2017年05月09日

[東京新聞] マクロン氏当選 ノンにも耳を傾けよ (2017年05月09日)

仏大統領選で親EUを掲げたマクロン氏の勝利は世界的な自国第一主義の流れに歯止めをかけ、ひとまずEUの安定につながろう。新大統領は「取り残された人々」の疑念の声に応える責務がある。

「極右は嫌だが、銀行家(新自由主義)も嫌だ」−。街にあふれたスローガンは、今回の選挙の本質を物語るものだ。

得票率だけみればマクロン氏の圧勝だが実情は異なる。ルペン氏の得票率34%は極右勢力として現体制六十年の歴史で最大だし、全候補者に「ノン」の意思表示である白票の多さも過去に例がない。マクロン氏勝利はやむを得ない「消極的選択」と評された。

三十九歳のマクロン氏は高級官僚から投資銀行幹部に転じ、オランド政権では経済相を務めた。議員の経験は皆無で、自らの政治団体「アン・マルシュ(前進)」も昨年四月につくったばかりだ。

「左派でも右派でもない」といい、社会政策こそ移民や難民に寛容なリベラル派だが、経済政策は規制緩和推進など保守と変わらぬ新自由主義者である。

歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏は「新自由主義者がナショナリズム(自国第一主義)を養っている」と批判していた。

若者の四人に一人が失業など経済の低迷こそがフランスの最大課題だ。それは英国の欧州連合(EU)離脱やトランプ米大統領の誕生と同様、反グローバル経済や反自由貿易などの国民感情を生んだ。極右などポピュリズム勢力が伸長する土壌にもなった。

しかし、そうした「取り残された人々」に対し、マクロン氏も、またEUも説得力のある手だてを示せていない。

EUの統合深化を主張するならば、その先に国民はどんな恩恵が得られるのかをわかりやすく説かなければならない。

ドイツとともにEUを引っ張ってきた中核国フランスで離脱派が勝てばEU崩壊の危機もささやかれた。この結果は、幾多の戦乱や侵略を経験した欧州人が平和の安定装置として築いたEUを守ろうと、安易に極右には勝たせない意志を示したといえよう。

新大統領の最初の試練は六月の国民議会(下院)選挙である。ゼロからのスタートとなる「前進」が過半数を占めることができなければ、野党内閣との共存(コアビタシオン)を強いられ、難しい政権運営となる。

分断状態の国民を結集させられるか、私たちも注目したい。
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[東京新聞] 首相の改憲発言 9条空文化は許されぬ (2017年05月09日)

真の狙いはどこにあるのか。安倍晋三首相が憲法九条を改正し、自衛隊の存在を認める条文を加えることに意欲を示したが、戦争放棄と戦力不保持の理念を空文化する改正なら、許してはならない。

首相は日本国憲法施行七十年の節目に当たる三日、東京都内で開かれた憲法改正を訴える集会にビデオメッセージを寄せ、「二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。

改正項目に挙げたのは現行九条の一、二項を残しつつ、三項を設けて自衛隊の存在を明記すること、高等教育を含む教育無償化を規定することの二点である。

九条に三項を加えるなどの「加憲」案は公明党がかつて理解を示していた主張。教育無償化は日本維新の会の改憲案に盛り込まれており、改憲実現に向けて両党の協力を得る狙いがあるのだろう。

とはいえ、この内容からは憲法を改正しなければ対応できない切迫性は感じられない。

政府は自衛隊について、憲法が保持を禁じる戦力には当たらず、合憲との立場を貫いてきた。

首相は改正を要する理由に憲法学者らによる違憲論を挙げたが、ならば首相もそうした学者らと同様、自衛隊違憲の立場なのか。

自衛隊の存在はすでに、広く国民に認められている。必要がないのに改正に前のめりになるのは、別の狙いがあるからだろうか。

自衛隊の存在を明記するだけと言いながら、集団的自衛権の限定なしの行使を認めたり、武器使用の歯止めをなくすような条文を潜り込ませようとするのなら、断じて認められない。

教育無償化も同様だ。無償化には賛成だが、憲法を改正しなくても、できることは多い。そもそも旧民主党政権が実現した高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは安倍自民党政権ではなかったか。ご都合主義にもほどがある。

憲法は主権者たる国民が権力を律するためにある。改正は、必要性を指摘する声が国民から澎湃(ほうはい)と湧き上がることが前提のはずだ。

首相の発言は国民の代表たる国会で進められている憲法審査会の議論にも水を差す。自民党総裁としての発言だとしても、首相に課せられた憲法尊重、擁護義務に反するのではないか。

そもそも東京五輪が行われる二〇年と憲法改正は関係がない。内容は二の次で、自らの在任中の改正実現を優先するのなら「改憲ありき」の批判は免れまい。
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[産経新聞] 【主張】中国の宇宙開発 遅れる日本に戦略あるか (2017年05月09日)

「有人中華宇宙ステーション」の実現が一気に現実味を帯びた。中国の無人宇宙貨物船「天舟1号」の打ち上げを受けての感触である。

天舟1号は地球を周回中の無人宇宙実験室「天宮2号」に結合し、燃料注入にも成功した。

宇宙ステーションに食料や物資などを補給する貨物船は、宇宙飛行士の長期滞在に欠かせない存在である。

天宮2号は、国際宇宙ステーション(ISS)とほぼ同じ高さの地球周回軌道を回っている。

天舟1号のドッキング成功は、2022年ごろからの運用開始を目指す本格的な中国製の宇宙ステーションを支える技術体系の完成を意味するものだ。

日本の宇宙開発力は近年に至って中国に大きく水をあけられた。1970年に日本と中国は相次いで人工衛星の打ち上げに成功し、世界の4、5番手に並んだ。

90年代ごろまでは、日本優位で進んだが、その後は逆転の道をたどってしまう。

どうしてこうなったのか。中国の宇宙開発には膨大な軍事予算が投入されているが、原因はそれだけではない。

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一つは計画性である。日本が米国のスペースシャトルへの便乗で満足している間に中国は長征ロケットの技術を着々と積み上げた。2009年以降は、ISSへの日の丸無人貨物船「こうのとり」の投入で注目を集めたが、天舟1号で追いつかれた。

日本の宇宙開発力は、欧米と比べても周回遅れの様相を帯びつつある。米国では新規参入のスペースX社が、ロケットの1段目を回収して次の打ち上げに再利用する革新的技術を確立し、コストの大幅値下げを視野に入れている。

欧州のアリアンスペース社も次期主力ロケット・アリアン6のコストを半分以下に圧縮する方針だ。衛星打ち上げ市場での日本のビジネス展開は、一段と苦戦を強いられる。こうした各国に日本が伍(ご)していくには、ロボット技術に特化していくなどの独自性の高い戦略が求められよう。

「宇宙強国」を目指す中国は、中華GPSの確立も急いでいる。多数の衛星を投入することになろう。宇宙空間を残骸や破片で汚す行為は慎むべきだ。

宇宙ステーションも鳴り物入りの建設である。ぜひとも納得のいく世界への貢献策を聞きたい。
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[産経新聞] 【主張】仏大統領選 EU危機を越える契機に (2017年05月09日)

ひとまず安堵(あんど)できる結果だったといえよう。

フランス大統領選は、中道・独立系のマクロン前経済相が、極右「国民戦線」を率いるルペン氏を大差で破った。

欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票実施の公約を掲げたルペン氏に対し、マクロン氏はEU重視の姿勢を示していた。

英国の離脱決定でEUが揺れる中、主要国のフランスもこれに追随し、一層の混乱を招く事態は回避された。

欧州統合は2度の大戦の経験を踏まえて欧州各国が国境を開き、ともに平和と繁栄を追求しようとする試みである。今一度、これを確認する機会としてほしい。

英国民投票やトランプ米大統領の誕生で「自国第一」や排他的主張を掲げる大衆迎合主義(ポピュリズム)の台頭が際立っていた。反イスラムや反移民の主張を色濃く打ち出すルペン氏が決選投票に残る展開も軌を一にしている。

マクロン氏の圧勝は、こうした流れに歯止めをかけた。一方で、共和、社会の仏二大政党の候補が第1回選挙で敗れ去り、「国民戦線」が主要野党として存在感を増した側面も見逃せない。

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ポピュリズムの背景には、欧米各国での格差拡大に伴う政治への不満、先行きへの不安がある。フランスでは、失業率が約10%で高止まりしている。

マクロン氏が成果を上げられなければ、再びルペン氏が脚光を浴びる局面もあるだろう。

大胆な経済改革を公約したマクロン氏は、公務員の大幅削減による財政赤字の解消などを挙げた。その成否は、フランスのみならず欧州統合の将来も左右する。

国民議会(下院)に支持基盤のないマクロン氏にとり、6月の総選挙でどれだけ支持勢力を形成できるかが当面の焦点となる。

フランスは国連安全保障理事会の常任理事国で、先進7カ国(G7)のメンバーでもある。ドイツと並ぶ欧州統合の牽引(けんいん)役として、EU内で強い指導力を発揮し、移民・難民問題などに対処してもらいたい。

日本にとっては、法の支配などの価値観を共有し、南シナ海問題などで足並みをそろえることのできる重要なパートナーである。

国際協調路線に踏みとどまることを前提に、難しいかじ取りを担ってほしい。
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[毎日新聞] 憲法改正提案と森友問題 首相答弁に改めて驚く (2017年05月09日)

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一体、国会は何のためにあると安倍晋三首相は考えているのだろうか。改めて強い疑問を抱かせる衆院予算委員会の集中審議だった。

まず指摘したいのは、憲法改正に対する安倍首相の答弁だ。

首相は先週、9条の1項と2項を維持したうえで「自衛隊を明記した条文を追加する」との考えを提起した。5月3日付の読売新聞朝刊でのインタビューで明らかにし、同日開かれた改憲を求める団体などが主催した集会に寄せた首相のビデオメッセージでも同様に表明したものだ。

議員側が集中審議で、その意図をはじめ、より具体的な条文の中身や考え方を聞くのは当然だ。しかし、首相は、提案は自民党総裁として示したのであり、予算委は首相の立場での答弁に限定すると強調。「総裁としての考えは読売新聞を熟読していただきたい」と突き放した。

今回「2020年に新憲法施行を」とまで明言したのは首相本人だ。ところが国会で質問されると、首相と総裁の立場を使い分け、「後は与野党で」とゲタを預けてしまう。

これではあまりに無責任でご都合主義だ。首相が狙ったという「憲法議論の活性化」も阻むことになる。

大阪市の学校法人「森友学園」問題に関する答弁にも驚いた。

この問題では最近、学園の籠池泰典前理事長が一連の交渉経過について首相の妻・昭恵氏にその都度、報告していたと明らかにしている。自らの進退にも言及した「私も妻も関わっていない」との首相答弁は一段と揺らいでいると言える。

だが民進党議員が「学園と昭恵氏はズブズブの関係だ」と指摘した途端に首相はムキになり、「品の悪い言葉はやめた方がいい」「それが民進党の(低)支持率に表れている」とお門違いの反論をしてみせた。

言葉遣いは確かに悪い。ただし、国民が聞きたいのは、そんな話ではなく真相だ。野党が籠池氏の証言ばかりを流しているというのなら、昭恵氏が記者会見や国会の場できちんと反論するよう首相が促すべきだ。

財務省も結局、手続きは適正だったと繰り返すだけで、野党の要求に応じて提出した資料も黒塗りだらけだった。これで通用すると考えているとしたら、首相と同じく国会、いや国民軽視である。
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[毎日新聞] 仏新大統領にマクロン氏 欧州結束に引き戻せるか (2017年05月09日)

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フランス大統領選は決選投票で、欧州連合(EU)の統合推進を掲げた中道・独立系のマクロン前経済相が勝利した。仏史上最も若い39歳の大統領となる。

反EUを訴えた極右・国民戦線のルペン氏は敗れた。

得票率で約66%対約34%の大差がついた。親EU派の勝利に、ドイツのメルケル首相やEU首脳陣は歓迎の声を上げている。

マクロン氏の勝因は保革2大既成政党が低迷する中、「右でも左でもない」道を掲げ、若さと新しさを前面に押し出したことだろう。

草の根の市民運動「前進」を率い、有権者からの聞き取り調査をもとに支持層を広げた。経済立て直しのため規制緩和を説く一方、弱者に配慮した政策も掲げ、既成の左右にとらわれない道を示した。

またグローバリズムを支持し、開かれたフランスを主張した。英国の離脱で動揺するEUは、ひとまず欧州分裂の危機を回避したといえる。

とはいえルペン氏は、国民戦線としては史上最多の1000万票以上を獲得した。白票などを除く投票の3分の1が反グローバリズム、保護主義、反移民の主張に賛同したことを深刻に受け止めるべきだろう。

フランスはEU統合を主導しつつグローバリズムの進展により国内で格差が広がった。恩恵を受けられなかった失業者、労働者らが既成政治やエリート、移民への不満を持つ。

排外主義的な主張を基軸とする国民戦線とルペン氏は、そうした不満をすくい上げて伸長してきた。

欧州では昨年12月のオーストリア大統領選で極右政党の候補が接戦で敗れた。今年3月のオランダ下院選で極右政党が第2党に進出した。極右台頭の懸念は消えない。

マクロン氏は議会での基盤がほとんどない。6月に実施される国民議会(下院)選で、与党勢力をどれだけ集められるかが焦点となる。既成政党と組むことになれば、新しい政治を求める国民の反感を買うことになりかねない。

EU統合策が国民に広く恩恵をもたらすことを、マクロン氏は改めて示さねばならない。分裂・分断した社会の修復にも努めねばならない。

国民の融和と欧州の結束を実現できるか、政治手腕が問われる。
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[日経新聞] マクロン氏は仏経済再生と欧州の安定を (2017年05月09日)

欧州の混乱を心配する世界をひとまず安堵させる結果となった。

フランスの次期大統領に、欧州連合(EU)の統合維持や経済改革の推進を掲げる中道系独立候補のマクロン元経済産業デジタル相が選ばれた。極右政党、国民戦線(FN)のルペン氏を決選投票で大差で退けての勝利だ。

厳しい移民制限やEUからの離脱を問う国民投票など、排外的で過激な政策を掲げるルペン氏が大統領になれば、欧州の不安定化は避けられなかった。

欧米で目立つポピュリズム(大衆迎合主義)的な政治の広がりが、欧州の中核国フランスで歯止めがかかったことを歓迎したい。

マクロン氏は39歳と若く、2大政党のいずれにも属さない新鮮さが有権者を引き付けたようだ。極右の大統領誕生を阻もうとする票が集まったことも後押しし、一気に頂点に駆け上がった。

欧州統合を支持し、開かれた経済を堅持する立場であることは心強い。ドイツとの連携を強めながら、欧州の安定、成長やユーロ圏の運営強化に向けて手腕を発揮してほしい。

優先的に取り組むべき課題は停滞が長引く経済の再生だ。

フランスは経済成長が勢いを欠き、失業率は10%前後で高止まりしている。労働市場などの改革が遅れ、欧州随一の経済力を誇るドイツとの差は大きい。

企業の活力強化をめざす姿勢のマクロン氏は、規制緩和や法人税減税を説いている。改革を着実にやり遂げて成長力を回復させることが、分断の目立つ仏社会を安定させるうえでも欠かせない。

敗れたとはいえ、ルペン氏は決選投票にまで勝ち進み、支持の根強さを見せつけた。共和党、社会党という2大政党の候補がいずれも第1回投票で敗退し、既成政党への不満が強いことも示したのが今回の選挙だ。

内向きで保護主義的な主張がなぜ共感を呼ぶのか、その背景に目を向けながら改革を進めることが必要となる。マクロン氏が国民の期待にこたえられないと将来、再び排外的な政治家が政権をうかがう事態も考えられるだろう。

最初の関門は6月の議会選挙だ。マクロン氏の政治運動団体「前進」が十分な議席を獲得し、安定した政権基盤を築けるかどうかが焦点となる。フランス史上最年少の大統領の、改革に向けた決意と実行力に注目したい。
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[日経新聞] TPP11の道筋を早くつくれ (2017年05月09日)

米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国が首席交渉官会合を開き、今月下旬の閣僚会合にむけた準備をすすめた。

TPPは質の高い21世紀型の貿易・投資協定である。日本が主導し、11カ国による協定発効の道筋を早くつくらねばならない。

首席交渉官会合は11カ国の結束をひとまず確認したものの、TPPの将来像をめぐる各国の温度差を完全に解消するには至らなかったもようだ。

ベトナムやマレーシアは輸出市場としての米国への期待が大きかった分だけ、米国抜きのTPPに慎重な意見が強いとされる。

チリやペルーなど中南米のTPP参加国の間では、中国のTPP参加を期待する声がある。ニュージーランドなどは11カ国によるTPP(TPP11)を支持しているという。

こんな多様な意見をいかに収束させ、TPP11を実現するか。

TPPは関税の撤廃に加え、知的財産権の保護、電子商取引、環境、労働など幅広いルールを定めている。まずはその価値を11カ国で再確認してほしい。

トランプ米政権は2国間の通商交渉を重視する方針だ。ベトナムやマレーシアが仮に米国との2国間の自由貿易協定(FTA)を視野に入れるならば、これを日本も支援する姿勢を示してはどうか。

一方で、チリ、ペルー、メキシコのTPP参加国にコロンビアを加えた計4カ国は経済共同体「太平洋同盟」をつくっている。

4カ国は3月の会合で同盟の「準加盟国」を設ける方針を決めており、この方式を使って中国と連携するのは一案だ。TPPとは切り離して対応してほしい。

TPP11が実現すれば、日本はこれを武器に対米交渉を有利に進めやすくなる。さらにTPP非加盟の韓国、インドネシア、タイなどの参加を後押しすれば、透明性の高い貿易・投資ルールをアジアに広げることができる。

今こそ日本の経済外交の構想力と行動力が問われている。
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[読売新聞] 仏大統領選 EU崩壊を防いだマクロン氏 (2017年05月09日)

欧州連合(EU)が崩壊に向かうという最悪の事態は、回避されたと言えよう。この結果をフランス政治の安定につなげることができるのか。

仏大統領選の決選投票で、EU統合推進を唱える中道で無所属のマクロン前経済相が、EU離脱を主張した極右・国民戦線のルペン氏を大差で破り、当選した。史上最も若い39歳の大統領になる。

マクロン氏は「フランスを脅かす分断と戦う。国民を結集し、欧州を守る」と勝利宣言した。

主な勝因は、急激なEU離れを嫌う有権者の現状維持志向だ。ユーロ離脱というルペン氏の公約は危険だ、とするマクロン氏の批判が説得力を持ったのだろう。

第1回投票で敗れた中道右派と中道左派の既存政党がマクロン氏の支持に回ったことが、追い風になったのも間違いない。

ルペン氏は第1回投票から得票を上積みし、国民戦線候補として最多票を記録した。特に、製造業が衰退した地域で支持を広げた。社会の亀裂は深刻である。

今回の投票率は前回の2012年より低下し、白票・無効票が過去最多だった。エリートのマクロン氏と、移民排斥を強調するルペン氏のどちらも拒む有権者が多かったのではないか。

マクロン氏は、新政権の閣僚人事を固めた後、6月の国民議会選で、自ら率いる新政党の議席獲得を目指す。議会は内閣不信任の権限を持つが、これを避けるだけの議席を得るのは容易ではない。

規制緩和による経済再生や雇用創出の公約を断行しようとするなら、既成政党との連携や協力など柔軟な対応も求められよう。

フランスはユーロ圏第2の経済規模を有し、欧州統合の原動力の役割を果たしてきた。英国離脱という困難なプロセスにあるEUが結束を強めるためには、マクロン氏の努力が欠かせない。

多くの加盟国で、「自国第一」を掲げる大衆迎合主義(ポピュリズム)政党が反難民・移民を訴える。EUの緊縮財政路線を批判して、既成政党とせめぎ合う。

「反EU」勢力はオランダの下院選で伸び悩み、フランスでも政権奪取を阻まれた。メルケル独首相をはじめ加盟国首脳らは、こうした選挙結果を歓迎する。

だが、EUには安心している余裕はない。実効性のある難民政策の策定や、南北間の経済格差の緩和といった難問が山積する。改革に本腰を入れ、各地におけるポピュリズム政党の勢力伸長を食い止めねばなるまい。
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[朝日新聞] 仏大統領選 改革の態勢づくり急げ (2017年05月09日)

人やマネーが国境を越えて行き交うグローバル化に、どう向き合うべきか。

この問題が真正面から問われたフランス大統領選挙で、中道・独立系のエマニュエル・マクロン氏が当選した。

国をさらに開き、多様な社会を築いて繁栄をめざす。そんな主張で、自国第一や移民規制を掲げた右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を破った。

高失業率が続く閉塞(へいそく)感、テロの不安はいぜん根強い。それでも、国境を閉じれば多くの問題が解決するかのようなルペン氏の安易な論法に、仏国民が下した冷静な判断を評価したい。

欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票、トランプ米政権誕生など、自国優先やポピュリズム(大衆迎合)政治の世界的な潮流は、このフランスの結果でいったん止まった形だ。

しかし、同じ問いは今後も続く。グローバル化は、産業の国外流出をもたらし、格差を広げる脅威か。それとも経済を活性化するチャンスか。それは、日本を含む先進国に共通する課題であり続けるだろう。

マクロン氏は、法人減税や雇用改革による産業競争力の強化と、失業者向けの職業訓練など弱者救済の双方を説く。その改革に、新政権の浮沈がかかる。

対外的には、多国間主義を体現するEUでフランスの指導力を取り戻す必要がある。国際協調の旗手として、ドイツと共に自国第一主義の波を食い止める責任を果たしてほしい。

その前途は平坦(へいたん)ではない。

独自の政治運動を立ち上げてから1年しかたたないマクロン氏がまず越えるべきハードルは6月の総選挙だ。議会で多数派を得られなければ改革は始動しない。ただちに政治基盤づくりに取りかかる必要がある。

もう一つの不安は、マクロン氏自身の経歴に由来する。

投資銀行幹部などエリート街道を歩んできただけに、弱者に配慮した政策に取り組めるのか。今回の大統領選の投票率が1969年以来最低を記録したことに、不信感が表れている。

ルペン氏は敗れたとはいえ国民戦線として過去最多の票を獲得した。グローバル化に反発する層の受け皿になった。

マクロン氏はこれまで以上に丁寧に、自らの政策について国民に説明を尽くし、社会の分断解消に努めてもらいたい。

改革が頓挫すれば、政治不信はより深まるだろう。安易な解決策を説くポピュリズムが息を吹き返し、自国第一主義がさらに国際社会を分断する。そんな事態は避けねばならない。
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[朝日新聞] 憲法70年 9条改憲論の危うさ (2017年05月09日)

安倍首相が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、9条に自衛隊の存在を明記した条文を追加するなどの改憲構想を示した。

国民の間で定着し、幅広い支持を得ている自衛隊の明文化なら理解が得やすい。首相はそう考えているのかもしれない。

だが首相のこの考えは、平和国家としての日本の形を変えかねない。容認できない。

自衛隊は歴代内閣の憲法解釈で一貫して合憲とされてきた。

9条は1項で戦争放棄をうたい、2項で戦力不保持を定めている。あらゆる武力行使を禁じる文言に見えるが、外部の武力攻撃から国民の生命や自由を守ることは政府の最優先の責務である。そのための必要最小限度の武力行使と実力組織の保有は、9条の例外として許容される――。そう解されてきた。

想定されているのは日本への武力攻撃であり、それに対する個別的自衛権の行使である。ところが安倍政権は14年、安全保障関連法の制定に向けて、この解釈を閣議決定で変更し、日本の存立が脅かされるなどの場合に、他国への武力攻撃でも許容されるとして集団的自衛権の行使容認に踏み込んだ。

改めるべきは9条ではない。安倍政権による、この一方的な解釈変更の方である。

安倍政権のもとで、自衛隊の任務は「変質」させられた。その自衛隊を9条に明記することでこれを追認し、正当化する狙いがあるのではないか。

自民党は12年にまとめた改憲草案で2項を削除し、集団的自衛権も含む「自衛権」の明記などを提言した。その底流には、自衛隊を他国並みの軍隊にしたいという意図がある。首相はきのうの国会審議でも、草案を撤回する考えはないとした。

草案に比べれば、首相がいう「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という案は一見、穏当にもみえる。

だが1項、2項のもつ意味と、集団的自衛権の行使に踏み込む自衛隊とは整合しない。日本の平和主義の基盤を揺るがしかねず、新たな人権を加えるような「加憲」とは質が違う。

そもそも憲法改正の発議に向けた議論を担うのは、衆参の憲法審査会だ。その頭越しに行政府の長が改憲項目を指定するのは、与野党協調を重視してきた憲法審の議論を混乱させる。

東京五輪の開かれる20年と改憲の期限を首相が関連づけたのも、おかしな話だ。自民党総裁3選を視野に、自らの首相在任中に改憲を実現したいと言っているようにしか聞こえない。
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[読売新聞] 首相改憲発言 自衛隊明記の議論を深めたい (2017年05月09日)

憲法を改正し、2020年に施行する。安倍首相が掲げた具体的な目標にどう応えるのか。各党は、生産的な改正論議を展開してもらいたい。

首相は衆院予算委員会で、憲法改正の目標年を明示した理由について「国会の政党間の議論を活性化するためだ」と強調した。

改正目標はあくまで自民党総裁としての発言だったとも語った。「この場には首相として立っている」と述べ、改正内容の詳細などに言及するのは避けた。

衆参両院の憲法審査会では、自由討議が多く、意見の集約や改正項目の絞り込みは進んでいない。改正論議を加速させようとする首相の意図は十分に理解できる。

首相は読売新聞のインタビューなどで、9条の改正を提起した。多くの憲法学者らが「憲法違反」と指摘する自衛隊の存在を明記することが目的である。

日本の安全保障環境が急速に悪化する中、不毛な「違憲論」を完全に否定し、自衛隊の役割を明確にする意義は大きい。

首相は、戦争放棄をうたった1項と、戦力不保持を規定する2項を残したうえで、自衛隊の根拠規定を追加する案を示した。

自民党は12年憲法改正草案などで、2項の変更を提案してきた。幅広い合意形成には、2項も維持した方が良いとの判断だろう。

「加憲」を掲げる公明党の山口代表は「自民党の草案とは違った視点で、9条1項、2項はちゃんと維持する提案だ」と評価した。自民党の高村正彦副総裁も「最も穏健だ」と賛意を示す。

ただ、石破茂・前地方創生相は2項維持を「党内論議で出たことがない」と語り、自衛隊の明文化との整合性を疑問視した。

どんな形で自衛隊の存在を明記するのが適切か、まずは自民党が党内の意見を集約すべきだ。その後の各党との調整には、より多くの党の賛成を得るよう、柔軟な姿勢で臨むことが求められよう。

首相は予算委で、日本維新の会が主張する教育無償化にも前向きな考えを示した。維新の丸山穂高氏は「歓迎だ。中身を議論しなければいけない」と語った。

民進党の蓮舫代表は「首相は口を開けば(改正を目指す)条項が違う。誰のために改正するのか」と述べるなど、依然として首相批判を優先している。

党内では、教育無償化など3項目の改憲私案を発表した細野豪志・前代表代行ら、改憲に前向きな議員が少なくない。もっと建設的な議論を仕掛けてもらいたい。
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