2017年04月03日

[産経新聞] 【主張】文科省天下り 法無視して教育語れるか (2017年04月03日)

文部科学省が天下り斡旋(あっせん)問題の最終報告書をまとめ、不正に関わった歴代事務次官を含む43人の処分を発表した。

組織ぐるみで法を無視してきた実態にはあきれる。不正を生んだ土壌を含め、さらなる検証と再発防止を求めたい。

平成20年施行の改正国家公務員法で、現職職員による再就職の斡旋や利害関係のある企業・団体への在職時の求職行為が規制された。

文科省の天下り斡旋システムはこれを契機に導入され、22年から62件の違法行為が確認された。

人事課OBを介して始まったことから、違法性はないとの認識が続いていた。法令順守への意識の低さは深刻だ。当時の人事課長が直接関与した違法行為も見つかった。歴代3次官が停職相当とされるほど幹部の関与も大きい。

ブルガリア大使に就いていた元次官が大使を辞職し、対外的にも信頼を失う事態である。

改正法は一律に天下りを悪いというのではなく、官と民の癒着を疑われないよう透明性を持った再就職のルールを定めたものだ。

官僚が「裏口」を設けてかいくぐるやり方は、国民の信頼を根底から損なう。

大学などへの天下り斡旋が目立つ。外務省OBの元大使の人事情報を提供するなど他省庁OBの再就職に関わった事案もあった。個人の能力を生かすとしても、ルールを守るのは当たり前だ。

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大学など学校法人には国から多額の助成金が支払われ、文科省は学部新増設など多くの許認可権を持つ。利害関係にあることへの緊張感が足りない。大学側も、天下りを受け入れた場合のメリットを計算していなかったか。

松野博一文科相は「失われた信頼を取り戻し、新生文科省をつくり上げる取り組みを進める」という。同時に、文科省と大学の関係も問い直してもらいたい。

政府は他の省庁の調査も進めている。天下りはみんなやっている、という疑念を残さぬよう、徹底して行う必要がある。

天下り規制強化と合わせた省庁縦割りや年功序列人事の見直しはどうなったか。同期が次官に就くと、定年前の局長らが天下る慣行はなくなっていない。

定年の延長も検討課題だろう。適材適所で官僚の能力を生かす改革がなければ、天下り根絶は図れない。
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[東京新聞] それでも存在意義あり  英離脱通告のEU  (2017年04月03日)

欧州連合(EU)に存在意義があるのなら、民意を取り戻すことが急務だ。離脱を通告した英国も衆知を集め、いばらの道を乗り越えたい。

EUは難題に見舞われている。

ギリシャ財政危機、難民、テロ、そして昨年六月、まさかの英国離脱決定。他の加盟国でもポピュリズム(大衆迎合主義)政党が反EUを訴え、勢いづく。


肥大化続けた果てに
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英国の離脱通告の四日前、英国を除く二十七加盟国首脳らが、共同市場・経済統合の始まりとなったローマ条約の調印六十周年を機に、EUの将来像を話し合った。

ローマ条約に参加したのはフランス、西ドイツ、イタリア、ベネルクス三国の西欧六カ国。これまで争いの種となってきた重要資源の石炭と鉄鋼を、平和的に共同管理するのが目的だった。

組織は肥大化を続け、単一市場を作るだけでなく、世紀をまたいだ二〇〇二年には単一通貨ユーロを流通させるに至った。

冷戦終結を経て〇四年以降には中東欧諸国が、ロシアの影響力から逃れたい思惑から続々加盟。EUは東方に勢力を拡大してきた。

平和の版図を広げるのは、いいことのはずだった。

しかし、共通政策の拡大は各国の裁量権を奪い、移動の自由の原則により移民や難民の流入に歯止めを掛けられなくなり、各国の治安や雇用を脅かすようになった。


解体論説くトッド氏
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欧州統合の欠点を、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏(65)は厳しく突く。

本紙のインタビューにトッド氏は「英国人は、自分で物事を決定する能力をなくしてしまったことに我慢がならなかった。EU離脱は十分に予想できた。平等という価値観を共有していた欧州は、若者を損ない不平等を生んでいる。EUの国々は沈みつつある船に乗っているようなもの。欧州は崩壊でしか生まれ変われない」とEU解体論を主張した。

取材した渡辺泰之記者は「欧州の将来へのあきらめにも似た思いを感じた」という。

トッド氏の言うとおり、EUは崩壊させればいいのだろうか。

否、それでもEUに意義はある、と強調したい。

繰り返し言われるように、二度の世界大戦を起こした欧州は、おおむね平和を保っている。不倶戴天(ふぐたいてん)の敵同士だったドイツとフランスは、友好を深めている。中東欧諸国にも西欧の豊かさが広がった。いずれもEUがあったからこそだ。

EUによって若者たちの意識が変わったことも大きい。国境審査を免除し合うシェンゲン協定などのおかげで、気軽に欧州諸国を訪れ、留学するようになった。

交流は相互理解を育み、差別をなくす。平和は将来も続いていくだろう。

EUの将来像について首脳らは「統合の速度を多様化させる」とうたったローマ宣言を採択した。「ゆるさ」を認めていこう、という意思表示だ。

難民問題で、寛容はドイツの国是だが、社会主義だった中東欧諸国では外国人への警戒感が強い。国民感情や実情を踏まえた政策のすり合わせが求められる。

規制や制度を一律的に押し付けてきたとの批判が強い官僚主義の是正も急務だ。各国の多様な民意にもっと耳を傾けるシステムを作るべきだろう。

EUに離脱を通告し二年間の期限を切られた交渉を始める英国にとっては、これからが正念場だ。

多岐にわたる交渉項目、EUとの新たな自由貿易協定(FTA)締結、英国からの企業移転、独立の是非を問う再住民投票を計画するスコットランドはじめ国内分裂の恐れなど、ハードルは多い。

メイ英首相は情報公開に消極的で、異論には耳を貸さず、単一市場からも撤退する「強硬離脱」を強行しようとしている。


柔軟姿勢で交渉を
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政治家やエリートらが強引に進める手法では、民意は離れる。仮に、離脱見直しの声が高まれば、民意を問い直せばいい。

交渉で早速大きな問題となるのが、EUが英国に求める最大六百億ユーロ(約七兆二千億円)の「手切れ金」だ。

EU側は英国も承認したEU中期財政計画(二〇一四〜二〇年)予算の分担金などと主張するが、英国は拒否している。EUには離脱ドミノを防ぐため厳しい姿勢で臨みたい事情もあるが、英国と良好な関係を続けていくためにも、柔軟な姿勢を望みたい。

EUは、隣国と戦争をせず共存していく人類の回答であり、試練でもある。日本を含む世界のどの国にとっても、答えを模索すべき宿題である。
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[産経新聞] 【主張】核兵器禁止条約 不参加の意味をよく説け (2017年04月03日)

政府が核兵器禁止条約の制定交渉への不参加を決めた。これは妥当な判断である。

この条約は核兵器やその使用を法的に禁止しようという内容だが、はなから核保有国は交渉に加わっていない。

そもそも、条約を作ろうにも、核兵器の放棄や不保持の検証をどうするのか、有効な方策のめどは立っていないのが実情である。

つまり、この条約が平和に寄与するとの前提で論じること自体、大きな危うさがあるのだ。核兵器の脅威は排除できないし、現実には核の抑止力で保たれている面が大きい、世界の安全保障を損ないかねない。

今の科学技術の水準では、核兵器による攻撃や使用の脅しには、自国や同盟国の核兵器によって反撃する構えをとるしかない。

不用意な法的禁止の条約ができれば、米国が提供する拡大抑止(核の傘)が不安定になる。それはかえって、国民を核の惨禍にさらすことにもなりかねない。

政府は日本は唯一の被爆国であると強調してきた。禁止条約への不参加について、国民には分かりにくい面もあろうが、だからこそ丁寧な説明に努めるべきだ。

ドイツやカナダなど北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国は、日本と同じように安全保障の根幹を米国の拡大抑止に委ねている。これらの国々が交渉に加わらなかった重みも理解したい。

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北朝鮮は核強国と称し、米軍基地がある日本への核攻撃という恫喝(どうかつ)を繰り返している。この条約で核戦力を放棄するわけもない。

自国の核戦力の相対的低下を嫌う中国やロシアは、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反発している。

今年2月の日米首脳会談の共同声明には、厳しい安全保障環境を反映して、米国による日本防衛のくだりに核兵器が明記された。拡大抑止の信頼性を高める政治的効果がある。

政府は現実に国民の命を守る義務がある。米国の約束履行の具体的手順を詰めるなど、抑止力向上の努力を重ねてほしい。

核兵器の廃絶は人類の悲願である。しかし、急進的な禁止条約は実効性に欠ける。核拡散防止条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)などの枠組みで、核軍縮を進める漸進的方策にこそ注力すべきである。
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[毎日新聞] 伊方原発差し止め却下 複合災害の認識足りない (2017年04月03日)

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原子力防災上、格別に危険な場所に原発がある。そのリスクを考慮したとは思えない司法判断である。

昨年再稼働した四国電力伊方原発3号機(愛媛県)について広島地裁は、住民らが運転差し止めを求めた仮処分申請を却下した。

原発の沖合には国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が走る。さらに四国では南海トラフ巨大地震の発生が懸念される。大地震と津波に原発事故が重なる複合災害が起きてもおかしくないところだ。

しかし裁判所は、具体的危険によって住民の人格権が侵害される恐れがあるとはいえないと結論付けた。

決定は、東京電力福島第1原発事故後に策定した新規制基準と原子力規制委員会の判断が合理的かを見極め、いずれも不合理でないと認定した。これは、九州電力川内原発1、2号機の再稼働を認めた福岡高裁宮崎支部決定に沿った判断である。

原発の運転差し止めを求める仮処分申請が全国で相次いでいる。

今回の決定はその状況を踏まえ、電力会社側にどの程度安全性を立証させるかが裁判所によって異なるのは望ましくないと述べた。その上で高裁段階で唯一確定している決定を参照すべきだという考えを示した。

だが、過去の裁判例を引用して自ら判断するのを避けていては司法の役割を果たしたとは言い難い。

審理では、地震の想定が過小だという指摘が住民側からあった。広島地裁は「慎重な検討を要する」と認めながら、地震学者らの証人尋問は正式裁判ですべきだと述べた。

仮処分には迅速さが求められる。とはいえ、原発の危険性という重大な論点については積極的に検討すべきだったのではないか。

伊方原発の最大の問題は、東西約40キロ、最小幅約800メートルの細長い佐田岬半島の付け根にあることだ。

愛媛県などの避難計画では、半島の住民は車や船などを使って脱出するが、複合災害が起きれば陸路も海路も使えない事態が想定される。

避難計画の策定は再稼働の条件ではなく、決定も判断を示さなかった。しかし、計画に実効性がなければ住民の安全が脅かされる。

裁判所が運転を認めたとしても政府や電力会社は複合災害の対策を万全にする必要がある。
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[日経新聞] 世界経済の改善に安住するな (2017年04月03日)

世界経済が緩やかに改善してきた。金融危機以降続いてきた先進国のデフレ懸念は和らぎ、新興国経済も安定感を増している。

だが、本格的な回復にはまだ力不足だ。企業の投資姿勢はなお慎重で、生産性の伸びは低い。米国の利上げが進めば、新興国経済が動揺する恐れもある。

先進国、新興国ともに経済の好転に安住することなく、潜在成長力を高めるための構造改革を強化すべきだ。同時に、成長の芽を摘みかねない保護主義の台頭も防止しなければならない。

強固でない成長基盤

経済協力開発機構(OECD)が先月まとめた経済予測によると、世界の経済成長率は今年3.3%と昨年を0.3ポイント上回り、2018年も3.6%と伸びを続ける。

米国の成長が上向くことが大きいが、日欧経済にも明るさが見えてきた。ブラジルやロシアなどの資源国も商品市況の回復に支えられ、苦境を脱しつつある。

先進国と新興国の経済がともに安定してきたことで、昨年初めの人民元ショックをきっかけにした世界経済への悲観論は後退した。もう少し長く見れば、08年の金融危機以降の長い調整期間がようやく終わりを迎えつつあるともいえよう。

とはいっても安心は禁物だ。様々な弱さやリスクを抱えながらの改善だからだ。

一つは成長の基盤がまだ強固でないことだ。

先進国では企業収益の改善にもかかわらず設備投資の勢いは弱い。増えているのは価格上昇を追い風としたエネルギー関連投資ぐらいで、それ以上の広がりには欠ける。雇用は拡大しているものの労働生産性の伸びが戻らないのは気がかりだ。新興国経済の安定も資源価格高頼みという面がある。

2つ目は過剰債務の足かせだ。中国は国有企業を中心にした過剰債務の調整が遅れている。住宅バブルで急増した不動産向け融資の抑制にも動くが、経済の急降下を防ぎつつ、うまく債務減らしが進められるかは不透明だ。ほかの新興国でも外貨建ての債務が膨らんでいる企業が多い。

米連邦準備理事会(FRB)は利上げペースをこれまでより早める構えで、米金利の上昇やドル高が進めば、過剰債務を抱えた新興国の経済や通貨に打撃を与える恐れがある。

もう一つは保護主義が広がるリスクだ。低迷していた世界貿易は回復の兆しもみえるが、トランプ米政権が高関税など貿易制限的な措置を取るようなことがあれば、一気に縮小しかねない。貿易戦争への懸念からグローバル企業が投資を先送りする恐れもある。

安定し始めた世界経済に弾みをつけ、持続性を高めるにはどうすべきか。

先進国は米国を中心に需給ギャップをほぼ解消しつつあり、政策の中心は景気刺激型から潜在成長力を高める構造強化型に軸足を移すべきだ。

日米欧の金融政策のスタンスには差が出てきているが、金融緩和のさらなる拡大で経済を支えなければいけない局面は終わりつつある。財政政策を発動するなら中長期的な生産性上昇につながるものに集中すべきだ。米国の老朽化したインフラ補修・新設や税制改革などが一例だ。

活力高める改革急げ

より重要なのは、規制や法制の改革によって経済の活力を高める環境整備だ。ビッグデータの活用をしやすくするなど、技術革新に伴う新たな需要を後押ししたり、成長分野に働き手が移動しやすくしたりすることなどが求められる。技術変化やグローバル化の波に取り残された人々の技能習得を支援し、賃金の高い職を見つけやすくすることも大事だ。

保護主義の流れに歯止めをかけることも喫緊の課題だ。

トランプ米政権は先週、中国や日本など対米黒字国が不公正な貿易関連措置を取っていないかを徹底的に調査するよう商務省などに求める大統領令を出した。問題がみつかれば何らかの対応措置を取る方針という。

2国間の貿易不均衡を一方的な措置で是正しようとするのは誤りだ。自由貿易を脅かし、制裁合戦を招く恐れもある。世界はこうした米国の姿勢を批判するとともに、広域の自由貿易協定(FTA)を促進することで保護主義に対抗していくべきだ。

日本の役割も重要である。自由貿易擁護の先頭に立つとともに、構造改革や社会保障改革を通じて自らの経済や財政の基盤を強くすることが欠かせない。
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[毎日新聞] JR誕生から30年 鉄道をもう一度考える時 (2017年04月03日)

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国鉄が115年の歴史に幕を下ろし、分割・民営化でJRが発進してから丸30年となった。

旅客6社と貨物1社に分かれ、「地域密着の鉄道」「経営効率化によるサービス向上」を目指してきた。政治が経営の判断を握り、無責任体質の中で借金の山を築いた「お国の鉄道会社」が、民間企業として意識改革に取り組んだ成果は大きい。

切符にハサミを入れていた改札は自動化され、電子マネー機能を持ったIC乗車カードが登場、今ではスマートフォンを改札機にかざし乗車できる。駅構内の商業スペース・駅ナカや、近代的な駅ビルなど、都市を中心に駅の姿も大きく変わった。

しかし、この間の変遷はJR会社ごとに大きく異なる。東京、大阪という2大都市圏を新幹線で結ぶJR東海は、何兆円もの資金を投じリニア中央新幹線の建設にまい進する。

一方、過疎化が特に深刻なJR北海道は、全線路の約半分が、単独での維持は困難と見られ、民営化後最大のリストラに直面している。

分割で生じた地理的優位性の差に追い打ちをかけたのは、金利の大幅な低下だ。経営体力のある本州の3社(JR東日本、西日本、東海)は、借金の金利負担が急減する恩恵を受けた。反対に、体力の弱い3島会社(JR北海道、四国、九州)は、鉄道事業の赤字を穴埋めすべく設けられた経営安定基金の運用益が、見込み通りに得られなくなった。

JR各社の格差は、ますます拡大するかもしれない。だが、鉄道が直面する課題は、黒字会社であっても無関心ではいられないはずだ。

旅客各社は、鉄道業務以外での収益力向上を図りつつ、鉄道事業のあり方を根本から見つめ直す時に来ている。利用者の減少により、「長距離の大量輸送」という鉄道の強みが生かされなくなった地区では、バスや乗り合いタクシーなどへの切り替えも検討したらよい。

それは必ずしも「地域密着」と矛盾するものではない。その土地に適した乗り物のかたちを、地元の活性化と一体で考えていく必要がある。

高齢化や人口減少が進んでも成長をあきらめることはない。国外からの旅行者をさらに呼び込むためにも、異業種や外国からの人材を、幅広く活用していってほしい。
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[読売新聞] 米大統領VS議会 政策実行力への不安が増した (2017年04月03日)

政策の実行力に対する不安が一段と増した。

トランプ米大統領が公約に掲げる医療保険制度「オバマケア」の見直しが暗礁に乗り上げた。

支持勢力の共和党が代替法案を巡り、分裂した。下院で過半数を占めながら、可決の見通しが立たず、採決を断念した。重要施策を見送る失態である。

大統領は、予算案や法案を提出する権限を持たない。成立を議会に働きかけ、幅広い議員の支持を獲得する努力が求められる。政治経験のないトランプ氏がこうした現実を甘く見て、議会との調整を疎(おろそ)かにしたのは否定できまい。

オバマケアは、オバマ前政権下で法制化された。約5000万人に上る無保険者を減らすため、政府などが補助金を出し、国民に医療保険加入を義務付ける。病歴を理由に契約を拒否されていた人も加入できるようになった。

トランプ氏は、昨年の大統領選で、「オバマケアは財政負担増と保険料高騰を招いた」と批判し、「撤廃」を旗印としていた。

だが、共和党の保守強硬派は、代替法案で公的補助の一部が存続することを問題視し、「これでは撤回にならない」と反発した。

穏健派議員の間でも、加入義務化の廃止と補助金削減によって、無保険者が増加することへの懸念から、造反の動きが広がった。

社会保障に政府がどこまで関与すべきかという問題は、米世論を二分する。共和党内のイデオロギー対立の根源でもある。結束が容易ではないことをトランプ氏は認識していなかったのだろう。

政権公約であるメキシコ国境での壁建設にも待ったがかかった。ライアン下院議長が、予算化の先送りを表明した。

次の目標の大型減税、巨額インフラ投資、国防費増でも、財政均衡を重んじる保守強硬派の抵抗は必至だ。議会が機能せず、「決められない政治」が続こう。

地球温暖化対策の見直しなど、前政権を否定する大統領令を連発するだけでは、トランプ氏は支持者をつなぎとめられまい。

支持率は40%を下回る。就任後2か月余りの時点では、歴代大統領と比べても記録的な低さだ。株高とドル高の「トランプ相場」は勢いを失った。

トランプ氏のビジネスマン経験や交渉術への期待が裏切られ、政治手腕が疑問視されていることの表れである。政権人事の遅れを取り戻し、政策の専門家や議会とのパイプ役の陣容を固めることが、トランプ氏の優先課題だろう。
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[朝日新聞] 避難解除と福島復興 多様な生き方支えてこそ (2017年04月03日)

福島第一原発事故に伴う避難指示が、県内の4町村で相次いで解除された。放射線量が特に高い区域を除き、新たに3万人余りが住み慣れた地に戻れるようになった。

だが、事故から6年がたち、避難者の境遇や思いは複雑だ。戻る人や、戻らないと決めた人だけではない。「戻りたくても当面は戻れない」「迷っている」といった声も多い。

当たり前の日常を奪われた人々の暮らしを再建し、コミュニティーを作り直す道のりは、長く険しい。避難者たちが悩みながら選んだ多様な生き方を、国民全体で支える。それを土台にしなければならない。

■「ゼロへのスタート」

飯舘村から福島市に避難している渡辺とみ子さん(63)は、解除を受けて、近く元の自宅でカボチャの栽培を始める。土壌や放射能の状況を確かめるための試験的な栽培で、地元での農業再開を仲間らと模索する。

「生きているうちは本格的には無理だろうけど、まかぬ種には実もならない。やっていれば、だれかが引き継いでくれるんじゃないかと思ってね」

福島市で家を買い、カボチャの栽培や加工販売で生計を立ててきた。村には時折、通うことになる。夫と「10年後ぐらいには戻りたいね」と話しているが、確信はない。

飯舘村の避難者の多くは近隣に身を寄せており、村民のつながりが比較的保たれている。ふるさとに戻りやすいと見られてきたが、最近の住民調査では「戻りたい」と「戻らない」が3割ずつと割れた。

戻らない人には、「避難先で新たな生活を始めた」「避難解除されても医療や買い物など生活基盤の復旧が不十分」との声が多い。除染後もなお残る放射能への不安も根強い。

菅野典雄村長は言う。「ゼロからではなく、ゼロに向かってのスタート。長い間、世代を超えて不安や生活苦と闘っていかなければならない」

■すれ違う行政と住民

避難解除は、国が時期を示し、自治体が受け入れる形で進んできた。一足早く解除された5市町村では、戻った住民は平均で1割余り。避難が長引いたところほど、帰還率が低くなる傾向もみられる。

自治体には「避難指示が続くと、ふるさとを未来につなげることが困難になる」(宮本皓一・富岡町長)という危機感が強い。公設民営型の商業施設をつくったり、地元に戻る人に引っ越し代を補助したりと、呼び戻しに必死だ。

一方、避難を続ける人への支援は縮小する方向だ。避難指示を受けた人への慰謝料の支払いは来年3月分で終わる。住宅の無償提供も避難解除後、段階的に対象地域が狭められている。

指示区域外からの自主避難者も、住宅の無償提供が今年3月末で打ち切られ、条件つきの家賃補助に切り替えられた。

避難者団体などからは「帰還か移住かの『踏み絵』を迫るのか」といった反発がやまない。住民説明会や議会との協議が重ねられたとはいえ、解除は避難者にとっては行政が決めた区切りでしかない。戻る人ばかりに目が行きがちな行政の姿勢が、その他の住民を遠ざけていないだろうか。

避難者一人ひとりの状況を把握し、自立にたどり着けない人には、避難先で住宅や就労の支援を丁寧に続けるべきだ。

■つながり断たぬ工夫

離れた地で暮らしながらも、ふるさととのつながりを保ちたい人は少なくない。

富岡町からの避難者でつくるNPO「とみおか子ども未来ネットワーク」は、若者が年配の人に半生や町での暮らしをインタビューし、文章にまとめる「聞き書き」を続けている。

3月、東京都内での交流会。女子大学生が揺れる気持ちを打ち明けた。「富岡に戻って復興の仕事をするか、一歩引いたところから関わりを放さずに人生を送るか、悩んでいる。ただ、若い人たちのつながりを絶やさない活動はしていきたい」

復興のために戻るという高齢の男性が語りかけた。「こんな状況だから、離れていく人は責められない。でも、ふるさとをずっと心に持っていてほしい」

地域の再生に長い年月がかかる現実を踏まえれば、住民のつながりが切れないようにする取り組みも大切になる。

被災自治体の復興計画づくりに携わる丹波史紀・福島大准教授は「行政は今後のまちづくりで、当面戻らない人も関われる仕組みを整えるべきだ」と話す。避難者が各地で集まる、墓参りや祭りの時期に里帰りして先に戻った住民と交流する、といった活動を提案する。

国や自治体に求められるのは、原発事故の被害者たちを支え続ける姿勢だ。平穏な生活環境や人間関係を取り戻そうと、一人ひとりがそれぞれの足取りで歩んでいく。そんな復興をめざしたい。
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[読売新聞] 働き方改革計画 労使協調で処遇向上を着実に (2017年04月03日)

多様な人材が活躍できる環境を整え、人口減社会における持続的成長を可能にする。そのための計画を迅速かつ着実に遂行せねばならない。

政府は「1億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革実行計画をまとめた。今後10年の重点施策を示している。今秋にも関連法改正案を国会に提出し、2019年度からの実施を目指す。

雇用形態で賃金に差を設けない「同一労働同一賃金」の推進と、残業の上限規制による長時間労働の是正が柱である。日本型雇用慣行に転換を迫る内容だ。労使任せでは前に進まなかった課題の解決に道筋をつけた意義は大きい。

具体的な取り組みは、個別企業の労使協議に委ねられた部分が多い。職場の実情に合った実効性ある対策を進めてもらいたい。

「同一労働同一賃金」は、非正規労働者の処遇改善が狙いだ。政府は昨年末に公表した指針案で、正社員との待遇差の適否を例示した。基本給は、能力や成果に違いがなければ同一とする。賞与は原則として非正規にも支払う。

これを踏まえ、実行計画は、待遇差がある場合に、企業に説明義務を課すことを明記した。待遇差に納得できない労働者が、裁判などを提起しやすくもなる。同一賃金の実効性確保につながろう。

長時間労働の是正については、残業時間に「年720時間まで」などの上限規制を新たに設け、違反には罰則を科す。上限は、「過労死ライン」ぎりぎりだ。企業には、可能な限りの残業抑制が求められることは言うまでもない。

恒常的な長時間労働は、女性や高齢者の就労を妨げ、少子化の要因ともなっている。家庭と両立できない職場では、多様で優秀な人材の確保はおぼつかない。

中小企業などでは、取引先の要求に合わせて、残業が長時間に及びがちだ。取引条件や商慣行の見直しなどを急ぎたい。

待遇改善や残業削減は、生産性の向上が伴わなければ、企業の経営を圧迫する。結果として、長続きしないだろう。

情報通信技術(ICT)活用などで業務を効率化する。労働者がより付加価値の高い仕事をするための教育訓練を拡充する。成長産業に人材移動を促す仕組み作りも要る。政労使で取り組みたい。

配偶者控除や年金の第3号被保険者制度など、女性の就労の阻害要因とされる税・社会保険制度の見直しは避けて通れない。非正規労働者への厚生年金の適用拡大も、さらに進める必要がある。
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