2017年04月16日

[東京新聞] 週のはじめに考える 「残業社会」を変えたい (2017年04月16日)

「労働憲法」といわれる労働基準法が今月、公布から七十年を迎えました。同法の生い立ちを振り返り日本の長時間労働問題を考えてみたいと思います。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

一九四七年四月に公布された労働基準法(労基法)第一条は、こううたっています。当時の最低労働条件の国際水準を取り入れ、男女の別なく全産業を対象とし労働時間を一日八時間、一週四十八時間と定めた画期的な法律でした。


◆民主主義の根底培う
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第二次世界大戦が終わると、米軍の占領下で一連の民主化が始まります。四六年には新憲法が公布され、第二五条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と規定します。この条文が、冒頭に引用した労基法一条に反映されます。加えて憲法二七条は、賃金、就業時間、休息などの労働条件の基準は法律で定めるとしました。

公布から一年後に出版された「労働基準法解説」で、当時の労働省労働基準局課長の寺本廣作氏は次のように記しています。

<民主主義を支えるものは究極において国民一人一人の教養である。国民の大多数を占める労働者に余暇を保障し、必要な物質生活の基礎を保障することは、その教養を高めるための前提要件である。労働基準法は労働者に最低限度の文化生活を営むために必要な労働条件を保障することによってこうした要件を充たし、我が国における民主主義の根底を培わんとするところにその政治的な制定理由を持つ>

しかし、労基法には大きな欠陥がありました。三六条です。労働組合またはそれにかわる過半数代表と時間外労働に関する労使協定を結べば、無制限に長時間労働をさせることが可能になるというものでした。


◆生まれながらザル法
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森岡孝二関西大名誉教授は「労基法は生まれながらにしてザル法だった」と指摘します。そして、欧州諸国にはないこの規定が、今日、世界で最悪レベルにある日本の長時間労働の根源にあります。

森岡氏が総務省の「社会生活基本調査」と経済協力開発機構(OECD)の統計から分析したところ、日本の男性正社員の総労働時間は年二千七百六十時間(二〇一一年)で、ドイツ、フランスより実に六百時間超多いのです。六百時間といえば、一日八時間労働として七十五日分、多く働いている計算です。

日本は本当に先進国と言えるのでしょうか。しかも、この水準は一九五〇年代半ばから変わっていないそうです。

労基法は八七年、大きな転換点を迎えます。一週四十時間制の導入です。政府は「働き方を他の先進国並みに変える歴史的なもの」としていましたがこれも労働時間の短縮に結び付きません。平日の残業が増えただけだったのです。

それどころか同時に、労使で定めたみなし労働時間を超えても残業代が払われない「裁量労働制」や「事業場外みなし労働制」が法律上、導入されます。両制度は実際に何時間働いたかを問わないためサービス残業を生みやすく、過重労働を招くと批判されています。

八〇年代後半から過労死が社会問題化してきます。全国各地に「過労死を考える家族の会」が結成され、海外のメディアでも日本語がそのまま「karoshi」として紹介されるようになりました。過労死・過労自殺者数は近年、年間二百人前後で推移しています。国際社会においても、恥ずかしい限りです。

「日本の働き方を変える歴史的な一歩である」

安倍晋三首相は先月末、働き方改革実行計画を取りまとめた会議の席上、こう胸をはりました。

これまで“青天井”だった残業時間に、罰則付きの上限を設け法定化する。長時間労働の是正に向け大きく前進すると期待していましたが、政労使の合意には失望しました。

残業の上限を年間七百二十時間(休日労働を含まず)の枠内で、「一カ月百時間未満」「二〜六カ月平均八十時間以内」としたのです。これはまさに、過労死の労災認定基準です。過労死するようなレベルの長時間労働に、政府がお墨付きを与えるようなものです。


◆生活・仕事の両立疑問
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法定の労働時間が週三十五時間のフランスでは、残業の上限を年間二百二十時間と定めています。日本の三分の一以下なのです。

政府は、当初「欧州並み」に労働時間を抑え、育児や介護など家庭生活と仕事の両立を容易にするという目標を掲げていました。

速やかに残業の上限引き下げに向けた次の議論を始めることを、政府に求めます。
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[産経新聞] 【主張】浅田選手の引退 次の世代に思い引き継げ (2017年04月16日)

会見での笑顔と涙に、心を揺さぶられた人は多かったはずだ。「体も気持ちも全部出し切った」という言葉とともに、フィギュアスケート女子の浅田真央選手(26)が現役を引退した。

華のある演技で女子フィギュア界を長くリードし、国内外のファンを魅了し続けた。その背中に拍手を送りたい。

浅田選手の功績は、3度の世界選手権優勝や2010年バンクーバー五輪銀メダルなどの記録にとどまらない。誰もが思い出すのは14年ソチ五輪ではないか。

ショートプログラムで16位と出遅れながら、フリーの演技で8度の3回転ジャンプに挑戦し、6位まで挽回した。失意を乗り越えた出色の演技と、感極まって流した涙には、メダルをしのぐ輝きがあった。五輪史に残る感動の記憶だろう。

愛らしさに満ちた言動は、お茶の間にもファン層を広げた。浅田選手の登場を境に、フィギュアが人気競技の仲間入りをしたと言っても過言ではない。

浅田選手の技は15歳で完成していたといわれる。06年トリノ五輪女王の荒川静香さんは「変わりゆく体に変わらない技を合わせるのは、難しかったのではないか」と推し量る。さらに国民の期待も背負いながら、重圧を感じさせない笑顔の滑走が多くの支持を得たのも当然だった。

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かつて「女子では跳べない」と言われた高難度のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は、浅田選手の代名詞だ。近年は3回転の連続ジャンプがより確実に得点を稼げるようになった。「時流に取り残された」と評する声もあったが、浅田選手は左膝を痛めた今季も、最後までトリプルアクセルに挑んでいる。

失敗と挫折があり、それらを乗り越えて限界に挑む。トップ選手のあるべき姿を示し続けた浅田選手は、次代を担う子供たちにとって最良の模範だ。今年2月の四大陸選手権を制した三原舞依(17)ら、浅田選手にあこがれて競技を始めた世代が頭角を現している。それも浅田選手が残した貴重な財産だろう。

競技の一線を退きプロに転向する今後は氷上以外にも活動の幅を広げてほしい。来年は平昌五輪、3年後には東京五輪もある。スポーツの新たな魅力を語る伝道師は、浅田選手こそふさわしい。
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[産経新聞] 【主張】韓国大統領選 「脅威」に向き合う選択を (2017年04月16日)

朝鮮半島有事を見据え、国家やこの地域の危機をどう乗り切るか。

韓国が迎える大統領選は、朴槿恵前大統領の失脚に伴う混乱から抜け出すだけでなく、死活的に重要な課題に向き合わざるを得ない。

次期指導者は、暴走を重ねる北朝鮮の金正恩政権に毅然(きぜん)と対峙(たいじ)しなければならない。そのために、日米韓の連携を強化すべきことは自明である。5月9日の投開票に向け、候補者にはその覚悟と具体的な手立てを示してもらいたい。

北朝鮮の軍事挑発はとどまるところがない。6回目の核実験の準備が整ったといい、長距離弾道ミサイルの発射も想定される。

これに対し、トランプ米政権は原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島周辺に派遣するなど圧力を高め、北朝鮮を押さえ込むために「全ての選択肢」を検討中だ。

大統領選の結果を待つことが難しいかもしれないほど、極度の緊張が東アジアを覆っている。

選挙戦は当初、左派の最大野党「共に民主党」の文在寅氏の独走とみられた。それが今は、中道左派「国民の党」の安哲秀氏が急追し、互角の戦いだという。

背景には、国民が両氏の安全保障観に目を向け始めたことがあるとも考えられる。北朝鮮との融和路線が顕著な文氏に対し、安氏は「いまは制裁のとき」と距離を置いている。

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米軍による「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備について、当初、反対していた文氏も肯定的な姿勢に転じた。安保環境に即して現実的な判断を示すのは当然といえよう。

だが、初のテレビ討論での安保論議は不十分だった。米国による北朝鮮への先制攻撃論について、両候補は、米国あるいは米朝双方に「自制を求める」と述べるにとどめた。軍事境界線を挟んで向き合う当事国として、どう主体的にかかわるかがみえない。

25日の朝鮮人民軍創建記念日などの「重要日程」が4月に集中している。

大統領代行を務めている黄教安首相の責任も重い。対北の警戒体制に空白を生じさせぬよう、万全の態勢を整えてもらいたい。

国の立て直しには対外的な信頼も不可欠である。慰安婦問題をめぐる日韓合意に反対するなど、大統領選で反日を競うようなことは論外である。
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[毎日新聞] 韓国大統領選スタート 対北朝鮮観を注視したい (2017年04月16日)

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朴槿恵(パククネ)前大統領の後任を選ぶ韓国大統領選が事実上始まった。

朴政権の与党は分裂し、保守派は勢いを失ったままだ。選挙戦は、革新系の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)氏と中道系の第2野党「国民の党」の安哲秀(アンチョルス)氏による事実上の一騎打ちとなっている。

大統領罷免を巡る混乱で、もともと深刻だった韓国社会における左右両派の対立は一層強まった。社会を分断する溝を埋め、再び国民をまとめることが次期大統領にとって最大の課題となる。それは、安定した外交・安全保障政策を展開するためにも不可欠な作業である。

北朝鮮情勢は緊迫の度合いを強めている。

北朝鮮は今年に入ってからも弾道ミサイル発射を繰り返している。6回目となる核実験の準備が進んでいる可能性も指摘される。

米国のトランプ政権は朝鮮半島に空母を派遣した。トランプ大統領は必要なら軍事力使用をためらわない姿勢を見せる。予期せぬ事態に発展する危険は否定できない。

選挙戦では、在韓米軍へのミサイル防衛システムの配備が争点の一つだ。北朝鮮のミサイルに備えるものだが、レーダーの探知範囲に自国も入ると主張する中国の反発は強い。

文氏は消極論と条件付き容認の間で揺れている。一方の安氏は情勢変化を理由に反対から賛成へと姿勢を変えた。

2人とも北朝鮮への先制攻撃に反対し、対話の道を探るべきだという点は共通している。安氏の姿勢変化には、安保問題に敏感な保守派の票を意識した側面もあるのだろう。

外交・安保政策は自国の都合だけで決められるものではない。前政権からの連続性も大切だ。

その意味では、慰安婦問題を巡る一昨年の日韓合意に2人とも否定的なのは残念である。日韓関係を改善していくためには、合意を守る姿勢が欠かせないからだ。

良好な日韓関係は、対北朝鮮政策での日米韓連携を強めていく基盤でもある。

韓国政府が長期にわたって機能不全に陥っていたことは、北東アジア地域の不安要因だった。大統領選を経て韓国社会が安定を取り戻すことを強く期待したい。
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[日経新聞] 科学技術立国の堅持へ大学改革を (2017年04月16日)

日本は科学技術立国を堅持できるのか。そんな不安を抱かせる指標や分析が発表されている。なかでも新しい産業の芽や社会的価値を生む役割が期待される大学で、活力の低下が指摘されている。

人口が減る日本では研究者数や研究費を右肩上がりでは増やせない。科学技術立国を標榜し続けるには、研究の多様性を保ちつつ、生産性を高めるという難題を乗り越えねばならない。遅々として進まなかった大学改革に、いまこそ危機感をもって取り組むときだ。

年功崩し若手登用

「日本の科学研究はこの10年で失速し、この分野のエリートの地位が揺らいでいる」。英科学誌「ネイチャー」は3月、日本の科学研究の弱体化を厳しい表現で指摘した。

同誌によれば、この10年間に世界で発表された論文数は80%増えたが、日本は14%増にとどまる。日本の世界シェアは2005年の7.4%から、15年には4.7%に低下した。お家芸だった「材料」や「エンジニアリング」などでもシェア低下が目立つ。

国連の専門機関である世界知的所有権機関によれば、日本は研究開発の産物である特許の登録件数で長く世界首位だったが、15年に中国に抜かれ2位に落ちた。有力研究機関が公表する競争力ランキングでも日本はじりじりと順位を下げている。

日本では研究開発投資の約8割を企業が担い、科学技術全体が急速に弱っているかどうかは議論の余地があろう。だが大学の活力低下は国際化の遅れなど他の指標からも見て取れる。ネイチャーの警告は重く受け止めるべきだ。

何が活力を奪っているのか。大学関係者からは、国が支給する運営費交付金の削減をあげる声が多い。交付金は教員数などに応じて配分され、大学運営の基礎となってきた。政府は04年度の国立大学法人化を機に毎年減額し、この10年間で約1割減った。

しかし、大学予算全体はそれほど減っていない。政府は交付金を減らす代わりに、公募方式で研究者に資金獲得を競わせる「競争的研究費」を増やしてきた。本質にあるのは研究費不足ではなく、もっと構造的な問題とみるべきだ。

ひとつが研究者の高齢化だ。ノーベル賞級の独創的な成果は若い頭脳から生まれやすい。1980年代、大学では40歳未満の若手教員が4割を占めたが、いまは25%にまで下がった。代わりに50?60代が半数近くを占める。産業界などでは崩れてきた年功序列が、大学ではいまだに残ったままだ。

政策も失敗が続いた。文部科学省は博士号をもつ若手を任期付きで雇用する「ポスドク」を増やしたが、任期後の就職先がなく、収入や身分が不安定な「高学歴ワーキングプア」と呼ばれる若手研究者が増えてしまった。

閉塞感を打ち破るには、若手を積極的に登用する政策が欠かせない。政府は科学研究費補助金を若手に重点配分したり、国のプロジェクトで登用したりする制度を始めたが、これだけでは足りない。

各大学が若手に責任あるポストを用意し、意欲を引き出す改革が不可欠だ。企業の研究との兼業を認める「クロスアポイントメント」という制度も活用すべきだ。

企業の資金生かせ

研究費を国だけに頼るのではなく、企業などから受け取れるように「稼ぐ力」もつけるべきだ。

日本は欧米に比べ産学共同研究が大幅に少なく、金額ベースでは米国よりも1桁少ない。連携を仲介する専門人材を増やしたり、企業の設備を借りたりすることで共同研究を増やす余地は大きい。

研究評価の方法も見直しが要る。公募型の研究が増え「数年先に実用化が見込める研究ばかりが評価される」との声があがる。実用性が不透明な基礎研究はさらに資金を得にくくなる心配がある。

研究の多様性を保つには、研究費を配分する日本学術振興会などの役割が重くなる。欧州では「経済効果は基準に含めない」「論文の本数だけでは評価しない」などと、10年単位の長い目で研究の価値を評価する例が増えている。日本でも参考にしたらどうか。

政府の総合科学技術・イノベーション会議は昨年度から5年計画で始めた科学技術基本計画に数値目標を盛った。大学についても「40歳未満の若手教員を3割にする」「企業などからの資金調達を5割増やす」などと掲げた。

それらの達成に向け、政府が細かく指示を出し、研究活動を縛っては、かえって大学の活力をそぐ。大学の自発的な改革を加速させるときだ。
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[毎日新聞] 製薬会社からの資金提供 新法を不正抑止の契機に (2017年04月16日)

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薬の効果を調べる臨床研究で、データ監視や情報公開などの実施手続きを定めた臨床研究法が成立した。

製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の研究データ改ざん事件などで浮き彫りになった製薬会社と医師らとの癒着をただし、臨床研究を適正化する狙いがある。地に落ちた日本の臨床研究の信頼回復と質の向上に向けた契機としたい。

同法では、製薬会社から提供された資金を使った臨床研究や、国の未承認薬で行う臨床研究を「特定臨床研究」と規定し、製薬会社に資金提供などの情報公開を義務づけた。

研究を実施する大学などは、研究計画を策定し、国の認定を受けた第三者機関の審査を受けなければならない。カルテの記述と研究データが一致するかの確認義務も負う。

国は研究の改善や中止を命令できる。違反は最高で懲役3年、罰金300万円が科せられる。

臨床研究の中でも、新薬の製造や販売の承認を受けるための治験は、医薬品医療機器法(旧薬事法)で規制されていた。しかし、薬の販売開始後に、脳卒中予防など副次的な効果を調べたバルサルタンの臨床研究のような場合は、対象外だった。

臨床研究法成立で、臨床研究不正を抑止する効果が期待できる。ただ、それだけで臨床研究の質が高まるわけではない。第三者機関の体制整備や研究データを解析する専門家の育成、研究者に対する倫理教育の強化など、政府や医学界が取り組むべき課題は山積している。

臨床研究法制定のきっかけとなったバルサルタン事件では、元社員が医薬品医療機器法違反(虚偽記述・広告)に問われた。東京地裁は先月の判決で、元社員が論文用データを意図的に改ざんし、論文が販売促進に使われたことを認めた。にもかかわらず、論文は広告に当たらないとして、元社員に無罪を言い渡した。東京地検は控訴している。

臨床研究法で、すべての臨床研究に網がかかるわけではない。意図的な改ざんデータを含む論文が罪にならないのであれば、新たな不正の抜け道ができる恐れもあるだろう。

今後、規制対象の見直しや、米国で認められている製薬会社への巨額な制裁金制度も検討されていい。
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[読売新聞] 経団連就活指針 インターンを有効活用したい (2017年04月16日)

就業体験を通じ、学生の企業理解を深める。それが、早期離職の解消にもつながろう。

経団連が、2019年春入社の就職活動に関する指針を決めた。

会社説明会の解禁は3月、面接などの選考は6月とする。3年連続で同じ日程に据え置いた。

就活ルールを巡っては、学業優先を求める政府の意向で、16年春入社の説明会を12月から翌年3月に繰り下げた。その後、就活長期化の批判を受け、17年春入社から現行日程にした経緯がある。

経団連ルールが頻繁に変更されては、学生の混乱を招く。学生が早い段階から計画的に就活の準備を進められるように配慮して、経団連が解禁日を維持したのは妥当な判断だろう。

指針には強制力がなく、経団連に加盟していない外資系やIT企業などを中心に、解禁日前から採用活動が行われている。

こうした実態を踏まえ、経団連の榊原定征会長は「全ての企業がルールに沿った採用活動を行うことが望ましい」と強調した。

今回の指針で注目されるのは、企業が就活前の学生を一定期間受け入れ、就業体験をしてもらうインターンシップの充実策だ。

これまでの指針で「5日以上」としていた日数規定を見直し、「1日から」の開催を認めた。

企業の採用担当者からは、説明会から面接開始までの期間が短いため、学生が企業の業務内容などを十分に理解していないといった声も上がっている。

「1日インターン」が増えれば、様々な企業の実情を知る機会が提供され、学生が志望先を絞り込むうえで効果があろう。企業側も、できるだけ多くの学生と接触して自社をアピールできる。

就活の課題となっていた企業と学生のミスマッチを解消する一つの手立てになるのではないか。

経済界にはインターンを通じた就活の解禁を望む声がある。特に中小企業は採用活動の一環として実施したいとの要望が多い。

これに対し、経団連はインターンの短期化は認めつつも、採用活動と結びつけないようクギを刺している。採用に直結するインターンは、事実上、就活の大幅な前倒しにつながりかねないためだ。

インターンは本来、学生が企業の業務に直接、触れることで理解を深める教育的な狙いがある。

中小企業では、複数の企業や業界が共同で実施するなどの方策も考えられよう。インターンの有効活用へ向けて議論を深めたい。
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[朝日新聞] 温暖化対策 米国に振り回されまい (2017年04月16日)

米国のトランプ大統領が、地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令を出した。石炭産業などで雇用を増やそうと、環境規制をゆるめる内容である。

米国は、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量が、中国に次ぎ世界で2番目に多い。その大排出国が長年の科学的議論を無視し、途上国の対策を支える国際基金への拠出も拒もうとしている。

昨年11月に発効したばかりの温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に大きな痛手を与えかねない暴挙だ。強く再考を求めたいが、トランプ氏は折り紙付きの規制反対論者を環境保護局長官に据え、局の予算を大幅に削る方針も示した。姿勢の転換は当面、期待できそうにない。

日本を含む各国政府に求めたいのは、米国に振り回されないことだ。その動向を必要以上にうかがうことなく、自国の対策を着実に進めるべきである。

パリ協定の特徴は、かつての京都議定書と違い、締約国が自国の削減目標を自主的に決めて提出していることだ。

日本は、パリ協定で「2030年度の温室効果ガスの排出を13年度比で26%削減する」と国際的に公約した。さらに「2050年には80%削減」との長期目標も閣議決定している。

達成は簡単ではない。米国の動向を口実に対策をゆるめ、時間を浪費すれば、将来の削減をより急にせざるをえず、実現がますます厳しくなる。

自ら約束した目標を守れなければ非難を免れず、国際的な信用や外交上の主導権を失う。日本は約束を達成する筋道をきちんとつけることが肝要である。

トランプ政権による政策見直しが、米国の温暖化対策を実際にどの程度後退させるのか、現時点ではわからないという事情もある。

米国の科学界や環境団体は、世界の温暖化対策の推進力となってきた。今回の大統領令に対し、温暖化対策に熱心な州は訴訟を検討している。米石油大手エクソンモービルがパリ協定残留をトランプ政権に求めるなど、産業界にも積極的に対応していこうという機運がある。

トランプ氏は、大統領選で掲げた公約の実現に苦戦している。政権への支持率低迷が続けば、石炭産業復興策なども長続きしない可能性が高い。

各国・地域がパリ協定のもとで足並みをそろえ、取り組みを進めて、トランプ政権に軌道修正を迫っていくべきだ。

日本政府の動きは依然鈍い。まずは自らの目標達成に向けて態勢を立て直さねばならない。
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[朝日新聞] 避難者いじめ 実情学び考える授業を (2017年04月16日)

東日本大震災と原発事故で、福島県内外に避難した子どもたちへのいじめが、この1年間で129件確認された。

震災や事故にからむいじめと認定されたのは4件だけだったが、文部科学省は「すべて把握できたわけではない」と説明している。むろん、これは氷山の一角にすぎないだろう。

「お前らのせいで原発が爆発したんだ」「放射能がうつるから来ないで」と過去に言われた例も報告された。横浜市に避難した子がいじめで不登校になったことが、昨年秋に大きく報じられたのを改めて思いおこす。

「背景には放射線や、避難を続ける人たちへの理解不足がある」と松野博一文科相は述べた。子どもたちは周りの大人の発言や態度に影響を受ける。はびこるいじめは、大人社会の無理解を映す鏡でもある。

県民を傷つける言動を閣僚もくり返してきた。自主避難者の苦境を「本人の責任」と言い放った今村雅弘復興相だけではない。石原伸晃氏の「最後は金目でしょ」、丸川珠代氏の「反放射能派、と言うと変だが、どれだけ(線量を)下げても心配だという人はいる」などだ。どちらも環境相時代の発言だ。

福島に戻る人が増えるほど、復興が進む。あるいは進んでいるように見える。政権のそんな思惑と打算が、避難者に肩身の狭い思いをさせてはいないか。

いじめの原因が「理解不足」にあるのなら、実情を学び、考える機会を子どもたちに提供する責務が、大人にはある。

たとえば福島県教育委員会が作った「ふくしま道徳教育資料集」を使ってはどうか。小中高向けの各版がそろい、県教委のホームページからも手に入る。

避難を強いられた住民の気持ち。「放射能差別」や福島の農産物に対するいわれなき偏見。そうした重いテーマも、実話に基づいて扱っている。

避難生活や福島の現状を描いたルポ、ドキュメンタリーも、教材にできるだろう。放射線の勉強をまじえて総合学習で学んだり、現代社会などの授業で扱ったりする方法もある。

避難するか、とどまるか。故郷に戻って再出発するか、避難先で生活をたて直すか――。一つの正解がないからこそ、福島の人々の選択は分かれた。

「本音で語り、考えが相いれないこともあると認め、互いを尊重しつつ折り合いをつけることを学んでほしい」。福島県教委の担当者の言葉だ。

教え込むのではなく、自分で考えさせる。そんな授業に取り組む良い機会ととらえたい。
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[読売新聞] 北軍事パレード 対米緊張をいたずらに高めた (2017年04月16日)

北朝鮮が軍事力を誇示して、米国への挑戦的な姿勢を鮮明にした。朝鮮半島の緊張を一層高めるだけである。

北朝鮮は平壌で、金日成主席の生誕105年を記念して、大規模な軍事パレードを行った。朝鮮労働党の金正恩委員長が出席した。約1年半ぶりの開催で、国威発揚を図る目的があるのは明白だ。

問題なのは、北朝鮮がいたずらにトランプ米政権に対抗する構えを見せていることである。

昨年夏、発射実験に成功した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星」が初公開された。新型の大陸間弾道弾(ICBM)とみられるミサイルも登場した。

崔竜海副委員長は演説で、「もし米国が挑発を仕掛ければ、全面戦には全面戦で、核戦争には核打撃で対応する」と言い放った。

北朝鮮は、6回目の核実験を強行する可能性も示唆している。

危機を自ら高めて、相手から妥協を引き出す戦術は、北朝鮮の常套(じょうとう)手段だ。金委員長が、トランプ政権にも通用すると考えているのなら、甘過ぎるのではないか。

トランプ政権は、原子力空母「カールビンソン」やミサイル駆逐艦を朝鮮半島付近に向かわせ、海軍特殊部隊の支援船を沖縄に派遣した。北朝鮮に対する軍事行動もあり得ることを明確に示す戦力展開だと言えよう。

アフガニスタンでは、通常兵器で最大の威力を持つ大規模爆風爆弾(MOAB)を初めて用いた。過激派組織「イスラム国」の拠点を破壊すると同時に、北朝鮮を牽制(けんせい)する効果を狙ったのだろう。

米軍は、北朝鮮が地下に建設した多数の軍事関連施設も無力化できる攻撃能力を保有しているとのメッセージだ。

北朝鮮に核ミサイル開発を断念させるため、トランプ大統領は中国の習近平国家主席に、圧力を強めるよう求めている。

中国政府は2月、今年末まで北朝鮮産の石炭を輸入しないと発表した。近く中国国際航空の北京発平壌行きの運航を一時停止する。北朝鮮の暴走に歯止めをかけるには到底、力不足だ。

王毅外相は北朝鮮の軍事パレードの前日、米国と北朝鮮の双方に対し、「威嚇してはならない」と自制を促した。北朝鮮を支えてきた中国が衝突回避を呼び掛けるだけでは、事態は動くまい。

中国は、北朝鮮からの労働者の受け入れや、原油供給を制限するといった実効性のある具体策を早急に打ち出さねばならない。
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