2017年04月08日

[東京新聞] 米のシリア攻撃 武力に頼りすぎるな (2017年04月08日)

この性急ぶりには危うさを覚える。化学兵器を使用したとみられるシリアのアサド政権へ米国がミサイル攻撃に踏み切った。力に頼りすぎぬよう、トランプ大統領には自制と協議を求めたい。

化学兵器使用を知ったトランプ氏が「一線を越えた」とシリアを非難していただけに、武力行使は想定内ではあった。

それでも即座に実行に移したのには、「即断できる強いリーダー像」を自身につくりあげたい思惑がちらつく。シリアへの武力行使をためらった弱腰のオバマ前大統領とは違うのだ−と。

トランプ氏は二度にわたって出したイスラム教徒入国禁止令を司法に阻まれ、目玉公約の医療保険制度改革(オバマケア)廃止でも深い挫折を味わった。支持率は低迷し、政権運営は壁にぶつかっている。

洋の東西を問わず戦争を政権浮揚につなげるのは常とう手段だ。

加えて、習近平・中国国家主席を自身の別荘に迎えたさなかにミサイル攻撃を行ったタイミングは、偶然とは思えない。

北朝鮮の核・ミサイル開発に危機感を抱く米国では、先制攻撃論が台頭し、トランプ氏はじめ政権首脳陣も「あらゆる選択肢を検討中」と口をそろえる。

シリアへのミサイル攻撃は、それがはったりではないと習氏に思い知らせる効果がある。

戦火を見るのがいやなら、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるために協力しろ、という圧力だ。米国は常々、中国の北朝鮮対応にいら立ちを見せてきた。

トランプ氏はミサイル攻撃に関する声明で「化学兵器の拡散と使用を阻止することは、米国の安全保障上の死活的利益だ」と強調した。米国の安全を脅かす者には容赦しない、という北朝鮮にも向けたメッセージでもあろう。

だが、武力行使は平和的努力を尽くした末の最後の手段であるべきだ。トランプ氏は強圧的な姿勢が目立つ。国際問題への対処では安易に武力に走らないようくぎを刺しておきたい。

トランプ政権の中東外交の青写真はできていない。シリア内戦でも、アサド政権打倒よりも過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を優先させる姿勢を見せたばかりだった。軍事介入した以上は関与する責任も大きくなった。

内戦終息の道筋をつけるには、アサド政権の後ろ盾のロシアの協力が欠かせない。米ロは建設的な話し合いを進めてほしい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】米国のシリア攻撃 蛮行許さぬ妥当な措置だ (2017年04月08日)

■東アジアの緊張にも備え急げ

トランプ米政権が、シリアに対する電撃的な攻撃を行った。アサド政権が反体制派の支配地域における空爆で、化学兵器を使用したことへの対抗措置である。

非人道的な化学兵器の使用は、明確な戦争犯罪であり、許されない。国際社会から強い批判の声が上がった。だが、国連安全保障理事会はロシアの抵抗で、非難決議さえ採択できない状況だ。

蛮行を止めるため、米国は限定的な武力行使に踏み切った。そのことによって、化学兵器は使わせないとの意思を明確にしたトランプ大統領の判断を支持する。

《全面衝突につなげるな》

安倍晋三首相は、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を経て、米国の攻撃について「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意」と位置付け、支持を表明した。当然の判断である。

トランプ氏は攻撃の理由について、「シリアが化学兵器を使ったことに議論の余地はない。野蛮な攻撃によって罪もない市民、子供が犠牲になった」と語った。「化学兵器の拡散と使用の防止は米国の安全保障上の国益だ」とも強調した。

今回の攻撃は、大量破壊兵器の拡散・使用を阻止する効果も持つ。それは、世界全体の死活的な利益だ。そうした観点から、攻撃には正当性が認められよう。

地中海の米艦船から発射された59発の巡航ミサイル「トマホーク」が標的としたのは、シリア中部のシャイラト空軍基地だ。化学兵器による空爆の拠点だった。

化学兵器使用という愚かな行動が、シリアへの初の攻撃に踏み切らせた格好だ。

ティラーソン米国務長官は「アサド大統領の将来の役割は不透明だ。シリア国民を統治する役割はなくなるだろう」と述べ、政権退陣にこだわらないとしていた従来の立場を修正した。

シリアは化学兵器禁止条約の加盟国であるにもかかわらず、過去に猛毒の神経ガス、サリンや塩素ガスを使い、今回も「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えたのである。

国際社会が他に選択肢を持ち得ない状況で、これを止めるには、米軍の武力行使はむしろ必要なものだったといえよう。

続きを読む

国連安保理で、アサド政権を支援するロシアは「シリアによる化学兵器攻撃というのは、でっち上げだ」と主張していた。米軍の攻撃については「主権国家への侵略」と反発している。

シリア攻撃は、トランプ政権が米国単独での武力行使も辞さない姿勢を内外に示した。それは、ロシアに突きつけたものでもあることに留意したい。

その結果として、トランプ政権が模索してきた親露路線の転換につながることも考えられる。

ロシアとアサド政権軍が、米国の支援を受けてきたシリアの反体制派に対し、攻撃を強めることも予想される。米国と対立するイランがどう動くかも懸念材料だ。

米国の攻撃が引き金となり、関係国が全面衝突し、戦争状態に発展することは、何としても避けなければなるまい。

国際社会として、強く抑制を働きかける必要がある。

《北朝鮮でも起こり得る》

同時に考えておくべきは、シリア攻撃が核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応にも、影響を与えるということである。

「シリアだけの問題ではない。同様の問題は北朝鮮など東アジアでも起こり得る」との菅義偉官房長官の認識は極めて正しい。

北朝鮮問題を焦点に、フロリダ州で中国の習近平国家主席との首脳会談を行っているさなかに、トランプ氏は攻撃を実施した。

北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するため、トランプ氏はオバマ前政権の方針を転換し、自衛的な先制攻撃を含む「全ての選択肢がテーブルにある」と、繰り返し強調している。「中国が北朝鮮の問題を解決しなければ、われわれがやる」とも明言している。

その意味で、シリア攻撃は北朝鮮と中国に対する強力なメッセージとなったと考えられる。相手の出方が変わるのか、反発を強めるだけなのか、注視したい。

日米間では、北朝鮮政策をめぐる調整を密にし、戦略目標の共有を図ってほしい。米国が北朝鮮への武力行使に踏み切ることも、当然、想定しておくべきである。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] ふるさと納税 自治体の危機が問題だ (2017年04月08日)

豪華な返礼品が問題視されていた「ふるさと納税」で政府がようやく是正に動いた。返礼品は寄付額の三割以下との基準を示したが、本来の趣旨を大きく逸脱した制度は抜本的に見直すべきだ。

「生まれ育った地元に恩返しできる制度に」−ふるさと納税の原点である。それが、寄付の見返りの特産品を目当てにした官製「お取り寄せ通販」になってしまったきらいがある。

全国の自治体は一万円の寄付当たり平均四千円の返礼品を送っていた。返礼品が高価な自治体ほど寄付額が多い傾向がある。それがまた返礼品競争を過熱させた。国の見直しは不十分で、今なお多くの問題を抱えている。

一つは、そもそもの原点である寄付という行為をゆがめてしまったことだ。「ふるさと納税」をたとえていえば、こういうことだ。

「混雑した電車で座っていたら目の前に二人のお年寄りが来た。席を譲ってくれれば、片方は百円支払うといい、もう片方は二百円出すという。だったら高い方に席を譲ることにしよう」

関東のある市長が広報紙のコラムに書いた話である。席を譲るのは何か褒美や対価をもらおうと思ってではなく善意からだろう。寄付という本来は無償の善意をほごにしてしまったのだ。

いわんや納税意識をもゆがめてしまった。本来、住民税はごみ収集など行政サービスを受けるための対価である。ふるさと納税の利用者は、この負担を免れたうえにサービスだけは享受し、さらに返礼品を受け取っている。

あおりを食った東京二十三区では、特別区民税の合計の税収減が約百三十億円に上り、百人規模の保育所約百カ所分の年間運営費に相当するほどだと試算した。

税の原則はそれぞれが担税能力に応じて負担し合う。それがないがしろにされ、また「見返りがなければ納税しない」といった誤った考えも助長しかねない。

富裕層ほど減税額が拡大し、有利な節税手段として利用されているのも許せない。

ふるさと納税は東日本大震災や熊本地震などの被災自治体を支援する役割を果たした。特産品の認知度を上げようとする自治体の真摯(しんし)な努力も評価したい。

だが税の原則をゆがめている制度の根幹はやはり見直すべきだ。何より大事なのは地方の自治体が無理に寄付集めに走らなくてもすむよう国が危機を理解し、まっとうな支援を講じることだろう。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] シリア攻撃が示す米政権の方向転換 (2017年04月08日)

世界をどういう方向に導こうとしているのか。米トランプ政権のシリア攻撃からは包括的な戦略が見えてこない。ロシアと連携して中東を安定させる、という従来の方針とは正反対の動きである。超大国の急旋回は世界の混乱に拍車をかけかねない。

シリアのアサド政権が罪もない市民を化学兵器で殺りくしたのをみて、方針を変えた。トランプ大統領はそう強調した。シリアは化学兵器禁止条約の加盟国であり、本当に使用したのならば非難されてしかるべきだ。

とはいえ、国連安全保障理事会などに明確な証拠を提示することもなしに武力行使をしたのは、はやり過ぎである。米国は「大量破壊兵器を保有している」として2003年にイラクに攻め込んだが、発見できなかった。

そうした過去への反省から武力行使に一貫して消極的だったオバマ前大統領との違いを出したかったのか。だとすれば、大統領選で公約した「米国は世界の警察官ではない」との発言と辻つまが合わない。政権幹部とロシアとの不透明な関係を隠蔽する狙いがあったのだとすれば重大問題である。

ロシアは引き続きアサド政権を支える構えだ。米国が反アサドに回ることで内戦はさらに長引く可能性が高い。難民が再び大量に生まれ、欧州になだれ込んだ場合への備えは検討してあるのか。ドイツのメルケル首相との首脳会談でトランプ氏は握手もしなかった。あとは欧州連合(EU)に任せきりにするというのではあまりに無責任だ。

イラン情勢も不透明になる。米ロが保証人になる形で核兵器開発を封じ込めたのに、合意が振り出しに戻るかもしれない。

アジアの安保環境への影響はまだ読み切れない。トランプ政権は武力行使をためらわない。そう印象付け、北朝鮮に風圧を与える効果はあるだろう。ただ、それがかえって暴発の引き金になるおそれも十分ある。

北朝鮮の背後にいる中国との関係も微妙である。ロシアと手を組んで中国を孤立させる、という外交カードがもはや役立たないことだけは確かである。

ホワイトハウスではさまざまな権力闘争がなされているようで、相変わらず誰が司令塔なのかがよくわからない。世界がトランプ政権に振り回される状況は終わりそうもない。その覚悟が必要だ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 米国のシリア政権軍攻撃 政治解決へ本腰入れよ (2017年04月08日)

[PR]

終わりの見えないシリア内戦の転換点になるだろうか??。

米トランプ政権はシリアのアサド政権軍が化学兵器を使ったとして、同国西部の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃した。

米軍はシリアなどで過激派組織「イスラム国」(IS)と戦っているが、アサド政権軍を直接攻撃したのは初めてである。

2013年にもアサド政権の化学兵器使用が問題になったが、米オバマ政権はシリアへの攻撃を予告しながら棚上げした経緯がある。

そんなオバマ政権の「弱さ」がシリア情勢を悪化させたと批判するトランプ大統領は、素早い攻撃で「力の政策」を印象付けたのだろう。


化学兵器の証拠示せ
---------

攻撃後の演説でトランプ大統領は、アサド政権が「恐ろしい化学兵器攻撃を行った」と断定し、全ての文明国がシリアにおける殺りくと流血を防ぎ、あらゆるテロの根絶に取り組むよう呼びかけた。

アサド政権の使用を物語る材料は攻撃前に公開するのが筋である。そうでないと攻撃は大統領の低い支持率を上げる苦肉の策とも映るからだが、呼びかけ自体は理解できる。

今のシリアは無法地帯と化し、人道危機が深刻化する一方だ。化学兵器だけではない。ロシア軍の支援を得たアサド政権は、破片が広範に飛び散るたる爆弾などを使って市民を無差別に殺傷してきた。

6年に及ぶ内戦で死者は30万人を超え、総人口のほぼ半分(約1100万人)が国内外で避難民と化したとされる。しかもシリア難民の流入に欧州諸国は悲鳴を上げ、移民排斥を訴える極右のポピュリズムが高まる要因にもなっている。

米国が一過性の攻撃で矛を収めるのか、それともアサド政権を崩壊に追い込むまで続けるのか、現段階では見通せない。だが、米国が本気で対処しなければシリアの混乱収拾は期待できず、しかも軍事行動だけで解決できないことは明らかだ。

米国が今回の攻撃に満足して関与を怠れば、アサド政権に足元を見られて情勢は悪化しかねない。

望ましいのは内戦収拾に向けて米露が緊密に協力し、政治解決への道筋をつけることだ。反体制組織を支援してきた米国は、比較的穏健で民主的な勢力の結集を図り、ロシアはアサド政権を説得して円滑な権力移譲の環境をつくるべきだろう。

というのも、多くの国民を殺したアサド政権を存続させればシリアの安定と民主化は難しい。かといってアサド政権を強引に倒せば、イスラム教シーア派とスンニ派の対立を軸に、激しい抗争が予想される。

仮に過激派組織のアルカイダやISに連なる勢力が権力を握れば事態はさらに悪化し、米国の同盟国イスラエルにも影響が及びかねない。中東の活断層とも言われるシリアの複雑さを十分に認識して、後継政権の青写真を描くべきである。


露は大局的見地で協議を
-----------

ロシアや中国は国連安保理のシリア関連決議案に拒否権を使い続けた。国内に多くのイスラム教徒を抱えることと無縁ではあるまい。アサド政権崩壊に伴う宗派的混乱が飛び火する可能性もあるからだ。

だが、混乱波及を防ぐには、アサド政権から新政権への軟着陸を考えることも大切だ。オバマ政権は内戦に有効な手を打てず、露中は決議案を拒否権で葬り続けた。これでは何も解決しない。大国が意地を張り合って結局は無為無策に等しかった状況とは決別しなければならない。

米国の攻撃は中国の習近平国家主席の訪米中に行われた。まさに電光石火の攻撃は、「自分はオバマ氏とは違う」というトランプ大統領の意思表示だろう。軍事的には弱小のシリアと核爆弾を持つ北朝鮮を同列には論じられないが、北朝鮮への軍事行動も論外ではないことを習主席に見せ付ける計算も感じられる。

安倍晋三首相は、化学兵器の拡散と使用は許さないという「米政府の決意を支持する」と述べ、中国外務省は「情勢悪化を防ぎ、政治的解決のプロセスを維持すること」に力点を置いた。ともに北朝鮮問題を念頭に置いたコメントだろう。

一方、ロシアは攻撃に対し「主権国家への侵略」と強く反発している。ただ、ロシアもシリアへの深入りは望んでいまいし、人道危機の深刻さも承知していよう。人類史的な悲劇と言われるシリア内戦に終止符を打つべく、ロシアが大局的な見地から米国と協議することを望みたい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 国際拠点生かし監査改革急げ (2017年04月08日)

各国で監査法人を監督する公的機関の国際組織が、都内に常設の本部事務局を設立した。金融分野の国際機関が日本に本部を置くのは初めてという。国内外の専門家が活発に往来し監査への関心が高まることが期待される。

企業の財務諸表の信頼性を保証する監査は、市場経済が正常に機能するために欠かせないインフラの一つである。国際組織の拠点が設立されるのをきっかけとして、日本の監査の質を高める改革を急ぎたい。

本部を設けたのは「監査監督機関国際フォーラム」(IFIAR)という組織だ。米エネルギー会社エンロンの不正会計事件の反省から各国で監査法人を監督する動きが強まったことを受け、2006年に発足した。現在は日本の金融庁を含む、52カ国・地域の当局が加盟する。

企業活動のグローバル化に伴い、複数の国にまたがる監査が珍しくなくなった。監査が適正かどうかを監督する当局も国際連携が必要となる。金融庁は各国当局との情報交換を密にすることにより、監査法人を厳しく指導する体制を整えるべきだ。

監査法人の側も厳格な監査に向けた取り組みを進める必要がある。甘い監査が企業を衰えさせる結果を招くことは、会計不祥事が見過ごされた東芝の現在の苦境がよく物語っている。

監査法人は何よりも、不正を見抜く技量を高めなければならない。経験の乏しい監査人への教育などに時間をかける必要がある。膨大な財務データを分析するために人工知能(AI)を使う動きも一部で始まった。そうした試みを加速させるべきだ。

上場企業の社外取締役にあたる外部人材を招き、監査法人の運営が適切かどうかをチェックすることも有効だ。会計・監査の業界はとかく閉鎖的と批判される。企業財務の専門家や市場関係者などの目を意識すれば緊張感が生まれ、監査人と企業が癒着するリスクも低減できるはずだ。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 国境離島特措法 領土警備拠点の保全を急げ (2017年04月08日)

中国などが海洋進出を活発化させる中、国境付近の離島を領土警備や漁業の拠点として適切に保全することが重要だ。

政府の総合海洋政策本部が、領海や排他的経済水域(EEZ)の基点となり、住民がいる離島を守るための基本方針を了承した。1日施行の議員立法の有人国境離島地域保全特別措置法に基づくものである。

保全の対象は、北海道の利尻・礼文島など29地域・148島だ。韓国資本による土地買収が問題となった長崎県の対馬や、中国公船が頻繁に周辺海域で活動する沖縄県の八重山列島も含まれる。

このうち、人口減少が著しい対馬や島根県の隠岐諸島など、15地域・71島は「特定有人国境離島地域」に指定した。より手厚い経済支援で人口減に歯止めをかけ、地域社会の維持を目指す。

政府と関係自治体が協力し、中長期的に実効性のある対策を講じることが求められよう。

基本方針が、離島について「一度無人化すると、活動拠点としての機能の維持が著しく困難となる」と指摘した点は重要だ。

沖縄県の尖閣諸島は一時、200人以上の住民がいたが、無人化した後、中国が領有権を一方的に主張するようになった。

離島全体の人口は、この60年間で半分以下に減少した。このまま放置すれば、外国人の不法上陸や密漁を容易にしかねない。

基本方針は、離島への公共施設の設置や、政府による土地買い取りに努めることを明記した。

今年度予算では、奄美大島や宮古島などへの自衛隊警備部隊の配置や、石垣島の海上保安部の機能強化などを盛り込んだ。

まずは、自衛隊施設周辺の土地などが外国資本に買収されていないか、政府と自治体は、実態の把握を急がねばならない。

安倍首相は「離島で転入が転出を上回るよう効果的な施策を講じてほしい」と述べ、人口の社会増への努力を各閣僚に指示した。

政府は、人口減対策の一環として、今年度予算に50億円の交付金を計上した。住民向け客船・旅客機運賃をJR並みに引き下げる。ガソリン価格や、特産品の輸送費など物流コストも軽減する。

生活支援だけでなく、農林水産業や観光の振興、雇用の拡大にも力を入れねばならない。

無人の国境離島については、所有者のいない273島の国有化手続きが完了した。所有権が明確になることで、政府主導による安定的な管理が可能になろう。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 米シリア攻撃 無責任な単独行動だ (2017年04月08日)

あまりに乱暴で無責任な武力の行使である。シリア問題の解決ではなく、事態のいっそうの悪化を招きかねない。

米国がシリアのアサド政権軍の基地をミサイルで攻撃した。内戦開始以来、米軍が政権を直接攻撃したのは初めてだ。

トランプ米大統領は、アサド政権軍が化学兵器を使ったと断定し、シリアの虐殺を止めるための措置だとした。

しかし、化学兵器をめぐる事実関係ははっきりしていない。国際的な調査を尽くさず、証拠も示さないまま軍事行動に走るのは危険な独断行為だ。

トランプ氏は、各国が米国の行動に加わるよう求めたが、シリアに必要なのは戦闘の拡大ではない。米国はむしろ停戦の徹底を図り、2月に再開したアサド政権と反体制派の和平協議が結実するよう、ロシアとともに本腰を入れねばならない。

一方、化学兵器の問題については、国連を主体に早急に調査を始めるべきだ。

現場は、シリア北西部の反体制派の支配地域。子どもを含む100人以上が死亡した。断じて許せない戦争犯罪である。

アサド政権は、4年前に猛毒サリンを使った疑惑が発覚し、その後、ロシアの説得で化学兵器の廃棄を表明した。だが、国連はその後も政権軍による使用を確認している。

今回も否定するなら、アサド政権は国際調査に全面協力しなくてはならない。ロシアも反対する理由はないはずだ。

内戦が始まって6年。国連が主導する和平協議の再開は10カ月ぶりだが、今回の米国の行動で早くも先行きが懸念される。

トランプ氏はこれまで、過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討を最優先するとして、ロシアとの協調も視野に入れ、必ずしもアサド政権を敵視しない姿勢だった。それはオバマ前政権時からの転換だったが、今回突如、態度を一変させた。

米国の対外姿勢に一貫性がなく、国際社会に十分な説明もないまま武力を使うようでは、中東にとどまらず、各地域で安全保障の秩序維持に深刻な不安を覚えざるをえない。

安倍首相は、東アジアでも大量破壊兵器の脅威が増していることを指摘し、秩序の維持と同盟国や世界の安全に対する「大統領の強いコミットメントを高く評価する」と述べた。

だが、トランプ氏と緊密な関係にあると自負する首相がすべきは、平板な支持表明ではあるまい。米国が国際社会と協調して問題解決にあたる大切さを、新大統領に説くことである。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 「首相夫人付」 誰のための奉仕者か (2017年04月08日)

安倍首相の妻昭恵氏付の政府職員が財務省に問い合わせ、籠池(かごいけ)泰典理事長(当時)にファクスで回答した行為は、職務として行ったものではない――。

学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、安倍内閣がそんな答弁書を閣議決定した。

ファクスの発信元には「内閣総理大臣夫人付」と明記され、「本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」とも書かれていた。職員は内閣官房に常駐していた。

これが「職務」でないはずがない。だが事の本質は、それを職務と呼ぶか否かではない。

政府職員が首相夫人付の肩書で、一学校法人の要望を財務省に取り次いでいた。その背景に首相夫人、または首相官邸の影響力があったのではないか。問題の核心はそこにある。

職員の行為を「職務」と認めれば、昭恵氏の説明責任がいっそう問われる。それを避けたいがために「職務」と認めない。そういうことではないのか。

この件をめぐる首相の答弁は揺れた。職員が「勝手にやったということではない。妻に報告したと書いてあるからその通りだろう」と言う一方で、「(職員が)やるべきことを判断して行った」とも述べている。

昭恵氏についての政府の説明は無理に無理を重ねたあげく、支離滅裂になっている。

明らかに公的な存在である首相夫人を「私人」だと強弁するのもその一例だ。これも、公人として求められる説明責任から遠ざけたいがためだろう。

そもそも首相夫人が一学校法人に便宜を図るべきではない。それは首相夫人が公人だろうと私人だろうと同じことだ。

昭恵氏が昨夏の参院選で自民党候補の応援に行った際、夫人付の職員が同行していたことも明らかになった。

公私混同もはなはだしい。どうしても同行者が必要なら、たとえば安倍氏の議員事務所の秘書を伴えばいい。

昭恵氏の政治活動にも付き添い、昭恵氏の関係者の要望を官庁につなぐ。それが首相夫人付の仕事だった。実態は昭恵氏の秘書のようなものではないか。

憲法15条に基づき、国家公務員法は全職員に「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために」働くことを求めている。

5人もの国家公務員が、安倍内閣の人事発令で「一部のための奉仕者」にさせられていた。

そうした状況のもとで、政治がゆがめられていたなら、早急に正さなければならない。

まず昭恵氏が説明責任を果たすことが、その第一歩だ。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 米のシリア攻撃 介入の決意示したトランプ氏 (2017年04月08日)

国際規範に背き、多くの市民を殺傷する非人道的行為は容認できない。再発阻止に向けたトランプ米政権の決意の表れと言えよう。

米軍がシリアの空軍基地を攻撃した。化学兵器を使用したとみられるアサド政権への対抗措置としている。地中海の艦艇2隻から、巡航ミサイル59発が発射された。米国のシリア政権軍に対する軍事行動は初めてである。

標的となった基地は、政権軍が化学兵器攻撃の拠点にしたとされる。米国防総省は、巡航ミサイルでシリア軍機などを破壊したとし、「化学兵器の攻撃能力を減退させた」と発表した。

命令を下したトランプ大統領は「化学兵器の拡散や使用の防止は、米国の国家安全保障上、非常に重要だ」との声明を読み上げ、攻撃の正当性を強調した。

オバマ前政権を念頭に、「アサドの行動を変えようとする試みは、全て失敗に終わった。難民危機は深まり、地域の不安定化が続いている」とも指摘した。

2013年にも、シリアで化学兵器が使われた。オバマ前大統領は軍事行動に踏み切れなかった。その結果、過激派組織「イスラム国」が台頭し、欧州への難民の大量流出やロシアの軍事介入を招いたという認識なのだろう。

トランプ氏には、「弱腰」と非難してきたオバマ前政権からの転換を鮮明にし、米国の威信回復を図る思惑もあったに違いない。

シリアは、化学兵器禁止条約の加盟国である。国連安全保障理事会の決議でも、化学兵器の廃棄が規定されている。

米国の攻撃は、安保理決議に違反し、大量破壊兵器の開発を続ける北朝鮮への警告にもなろう。

安倍首相が「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米政府の決意を日本政府は支持する」と述べたのは、理解できる。

トランプ氏は、米議会や国際社会に対し、より詳細なシリア戦略を説明する必要がある。決断には、様々なリスクも伴うからだ。

アサド政権を支援するロシアは、米軍の攻撃について、「主権国家に対する国際法違反の侵略だ」と非難した。米露関係の悪化は避けられまい。

米国は、ロシアに攻撃を事前通告していた。米露はシリアでの偶発的な軍事衝突を防ぐ取り組みを続けねばならない。

「イスラム国」掃討作戦への悪影響が懸念される。トランプ政権には、シリアの内戦収拾などを主導する舵(かじ)取りが求められる。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする