2017年05月07日

[産経新聞] 【主張】日銀の景気判断 機を逃さず確かな成長へ (2017年05月07日)

景気は「緩やかな拡大に転じつつある」。日銀が景気判断で「拡大」という表現を使うのは9年ぶりだという。

デフレ期に深刻化した需要不足からようやく脱し、需要が供給を上回る景気拡大期に入ったという見立てである。

とはいえ、持続的な成長は確信できないというのが、大方の実感ではないか。

日銀の期待ほど、物価は上がっていない。目標とした物価上昇率2%の達成は遅れている。緩やかな物価上昇をもたらすような、経済の力強さはみられない。それが現実といえよう。

むろん、明るい兆候に着目し、機を逃さず成長の足取りを確かにする取り組みは欠かせない。

企業収益の改善を所得や消費の拡大へとつなげ、経済の好循環を図ることでデフレからの完全脱却を果たす努力を加速すべきだ。

「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は、景気が上向いた理由として、海外経済の回復で輸出が増加し、企業の生産や雇用が改善したことなどを挙げる。日銀は1月時点より強めの成長を見込み、平成29年度の経済成長率見通しを1・6%としている。

続きを読む

29年度の物価上昇率は1・4%とし、2%達成時期を「30年度ごろ」とする見方を据え置いた。

ただ、足元の消費者物価上昇率は0・2%である。日銀は、0%台後半とされる潜在成長率を上回る勢いで成長が続けば、労働需給が一段と引き締まり、賃金や物価の着実な上昇につながると想定している。

とても楽観はできまい。保護主義傾向の強いトランプ米政権の経済運営など、海外経済は不確実性が高い。外需頼みの景気回復は危うさをはらんでいる。

デフレ心理も根強い。流通大手のイオンは、傘下スーパーで食品や日用品の値下げに踏み切った。節約志向に対応したものだ。

この状況で、日銀が異次元緩和からの「出口論」を前のめりになって議論するわけにはいくまい。無論、日銀は長引く金融緩和の副作用に目を配り、丁寧な政策運営に努めるべきである。

政府の役割も大きい。それは、財政出動でやみくもに需要を刺激するのではなく、真に成長に資する事業を吟味することだ。企業活動を後押しする規制緩和などを通じ、成長の基盤をさらに強化することも等しく重要である。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】メタボ健診の普及 経営者の無理解をなくせ (2017年05月07日)

生活習慣病の原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防する特定健診の受診率が低迷している。

厚生労働省は、受診者が少ない健康保険組合(健保)などに対し、健保が負担する後期高齢者医療制度に払う支援金を、大幅増額する見直し案をまとめた。

支援金加算は保険料上昇につながる可能性があるため、ペナルティーありきでは困る。だが、保険者に受診を促す仕組みには、一定の効果を期待できるだろう。

生活習慣病は初期の対処次第で将来の病状が大きく変わる。早期発見で治療を始めることが重要である。結果として、それは医療費の抑制にもつながる。

見直し案はペナルティーを科す成果指標を拡大し、加算率も現行の0・23%から平成32年度には最大10%にする。逆に受診率向上や生活習慣病の重症化予防で成果を挙げた場合の報奨も強化する。

特定健診の受診率(26年度)は約49%で、政府が目標とする70%に遠く及ばない。生活改善に向けた保健指導の実施率も、目標を大きく下回っている。

続きを読む

協会けんぽや国民健康保険も保険者へのインセンティブにメリハリを付ける取り組みを行う。一部の人だけが過度の負担にならないよう節度ある運用を望みたい。

とりわけサラリーマンが加入する企業の健保では、経営者のリーダーシップがカギとなる。多くの企業にとって、健保は組織の一部であり、健保任せでは限界があるからだ。

業務が多忙で受診時間がとれないという人は少なくない。部署による受診率の開きも大きい。経営者はこうした実態をどこまで把握しているだろうか。社員が受診しやすい環境づくりに、力を注いでもらいたい。

過労死が社会問題化しているが、社員の健康を維持、増進することは企業の生産性や収益性の向上と不可分だ。社員一人が倒れれば、他の社員の負担が増える。

厚労省には、こうした意味合いも含め、特定健診や保健指導の意義と重要性を、各社の経営者にしっかり説明するよう求めたい。

何よりも大切なのは、個々人が「自分の健康は、自身で守る」意識を持つことだ。日常の食事や運動、休息とも密接な関係がある。社会全体で健康づくりの機運を醸成していきたい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 米国抜きのTPP協議 なお戦略的な意味を持つ (2017年05月07日)

[PR]

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加する日本政府は、米国抜きの発効を目指し、米国以外の11カ国での協議に入った。

巨大市場の米国が離脱したままでは効果が乏しいとの意見も根強い。それでも、TPPを漂流させずにアジア太平洋地域に自由貿易圏を形成することは、トランプ米政権の保護主義政策をけん制する戦略的な意味を持つはずだ。

日本は従来、米国抜きに慎重だった。だが、日米経済対話などを通じて、米国の早期翻意は困難と判断した。11カ国での発効を先行させ、将来的な米国の復帰を待つ考えだ。

ただ、各国の思惑は複雑だ。

オーストラリアやニュージーランドは日本などへの農産物輸出の増加を期待し、米国抜きに前向きだ。

一方、ベトナムやマレーシアは慎重だ。繊維製品などの対米輸出拡大を見込んでいたためだ。

また、ペルーやチリは、米国の代わりに中国の参加を望んでいる。

各国の事情は異なるが、高水準の通商ルールというTPPの成果をまず具体化することが、それぞれの国益につながるのではないか。

TPPは貿易や投資の自由化に加え、知的財産権の保護や電子商取引の促進など幅広い分野を網羅する。米国抜きというマイナス面を割り引いても、利点は多いはずだ。

多国間交渉に背を向けたトランプ政権は、各国に2国間交渉を迫る構えだ。米国の経済力をバックに相手国の譲歩を引き出す狙いだ。

米国抜きの自由貿易圏を構築すれば、米国の保護主義的な圧力に対する防波堤の役割も果たせるだろう。

米国がTPP離脱で自由貿易の恩恵を得られず、自らに不利と分かれば、米国内で復帰を求める声が高まる可能性もある。米国を多国間の枠組みに引き戻すてこにしたい。

11カ国は今月下旬にベトナムで閣僚会合を開く。経済規模が最大の日本は協議を主導し、意義が理解されるよう努めてほしい。並行して米国には粘り強く復帰を促すべきだ。

米国抜きの協定を発効させる場合、日本政府は国内手続きとして国会承認を取り直す必要がある。承認を得た現在の協定から枠組みは大きく変わる。政府はTPPの将来像を国民に丁寧に説明してほしい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 生産性改革(下) (2017年05月07日)

人工知能(AI)の技術革新により、研究開発や企画・設計、医療など「知」を扱う仕事が様変わりするかもしれない。AIが得意な分析などは機械に任せ、人はより創造的な仕事に専念できるようになる可能性があるからだ。

AIを用いて知的活動の生産性を高めるには、膨大な情報を集めたデータベースの育成や知的財産権をめぐる法整備などが欠かせない。官民で議論を深めるときだ。

人と機械で役割分担

専門的な仕事のうちAI利用が目前に迫っているのは医療だ。

「この症状から疑われる病気は何ですか」。かかりつけの医師が患者の皮膚の画像をスマートフォンで送って尋ねると、別の医師から返事があった。「アトピー性皮膚炎の可能性が高いです」

医療ベンチャーのエクスメディオ(高知市)は医師同士が助言しあう情報サイトを運営している。特定の疾患には詳しくない家庭医らが、専門家の判断を仰いで治療できる。AIに画像を学ばせて診断する技術も研究中で、実用水準に近づいている。

「医師にとって診断の負担が大きく減り、治療や患者との対話に専念できる」(同社)。AIをいかした診断はがんなどの病気で研究が進んでおり、医療を変える可能性が大きい。

ものづくりでも設計にAIを活用する例が広がり始めた。

外資系企業が集まる東京・赤坂の一角に、最先端の3次元(3D)プリンターやレーザー加工機が並ぶ工房がある。富士通が米国企業と契約して設けた「テックショップ東京」で、未来の起業家たち約400人が足しげく通う。

3Dプリンターの利点は、コンピューターのデータをもとに医療器具や航空機などの複雑な部品をつくれることだけではない。形や用途が似た部品のデータを共有し、設計の手間を省ける。

米国では多様な設計情報を収めたデータベースが公開され、AIで欲しいデータを探す技術も生まれた。試作品を簡単につくれるようになり、ベンチャー企業がさらに生まれやすくなっている。

大学の研究室では、論文やその引用状況が一目でわかる情報サイトが不可欠な道具になってきた。オランダの出版大手エルゼビアなどが提供する交流サイトでは、研究者たちが関心を持つテーマについて意見を交わしている。これらをAIで分析して有望なテーマを助言するサービスも登場した。

「今後は研究者の独創性が一段と問われる。博識なだけでは淘汰される」との声もあがる。

AIを知的生産にどう活用していくか。政府が近くまとめる「新産業構造ビジョン」は、AIの利用で後れを取らぬよう企業などに対応を促す。だが、それだけでは足りない。AIを支える情報基盤や法律の整備が欠かせない。

まず大切なのはデータベース(プラットフォーム)の育成だ。AIが画像などを学んで信頼性の高い判断を下すには、数十万?100万のデータが必要とされる。しかし、医療や設計など個別の分野でそんな規模に達したプラットフォームは、日本には少ない。

データベース整備急げ

医療では、情報化の入り口である電子カルテですら医療機関の導入率は34%にとどまる。患者の個人情報の扱いに配慮しつつ、画像をどんな機器でも読み出せる標準化や、病院同士を結ぶネットワークを築かなくてはならない。

ものづくりの設計データも、業界団体などが中心になり整備を急ぐべきだ。論文など研究情報を収めたプラットフォームは、国が資金を投じてよい分野だろう。

知的財産の保護と活用へ制度を整えることも重要な課題だ。

まだ初歩的ながら小説や脚本を書いたり作曲したりするAIが登場した。だが、いまの著作権法では「著作者が思想や感情を創作的に表現したもの」が著作物とみなされ、AI作品は該当しない。

「AIの開発には巨額の費用や手間がかかる。開発者の権利を認めるべきだ」との意見もある。3Dプリンターで使うデータも、元の設計者の権利を保護しながら活用を促すルールが要る。

政府の審議会は法整備の検討を始めたが、欧米より遅れ気味だ。企業や研究者、創作に携わる人たちの意見を広く聞くと同時に、海外とも足並みをそろえたルールづくりが求められる。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 注目されるスギ「新建材」 林業再生へ活用広げたい (2017年05月07日)

[PR]

衰退の続いた林業に薄明かりが差し始めている。

日本の森林は国土面積の3分の2を占め、世界有数の豊富な資源がある。しかし、9割以上あった木材自給率は高度成長期の輸入完全自由化で下がり続け、2002年は2割弱にまで落ち込んだ。

それが15年に3割強にまで回復した。合板の製造技術が上がり住宅での利用が増えたり、地球温暖化対策で木質バイオマスを使う発電の需要が高まったりしたためだ。

ただし、このレベルでは満足な状態とは言えない。戦後の植林で樹齢46年以上の樹木は5割を超え、伐採期を迎えている。活用の道が見いだせず放置すれば、森林は荒廃する。

そこで、木材活用の切り札として主にスギを使った新建材・CLT(直交集成板)が注目されている。

木目が交差するように何層も板を重ねたパネルのことで、鉄骨より軽いのに、同等の強度がある。工期も短縮でき、木のぬくもりもある。

欧州では木造建築でCLTの需要が急増した。国土交通省は柱などに利用できるよう建築基準を改め、3階建て以下の建築物は原則耐火材なしで簡単に使えるようにした。

注目の高まりを受け、岡山県真庭市では国内初のCLT専用工場が昨年稼働した。東日本大震災で被災した福島県いわき市では復興公営住宅に使われることになった。

木材を多用する新国立競技場でも天井にCLTが使われる見通しだ。

課題もある。国内のCLTは外国製より価格が高い。需要を増やし、生産効率を高めることが大切だ。

新国立競技場を設計・デザインした建築家の隈研吾さんは「木を使うことが世界中で見直されている。欧州ではCLTの技術が進み、10階建ての木造マンションがある」と中高層建築物への活用を期待する。

国内では3階建て以上の木造建築物は少ない。その一部にCLTを使えば伐採期を迎えた樹木の活用が広がる。林業とそれを地場産業とする地域の活性化にもつなげたい。

森林は生態系の維持や水質浄化など多くの恵みをもたらす。森林維持には「植えて、育て、使う」サイクルを回し、安定した木材需要を作る必要がある。木材活用を後押しする方策を議論する足がかりとしたい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 中小企業白書 事業承継に外部の知恵生かせ (2017年05月07日)

景気の本格回復には、日本経済の土台を支える中小企業の活性化が欠かせない。高齢化による廃業にどう歯止めをかけるか、知恵を絞りたい。

経済産業省がまとめた2017年版の中小企業白書によると、業績や景況感が堅調に推移する中で、中小企業の廃業や休業が相次ぐ現状が浮かび上がった。

資本金3億円以下、従業員数300人以下の中小企業は製造業、小売り、サービスなど総計で約380万社を数える。

1999年から15年間で約100万社減少した。特に09年からの5年間で約40万社と減少ペースが加速している。

深刻なのは、経営が行き詰まった企業だけでなく、黒字を維持しながら、廃業や休業を選択する企業が半数を超えていることだ。

業績堅調な企業が廃業を迫られる事態が増えれば、産業界全体の技術力や生産性の低下を招く。

主因は、経営者の高齢化と後継者難だ。休廃業した企業のうち、経営者が60歳以上の比率は過去最高の8割に達している。80歳以上の比率も14%に上る。

引退間際の経営者が、事業を引き継ぐには、どういう手立てを講じるべきか。白書は、様々な事例を紹介している。

山梨県の機械メーカーは、社内で後継者を選び、数年間かけて育成した。社内研修に加えて、外部のコンサルタント会社の研修制度を利用し、経営術を習得させた点がポイントだ。

事業承継に成功した企業の4割が、経営を引き継ぐまでに3年超の期間を要している。早い段階で社内外から有能な人材を発掘する後継者選びが重要となる。

後継者が見つからない場合は、企業の合併・買収(M&A)をテコに生き残りを図るのも有力な選択肢だ。同業他社との統合で自社の強みを引き継ぐ。大手企業傘下の子会社として存続する。こうしたケースも少なくない。

カギを握るのは外部との連携だろう。中小企業が独自に人材育成やM&Aに取り組もうとしても、育成ノウハウや相手企業の情報収集には限界がある。

地域の商工団体や金融機関と緊密に協力する手もあろう。

政府による支援体制も強化すべきだ。中小企業庁は、自治体や商工団体、公認会計士、金融機関が事業承継に協力するネットワーク作りに乗り出した。

全国各地の成功事例に学び、知見を広げることが、円滑な事業承継につながるはずだ。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 忙しい先生 仕事増えれば人も要る (2017年05月07日)

先生たちのハードワークぶりが、文部科学省の10年ぶりの調査で改めて裏づけられた。

小中学校の教諭は平均で1日11時間以上働き、過労死ラインとされる「残業が月80時間」を超える例が、中学で6割近く、小学校でも3割に及ぶ。

財務省は昨秋、「少子化で児童生徒が減るので、教職員も今の69万人から10年間で4万数千人減らせる」との案を示している。だが現状の働き方を前提に単純計算で済ませていい話ではない。ことは命と健康にかかわる。激務がデータで示された以上、根本から見直すべきだ。

10年前と比べて目立つのは、授業とその準備にかける時間が長くなったことだ。

前回調査の後、ゆとり教育からの脱却を旗印に、小学校も中学も授業のコマ数を増やした。クラスを二つに分けるような少人数指導も広がった。

ところが教師の人数は近年、横ばいか減少傾向にある。やむなく残業して穴を埋める。そんな構図がこの調査から浮かぶ。

小学校では20年度から全面実施される新指導要領で3?6年生の英語が週1コマずつ増え、現場の負担はさらに重くなる。ただちに大幅な増員は無理としても、地域の実情に応じた効果的な補強策はあるはずだ。

たとえば、理科や音楽、小学校の英語といった専科の先生を増やし、複数校で兼任させる案などを検討してはどうか。

授業以外の仕事を引き受け、教師を側面から支える層を厚くする方法もある。生徒の心の相談にのるスクールカウンセラーや部活動の外部指導員、退職した元教員や学生らが放課後の補習指導をおこなう「学習サポーター」などだ。

先生の側も自分らの仕事の合理化に努めることが必要だ。今回の調査によると、中学では部活動に土日で計4時間強が充てられている。国の有識者会議が20年前に「週2日の休養日を」と提言したのに改まらない。生徒の健康のためにも、休養日の義務化を進めるべきだ。

教員の過重労働は教員だけの問題ではない。先生が忙しすぎると、子どもたちに向きあう時間にも質にも影響が及ぶ。児童生徒も被害者なのだ。

学校の役割が肥大していることにも目を向けるべきだろう。

情報教育、消費者教育といった「新しい学び」を求める声が相次ぎ、地域の防災拠点としての役割も期待される。どこまでを学校に求め、どこからは地域や民間が引き受けるのか。それぞれのまちの教育委員会や議会で議論を深めてほしい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 高レベル廃棄物 対話を重ねて理解を広げよう (2017年05月07日)

必要性を丁寧に説明して、国民の理解を深めることが大切である。

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の処分について、資源エネルギー庁が、処分場として好ましいかどうかを判断する科学的な要件・基準をまとめた。

今後、これを基にした全国規模の「科学的特性マップ」を作成する。停滞する処分場の候補地選定を前進させるため、議論の基礎資料として活用したい。

日本は最終処分法に基づき、高レベル放射性廃棄物を地下300メートルより深い地層に埋めて処分する方針を決めている。長期間、強い放射線を出すためだ。世界的にも同様の方法が採用されている。

問題は、安定した地層をどう探すかだ。最終処分法は、公募などで候補になった地域の理解を得ながら、処分場に適する地層かどうかを、段階を踏んで調査・確認するよう規定している。

だが、現実には、調査候補地に浮上するだけで、「迷惑施設を押しつけられる」と反発が高まり、冷静な議論は封殺される。

感情論に終始しないよう、まずは、日本列島のどこに建設可能な地層があるのか、科学的認識を広く共有しておくことが重要だ。

例えば、活断層や火山の近くは「好ましくない特性」と推定される。該当する項目がなければ、「好ましい特性が確認できる可能性が高い」と判定される。

マップに色分けすると、多様な地質環境を把握しやすくなる。

注目すべきは、離島や沿岸の海底下を初めて、立地上の好ましい要件に加えた点だ。廃棄物を安全に輸送できるとの理由からだ。検討の範囲が広がるだろう。

従来は、放射性廃棄物の海洋投棄と誤解されることを危惧して、内陸部を想定していた。

政府は5、6月に9都市で、要件・基準について考えるシンポジウムを連続開催する。関心が高まることを期待したい。

フィンランド、スウェーデンは既に、処分場の建設地を決めている。フランスでは候補地域が固まり、地下研究所で調査が進む。国民的な議論が原動力となった。

米国でも、オバマ前政権で中止されていた処分場候補地ユッカマウンテン(ネバダ州)での施設建設が再開される見通しだ。

福島原発事故の後、廃炉となる原発が国内で増えた。高レベル廃棄物とは別に、廃炉廃棄物の処分地探しも重要性を増している。

核のごみの処分を次世代に押しつけてはならない。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] ガス自由化 競争促進へ環境整備を (2017年05月07日)

導管を通して供給される都市ガスの小売りが全面自由化され、一般家庭も購入先を選べるようになって1カ月がたった。

だが、契約先を切り替える動きは鈍い。ガスの小売りに乗り出す企業が少ないためだ。自由化の恩恵を多くの消費者に広げるには、新規参入のハードルを下げ、事業者同士の競争を促す環境整備が欠かせない。

小売り自由化は、地域ごとに1社の独占を認めてきた規制を取り払い、競争を通じて料金の引き下げや新サービスの提供につなげるのが狙いだ。業種や地域の垣根を越えて、エネルギーの供給を効率化する効果も期待されている。

都市ガス事業の自由化は20年ほど前に始まり、対象が大口から小口の利用者へと広げられてきた。今年4月に家庭・商店向けが加わり、1年前の電力に続き自由化がひとまず完了した。

ただ、今回自由化された約2500万件のうち、契約先の切り替えを申し込んだ利用者はまだ1%に満たない。家庭向けへの参入は10社余りで、電力の約200社に遠く及ばない。近畿地方で関西電力が大阪ガスに激しい競争を仕掛けているのを除くと静かな滑り出しだ。

参入が少ないのは、都市ガス事業には調達や販売の面で大きな制約があるからだ。

原料の液化天然ガスの輸入には大がかりな施設が必要で、すぐに小売りを手がけられるのは自前の施設を持つ電力・ガス大手やその提携先などに限られる。都市ガスの導管網は大都市圏の間でつながっていない所が多く、広域の流通が難しい。

こうした制約を小さくするには、電力にならって都市ガスの卸市場をつくり、多くの事業者がガスを調達できるようにする▽大都市圏間を結ぶ導管を整える、といった対策が必要になる。制度の設計や整備コストをだれが担うかなど課題があるが、政府と関係業界は具体化の検討を進めるべきだ。

各事業者の経営努力も問われる。すでに電力やガス大手が、電気・ガス料金のセット割引や家事代行などの新サービスに乗り出しているが、さらに知恵を絞ってほしい。

電力・ガスの自由化で先行した欧州では、業界再編が進んだ。巨大な総合エネルギー企業が生まれる一方、地域密着型の事業者も省エネなどきめ細かいサービスで競い合っている。

日本でも競争の環境を整えれば、効率化や多様化の動きが広がる可能性はある。エネルギー資源に乏しい国だけに、自由化をそのきっかけにしたい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする