2017年04月05日

[東京新聞] 駐韓大使帰任 大統領候補との面談を (2017年04月05日)

一時帰国していた長嶺安政・駐韓大使がほぼ三カ月ぶりで任地に戻った。韓国では五月九日に大統領選が実施される。大使には、次期政権との人脈づくりと日韓関係の立て直しが求められる。

長嶺大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国は、慰安婦を象徴する少女像が総領事館前に設置されたことへの対抗措置だった。

政府は慰安婦問題解決を目指す二〇一五年十二月の日韓合意に反するとして強い姿勢を示した。少女像撤去に韓国政府が具体的に取り組まないため、安倍晋三首相は大使を早期には帰任させない考えだったという。

だが、この間、韓国では朴槿恵大統領が罷免、逮捕された。北朝鮮はミサイル発射を繰り返し緊張を高めている。情勢が激変する中で、大使の不在がこれ以上長期化すれば、外交上、不利益の方が大きくなるところだった。

地位や肩書を重視する韓国社会では、政府を代表する大使でないと、主要閣僚や政財界の実力者、さらに大統領選候補者ともなかなか会えない。

主要四党は候補を擁立する見通しで、最大野党「共に民主党」では文在寅前代表が確定した。世論調査では最有力視されている。

長嶺大使は主要候補と面談して、政権構想や北朝鮮政策を聞くことが必要だ。大統領選の各陣営には内政、経済、外交と分野ごとにブレーンが集まり、次期政権の要職に就くこともあるから、人脈を築くのにも役立つ。

文氏は慰安婦問題の日韓合意は無効だと主張し、他候補からも見直し論が出ている。大使が帰任しても少女像移転の見通しはない。

大使は、国家間の約束である日韓合意は韓国の政権が代わっても維持すべきだとの見解をあらためて伝える必要がある。外国公館前の少女像の存在が日本側の反発を高め、慰安婦問題の解決にむしろマイナスになっているとの懸念も十分伝えたい。

北朝鮮は六度目の核実験を強行する動きを見せ、ミサイルの新たな発射も示唆している。日韓が米国と共に、北朝鮮の監視と抑止を強めることが緊急の課題だと確認することが重要だ。

〇二年大統領選の話を紹介したい。当時の寺田輝介大使は善戦どまりと見られていた盧武鉉候補と面談した。取材する韓国記者も少なかった。ところが、大方の予想を覆して盧氏は終盤に大逆転して当選した。大使が任地にいる重要さを示す好例だといえよう。
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[産経新聞] 【主張】日銀短観 成長へ人手不足の克服を (2017年04月05日)

足元の景況感が2四半期連続で改善しても、先行きへの慎重な見方は拭えない。日銀の企業短期経済観測調査(短観)は、そんな経営心理を色濃く映している。

海外経済が総じて回復し、昨年来の円安傾向も輸出企業の追い風となった。それでもトランプ米政権の政策運営など、不確実性の高まりに企業が身構えるのは、やむを得ぬ面もあろう。

ただ、そればかりでは成長への展望は開けまい。景況感が上向いた今だからこそ、稼ぐ力を高める前向きな経営に期待したい。

特に人手不足への対応は、製造業、非製造業とも急務である。それには労働生産性を向上させて収益を増やし、処遇改善につなげることが肝要だ。経営体力に応じた投資もためらうべきではない。

大企業、中小企業を問わず、製造業と非製造業のいずれも足元の業況判断が上向いた。それが、3カ月先の景況感は軒並み悪化を見込んでいる。景気を牽引(けんいん)すべき消費の弱さは、海外に翻弄される日本経済の脆弱(ぜいじゃく)性を示している。

成長を阻む構造的な要因の一つが人手不足である。短観では、その状況を示す指数がバブル経済末期以来の水準となった。先に政府が発表した2月の完全失業率も22年ぶりに2%台へと低下した。

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思うように人材を確保できないがゆえに業容を拡大できない。ドライバー不足で受注荷物量を抑制するヤマト運輸はその典型だ。

人口減が進む中で人手不足に対応するには、女性や高齢者の労働参加が必要だ。同時に生産性を高め、限られた人員で効率的に収益を得る経営努力も問われよう。

やるべきことは多い。生産の合理化を図る設備投資はもちろん、ITを活用した経営効率化などにも知恵を絞る。特に人材確保に苦労するサービス業などは取り組みを強めるべきである。

その成果を正社員の賃金増だけでなく、非正規の待遇改善や正社員化などにも生かす。それがひいては消費を喚起し、企業業績を高める好循環につながろう。0%台にとどまる潜在成長率を高めるためにも、欠かせぬ道筋である。

当然、政府の役割も大きい。人手不足の問題は景気が上向いていることと密接に関連する。経済再生を確実にするためにも、規制の見直しや構造改革を通じて企業活動を後押しするよう、成長戦略を深化させなければならない。
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[産経新聞] 【主張】駐韓大使の帰任 対抗措置の解除は疑問だ (2017年04月05日)

なぜいまなのか。多くの人が首をかしげているに違いない。

今年1月から一時帰国させていた長嶺安政駐韓大使らを、政府が任地に戻すと決めたことだ。

一時帰国は韓国・釜山の日本総領事館前に、慰安婦像が不法に設置されたことなどへの対抗措置だった。

具体的な事態の改善はみられない。ソウルの日本大使館前の像もそのままだ。これらは、慰安婦問題をめぐる一昨年暮れの日韓合意の精神に反する。一時帰国は韓国が招いた結果なのだ。

対抗措置の効果がないまま、解除することへの疑問は拭えない。けっして日本が軟化したと受け取られぬよう、像の撤去を重ねて韓国側に強く求めるべきだ。

岸田文雄外相は帰任を決めた理由について、韓国次期政権への備えなどを挙げた。5月9日に行われる大統領選に向けて、情報収集などが必要だという。

とはいえ、次期大統領の最有力候補で最大野党「共に民主党」の予備選に勝った文在寅氏は、日韓合意の見直しを主張している。

1月には、釜山の慰安婦像を訪れて「像が寂しがらないよう、共に関心を持って守っていこう」などと呼びかけた。他の候補も日韓合意に批判的とされる。

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「反日」姿勢を強調する勢力との間で、次期政権をにらんだ関係構築を図るのは並大抵ではあるまい。慰安婦像の撤去を相手にのませられるのか。甚だ疑問だ。一時帰国に至るまでに、朴槿恵前政権との間でどれだけ厳しくぶつかりあったのだろう。

むろん、北朝鮮が核・ミサイル開発をめぐり暴走する中で、日韓が連携する窓口の強化は重要である。朴前大統領が失脚、逮捕された現在でも、意思疎通を図らねばならない課題は多い。

だが、ティラーソン米国務長官が日韓合意の重要性を指摘し、韓国側に善処を求めても、事態は動いていないのが実情である。

長嶺氏は安倍晋三首相から帰任を指示されたあと、「駐韓大使として全力で今の課題に当たりたい」と語った。

言葉通りの活動を期待する。それには、日韓合意への不当な攻撃、史実を曲げた日本批判への反論に手を抜かないことだ。

選挙戦を通じて反日論調は高まろうが、帰任する以上は「慰安婦像」に決着をつけてほしい。
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[東京新聞] 教育勅語 復権など許されない (2017年04月05日)

戦前回帰の動きとすれば、封じ込めねばならない。安倍政権は、教育勅語を道徳教育の教材として認める姿勢を鮮明にした。個人より国家を優先させる思想である。復権を許せば、末路は危うい。

教育勅語について、政府は「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることまでは否定しない」との答弁書を閣議決定した。菅義偉官房長官はさらに踏み込み、道徳教材としての使用も容認する考えを記者会見で示した。

政府のこうした言動を深く憂慮する。

国会議員の質問主意書への答弁書とはいえ、政府が個別の教材の位置づけを明示することは、教育に対する介入に等しい。ましてや、国民を戦争へ駆り立てた教育勅語の取り扱いである。肯定的な姿勢は国内外の疑念を招く。

教育勅語は一八九〇年、明治天皇が国民に守るべき徳目を説いた言葉として発布された。自由民権運動や欧化主義と儒教主義や皇国主義との対立を収め、教育の基本理念を定める狙いがあった。

学校での朗読が強制され、神聖化が進んだ。天皇制の精神的支柱の役割を果たし、昭和期の軍国主義教育と結びついた歴史がある。

親孝行や夫婦の和、博愛といった徳目は一見、現代にも通じるものがある。だからだろう、安倍政権を支持する保守層には、教育勅語を評価する向きが少なくない。

しかし、その徳目はすべて「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以(もつ)て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」に帰結する。国家が非常事態に陥った時には天皇のために身命を賭すことが、不変の真理であると国民に植え付けたわけだ。

だからこそ、教育勅語は戦後の一九四八年に衆院で排除の、参院で失効の決議がされた。閣議決定はこれをたがえるものである。

もちろん、かつての天皇制や教育の仕組みを学ぶ歴史教育のための資料としては有効だろう。

それでも、とりわけ道徳教育では持ち出すべきではない。国民主権や基本的人権の尊重といった現行憲法の理念に根差してはいないからだ。「憲法や教育基本法に反しない形」で、教材として使うのはおよそ不可能である。

小中学校の道徳の時間は、特別の教科に格上げされるが、個々の徳目に惑わされてはならない。それこそが教育勅語の教訓だろう。

自民党は復古的な憲法改正草案を掲げる。戦前の価値観を志向するような閣僚ぞろいの安倍政権が唱える教育観には警戒したい。
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[毎日新聞] ロシア地下鉄で爆発 政権を覆う不穏な空気 (2017年04月05日)

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ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で爆発事件が起き、多くの死傷者が出た。捜査当局は自爆テロの可能性を指摘している。

いかなる理由でも、社会を不安に陥れようとする卑劣なテロは厳しく非難されるべきだ。

事件の詳しい背景は不明だが、欧米諸国と並んでロシアをテロ攻撃の標的に挙げてきたイスラム過激派組織の関与が疑われている。

プーチン政権は過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を宣言してシリアに軍事介入した。これに反発するISは、エジプト上空でロシア民間機が墜落した事件や、ロシア南部で先月起きた治安部隊の駐屯地襲撃などで犯行声明を出している。

ロシアでは、かつて独立を求めたチェチェン武装勢力の一部が過激化し、モスクワなどでテロ事件を繰り返してきた歴史がある。プーチン政権は2014年のソチ冬季五輪を前に対策を強化し、以来ロシアでの大規模なテロは抑えられてきた。

だがイスラム過激思想に感化されたロシア出身の若者は多く、テロの懸念は常にあった。

このためプーチン大統領は、テロが相次ぐ欧米に連携を訴えていた。

しかし、ウクライナ危機やシリア内戦をめぐる対立などから、協調は難航している。トランプ政権の誕生で期待された米露関係の改善も進んでいない。テロ対策でどう国際社会と連携を進めていくかは、ロシアの大きな課題だ。

ロシアは来年3月に大統領選をひかえ、プーチン氏の再選出馬が確実視されている。懸念されるのは、圧倒的勝利を確実にしたい政権が、治安対策を口実に反体制派への締め付けを強めることだ。

先月来、反体制派が政権の汚職と不正蓄財の疑惑を告発したことに呼応して、大規模な抗議デモが国内各地で相次いだ。

参加者の大半がプーチン体制下で育ち、これまで沈黙してきた若い世代だっただけに、政権は困惑しているようだ。

追い打ちをかけるように、プーチン大統領の出身地で、しかも大統領の滞在中に爆発事件が起きた。

力と権威で国内を抑えてきたロシア政権を、不穏な空気が覆い始めたことが心配だ。
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[毎日新聞] 教育勅語の学校教材活用 負の歴史しか学べない (2017年04月05日)

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教育勅語を学校教材として活用するのを否定しないとする答弁書を安倍内閣が閣議で決めた。菅義偉官房長官は教育勅語を道徳教育に使うことも「否定できない」と述べた。

戦前の教育規範だった教育勅語は国家主義を支え、軍国主義を推し進める役割を果たし、戦後、国会の決議で失効した。この経過を踏まえれば、こうした言動は看過できない。

答弁書は「教育の唯一の根本とするような指導は不適切」だが、「憲法や教育基本法に反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」との見解を示した。

憲法などに反しない活用法とはいったい何を指すのか。

1948年、教育勅語について衆院は基本的人権を損なうとして憲法に照らし排除の宣言を、参院は教育基本法制定により失効の確認をそれぞれ決議した。にもかかわらず憲法や教育基本法に反しない活用法ならよい、というのは理解に苦しむ。

政府が道徳での活用を否定しない態度はとりわけ問題だ。教育勅語は親孝行など12の徳目を示しているが、菅長官は「適切な配慮の下」でなら「懸念は生じない」と言う。

だが、親孝行など道徳的な教えは教育勅語を持ち出すまでもないことだ。教育勅語の核心はこうした徳目を実行することで「天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運」(永遠の皇位)を助けよ、と要請し、国の非常時には天皇のために命を懸けよ、と説いている点にある。

それがどう使われたかの歴史的文脈を無視するような姿勢は、新憲法により天皇中心の国家観を否定し、国民主権となった戦後の日本の歩みに逆行しているかのようだ。

「適切な配慮」の定義もあいまいだ。解釈が広がるおそれがあり、教材としてお墨付きを与えることにつながりかねない。

教育勅語を巡っては、学校法人「森友学園」の幼稚園が園児に唱和させ、稲田朋美防衛相が国会で「核の部分は取り戻すべきだ」と再評価する発言を繰り返し問題となった。

政府として活用する考えはないというが、ならばなぜ全否定をためらうのか。憲法や教育基本法に抵触せず、適切に活用するとすれば、教育勅語が軍国主義教育を助長していった負の歴史の教訓と反省を説く教育以外にはないのではないか。
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[日経新聞] 北朝鮮のミサイルへの備えを強化せよ (2017年04月05日)

北朝鮮が弾道ミサイルの開発を加速しつつある。いまの迎撃態勢で日本の領土・領海を守り切れるのか。不安である。新たな迎撃システムの導入を進め、備えを強化すべきだ。有事における自衛隊の動きを再確認し、法制度に不備がないかどうかなどについても幅広く検討しておきたい。

米国は、北朝鮮のミサイル技術は「新たな段階に入った」(ティラーソン国務長官)とみている。昨年来、発射の前兆をつかみにくい固体燃料を用いたり、複数発を同時発射したり、格段の進歩を遂げているからだ。

日本の現在の迎撃態勢は(1)洋上に展開するイージス艦に搭載した海上配備型迎撃ミサイル(SM3)(2)陸上からの地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)――の二段構えである。複数発が飛来した場合には撃ち漏らす可能性を軍事専門家は指摘する。

在韓米軍は間もなく、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を導入する。日本も採用すれば、SM3が逃がしたミサイルをPAC3より遠くで撃墜できる。SM3を陸上で使用するイージス・アショアの導入も、広範囲の防護に有効とされる。

軍事技術は日進月歩である。やみくもに軍拡競争に走り出すのは好ましくないが、安全保障環境の変化に即した新装備の導入をためらうべきではない。

北朝鮮が米本土を直接攻撃できる日が近づいているとみて、米トランプ政権は北朝鮮への先制攻撃も選択肢のひとつとしている。もしも米イージス艦や長距離爆撃機に対する自衛隊による護衛を要請されたら、安倍政権はどう対応するのか。

米艦防護は安保法制定で可能になったが、有権者に広く周知されているとは言い難い。何をして何をしないのか。国会でよく議論しておくことが大事だ。

相手国が日本の領土・領海への侵攻前であってもミサイルなどで攻撃してくることが確実視される場合の対応について、自民党は先週、「反撃能力の保持の検討」を政府に提言した。

「座して自滅を待つべしというのが、憲法の趣旨とは考えられない」。これは1956年の鳩山一郎首相の答弁である。以来、政府は「敵基地攻撃は専守防衛の範囲内」との見解を示してきたが、あまり知られていない。こうしたことも議論しておいた方がよい。
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[日経新聞] 発足30年迎えたJRの課題 (2017年04月05日)

旧国鉄の分割民営化で誕生したJR各社が今月、発足30年を迎えた。旧国鉄では労使対立による運行の遅延が頻発し、末期には毎年1兆?2兆円もの赤字を垂れ流した。それに比べJR各社は経営の自主性や健全性を取り戻し、財務体質や乗客へのサービス水準は大幅によくなった。

だが30年を経て新たな課題も浮上している。なかでも差し迫っているのは、乗客が減り続ける地方ローカル線の存廃問題だ。

JR北海道は昨年11月に、同社の路線網の約半分に当たる13線区1237キロメートルを「当社単独では維持することが困難」と発表した。線路などのインフラ部分を自治体などが保有する方式やバス転換を検討し、利用者や沿線自治体に理解と協力を呼びかけている。

JR四国の置かれた状況も厳しい。東日本など他のJR各社も、個別線区でみれば多数の赤字路線を抱えている。

鉄道の特性は一度に大量の人や貨物を運べることだ。線路の敷設や保守に要する固定費は高いが、大量輸送によって1人当たりの単価が下がり、二酸化炭素の排出削減などにもつながる。

逆に利用者が少ないと大きな赤字が避けられない。わずかな人数を大型の鉄道車両で運ぶより車やバスで運んだ方が、環境面でも負荷の小さい状況があり得る。

さらに赤字が続けば線路などの保守管理費や耐震投資の原資を捻出できず、鉄道の基本である「安全」が揺らぐ恐れさえある。

こうしたことから、人口のまばらな地域ではバスなど他の輸送手段を活用し、地域の公共交通を持続可能な形で再構築することを真剣に検討する必要がある。

東日本大震災で被災したJR東の気仙沼線と大船渡線は、鉄道の復旧ではなく専用道を走る高速のバスサービスを導入し、地元のニーズに合わせて病院や高校を経由する路線を用意した。

JR各社は地域社会としっかり向き合い、人口減少時代に適合したあり方を構想してほしい。
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[朝日新聞] 雪崩事故 くむべき教訓は何か (2017年04月05日)

栃木県那須町で登山講習中の高校生ら8人が亡くなる痛ましい事故から1週間がたった。

県警が当時の状況を捜査しており究明を待つべき点は多い。それでも、助かった生徒をふくむ関係者の話から浮かびあがるのは、雪崩の危険性に対する引率教員らの認識の甘さだ。

「絶対安全と判断した」。講習会の責任者は、事故から2日後の記者会見でそう述べた。

現場付近で何度も訓練したことがあり、雪崩の恐れのある場所は避けたという。遭難者の位置を知らせる送受信機(ビーコン)を生徒たちに持たせなかったのも、「危険な場所には行かない」との理由からだった。

だが、その判断は取り返しのつかぬ結果を生んでしまった。

前夜から一気に30センチも雪が積もり、雪崩注意報が出ていた。そんなときに「絶対安全」はありえない。地形を見た専門家からは「雪崩が起きる典型的な斜面」との指摘も聞かれる。

引率教員の中には、20年以上の登山経験があるベテランもいた。人知を超えた自然の前で、人間という存在はいかに無力か。何度も肌身で感じてきたのではないだろうか。

細心の注意を払い、情報を集める。十分な装備のないまま山には踏みこまない。引き返す勇気をもつ。そうした姿勢を身をもって示して欲しかった。本来なら、それが生徒たちへの最大の教えになったはずだ。

気になるのは、スポーツ庁が「原則」禁止としてきた高校生の冬山登山を、事故を機に栃木県教委が「全面」禁止にしようと検討していることだ。これまでは、登山計画書に基づき日程や装備の審査をパスすれば、例外措置として認めてきた。

8人死亡の衝撃は大きく、検証し教訓を残すのが、残された者の務めだ。だが導き出すべき結論が、これだろうか。

自然の美しさと怖さを知り、みずからと向き合いながら一歩ずつゴールを目指す。それが登山の魅力だろう。

国も過去に出した通達で、適切な指導者のもと、安全に配慮したうえでなら、高校生が冬山で基礎訓練を行うことを否定していない。雪崩の危険をどう避けるか、万一巻きこまれたらどう対応したらいいか。高校生のうちから、それらを学ぶ意味は決して小さくない。

大切なのは、若者が様々な経験を積み、状況を判断し、難局を克服する力を身につけることだ。そのために、大人は培ってきた技術や知識を次代にどうやって伝えるか。そこに知恵と工夫を寄せなければならない。
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[朝日新聞] 米中首脳会談 世界の安定探る対話を (2017年04月05日)

米中両大国が新たな関係を探り合う起点となろう。習近平(シーチンピン)国家主席が訪米し、トランプ大統領と6、7日に会談する。

中国批判を重ねる米政権の発足で一時は緊張感も漂ったが、両首脳の顔合わせが早々に実現することを評価したい。

現状を守ろうとする覇権国に新興国が挑む対立の構図が、今の米中関係である。歴史上繰り返された衝突が回避できるかを世界は注視し続けている。

ところが最近の米国からは逆に現状変更を図るような動きが目立つ。伝統的な自由貿易推進の看板を下ろし、国際合意である温暖化防止に背を向ける。

一方の習主席は年初の国際会議で「開かれた世界と共に発展する中国」を唱え、グローバル化の現実を受け入れるべきだと訴えて喝采を浴びた。

もちろん、対立の根本にある安全保障においては、海洋進出を強める中国こそが現状変更を企てる側である。南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事拠点化する動きは、国際法廷で否定されてもやめようとしない。

経済についても、中国は実際には対外開放が不十分だ。最近は外貨取引が唐突に制限され、各国を不安にさせている。中国はグローバル化の利用者であっても、まだ守り手ではない。

そんな中で米国がめざすべきは、国際ルールの枠内に中国を導くことだ。自国第一主義を叫んで自ら既存の秩序を壊すことは、米国の正当性を捨て去ることに等しい。

あくまで法の支配という原則のもとで両国が共に国際協調の支え手となることを望みたい。

首脳会談の焦点は通商問題と北朝鮮である。

トランプ氏は対中貿易赤字を問題視する。確かに米国の赤字の半分に近いが、相当部分は米企業が中国で生産し、輸入したものだ。不公正な問題を正すのは当然としても、グローバル経済下で赤字を一方的に相手の責任にする議論は不毛だ。

核とミサイル開発をやめない北朝鮮について、米側は平壌の後ろ盾である中国に不満を示している。トランプ氏は「中国が解決しないなら、我々がやる」と強硬策も示唆する。

だが、これも実際には、米中いずれかが単独で解決できる問題ではなく、日韓・ロシアを含む周辺各国の協働がなければ朝鮮半島の非核化は実現しない。北朝鮮問題はむしろ米中の協力テーマとすべきものだ。

分野を問わず、世界の安定は米中の関与なしには語れない。その重責を自覚しつつ建設的な対話を進めてもらいたい。
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[読売新聞] 駐韓大使ら帰任 慰安婦合意の順守が最重要だ (2017年04月05日)

2015年の慰安婦問題に関する日韓合意を両国が引き続き尊重し、順守・履行する。そのことを最優先したい。

政府が、一時帰国していた長嶺安政駐韓大使らを約3か月ぶりに帰任させた。

岸田外相は、帰任の理由として、朴槿恵・前大統領の罷免(ひめん)・逮捕を踏まえ、韓国の新政権の誕生に備えた情報収集や人脈作りを強化する必要性などを挙げた。北朝鮮問題に対処するための緊密な日韓連携の重要性にも言及した。

政府は帰任の前提として、16年末に釜山の日本総領事館前に設置された、慰安婦を象徴する少女像の撤去に向けた韓国の具体的な行動を求めていた。成果が得られないままの帰任は、韓国に間違ったメッセージを送らないか。

韓国が、少女像について「時間がかかるが、必ず克服できるよう努力する」との約束を守らなかったことを容認するものではない。そう指摘し続けるべきだ。

この間、韓国側は、尹炳世外相が釜山の区長らに撤去要請文書を送るだけだった。この程度では、「努力」とは評価できない。

釜山での少女像設置は、外交上の非礼に加えて、ソウルの少女像撤去への努力を明記した日韓合意の精神に反する。

異例の長期に及んだ長嶺氏らの一時帰国は、抗議の意思を明確化し、韓国政府への外交圧力になったのは確かだ。一方で、少女像を設置した民間団体には打撃とならなかった。むしろ反日運動の材料に使われる恐れがある。

5月9日の大統領選で最有力とされる最大野党の文在寅・前党首は、日韓合意の再交渉を主張している。新政権の誕生時に駐韓大使が不在であれば、日韓合意を反古(ほご)にする口実にされかねない。

こうした状況を踏まえれば、帰任の判断はやむを得まい。

日本は今後も、韓国に対して、日韓合意を堅持し、少女像撤去に努力するよう粘り強く働きかけることが重要である。

日韓合意は、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。米国など関係国からも支持されている。

この合意の再交渉を一方的に求めることが国際社会における韓国の立場にどんな影響を与えるか、文氏らは熟考すべきだろう。

北朝鮮の核・ミサイル開発は、より危険な段階に入った。朴政権が締結した軍事情報包括保護協定を含め、日韓の安全保障協力の強化が双方の共通利益であることにも留意せねばなるまい。
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[読売新聞] 露地下鉄テロ イスラム過激派の警戒怠れぬ (2017年04月05日)

ロシアのプーチン政権への打撃を狙った凶行であることは、間違いなかろう。政治的理由が何であれ、卑劣なテロは断じて許されない。

ロシア第2の都市、北西部サンクトペテルブルクの地下鉄で、爆発事件が起きた。走行中の車両内で発生し、多数の乗客らが死傷した。近隣の地下鉄駅でも、手製の爆発物が見つかった。

治安当局は、自爆テロの可能性が大きいとみて捜査を開始し、中央アジアのキルギス出身の男を容疑者だと発表した。キルギス当局も、自国出身のロシア人が実行したとの見方を示した。

再発防止のためには、事件の全容の早期解明が求められよう。

安倍首相は「国際社会としっかり連携し、テロと戦っていかねばならない」と強調した。トランプ米大統領はプーチン大統領との電話会談で、米政府として捜査に全面協力する意向を表明した。

焦点となるのは、イスラム過激派や国際テロ組織の関与だ。

中央アジアに位置する旧ソ連のキルギスやウズベキスタンなどには、多くのイスラム教徒が住む。過激派やテロ組織の拠点の存在が指摘される。ロシア南部でも、イスラム系の反体制派武装組織によるテロが続く。

こうした組織の要員がシリアやイラクに渡航し、過激派組織「イスラム国」に参加したことにより、その脅威は増大した。欧米敵視の偏狭な思想に染まりながら、テロ訓練を積んでいるためだ。

「イスラム国」は、米国の支援を受けた現地部隊の攻勢により、支配地域を減らした。シリアに軍事介入したロシアへの「報復」も宣言している。外国人戦闘員を送り込み、テロで反撃する事態を関係国は警戒せねばなるまい。

爆発事件は、プーチン氏が、出身地のサンクトペテルブルクに滞在している最中に起きた。テロ阻止を最重要課題に掲げ、「強い大統領」を誇示してきただけに、衝撃は大きいのではないか。

事件の捜査を徹底させることで、再選を目指す来年の大統領選への悪影響を最小限に抑えたいとの思惑もあるだろう。

先月下旬には、ロシア各地で、政権の腐敗に抗議する大規模デモがあった。プーチン氏の支持率は依然として高いが、強権的な政治手法や経済の停滞への不満はくすぶっていると言える。

プーチン政権がテロの温床を根絶し、政治を安定させるには、治安対策の強化だけでなく、貧困や汚職への対処も欠かせない。
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