2017年04月09日

[産経新聞] 【主張】こども保険 税負担の議論を逃げるな (2017年04月09日)

保育や幼児教育を無償化するための財源として「こども保険」を自民党が検討している。年金保険料に上乗せして徴収する仕組みである。

子育て費用の重さは、少子化の主たる要因だ。高齢者へのサービスに偏る社会保障のありようを見直す動きとしては評価できる。

だが、そこには増税でやるよりも国民の反発をかわしやすい、といった発想が見え隠れする。

国難の一つである少子化の対策費用を、保険料収入に頼ることは適切とは思えない。国政の最優先課題として、税財源で予算を確保するのが本道といえよう。

小泉進次郎衆院議員ら若手議員が作る党小委員会の提言によれば、厚生年金の場合、保険料を労使各0・1%上乗せし、これを財源に未就学児の児童手当に1人当たり月5千円の給付金を加算する。将来は保険料率を上げ、給付額を月2万5千円に増額する。

だが制度化はあまりにハードルが高い。何よりも、保険という方法で理念を語り尽くせるのか。

保険とは偶発的に起こるリスクに備えるものだ。「子供が生まれること」は、リスクになるとでもいうのだろうか。子供がいない人や子育てが終わった人にすれば、加入するメリットはないのに保険料だけを支払うことになる。

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小委は「子供が増えれば、老後に受け取るサービスの支え手も増える」として、全国民のメリットになると説明する。これも、負担と受益の関係があいまい過ぎて、理解を得られまい。

年金受給者は負担しないというのも説得力に欠ける。目指すという「全世代型の社会保障へのシフト」と言えるのか。

党内には、高等教育の授業料無償化に向けた「教育国債」を模索する動きもある。これも返す裏打ちのない借金に変わりはない。

子供にかける費用は、未来への投資である。将来にツケを回すのは、政策的に筋が通らない。

指摘しておきたいのは、2度にわたり消費税率引き上げを延期した安倍晋三首相の口から、今後の展望が聞けないことだ。それが保険や国債といった、その場しのぎのアイデアを生むことにつながっていないか。

消費税率10%はもとより、10%後をにらんだ議論こそ、国政選挙などを通じて、国民の前でたたかわせてもらいたい。
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[産経新聞] 【主張】トランプ・習会談 中国に強固な意思示した (2017年04月09日)

国際社会のルールや秩序を破壊しようとするものとは、断固たたかう。米国の決然たる政治的意思を、中国の習近平国家主席は目の当たりにしたのではないか。

トランプ大統領は、シリア攻撃の前後に行われた首脳会談を通じ、北朝鮮問題をめぐり中国の協力がないなら、単独行動も辞さないと語った。

東・南シナ海問題も取り上げ、国際ルールの徹底と非軍事化を求めた。

アジア太平洋地域の平和と安定を損なう動きに、米国は積極的に向き合う姿勢を示した。同盟国である日本としても歓迎したい。

米国は、北朝鮮に対する武力行使を含む「全ての選択肢」の検討を表明している。6回目の核実験強行の兆候もあり、脅威が深刻な段階に達していることは、習氏との会談でも確認した。

電撃的なシリア攻撃は、化学兵器などの大量破壊兵器の拡散・使用、非人道的行為は許さないとの決意表明でもあった。

核・ミサイル開発に突き進み、VXガスを用いた暗殺事件を起こす北朝鮮に対しても同様の姿勢で臨む。おのずと習氏へのメッセージになったろう。

中国は石油、食糧など北朝鮮の生命線を握っている。国連安全保障理事会の制裁の効果を高め、金正恩政権の暴走に歯止めをかける上で、中国の責任は重大だ。

これらの問題について、両首脳がどこまで認識を共有し協力関係を構築できたかについては、慎重に考えねばならない。

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対北対話路線や南シナ海での領有権主張など、中国としての従来の見解を、習氏がにわかに変えることはないだろう。

両首脳が並び立ち、会談の成果を発表する機会はなかった。ただ、貿易不均衡問題の解決に向けた「100日計画」の策定などで一致し、それぞれ「前進があった」や「共通認識に至った」などと強調した。

双方とも、初の首脳会談にあたり、両国に溝があることは隠せないものの、米中関係を円滑に進めていくことをアピールしたかったのではないか。

トランプ氏の意思表明を受け、中国は今後どう動くのかを注視すべきである。

日米政府間でも、北朝鮮やシリア情勢を含め、改めて意思疎通を図っておくことが重要である。
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[日経新聞] 米中は北朝鮮問題で踏み込んだ協力を (2017年04月09日)

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が米国で初会談した。関係がギクシャクしてきた両国の間に外交・安全保障、経済、サイバー安全保障など4分野でハイレベル対話の枠組みができるのは評価できる。

だが、日本の安全保障に大きく関わる北朝鮮の核・ミサイル開発問題を巡っては、協力の方向を示したものの、目に見える合意は打ち出せなかった。

米中首脳会談の直前、北朝鮮はあえて弾道ミサイルの発射実験に踏み切った。北朝鮮が挑発を繰り返すのは、中国が戦略的に北朝鮮側に立つことを見抜いているからでもある。

しかも中国は北朝鮮の脅威に備える米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備にも強く反対してきた。

中国の一連の行動は北朝鮮を利するだけで、「朝鮮半島の非核化」という自ら掲げる目標の実現まで阻むことになる。中国はまず北朝鮮に効果が確認できる手法で圧力をかけるべきだ。

南シナ海問題を巡る米中両国の立場の違いも鮮明である。中国による一方的な岩礁埋め立てと軍事拠点化にストップをかける実力があるのは米国だけだ。東南アジア諸国の不安も大きいだけに、実効性を持つ形で中国を説得する必要がある。

習氏は会談で中国人民解放軍と米軍の関係が米中関係の重要な部分であると強調した。衝突を避ける枠組みが重要と考えるなら、まず自ら一方的な行動を慎むのが先だろう。

経済を巡る議論は、米国が抱える巨額の対中貿易赤字の問題に集中した。トランプ氏はかねて赤字を生み続ける今の条件で貿易を続けることはできないとの意向を表明している。

貿易不均衡は中国だけの問題ではない。米国が保護主義の動きを強めるなら日本にも打撃になる。アジア、世界経済の安定のためにも情勢を注視したい。

安倍晋三首相は先に習氏と同じトランプ氏の別荘を訪ねて会談し、一定の信頼関係を築いた。同盟国の米国と、経済で相互に依存する中国との関係は、日本の行方をも左右する。

トランプ氏は年内に日本、中国を訪問する予定だ。日本としては米国との信頼を維持・強化しつつ、対中関係のもう一段の改善も視野に入れる必要がある。
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[毎日新聞] フロリダでの米中首脳会談 国際協調こそ繁栄の鍵だ (2017年04月09日)

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米フロリダ州で行われたトランプ米大統領と習近平中国国家主席の初顔合わせは初日の夕食会終了とほぼ時を同じくして米軍がシリアをミサイル攻撃し、メディアの注目度は薄れた。具体的な成果も乏しかった。

しかし、国際政治、経済に大きな影響力を持つ両大国の首脳が対話の必要性を再確認し、新たな包括対話の枠組みに合意したことは世界や地域の安定に大きな意味を持つ。

トランプ氏は年内の国賓としての訪中招請に応じた。今後、米中両政府間で北朝鮮の核問題や通商問題をめぐる協議が進む見通しだ。世界に目を向けた合意形成が望まれる。


北朝鮮の暴走を止めよ
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トランプ氏は多額の対中貿易赤字を背景に中国批判を繰り返してきたが、就任後は歴代米政権が維持してきた「一つの中国」政策の尊重を表明し、中国との関係構築に動いた。

内政ではイスラム諸国からの入国禁止令などの選挙公約が実現できず、現実の壁にぶつかっている。対中政策が批判の材料にされることを避けたかったからではないか。

一方の習氏は秋に指導部を入れ替える第19回共産党大会を控える。内政に力を注ぐため、対米関係や周辺環境を安定化させたいのが本音だ。今回の会談は双方の思惑が一致して実現したといえる。

もちろん、米中の利害は異なる。トランプ氏がシリア攻撃に踏み切った背景には、北朝鮮にも軍事攻撃の可能性があることをにおわせ、中国に圧力をかける狙いがあったのだろう。トランプ氏は中国が有効な手を打てないなら、単独で行動する用意があると迫ってもいる。

習氏は人道問題を理由にシリア攻撃に「理解」を示したという。中国はロシアと共にアサド政権への制裁や武力攻撃に反対してきた。メンツをつぶされた形にもなる。心中、穏やかではないはずだが、対米協調を優先させたともいえる。

北朝鮮の核、ミサイル開発問題が深刻な段階に達しているという点では両首脳の認識が一致した。これは軍事衝突を起こさないためにも望ましいことだ。中国は北朝鮮に歯止めをかける、実効ある対策を求められることになる。

経済問題では米中の貿易不均衡を是正するための「100日計画」を策定し、米国の対中輸出拡大策などを検討するという。関税引き上げなど保護主義的な手法では世界経済が萎縮する。中国が市場開放を進め、輸出主導の発展を内需主導に切り替えていくことが是正につながる。

IT大国である米国は、中国が米国のインターネット企業の参入を認めていないことを批判している。中国は安全保障や治安対策を理由に規制を強めているが、見直すべきだ。

習氏は保護主義的言動を強めるトランプ氏に対抗するかのように言葉では自由貿易やグローバリズムを擁護してきた。地球温暖化への対応も積極的に見えるが、実際に行動に移さなければ説得力はない。


現実主義に立つべきだ
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中国が対米関係の指針としてきた衝突を避けるための「新型大国関係」への言及はなかった。中国は覇権大国と新興大国がぶつかってきた歴史を再現させないためと主張するが、米国内には南シナ海問題など米中の利害が対立する問題への介入を防ぐ狙いではないかとの警戒感がある。衝突を望まないなら、中国自身が力で現状を変更するような南シナ海や東シナ海での動きをやめ、周辺国との対話を優先すべきだろう。

トランプ氏には時折、北朝鮮など安全保障問題をてこに中国に経済問題での妥協を迫るような言動が見られるが、原則のない取引は危険である。まして同盟国との相談なしに安全保障問題で中国と取引するようなことがあってはならない。シリア、北朝鮮への対応も一筋縄ではいかない。他国の協力が必要になる。

大国とはいえ、2国間で解決できる課題は限られている。現実主義に立てば、米中ともに自国の力だけで繁栄を享受することができないことははっきりしている。

グローバリズムの弊害はあるが、格差の拡大など問題点を克服しながら、自由貿易体制や国際協調を守っていくことが必要である。欧米などで排外主義的な動きが強まる中、国際協調、多国間主義の重要性はむしろ高まっているといえる。

資源が限られた日本にとってはなおさらだろう。「自国第一」に傾きがちな米中両大国に国際協調を働きかけていくのも日本の役割だ。
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[日経新聞] 教育勅語は道徳教材に使えぬ (2017年04月09日)

教育勅語を巡る応酬が収まらない。勅語は大日本帝国憲法の下、天皇を君主、国民を臣民とする国家観を補強する目的でつくられた規範だ。史実として学ぶ意義はあるが、子供たちの道徳教材として用いることは妥当ではない。

政府は教育勅語について「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との答弁書を閣議決定した。現に中学、高校の歴史、公民などの教科書には勅語の全文、または一部が掲載されている。近現代の史料として勅語の果たした役割を学ぶことに異論はない。

むしろ勅語が示す家族国家観が戦時の総動員体制とどのように融合したのかなどを、生徒の発達段階や興味、関心に応じ、能動的に学ぶことは、新しい学習指導要領の趣旨にも合致するだろう。

今回、教育勅語が注目されたのは、学校法人「森友学園」(大阪市)が運営する幼稚園で、園児に暗唱させていたことが問題視されたからだ。勅語が説く夫婦愛などの徳目が現代社会でも通じる、と擁護する閣僚の発言もあり、波紋が広がっている。過去の経緯を踏まえ、冷静に議論すべきだ。

教育勅語は1890年、大日本帝国憲法が施行された年に発布された。親孝行など臣民が守るべき徳目を列挙する一方、「万一危急の大事が起こったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身をささげて皇室国家のためにつくせ」(旧文部省の通釈)と説く。

個々の徳目の当否以前に、天皇が臣民に説諭する「語りの構造」自体が、国民主権を原理とする現憲法になじまないことは明白だ。1948年に衆参両院が、排除や失効を決議したゆえんである。

その意味では、学校現場を預かる松野博一文部科学相が、「道徳を教えるために教育勅語のこの部分を使ってはいけないと私が申し上げるべきではない」との認識を示したことには違和感を覚える。

勅語は部分ではなく全体の効力を失ったと解すべきだ。道徳の教典として復活させてはいけない。
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[読売新聞] 米中首脳会談 対「北」圧力で協調しないのか (2017年04月09日)

国際情勢や世界経済の安定に責任を持つ米国と中国の指導者が、良好な関係の演出に終始するようでは不十分だ。初の首脳会談の成果が上がったとはとても言えまい。

トランプ米大統領がフロリダ州の別荘で、中国の習近平国家主席と会談した。通常行われる共同記者会見も共同声明の発表も、今回はなかった。立場の隔たりの大きさを示すものだろう。

双方がいくら協力の拡大を訴えても、喫緊の課題で具体的合意がなければ、説得力に欠ける。

特に懸念されるのは、北朝鮮の核ミサイル開発について、「非常に深刻な段階」との認識の共有にとどまったことである。米側によると、「包括的な解決策」に関する議論もなかったという。

オバマ前政権の「戦略的忍耐」と決別したトランプ氏は、「あらゆる選択肢」を検討中だ。中国の協力が得られない場合、米国が「独自の計画を立てる用意がある」と、習氏に通告した。

北朝鮮への圧力を強めるよう求めたのに対し、従来と同じ回答しか引き出せなかったためだ。

習氏との会談日程の最中に、米軍によるシリア攻撃が行われた。対北朝鮮で軍事行動も辞さないという、習氏に向けたメッセージにもなっただろう。

習政権は、朝鮮半島の混乱を望まないというなら、北朝鮮への石油供給などを制限し、核実験や弾道ミサイル発射といった軍事挑発に歯止めをかける必要がある。

中国の独善的な海洋進出についても、「率直な意見交換」の域を出なかった。トランプ氏は、国際規範の順守や南シナ海の軍事拠点化の中止を求めた。習氏が軍事化の意図はないなどと主張したとすれば、筋違いである。

両首脳は、閣僚級の「米中戦略・経済対話」を、外交・安全保障、経済、サイバーセキュリティー、社会・文化の4分野の枠組みに刷新することで一致した。米国の対中貿易赤字を縮小する「100日計画」の策定も決まった。

一連の合意は、貿易不均衡の是正や中国のサイバー攻撃など、個別の懸案の早期解決が容易でなく、先送りせざるを得ない現状の表れだと言えよう。

5年に1度の共産党大会を今秋に控えた習氏は、対米関係の安定を国内に強調することを最優先していた。その思惑通りの結果になったと考えているはずだ。

トランプ政権の人事は遅れ、対中政策が固まらない。中国ペースが目立つ一因ではないか。
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[読売新聞] 夕張財政計画 都市機能集約が再生のカギだ (2017年04月09日)

巨額の借金を返済しながら、人口減を抑制し、地域を活性化する。北海道夕張市が挑む困難な課題は、多くの自治体にとって人ごとではない。

財政破綻した夕張市が新たな財政再生計画をスタートさせた。2026年度までに353億円の借金を完済する目標は維持しつつ、新規の活性化事業に乗り出す。

36歳の鈴木直道市長は「10年間止まっていた地域再生という時計の針を動かす」と決意を語る。

石炭産業の衰退後、夕張市は観光投資に失敗し、07年に財政再建団体になった。東京23区より広い市内で、7校の小学校が1校に統合された。市民が懸命な歳出削減の努力を重ね、債務を着実に返済してきたことは評価できよう。

かつて11万人を超えた人口は、破綻時に約1万3000人、今は約8600人にまで急減した。緊縮財政を続けるだけでは、将来展望が持てず、さらに住民の流出が進み、市が存続できなくなる。そんな危機感が募ったのだろう。

新計画は、都市機能を集約するコンパクトシティーを目指す。

児童館などの複合施設、市立診療所、認定こども園を市の中央部に集め、利便性を高める。南北に走るJR路線の廃止を容認し、予約客がワゴン車などに相乗りする「デマンド交通」を導入する。

夕張市は、市街地が分散したまま人口密度が低下し、行政サービスの維持が難しくなってきた。だが、移住の強制はできない。市民の理解を地道に得ながら、公共施設や住宅を徐々に集約する手法は他の市町村の参考になろう。

市の赤字が巨額に膨らんだのは長年、不適切な会計処理で財政悪化を隠蔽(いんぺい)してきたためだ。

この反省を踏まえ、07年に制定された地方自治体財政健全化法は実質公債費比率や将来負担比率など指標の公開を義務付けた。

「第2の夕張」を防ぐため、各自治体は、ホームページなどを通じて、財政健全度の積極的な情報公開が求められる。議会や住民も、他の自治体と比較するなど、適切にチェックすべきだ。

破綻の前段階に当たる「財政健全化団体」は09年には、21市町村に上ったが、14年の青森県大鰐町を最後にゼロとなった。各自治体が歳出削減や事業の効率化に誠実に取り組んだ成果である。

少子高齢化と人口減が進む中、自治体財政は一層厳しくなる。老朽化したインフラの更新期も迎える。自治体と住民が持続可能な地域の将来像を描き、その具体策を着実に実践せねばなるまい。
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[朝日新聞] 米中首脳会談 協調基盤固める努力を (2017年04月09日)

国際社会の安定に重い責任を負う二つの大国の指導者の初顔合わせである。

安全保障や経済など地球規模の課題、差し迫った核の脅威にどんな処方箋(せん)を示すのか。米中首脳の会談は、期待はずれに終わったといっていい。

焦点だった北朝鮮の核・ミサイル問題について、両国首脳は「深刻な段階に達した」との認識を共有したという。だが、どう解決に取り組んでいくのかの具体策は示されなかった。

米国によるシリア・アサド政権軍基地への攻撃が、会談に影を落としたのは明らかだ。

米国としては、北朝鮮への警告や、中国に北朝鮮へのさらなる影響力行使を促すねらいもあったのだろう。

米側によると、トランプ大統領は、化学兵器を使用したアサド政権への軍事的対応の必要性を習近平(シーチンピン)国家主席に説明。習氏も「理解を示した」という。

だが、米国の「単独行動」にまで、中国がお墨付きを与えたわけではあるまい。

実際、事実解明や国際社会への説明も一切省いて武力行使を強行した米国の対応は、より事態を複雑にさせかねない。

北朝鮮が「攻撃されないために核兵器が必要だ」と態度を硬化させる恐れも否定できない。これで中国側が戦略の再考を迫られることになれば、解決はさらに遠のく可能性がある。

もう一つの焦点の通商問題では、貿易不均衡問題を是正するための「100日計画」を作ることで合意した。

だが、果たして国有企業の優遇でゆがんだ中国経済を正すことにつながるのか。自由貿易を損なう国家の経済活動介入を助長する方向に向かわないか、疑念がぬぐえない。

もともと今回の首脳会談に関しては、秋に共産党大会を控える習氏が対米関係安定の演出をねらい、一方のトランプ氏も低迷する支持率の回復をめざして中国に圧力をかける姿を米国民に見せたいという構図で、互いに利用し合う様相が濃かった。

たとえそうでも、経済・軍事的に権益の拡大へと突き進む新興大国の中国を、いかに「法の支配」を基盤とした国際協調に引き入れていくかが、究極的に米国に期待された役割だ。

会談では両国首脳をトップに外交、経済、社会など幅広い問題を話し合う「米中包括対話」の新設も決まった。

それぞれの狭い国益の追求だけでなく、国際社会や東アジアの安定と繁栄を見すえた実のある議論の場となるのか、注視していく必要がある。
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[朝日新聞] JR30年 光と影を見据える (2017年04月09日)

国鉄の分割民営化でJR7社が発足し、30年がたった。

直近の15年度連結決算で7社の経常黒字は計1・1兆円。1兆円台の赤字を出し続けてきた国鉄末期がうそのようだ。東日本、西日本、東海の本州3社に続き、九州が昨秋、株式を上場し、完全民営化した。

37兆円あった国鉄関連債務の6割強は国が肩代わりした。JRに採用されずに職場を去った国鉄職員も多い。厳しい痛みを伴う改革だった。

総じて言えば当初の期待を上回る成果が出たと評価できても、各社間の格差は著しい。黒字の大半は本州3社が稼ぎ、北海道、四国、九州と貨物はごくわずかだ。最も経営が厳しい北海道は昨秋、全路線の半分は自力で維持できないと表明した。

30年を機に改革の光と影をしっかり見据えたい。影の部分には対処策を講じる必要がある。

分割民営化の最大の狙いは、経営の自主性の確立だった。

JR各社の経営陣は、旧国鉄を悩ませた政治や労組の干渉を排し、組織の効率化に取り組んだ。いま、7社の社員は合わせて約13万人で、80年代の国鉄の3分の1以下だ。

各社は鉄道設備の刷新にも巨費を投じた。事故件数はJR発足前の3分の1に減っている。

だが、05年には107人が死亡する宝塚線脱線事故が、西日本の管内で起きた。北海道でも11年以降、深刻な事故やトラブルが続いた。収益増を目指すあまり、効率化の弊害を見落としたのでは、と指摘された。

鉄道の安全維持には一定の人手と投資が欠かせないが、収益を重視すると削られやすい。「安全最優先」がかけ声倒れになっていないか。各社はつねに厳しく自己検証すべきだ。

都市部での稼ぎで地方路線の赤字を埋める発足以来の経営モデルも、人口減で厳しさを増す。北海道だけでなく、各地で路線の存廃が問題化している。

赤字路線の維持には、地元の費用負担が避けられない。そうまでして鉄道は必要か。国や自治体、住民とで社会的な議論を深めるべき時期が来ている。

JRも自社のことばかりでなく、国全体の交通体系をもっと考える視点がほしい。東京―大阪間で東海はリニア中央新幹線の建設に踏み切り、西日本は北陸新幹線の延伸を目指す。東海道新幹線を含め、3路線も必要なのかとの疑問は置き去りだ。

JR7社は発足時、「鉄道を再生する」と国民に誓った。その道に終わりはない。「国民のために」という原点を忘れず、挑戦を続けてもらいたい。
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