2017年03月05日

[産経新聞] 【主張】宅配便の急増 過剰サービスは見直しも (2017年03月05日)

暮らしや産業を支える宅配便が曲がり角を迎えている。人手不足で運転手を十分に確保できない中、インターネット通販の拡大で取扱量が急増し、配達現場の疲弊が深刻になっているのだ。

業界最大手のヤマト運輸は、取扱量の抑制などの検討を始めた。利便性を高める配達サービスであっても、過剰なものは思い切って見直す必要がある。

ネット通販大手など大口顧客への配達料金の割引で、宅配業者側にしわ寄せが及ぶ実態もある。

適正な料金を受け取りサービスを提供するのが、商取引の原則だろう。宅配網が破綻すれば通販も打撃を被る。社会的影響も考慮し、価格を設定すべきだ。

昨年の宅配便総数は、前年より6%あまり増えて約38億7千万個となった。6年連続で過去最多を更新している。スマートフォンを通じたネット通販が拡大し、小口の荷物が頻繁に配達されるようになったことが大きい。

この半数近くを扱うヤマトでは運転手の確保が追いつかず、長時間労働が常態化しているという。同社の労組が経営側に対し、取扱総数の抑制を求めたのも無理はない。新たに発覚した未払い残業代の問題を含め、労働環境の改善へ労使で協議してもらいたい。

そのためには、一部サービスの廃止もやむを得まい。宅配便全体の2割は、不在だった家に再び届ける再配達が占めるという。度重なる再配達には、一定の手数料の徴収なども検討に値する。

配達時間を指定せず、1回で受け取った人にはポイント付与で優遇するなど、料金メニューの多様化にも工夫を凝らしたい。過疎地を走る路線バスに宅配荷物を載せる規制緩和も必要である。

国内物流の9割を担うトラック業界全体でも、人手不足は大きな問題だ。トラック運転手の賃金が他の業界に比べて安いことが、その傾向に拍車をかける。運転手の高齢化も懸念材料である。

石井啓一国土交通相は「深夜に頼んで翌日に荷物が届くサービスもある。末端の物流業者に相当の負担がかかっている」と述べた。運転手らの長時間労働の是正や、処遇改善の必要性を強調したものである。

宅配便業界の苦境は、消費者の利便性と裏表の関係にある。持続的なサービスのため、官民に加え利用者も一考すべきときだ。
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[産経新聞] 【主張】自民党と憲法改正 今こそ有言実行が必要だ (2017年03月05日)

自民党が「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記した平成29年の運動方針案を5日の党大会で採択する。

安倍晋三首相(自民党総裁)の強い意向で盛り込まれた。

憲法改正を党是としてきたが、国民投票法に基づく改正手続き実現の意思をはっきりと打ち出すのは初めてのことだ。

政党の運動方針は、これもまた国民との約束にほかならない。期待するのは有言実行である。

5月3日には、現行憲法の施行70年という節目を迎える。改正へ歩を進めるべきときである。

「憲法改正原案の発議」とは、衆院議員100人以上、参院議員50人以上の賛同により、実際の案が国会に提出されることを指す。衆参の憲法審査会を経て、各本会議で採決にかかる。

今国会でも、なぜ憲法改正が必要かという問題に結び付く課題が浮上した。

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)へ派遣された、陸上自衛隊の「日報」をめぐる国会論戦はその典型だったといえよう。

日本が主権を失っていた占領期に作られた現行憲法において、9条をめぐる解釈や政策判断と、現実との乖離(かいり)がますます大きくなっているという意味である。

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日報には現地政府軍と反政府勢力の「戦闘」の記述があった。自衛隊派遣を認めない「法的な意味での戦闘」にはあたらないが、両者を混同させた議論が続いた。

国の守りと国際社会の平和に寄与する軍隊の保有を憲法は認めていない。それが極めてわかりにくい「神学論争」を招く。PKOの意義や派遣の是非という建設的な議論は、後ろに追いやられた。

尖閣諸島の守りにも支障がある。「グレーゾーン事態」で海上警備行動が発令されても、憲法上、軍隊でない自衛隊には十分な武器使用ができない。

南海トラフの巨大地震など、東日本大震災以上の災害が懸念されているのに、国民を守る緊急事態条項の創設も実現していない。

衆参の憲法審査会では、民進党などの抵抗で改正項目の絞り込みに着手できない現状がある。

首相や自民党議員は国民の中に分け入り、今よりも日本や国民の役に立つ新しい憲法を持つ意味について、語りかける努力を重ねてほしい。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 政治の劣化と安倍一強 (2017年03月05日)

自民党が安倍晋三総裁の下、政権に復帰して四年余り。安倍内閣や自民党は依然、高い支持率を維持していますが、「政治の劣化」も気になります。

自民党はきょう定期党大会を東京都内のホテルで開きます。今後一年間の運動方針や党則変更などを決める、政党にとっては大切な一年に一度の集まりです。

今年の自民党大会が例年にも増して注目されるのは、党総裁の任期をこれまでの「連続二期六年」から「連続三期九年」に延長することが決まるためでしょう。政権を担う自民党総裁の任期はそのまま首相任期に直結するからです。


◆任期延長には賛否両論
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安倍首相の在職日数は昨年十二月五日、第一次内閣(二〇〇六〜〇七年)との通算で千八百七日に達し、戦後四位の中曽根康弘氏を超えました。

安倍氏の党総裁としての任期は現在一八年九月まで。総裁任期の延長が党大会で決まり、次の総裁選を勝ち抜けば、最長二一年九月まで首相を務められます。

一九年八月には戦後一位で安倍氏の大叔父である佐藤栄作氏を、十一月には戦前も含めた歴代一位で、安倍氏と同じ長州(山口県)出身の桂太郎氏をも抜きます。憲政史上例のない長期政権です。

党大会で、安倍氏は「二〇二〇年の日本・安倍総裁の決意」と題して演説します。総裁任期の延長には賛否両論がありますが、総裁選に勝ち、二〇年の東京五輪・パラリンピックまで首相を続けたい、との決意表明にほかなりません。

学校法人「森友学園」への国有地売却問題が国会で本格的に追及される前の世論調査ではありますが、共同通信社が二月中旬に実施した最新の全国電話世論調査によると、内閣支持率は一月より2・1ポイント増の61・7%に達します。


◆政治家の基礎欠く若手
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森友学園の問題が今後、安倍内閣の支持率にどう影響するのかは見通せませんが、首相主導の経済政策が成果を上げているとは言えない状況でも依然、高支持率を維持しているのが実情です。

「安倍一強」は簡単には揺るがないようにも見えます。ただ、足元を見ると安心してはいられないのでしょう。その危機感は自民党の取り組みからもうかがえます。党内の「人材育成検討プロジェクトチーム」による提言です。

新人議員らの政策立案や議会運営などの能力向上が必要だと指摘し、総裁ら党役員が直接、党の基本理念や議員の心得、政策決定の仕組みなどを指導する研修の開催を求める内容で「努力を怠れば、党に対する国民の信頼を失う結果を招く」と、危機感をあらわにしています。

かつて自民党では「政治のイロハ」を教えるのは「派閥」の役割で、先輩議員が若手議員に教え込む姿がよく見られました。

小選挙区制や政党助成金の導入などの「政治改革」で派閥が力を失い、役割を果たせなくなったため、党本部が直接担わざるを得なくなったのです。それは自民党も政権時代の民進党も同じです。

一連の政治改革で大型疑獄事件は鳴りをひそめましたが、若手議員を中心に不倫や金銭トラブルをめぐる問題が相次ぎました。衆院への小選挙区制導入時の想定を超える、人材の劣化です。

そもそも小選挙区制の狙いは、政権交代可能な、政党中心、政策本位の政治の実現でした。〇九年と一二年に政権交代は実現しましたが、政策本位の政治には程遠いのが実情です。

国会では、野党の指摘や質問に、政権側が「レッテル貼り」と反撃する不毛な論戦が続きます。お互いが歩み寄り、よりよい結論を出すよりは、選挙をにらんで相手を徹底的に打ちのめす。敵か味方かに二分する分断社会が、日本の政界にも押し寄せています。

政権転落の危機感や政権復帰への焦りが、そうさせているのでしょうが、多様な民意を切り捨てることで成り立つ小選挙区制の弊害とも言えます。


◆権力集まりすぎる弊害
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安倍一強という状況も小選挙区制と無縁でありません。政党中心を目指した制度ですから、党首とその周りに権限を集めるのは当然としても、集まりすぎて権力が強くなりすぎたからです。

選挙での公認や内閣・党人事という生殺与奪の権力を持つ者に抵抗してにらまれるよりは、おとなしく従った方が得策という風潮が蔓延(まんえん)してはいないか。それを政治の進化とはとても呼べません。

その背景に選挙制度があり、負の影響が明らかに大きいなら思い切って見直すべきではないか。受け取る政党を「国営政党」としてしまう、約三百二十億円の政党助成金を含めてです。「平成の政治改革」から二十年余り。日本の政治も、曲がり角に来ています。
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[毎日新聞] 香港の首長選 中国介入が自治を崩す (2017年03月05日)

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中国の特別行政区、香港のトップである行政長官(任期5年)選挙の候補者が出そろった。26日の投開票に向けて選挙戦が本格化する。選挙委員会(定数1200人)による投票で、直接選挙ではない。しかし、複数候補の出馬で一定の競争原理は働く。中国は介入せず、委員の自主的な投票を見守るべきだ。

候補者は3人だが、事実上、香港政府ナンバー2だった林鄭月娥(りんていげつが)前政務官とナンバー3の曽俊華(そうしゅんか)前財政官の対決とみられている。

立候補には選挙委員150人以上の推薦が必要で、中国の意中の候補とされる林鄭氏は親中派を中心に半数に近い579人を集めた。香港メディアは「中国政府の出先機関が林鄭氏への支持を働きかけた」と伝えている。曽氏は民主派からの支持も得て立候補にこぎつけた。

2014年に世界標準の民主化を求める「雨傘運動」が起きた際、学生らに厳しい対応を取った林鄭氏に対する批判は根強い。住民全体を対象にした世論調査では曽氏への支持が林鄭氏を上回る。本番は無記名投票のため、曽氏は親中派の切り崩しで逆転を狙っている。

香港返還から20年。約束されていたはずの「1国2制度」に基づく高度な自治が揺らいでいることが、対中不信につながっている。昨年9月の立法会選挙では香港独立を志向する「本土派」と呼ばれる反中勢力が進出したが、中国の介入もあり、2人が議員資格を失った。

今回の行政長官選でも中国の介入を批判する論評を掲載した新聞社が脅迫などを受け、主要なメディア団体が言論の自由を訴えて共同声明を発表する事態が起きている。

香港人自らが代表である行政長官を選ぶことが「高度な自治」の前提のはずだ。しかし、中国の意中の人物とされる候補が選出されることが慣例化し、直接選挙の洗礼を経ない長官の資質への疑念も強まっている。梁振英(りょうしんえい)長官は中国の信頼を失って再選を断念した。2代目長官だった曽蔭権(そういんけん)被告は先月、在任中の不正で有罪判決を受けた。

香港社会への中国の介入も目立ち始めた。香港の出版社関係者が次々に失踪し、中国で取り調べを受けた事件は記憶に新しい。1月末には中国指導部に近い中国出身の富豪が香港中心部のホテルから姿を消し、経済界にも懸念が広がった。

香港の利益を代表し、中国に毅然(きぜん)と物を言えるような人物が必要だ。次期長官は直接選挙実現に向けた選挙改革を再始動させる責任も負う。

中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は外交、内政で「包容力」の重要性を強調している。まずは、香港の同胞に「包容力」を示すべきだ。
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[毎日新聞] 森友学園 検査院任せは筋違いだ (2017年03月05日)

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国有地取得を巡る交渉が、大阪の学校法人「森友学園」の要求通りに進んだのはなぜか。

政治家が関与した疑いがある以上、政府・与党は会計検査院任せにはせず、国政調査権に基づく真相の解明を進めるべきである。

学園の籠池(かごいけ)泰典理事長が自民党の鴻池祥肇参院議員の事務所に、小学校開校を巡り役所への口利きを依頼していた記録が発覚した。依頼は、2013年8月から昨年3月にかけて15回に上る。

「政治力で早く結論が得られるように」「賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」などと露骨な要求が記されている。そこから浮かび上がるのは、政治家を通じて執拗(しつよう)に利益を得ようとする学園側の姿勢だ。

実際に、財務省近畿財務局や国土交通省大阪航空局との交渉は理事長の意向に沿う形で進んだ。

記録によると、財務局は当初、国有地購入による取得しか認めなかったが、理事長が「8年間は借地で、その後購入とできないか」と事務所に要望した結果、売却を前提とした10年間の定期借地契約になった。

年間約4000万円の賃料提示にも理事長は「高すぎる。何とか働きかけしてほしい」と事務所に求め、年間2730万円に減額された。

さらに売買契約に切り替えた際も一括払いでなく分割払いとなる。

理事長の要望に応じて財務局や航空局がルールを次々と変更した経過が見て取れる。財務省は「政治家から不当な働きかけはない」と答弁しているが、判明した事実とは大きく食い違う。

学園の小学校設立の認可を巡る審議にも不可解な経緯があった。大阪府の審議会は財務面に不安があることなどから認可を保留したが、1カ月後の臨時会では一転して、条件付きながら認可適当と答申した。理事長はこの間、大阪府議に「小学校の件、よろしくお願いします」と要請していた。

もはや理事長らの参考人招致が不可欠だろう。ところが、政府や自民党は会計検査院を盾に野党の要求を拒んでいる。

検査院の検査は、売却価格が適正だったかどうかという外形的なチェックにとどまる。交渉過程で不正がなかったかどうかを解明することまでは期待できない。

安倍晋三首相の昭恵夫人は小学校の名誉校長に就任し、問題発覚後に辞退した。学園の寄付集めには首相の名が一時使われており、首相は全くの第三者ではない。

首相がもし「利用された」と考えるのであれば、理事長らの国会招致で事実の解明を図ることが自らの利益にもなるのではないか。
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[読売新聞] 地銀再編 顧客本位の戦略を練り上げよ (2017年03月05日)

内外のビジネス環境の変化が、地方銀行に再編を迫っている。

三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスの傘下にある関西の地銀3行が、来年4月にも経営統合することになった。

三井住友とりそなが共同出資して持ち株会社を設立し、その下に関西アーバン銀行、みなと銀行、近畿大阪銀行の3行が入る。資産合計は11兆円を超えて、関西で最大の地銀グループとなる。

地銀経営は、人口減少や長引く低金利の影響で厳しい。統合による規模拡大をテコに、収益基盤を強化する狙いがあるのだろう。

金融庁の試算では、融資など顧客向け業務が赤字に陥る地銀は、2025年に全体の6割に上ると予想されている。3行が、再編に活路を求めるのは理解できる。

ただし、単なる業容拡大では体力勝負の低金利競争から脱却できず、統合効果は限られよう。各行が培ったノウハウを結集し、収益性を底上げすることが大切だ。

近年は、大手行の系列を超えた地銀再編が相次いでいる。2月末には三重県が地盤でみずほフィナンシャルグループと親密な第三銀行と、三井住友に近い三重銀行が、統合の基本合意を発表した。

大手行はかつて、株式の持ち合いなどで地銀との関係強化を進めた。手薄な地方の営業網を補完する効用があったが、地銀の経営が厳しくなるにつれて、そのメリットが薄れてきたのは確かだ。

メガバンクが新たな収益源を求めて海外事業に注力していることや、国際的な金融規制が強化された影響も見過ごせない。

国際業務を行うメガバンクは、十分な自己資本を積み増すよう求められている。自己資本比率を高めるには、傘下の地銀を切り離し、融資などのリスク資産を圧縮するのも一つの選択肢となる。

メガバンクと地銀との関係見直しが、さらなる地銀再編を後押しするとの見方も出ている。

肝心なのは、再編を顧客と地域の利益につなげることだ。地元企業を金融で下支えして地方活性化に貢献するという、地銀本来の役割を強めるものにしたい。

拠点統廃合などの合理化も、顧客の利便性を損なわぬよう配慮して進める必要がある。

担保や保証に頼った融資審査を改め、将来性のある企業を見いだす「目利き力」を高める。顧客の多様な要望に応えられるように、専門性に磨きをかける。こうした取り組みに資する統合戦略を練り上げることが大事である。
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[朝日新聞] 中国国防費 地域の安定脅かす軍拡 (2017年03月05日)

中国の国防費が初めて1兆元(16兆5千億円)を超える。

昨年からの伸びは7%程度になるという。近年まで続いた10%以上の伸びに比べれば若干減速したとはいえ、日本の防衛費の3倍を超える予算規模だ。

なぜそんな拡張の必要があるのか。内訳がわからず、意図も明らかではない。この不透明さ自体が脅威であり、地域の安定に責任をもつ大国の姿からは、ほど遠い。

全国人民代表大会の報道官は、対国内総生産(GDP)比で1・3%程度であるとしたうえ、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は対GDP比2%への増強の目標を掲げていることを引き合いに出した。

中国だけが批判されるのは不当だというのだろう。だが、これは単純に対GDP比で論じて済む話ではない。東アジアにおいて中国軍の大きさが突出し、バランスを失しているからこそ問題なのだ。

しかも公表された数字には軍関連の研究開発や輸入が含まれず、実際はもっと多いとの見方で西側専門家は一致している。

近年の中国軍は陸軍よりも海・空軍に重点を置く。「地域の安全を守るため」だというが、東南アジア各国の軍拡という反作用を引き起こしている。

中国初の空母「遼寧」は外洋に出るようになり、さらに新空母を建造中と伝えられる。潜水艦を含め海軍力は飛躍的に向上した。軍用機が宮古島沖を通過して西太平洋に出ることも増えた。ミサイルは短距離から長距離まで幅広く配備し、核弾頭を着実に増やしている。

当面の焦点は南シナ海である。昨年の常設仲裁裁判所の判決で、スプラトリー(南沙)諸島と周辺海域での中国の権利主張は否定された。しかし中国は岩礁の埋め立てと拠点づくりをやめていない。米研究機関によれば、ミサイル格納庫と疑われる建物が完成したという。

折しもトランプ米大統領が軍増強の方針を示している。太平洋を挟んだ大国同士が露骨な力の対抗に陥ることは避けねばならない。中国は、岩礁を拠点化するような緊張を高める行動をやめるべきだ。

海運に依存する経済大国の中国のみならず、周辺各国にとって南シナ海は死活的に重要な航路だ。中国は各国と協調して、海域の平和のために建設的な役割を果たさねばならない。

日本を含む関係各国は、その方向へ中国を導く努力がいっそう求められている。軍拡の連鎖は、どの国民の利益にもならないことを改めて確認したい。
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[朝日新聞] 米国とWTO 自由貿易を壊すのか (2017年03月05日)

貿易相手国ともめごとが生じた際、好き勝手に制裁措置をとれるとすれば、制裁が報復を招き、泥沼の紛争があちこちに広がりかねない。自由貿易をゆるがせ、世界経済を混乱に陥らせる危機が迫る。

そうした事態を防いでいるのが、世界貿易機関(WTO)の紛争処理機能だ。不満のある国からの提訴を受け付け、裁判所のような役割を果たす。多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が頓挫し、二国間や地域ごとの通商交渉が中心になった今も、WTOが自由貿易体制の要とされるゆえんだ。

その「最後の砦(とりで)」を、トランプ米政権は壊すつもりなのか。

議会に提出した通商政策の報告書は、WTOについて「米国に不利な決定がされた場合、それは米国の法律を自動的に変えるものではない」と明記した。さらに、通商法301条を「適切に使えば強力な武器になる」と評価した。日米経済摩擦が激しかった1980年代以降に米国が使い、今はWTO違反の可能性があるとされている一方的な制裁措置である。

国際的な決めごとでも、自国に不利と見れば無視する。ルールを決め、それに反しているかどうかを判断するのは米国だ――。そんな傲慢(ごうまん)な宣言だと言わざるをえない。

「米国第一」を掲げるトランプ政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱するなど多国間から二国間の交渉に軸足を移し、自国に有利な枠組みを目指す姿勢を鮮明にしてきた。だが、すでに定着している国際ルールをふみにじる危うさは、はるかに大きい。

トランプ政権は、報告書をただちに撤回すべきだ。第2次世界大戦へとつながった保護主義を再来させかねない暴挙に踏み切ってはならない。

報告書の背景には具体的な政策がある。米国にとって最大の貿易赤字国である中国への報復的な高関税案や、輸出企業の税負担を軽く、輸入企業の負担は重くする「国境での課税調整」案だ。ともにWTO協定違反となる可能性が指摘されている。

経済で深く結びつく中国と制裁合戦になれば、悪影響は米国にはね返る。国境調整は、輸入が多い小売業界を通じて、米国民の家計を圧迫する恐れが強い。そんな現実もわからないのだろうか。

各国は協力して米国に翻意を促さなければならない。日本はその先頭に立つべきだ。安倍首相は首脳会談を通じて築いたと誇るトランプ氏との良好な関係を生かし、直言してほしい。
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[読売新聞] 天守閣再建 地域の魅力あるシンボルに (2017年03月05日)

昭和の築城ブームで建てられた鉄筋コンクリート造りの天守閣が、相次いで建て替えの時期を迎えている。

天守閣の多くは、街のシンボルとして親しまれている。史跡としての歴史的価値を残しつつ、観光資源として地域の活性化につなげる。それを実現するためには、住民の幅広い合意を得た上での建て替えが望まれる。

江戸時代以前の木造天守閣が残っているのは、姫路城や松本城など12か所だ。いずれも国宝や国の重要文化財に指定されている。

それ以外のほとんどの天守閣は、戦後になって再建された。

国指定史跡に立つ城郭の現状を変更する場合、文化庁は、精度の高い図面や写真、記録などに依拠して、木造で復元するよう求めている。昭和期よりも格段に厳しい制限が設けられたことが、再建問題を難しくしている。

貴重な史跡である以上、可能な限り忠実な復元を原則とする文化庁の姿勢は理解できる。

空襲で焼失する前の実測図や写真が現存しているのが、名古屋城の天守閣だ。市は木造による復元を進める方針だが、建造費が約500億円ともされることから、市民の賛否は分かれている。

復元に至れば、再建のモデルケースとなろう。

史料が豊富に残る名古屋城のようなケースはまれだ。ほとんどの天守閣の場合、散逸している。

小田原城は、鉄筋コンクリートの天守閣に耐震補強を施して、昨年5月に再オープンした。木造での再建も検討されたが、史料不足などの理由で見送られた。

昨年4月の熊本地震で損壊した熊本城の天守閣については、将来的には、木造での再建も選択肢の一つだ。その際には、詳細な図面を探し出す必要がある。当面は鉄筋コンクリート造りのままで、補修作業が進められる計画だ。

全くの推測に基づく城郭を建てるのは論外だが、実際に建物が存在してこそ、史跡への理解が深まる側面もある。厳密な図面などがなくても、史料に一定の信頼性があれば、木造の復元を柔軟に認める余地もあるのではないか。

江戸城天守閣の復元を目指す動きもある。明暦の大火で焼失後、再建されなかった5層6階の大天守を蘇(よみがえ)らせようと、財界人や文化人らで組織するNPOが、政府などに働きかけている。専門家による調査報告書も作成された。

再建には多額の費用を要するだろうが、夢のある事業である。前向きに検討したい。
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