、空室とも減りつつある。さらに個人が使える予約サイトの台頭や航空会社自身によるネットでの直接販売の広がりもあり、既存の旅行各社は押されぎみだ。

近畿日本ツーリストを傘下に持つ旅行業大手、KNT―CTホールディングスの2017年3月期決算はネット勢に押され2期連続で最終赤字になった。独自性の高い旅を提案したり、訪日外国人向けの企画を工夫したりすることは業界共通の課題といえる。

一方、今回の破綻で特異なのは消費者の損害額の大きさだ。同社も加盟する日本旅行業協会には売上高に応じた拠出金を共同でプールし破綻に備える制度がある。補償に使えるのは拠出した額の5倍が上限だ。現行の制度となった06年以降、破綻した42件のうち31件で全額を補償できている。

しかしてるみくらぶの場合、この制度で補償可能なのは損害の1%程度との試算がある。破綻直前に消費者から集めた申込金が異常に膨らんでいたためだ。

今後、仮に業界や政府の負担を増やし補償額を手厚くすれば、今回のようなずさんな経営を助長する結果をまねきかねない。それよりも、おかしな経営への歯止め策を工夫すべきではないか。

軽井沢スキーバス事故を機に国土交通省は昨年から、貸し切りバスに関し不当な安値受注の情報を同業者などから受け付けている。こうした通報制度の創設も一定の抑止力になろう。現在5年ごとの旅行業の登録更新をもっとこまめに義務づけ、経営状態を点検する手もある。政府と業界で話し合い、うまい知恵をみつけたい。
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[毎日新聞] 沖縄復帰45年と安倍政権 「償いの心」をかみしめて (2017年05月15日)

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「償いの心」を沖縄振興の原点に据えたのは、本土復帰の日に初代沖縄開発庁長官に就任した山中貞則・元自民党衆院議員である。

地上戦の甚大な被害と米軍統治という沖縄の苦難の歴史を理解し、寄り添う姿勢は県民の共感を呼んだ。

本土復帰から45年を迎えた。いま安倍政権がそうした思いを受け継いでいるだろうか。

日本の国土面積の0・6%の沖縄県に全国の米軍専用施設面積の70・6%が集中している現状が、沖縄へのしわ寄せを物語る。本土の約400倍の負担である。

反基地運動などを背景に米軍施設が大幅に縮小されてきた本土とは異なり、沖縄では施政権が返還された後も米軍はとどまった。その結果、全土に占める割合は返還時の6割弱からむしろ増えてしまった。

こうした推移に政治の反応は鈍かった。復帰から首相は24人を数えるが、沖縄米軍問題に取り組んだのは復帰22年後に就任した村山富市首相になってからだ。それまで沖縄への関心といえば復興と格差だった。

続く橋本龍太郎首相が米軍普天間飛行場返還に合意したが、21年を経てなお実現していない。沖縄との溝を埋める努力を政府が十分に果たしてこなかったことが大きな要因だ。

とりわけ安倍政権の沖縄に対する冷淡さは際立っている。

翁長雄志(おながたけし)知事は安全保障の重要性を共有しつつ「負担は沖縄だけで背負うのではなく、国民全体で考えるべきだ」と訴える。しかし、安倍政権はその声に耳を傾けず、沖縄との対立を法廷闘争に持ち込んだ。

日米安全保障条約は米国の対日防衛義務と日本の米軍受け入れを定める。だが、その受益は本土が受け、負担は沖縄がかぶるいびつな構図になっているのは疑いようがない。

沖縄の痛みを共有せずに対話より裁判での決着を目指し、法律や行政手続きに問題がなければ既定路線を突き進む安倍政権の手法に、沖縄が反発するのは当然だろう。

20年以上にわたって沖縄が受け入れない政策を、安全保障は国の専管事項だと言って押し通すには、もはや無理がある。

沖縄の民意に反して強行すれば禍根を残すだけだ。沖縄の声を聞く「心」が、いま大事なのではないか。
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[日経新聞] 企業は「3つの投資」の拡大ためらうな (2017年05月15日)

日本企業の成長を続ける力が問われている。経費削減や不採算事業の撤退など身を削る経営だけでなく、収益の基盤を広げ、さらに強固なものにするための戦略へと踏み出すべきだ。

本紙集計によれば、上場企業の2017年3月期は売上高が前の期に比べ3%減、純利益が21%増となった。これまでに進めた合理化が奏功して2年ぶりの最高益となったが、売り上げの増加を伴わない利益成長がいつまでも続くわけではない。

企業は合理化で稼いだ利益をためるのではなく、収益力の向上に向けて活用しなければならない。今、企業に求められる投資は3つに大別できるだろう。

まず、成長を加速させる投資だ。通常の設備投資だけでなく、M&A(合併・買収)の機会もうかがうべきだ。資産査定や買収価格の設定に注意を要するが、成長戦略としてM&Aが有効であることは否定できない。

中期的にM&Aに投じる金額のめどを投資家に示す企業が増えた。たとえば、前期に3%減収・7%増益だった積水化学工業だ。同社は18年3月期からの3年間で総額1300億円のM&A枠を設けた。需要の拡大が見込める高機能プラスチックや医薬品といった分野で買収を進め、業績の一段の拡大を目指す。

また、成長を長く続けるための投資も必要だ。有望とみられる技術の研究開発にも資金を有効に投じるべきだ。

今期のトヨタ自動車は2期連続の減益を見込みながらも、4期続けて1兆円超の研究開発投資を予定する。電気自動車(EV)や自動運転などの分野で開発競争に後れをとれば、成長が止まるという危機感がにじむ。

雇用の拡大や給与の引き上げといった、人材面での投資も怠るわけにはいかない。

人件費の増加は短期的に収益を圧迫するが、良い人材を確保できればサービスの質が向上し、生産性は高まる。ヤマトホールディングスが1万人規模を採用し労働環境の改善に動くのは、そんな考えに基づいている。

企業は配当などを通じて利益を株主に還元する責務も負う。しかし、投資を犠牲にしてまで株主還元に傾けば、企業の稼ぐ力は確実に衰える。それが長い目で見て株主の利益にも反することは、言うまでもない。
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[読売新聞] 司法修習給付金 法曹養成の抜本改革こそ急げ (2017年05月15日)

「法曹離れ」を食い止める一助となるのか。

改正裁判所法が、全会一致で成立した。司法修習生に、国が月13万5000円の基本給付金を一律支給する制度の創設が柱だ。11月に施行される。

2011年に廃止された「給費制」の事実上の復活だ。法律家は公益性の高い職業だけに、社会全体で育てる。この理念は今回も引き継がれていると言えよう。

国の新たな負担額は年30億円に上る。厳しい財政事情の中、異例の厚遇である経済支援を再開するのは、法律家を志す人の減少を食い止めるのが目的だ。

確かに、法曹養成制度は危機的状況にある。昨年の司法試験の受験者は6899人で、前年より1000人以上も減った。法科大学院の志願者は、昨年度が8274人で、ピークだった04年度の9分の1近くに落ち込んでいる。

日本弁護士連合会は、法曹になるまでに費用がかかり過ぎることに原因がある、と主張する。

新制度も、この考えに沿っているが、国民は、すんなりと納得できるだろうか。

給費制に代わって導入された「貸与制」で、修習生は月18万?28万円を無利子で借りることができる。返済は修習終了から5年間、猶予される。これだけでも、かなりの好条件だろう。貸与制は、新制度の開始後も維持される。

司法制度改革で法曹人口が大幅に増えると、国の財政が圧迫される。これが給費制廃止の理由だったが、法曹人口の拡大目標は既に下方修正されている。

改革への取り組みが中途半端なまま、経済支援だけ復活させることには、違和感を禁じ得ない。

求められるのは、現行の法曹養成の在り方の抜本的見直しだ。

法曹離れの最大の原因は、法科大学院の不振にほかならない。修了者の司法試験合格率は昨年、過去最低の20・68%にとどまった。かけた時間と費用に見合う結果をなかなか得られない。志願者が尻つぼみになるのは当然だろう。

実務教育重視の理念を維持しつつ、合格に向けた指導の充実が急務だ。法科大学院中心の制度をこのまま続けるかどうか、も検討する時期にきている。

司法サービスには、改善すべき点が多い。弁護士の多くが大都市圏に集中する偏在は、解消されていない。弁護士の活動領域も、さらに拡大する必要がある。

国民が求めているサービスを提供する。支援を受ける以上、それが法曹の務めである。
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[朝日新聞] 憲法70年 地方自治を成熟させる (2017年05月15日)

明治憲法に地方自治の条項はなかった。国が知事を任命するなど、徹底した中央統制のもとで国全体が戦争に突き進んだ。

その反省から、日本国憲法は第8章に4条の条文を設けて、中央の権力から自治体が自立することをめざした。

自治体は行政権と立法権をもつ「地方政府」として、中央政府と向き合う形になった。

中央政府は主に全国規模の課題に権限を持ち、地方政府はそれぞれの地域やくらしに根ざした仕事と権限を担う。「地方自治は民主主義の最良の学校」といわれるのも、住民により近い自治だからこそ、参加しやすく、学ぶことが多いゆえだ。

公権力を国と地方に分散し、抑制と均衡を働かせることで乱用を防ぎ、人権を守る。それも憲法に込められた精神である。

憲法を具体化するための地方自治法は、憲法と同じ日に施行された。

70年の節目に、改めて問う。地方自治は機能しているか。

答えは残念ながら、不十分だと言わざるをえない。

■息切れする分権改革

1960年代には「革新自治体」が相次いで誕生した。70年代には先進的な自治体が国に先んじて施策を競い合い、「地方の時代」と呼ばれ始めた。

一方で「3割自治」とも言われ続けた。自主財源は3割ほど、仕事も国に指図される機関委任事務が多かった。ほとんどの自治体が各省庁の補助金をあてにし、戦前からの中央集権構造にどっぷりつかっていた。

事態が動き出したのは、自民党長期政権から、分権改革を唱えた細川連立政権に交代した93年である。

衆参両院が地方分権をすすめる国会決議をした。「東京への一極集中を排除」して、「中央集権的行政のあり方を問い直し」、「時代にふさわしい地方自治を確立」すると明記した。

選挙制度改革などとともに、東西冷戦後の国の統治機構を見直す動きの一環だった。

住民の要望は多様だ。国が画一的な政策で全国一律に対応するより、住民に近い自治体に判断を委ね、責任を持たせた方が効果的で効率的だと考えられた。そして分権改革の最大の成果である機関委任事務の廃止が2000年に実現した。

政府と自治体の関係は「上下・主従」から「対等・協力」に変わった。中央集権構造の解体の始まりを告げる「地方自治の夜明け」――のはずだった。

だが、いま分権改革は息切れしている。いや、むしろ逆行しているようにさえ見える。

■安倍政権の集権回帰

象徴は、安倍政権による「地方創生」である。

首相は「地方の自主性」を強調するが、実態は国主導だ。

自治体が目標値を明記した計画を提案し、スポンサーである国が採否を決める。これでは判定者の国が自治体の上に立つ。主従関係そのものだ。

分権改革の先行きは明るいとは言えない。理由は二つある。

ひとつは、安倍政権に地方自治を軽視する傾向が見られることだ。米軍普天間飛行場の移設をめぐる、沖縄県への強権的な姿勢がその典型だ。

5年前に自民党がまとめた改憲草案も、自治体の権限や自主性を弱めようという意図が透けている。

たとえば、地方自治は「住民に身近な行政」を旨とするという一節を書き込む点。それと憲法が認める自治体の財産管理権や行政執行権を削除する点だ。

自治体を国から与えられた仕事をこなす下請け機関に押しとどめ、中央集権への回帰をめざす方向性が見て取れる。

「安倍1強」のもと、ただでさえ、行政府に対する立法府の歯止めが効きにくいのに、これでは地方のチェック機能も弱体化しかねない。

改革に展望が見えない二つめの理由は、自治体側に中央依存体質が残っていることだ。

国の旗振りに応じ、全国各地で画一的なプレミアム商品券発行に走る。まちづくりの計画立案をコンサルタントに丸投げする……。地方行政が「お任せ」を続けているうえ、地方政治では議員の政務活動費の乱費が後を絶たない。これでは国と対等に渡り合えるはずもない。

■自治体も意識改革を

人口減少による地方の疲弊に目を向ければ、従来の国主導の手法の限界は明らかだ。自治体の側が主導する意識改革が欠かせない。

振り返れば、公害対策も福祉政策も景観問題も情報公開も、自治体が国より先に政策をつくってきた。原発事故後は、自然エネルギー開発の先陣を切る自治体も多い。

地域の課題は地域の力で解決する。そんな社会をつくるには財源や権限を思い切って自治体に渡し、役割と責任を拡充する必要がある。

そうやって地方自治を成熟させることが、住民が主役のまちづくりの土台になる。
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[読売新聞] 北ミサイル発射 中韓への挑発だけではない (2017年05月15日)

北朝鮮の弾道ミサイル能力の確実な向上を示す威嚇行動だ。関係国は緊密に連携し、包囲網を強化せねばならない。

北朝鮮が北西部から弾道ミサイルを発射した。約30分間にわたって、800キロ程度飛行し、日本海に落下した。

防衛省によると、高度が2000キロ超と、従来の中距離ミサイルよりも格段に高く、新型ミサイルの可能性がある。意図的に高い軌道を選んだとみられる。通常の角度で発射すれば、飛行距離を大幅に伸ばせると分析されている。

安倍首相は、「国際社会の強い警告にもかかわらず、またも発射を強行した。断じて容認できない」と、北朝鮮に強く抗議した。

韓国では、北朝鮮に融和的な左派の文在寅大統領が就任したばかりだ。文氏との対話に簡単には応じない、という金正恩政権のメッセージとも解されよう。

文氏は関係閣僚らとの会議で、「無謀な挑発だ」と、北朝鮮を批判した。南北対話について、「可能性はあるが、北朝鮮の態度が変わって初めて実施できる」と、慎重な姿勢を見せた。対話や経済支援を急いではなるまい。

日米韓が、結束して北朝鮮に対処することが大切である。

岸田外相と韓国の尹炳世外相が電話会談で、「対話のための対話では意味がなく、今は北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と確認したのは、もっともだ。

北朝鮮のミサイル発射は、中国の「一帯一路」国際協力フォーラムの開幕直前を狙い撃ちしたものだった。米国と協調して圧力を強めようとする習近平政権への牽制(けんせい)であるのは間違いない。

北朝鮮経済の生命線を握る中国は今こそ、原油供給を制限するといった実効性のある措置に踏み切ることが求められよう。

日本は、外交努力と同時に、独自のミサイル防衛を強化する取り組みが欠かせない。

政府は、陸上型イージスシステムを新たに導入する方向で調整に入った。コストなどの面で適切との意見が強まっているためだ。

実現すれば、現行のイージス艦搭載の迎撃ミサイル、地上配備の地対空誘導弾と合わせた「3段構え」の迎撃態勢が整う。

政府と自治体は、国民の安全確保に万全を期す必要がある。

全国瞬時警報システム「Jアラート」を活用した避難訓練を重ねる。着弾時の対処法などの周知徹底を図る。いずれも不測の事態に備えた対応であり、「過剰反応」との批判は当たらない。
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