2017年04月21日

[東京新聞] 利用者負担上げ 「介護の社会化」は遠く (2017年04月21日)

一定所得以上の利用者負担引き上げを盛り込んだ介護保険法の改正案が衆院を通過し、今国会で成立する見通しになった。矢継ぎ早の給付カットに「保険あってサービスなし」の事態が懸念される。

食卓の上には「もう限界です」との走り書きがあった。東京都八王子市で先月、認知症の妻(81)を殺害し、無理心中を図ったとして、夫(84)が殺人の疑いで逮捕された。睡眠薬を飲んで自殺を図った夫は「介護に疲れ、精神的に追い込まれた」と供述している。介護サービスは利用していたという。

こうした悲劇は後を絶たない。厚生労働省によると、介護を受けていた六十五歳以上の人が親族による殺人や心中などで亡くなったケースは自治体が把握しているだけで二〇一四年度は二十五件だ。高齢者虐待に関する調査では、家族などによる虐待と判断した件数は一五年度、一万五千九百件超に上っている。虐待の発生要因として最も多いのが「介護疲れ・介護ストレス」で、25%を占めた。

膨張する介護費用を抑制する目的で、政府は介護サービスのカットを次々と打ち出している。介護殺人・心中は今後、さらに増える恐れがある。

改正案は、単身者の場合、年収三百四十万円以上の人の利用者負担を二割から三割に引き上げることが柱だ。対象は約十二万人。利用者負担は原則一割だが、一五年八月から単身者で同二百八十万円以上の人は二割に引き上げられたばかりだ。このほか、軽度の要支援者向けの訪問・通所介護を市町村事業に移す見直しも、今月初めに完全実施された直後である。

こうした負担増による影響の検証もないまま、さらなる給付カットを実行しようとするのは、乱暴ではないか。しかも、将来的に二割、三割負担の対象が拡大されていくことも予想される。

改正案の審議中、厚労省は一部の利用者負担が二割になった一五年八月に、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設を退所した二割負担者は全国で約千六百人いたことを明らかにした。また、「負担二割」になった人の特養退所割合は3%で「一割負担継続」の人の倍近くだった。長期的に見れば、退所せざるをえないという人はさらに増えるだろう。介護が必要な高齢者とその家族にしわ寄せがいくことは必至だ。

介護を社会全体で担う「介護の社会化」という制度創設時の理念から遠ざかっている。
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[産経新聞] 【主張】衆院新区割り 「土台」の議論に踏み込め (2017年04月21日)

政府の衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の定数を「0増6減」し、「一票の格差」を1・999倍に抑える新区割り案を勧告した。

これ自体は、与野党が成案を得られずに、衆院議長の諮問機関が出した答申に沿った内容で、すでに議論の余地は少ないはずである。

19都道府県、97選挙区で線引きが変更されることを考えれば、勧告を受けた公職選挙法改正案を早急に成立させ、新区割りの周知を図らねばなるまい。

それにしてもである。司法から格差をめぐる警告を受け、そのつど現行制度を前提に定数のつじつま合わせを行う。しかも、格差が生じる根本的な構造には手を付けない。いつまで同じことを繰り返すのか、改めて考えてほしい。

もとより、簡単に答えを出せる問題でないことはたしかだ。

投票価値の平等をどれだけ実現できるか。「2倍程度であればよい」というような、明確な理屈があるわけでもない。

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一方、人口減少と都市部への人口集中は止まらない。そうした中で、まず都道府県単位で分け、それをさらに分割して選挙区を置くやり方は、格差拡大の影響をもろに受けやすい。

むろん、人口基準のみで線引きの見直しを続ければ、地域社会の分断や崩壊を招きかねないことも考慮しなければならない。

難問が多ければ多いほど、国会はそれを避けず、あるべき議会制民主主義を見据え、それにふさわしい選挙制度づくりとは何かを真摯(しんし)に議論してほしい。

現行憲法は、国会議員を「全国民の代表」と位置付けている。選出地域の課題のみならず、外交安全保障や経済まで、日本や国際社会を考えて仕事をしてもらう必要がある。それは、憲法に書かれるまでもないことだろう。

それに値する人物をどのように選んだらよいか。これまでの議論は、その視点を欠いていないか。同時に、選挙制度は民意を集約し、政権を構築する勢力を選択する方策でもある。

参院側では「合区」の解消をめざす観点から、憲法を改正して参院は地方代表であると明確化する意見がある。その場合、衆院はどう位置付けるのか。

自己都合だけで、国のかたちにつながる選挙制度を論じていても答えは見つかるまい。
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[東京新聞] 英国、総選挙へ 未練は断ち切れるのか (2017年04月21日)

欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国で来月下院が解散され、六月八日に総選挙が実施される。EUへの未練を断つような世論をまとめ、離脱交渉を進めるきっかけにできるのだろうか。

メイ首相は声明で、前倒し総選挙を決めたのは最近だとし、離脱交渉を進める政府と、批判する野党のどちらを支持するか、民意を問うためと説明した。下院も解散に同意した。

総選挙で第一義的に問われるのは、離脱の進め方だ。首相は、移民規制のためなら欧州単一市場からの撤退も辞さない「強硬な離脱」の方針を打ち出し先月、正式に離脱を通告した。

最大野党の労働党は、離脱には反対しないが、EUとの通商関係は維持したい「穏健な離脱」を主張する。

しかし、争点は離脱の手法にはとどまらないだろう。

野党第二党のスコットランド民族党は離脱そのものに反対し、強硬な離脱を進めるのなら、英国からのスコットランド独立を問う住民投票を実施する方針を表明している。少数野党も離脱に反対だ。

昨年六月に実施された国民投票では、EU離脱派と反対派の差はわずかだった。「離脱すれば、EUに支払っている週三億五千万ポンド(約五百億円)もの拠出金を国営医療制度に充てられる」など、事実に基づかないキャンペーンも繰り広げられ、離脱決定後、後悔を表明する人も相次いだ。

総選挙は、正確な事実に基づいてEUとの関係を考え直し、納得して交渉を進めるための絶好の機会になる。

選挙で離脱についての世論が固まったら、EUとの協議を急ぎたい。残された交渉期間は二年を切った。EU側が求める多額の「手切れ金」を皮切りに法整備、貿易協定など詰めるべき難題は多い。EUとの取り決めのないまま、時間切れで無秩序に離脱するような事態になれば、経済的な混乱は世界に広がる。

離脱決定への「後悔」があまりに大きいとの民意が示されれば、離脱の当否そのものを再考するシナリオもあり得るだろう。

第一回投票が二十三日に迫るフランス大統領選や、秋のドイツ総選挙でも、反EUを訴える勢力が支持を広げている。戦後、欧州の平和と安定の礎となってきたEUだが、民意との乖離(かいり)や官僚主義など制度疲労も目立つ。英総選挙をEUを救う処方箋を考える機会にもしたい。
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[産経新聞] 【主張】正男氏裁判延期 すべての証拠を開示せよ (2017年04月21日)

ティラーソン米国務長官は、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定することを検討中だと明らかにした。米下院はすでに再指定を求める超党派の法案を可決している。

再指定の検討は、金正恩・朝鮮労働党委員長の兄、金正男氏がマレーシアで殺害された事件を受けて始まった。

一方でマレーシアでは、事件の裁判手続きが滞り、延期されている。延期の理由は検察側の書類不備によるもので、殺人罪で起訴された女2人の弁護側が証拠物の提示を求めたのに対し、検察側がこれを拒否しているのだという。

独裁者の兄が他国で毒殺されたという特異な事件を、米国をはじめとする国際社会が公正に検証できるよう、すべての証拠は公判廷で開示されることが望ましい。

ベトナム国籍とインドネシア国籍の女が殺人の実行犯として起訴されているが、マレーシア政府はすでに正男氏の遺体を北朝鮮に引き渡し、北朝鮮国籍の容疑者らも帰国させた。このままでは実行犯2人の責任のみ問われ、事件の真相が闇に葬られかねない。

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北朝鮮は、殺人の被害者を北朝鮮の旅券を所持する「キム・チョル氏」であるとし、正男氏であることすら認めていない。

検察はまず、被害者の身元を正男氏であると断定した根拠を明示すべきだ。

マレーシアのザヒド副首相兼内相は、正男氏の子供から採取したDNA型と照合したと明らかにしている。子供とは誰なのか。採取や提供の方法についても、北朝鮮の反論を許さぬよう、具体的に開示されなくてはならない。

殺害に使用したとされる神経剤VXについても、詳細な成分分析の結果の公表を急いでほしい。

分析にはオランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)が技術的な捜査協力を行ったとされる。そうした国際機関による科学的データの開示が必要だ。

韓国国防省は、北朝鮮がサリンやVXなど2500?5000トン余の化学兵器を貯蔵すると推定している。正男氏の殺害事件を通じて北朝鮮における化学兵器の実相に迫ることも求められる。

北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり東アジアの緊張が極度に高まっている今、事件の幕引きや裁判の遅滞は許されない。金正恩政権の特異性を、この事件が象徴しているからでもある。
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[日経新聞] ユナイテッド事件の教訓は (2017年04月21日)

米ユナイテッド航空が乗客を強制的に機内から降ろしたことへの批判が高まっている。この問題には中国など海外の関心も高く、同社のブランド価値が世界的に毀損しかねない状態だ。危機管理の観点から日本企業も他山の石とすべき事件である。

問題の発端は「降りたくない」と抵抗する男性を空港の治安当局が力ずくで引きずり出す動画がネット経由で世界に流れたことだ。無残に引きずられる男性の姿や周りの女性客の悲鳴も聞こえ、騒然とした様子が伝わってくる。

これだけでも衝撃は大きいが、世論の怒りの火に油を注いだのがオスカー・ムニョス最高経営責任者(CEO)のまずい対応だ。

最初のコメントでは、強制退去させられた男性を含めてオーバーブッキング(過剰予約)で飛行機から降りた4人の乗客に「便の振り替えをせざるを得ず、申し訳なかった」と表明しただけで、力ずくの行為についての謝罪はなかった。さらに社内向けのメールでは「(男性は)反抗し、けんか腰になった」と、相手に非があるかのような表現をした。

航空会社がある程度の過剰予約を受け付け、席が不足した場合は一定の代替措置をとって乗客の搭乗を断ることができるのは日本を含め世界的にほぼ共通のルールだ。だが、嫌がる乗客を暴力的に引きずり降ろすのは誰がみてもやりすぎだろう。

米航空業界は再編による寡占化が進んだ。客を客とも思わない事件の背景に寡占のおごりがあるなら、米当局は空の競争を活発にする策を講じる必要があろう。

加えて問題は世論の風向きに鈍感としかいいようのないCEOの対応だ。経営者は社内の指揮だけでなく、「会社の顔」として社会と対話する役目もある。

情報がネットで瞬時に拡散する時代に対応を誤れば代償は大きい。アンテナを高く張って世論に誠実に向き合い、コミュニケーション能力を発揮する。それが企業トップの欠かせない要件である。
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[日経新聞] 「脱時間給」制度の審議に逃げ腰になるな (2017年04月21日)

働き方改革への政府・与党の本気度を疑わざるを得ない。労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」の制度化を盛り込んだ労働基準法改正案について、今国会の成立も見送ろうとしているからだ。

人工知能(AI)の普及などで働き手は一段と創造性を求められており、脱時間給はこうした社会の変化に応じたものだ。早期の制度化が求められる。にもかかわらず労基法改正案は一昨年4月に国会に提出されて以来、たなざらしにされている。政府・与党は認識を改めてもらいたい。

改正法案の成立を先送りするのは7月の東京都議選を控え、野党の批判が高まるのを避けるためとみられている。かねて野党は法案を「残業代ゼロ法案」と名づけて反発している。

政府は秋の臨時国会に残業時間への上限規制などを定めた働き方改革関連法案を提出する方針で、労基法改正案はこれと一体で審議することで成立させやすくなるとの読みもあるようだ。

だが、脱時間給制度の創設は、成果が働いた時間に比例しない仕事が増えてきたことに対応した時代の要請だ。審議に逃げ腰になる必要はまったくない。

政府の制度設計では対象者を高収入の一部の専門職に限っているが、本来はホワイトカラーにもっと広げるべきものである。

残業に上限を設ける一方で、長時間労働を助長しかねない脱時間給制度を新設するのは矛盾する、という批判がある。しかし脱時間給制度では、本人が時間の使い方を工夫して生産性を高めれば、労働時間の短縮が可能になる。会社に拘束されずに働けるという長所にもっと目を向けるべきだ。

導入にあたっては本人の同意を条件とし、企業に(1)年104日以上の休日の確保(2)1カ月または3カ月間の労働時間への上限設定――などのいずれかを義務づけることとしている。健康確保のための対策は企業の労使が議論して充実させる余地も大きい。まずは制度の利用に道を開くことが必要だ。

労基法改正案は、仕事の時間配分を自分で決められる裁量労働制を提案型の営業職などに広げることも盛り込まれている。

国際的にみて低い日本のホワイトカラーの生産性向上を促す意義は小さくない。成長戦略として法案の成立を急ぐ必要があることを政府・与党は自覚してほしい。
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[毎日新聞] 実質審議入りの「共謀罪」法案 多数決で大臣隠しの異常 (2017年04月21日)

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「共謀罪」の要件を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案の実質審議が衆院法務委員会で始まった。

委員会の冒頭、委員長(自民)が野党の反対を抑えて、法務省刑事局長を政府参考人として呼ぶことを職権で採決し、賛成多数で出席が決まった。答弁が不安定な金田勝年法相の代わりに答えさせる狙いとみられる。極めて乱暴な委員会運営だ。

金田法相は法案の提出責任者だ。その大臣の答弁が不安ならそもそも法案に問題があるのではないか。

政治家主体の国会審議にする狙いから、1999年に国会活性化法が施行され、官僚の委員会出席は原則として禁じられた。

政府参考人制度は、官僚が行政の技術的な点などについて閣僚を補佐するために導入された。

より充実した審議のために補佐は認められていい。ただし、参考人出席は委員会が全会一致で議決するのが慣例だった。野党の了承がないままの採決は衆院で初めてという。異常な慣例破りである。

法案は、2人以上で犯罪を事前に計画・合意し、実行のための準備行為をすれば罰せられる内容だ。

組織的犯罪集団を適用対象と明記するが、一般市民も対象になり得るのではないかという点が最大の懸念材料だ。さらに、犯行着手前の「合意」を処罰するため、警察の捜査次第で、監視社会に道を開くのではないかという不安の声も強い。

金田法相は2月、法案に関して「国会提出後に議論すべきだ」と質問封じとも受け取れる文書を報道機関に公表し、わずか1日で撤回した。

その後もあいまいな答弁で野党に追及される場面が続いた。委員会の審議中、補佐する事務方が耳打ちする光景は最近でも見られる。

審議入りした法務委員会でも、処罰対象の団体が過去の共謀罪法案とどう違うのか野党委員に聞かれ、先に答弁に立った刑事局長の説明をほぼそのまま繰り返す場面があった。

金田法相は「実務的な部分は事務方がコメントするのは問題ない」と述べるが、法務委員会の審議に入り、質問の大半は法案の根幹に関わることだ。もう弁解は通用しない。

法相が法案の中身について自信をもって説明できなければ、法案そのものへの信頼が失われるだろう。
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[毎日新聞] 袋小路の諫早湾干拓事業 国は事態の打開に動け (2017年04月21日)

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国営諫早(いさはや)湾干拓事業をめぐり、長崎地裁が今週、潮受け堤防の排水門を開くのを禁じる判決を出した。開門による塩害を心配する干拓地の農家らが国を相手に訴えていた。

諫早湾が全長7キロの堤防で閉め切られて、今月でちょうど20年。この間、開門による環境調査を求める漁業者の訴えが裁判で認められ、7年前に確定している。今回の長崎地裁判決で相反する司法判断が生じ、問題は「袋小路」に陥っている。

2500億円以上をかけた干拓事業の狙いは、戦後の食糧難を解消するコメ増産策だった。その後、企業誘致や防災なども目的に加わった。必要性が乏しいのに見直さず、強行したツケがまわってきたと言える。

海流の変化でノリなどの不漁を訴える漁業者も、塩害などを心配する干拓地の農家にも非はない。どちらにも地域に根ざした生活がある。国策に振り回され、無益な対立に追い込まれた犠牲者だ。

しかも、いまだに税金が垂れ流しにされている。漁業者、農家の双方の申し立てに伴い、国は開門してもしなくても、日々制裁金を払わねばならないからだ。その総額はまもなく8億円を超える。

解決の糸口は一時見えかけた。

判決を前に、長崎地裁は和解の道を探った。その過程で国は開門しない代わりに、100億円の基金創設案を示している。沿岸4県で有明海再生に向けて基金を活用してもらう構想だった。だが、「話し合いには開門の議論が欠かせない」とする佐賀県の反対で不調に終わった。

今一度、関係者が打開に向けて協議すべきだ。

排水門を5年間開いて環境への影響を調査するように命じた判決が確定している以上、「開門しない」を前提にした案は道理にあわない。専門的な知識を得て、塩害を抑えて影響を最小限にとどめる開門方法を見いだす努力が不可欠である。

堤防建設の正しさに固執し開門したくない国は、長崎地裁の審理で十分に反論せず、わざと敗訴に持ち込むような姿勢だった。そうした対応は疑念を呼んで問題をこじらせる。

今日の事態を招いた責任は国にある。関係者が折り合える点を模索するうえでも、これまでにない発想での決断が求められる。
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[読売新聞] 米抜きTPP 日本主導で自由貿易体制守れ (2017年04月21日)

危機に瀕(ひん)した環太平洋経済連携協定(TPP)発効に向け、日本政府が大きく舵(かじ)を切る。

米国を除く11か国での発効を目指す方針を決めた。5月にベトナムで開かれるTPP閣僚会合で、日本側の考えを表明する見通しだ。

アジア太平洋の12か国が2016年2月に署名したTPPは、米国の離脱で発効条件を満たせず、暗礁に乗り上げている。

日本は米国の説得を続けたが、早期復帰は困難と判断し、新たな枠組みを探る方針に転換した。

日本が主導して自由貿易圏を広げ、保護主義に走るトランプ米政権を多国間の貿易秩序に引き戻すことが重要である。

米国は多国間協議に代えて、相手国への圧力を強めやすい2国間交渉を優先する姿勢を鮮明にしている。日本が米国抜きのTPPを推進するのは、こうした思惑を牽制(けんせい)する意味があろう。

TPPは複雑な利害調整を経て、参加国が最大限の恩恵を得るよう組み立てられた。ニューヨークで講演した麻生副総理が、日本のメリットを「2国間協議ではTPPほどのレベルに行かない」と述べたのはもっともだ。

米国抜きのTPPは、日本などへの農産品輸出の拡大を見込む豪州やニュージーランドが推す一方で、対米輸出を主眼とするベトナムやマレーシアは慎重だ。

発効条件の変更で11か国が一致しても、個別テーマの再交渉まで必要かどうか、各国の意見が対立する可能性もある。高いレベルの貿易・投資ルールを極力維持する努力が求められる。

現協定の批准手続きを終えた日本は、新たな協定に関する国会承認を取り直す必要もある。

今後のTPPのあり方について政府は、経済界や農林漁業者を含め国民に丁寧に説明すべきだ。

政府は、米国抜きのTPP、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)、日米経済対話、欧州との経済連携協定(EPA)を通商政策の4本柱に据える。

アジア太平洋から米国、欧州までの間で自由貿易を深化させ、保護主義の台頭を抑えようという狙いは理解できる。

RCEPは中国主導で諸規制が緩くなりがちだ。日欧EPAは欧州の政治環境が流動的なため、目標とする年内の大筋合意は予断を許さない。政府は総合的な通商戦略を構築せねばならない。

米国には日米経済対話で、新たなTPPへの合流に向けた働きかけを続けることが大切だ。
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[読売新聞] 衆院選新区割り 格差是正を円滑に実施したい (2017年04月21日)

人口の変動に応じて、「1票の格差」を定期的に是正する。小選挙区制には区割り見直しが不可欠である以上、様々な混乱を抑制し、極力円滑に定着させたい。

衆院選挙区画定審議会が、小選挙区の区割り改定案を安倍首相に勧告した。青森など6県の定数を減らす「0増6減」を含め、19都道府県の97選挙区の線引きを変更する。過去最大の見直しだ。

首相は「速やかに法制上の措置を講じる」と述べた。政府・与党は今国会で公職選挙法改正案を成立させる方針で、今夏以降の衆院選に適用される見通しだ。

衆院選の1票の格差は、最大2・13倍だった2014年衆院選まで、3回連続で最高裁に「違憲状態」と判断されている。

今回の見直しにより、20年の推計人口でも最大1・999倍に収まる。画定審議会設置法の定める「2倍未満」は実現しよう。

今回初めて、外国人を除いた人口を基準とし、国勢調査結果に加え、推計人口も用いた。区割り改定から次の選挙までの人口変動を織り込み、違憲判決を避けようとするのは前向きな対応である。

同じ自治体で選挙区が分かれる例が増え、過去最多の105市区町にも上った。特に東京では、5区から17市区に増えた。

自治体の分割は本来、できるだけ避けることが望ましい。有権者の分かりやすさ、自治体の事務負担の軽減に加え、恣意(しい)的な区割りを防ぐ意味もある。

新たな区割りに戸惑う有権者は少なくない。政府や関係自治体は周知を徹底してもらいたい。

定数が減った6県などでは、政党が候補者調整を迫られる。支持者や関係団体への影響も大きい。現職の多い自民党には困難な作業となるが、民主主義のコストとして乗り越えねばならない。

20年の国勢調査後には、新たに導入するアダムズ方式で抜本的な定数再配分が行われる。定数4増が見込まれる東京などは、再び大幅な区割り変更となろう。

2倍未満より踏み込んだ格差是正の主張もある。その場合、自治体の一層の細分化が不可避だ。

小選挙区で敗れても比例選で復活当選できる現行制度では、1選挙区から3人が当選する例さえある。この不均衡に目をつむったまま、より厳格な格差是正を追求する意義は乏しいのではないか。

人口減が続く県では、地元議員が減ることへの不満が強い。地方の声をどう国政に反映するか。その課題も忘れてはならない。
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[朝日新聞] ゲノム編集 ルール作り、国主導で (2017年04月21日)

遺伝子を狙ったとおりに改変する「ゲノム編集技術」をヒトの受精卵に使う研究をめぐり、菅官房長官が記者会見で「国として責任ある関与をすべきと考えている」と述べた。

事の発端は、関連学会と政府の対立だ。研究の妥当性などの審査について、国があくまでも「協力する立場」とのスタンスをとり、関与に及び腰なことに学会側が反発。信頼関係が崩れたとして、先週末、審査にあたる委員会の解散を決めた。

ルールのない状態を続けるわけにはいかない。官房長官発言を踏まえ、国はこれまでの姿勢を根本から改める必要がある。

政府の生命倫理専門調査会は昨年4月、子宮に戻さない基礎研究に限って、受精卵のゲノム編集が認められる場合があるとする報告書をまとめ、その指針づくりが課題になった。

だが内閣府や文部科学省、厚生労働省は「短期間に固めるのは難しい」との理由からこれを見送り、代わりに関係学会に審査を依頼する方法をとった。

テーマの重要性をわきまえず、当事者意識を欠いた態度と言わざるを得ない。

受精卵のゲノム編集は、遺伝性疾患をはじめとする病気の治療を画期的に変えうる可能性があり、国際的な競争が起きている。一方で、安全性や子孫に与える未知の影響が懸念され、だからこそ、専門調査会も臨床応用を認めなかった。

研究環境をすみやかに整備しなければ、意欲やアイデアを持った日本の研究者は力を発揮できない。逆に、安全性や倫理性が十分に確かめられないまま、抜け駆けのように研究を進める動きが出る恐れもある。

「学会に所属しない研究者にもルールを守ってもらうことが欠かせない」という学会側の意見はもっともだ。ここは他人任せにせず、国レベルで指針を整備することが望ましい。

同じく医療の将来を変える可能性を持つiPS細胞では、臨床応用に向けたルールが法律で定められている。臨床研究をおこなう際には、安全性や倫理面の問題について、病院や研究機関が設置した委員会でまず審査し、厚労省が最終的に計画を了承する仕組みだ。

日本では、遺伝子治療やクローン技術など新しい技術が登場するたびに、個別の指針や法律をつくって対応している現実がある。だが、こうした手法では限界がある。

生命倫理にかかわる研究を包括的にコントロールできるような法律と体制をどうつくるか。議論を進める必要がある。
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[朝日新聞] 仏大統領選挙 EUの意義尊ぶ選択を (2017年04月21日)

国境の壁を取り払い、人や物の往来を盛んにすることで平和と繁栄を築く――。2度の大戦を経て欧州が始めた壮大な実験が、試練に直面している。

23日に投票されるフランス大統領選挙である。結果次第では欧州連合(EU)の将来に一気に暗雲が立ちこめそうだ。

選挙は混戦模様だ。ただ、EUからの離脱を唱える候補たちが一定の支持を集めている。

フランスは、EUの前身が創設されて以来60年間、ドイツと共に欧州統合を牽引(けんいん)してきた。そのリーダー国が反EUに転じれば、衝撃は計り知れない。

自国最優先の内向き志向が広がる流れを断ち切るためにも、賢明な選択を期待したい。

選挙は、23日に過半数の得票をした候補がいなければ、上位2候補による決選投票が2週間後の5月7日に行われる。

主な候補4人のうち、反EU派は、右翼政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏と急進左派のジャンリュック・メランション氏。ともにEU離脱を問う国民投票を選択肢に掲げている。

フランス第一主義を唱えるルペン氏、自由主義経済に否定的なメランション氏と、基本的な立場は異なる。だが、テロが生んだ社会不安、伝統産業の流出による雇用喪失が、「閉じた国境」への共鳴を広げている。

どちらかが大統領になっても、すぐEU離脱が決まるわけではない。だがEUはすでに英国の離脱決定で揺れている。統合に後ろ向きな政権がフランスに誕生するだけでも、欧州経済は混乱に陥り、国際秩序は不確実性を高めることになろう。

その英国は6月の総選挙実施を決めた。今後本格化するEU離脱交渉に備え、メイ首相が足場固めを狙ったものだ。交渉が難航し、さらなる混乱や新たな離脱国を招かないために、EU側も結束固めが必要な時だ。

ルペン氏が移民規制など排外的な主張を掲げているのも懸念される。人権重視や多様性の尊重など、EUが国際社会に同調を呼びかけてきた価値観が損なわれる恐れがある。

確かに、エリート層による政治支配やグローバル化による格差拡大への庶民の怒りは強まっている。だからといって安易に欧州統合や移民をやり玉に挙げるのは、ポピュリズム(大衆迎合)のそしりを免れまい。

EUという単一市場が繁栄の土台になってきたことは紛れもない事実だ。

欧州の国々が価値観を共有し、協調して問題解決に取り組んできた歴史的意義をふまえた判断を望みたい。
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