2017年05月02日

[産経新聞] 【主張】北ミサイル メトロ停止は過剰対応か (2017年05月02日)

北朝鮮が弾道ミサイルを発射した4月29日朝、東京メトロは全路線で約10分間、運転を見合わせた。約1万3千人の足に影響が出たとされるが、大きな混乱はなかった。北陸新幹線も一部区間で運転を見合わせた。

これに対し、韓国や国内の一部から「過剰対応ではないか」と批判の声があがっている。

果たして、そうか。

判断は民間事業者が顧客の安全を考慮したものであり、批判は当たらない。恐れるべきは、こうした言説への安易な同調と、危機に対する慣れである。

東京メトロによると、ミサイル発射の報道があった場合、運行をいったん見合わせて安全を確認する手順を、4月上旬に決めたばかりだった。

地上より地下の方が比較的安全であるという、地下鉄固有の事情もあった。深刻な有事を見据えた訓練としても、運行停止に意義を見いだすことができる。

韓国の聯合ニュースは「初めての挑発でもなく、北朝鮮国内に落ちただけ」とした上で、「利用客の不便も顧みず運行を中止したことに(日本国内で)不満があふれている」と報じた。日本政府が「戦争の恐怖を醸成することに熱を上げている」とも表現した。

安倍晋三首相が国会で「北朝鮮は(化学兵器の)サリンをミサイル弾頭に付けて着弾させる能力を、すでに保有している可能性がある」と述べた際にも、主に韓国内から同様の批判があった。

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北朝鮮がサリンや神経剤VXなど2500?5千トン規模の化学兵器を保有していると見なしているのは、韓国国防省である。しかも核弾頭の搭載に比べ、化学兵器の弾頭装備は技術的に容易である。危機感を覚えぬ方がおかしい。

ティラーソン米国務長官は国連安保理の閣僚級会合で「ソウルと東京への核攻撃は現実の脅威」と指摘した。最悪の事態を防ぐための制裁圧力を含む外交に力を尽くすのは当然である。一方で、被害を最小限にとどめるための準備を怠るわけにはいかない。

眼前の危機から目をそらし、親北候補らが反日を争う大統領選こそ浮世離れしているように映るが、どうなのだろう。

ミサイルを撃つか撃たないか、弾頭に何を搭載するか、北朝鮮の判断に善意を期待するわけにはいかないのだ。
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[東京新聞] 初の米艦防護 本当に必要な任務か (2017年05月02日)

稲田朋美防衛相が自衛隊に「米艦防護」を初めて命令した。米国と北朝鮮との軍事的緊張が高まる中、日米の連携強化を誇示する政治的な意味合いが強く、本当に必要な任務なのか、疑問が残る。

米艦防護は自衛隊が平時に米国の艦艇などを守る「武器等防護」の活動で、安倍政権が成立を強行し、昨年三月に施行された安全保障関連法に基づく新しい任務だ。

海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」がきのう、横須賀基地(神奈川県)を出港し、東京湾を出た太平洋上で米海軍の補給艦と合流。四国沖まで一緒に航行して護衛する、という。

米艦防護活動中に、米軍への攻撃や妨害行為があった場合、阻止するための武器使用が認められているため、自衛隊が紛争の引き金を引きかねない任務でもある。

とはいえ、今回の米艦防護は、軍事的合理性よりも政治的な思惑が先行している感が否めない。

一つは、東アジアの軍事的緊張には米軍と自衛隊が共同で対処するというメッセージである。

弾道ミサイル発射を繰り返し、核開発を進める北朝鮮をけん制するだけでなく、東アジアで軍事的存在感を増している中国やロシアにも向けられているのだろうが、日米連携をことさら強化することは、逆に東アジアの緊張を高めることになりかねない。

もう一つは日本の軍事的役割を強化する安倍政権の狙いである。

米補給艦は、米原子力空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群などが展開する朝鮮半島沖へ向かうとみられるが、「いずも」が護衛するのは四国沖までだ。

北朝鮮が太平洋側で米艦を攻撃する能力を持っている可能性は低く、他の国やテロ組織による米艦攻撃も想定しづらい。

そもそも必要性に乏しい米艦防護に踏み切った背景には、憲法学者ら多くの専門家が憲法違反と断じた安保法を既成事実化し、自衛隊と米軍との軍事的一体化を加速する狙いがあるのだろう。

北朝鮮の挑発行動に、米トランプ政権は軍事攻撃を含む「あらゆる選択肢が机上にある」としているが、安倍政権がすべきは米国に同調して軍事的圧力を強めることではなく、緊張緩和に向けて関係国に対し、対話や国際協調を粘り強く働き掛けることだ。

「日米同盟」の誇示でなく、外交努力を尽くすこと。それが、武力による威嚇や武力の行使を、国際紛争の解決手段としては永久に放棄した日本の役割である。
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[産経新聞] 【主張】朝日支局襲撃30年 暴力には言論で対決する (2017年05月02日)

昭和62年5月3日、朝日新聞阪神支局に目出し帽の男が侵入し、散弾銃を発砲した。

当時29歳の小尻知博記者が死亡し、もう一人の記者も重傷を負った。あれから、30年になる。

「赤報隊」を名乗る犯行声明には「反日分子には極刑あるのみ」などとあった。事件は、朝日新聞の言論に対して暴力と恐怖で屈服させることを企図したテロである。それが白色テロであれ、赤色テロであれ、主張の如何(いかん)に関係なく、許されざる蛮行である。

言論に対峙(たいじ)すべきは、言論である。卑劣な銃弾によって、ペンを曲げることはできない。

30年前に向けられた銃口は、全ての言論・報道機関に向けられたものであり、民主主義そのものを標的とした。犠牲となった小尻記者を悼むとともに、改めてそう受け止め、怒りを新たにしたい。

阪神支局襲撃と前後して、朝日新聞東京本社と名古屋本社寮にも銃弾は撃ち込まれた。「赤報隊」による脅迫の対象は、後に中曽根康弘元首相や、当時首相だった竹下登氏らにも及んだ。警察庁指定116号事件である。

刑事警察が薬莢(やっきょう)などの遺留物から犯人を追い、公安警察は右翼活動家らを対象に情報を収集した。だがついに摘発には至らず、一連の事件は平成15年に全て時効となった。「赤報隊」は2年5月、愛知韓国人会館放火事件を最後に地に潜り、その実態は解明されないままである。警察にとっても、全報道機関にとっても痛恨事だ。

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事件は終わっていない。言論に対する威嚇は続いている。

朝日新聞の「慰安婦報道」をめぐっては、これに関わった元記者が勤務する大学に、退職を求める脅迫文が届いた。

この際、産経新聞はいち早く、「言論封じのテロを許すな」と題する「主張」を掲載した。

産経新聞と朝日新聞は、往々にして異なる論調を展開し、対立する。ただし、これに対する暴力は共通の敵である。

社が掲げる「産経信条」は、以下の一文で始まる。

「われわれは民主主義と自由が国民の幸福の基盤であり、それを維持し発展させることが言論機関の最大の使命であると確信する。したがってこれを否定するいっさいの暴力と破壊に、言論の力で対決してゆく」

決意は、揺るぎない。
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[東京新聞] 「北」の核と韓国 抑止とともに対話探れ (2017年05月02日)

北朝鮮の軍事力の脅威に直面するのが韓国だ。軍事境界線からソウル中心部まで、直線で四十キロ足らず。朝鮮半島で緊張が高まり、大統領選を九日に控えた今こそ、当事国の対応を注視したい。

四月のソウルは平静だった。北朝鮮がミサイルを三回発射したが早朝でもあり、市民が建物や地下道に駆け込むことはなかった。地下鉄やバスも通常運転で、避難訓練の回数も増えていない。

市民の多くは「北の脅威はずっとあるから、怖がっても仕方がない」と言う。それでも、中国の団体客が激減し、日本の観光客のキャンセルが出ている。「こんな状態がいつまで続くのか」という重苦しさはあった。

定例の米韓合同軍事演習は三十日に終了したが、米空母「カール・ビンソン」は朝鮮半島近海に数日とどまるという。トランプ米政権は北朝鮮に、軍事力を背景にした強い圧力をかけ、中国は制裁強化へとかじを切った。

韓国内には核武装した北朝鮮とは絶対に共存できない、武力を行使しても阻止すべきだという主張がある。逆に、戦争は避けるべきだ、時間がかかっても米国や中国も加わった交渉により核放棄を迫るしかないとの意見がある。大統領選でも論戦が続く。

「北朝鮮か米国のどちらかが先制攻撃をすれば、大規模な衝突に発展し、東アジア全体に被害が及ぶ。朝鮮半島を戦場にしてはならない」(柳吉在・元統一相)という考えを多くの韓国民が共有するが、解決策がすぐには見つからないのが厳しい現実だ。

大統領選では野党の革新系候補が優勢で、やはり野党の中道候補が対抗馬とみられる。どちらが勝利しても、軍事的な圧力と制裁によって北朝鮮を抑止しながら、対話の再開を探ることになろう。

米国や日本から見る北朝鮮問題とは核とミサイル、拉致を含む人権問題だろう。だが、韓国にはもうひとつ、北朝鮮との南北関係がある。将来の統一を見据えて、韓国の経済、財政力をどうつけていくか、北朝鮮側にどうやって改革、開放を促していくかなど、対話と交流を組み合わせた総合的な政策だ。

韓国の次期大統領は南北対話を模索しながら、米国や中国、さらに日本に対しても、北朝鮮を交渉のテーブルに着かせるために連携を呼び掛ける責務がある。核とミサイル開発に歯止めをかけるには圧力が必要だが、解決への道を開くのは外交の役割になる。
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[毎日新聞] 自衛隊が初めて米艦防護 実績作りを急いでないか (2017年05月02日)

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安全保障関連法で自衛隊の新たな任務となった「米艦防護」が初めて実施された。米軍の要請に応じ海上自衛隊の艦船が米軍の艦船を守る。

もともと自衛隊は武器や弾薬が奪われないようにしたり、艦船や航空機が破壊されないようにしたりするため、武器を使って守る規定がある。自衛隊法95条の武器等防護だ。

安保法制ではこの対象を、「自衛隊と連携して日本の防衛に資する活動」をしている米軍など他国軍の武器や装備にも拡大し、必要最小限の武器使用を認めるようにした。

共同訓練などの平時や武力攻撃に至らないグレーゾーン事態での武器使用が可能となり、導入の際は、他国軍を武力で守る集団的自衛権の抜け道になるとの指摘もあった。

今回の米艦防護は、米国が北朝鮮に対する軍事的圧力を強めるため、朝鮮半島沖に艦船などを結集させる動きの中で実施された。

具体的には房総半島沖から西に向かう米軍の補給艦に海自最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が並走する。日米の一体化を北朝鮮に対してアピールする狙いがある。

ただし、今回の活動の効果は必ずしも定かではない。安保法制で認められた新任務の実績づくりを急いでいるようにも見える。

米艦防護は当初、秋の日米共同訓練で実施する計画だったが、北朝鮮情勢の緊張の高まりを受け、前倒ししたのが実態だ。

「いずも」はもともとシンガポールで開催される国際観艦式に参加するため出港する段取りだった。それに合わせて急ごしらえで計画を立案したのが本当のところではないか。

実施する海域は北朝鮮の弾道ミサイル着弾の可能性が低い太平洋だ。実際の攻撃リスクを回避したかったのかもしれない。しかし、米軍と一体化する中で潜在的な攻撃のリスクは完全には消えない。

米艦防護は稲田朋美防衛相の命令に基づくが、「特異な事象」が発生しない限り公表しない方針だ。しかし、こうしたリスクを負う実力部隊の自衛隊の運用が国民の目から遠ざけられ、その承認に国会が関与しなくていいのか、という疑問は残る。

米艦防護は米軍のニーズが高い任務とされる。それが日常化する恐れはないのか。慎重な運用が必要だ。
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[日経新聞] 海外M&Aの成功率を高めるために (2017年05月02日)

海外のM&A(合併・買収)でつまずき、巨額の損失を計上する企業が相次いでいる。鳴り物入りの大型買収がなぜうまくいかないのか。各企業は失敗の原因を検証し、M&Aの技量を磨いていくことで、成功率を高めなければならない。

日本企業の海外買収熱は近年高まりを見せており、M&A助言会社のレコフによると、2016年度の買収総額は過去最高の11兆円に達した。国内市場が成熟するなかで、潤沢な手元資金を海外の買収に投じ、成長戦略を加速する。このような積極的な姿勢は前向きに評価したい。

問題は買収が所期の成果を生まず、逆に大きな損失を出してしまう例が目立ってきたことだ。日本郵政は、2年前に買ったオーストラリアの物流子会社について4千億円の減損損失を計上し、17年3月期は民営化後初めて最終赤字に転落した。

東芝の経営危機も06年に買収した米ウエスチングハウスの巨額損失が引き金だ。そのほかブラジルでの買収でつまずいたキリンホールディングスや、買収で傘下におさめた中国企業が破綻したLIXILグループなど失敗例は枚挙にいとまがない。

原因の一つとみられるのが相手企業を本来の価値よりも高く買う「高値づかみ」だ。日本郵政の長門正貢社長は豪社について、「(買収前の)査定が甘かったのではないか。少し買収額が高かった」と述べた。

高値づかみのリスクを防ぐには、相手企業の資産査定を厳格に実施することが欠かせない。経営者には冷静なそろばん勘定を失わずに、取引の是非を判断する姿勢が求められるだろう。

買収後の対応も重要である。相手企業の経営を現地に任せきりにし、不祥事や損失を見逃してしまうリスクに十分気をつけなければならない。

被買収企業の自主性を尊重する一方で、リスク管理や投資計画にはしっかりと目を光らせる体制が不可欠だ。相手企業に乗り込み、経営の陣頭指揮をとれるようなグローバル経営人材の育成も急務である。

リスクの多い海外買収だが、日本電産や日本たばこ産業のように海外M&Aをテコにして世界市場に飛躍した企業もある。買収戦略の巧拙が各企業の未来を大きく左右する時代が到来した。
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[毎日新聞] 減税案示したトランプ政権 財源軽視の大盤振る舞い (2017年05月02日)

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トランプ米政権が経済政策の基軸とする大型減税案を発表した。実現すれば、レーガン政権以来約30年ぶりの大規模な税制改革となる。

柱は法人税率の大幅引き下げだ。主要国で最高水準の35%を一気に15%にする。「米国第一」を掲げるトランプ大統領は、米企業の競争力を強化し雇用を確保したい考えだ。

だが矛盾も多い。まず財源を軽視した大盤振る舞いであることだ。景気刺激の狙いとは逆に財政が悪化して経済の足かせとなりかねない。

税収減は10年間で計4兆ドル(約440兆円)規模とされるが、政権は穴埋めに必要な財源を明示していない。当てにしているのは、減税による経済成長を通じた税収増だ。

しかし、エコノミストの間では、減税で景気を刺激しても巨額の財源を賄えるほど税収が増えるとの見方は少ない。レーガン政権時の大型減税も税収が予想より伸びず、多額の財政赤字を抱えた。成長を甘めに見積もっているのなら無責任だ。

トランプ政権は大規模なインフラ投資も公約している。財政赤字が膨らむと、長期金利の上昇を招き、企業や家計の負担が増して経済の重荷となる恐れがある。

一方、米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを進めている。失業率改善などを踏まえ、景気過熱を防ぐのが目的だ。

政府が大盤振る舞いに走れば、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものだ。ちぐはぐではないか。

また、減税案は、所得税の最高税率を下げ、相続税を廃止する。いずれも富裕層にメリットが大きい。

トランプ氏当選の原動力となったのは、景気回復から取り残された低所得者の支持だ。富裕層が優遇されると格差は広がるばかりだろう。

減税案は、政権発足100日に間に合わせる形でまとめられた。支持率が低迷する中、市場の期待をつなぎとめようと生煮えのまま発表を急いだとみられても仕方がない。

今後の焦点は税制の決定権を持つ議会との調整だ。与党・共和党は減税に賛成だが、財政規律も重視し政権ほどの減税幅は求めていない。

米国経済の行方は、日本も含めた世界経済に大きな影響を及ぼす。減税の内容と効果を精査し、安定成長につながる改革にしてほしい。
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[日経新聞] 北の脅威を見据えた米艦防護 (2017年05月02日)

北朝鮮情勢の緊迫を受けて、稲田朋美防衛相が安全保障関連法に基づく初めての「米艦防護」を自衛隊に命じた。日米の緊密な連携によって、北朝鮮の無謀な行動を抑止する狙いがある。政府は不測の事態に備え、米韓両国などと協力して日本周辺の安全確保に万全を期していく必要がある。

平時における米艦防護は、昨年3月に安保関連法が施行されて自衛隊の任務に加わった。対象の米艦船に偶発的な攻撃があれば、必要最小限度の武器使用ができる。今回は海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が米軍の補給艦と房総半島沖で合流し、四国沖まで防護する予定だ。

政府は安保法に基づく新任務として昨年11月、南スーダン国際平和維持活動(PKO)に携わる陸上自衛隊の部隊に、民間人らを危機から救う「駆けつけ警護」と「宿営地の共同防護」を付与した。ただ適用の機会はなく、新任務は今回が初実施となる。

北朝鮮は4月末にも弾道ミサイルを発射した。空中爆発して実験は失敗したとの見方もあるが、国際社会が再三自制を求めるなかでの強行は緊張を高める許しがたい行動だ。通算6回目となる核実験も懸念されている。

米国のトランプ政権は北朝鮮政策で「対話と圧力」の原則を維持しつつ、軍事行動の可能性も排除しない方針で臨んでいる。今回、米艦防護の対象とした米補給艦はすでに日本海に入っている米原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする打撃群の艦艇に補給する可能性もあるという。

平時から有事までの切れ目のない自衛隊の対応は、安保関連法が目指した法体系の中心的な考え方だ。日米同盟の強化は日本の安全保障にとどまらず、東アジアの安定に向けた屋台骨である。

一方で米艦防護などは自衛隊と米軍の一体化を招き、日本が戦争に巻き込まれる可能性が増すとの懸念もある。どういう地域や状況で実施するかは、政府が慎重に見極めていく必要がある。
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[読売新聞] 海自「米艦防護」 双方向の協力で同盟を強固に (2017年05月02日)

自衛隊が米軍を守る新任務に就いた。日米同盟の強化に向け、重要かつ象徴的な動きである。

政府は、昨年3月施行の安全保障関連法に基づき、海上自衛隊艦船が平時に米軍艦船を守る「米艦防護」を初めて実施した。

ヘリコプター搭載型の海自護衛艦「いずも」が、房総半島沖で米海軍補給艦と合流し、四国沖まで共に航行する数日間、警護する。補給艦はその後、日本海で米原子力空母「カール・ビンソン」などに給油する可能性がある。

今回の米艦防護は、米軍の要請を受けて、稲田防衛相が「共同訓練」として実施を命令した。昨年12月策定の「武器等防護」に関する運用指針に沿ったものだ。

北朝鮮の軍事的挑発が続く中、日米の強固な絆を示すことで、抑止を図る効果を持とう。

補給艦は本格的な反撃能力を有しない。敵の攻撃には、防空システムなどを持つ「いずも」が対処する。太平洋で米艦が攻撃される可能性は小さいが、緊張感を持って任務に臨んでほしい。

従来、米軍艦船が目の前で攻撃されても、自衛隊は法律上、何もできなかった。2001年の米同時テロ直後、米空母の警護を要請された際は、調査・研究の名目で対応する苦肉の策を講じた。

安保関連法によって、米艦防護が可能になり、こうした矛盾を解消できた意義は大きい。

日米安保条約上、米国は日本防衛の義務を有する。日本は米軍基地を提供し、米国防衛は行わない。片務的ではないにせよ、この非対称の関係が、日本は何もしないという米側の不満の要因だった。

今後、防御が手薄な空母や、ミサイル迎撃態勢にあるイージス艦などの防護要請も想定される。

実績を着実に重ね、双方向の協力を充実させるべきだ。

自衛隊が役割を拡大し、非対称の関係を是正すれば、米軍が対日防衛により真剣に取り組むことにつながる。日本の発言力を高め、日米連携も緊密化しよう。

疑問なのは、一部の野党が米艦防護を「米軍との一体化」などと批判していることだ。

日本近海で活動する米軍艦船は基本的に、日本や地域の平和と安定を維持する任務を担っている。同盟国として、その米軍艦船を十分に守れる能力を持ちながら、法律上の制約で実行できなかった従来の状況こそが問題だった。

米艦防護を通常の任務として円滑に実施できる同盟関係を構築することが肝要である。
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[読売新聞] 朝日襲撃30年 言論の自由を守る誓い忘れぬ (2017年05月02日)

言論に対する卑劣極まりないテロを二度と許してはならない。

1987年5月3日に朝日新聞阪神支局が襲撃された事件から、30年を迎える。支局に侵入した男が無言で散弾銃を放った。記者1人が殺され、1人が重傷を負った。

今なお憤りを抑えられない凶行である。民主主義への挑戦と言うべき事件を胸に刻み、開かれた社会を守る誓いを新たにしたい。

「赤報隊」を名乗る犯人は、犯行声明で「反日世論を育成してきたマスコミには厳罰を」「処刑活動を続ける」と独善的主張を振りかざした。朝日新聞の東京本社や名古屋本社寮も銃撃し、警察庁は広域重要事件に指定した。

標的を当時の竹下首相らに転じて、脅迫事件も引き起こした。

一連の犯行は、2003年までに時効が成立している。真相は闇に埋もれたままだが、銃弾によって異論を封殺しようという狙いがあったことは間違いあるまい。

言論の自由は、民主主義を支える根幹である。暴力には決して屈しない。言論には言論で応じる。この価値観を、社会全体で改めて確認する必要があろう。

自由な言論を牽引(けんいん)する。それが報道機関の大切な役割だ。

新聞通信調査会による昨年の世論調査では、報道の自由について「常に保障されるべきだ」との回答が8割を超えている。国民の知る権利に応えるために、報道機関の存在は不可欠だ、との考え方は浸透していると言えよう。

海外に目を向ければ、報道関係者への攻撃は依然、絶えない。

イスラム教に関する風刺画を掲載したパリの政治週刊紙が標的になった記憶は生々しい。15年1月、イスラム過激派の兄弟による銃撃で、編集長ら12人が死亡した。

香港で、政府批判の論陣を張っていた有力紙の元編集長が襲撃され、重傷を負ったのは14年のことだ。加害者が逮捕されたが、動機などは分かっていない。

ロシアでも、記者の殺害が繰り返されてきた。

米国の団体「ジャーナリスト保護委員会」の集計によると、92年以降に世界で800人以上のジャーナリストが殺害されている。

昨年、クーデター未遂があったトルコでは、政権に批判的な報道機関が閉鎖され、記者が拘束された。座視できない弾圧である。

多様な言論が存在することが、健全な社会の証しだ。自らとは異なる意見でも、それを主張する自由は保障する。民主主義の原則を国際社会で共有したい。
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[朝日新聞] 阪神支局襲撃30年 覚悟をもって喋る、明日も (2017年05月02日)

ザラ紙の原稿用紙は血に染まっていた。大学ノートの表紙には、きちょうめんな文字で「事件ノート 小尻」とある。

憲法記念日の夜、凶弾に倒れた記者の遺品だ。

兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に散弾銃をもった男が押し入り、小尻知博記者(当時29)を殺害した事件から、3日で30年になる。支局3階の資料室には、小尻記者らが座っていたソファも展示されている。

名古屋本社寮襲撃、静岡支局爆破未遂などと続いた一連の朝日新聞襲撃事件は、「赤報隊」を名乗る犯人が不明のまま、2003年に時効となった。

社会に開かれた支局を襲う卑劣な犯行は言論の自由への挑戦であり、断じて許されない。事件後、朝日新聞はそう訴え、脅しに屈さない覚悟を示した。その姿勢にかわりはない。

■言論封じる憎悪表現

計8通の犯行声明から浮かぶのは、身勝手な決めつけと、戦前への回帰志向である。

「日本で日本が否定されつづけてきた」とし、「日本人が日本の文化伝統を破壊するという悪(あ)しき風潮がいきわたっている」。そして「反日分子には極刑あるのみ」と結論づける。

独善的な考えで、気に食わぬ言論を暴力で封じる。そんな手法に、理などない。

犯人は中曽根康弘元首相やリクルート元会長らへ標的を広げ、3年余りで動きを止めた。

事件を過去のことと考えることはできない。排外的な社会の空気は強まり、「反日」という言葉は一般化しつつある。

慰安婦報道にかかわった元朝日新聞記者には14年、「国賊」「売国奴」などと個人攻撃が繰り返された。ネット上には家族の実名や写真もさらされた。

街頭ではヘイトスピーチで差別感情をあおる集団もいる。

言論史に詳しい渡辺治・一橋大名誉教授(政治学)は「こうした言葉は相手を沈黙させ、萎縮させるもの。意見の交換を前提にしていない」と警告する。

言論を封じる憎悪表現といっていい。

■安倍政権と知る権利

異論を排除する、すさんだ言葉の横行は、安倍政権の姿勢と無縁ではなかろう。

一昨年、自民党若手議員の勉強会。安全保障関連法案についての批判報道が続くなか、出席した議員が「マスコミをこらしめるには広告料収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけてほしい」と発言した。

権力を持つ側がこうした発言をすれば、脅しになる。

昨年は高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、電波停止を命じる可能性に言及した。

国際NGO・国境なき記者団が毎年発表している「報道の自由度ランキング」で、日本はことし、180カ国・地域のうち前年と同じ72位。主要国7カ国(G7)で最下位となった。

10年には11位だったが、昨年まで年々順位を下げた。

特定秘密保護法の成立や、審議が進む「共謀罪」法案、防衛省の情報隠蔽(いんぺい)疑惑など、政権がすすめる政策やふるまいには、国民の「知る権利」を脅かしかねないものが目につく。

大切な権利が毀損(きそん)していないか、立ち止まって考えたい。

「国益を損ねるな」「政権の足を引っ張ってはいけない」。そんな「同調圧力」が、社会全体を覆い始めている。

報道機関が政権の意向を忖度(そんたく)すれば情報は偏り、国民は正しい判断ができなくなる。体制側が隠しても、国民に必要な情報は取材し、報じていく。国の情報は主権者のもので、共有することが民主主義の前提だ。

■メディアの責任

報道機関への信頼は揺らぎ、取材環境も厳しさを増す。

朝日新聞社が国際ジャーナリスト連盟の加盟団体に取材したところ、回答した50カ国・地域の61団体のうち、過半数の27カ国・地域の33団体が、この10年の報道の自由をめぐる環境が「悪くなった」か「やや悪くなった」と答えた。

自分好みの「情報」を信じ、既存メディアの情報を疑う傾向は、世界で強まっている。

メディアが伝える事実とは別の「事実」があるとする「もう一つの事実」。昨年の米大統領選では「フェイク(偽)ニュース」が世論に影響を与えた。

虚偽が現実の政治を動かす、極めて深刻な事態だ。

報じる側が批判に向き合い、自らの責務と役割を問い直すしかない。事実を掘り起こし、権力監視の役割を果たしているか。多角的な見方を提示し、軸足を定めた視座で主張、提言をなしえているか。日々の積み重ねで信頼を得る必要がある。

小尻記者が亡くなった後、朝日新聞は阪神支局に、詩人の故小山和郎さんの句を掲げた。

「明日(あす)も喋(しゃべ)ろう 弔旗が風に鳴るように」

自由にものをいい、聞くこと。その普遍的な価値を、社会と共有していきたい。
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