2017年04月11日

[産経新聞] 【主張】教育勅語論争 理念読み取る力こそ育め (2017年04月11日)

「徳を積む」「徳が高い」というように、人として身につけておきたい態度や教えなどがある。それを分類、整理したものが徳目である。

明治23年に発布され、その徳目を示した教育勅語に対する誤解が相変わらずあるようだ。

政府はこれを学校の教材として扱うことについて、憲法などに反しない形で用いることは「否定しない」という答弁書を示した。これに対し、「軍国教育への回帰だ」などの批判が相次いでいる。

徳目には、時代を超えて流れる教育理念として、改めて読みとるべきものも多い。不当な評価は見直すときである。

政府答弁書は、教育勅語を「教育の唯一の根本」とするような指導は不適切だとも述べている。

教育勅語それ自体は、現行の中学歴史や高校の日本史や倫理の教科書に登場する。天皇中心の国家観を支え、戦中に戦意高揚に使われたなどと、批判的に位置付けるものが少なくない。

これは、編纂(へんさん)過程を無視した誤解に基づく。教育勅語は、明治維新後、西洋思想などが急激に入る変革期に、徳育に何を求めるかの議論が起き、当時の法制局長官、井上毅らが起草を進めた。

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特定の宗教思想にとらわれず、近代立憲主義に基づく市民倫理や伝統的徳目が調和してつくられていることが、近年の研究でも知られている。

「朕惟(ちんおも)フニ」と、明治天皇が国民に語る形で書かれていることや、冒頭に続く「我カ皇祖皇宗」のくだりをとらえ、「国民主権に反する」などと批判するのが、今日、どれほど建設的だろうか。

歴代天皇と国民が心を一つにして、祖先が築いた道徳を守ってきた。そういう日本の美風に言及しながら、この国柄こそ教育の源だと説いているのである。

戦後の日本では、国柄に根差した親孝行や信義といった徳目が否定されてきた。こうした排除の論理は、多様な視点で考える現代の教育の方針にそぐわない。

とくに批判の的となるのは「一旦緩急アレハ」と、義勇奉公を説く文言だ。国の危急のとき、国民がそれぞれの立場で一致協力するという意味に尽きる。戦後日本で置き去りにされてきたことに、目をつむってはなるまい。

よく理解せず、批判する大人こそ、じっくりと読んだらよい。
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[産経新聞] 【主張】米中「100日計画」 世界経済に資する協議を (2017年04月11日)

真に自由で公正な貿易の拡大は、世界経済全体の発展に欠かせない。世界1、2位の経済大国として、米国と中国はこれを主導する責務を果たさねばなるまい。

トランプ大統領と習近平国家主席は、新たな経済協議を行うことで合意した。貿易不均衡の是正に向けたものだが、この協議もまた、世界経済に資するものとなることを期待したい。

両国は、成果を早期に示すため「100日計画」を策定するという。これが、中国の恣意(しい)的な経済運営に改革を迫る有効なツールになり得るなら、米側が中国に強く実施を迫るのは当然である。

腰を据えて解決すべき中国の構造問題ではなく、対中貿易赤字の縮小という目先の問題ばかりをトランプ政権が優先させかねない懸念も拭えない。それが自由な貿易構造をゆがめないか。

自由であるかよりも、制裁をちらつかせながら、米国にとって都合の良い「公正さ」を求める。そんな手法を考えているとすれば危うい。米中にとどまらず、日米経済対話にも悪影響を及ぼしかねない。日本としても注視しておく必要がある。

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トランプ政権は、貿易赤字の相手国としてことさら中国を批判してきた。だが、両国の貿易摩擦が激化すれば、米中はもちろん、世界経済が停滞しかねない。それを避けるため、対話の枠組みを構築したのなら意味がある。

中国が貿易上、多くの問題を抱えているのは言うまでもない。市場への国家の過剰介入や国有企業の優遇、知的所有権の侵害、外資に対する技術移転の強要などである。改革の重要性を認め、速やかに改善に向けた行動に移るべきである。

中国側が米国の攻勢をかわそうと、国内の需要を度外視し、米国製品の輸入を増やそうとしたらどうなるか。米国にはそうした期待もあるのだろう。

それが米国の成長につながるとは思えない。国をまたいだ経済活動が深化するなかで、民間企業の輸出入を国家間で管理しようとすること自体に無理がある。

日米経済対話と同様、米国が中国との2国間協議に向かったのは、かつての日米貿易摩擦で講じた手法の再現にもみえる。そうしたやり方で、米国の自動車産業は競争力を高められたか。現実を直視すべきである。
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[東京新聞] 豊洲市場問題 小池氏は判断を早く (2017年04月11日)

築地市場を豊洲市場へ移すべきかどうか。小池百合子東京都知事は早く結論を出すべきだ。都議選の争点となれば、食の安全安心が振り回されかねない。トップの責任を都民に転嫁してはなるまい。

築地市場の移転問題を検討するとして、小池氏は市場のあり方戦略本部を立ち上げた。築地を再整備する案もテーブルに載せ、移転の可否を決めるという。

食の安全安心にとどまらず、中央卸売市場としての採算性や利便性といった多角的な視点から検討を深めるねらいがある。税金の使い方をふくめ、一気に課題を押し広げた形だ。

築地残留か、豊洲移転か。市場業者をはじめ都民の賛否は割れている。小池氏にとって、手持ちの判断材料が豊富なことに越したことはないだろう。しかし、首都圏の台所として安全安心の議論が後退しては元も子もない。

先週、都の市場問題プロジェクトチームは、築地改修案と豊洲移転案を業者に示した。

築地で営業しながら再整備する案では、完成まで七年、総事業費は七百三十億円余と試算している。豊洲を壊し、マンションや商業施設の用地とすれば最高四千四百億円近くで売れる。売却益は豊洲整備費の回収に充てるという。

六千億円近くを投じた豊洲への移転案では、開場後に年間百億円程度の赤字が見込まれる。業者の使用料を値上げしたり、都内の十一市場の整理縮小や税金投入が必要になったりするという。

築地残留を支持するかのような立場に映るが、その案には疑問が残る。土壌の汚染がないことを前提に積み上げているからだ。

都の地歴調査では、戦後に進駐軍がドライクリーニング工場を建て、有機溶剤を使っていたようだ。給油所や車両整備工場が設けられた時期もあった。土壌汚染の恐れがあるとして調べるという。

汚染が見つかれば、対策を要するはずだ。豊洲と同様に飲み水の環境基準を地下水に適用すると、費用は大きく膨らむに違いない。

二つの案を比べるには、条件を等しく設定すべきだ。経済合理性ばかりに議論が傾くようでは、都民の理解は得られまい。

食の安全は科学的、法律的な根拠で担保する。ならば、消費者心理に根ざす安心感、信頼感を勝ちうるにはどうすべきか。

信任厚いリーダーの納得できる説明と「安全宣言」に尽きる。政治的な思惑や利害の対立で信任を失えば、だれも耳を貸すまい。
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[東京新聞] 北朝鮮の核開発 暴発阻止へ米中協調を (2017年04月11日)

物足りない結果に終わった初顔合わせだった。北朝鮮の核・ミサイル問題が主要議題になった米中首脳会談。北朝鮮の暴走を食い止めるには協調が欠かせないことを両首脳は理解してほしい。

ティラーソン米国務長官によると、両首脳は北朝鮮の核開発をめぐってあらゆる対応策を論議し、核開発が「深刻な段階に達した」との認識を共有した。

ただし、トランプ大統領は中国側の協力が得られない場合は、米国が独自に対応する意向を習近平国家主席に伝えた。

一方、王毅・中国外相が自国メディアに明らかにしたところによると、習氏は米朝双方が自制するよう求め、在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対する姿勢をあらためて示した。

米国による武力行使まで幅広く意見を戦わせたものの平行線に終わり、具体的な合意には達しなかったようだ。普通行われる会談後の共同記者会見や共同声明の発表もなかったことが、立場の違いの大きさを物語っていよう。

会談に影を落としたのは、米国のシリア攻撃だ。

米側によると、夕食会の終了間際にトランプ氏から攻撃を知らされた習氏は「理解」を示したというが、リップサービスだろう。シリア攻撃は、北朝鮮問題で中国に積極的な行動を迫る脅しでもあることを悟ったはずだからだ。

ティラーソン氏はシリア攻撃を引き合いに「国際合意に違反し他国の脅威になるなら、対抗措置を受けるというメッセージだ」と述べ、北朝鮮への警告でもあったことを明らかにした。これは口先だけではあるまい。

国際合意も、確たる外交戦略もないまま、いわば即興的に武力行使を強行する−。トランプ政権にはそんな危うさがあることを国際社会に知らしめたのが、シリア攻撃だ。

このままでは北朝鮮への「独自対応」は現実味を帯びてくる。

そうなれば日本や韓国が北朝鮮の武力攻撃にさらされ、大きな被害を受けることが懸念される。

中国が米国にも自制を求めたのは当然だ。だが、挑発を繰り返す北朝鮮は中国の足元を見透かしている。核開発に歯止めをかける実効性のある措置を中国に求めたい。

大国の米中は国際秩序の安定に重い責任を持つ。国益にばかりとらわれず、地球規模の課題に至るまで協力する姿勢を両国はみせてほしい。
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[日経新聞] 選択肢を広げるガス自由化に (2017年04月11日)

都市ガス小売りの全面自由化が今月から始まった。昨年4月の電力小売りの全面自由化に続くエネルギー市場改革である。電力とガスの自由化を産業や地域の垣根を越えた事業者の競争を促し、新たなサービスを生み出すきっかけにしたい。

消費者はこれまで、住んでいる地域のガス会社からしか都市ガスを買えなかったが、自由に事業者を選べるようになった。

ガス小売りの全面自由化によって、一般家庭や商店など約2600万件の需要家、約2兆4千億円の市場が開放された。事業者は自由に料金を決め、インターネットや家庭の水回りの修理など、多様なサービスと組み合わせた売り方ができるようになった。

なかでも期待されるのが電気とガスのセット販売だ。ガス小売りを始めた関西電力は電気とガスを一緒に買う家庭向けの割引を用意した。迎え撃つ大阪ガスも電気とのセット販売に力を入れている。

ただし、ガス自由化は昨春の電力自由化と様相が異なる。電力の自由化が始まった昨年4月1日時点で小売り登録した企業は280社あったが、ガスの場合、家庭向けに参入した新規事業者は今月1日時点で10社あまりにとどまる。

購入先を変更したくても選べない地域も少なくない。競争が活発化する地域と盛り上がりを欠く地域との差は、消費者の選択肢拡大を目的に掲げる自由化の趣旨に応えているとはいえない。

参入した事業者も電力会社やLPガス会社などに限られる。電力小売りでは自前の発電所がない事業者でも卸市場を通して販売用の電力を調達できる。卸市場のないガスの場合、販売用ガスの確保は簡単ではない。電力は全国の市場が送電網でつながっているが、ガスは近接する供給区域どうしがつながっていないことが多い。

ガス事業固有の事情が参入を難しくしているなら、卸市場の創設やパイプライン網の整備など、競争を促す環境を整える取り組みを続けていかなければならない。
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[毎日新聞] 出足鈍いガスの自由化 競争を広げる工夫が要る (2017年04月11日)

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都市ガスの小売りが、今月から全面自由化された。競争原理の導入で価格抑制やサービス向上を目指す。

もっとも、1年前の電力小売り全面自由化に比べるとガス小売りへの新規参入の出足は鈍く、消費者の関心も高まっていない。自由化の恩恵を広げるため、競争促進に一段と知恵を絞る必要がある。

都市ガスの小売りは従来、各社が限られた地域を独占してきた。1995年以降、段階的に自由化され、今回は残されていた約2600万世帯が対象になる。

しかし、家庭用への参入は今のところ、関西、中部、九州など一部の大手電力会社やプロパンガス会社に限られている。

そのため、自由化1週間前時点での新規参入会社への切り替え申し込みは約9万件にとどまった。電力自由化の時は約38万件だったから、低調だと言わざるを得ない。

しかも、事前申し込みの8割近くは関西電力が積極攻勢に出ている近畿地区に集中した。準備不足の東京電力グループが7月に参入する関東では、約3000件にとどまるなど地域的な偏りが大きい。

確かに異業種からの参入には壁が高いことは否めない。原料の液化天然ガス(LNG)は、火力発電用に大量輸入している大手電力以外では調達が難しい。

さらに、ガスという商品の特性上、安全確保が大前提になるため保安体制の整備も必要になる。

もともと都市ガスの販売区域は、ガス管の制約があるため、国土の6%程度にしか及んでいない。このままでは、恩恵を受ける消費者はごく一部に限られ、自由化の意義さえ問われかねない。

より幅広く、活発な競争が起きる環境を整えるべきだ。まず、新電力を含めた電力会社の積極参入を促す必要がある。電気とガスのセット販売やポイント付与などを組み合わせ、ガス会社と競い合えば消費者へのサービス向上につながる。

そのためには、電力会社が都市ガスを安価に調達できる卸市場のような仕組みが求められる。

一般的に都市ガスはプロパンガスより割安であるため、販売エリアが広がれば消費者の利益になる。ガス管網の拡充も課題になるだろう。
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[日経新聞] 人口推計に向き合い一層の少子化対策を (2017年04月11日)

50年後の日本の人口は、2015年より3割少ない8808万人になる。国立社会保障・人口問題研究所がこんな推計をまとめた。5年前に出した前回の推計より、わずかに減少のペースが緩んでいる。だが依然、厳しい状況であることには変わりはない。

人口減少と急速な少子高齢化は日本社会に大きな影響を与える。未来を変えていくために、少子化対策を一層進める必要がある。

将来推計人口は、国勢調査の結果などをもとに5年に1度、改定している。現在の出産や死亡などの傾向が将来も続くとして算出した値だ。

それによると、人口は53年に1億人を割り込む。ただ前回推計の48年よりも5年、後ろにずれ込んだ。65年時点で40.4%とされていた人口に占める高齢者の割合も、38.4%となる。30代、40代の女性の出産が増えており、将来推計のもととなる合計特殊出生率の値を前回より引き上げたことが影響したという。

とはいえ、今回設定した合計特殊出生率は、1.44にすぎない。政府は「一億総活躍」に向けて希望出生率1.8の実現を掲げているが、その水準には到底、届いていない。とても安心できる状況ではない。

少子化は労働力不足と経済の低迷を招き、社会保障制度の基盤を揺るがしかねない。子どもを産み、育てたい。若い世代の願いをかなえるために、政策を総動員し、将来への不安を払拭しなければならない。

仕事と子育てを両立しやすくすることは、少子化対策としても、女性の労働力を生かすという意味でも大切だ。政府はここ数年、保育所などの整備を急いできたが、17年度末までに待機児童をゼロにするのは難しい情勢だ。両立を阻んできた長時間労働の見直しも道半ばだ。

高齢者に偏りがちな財源を、子どものための施策に振り向ける方策も考えなければならない。社会保障を効率化するとともに、豊かな高齢者に一定の負担をしてもらうなど、どんな方策をとるべきか、議論を深めなければならない。

今回、研究所は将来推計人口と同時に、前提条件を変えた仮定の値も出した。外国人を年間25万人受け入れれば1億人を割らない、などの値が一例だ。外国人材の受け入れをどう考えるか、議論の材料のひとつとなるだろう。
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[毎日新聞] 日本の人口、50年後は8800万人 質量共に対策が足りない (2017年04月11日)

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日本の人口は2065年に8808万人になる。国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計によると、50年間で人口3割減というかつてない急坂を下ることになる。

安倍政権は「50年後も人口1億人を維持」を目標に、非正規雇用の改善、待機児童解消などに取り組んでいる。出生率だけ見ると5年前に公表された推計値より若干改善したが、長期的には焼け石に水だ。

特に深刻なのは、現役世代(15?64歳)が4割も減ることである。支え手が先細りすると年金や医療制度が危うくなり、経済にも大きな影響をもたらすことが危惧される。

8800万人というのは1950年代と同じ水準だ。当時は現役世代10人以上が高齢者1人を支えていた。農業や自営業もまだ多く、多世代が同居して育児や介護を家族内で担っていた。老後の生活保障(年金)も要らなかった。

ところが、2065年には現役世代1・3人が高齢者1人を支える「肩車型」になる。独居の高齢者も大幅に増え、年金や介護サービスが今以上に必要になる。それを急減する現役世代が担うのである。

何をおいても、少子化対策にもっと力を入れなければならない。

生涯未婚の人は急速に増えていく見通しだ。結婚や出産をしたくても経済的に苦しくてあきらめている人は多い。子育てや子供の教育にかかる負担の軽減は最重要課題だ。

政府は「働き方改革」に取り組んでいるが、非正規雇用の待遇改善に向けた政策はまだまだ足りない。現役世代に重点を置いた社会保障への大転換が求められる。

人口減少社会への備えも同時に進めなければならない。

高齢になっても心身ともに健康な人は増えている。「高齢者」は65歳以上を指すが、65歳を過ぎても働ける人や経済的に余裕のある人は「支える側」に回ってもらうべきだろう。年齢で一律に区切るのではなく、必要性に応じた社会保障制度にするための改革が重要だ。

働き手不足への対策としては、女性が出産後も安心して働き続けられる職場環境の整備、男性の育児参加をもっと進めるべきである。外国人労働者の受け入れについても本格的な検討が必要だろう。
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[朝日新聞] 教育勅語 憲法とは相いれない (2017年04月11日)

政府の容認姿勢が、教育現場への「復活」を後押しするのではないかと危惧する。

義家弘介・文部科学副大臣が、教育勅語を幼稚園などの朝礼で朗読することについて、「教育基本法に反しない限りは問題のない行為であろうと思う」と国会で答弁した。

教育行政に責任ある立場の発言として、不見識だ。

改めて確認したい。教育勅語は、憲法が定める主権在民とは相いれない。憲法施行の翌48年、国会は排除・失効の決議をした。それは国民主権の国として歩む宣言でもあった。

歴史資料のひとつとして使うのなら理解はできる。だが、朗読は、教育勅語の暗唱を求めた戦前・戦中の「修身」に通じる。今後、道徳を含む幅広い科目での活用を黙認することにつながりかねない。

安倍内閣は先月、教育勅語について「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を閣議決定した。朝日新聞は社説で、なし崩し的な復権だと強く批判してきた。

その後、松野博一文科相は道徳の教材として使うことを否定せず、「一義的には教員、学校長の権限」と説明。菅義偉官房長官も「それぞれの現場で判断すること」と述べた。

解せないのは、では憲法や教育基本法に反しない形での活用法とは何なのか、政府が具体的な説明を避けていることだ。

教育勅語は、「朕(ちん)(明治天皇)」が、「臣民(国民)」に守るべき徳目を示している。いざというときは「皇運」に尽くせと国民に迫る内容だ。同じ明治期にできた軍人勅諭と共に、戦時中は国民を総動員体制に駆り立てる支えともなった。

そうである以上、「負の歴史」として教材にする以外に活用の仕方は考えにくい。それを明言したくないから、説明を避けているのではないか。これでは使ってもいいとの空気だけが教育現場に広がってしまう。

疑問の声は与党内にもある。私学教育にも携わる自民党の船田元・衆院議員は自身のブログで、政府答弁書について「戦前の軍部や官憲による思想統制の道具とされてしまったことは言うまでもない」とし、「『憲法や教育基本法に反しない形』で教育勅語を教材に使えるのだろうか」と疑問を呈した。

こうした声に、政府はどう説明するつもりか。

来年度から義務教育で段階的に道徳の教科化が始まる。「修身」の復活につなげてはならない。
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[読売新聞] 農産物国際認証 五輪で普及に弾みをつけたい (2017年04月11日)

農産物輸出を促進するには、安全性を評価する国際的な認証を得ることが一つの有効な手段だ。五輪を機に積極的に取り組むべきである。

2020年東京五輪の大会組織委員会が、大会中に選手らに提供される食材について、安全性を証明する第三者の認証を受けたものに限ることを決めた。

代表的な国際認証は「グローバルGAP(ギャップ)」と呼ばれる。生産者は衛生面や作業環境、法令順守など多岐にわたる項目で厳しい工程管理が求められる。

世界100か国以上で認証が取得されており、欧州では、流通する野菜・果物の7割が認証農家によって生産されているという。

日本国内の取得は約400農家にとどまる。日本独自の代表的な認証制度を含めても約4500農家で、全体の1%未満だ。

東京五輪では、選手村の食事や関係者の弁当など延べ1500万食が必要とされる。

組織委は国産食材を優先的に使用する方針を掲げているが、このままでは食材調達に支障をきたすという指摘もある。

国と自治体、JAなどは、国際的な認証の取得に向け、農家支援を強めねばなるまい。

国際認証の取得は、政府が15年に改定した食料・農業・農村基本計画でも農産物の世界市場開拓のカギと位置付けている。

16年の農林水産品輸出は7500億円で、「19年に1兆円」との政府目標達成は容易ではない。

安全でおいしい作物でも、国際認証を得ていないだけで、海外市場から門前払いされかねない。

世界標準の認証を得ることで、日本の食の評価が一層高まり、輸出振興にも弾みがつこう。

原発事故の風評被害に悩む生産者にとっても、海外消費者の安心感を高める効果が期待される。

国内で普及しつつある都道府県やJAによる認証制度は、多くが第三者のチェックを受けず、国際認証の要件を満たしていない。

国内だけで評価され、世界市場で競争できない農作物の「ガラパゴス化」を招いてはならない。

国内農家に国際認証が広がらない一因は、取得コストの高さにある。グローバルGAPの認証を得るには、初年度に数十万円、その後毎年の認証更新に20万?40万円の費用がかかる。

政府は初年度の費用補助を実施しているものの、2年目以降はない。産地がまとまって認証を取り、各戸の費用を軽減するなど、農家にも工夫の余地はあろう。
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[読売新聞] こども保険構想 支援強化へ財源の議論深めよ (2017年04月11日)

少子化に歯止めをかけるためには、子育て支援策の大幅な拡充が欠かせない。その財源となり得るのか。具体的な議論を加速させたい。

自民党の小泉進次郎農林部会長ら若手議員で構成する委員会が、教育無償化などの財源を新たな保険料で賄う「こども保険」の創設を提言した。

公的年金の保険料に上乗せして現役世代から幅広く財源を集め、児童手当の加算や保育所整備など子育て世帯の支援強化に充てる。企業にも負担を求める。

子供・子育て分野に特化した財源を確保する。社会全体で負担を分かち合う。提言の基本的な考え方自体は妥当である。

厚生年金の保険料に労使それぞれ0・1%を上乗せすると、約3400億円の財源を確保できる。未就学児の児童手当を月5000円増やせる計算だ。

0・5%なら1兆7000億円に上る。児童手当は月2万5000円増となり、保育所などの利用料をほぼカバーできるという。

日本は、保育関連など家族向けの公的支出の対国内総生産(GDP)比率が欧州諸国の半分程度にとどまる。社会保障・税一体改革により、消費増税分から年7000億円を子育て支援に投入することになったが、まだ不十分だ。

消費税率10%超への引き上げは、現時点では見通せない。実現しても、年金や医療・介護にも多くを配分する必要がある。新たな財源が模索されるゆえんだ。

自民党内では「教育国債」を発行して財源とする案も浮上している。これ以上、国の借金を増やし、次世代にツケを回すことが現実的と言えるのか、疑問である。

こども保険にも課題は多い。子供を持つかどうかは親の意思による。万一のリスクに備える保険制度に適さないとの声がある。子供のいない世帯や子育てを終えた世帯にとっては、給付なき負担となる点も保険の原則から外れる。

現役世代だけに負担を求め、高齢者を除外するのが適切かどうかも、議論のあるところだ。制度設計は容易ではあるまい。

必ずしも保険の枠組みにこだわらず、多面的に検討する必要がある。年金積立金の運用益が予定を上回った際には、それを活用することも一案だろう。

自民党は、教育無償化に力点を置いて議論を進めている。

だが、新たな財源をどのように活用すれば、少子化対策として効果的なのか、きちんと見極めることが先決である。
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[朝日新聞] 新人口推計 政策にどう生かすか (2017年04月11日)

日本の人口減少の速さや高齢化の進行度合いが、これまでの見通しより少し緩やかになる。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、そんな新たな人口推計を公表した。

30?40歳代の女性が、5年前の前回推計時の予測より、実際には多く子どもを産んでいる実態を踏まえたという。

だが、足元の出生率の改善を織り込んでも、日本の総人口は2015年の1億2709万人から50年後には8808万人に減る。総人口に占める65歳以上の割合も、26・6%から38・4%に上昇する。

日本が深刻な人口減少、超高齢社会に直面している現実に変わりはない。

厚労省は、30?40歳代の出産増加について、保育の受け皿の整備など子育て支援策の充実が下支えになったとみる。

たしかにそうした側面はあるだろう。ただ、出生率の動きは景気の動向に連動する傾向がある。前回の推計後、景気がおおむね回復基調だったことを考えると、楽観はできない。

むしろ、20歳代の出生率は前回推計を下回り、晩産化の傾向は続いている。結婚したくても出来ない若者も少なくなく、50歳まで一度も結婚しない人の割合は上昇が見込まれている。

子育て支援にしても、働く女性の増加に保育所などの整備が追いつかず、待機児童ゼロの目標達成は先送りされた。

若者の雇用の安定と、子どもを生み、育てやすい環境の整備は、引き続き喫緊の課題だ。

もっとも、出生率が改善を続けても、効果が表れるのはずっと先だ。「団塊ジュニア」がすでに40歳代になり、親となる世代が今後は少なくなって、出生数自体も減る。人口減に合わせた社会の仕組みの見直しにも取り組まねばならない。

現役世代によって支えられている年金制度は給付減が避けられない。一方で、高齢期には医療や介護の必要度が増す。サービスの確保、負担の分かち合いなど、制度を安定させるための議論は待ったなしだ。

働き手を増やすには、女性や高齢者も働きやすい職場づくりをはじめ、働き方改革の検討と実行が大切だ。海外からの人材受け入れのあり方も大きな課題になるだろう。

これからの政策と行動で、未来は変えることができる。だが人口減を目の前の危機ととらえず、対策を怠ってきた結果が、日本の現状でもある。

将来の日本の姿から何を学び、どう生かすのか。新人口推計を有効に役立てたい。
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