2017年04月01日

[産経新聞] 【主張】原発と仮処分 実力停止の手段にするな (2017年04月01日)

広島地方裁判所は、稼働中の四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県)に対し、広島市などの住民4人が運転差し止めを求めた仮処分の申請を却下した。

同地裁は、福島事故後に原子力規制委員会が定めた新規制基準の合理性を認め、3号機が基準を満たすとした規制委の判断に不合理な点はないとした。

理にかなった司法判断であり、決定を評価したい。

原発の再稼働とともに、運転差し止めを求める仮処分の申請が各地裁などで相次いでいる。その結果は分かれているが、3月28日には関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の運転差し止めを命じていた大津地裁の仮処分を、大阪高裁が取り消した。

昨年4月には九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の停止を求めた仮処分の申し立てが福岡高裁宮崎支部で退けられている。

抗告審での高裁判断は、耐震強化などの対策を施した原発の安全性を認めたものであることに注目したい。

「3・11」後の新規制基準に基づく原発の安全性について、最高裁の判例はまだ存在しない。現状において、高裁の決定は今後の各地裁での判断の際にも参考になるものといえよう。

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住民側が議論を尽くしたいなら、仮処分ではなく本訴で争うべきではないか。原発の長期停止に伴う電気料金値上げを避けつつ、最高裁の判断を仰ぐことが可能になる。

高度に専門的な原発の安全論争は、概略的な証拠に基づいて進められる仮処分になじまない。広島地裁も指摘している点である。適切な助言として尊重したい。

また、仮処分は、申請する側に危険が急迫していたり、著しい損害が見込まれたりする場合に、それを回避する法的手段だ。規制委の厳格な安全審査に合格した原発を、仮処分の適用対象とするのは、そもそもおかしくないか。

仮処分の決定の特徴は即効性にある。その申請が反原発の実力行使手段に流用されるとしたら、極めて不適切な事態である。

広島地裁は原発再稼働をめぐる訴訟が相次いでいる状況を踏まえ、個別の原発や裁判所により「司法審査の枠組みがまちまちとなることは事案の性質上、望ましいとはいえない」とクギを刺した。重く受け止めるべきだ。
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[産経新聞] 【主張】朴前大統領逮捕 世論が全てを決めるのか (2017年04月01日)

韓国の朴槿恵前大統領が逮捕され、ソウル郊外の拘置所に収監された。絶大な権力を持つ大統領から弾劾による罷免を経て、あまりに激しい境遇の変化である。

国政への知人の介入を許し、共謀して財閥企業から巨額の賄賂を受け取るなどいくつもの疑いを持たれている。

北朝鮮が核・ミサイルの挑発を繰り返す中、統治能力を失い適切に対処できなかった責任も重い。厳しい批判は当然である。

一方で、熱狂的な「世論」が独り歩きし、行政や司法を上回る権力として国を意のままに動かしている印象が否めない。

この隣国が一刻も早く混乱を抜け出し、正常さを取り戻すことを望みたい。

一連の事件が表面化した昨秋以降、ソウルでは毎週末、大統領退陣を求める大規模集会が開かれた。弾劾や捜査に世論が大きく影響したことは間違いない。

検察当局は逮捕状を請求し、裁判所がこれを認めた。

韓国においても、日本と同様、逮捕の要件は被疑者に逃亡の恐れや証拠隠滅の可能性がある場合に限られる。

だが、常時警護の要員が付き、事実上の監視下にあるため逃亡の恐れはない。すでに共犯の疑いなどで約40人が起訴されるなど、捜査は相当程度進んでいる。証拠隠滅にこだわる必要はなかったはずである。

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検察側は、共犯者の多くが逮捕される中で、法の下の公平性も理由に挙げたが、これは本来の逮捕要件ではない。

各種調査で、逮捕を望む世論は7割に上ったという。その圧力を受けた身柄拘束ではなかったか。法治ではなく、国民感情に揺れた「情治」の判断ではなかったか。およそ冷静な法解釈による逮捕には映らないのだ。

「世論」の次の標的は、5月9日に行われる大統領選に移ろう。大きな懸念は、国民感情をうかがい、政治家たちが大衆迎合主義的な議論に陥ることである。

朴政権下での決定を否定し、覆す動きも強まろう。慰安婦問題をめぐる日韓合意の否定もその一つだ。反日姿勢の高揚をあおる選挙戦は受け入れられない。

何よりも、親北朝鮮政権の誕生が心配である。それは、韓国の未来のみならず、この地域や世界にとっての重大な脅威となろう。
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[東京新聞] 伊方仮処分却下 何をそんなに急ぐのか (2017年04月01日)

目前に世界最大級の地震の“巣”。海しか逃げ場がない人たち。それでも、四国電力伊方原発に差し迫った危険はないという。「過ちは繰り返しません」。広島の、福島の嘆きが胸に突き刺さる。

あと戻りが加速する−。

「日本で最も動かしてはいけない原発」。伊方原発を、そう呼ぶ人は少なくない。

世界最大級の断層帯である中央構造線が間近を走り、南海トラフ巨大地震の想定震源域にも近い。

三月末で高知大防災推進センターを退任した岡村真・前特任教授は、中央構造線の活動性を指摘し「計算通りに地球は動かない」と警告した。

地元愛媛新聞が先月までに実施した愛媛県民の世論調査では、再稼働に否定的な意見が七割近くに上る。六割以上が避難計画の実効性に疑問を感じ、過半数が放射線被ばくの不安を訴える。

伊方原発は、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。半島唯一の国道197号は地滑りの危険地帯。つまり、逃げ場がない。

それでも広島地裁は、原子力規制委員会に地震動の過小評価はなく、避難計画の是非は棚上げにして「住民が放射線被ばくにより重大な被害を受ける危険はない」と結論づけた。「人格権」も侵害されていないとして住民らの運転差し止めの申し立てを却下した。

昨年十一月、愛媛県は重大事故を想定し、原発三十キロ圏内の住民ら二万三千人が参加する大規模な避難訓練を実施した。

重大な被害の危険がないなら、このような訓練をしたり、安定ヨウ素剤を配布したりする必要もないではないか。

「原子炉施設から放射性物質が放出されることのない安全性を確保することは、少なくとも今の科学技術では不可能だ。わが国の社会がどの程度の危険性であれば容認するかの社会通念を基準とするしかない」。昨年四月、九州電力川内原発1、2号機の運転差し止め請求を退けた、福岡高裁宮崎支部が提示した判断の枠組みだ。

松山など三つの地裁に同様の請求がなされており、全国各地で原発運転差し止めの裁判が続く中、今回の決定は、現在唯一の高裁判断である福岡高裁の枠組みに従うべきだという考え方の上に立つ。

電力事業者、政府、そして司法にも、あらためて問い直したい。

ヒロシマやフクシマの不安と嘆きを置き去りに、誰のため、何のために、今再稼働を急ぐのか。
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[東京新聞] 朴前大統領逮捕 強大な権力の見直しを (2017年04月01日)

韓国の朴槿恵前大統領が収賄などの疑いで逮捕された。大統領経験者の逮捕は三人目、もう一人は事情聴取中に自殺した。繰り返される「大統領の犯罪」は、韓国政治の構造的な問題と言えよう。

朴前大統領は国会で弾劾され、憲法裁判所が罷免を決定して、特権を失い刑事訴追された。

検察当局によると、朴容疑者は友人の崔順実被告と共謀し、崔被告が設立に関わった財団の運営のため、財閥サムスングループから約束した金額も含め計約四百三十億ウォン(約四十三億円)の賄賂を受け取った疑い。権力乱用など容疑は十三件に上った。世論調査では逮捕賛成が72%だった。

一九九五年、全斗煥、盧泰愚の両元大統領が逮捕され、不正蓄財に加え、民主化を求めた「光州事件」を弾圧した内乱罪に問われた。朴容疑者の場合は友人の私的利益のために財閥企業から資金を提供させ、国民には民主政治のもとでも強権的なやり方が続いていたのかと、怒りが広がった。

一連の事件の背景には「帝王」とも呼ばれる韓国大統領の、強大な権力がある。

北朝鮮と対峙(たいじ)して統帥権を持ち、有事の際は国民に総動員体制を命じる。検察総長や金融監督院長などの要職をはじめ、政府、軍、公社の幹部など直接の任命権は三千〜四千になる。特に公安部門への権限が強い。国会に出席して議員の質疑に答える義務はない。日本の首相とは異なり、一日のスケジュールはほとんど公開されず、密室政治を生む余地が生じる。

朴容疑者の事案では、崔被告が大統領の権威を笠(かさ)に着て財閥企業から資金を引き出し、側近の秘書官らは大統領の気持ちを忖度(そんたく)して企業に圧力をかけた。朴容疑者は親族を遠ざけたが、古くからの縁故者が大統領の強い権限を悪用する構造が残っていたと言えよう。

次期大統領選は野党「共に民主党」の文在寅候補が有力視される。革新系で労組や市民団体の厚い支持があるが、政権人事で縁故を優先しすぎると、不正再発の恐れは消えない。文氏が仕えた盧武鉉元大統領も不正資金疑惑を追及され、退任後に自殺した。

韓国ではいま、大統領の権限を主に外交や安全保障に限定し、ナンバー2の首相に内政や経済を大幅に委ねる「二元制」や、議院内閣制の導入案が浮上している。大統領の強すぎる権力を見直す時期を迎えているようだ。国民全体の十分な議論を望む。
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[日経新聞] 韓国社会の危うさ映す逮捕劇 (2017年04月01日)

韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領が巨額収賄などの容疑で逮捕された。旧友の国政介入に端を発した政治混乱は、大統領の罷免に続き、間髪を入れぬ逮捕という異例の事態に至った。

検察当局は朴前大統領をめぐる一連の疑惑が職権を乱用した「重大な事案」で、証拠隠滅の恐れもあるとして逮捕状を請求。ソウル中央地裁がその可否を審査し、逮捕が適当と判断した。

朴前大統領は疑惑が浮上して以降、国民に真相を明らかにせず、罷免されるまで検察の聴取も拒否してきた。かたくなで不誠実な態度が事態を悪化させ、国政を混乱させたことは疑いない。その意味で前大統領の責任は重い。

ただし前大統領は先週、検察による初の事情聴取を受けたばかりだ。しかも一連の容疑を全面否認したとされる。罷免によって逮捕・起訴が可能になったとはいえ、短期間で逮捕まで一気に突き進んだ経緯には違和感も覚える。

前大統領の逮捕は社会的な反響が大きいうえ、5月9日には大統領選を控える。国内では政治や社会への影響を抑えるため、在宅起訴するか、逮捕するにせよ選挙後にすべきだとの声も根強かった。

それにもかかわらず、罷免に続く逮捕へと事態が急展開したのはなぜか。国民の多くが前大統領の逮捕を求めるなか、国民感情への配慮が検察の対応や司法の判断に影響した面は否定できない。

国内では依然、朴前大統領を支持する保守層も少なくない。今回の逮捕により、社会の亀裂がさらに深まる恐れがある。大統領選は革新系の野党候補が勢いを増しそうだが、朴政権の政策まで全面否定するようだと、社会融和の道はより険しくなる。危うい韓国社会の行方を憂慮せざるを得ない。

一方、大統領経験者の逮捕は盧泰愚、全斗煥両氏に続き3人目となった。他の経験者も汚職などの醜聞を抱えていた。大統領への過度の権限集中を含め、現行の政治制度がふさわしいかどうかを検証する必要もあるのではないか。
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[毎日新聞] 金正男氏の遺体移送 人質でもぎとった北朝鮮 (2017年04月01日)

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北朝鮮とマレーシアが、マレーシアで殺害された金正男(キムジョンナム)氏の遺体を北朝鮮に引き渡すことで合意した。マレーシアは、事件への関与を疑われる北朝鮮外交官や容疑者とされる高麗航空職員の出国も認めた。

北朝鮮は見返りに、事実上の人質として平壌に足止めしていたマレーシアの外交官と家族計9人の出国を認めた。マレーシア政府は、安全な帰国を最優先に譲歩したのだろう。

人質を取って他国に要求を突き付ける行為は、まともな国家のすることではない。外国人の人権を一顧だにしない姿勢は、日本人拉致事件にも通じる。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は今年元日の演説で、友好的な国との協力拡大を語っていた。伝統的友好国であるマレーシアに対する身勝手な対応は、その言葉がうわべだけのものであることを証明した。

マレーシアのナジブ首相は声明で「捜査を続ける」と表明したが、現実にできることは限られる。事件の全容解明は極めて難しくなった。

だが、これで幕引きにしてはいけない。真相解明と責任追及へ向けた努力を続けるとともに、北朝鮮への圧迫をさらに強める国際連携を進めることが必要だ。

東南アジア諸国が北朝鮮に向ける視線は、事件を契機に厳しくなってきた。北朝鮮はこれまで国連制裁の抜け穴として東南アジアを活用してきたが、こうした活動も以前より難しくなりそうだ。

制裁履行を徹底するためには、税関の検査能力などを高めねばならない。日本には、東南アジア諸国の能力向上への支援が求められる。

米国では、北朝鮮をテロ支援国に再指定する動きも進んでいる。来週行われる米中首脳会談でも、北朝鮮問題は主要な議題の一つとなる。

国連を舞台にした人権問題の追及も強めていかねばならない。

国連人権理事会が設置した調査委員会は、金委員長の関与の下で「人道に対する罪」が犯されていると批判する報告書を発表している。国際刑事裁判所(ICC)への提訴を求める動きもある。

人権問題での金委員長に対する名指し批判に北朝鮮は猛反発する。だからこそ、国際社会が圧力を強める手段として有効となろう。
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[日経新聞] 東芝のメモリー事業はだれに売るべきか (2017年04月01日)

東芝の再建が重要な局面を迎えた。米原子力子会社のウエスチングハウスが連邦破産法11条の適用を申請したことで損失が拡大し、2017年3月期は1兆円強の連結最終赤字に転落する見通しだ。自己資本も底をつき、年度末時点で6200億円の債務超過になるという。

この窮地を切り抜けるために、東芝は残された最大の優良事業である半導体メモリー事業を売却する。売却益の計上で債務超過から脱却し、同時に多額の現金を手に入れることで資金繰りの不安を解消する狙いだ。先月末に締め切った1次入札では、米韓台の外資企業を中心に10社前後が出資・買収に名乗りを上げたという。

この事業売却について様々な声があがる。経団連の榊原定征会長は「東芝の半導体は日本の中核技術」として技術の国外流出に懸念を示した。菅義偉官房長官も「グローバルに見ても競争力が高く、雇用維持の観点からも重要」と事態を注視する考えを示した。

半導体の重要性はいうまでもない。人工知能やロボットが活躍する新時代に不可欠の基盤技術であり、国防分野でもカギを握る。

東芝の技術流出で国の安全について懸念が生じるなら、日本政府はその中身をきちんと説明した上で、外為法による外資規制の発動などの手立てを検討すべきだ。

国防上の理由で外資に制約を課すことは特異なことではない。例えば米政府は近年中国企業による半導体関連企業の買収に神経をとがらせ、安全保障上の懸念から買収に待ったをかけたこともある。

ただ正当な理由もなくいたずらに外資を排除する風潮が強まるのも困る。半導体で成功するには、毎年千億円単位の投資を継続できる資金力と、技術動向を先読みし世界の競合相手と対等に戦えるグローバル経営人材が欠かせない。

だが今の日本にこの2要件を満たす半導体関連企業があるのかどうか。液晶などの電子部品分野で日本企業が大同団結し、「日の丸連合」を形成した例もあるが、必ずしも成功していない。事態が行き詰まった時には、外部の人材や知恵を導入することも必要だ。

安全保障上の懸念を呼び起こさず、半導体についてプロの経営力を持ち、そして東芝が今の窮状から抜け出すに足るだけの高値を支払う用意のあるスポンサー企業を見つける必要がある。東芝経営陣の背負った責務は重い。
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[毎日新聞] 文科省の天下りあっせん 不正の構造解明まだ遠い (2017年04月01日)

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文部科学省は、組織的な再就職(天下り)あっせん不正について最終調査報告書をまとめた。2010?16年に62件の違法行為が確認され、処分者は43人に上る。

すでに退職者ながら、事務方トップの事務次官経験者3人は、不正への関与や看過など責任の重大さから「停職相当」とした。

厳しく対応したという印象も受ける。しかし、このような省ぐるみの不正構造が生まれた詳しい経緯や指揮者については必ずしも判然としないなど、洗いざらい解き明かしたというにはまだ遠い。

それに、これは文科省だけの問題かという疑念が一向にぬぐえない。

08年、改正国家公務員法が施行され、現職公務員は他の職員らの再就職あっせんなどができなくなった。

調査によると、この規制導入後、現職ではなくOBによる再就職あっせんの形なら違法ではないという「軽信」が生じ、広い人脈を持つ人事課OB嶋貫和男氏が介在するあっせんの仕組みができた。

人事課を中心に現職側も積極的に関わる。嶋貫氏抜きで行われたあっせんも多い。

また、残されていた「引き継ぎメモ」の存在や、再就職先の調整案が人事課長や事務次官に伝えられていた事例などから「省内意見調整」が行われていたと報告書はみる。まさに組織的関与である。

「ルール違反」というだけの問題ではない。

文科省の所管や専門性から、再就職先は教育関係になりがちだ。とりわけ大学関係は設置認可や助成にも関わるだけに、より細心の注意を要するが、今回の違法再就職あっせんでも大学がらみが少なくない。

教育行政全般に不信の深手を負わせることを恐れるべきだ。

松野博一・文科相は問題の背景に同省の組織風土である「身内意識」を挙げ、「身内意識が甘えの構造になった」と残念がった。

硬直化した人事慣行の見直しやチェック体制などで意識と仕組みを改め、再発防止を図るが、容易ではない。まして最終報告で幕引きなどあってはならない。まだ十分に教訓を引き出したとはいえないのだ。

その意味でも、近く出るという全省庁の調査報告を、注視したい。
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[朝日新聞] 文科省天下り 信頼回復への多難な道 (2017年04月01日)

文部科学省が「天下り」あっせん問題に関する最終報告を公表した。違反事例は62件で、処分を受けた人は43人と、同省として過去最多となった。

人事課OBを隠れみのにした仲介に加え、現役職員も調整に直接動いていた実態が明らかになった。さらには3人の事務次官経験者が、在任中、自ら不正に手を染めていたという。

改めて問う。これが、道徳と称して子どもに「規則の尊重」や「公正、公平、社会正義」を学ぶよう求める役所なのか。

調査は外部の弁護士らが中心になって行われたが、期間の制約もあって万全とは言い難い。

例えば、あっせんの仕組みを誰が、いつ、どうやってつくったのか。天下り先ではどんな役割を担い、学部の設立や補助金の獲得にどんな影響があったのか。行政がゆがめられるようなことはなかったか。こうした肝心な点は不明のままだ。

これで教育行政に対する信頼を回復できるとは思えない。

深刻なのは、法に触れる行いに対し、誰からも疑問を差しはさむ声が出なかったことだ。

先輩から頼まれたから断れない、前任者からの引き継ぎだからやるしかない。そんな意識があったと調査班は見る。

文科省は、順法意識よりも身内意識を優先する組織風土の改革をめざすという。調査班からは、人事課の体制や現役とOBの関係の見直し、民間企業からの人材受け入れなどの提案が出ているが、いずれも即効薬にはなり得ない。地道な取り組みと不断の検証が必要だ。

今回の報告には、元外交官や旧経済企画庁出身者の再就職についても、文科省が口利きをしていた例が含まれている。天下りが、この国の官僚制度の構造的な問題であることを物語る。

政府は他の府省庁にも同様の調査を指示している。集約を急がねばならない。それぞれが天下り先として確保している「指定席」の公表が第一歩だ。

制度の見直しも求められる。以前は、離職後2年間は密接な関係のあった企業への再就職を禁じる規定があった。第1次安倍政権の時になくなり、かわりに官民をつなぐ人材センターや再就職等監視委員会がおかれたが、十分機能していないことがはっきりした。「2年」規定の復活を検討すべきではないか。

天下りの背景には、年功序列のピラミッドを維持するため、官僚が早期退職を求められるという事情がある。実績・能力主義に徹し、定年まで働くのが当然の職場にしなければ、この悪弊の根絶は難しい。
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[朝日新聞] 朴槿恵氏逮捕 韓国の悪弊断つ契機に (2017年04月01日)

韓国の大統領の多くが悲惨な末路をたどるという歴史の反復は、どうすれば断てるのか。

20日あまり前まで大統領だった朴槿恵(パククネ)氏が、収賄などの容疑で逮捕された。大統領経験者の逮捕はこれで3人目となる。

韓国は北朝鮮と朝鮮半島を分かつ国であるだけでなく、国内の政争が激しい。政治家・朴槿恵は、そんな様々な分断を体現するような存在だった。

冷戦時代、南北の対立に巻き込まれて母を失い、独裁者と恐れられた父、朴正熙(パクチョンヒ)氏は側近の凶弾に倒れた。

父の死後、周囲は次々と去ったが、そんな時にも寄り添い続けたのが、今回の事件で共犯関係にあるとされる知人だった。

深い人間不信がいつしか独善につながったのか、朴容疑者は自ら信じる「正しさ」を前面に押し出すようになった。政権発足後も、反抗的な少数政党を解党させるなど異論排除の傾向が強まり、敵か味方かを決める二項対立が激しさを増した。

その構図は対外関係にも表れた。北朝鮮とは実質的な対話はできなかった。日本とは慰安婦問題のために、首脳会談がなかなか実現しなかった。

末期を除き、比較的高い支持率に恵まれたにもかかわらず、4年の間に目に見える実績は、国内政策でもほとんど残せなかった。過剰ともいえる自意識の強さゆえ、他者との協調ができなかったことが大きい。

韓国には、北朝鮮との付き合い方や、日米中をはじめとする周辺国との関係、独特の地域感情など多くの理念と情念の対立が残る。それらの一つの象徴だった朴容疑者の逮捕を契機に、国内の統合に向けた歩みを進めるべきだろう。

韓国ではこれまでも、大統領の親族や知人らが絡む金銭授受事件が頻発した。今回も朴容疑者の特有の問題にとどまらない構造的な欠陥が指摘される。

多くの問題の根は、大統領への権限の集中にある。司法機関や放送局など各界代表の任命権を独占している。利権を求める者が大統領周辺に群がり、その競争の勝者と敗者の間でも分断が広がる弊害が続いてきた。

民主化から30年を迎え、官僚組織は安定的に機能しており、民間部門の公的役割も増えている。大統領が一切を仕切るような統治システムが今も韓国に適しているとは思えない。

大統領選は5月9日に迫る。各党の候補選びが熱を帯びる。問題の再発を防ぎ、国民の統合に役立つ手立ては何か。各党は制度設計の見直しを含めた対策づくりを急いでほしい。
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[読売新聞] 那須・雪崩事故 指導者の過信が惨事を招いた (2017年04月01日)

避けられた惨事ではなかったか。事故当時の状況が明らかになるにつれて、そうした思いは強まるばかりである。

栃木県那須町で登山訓練中の高校生と引率教員が雪崩に巻き込まれ、8人が死亡した。負傷者も40人に上る。

県高校体育連盟主催の「春山安全登山講習会」で、今回の事故は起きた。県内7校の山岳部員や顧問らが参加していた。

降雪時に訓練を実施した判断の是非や安全管理体制を巡り、栃木県警は業務上過失致死傷容疑で捜査している。県教委も検証委員会を設置する。再発防止には、原因の徹底究明が求められる。

現場周辺には、事故前日から大雪と雪崩の注意報が出されていた。当日は未明から雪が降り、時期外れの積雪が観測されている。講習会では、予定にあった登山が中止になり、雪をかき分けて進むラッセル訓練に切り替わった。

生徒らの隊列を雪崩が襲ったのは、この訓練の最中である。

計画の変更は、引率教員3人が決定した。いずれも登山経験豊富なベテランの指導者だという。

なぜ訓練自体を中止しなかったのか。重大な結果を招いた判断の誤りが悔やまれる。

今回の現場責任者で、県高体連登山部専門委員長を務める教員は「経験則から絶対に安全だと思った」と釈明した。新雪が30センチほど積もり、ラッセル訓練に適しているとの判断もあったという。

現場で発生した雪崩は、新たに積もった表層の雪が滑り落ちる「表層雪崩」だった可能性が高い。時速100?200キロの高速で動くため、逃げるのは難しい。

訓練に適しているとの条件に目を奪われ、表層雪崩の危険性を軽視したのではないか。

現場一帯は、国から雪崩危険箇所に指定されている。それにもかかわらず、生徒たちは、雪崩の際に居場所を知らせる電波発信器を携行していなかった。

事故当時、訓練の本部の旅館にいた責任者の教員が、現場との連絡用の無線機を一時的に手放していたことも判明している。

過去に事故を起こしていない実績と自身の登山経験に基づく過信があったのだろう。根拠の乏しい「絶対安全」にとらわれていた指導者に、危険回避の知見と意識が欠けていたのは否めまい。

学校教育の一環として行われる登山では、生徒は教員の指導下で活動する。安全確保のため、慎重な上にも慎重な姿勢が求められることを肝に銘じねばならない。
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[読売新聞] 朴前大統領逮捕 縁故主義の宿痾が消えぬ韓国 (2017年04月01日)

権力の頂点からどん底へ、あまりにも急激かつ無残な転落である。

韓国の朴槿恵前大統領が、収賄容疑などで検察当局に逮捕された。

大統領経験者の逮捕は軍人出身で内乱罪や不正蓄財で有罪となった全斗煥、盧泰愚両氏以来、22年ぶり3人目である。

主な逮捕容疑は、最大財閥サムスングループなどの企業が文化、スポーツの財団に行った資金供与への関与だ。朴容疑者の友人、崔順実被告が財団を私物化し、利権を得ていたとされる。

朴容疑者は3月、崔被告の利益を図った行為は憲法違反だとの理由で、憲法裁判所に罷免(ひめん)された。その後、検察の事情聴取に応じ、容疑を全面否認した。

検察は、証拠隠滅の恐れがあるとして逮捕状を請求し、裁判所が発付した。検察と裁判所には、逮捕せずに在宅起訴にとどめれば、国民感情が許さないという判断もあったのだろう。

罷免後も、朴容疑者に抗議する集会では、「拘束せよ」とのスローガンが叫ばれ続けた。3月下旬の世論調査では、7割以上が逮捕に賛成していた。

保守勢力の一部は「政治的な動き」などとして、逮捕に強く反発している。朴容疑者は起訴されるとみられており、社会の分断が深刻化するのは避けられまい。

韓国では1987年の民主化以降も、左派を含めた歴代大統領やその家族が、カネ絡みの醜聞に巻き込まれてきた。清廉潔白なイメージが売り物だった朴容疑者も、友人につけ入る隙を与え、不名誉な系譜に連なったと言えよう。

背景にあるのは、縁故主義の蔓延(まんえん)という韓国政治の宿(しゅく)痾(あ)だ。

大統領に人事や予算の強大な権力が集中する。大統領と血縁、地縁、友人関係でつながる人々が、1期5年に限られた任期中に、最大限の私利を得ようと群がる。

朴容疑者の刑事責任をいくら追及しても、こうした政治風土を刷新するのは容易ではない。

5月9日の大統領選に向けて、左派が勢いづいている。

懸念されるのは、朴政権の政策への批判を強める中で、外交や安全保障分野の合意まで否定する傾向が見られることだ。

候補の支持率でトップに立つ反日・親北朝鮮の左派野党前代表は、慰安婦問題を巡る日韓合意について、再交渉を求めている。

朴容疑者の訴追は内政問題にほかならない。日韓両国が歩み寄って達成した合意まで反古(ほご)にしようとするならば、筋違いである。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする