2017年03月20日

[東京新聞] 北朝鮮核問題 米国は対話と圧力を (2017年03月20日)

北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するためには武力行使も辞さない−。ティラーソン米国務長官は歴訪先の日中韓三カ国で強硬姿勢を見せた。それでも北朝鮮との対話を忘れてはならない。

北朝鮮が早晩、米本土を核攻撃できる能力を身に付けるとの危機感を強めた米国では、強硬論がにわかに台頭した。

一九九四年の米朝枠組み合意で首席代表を務めたガルーチ元国務次官補は「東京やソウル、サンフランシスコが破壊されるのを待つ必要はない」として、北朝鮮の攻撃が迫っていると判断すれば先制攻撃を仕掛けるべきだと主張する。

こうした世論を受け、トランプ政権は北朝鮮政策の見直しを進めている。

ティラーソン氏は歴訪先で「北朝鮮を非核化させようとした過去二十年間の努力は失敗に終わった」と認め「新しいアプローチが必要だ」と強調した。

そのうえで、北朝鮮が非核化に動きださない限り、交渉には応じないとしたオバマ前政権の「戦略的忍耐」路線の「終了」を宣言。「軍事衝突は望まないが、われわれが対応を必要とするレベルまで北朝鮮が脅威をエスカレートさせれば、相応の措置を取る」と強く警告した。

一方で、北朝鮮との対話については「北朝鮮が核兵器や大量破壊兵器を放棄して初めて可能になる」と否定した。だが、北朝鮮の変化を待つという点はオバマ路線と変わらない。

冷戦時代の米ソ両国は、首脳間のホットラインのように意思疎通の手段を持っていた。

ところが米朝間にはそんなパイプはない。このまま緊張が高まれば、双方が疑心暗鬼に陥って軍事衝突に突き進む危険が高まる。それを防ぐためにも対話が必要だ。

米国の強硬姿勢は北朝鮮には大きな圧力となる。ただ、あくまでも平和的解決へ導くための圧力であるべきだ。

米国が実際に軍事力に訴えた場合、日韓両国も北朝鮮の攻撃にさらされ、大きな被害を受ける危険がある。やみくもに武力行使に走らないよう米国には自制を求めたい。

中国も国際社会と一層協調してこの問題に取り組んでほしい。

中国は米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に反対しているが、北朝鮮の暴走が間接的に自国の安全保障も脅かしていることを看過してもいられまい。
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[産経新聞] 【主張】東芝の決算再延期 背負う責任の重さ認識を (2017年03月20日)

日本を代表する名門企業とは思えない惨状である。米原発事業の巨額損失に揺れる東芝が、決算発表の再延期に追い込まれた。

米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の内部統制をめぐり、監査法人の承認が得られなかったためだという。東芝は不正会計事件でも決算の発表延期を繰り返してきた。上場会社として再び市場の信頼を裏切った責任は重大である。

「特設注意市場銘柄」に指定され、管理体制の強化を進めていた最中に、経営を揺るがす損失が新たに発覚した。内部統制の改善が認められなければ、上場廃止の恐れもある。

何にせよ、WHの経営実態を解明し、原発事業の損失額を確定する決算の発表、再建策の提示を急ぐほかない。それなくして再生への第一歩も記せない。

東芝は先月、2016年4?12月期の決算発表について、「WHの上層部から部下に不適切な圧力があった疑いがある」として1カ月延期した。だが、監査法人が追加調査を求め、再び発表を来月に延期する失態を演じた。

東芝は米原発事業で数千億円規模の損失を計上するが、工程遅れの原因などをいまだに解明できていない。WHを掌握していなかった証左だ。企業統治の欠陥は明らかだ。改革は急務である。

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今年度末で負債が資産を上回る債務超過に陥る見通しだ。そうなれば東証1部から2部に格下げとなる。投資家や市場の混乱を避けるため、経営再建の道筋などを丁寧に説明すべきだ。

同社は原発や防衛関連など日本にとって重要な技術を保有している。東京電力福島第1原発の廃炉処理でも、東芝の原発技術は欠かせないものだ。課せられた責務の大きさを忘れてはならない。

東芝の動向は、米国で原発を建設するWHの経営を左右する。それだけに、米政府も強い関心を抱く。訪米した世耕弘成経済産業相が米商務長官らと会談し、緊密な情報交換で合意した。日米間の連携をもっと進めるべきだ。

同社は稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、過半の株式を海外企業などに売却する。それで資金を確保できるとしても、海外への技術流出リスクが残る。政府系金融機関などが新会社に出資し、日本に一定の技術基盤が残る方法を探ることも求められよう。
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[産経新聞] 【主張】G20共同声明 保護主義の懸念強まった (2017年03月20日)

ドイツで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で、「保護主義への対抗」をうたった従来の記述が姿を消した。

保護主義的な政策に突き進む米国が押し切ったためだ。日欧米や新興国が揃(そろ)う国際舞台で、「トランプ流」の独善的な主張に歯止めをかけられなかったことに懸念を覚える。

保護主義による貿易停滞は、米国を含む世界経済の成長を阻害する。これはG20各国が議論の余地なく共有してきた基本認識のはずだ。それが揺らぐようでは、G20の存在意義にも疑問符がつく。

7月の首脳会議に向けて、各国は今後も米国に働きかけるべきだ。先進7カ国(G7)を含む国際社会の結束が問われよう。

麻生太郎財務相は会議後の記者会見で「自由貿易の重要性はG20で共有された」と述べたが、言わずもがなの話である。

トランプ大統領も、自由貿易を正面から否定しているわけではない。前提として、米国にとっての「公正さ」を他国に押しつけようとするのが問題なのである。

貿易赤字は他国の不公正貿易のせいだと一方的に断じる。曲解に基づく自動車貿易での対日批判は典型例といえるだろう。

さらに、その解消のため国内産業の保護を正当化し、世界貿易機関(WTO)のルールより国内法を優先する。これでは、世界の貿易秩序が根底から崩れよう。

各国が米国に反発したのは当然だ。「反保護主義」の文言が入らなかったからといって保護主義の台頭を許すわけにはいかない。

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日本とドイツの役割は特に大きい。安倍晋三首相は、施政方針演説で「自由貿易の旗手」を標榜(ひょうぼう)した。ドイツはG20の議長国でもある。両国は対米貿易黒字の大きさが攻撃されているが、米国を過剰に刺激しないように動いても逆効果だろう。むしろ国際社会の連携を主導し、保護主義の根を断つことが両国の利益に直結する。

為替については、過度の変動が経済・金融に悪影響を及ぼすことなどを確認した従来合意を踏襲した。米国は日本などが通貨安誘導をしていると批判するが、声明に反映されなかったのは妥当だ。

米国が貿易で強硬だった分、為替は穏当に済ませたなどと安堵(あんど)するわけにはいかない。米国が為替で再び攻勢を強めないか、引き続き警戒が必要である。
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[東京新聞] MRJの新体制 信頼回復へ連携幅広く (2017年03月20日)

国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の新たな開発体制が動きだした。三菱重工業が初納入の延期を繰り返すこと五回。今度こそ納期を守るための出直しとすべきだ。

「やるべきことをしっかりとやり、信頼を回復したい」。MRJ開発を束ねる三菱航空機(愛知県豊山町)の業務執行責任者、篠原裕一執行役員は、就任一カ月の節目に報道陣に語った。親会社の三菱重工で社長直轄のMRJ事業推進委員会の事務局長も務めており、新体制のキーマンだ。

愚直な抱負は、MRJの置かれた現状を物語る。三菱重工は一月下旬、二〇一八年半ばとしていた初納入が最大で二年間遅れると発表した。日本をはじめ関係各国の型式認証を取得するのに、設計を大がかりに見直すためだ。二万三千本もの電気配線すべての安全を担保する必要などが生じた。

たびたびの納入延期は「国産」を意識した自前主義へのこだわりが災いした。三菱重工にとって旅客機の開発は、日本初のプロペラ旅客機「YS11」以来、半世紀ぶり。この間、米ボーイング機の主翼など重要部品の生産を受注してきたが、今や旅客機はコンピューターの固まりである。

機体を造り上げることはできても、開発の進行をしっかり見極めて製品として出荷する「事業」となると、過去の経験はもはや通用しない。そのため外国人技術者への依存が強まり、現在は数百人の「助っ人」をさらに増やすという。自動車業界もトヨタ自動車やホンダが車載ITなどで自力開発に固執せず、欧米企業などと連携している。MRJをめぐる動きも自然な流れだろう。

しかし、納入延期はこれで最後にしてほしい。旅客機は百万点もの部品で構成され、中部地方を中心にMRJに関わる中小メーカーは数多い。三重県松阪市では、トヨタ生産方式を導入して中小十社が部品などを生産する共同工場が完成した。旅客機の開発に遅れはつきものとはいえ、量産がずるずる延びれば、協力企業の経営を苦しめかねない。受注活動にも何も良いことはない。納入の最大二年遅れは国際公約と言える。

昨年十月末、三菱重工がMRJ開発を社長直轄とする際、若手の積極投入も掲げた。「次をにらんだ動き」という。推進委にはMRJ開発と並行し、次世代機の開発を考えるチームが大江工場(名古屋市)にできる。その意志もMRJの成功があって進むことだ。
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[日経新聞] 好循環つくれぬ「官製春闘」 (2017年03月20日)

賃金の伸びをテコに経済を活性化させようという政府のもくろみが、腰折れしかねない状況といえよう。自動車、電機などの主要企業の賃上げ回答は、昨春に続いて、毎月の基本給を引き上げるベースアップ(ベア)が多くの企業で前年を下回った。

経営者が積極的な賃上げを継続できる環境が、整っていないことの表れともいえる。規制改革など政府は企業活動を活発にする政策に力を入れるべきだ。

トヨタ自動車のベア回答は昨年より200円少ない1300円、日産自動車は半分の1500円だった。電機は日立製作所、パナソニックなどが昨春より500円少ない1000円にとどまった。

前年割れの背景には、米トランプ政権の発足や英国の欧州連合(EU)離脱決定などで、世界経済が不透明さを増していると経営者が受け止めていることがある。

企業に求められるのは、そうした外部環境の変化を乗り越えて、賃上げの原資となる収益を着実に高める経営力だ。日本の1人あたりの付加価値は伸び悩んでおり、生産性の向上を急ぐ必要がある。

企業の後押しこそ、政府の役割である。成長分野への企業の参入を阻んでいる壁を取り払ったり、人工知能(AI)やロボットなど新技術を活用した経営効率化を広げたりするためにも、規制の見直しは重要になる。

投資家の声を生かし、経営者に成長投資など収益力の向上を促す企業統治改革も意義が大きい。働いた時間でなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度など、労働生産性を高める働き方の制度も整備が急務だ。

政府が企業に賃上げを要請する「官製春闘」は今春で4年連続だ。だが、要請すれば賃上げが順調に進むというものではないことは、はっきりしてきたといえる。

賃金が上がって消費が伸び、企業収益が拡大してそれがまた賃金を増やすという「経済の好循環」を政府は描く。実現のため、政府はやるべきことをやってほしい。
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[毎日新聞] 豊洲市場 知事は速やかに判断を (2017年03月20日)

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東京・豊洲市場の移転問題は、いよいよ重大な政治決断を必要とする段階に入ったようだ。

豊洲市場で実施された地下水の再調査で、最大で基準値の100倍のベンゼンが検出された。前回9回目の79倍を上回る数字だ。基準値を超える有害物質が検出された場所も、29カ所のうち25カ所に上った。

外部の有識者で構成する専門家会議は、数値が大幅に上昇した理由について説明した。昨秋から本格稼働している地下水管理システムによって地下水の流れが変化し、局所的に残っていた汚染物質が移動した可能性があるという。

数値は8回目までと大きく食い違う。専門家会議で、市場関係者から反発の声が出たのは当然だろう。

小池百合子知事はこの結果を踏まえても、移転については「総合的に判断する」と、明言を避けた。

小池知事は先週の都議会で、豊洲市場の安全性は確保されているとも述べている。土壌がコンクリートで覆われており、地上の環境には影響がなく、法令上は使用に問題ないという理屈のようだ。

ただし、小池知事自らが消費者の信頼は得られていないと言ったように、この調査結果で安全といっても説得力はなかろう。

方針が決まらない以上、仲卸業者らは先の見通せない状況が続く。業者への補償費に充てられるコストもふくらむばかりだ。

7月の東京都議選に小池知事が率いる地域政党は大勢の候補を擁立する方針だ。知事は、都議選で豊洲移転を承認した都議会や、石原慎太郎元知事ら移転決定時の責任者の姿勢を問う意向だ。豊洲問題を争点にするため、知事は都議選までは築地市場の存続か豊洲移転かの判断をしないとの見方も出ている。

だが、巨額の費用が投じられた豊洲移転問題は都政の最重要課題だ。

再調査のデータが示された以上、知事はいたずらに判断を先延ばしすべきではない。

豊洲移転をめぐる都議会百条委員会ではきのう、東京ガスとの用地売買交渉を担当した浜渦武生元副知事の証人喚問が行われた。

東京ガスが実施する土壌汚染対策の範囲を限定することとした2者間合意について浜渦氏は「知らない。役人が勝手にやった」と証言した。

専門家に任せ報告を受けていなかったと述べた石原元知事に続き、当時の都政の2トップが自らの責任を回避するのは嘆かわしい。

ただし、百条委員会での責任追及が続いているからといって、豊洲移転問題を放置していいことにはならない。ボールは小池知事側に投げ返されている。
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[毎日新聞] 米国の利上げ 大統領が波乱の要因だ (2017年03月20日)

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米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が再び利上げに踏み切った。2008年のリーマン・ショック後に採用したゼロ金利を平常時の金利水準に戻す動きの一環で、今回は3回目となる。

失業率が低水準で推移し、物価上昇率も目標の2%に迫っている。もっと利上げを急ぐべきだったとの専門家の声もあるほどだ。国内外の経済への影響を注意深く点検しながら、金融政策の正常化を着実に進めていく必要がある。

その過程で大きな波乱要因となりかねないのがトランプ大統領だ。

成長率のかさ上げを目指すトランプ氏は、大型減税や大規模な公共投資を公約に掲げた。そのまま実行されると景気が過熱し、FRBは利上げのペースを速めざるを得なくなるだろう。

景気刺激のアクセルを踏む大統領との間で緊張が高まる恐れがある。

また、利上げが市場の予想を超えるペースで進めば、世界のマネーが高い利回りを求めて米市場に集中し、ドル高が一段と進行するかもしれない。それは、トランプ氏が力を入れようとしている輸出の促進に水を差すことにもなる。

選挙戦中トランプ氏は、FRBやイエレン議長を批判した。大統領に就任した今、中央銀行への介入はもちろん、介入と受け取られるような発信も慎んでもらいたい。

米国の金融政策を占う上で、もう一つの注目点は、トランプ大統領によるFRB人事だ。

FRBでは、7人からなる理事会の空席が来月には三つとなる。さらに来年2月にはイエレン議長、6月にはフィッシャー副議長の任期満了を迎える。

トランプ氏は、経済の安定的な成長を望むのであれば、自らの考えに近い人物で中央銀行の重要ポストを固めるべきではない。

中銀で金利に対する政策決定者の考え方が一方向に偏れば、判断を大きく誤る危険が出てくる。

今回の利上げ決定後、イエレン議長が記者会見で、「(利上げが遅れると)将来、急激な利上げが必要になり、景気後退につながる恐れがある」と述べたが、その通りだろう。

すでに歴史的な超低金利が長期間続いているのだ。必要な利上げが度々先送りされ、証券や不動産市場でバブルが膨らんで崩壊すると、通常の景気後退では済まないかもしれない。米経済ばかりか世界経済も重大な危機に陥る危険がある。

トランプ氏は、自らの経済政策運営のためにFRBを利用することが、「米国を再び偉大に」という目標と反対の結果を招きかねないことを、認識しておくべきだ。
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[日経新聞] 保護主義に反対できないG20では困る (2017年03月20日)

「米国第一」を掲げるトランプ米政権との間で、主要国や新興国がしっかりとした国際協調を築く難しさが浮き彫りになった。

トランプ政権が誕生してから初めてとなる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、異例の展開となった。

G20はこれまでに採択した声明で、貿易や投資の面で「あらゆる形態の保護主義」に対抗する方針を繰り返し確認してきた。

各国が関税を高くしたり、不当な補助金で輸出を増やしたりすれば、報復の連鎖を通じて世界経済に大打撃を与えるからだ。大恐慌などで学んだ教訓である。

それなのに今回のG20は米国の反対を受けて声明から「保護主義に対抗」の文言を削除し、代わりに「経済に対する貿易の貢献の強化」と指摘するにとどめた。こんな中途半端なG20では困る。

多額の貿易赤字を削減したい米国の立場に配慮し「過度の世界的な不均衡の縮小」に努力する、との表現も声明に盛り込んだ。

トランプ政権は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決め、米国の利益を損なうような世界貿易機関(WTO)の決定に従わない方針すら示している。保護主義的な姿勢は大いに心配だ。

次は各国・地域の首脳の番だ。公正なルールに基づく自由貿易のあり方は、首脳自らが討議するに値するテーマである。

トランプ米大統領を交えた5月の主要7カ国(G7)、7月のG20の首脳会議で、保護主義に戻らない方針を再確認してほしい。

今回のG20の数少ない成果は、外国為替政策だ。「為替の過度な変動や無秩序な動き」が経済に悪影響を与えるとの認識を共有するとともに、通貨の競争的な切り下げを回避するという従来の方針を踏襲したのは評価できる。

トランプ氏はかつて日本を「通貨安誘導」と批判していたが、日米の財務相による意思疎通が進んだ点もひとまず金融市場の安定につながる材料だろう。

今後もトランプ政権の対応に各国や国際社会が振り回されることが予想される。G7やG20はもちろん、国連やWTOといった場での合意形成はますます難しくなると覚悟しておく必要がある。

米国は政権交代直後の方針転換を国内外に印象づけたい面もあるのだろうが、建設的な態度で各国と真摯な対話を重ね、国際協調に努めるよう改めて求めたい。
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[読売新聞] 福島避難者判決 争いの長期化が憂慮される (2017年03月20日)

東京電力福島第一原発事故について、国と東電の過失責任を認めた初の司法判断である。

福島県から群馬県に避難した住民ら137人が慰謝料などを求めた裁判で、前橋地裁は国と東電に計約3800万円の賠償を命じた。

未曽有の事故の重大性を改めて認識させる判決だと言えよう。

事故の原因となった巨大津波は予見し得たのか。最大の争点について、判決は、予見可能性を明確に認め、事前の対策で事故は防げた、との見方を示した。

東電は、2002年に国が公表した地震活動の長期評価を踏まえて、15メートル超の津波到来の可能性を推計した。判決が、事故を予見できたと認定した理由の一つだ。

予見可能性については、専門家の間でも見解が分かれている。

東電経営陣らに対する刑事告訴・告発を巡り、検察がいったん不起訴と判断した際には、地震学者への聴取結果などを基に、巨大津波の予見可能性を否定した。

前橋地裁は、過失要件を緩やかに捉えて結論を導いた。予見可能性の認定で、民事と刑事のハードルの高さの差が如実に表れた。

原子力災害の特徴について、判決は「侵害される法益が極めて重要で、被害者が広範に及ぶ」と指摘した。国に対しては、「規制権限の適切な行使による発生防止が期待されていた」にもかかわらず、行使を怠ったと批判した。

原発事故の特殊性を重視した判断だと言える。

憂慮されるのは、争いの長期化である。避難者らに対しては、国の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針に基づいて、東電から賠償金が支払われている。損害の賠償を円滑に進めるための目安として機能してきた。

東電との交渉や裁判外紛争解決手続き(ADR)を経て、既に賠償を受けている住民は多い。

前橋地裁は、原告の62人について、賠償金の上積みを命じた。避難指示区域に住んでいた住民以外に、区域外から自主避難した人たちも含まれている。

全国で提起された同種の集団訴訟は、前橋地裁を含めて28件に上る。今回の判決を機に、ADRなどで和解したケースでも、訴訟が提起される可能性は否定できまい。司法判断が新たな争いにつながる事態は避けたい。

重大事故が起きた以上、国と東電には、被害者の生活を支える責任があるのは言うまでもない。慰謝料とは別に、就業など個々の事情に応じた対応が求められる。
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[読売新聞] 春闘集中回答 労使で働き方改革を進めたい (2017年03月20日)

働き方改革で生産性を高め、今後も賃上げの流れを継続したい。

2017年春闘で、主要企業の回答が出そろった。多くの企業が賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)の実施を決めた。

自動車・電機などの労組の要求額は前年と同じ3000円だったのに対し、トヨタ自動車が1300円、日産自動車が1500円、日立製作所などは1000円の回答をそれぞれ示した。

政府が高水準の賃上げを求める「官製春闘」は4年目を迎えた。毎年、ベアを維持してきたが、賃上げ額は前年割れとなった。

一方で、労使が協力して働き方を改革する取り組みが広がったのが、今春闘の特徴と言える。

トヨタはベアに加え、子育て中の従業員を対象に家族手当の支給額を上積みした。育児にかかる家計の負担を軽減し、働く女性の確保につなげる狙いだ。

NECも、退社から出社までに一定時間を確保するインターバル制度を拡充するという。

政府が長時間労働の是正に乗り出し、経団連と連合も、実質的に青天井だった残業時間に上限を設けることで合意した。

この流れを受け、労使が賃上げだけでなく、雇用慣行の見直しに取り組む意義は大きい。

働きやすい環境を整え、従業員の意欲と能力が高まれば、生産性の向上が期待できる。それが、企業の収益力を高め、さらなる賃上げの原資を生むだろう。

経営者には、内向きのデフレ志向から脱し、より前向きな経営戦略で臨んでもらいたい。

昨秋以来の円安などを追い風に、17年3月期決算は堅調だと予想されている。緩やかな景気回復を背景に業績改善を実感しつつも、トランプ米政権の経済政策への懸念などから、賃上げに慎重な姿勢を崩さない経営者は多い。

企業の成長には、原動力となる新規事業の開拓が欠かせない。

賃上げを続けるとともに、社員の能力開発研修を充実させるといった人への投資が必要である。

大手企業では定着した賃上げの裾野を、中小企業や非正規労働者にも広げていきたい。

機械・金属関連の中小部品メーカーは、大手企業に匹敵する1300円前後のベアが相次いでいる。ニトリホールディングスや味の素など、パートの時給引き上げを決めた企業もある。

企業の業種や規模を問わず、賃上げの継続が、家計の所得環境を改善するのに不可欠な条件だ。
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[朝日新聞] G20と米国 「国際協調」を粘り強く (2017年03月20日)

「米国第一」を掲げる世界最大の経済大国の独善がまかり通り、自由貿易体制が揺らぐのか。そんな危惧を禁じ得ない結果である。

米トランプ政権の発足後、初めての国際経済会議として注目された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明が、昨年から一変した。焦点だった通商分野の記述は、「あらゆる形態の保護主義に対抗する」という一文が削られ、「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる」という表現にとどまった。

自国の貿易赤字削減と国内での雇用確保を掲げ、保護主義的な姿勢を強める米国が強硬に削除を主張。複数の国が反対して引き続き明記するよう求めたが、米国に押し切られる形で妥協したようだ。

G20は1990年代後半のアジア通貨危機を受けて財務相・中央銀行総裁会議が始まり、08年のリーマン・ショック後に首脳会議も設けられた。グローバル化が進む経済の危機を防ぐには主要国と新興国の協調が欠かせない。そうした理念の柱の一つが「反保護主義」だった。

時代を逆行させるかのような動きは、米国にとどまらない。欧州でも移民・難民や雇用への懸念などを背景に、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた。フランスなどでも排外主義的な主張が台頭している。多国間の枠組みに背を向ける米国を放置すれば、危うい「自国最優先」に弾みがつきかねない。

ここは、各国が結束を強め、国際協調の大切さを粘り強く訴え続けなければならない。

今年のG20議長国のドイツは財務相会議の終了後、7月の首脳会議に向けて議論を継続する意向を示した。5月には主要7カ国(G7)首脳会議もある。米国に翻意を促していけるかどうかが問われる。

日本の責任と役割は大きい。

安倍首相は欧州歴訪に出発し、独仏などの首脳と会談する。自由貿易体制の維持と深化は主要議題の一つだ。各国と連携して「反保護主義」を明確にうたってほしい。日本とEUの経済連携協定など、多国間での交渉を前に進めることも有効だろう。

今回のG20財務相会議の声明では、地球温暖化に関する文章もすべて削除された。環境対策に後ろ向きなトランプ政権の意向が反映されたとみられる。

国際協調が不可欠な課題は、途上国の開発支援や貧困対策など、ほかにも数多い。取り組みの停滞を防げるか、貿易分野が試金石となる。
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[朝日新聞] 駅前活動判決 過剰規制省みる機会に (2017年03月20日)

意見が割れるテーマを取りあげた催しや活動は公共の場から締め出し、発表の機会そのものを与えない。各地の自治体に広がるこのおかしな風潮に、歯止めがかかることを期待したい。

神奈川県海老名市の駅の自由通路で「マネキンフラッシュモブ」と呼ばれる活動をしないよう命じた市長の命令を、横浜地裁がこのほど取り消した。

不特定多数の人が集まり、共通の衣装をつけ、各自ポーズをとってマネキンのように静止する。数分間続けると次の場所に移動し、またポーズをとる。そんなパフォーマンスだ。

参加者が「アベ政治を許さない」「自由なうちに声を上げよう」と書いたプラカードを持っていたことから、市は「条例が禁じる集会・デモや承認のない広報活動にあたる」とし、今後こうした行為をしないよう命じた。その命令が違法とされた。

もっともな判断である。

判決は、集まったのは約10人で、1時間半ほどの活動中、他の通行人の妨げにならなかったと指摘し、市は条例の解釈適用を誤っていると述べた。

直接の言及こそなかったが、民主社会を築くうえで欠かせない「表現の自由」を重視する立場にたって、結論を導きだしているのは明らかだ。

人はだれも自分の意見を持つ自由を持つ。だが他人に伝えられなければ、心の内にあるだけにとどまる。世の中に訴え、賛否にさらされ、考えを深め、また世に問い、賛同者を増やす。そのサイクルがうまく回って初めて、民主主義は機能する。

ネット時代を迎え、意見を表明する手段は質量とも大きく変化した。しかし、道路や公園・広場、公民館など大勢の人が行き交い集う場が、大切な役割を担うことに変わりはない。

にもかかわらず、政治性があるなどの理由で、こうした公共空間を市民に利用させない行政の動きが近年目につく。対立や苦情に巻きこまれたくないという「事なかれ主義」に基づくものも多いようだが、過剰な規制は、結局は自分たちの足元を掘り崩し、社会を弱体化させる。この自覚を欠いた安易な制約が横行してはいないか。

表現活動を縛るのは、危険な事態を招くと明らかに予想されるときや、法が定める不当なヘイト行為など、例外的な場合に限るべきだ。主催者側とよく話し合い、状況に応じて、条件をつけて使用を認めるなどの工夫も検討されてよい。

海老名市は控訴を断念した。司法の警告を「我が事」として各自治体は受けとめてほしい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする