2017年03月14日

[東京新聞] 南スーダン撤収 治安悪化を語らぬ詭弁 (2017年03月14日)

撤収判断自体は妥当だが、現地の治安悪化を考えれば、なぜもっと早く決断できなかったのか。政府は自衛隊の施設整備に一定の区切りがついたことを理由としているが、詭弁(きべん)にしか聞こえない。

政府が十日、アフリカ南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の部隊を五月末をめどに撤収させることを決めた。派遣から五年以上が経過し、道路補修や避難民向けの設備整備などに「一定の区切りをつけられると判断した」(安倍晋三首相)と説明し、治安の悪化が理由ではないと否定している。

現地では、昨年七月に自衛隊が派遣されている首都ジュバで政府軍と反政府勢力との武力衝突が起きるなど厳しい治安情勢が続く。内戦状態が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に発展する恐れを、国連が度々警告する状況だ。

紛争当事者間で停戦合意が成立していること、というPKO参加五原則のうち最も重要な原則が破られたことを意味する。武力衝突が起きた時点で直ちに撤収を決断すべきではなかったのか。

政府が撤収を検討し始めたのは昨年九月だったという。現地の部隊からは首都で「戦闘」や宿営地近くで「激しい銃撃戦」が起きたことが日報で報告されていた。

しかし、安倍内閣はその後、昨年十月までだった派遣期間を五カ月間延長し、派遣部隊に「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」の任務を与えた。安倍政権が二〇一五年に成立を強行した安全保障関連法で加えられた任務である。

治安情勢の悪化を認識しながら派遣を継続したのは、強い反対があった安保法を既成事実化する狙いからと勘繰りたくもなる。現地が報告した「戦闘」を「法的な意味での戦闘行為はなかった」と言いつくろい、派遣隊員を危険にさらす行為は断じて許されない。

PKO参加五原則があるのは、日本国憲法九条が海外での武力の行使を禁じているためだ。戦後日本の平和国家の歩みは、国際的な信頼と経済的繁栄につながった。この歩みは止めるべきではない。

政府は部隊撤収の一方で、国民対話や人材育成、食料を含む人道支援を継続・強化することも表明した。南スーダンの安定に引き続き関与する姿勢は評価したい。

戦後、廃虚から立ち上がった日本の経験や知見を、新しい国造りに生かせるはずだ。専守防衛に徹する平和国家だからこそできる国際貢献を追求すべきである。
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[東京新聞] 森友学園 これで終わりではない (2017年03月14日)

大阪の学校法人「森友学園」は小学校設置のための認可申請を取り下げた。籠池泰典理事長も退任する−。これで幕引きと考えるなら甘い。不可解な取引の全容解明を果たすべく国会招致が必要だ。

「学校が建設できなかった責めを負う。子どもと保護者に申し訳ない」−。籠池氏は十日の記者会見でこのように謝罪し、退任について語ったものの、一連の疑惑に対する明確な回答は避けた。国会の参考人招致にも応じないという。誰がこんな会見内容で納得するというのだろうか。

これほど謎の多い土地取引もない。国有地が八億円も値引かれたからだ。大阪府豊中市にある土地の評価額は当初、九億五千六百万円。それが地中から廃棄物が出たとの森友学園側の申し出を受けて、八億円余りが撤去費用として差し引かれたのである。しかも分割払い。異例ずくめである。

小学校の建築事業費には何と金額が異なる三種類の契約書が存在する。これも疑問だらけだ。高い金額は約二十三億円で国土交通省に、安い金額は約七億円で府に提出されていた。三倍以上の開きがある。府に対しては財務面で問題がないように見せ掛け、国からは多くの補助金を引き出そうとした−。そんな見方が出ている。

実際に国からは五千六百万円の補助金が出たが、これは補助金の不正受給にあたりうる。国交省は既に支払った補助金を返還請求する方向だが、同時に刑事事件の立件可能性も探るべきである。

財務省も旧国有地に建設した校舎を解体し、更地に戻して引き渡すよう学園に要求するという。違約金の支払いも求める。当然の対処である。だが、何よりも国が国有地を評価額の14%で売却した経緯が全く明らかになっていない。

自民党の鴻池祥肇(よしただ)参院議員が財務省への仲介を頼まれたと証言している。どのような「力学」が働いたのか否か明白にしないと国民は納得しない。「安倍晋三記念小学校」の触れ込みで寄付金を募り、安倍首相の妻の昭恵氏が名誉校長に就いていた経緯もある。

共同通信社の世論調査では、国有地が格安で売却された問題について、86・5%が「適切だと思わない」と回答。籠池氏を国会招致し、説明を求めることに「賛成」との回答が74・6%に上った。

関係者を国会招致すべきである。全容解明がなされないと、いつまでも行政府や首相周辺は国民から疑いの目で見られる。
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[産経新聞] 【主張】陸自PKO撤収 国際貢献へ不毛議論排せ (2017年03月14日)

政府が、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣している陸上自衛隊の施設部隊を撤収させる方針を決めた。

国連当局や南スーダン政府は、日本に理解と謝意を表明した。およそ5年間の11次にわたる派遣で延べ4千人の陸自隊員が、アフリカの新生国家の建設に貢献したことを評価し、誇りに思う。

ただし、5月末まで活動期間は残っている。厳しい治安情勢は撤収理由ではないが、現11次隊は、道路造成などの任務をやり遂げて帰国してほしい。

南スーダンPKOは、積極的平和主義を掲げる日本の国際貢献として一定の成果をあげた。安全保障関連法の施行により、駆けつけ警護と宿営地の共同防護の新任務を付与する前進もあった。

しかし、自衛隊の海外派遣をめぐって日本の政治が抱える課題も浮き彫りになった。

安倍晋三首相は2月の衆院予算委員会で、南スーダンで自衛隊員に死傷者が出れば首相を辞任する覚悟を持つ必要があるとの認識を示した。

民進党の江田憲司代表代行が辞任の覚悟を問うたことへの答弁だが、こうしたやりとりは国益にかなうのか疑問である。

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首相が自衛隊の最高指揮官として責任感を持つことはもとより欠かせない。

しかし、いたずらに進退と結びつけては、日本の政権に痛撃を与えようという国や勢力が、派遣隊員に危害を加える恐れさえある。自衛隊の安全に逆行する。

必要とあらば危険な地にも赴く自衛隊を政治が運用することが難しくなり、本末転倒である。

重要なのは問題を首相の進退にこじつけることではなく、危機の際、いかに日本が結束するかだ。それこそが抑止力を高める。

また、自衛隊を国際標準の軍隊とみなさない憲法解釈が招いた「神学論争」が、安保関連法施行後も国会で横行した点も極めて残念だった。

現地政府軍と反政府勢力の「戦闘」の記述が派遣部隊の日報にあり、政治問題化した。派遣が許されない「法的な意味での戦闘」ではなかったのに、混同する不毛な議論が続いた。

国際社会の安定に資する自衛隊の海外派遣は今後も求められる。それを全うする態勢を整える改革がなお必要だ。
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[産経新聞] 【主張】スポーツ基本計画 元気な社会を五輪遺産に (2017年03月14日)

スポーツ庁が平成29年度から5年間のスポーツ施策の指針となる、第2期スポーツ基本計画を近く正式決定する。

スポーツは健康な社会をもたらし、スポーツ市場の拡大は経済を活性化させる。スポーツとかかわることで日本が元気になるという意識を、国民全体で共有したい。

現行計画では8項目だった数値目標を、次期計画では20項目に増やした。ウオーキングや体操などの手軽な運動を含むスポーツを行った人の割合を示す「スポーツ実施率」に障害者の目標値を新たに加えるなど、スポーツと社会のかかわり方を具体的に示していることは評価できる。

気がかりなのは、成人の実施率の低さだ。第2期計画は週1回以上の実施率を「65%程度」としたが、これは現行計画の目標と変わっていない。実施率は24年度をピークに減少傾向にあり、28年度は42・5%というスポーツ庁のデータもある。

実施率に貢献しているのは、幼少期から野球やサッカーなど技術の習得が必要なスポーツに親しむ人とみられている。学校体育の充実、地域の総合型スポーツクラブのてこ入れを通じ、幼少期の体験を生涯スポーツの浸透につなげてほしい。

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スポーツ市場の拡大を掲げるのも次期計画の特色だ。現在の市場規模は5・5兆円にすぎず、平成37年度に15兆円を目指すという指針は高望みに映る。新商品などの市場は、スポーツを「する」人口と密接にかかわっている。実施率を高める施策は急務だ。

マラソン大会などのスポーツイベントと観光をリンクさせ、訪日外国人を呼び込む「スポーツツーリズム」は有効な策になろう。スポーツ界と地方自治体が手を結び経済が活性化すれば、スポーツの社会的評価も高まるはずだ。

一方で、選手強化は国への依存度が高い。自主財源の確保にあえぐ競技団体も多く、助成金の不適切受給が後を絶たない。競技団体には自立の意識が欠かせない。

東京五輪・パラリンピックを3年後に控え、スポーツへの関心は高まっている。五輪のレガシー(遺産)とは必ずしも建造物を意味しない。次期計画が掲げる「1億総スポーツ社会」の実現を掛け声倒れにしないためにも、政府には多様な視点からの施策につなげてほしい。
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[毎日新聞] 民進党 政権奪取の気迫乏しい (2017年03月14日)

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民進党は結党後初の定期党大会を開いた。旧民主党と旧維新の党が合流して約1年を迎えるが、政権奪取の足がかりが得られたとは言いがたい状況だ。

安倍内閣との対立軸を意識することは大切だが、政策で付け焼き刃の対応をするようでは逆に信頼を損なう。このままでは万年野党になってしまう危機感を持つべきだ。

蓮舫代表は「国民に(安倍内閣と異なる)選択肢を示す政党だと伝えたい」と強調した。了承された活動方針は「人への投資」を優先し、教育無償化の実現に取り組む姿勢などが盛り込まれた。

安倍内閣の内政は給付型奨学金制度の創設や、同一労働同一賃金に向けた働き方改革など、リベラル色の強い民進党に接近している。それだけに与党との違いを具体的な政策でどう説明していくかが課題となる。

今国会、民進党は森友学園への国有地売却やテロ等準備罪の新設をめぐる問題点の追及など、政権の監視に一定の存在感を発揮している。

だが、それは民進党への期待感につながっていない。野党第1党として、政権を何が何でも目指す気迫が乏しいのではないか。

とりわけお粗末だったのが、原発政策をめぐる混乱である。

蓮舫氏はこれまで「2030年代」と幅があった原発稼働ゼロの目標時期を「30年」と期限を切り、活動方針に明記しようとした。

ところが支持団体である連合などの反発を受けると、あいまいな表現で妥協し、「原発ゼロ基本法案」の策定という形で収拾してしまった。 再稼働への世論が依然として厳しい中、「脱原発」を党の旗印とする狙い自体は理解できる。

だが「30年」を具体的に裏付ける政策をどこまで議論し、用意していたのか疑問がつきまとう。共産党を含む野党選挙協力の大義名分として飛びついた面もあるのではないか。

党首の方針を徹底できない統制不足も旧民主党と同様だ。東京都議選での民進党惨敗を想定した蓮舫氏の責任論がすでに党内の関心を呼んでいる。このことを執行部は深刻に受け止めるべきだろう。

旧民主党政権が招いた失望を回復することは並大抵ではない。

たとえば、税と社会保障の一体改革に関する責任ある構想を示していくことは政権を担い得る能力をアピールする重要な要素となる。

党内では単純な所得再配分ではなく、すべての人が能力に応じて負担し合う仕組みを構築して社会保障の信頼度を高めるビジョンが検討されている。「1強自民」に本気で立ち向かうのであれば、こうした議論を地道に積み上げるべきだ。
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[日経新聞] 百貨店は生き残りに向けて構造改革を (2017年03月14日)

百貨店大手、三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長が、業績不振の責任を取って退くことになった。ネット通販の台頭などで、百貨店業界の売上高は最盛期の9兆円台から5兆円台まで縮んだ。生き残りのためには各社とも抜本的な構造改革が必須といえる。

流行のファッションや海外などのライフスタイルをいち早く提案し、感度の高い客を引きつけるのが百貨店の強みだった。しかし人気のテナントを集めたショッピングモールが郊外に増えたり、消費者が商品情報をネットで集めて購入するようになったりした結果、強みは急速に薄れている。

大西社長は改めて百貨店の原点に戻り、都心の基幹店で最先端の流行情報を発信したほか、他店との同質化を避けるため独自商品を開発するなどの策を打ったが、実を結ばなかった。従来型の百貨店の理想像を追う難しさを示したともいえる。

日本の流通業界が手本とすることの多い米国では、ネット通販に押された大手百貨店が相次ぎ大量閉店を決めている。日本でもネット通販がますます拡大するのは確実だ。小売業界は業態を問わず、この流れに備える必要がある。

その際、もっとも肝心なのは、消費者にとって価値のある店や企業を目指すことだ。

消費不振の中でも、JRグループの駅ビルは比較的、売り上げが好調だ。通勤途中などに立ち寄れる便利さだけでなく、売り上げ不振のテナントはすぐ入れ替えるなど、消費者本位の運営が支持された。百貨店にはこれまで、客より納入業者に目を向けがちな空気はなかったか。厳しく反省したい。

「ユニクロ」や「ニトリ」といった専門店チェーンの台頭で、消費者が衣料品やインテリアなどに支払ってもいいと考える価格の水準はぐっと下がった。百貨店の価格設定はこれまで通りでいいのか。ここも見直すべき点だ。

仕入れや価格の見直しには構造改革が不可欠となる。自社で対応できなければ、魅力のある専門店チェーンにフロアごと入居してもらうのもひとつの手だ。一部の百貨店は、すでにこうした貸しビル化に活路を求め始めている。「百貨店らしさ」は減るが消費者には喜ばれ、人件費負担も減る。

小売業界は、最後は消費者に支持される店だけが生き残る。自社が提供すべき価値は何か。厳しく問い直してほしい。
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[毎日新聞] 民泊法案 地域共生型の宿泊所に (2017年03月14日)

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住宅やマンションに旅行者を有料で泊める「民泊」が、全国規模の解禁に大きく近づいた。年180泊を上限に民泊を認める住宅宿泊事業法案(民泊法案)が閣議決定された。

これまで国家戦略特区以外で民泊を行うには、旅館業法に基づく許可が必要だった。だが実際には、許可を得ず違法な状態で民泊を提供する事業者が後を絶たなかった。厚生労働省の調査では、許可を得ている事業者が都市部では2%に過ぎないことが明らかになっている。

民泊法案は、都道府県知事への届け出だけで民泊を行えるようにするものだ。合法な事業者が増え、外国人旅行者の急増により深刻化しているホテル不足の緩和につながることを、政府は期待しているようだ。

ただ、懸念すべき点もある。

一口に「民泊」といっても、目的や内容に大きな違いがあり、区別して対処すべきだが、法案は必ずしもそうなっていない。

まず、家主自身も住みながら空き部屋を旅行者に提供するタイプや、過疎地の空き家を貸し、地域の活性化を目指すタイプがある。こうした小規模で顔の見える民泊は、文化の交流や若者の旅行を促す可能性があり、積極的に推進してほしい。

法案は民泊の提供者に対し、外国人旅行者に設備の説明や騒音防止への協力を外国語で行うよう求めているが、顔の見える民泊にまで一律に義務付けるのはどうだろう。

一方、マンションの部屋を大々的に確保して「民泊業」を営む事業者については、どこまで違反者を摘発できるかという不安がある。

「年180泊」という上限を超えた営業を取り締まる有効な手立てはあるのか。放置すれば、住宅地での営業が認められていない、合法な旅館やホテルが競争上、不利になる。

周辺住民とのトラブルも心配だ。家主不在型の民泊は、国土交通省に登録した管理業者が管理することになっている。

外国人旅行者を多数乗せた送迎車が頻繁に路地をふさいだり、宿泊客のマナーが悪かったりすると、地域に、外国人全般を拒絶する感情が広がる恐れもあるだろう。

宿泊数の上限は、地域の事情に照らし、自治体が条例で引き下げることもできる。マンションなど集合住宅の民泊が地元の苦情を招き、小規模な交流型の民泊まで制限されるようでは問題だ。

法案は今後、国会で審議される。国内の消費が頭打ちとなる中、成長の起爆剤として外国人旅行者を増やすことばかりにとらわれた規制緩和であってはならない。

利用者が外国人であれ日本人であれ、ふれあいや相互理解を促し、地域と共生する民泊を目指すべきだ。
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[日経新聞] 待ったなしの待機児童解消 (2017年03月14日)

待機児童がなかなか解消しない。一年で最も保育施設に入りやすい4月を前に、自治体から入園不承諾の通知を受けた人が、今年も各地で相次いだ。

予定通りに職場に戻れないと、本人や家族はもちろん復帰を待っていた職場にも影響が大きい。「やはり両立は難しそう」と、これから出産を考える若い世代を尻込みさせてしまうだろう。待機児童の解消はもう待ったなしである。

政府は2017年度末までに待機児童をゼロにする目標を持つ。13年度から自治体を強く後押しし、受け入れ枠を広げてきた。だが待機児童は15、16年と2年連続で増え、今年も厳しい状況だ。

待機児童をなくすには、働きながら子育てしたいという住民のニーズをきちんと把握することが前提だ。「予想を上回る申し込みがあった」。自治体からよく聞かれる声だが、見通しが甘かった面は否めないだろう。

地域の実情に合わせて、計画を不断に見直し、保育サービスを増やしていくことが欠かせない。大きな保育所は整備に時間がかかりやすいが、小規模保育なら機動的に整備できる。幼稚園が果たせる役割も大きいだろう。保育所の機能を兼ね備えた「認定こども園」への転換などを後押ししたい。

待機児童の解消には、保育の人材不足も大きな壁になっている。処遇の低さや負担の重さから、資格があっても働いていない人が多い。都市部では自治体間の獲得競争も年々、激しくなっている。

保育サービスを増やし、処遇改善を確実に進めるには、安定的な財源が不可欠だ。社会保障を効率化しつつ、高齢者に偏りがちな財源の配分を見直す議論を始めなければならない。

安心して子どもを託せる場所があってこそ、保護者は職場で力を発揮できる。少子高齢化と労働力不足に直面する日本にとって、保育サービスは大切なインフラだ。安倍晋三首相は6月に新たな待機児童解消プランを出すという。今こそ状況を変える決断が必要だ。
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[読売新聞] 受動喫煙防止 飲食店の原則禁煙は現実的だ (2017年03月14日)

他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙による健康被害は放置できない。2020年東京五輪に向けて、対策を着実に前進させたい。

厚生労働省が公表した対策強化案を巡り、自民党内で推進派と慎重派の対立が深まっている。

厚労省案は、小中高校や医療機関の敷地内すべてと、官公庁などの建物内を全面禁煙とした。飲食店やオフィスは原則禁煙だが、喫煙専用室を設けることは認める。度重なる違反には罰則を科す。

喫煙室が設置できない小規模な飲食店のうち、主に酒類を提供するバーやスナックに限っては、例外的に喫煙可とする。

厚労省は法案化を急ぎ、今国会への提出を目指す。

現在は、健康増進法などに受動喫煙対策の規定があるが、努力義務にとどまる。非喫煙者の3?4割が、職場や飲食店で受動喫煙を強いられている。罰則付きの防止策を導入する意義は大きい。

飲食店について、自民党の慎重派議員らは、一律禁煙とせず、禁煙、喫煙、分煙の表示を義務づけた上で、各店舗の判断に委ねるよう主張している。

この手法では、喫煙できる店で働くスタッフの受動喫煙は解消されない。上司や取引先に誘われ、入店を断れないケースも想定されよう。厚労省案が原則禁煙としたのは、現実的な判断だ。

海外では49か国が、バーを含む公共の場での屋内全面禁煙を法制化している。世界保健機構(WHO)と国際オリンピック委員会は「たばこのない五輪」を進める。近年の開催地・開催予定地では、屋内禁煙が主流となっている。

国際標準から見れば、厚労省案はなお見劣りする。WHOも、喫煙室設置などの「分煙」では不十分だと指摘している。

飲食業界などは、客離れを懸念して、規制強化に反発する。

国内外の調査では、飲食店を全面禁煙にしても、売り上げにはほとんど影響がなかった。家族連れらの来店が増え、増収になったとの報告もある。

政府は、業界の理解を得つつ、段階的に屋内全面禁煙の範囲を拡大していくべきだろう。

海外では、屋外での喫煙は比較的自由だ。国内では「ポイ捨て」防止のため、路上喫煙を規制する自治体も多い。屋内の禁煙化といかに調和させるかが課題だ。

無論、たばこを嗜(たしな)む自由は、否定されるものではない。大切なのは、非喫煙者の健康被害を防ぐ観点からの対策の推進である。
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[読売新聞] 民進党大会 憲法改正論議から逃避するな (2017年03月14日)

27日に結党1年を迎えるが、党勢低迷から脱却する兆しは見えない。

民進党が定期党大会を開いた。蓮舫代表はあいさつで、「私の政治人生すべてをかけて、共生社会を政権交代で実現したい」と訴えた。

民進党の支持率は1けたにとどまる。40%前後の自民党との格差は大きい。「豊かな社会を育み、暮らしに寄り添う政治をつくる」などと抽象論を唱えるだけでは、支持拡大には結びつくまい。

現実的で説得力を持つ政策を練り上げ、地方組織を地道に拡大する取り組みこそが大切である。

野田幹事長は、次期衆院選での野党協力の強化を明言した。

共産党と協力するなら、基本政策の一致が大前提となる。日米安保条約の廃棄や将来の自衛隊廃止を否定しない党と安易に折り合えば、「野合」批判を浴びよう。

疑問なのは、蓮舫氏が「原発ゼロ基本法案」の国会提出を表明したことである。徹底した省エネと再生可能エネルギー導入により、実現を目指すという。結局、原発再稼働に反対する共産党に足並みをそろえるだけではないか。

執行部は、党内外の反発を受け、「原発稼働ゼロ」の目標年限前倒しを見送ったばかりだが、蓮舫氏はなお、前倒しに意欲を示した。電力需給や発電コストの見通しを提示せずに原発ゼロ法案を掲げるのは、無責任な対応だ。

採択した2017年活動方針は憲法改正に関して、「時代や民意の変化を踏まえた議論を積極的に行う」と言及している。

民進党は、国会の憲法審査会の審議に消極姿勢を続けている。党内の護憲派や共産党などへの配慮もあろうが、国家の基本に関わる議論を回避すべきではない。

党内に改憲論者は少なくない。活動方針通り、憲法論議に「積極的に」臨むことが求められる。

活動方針は、「人への投資」の目玉として、「教育の無償化」に向けて「実現可能な道筋を速やかに示す」と打ち出した。

蓮舫氏は議員立法での法案提出を主張するが、細野豪志代表代行は憲法改正を唱えている。本気で無償化を追求するなら、財源問題を含めた論議が欠かせない。

7月の東京都議選を前に、党公認候補予定者の離党の動きが相次いでいる。民進党会派は「東京改革議員団」と名称変更した。党の現状への反発と不安が理由だ。

党内外の様々な声に真剣に耳を傾けたうえで、いかに意見集約を図り、安倍政権と対決するのか。蓮舫氏の指導力が問われる。
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[朝日新聞] 大震災から6年 「共有」を復興の突破口に (2017年03月14日)

東日本大震災の後、すでに二十数兆円の復興費が投じられた。津波被災地では宅地造成や公営住宅の建設が進み、まちの姿が少しずつ見えつつある。

一方で、公共事業のピークが過ぎるにつれて、震災前からの過疎化に拍車がかかっている厳しい現実が浮き上がる。避難先で新たな生活を始め、故郷に戻らない被災者が少なくない。企業誘致や起業の呼びかけも、人口減を埋めるにはほど遠い。

もう、定住者を増やすことだけにこだわるのはやめよう。さまざまな体験や知恵、技術の「共有」を通じて、全国各地の人たちの力を借りながら、復興への突破口を開けないか。

そんな民間人発の試みが、静かに広がりつつある。

震災での死者・行方不明者が1千人を超え、市内の住宅の3割近く、事業所の5割強が被災した岩手県釜石市。ラグビーのまちとして知られるだけに、東北唯一の会場となる2019年のラグビーW杯を復興の起爆剤にと期待する。

■「つながり人口」こそ

だが、いいことずくめではない。新競技場の建設費は大半が復興事業として国や県から出るが、毎年の維持費は市の負担だ。W杯の観客を受け入れる宿泊施設は大幅に不足するが、民間企業は大会後の厳しさをにらんで二の足を踏む。

農家や漁師の空き部屋ならたくさんある。4年余り前に都内の大手企業から釜石市職員に転じた石井重成(かずのり)さん(30)に市内外のNPOなどが加わったチームは、国が普及を急ぐ「民泊」に目をつけた。早速、仲介最大手、米エアビーアンドビー社と市の提携が決まった。

W杯後をどうするか。地元NPOが提案したのは、まち全体をパビリオンに見立てる取り組みだった。市外の人たちが漁場や鉄工所、レストランを訪れ、仕事を手伝う。民泊と合わせて市民の等身大の暮らしを共にしてもらい、ラグビー以外にも釜石ファンを増やすのが狙いだ。

もともとこのNPOが期間限定で実施してきた試みだが、この週末には市をあげてイベントを催し、いつでも来てもらえる仕組みを考えていく。

震災で一気に減った市の人口は、2040年にはさらに4分の3に落ち込む見通しだ。ならば、市と何らかの関係を持つ「つながり人口」と、市内で動く「活動人口」を増やす。これが石井さんたちの目標だ。

請け負ったスマホ用アプリの開発などを手がけながら、各地を転々とするITエンジニアたちがいる。そんな若者が宿泊できる「ギーク(オタク)ハウス」と呼ばれる施設が昨年、空き家の古民家を改装して岩手県大船渡市にお目見えした。

■地域外から息長く

運営するのは、東京の大手IT企業を退職し、市内で支援活動を続ける福山宏さん(53)らが立ち上げたシンクタンクだ。

地元農家が頭を悩ませるシカの食害対策を考えてもらおうと、エンジニアたちを引き合わせ、センサーでシカの移動パターンを予測するシステムづくりが動き出した。ふらりと大船渡を訪れる人たちと地元の課題を結びながら、新たな事業を探っていく。

栃木県栃木市に住むデザイナーの青柳徹さん(40)は被災地に赴かない「共同事業者」だ。

震災の2年後に三陸地方を訪れ、岩手県山田町にある水産加工のベンチャー企業の事業に加わった。販路を失った窮状を救おうと、商品の包装デザイン作りを担っているが、現地を訪れたのは最初の一度きり。打ち合わせはもっぱらインターネットで済ませている。

無償だが、仕事の幅が広がった。無理せず、息長く。そうした意識からの取り組みが評価され、宮城県女川町での新たな受注につながった。

■自らができることを

被災地の内と外をつなぐ試みとしていち早く広がったのは、ネットで事業資金を集めるクラウドファンディングだ。

半額寄付・半額出資の形でミュージックセキュリティーズ(東京)が作ったファンドには3万人から11億円が集まり、約40社の再出発を支えた。出資者の大半は一般の会社員だ。

小松真実(まさみ)社長は、この6年での新たな動きに注目する。例えば、宮城県気仙沼市の製麺業者の再建では、出資した会社員らが地元の食材を生かしたメニューの開発に知恵を絞った。「被災企業との間である種のコミュニティーができ、愛着から支援を強めている」。小松さんはそれを「関係の深化」と呼ぶ。

被災地は、財政難や少子高齢化に直面する日本の縮図とされ、単なる復旧ではなく「創造的復興」に挑むべきだと指摘されてきた。

自分のやり方で被災地にかかわり続けていく。一つひとつは小さくても、積み重ねが新たな挑戦につながる。

被災地以外の地域づくりにも通じる視点である。
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