2017年03月02日

[東京新聞] いじめの調査 公開してこそ役に立つ (2017年03月02日)

自殺や不登校に追い込まれた重大ないじめを調べながら、結果を伏せる自治体が目立つ。責任逃れではないかとの疑念さえ湧く。社会全体で反省点を共有しなくては、再発防止にはつながるまい。

いじめが引き金となって、子どもの生命や心身、財産に深刻な被害が生じたり、不登校を余儀なくされたりしていると疑われるケースを重大事態という。

教育委員会や学校法人、または学校は、第三者委員会のような組織を置いて事実関係を調べ、被害者側に情報を提供しなくてはならない。いじめ防止対策推進法はそう定めている。

看過できないのは、調査結果の公表に後ろ向きな自治体が多いことである。隠ぺい体質の仕業とすれば、いじめの根絶は難しい。

共同通信の二月の集計では、公立学校での重大事態を受けて二〇一五年度に設けられた第三者委による調査で、結果がまとまった三十八件のうち、公表されたのは十六件にとどまり、十八件が非公表とされた。四件は不明だった。

中には、被害者側の意向を確かめないまま非公表にしたり、委員の身元さえ明かさなかったりした自治体もあるという。一体、誰のため、何のために調べるのか。

これでは調査の公平性、中立性に疑問符がつくだけではなく、単なる行政上の儀式に堕しかねない。失態を隠して、問題を矮小(わいしょう)化する意図があるのではないかと受け取られても仕方あるまい。

例えば、福島原発事故で、福島県から横浜市に自主避難した中学生が、小学生時代にいじめられて不登校になった問題である。

昨年十一月、被害者側が世に問うてようやく、学校側を「教育の放棄に等しい」と批判した調査報告書の一部が公表された。

大津市でも、小学生が不登校になった問題を巡り、昨年五月にまとまった調査報告書を公表するよう被害者側が望んでいる。「加害側を生み出す土壌を放置した」と学校側を指弾している。

無論、被害者、加害者双方のプライバシーへの配慮は欠かせない。けれども、それを盾に説明責任を避けるようでは、教育現場への不信は増すばかりだろう。

中学生が自殺した問題を調べた名古屋市は昨年九月、学校名や生徒名を伏せた調査報告書を公表し、ホームページに載せた。こうした事例を幅広く共有して、いじめを防ぐ知恵を出し合いたい。

子どものいじめは大人の映し鏡である。社会全体に責任がある。
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[産経新聞] 【主張】トランプ氏演説 米軍再建で世界の安定を 経済政策の履行は見極めたい (2017年03月02日)

トランプ米大統領は初の施政方針演説で、「米国第一」主義に基づく青写真を補強した。注目すべきは「米国を再び偉大にする」重要な柱の一つに「米軍の再建」を据えたことだろう。

2018会計年度の予算案には、「米国の歴史上、最も大規模な国防費の増額を求める」と述べた。10%とされる増額幅は日本の年間防衛費(約5兆円)を上回る約6兆円に上る。

戦争や紛争を抑止するためには外交努力だけではなく、秩序を守る側の十分な軍事力と、有事の際の「戦う意志」が欠かせない。それが国際社会の厳しい現実だ。

≪秩序守る役割を果たせ≫

オバマ前政権にはこの2つが不足したため、力の空白がシリア内戦の混迷などを招いた。

トランプ氏は「戦争を防ぐため必要な装備を軍に与え、戦わなければならない時は勝利する」と強調した。戦争を抑止する定石を述べたものと評価したい。

米国防費は厳しい財政事情の下で、強制削減が進められてきた。オバマ氏はアジア太平洋を重視するリバランス(再均衡)戦略も進めたが、及び腰の対中姿勢では十分に機能しなかった。

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一方、この間に中国は「力による現状変更」に突き進み、ハイペースで軍事費を増大させた。その帰結が、中国の南シナ海における人工島の軍事拠点化である。

トランプ氏がこれまで、自由や民主主義の価値観に基づく国際秩序の大切さを語ることは、ほとんどなかった。演説で自由の重要性と、「世界との強固で意味のある関与」に言及したことには一定の安堵(あんど)感を覚える。

第二次大戦後や冷戦終結後の国際秩序形成を主導してきた米国の指導者として、トランプ氏の責任は重大である。

その意味で「米国が再び、(世界を)主導する準備ができていると知るだろう」と強調した点も評価できる。

「米軍の再建」と並び、同盟国との協力を唱えたことを重視したい。日米同盟や北大西洋条約機構(NATO)は、世界秩序を支える礎だからだ。

安倍晋三首相との首脳会談で同盟が再確認され、ペンス副大統領らがNATO重視を明確にしたことが反映されたのではないか。

同盟国に対して「戦略、軍事両面で直接的かつ有効な役割を果たし、公平に費用を負担するよう期待する」とも語った。

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トランプ氏は就任後、在日米軍駐留経費の増額は求めていない。日本に必要なことは、軍拡を進める中国とのバランスを保つため、防衛費の増額に踏み切ることだ。安倍政権は米側に要求される前に、自主的に防衛力強化の方針を打ち出すべきである。

自衛隊と米軍の協力では、敵基地攻撃能力の導入や、南シナ海での協力など役割分担を具体的に検討すべき時である。同盟の抑止力強化に取り組むことが、平和への近道となる。

経済分野では、貿易不均衡に絡めた対日攻撃など、これまでみられた極端な排外姿勢は抑制した印象だ。税制改革の断行を表明したが、輸入抑制につながる税の国境調整には踏み込まなかった。

≪排外主義の懸念は残る≫

だが、国際経済の中で米国が享受した恩恵を顧みず、自国が他国から一方的に利用されたと断じる経済観は相変わらずだ。それが米国第一主義の底流にある限り、排外主義への懸念は拭えない。

自由貿易を信奉しているとしつつも、それには公正さが必要だとあえて強調した。トランプ氏が言いたいのは、あくまで米国の利益となる意味での公正さだろう。

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演説ではインフラ整備に官民の資金1兆ドル(約113兆円)を投じる考えも示した。だが、米製品を買い、米国民を雇用するのを原則としたのは注意が必要だ。

米国のインフラ整備は、日米経済対話で議論されるテーマの一つである。日本はこれが両国の相互利益につながると考える。トランプ氏が求めるのが「米国第一」の利益であることは、当然ながら認識しておかねばなるまい。

法人税などの大幅減税とともに、国防費やインフラ投資を拡大すると約束した。大盤振る舞いの印象が強い。成長を促すことで税収増につながると期待しているが、米議会との調整を含め、政策をどう具体化するかしっかりと見極めていく必要がある。
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[東京新聞] 米国防費10%増 力だけで平和は来ない (2017年03月02日)

そんなに増やして何をするつもりなのか。施政方針演説で「米国史上、最大規模の国防費増額」を表明したトランプ米大統領だ。国家ビジョンを示さないまま軍拡に走る姿勢に危惧を覚える。

演説は「米国精神の再生」をテーマに「偉大な米国の新たな一章が始まった」とうたい上げ、楽観的な先行きを描いてみせた。一月の就任演説が「悲観的すぎる」と批判されたためだろう。

それにしても大盤振る舞いだ。

「歴史的な税制改革」に踏み切ると見えを切って所得税と法人税の大減税を約束。一方で「新たな国家再建計画」として、一兆ドル(百十三兆円)の官民資金をインフラ整備に投じると表明した。

連邦政府の債務残高は二十兆ドル近くにまで膨らみ、それでなくても火の車だ。議会との衝突が予想される。

トランプ氏は国防予算の具体的な数字は示さなかったものの、二〇一八会計年度(一七年十月〜一八年九月)は前年度比約10%アップの五百四十億ドル増やす方針だ。

アフガニスタンとイラクの二つの戦争で膨らんだ国防費は、オバマ前政権下で抑制された。このため訓練が中止されたり、空母の展開が遅れたりする支障を来した。

それでも米軍は桁違いに強大だ。オバマ前大統領は昨年一月の議会演説で、米国の国防費は世界第二位から九位の国のそれを合算したよりも多いとして「史上最強の軍隊だ」と誇った。

トランプ氏は国家戦略や国際戦略を体系的に語ったことがない。全体の青写真がない中で、軍事力強化を先行させていくことに懸念を覚える。他国との軍拡競争も引き起こしかねない。

政府は国防費増の財源を非国防費の予算を削って捻出する考えで、トランプ氏が目の敵にする環境保護局が標的にされそうだ。

加えて、米メディアによると、国務省と途上国支援を担当する国際開発局の予算を四割近く削減することも提案した。

だが、紛争防止や平和構築に不可欠なのは外交力であり、民生向上に向けた支援だ。

ファーゴ元太平洋軍司令官ら百二十人余の元軍高官が「国家が直面する多くの危機は軍事力だけでは解決できない」とする連名の書簡を議会に送り、外交・援助予算の削減に反対した。

トランプ氏は「力による平和」を標ぼうするが、力だけでは平和は実現しないことを悟るべきだ。
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[毎日新聞] トランプ演説 軍事偏重より外交力を (2017年03月02日)

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米国の精神はよみがえり、偉大な米国の新たな章が始まっている??。トランプ米大統領は連邦議会での施政方針演説で力説した。

1月20日の就任時に比べれば明るくソフトな演説だった。だが、さかんに拍手を送る共和党議員に対し野党民主党の議員は硬い表情が目立ち、国内の分断を印象付けた。

大統領は説いた。「ささいな争い」は過去のものとして「夢を共有する勇気」を持とうと。だが、米国の伝統的な価値観や「エスタブリッシュメント(既成の権威)」を嘲笑してきたのは当のトランプ氏だ。

一部メディアを「フェイク(偽)ニュース」「人々の敵だ」と攻撃したのもトランプ大統領だ。民主党はおいそれと超党派の協力はできまいし、演説を境にメディアとトランプ政権の融和が進むとも思えない。

共和党内にも不満はくすぶる。民主党の女性議員らは大統領選でのトランプ氏の女性蔑視発言に抗議して白いジャケット姿で出席した。議会にもさまざまな亀裂が走っている。

最も注目されたのは「米国史上最大級」の軍事費増額だった。今年10月からの会計年度で、約1割増となる540億ドル(約6兆円)の増額を図る。その財源として省庁の非国防費を大幅に減額するというのだ。

その根底には、強大な軍事力によって他国の挑発や攻撃をけん制するとともに戦争になれば確実に勝つという、冷戦時からの思想がある。トランプ政権が手本とするのは、「強い米国」を掲げた1980年代のレーガン政権(共和党)だろう。

トランプ大統領は北朝鮮や中国の不穏な動きに対抗するにも軍拡が必要だと思っているようだが、軍事偏重の危うさもある。約120人の退役将軍らが「危機の多くは軍事的手段だけでは解決できない」とする書簡を議会に送ったのはもっともだ。

国際社会の危機に対して米国は動いてくれるのか、という不安もあろう。米国の軍事力は従来、世界の「公共財」とみられていた。だが、トランプ大統領はオバマ政権同様、「米国は世界の警察官ではない」との姿勢を取り、同盟国には防衛費の負担増を求めてきた。

この日の演説では、自分は米国の代表であり世界の代表ではないと言明した。一連の発言は「米国ばかり頼らず、米国も同盟国も軍事費を増やそう」と言っているようにも聞こえる。そんな姿勢がロシアや中国の軍拡を呼ぶことも想像に難くない。

折から国連安保理ではシリア制裁決議案に中露が拒否権を使い、トランプ国連外交は早くもつまずいた。冷戦中と違って多様な勢力がせめぎあう今日、世界を説得して動かせる信用と外交力こそ大事ではないか。
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[毎日新聞] 世耕経産相 異常な情報管制の発想 (2017年03月02日)

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経済産業省が、日中も全ての執務室に施錠するなど異例の情報管理ルールを導入した。

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【経済産業省はこんな建物】

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<経産省が取材限定ルール 異例の全執務室施錠>

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<CNN、NYタイムズも>トランプ政権、10メディア排除

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<メディア排除>「国民の知る権利侵害」メディア猛反発

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<情報公開法>割れる開示・不開示、役所に都合よく

記者の取材活動を大きく制約する措置で、報道を通じて国民が政策立案をチェックするという機会を奪いかねない。

経産省によると記者の入室は原則として禁止され、執務室外の会議室で職員と面談することになった。省内には外交関係を含めて機微に触れる情報が多いことから庁舎管理を徹底したというのが、同省の説明だ。

もちろん、国や企業の利益を損なうような機密情報の流出は防がなければならない。しかし、機密情報を扱う機会が多い外務省や防衛省、警察庁などでも執務室を施錠しているのは一部の部局にとどまる。経産省の措置は突出している。

さらに看過できないのは、取材対応を課長・室長級以上の管理職に限定した上でメモを取る職員を同席させ、内容を広報室に報告させるというルールだ。幹部らの自宅周辺での取材も原則受け付けず、やむを得ず受けた場合は広報室に報告しなければならない。

これでは、取材を受けても役所にとって都合のいい建前しか話せないのではないか。担当者と本音の議論をして、政策の問題点を探るといった取材は困難になる。

役所が宣伝したい情報ばかり提供するのでは、役所への信頼感は失われる。国民は政策の是非を判断する材料を得られない。今回のルールは、国民の意見や批判を受けて役所が再考し、より望ましい政策に改善していくという道を封じる情報管制になりかねない。

経産省は元々、自由闊達(かったつ)な雰囲気を誇りにしてきた役所ではなかったか。そもそも、なぜ今、新ルールを導入したのだろう。

世耕弘成経産相は「個別の案件とは関係がない」と否定するが、政界などでは先月の日米首脳会談前の報道と関係あるのではないかと受け止められている。

経産省が作成に関わった経済協力の内容が会談直前に報じられ、国会で安倍晋三首相が野党の批判を浴びた。そのため、政府内で情報漏れが問題になったという。

経産省の対応に関し、菅義偉官房長官は記者会見で「一定のルールを敷くのは自然なことではないか」と理解を示した。しかし、山本有二農相は「閉鎖社会を作るイメージなら、もう少し検討を加える必要があるのでは」と指摘し、山本公一環境相は「好ましいことだとは思っていない」と述べた。

世耕氏はNTT広報部報道担当課長の経歴があり、広報のプロを自任していたのではないか。このルールは早急に撤回すべきだ。
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[日経新聞] インド経済は荒療治しのぐか (2017年03月02日)

インド統計局は2016年10?12月期の国内総生産(GDP)が前年同期に比べ実質で7.0%増えたと発表した。減速はしたが、なお主要国で最も高い成長率を維持した格好だ。

事前の予想では6%台に落ち込むとの見方が強かった。モディ首相が16年11月に、アングラマネーに対する締め付けなどを目指し2種類の高額紙幣を無効にする「通貨改革」を実施し、経済が混乱してきたからだ。

インドでは現金による取引が圧倒的に多い。そんな社会で、市中に出回っていた現金のおよそ86%を突然使えなくする荒療治に踏み切ったのだから、さまざまな影響が生じたのは間違いない。

それでも7%台の成長を保ったのはインド経済の底力を示したといえる。ただ、統計局の発表は経済の実態を十分に反映していないのではないか、との指摘が出ていることには注意が必要だ。

インド経済では、政府が把握しきれていない「インフォーマル部門」の存在感がかなり大きい。今回の通貨改革はこの部門を把握しようとする取り組みの一環でもあり、もたらした打撃も比較的大きいはずだが、統計にはあまり反映されていないとみられている。

今回の発表は速報値で、統計局は今後さらにデータを集めて見直していくという。インドの投資環境を改善するためにも、統計の精度を高めてもらいたい。

より大切なのは、今も続く通貨改革の混乱を早く終わらせ、新たな成長の加速に向けた基盤を整えることだろう。カギを握るのは生産性を高める構造改革だ。

州ごとにばらばらな間接税の統一や過度の外資規制の緩和、インフラ整備への財源の重点配分など、首相が強い指導力を発揮しないと実現できない政策は多い。

モディ首相の人気はなお高いが、通貨改革に対する不満や批判の声は決して小さくない。3月11日の一斉開票に向けて投票が進んでいる5つの州の議会選挙の結果を、まずは注目したい。
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[日経新聞] 政策の具体像が見えないトランプ演説 (2017年03月02日)

また同じ演説を聞いた。そんな印象を拭えない。トランプ米大統領は初の議会演説で、大規模なインフラ投資、法人税減税、オバマケア(医療保険制度改革)撤廃などに取り組むと力説したが、どう進めるのかの道筋は相変わらずはっきりしなかった。いつまで中ぶらりん状態を続けるのだろうか。

演説は、トランプ氏自らフォードなどの大企業と直談判し、メキシコへの工場移転を防いだという自慢話から始まった。初の記者会見、大統領就任式の演説でも言及した定番ネタである。米国民の雇用を守る姿勢を明確にしたいのだろうが、食傷気味である。

就任40日で、具体的に数字が入ったのは、(1)インフラ投資の規模が1兆ドル(約113兆円)(2)国防費の増額は540億ドル(約6兆1000億円)――ぐらいだ。

法人税率の引き下げを巡り、先週のインタビューで「15?20%の間にする」と表明していた。演説では「経済チームが歴史的な税制改革をまとめている」と述べるにとどまった。中間層への所得税減税の規模は「巨額」という何とも漠然とした説明だった。

米国のいまの税制に課題が多いのは事実だが、改革の方向性が具体的に見えてこないと、論評のしようがない。米メディアは「ぼんやりした演説」と報道した。

トランプ政権はいまだ陣容が固まっていない。議会が未承認の閣僚がいるし、副長官以下のポストの大半は指名にも至っていない。与党の共和党の主流派と折り合いが必ずしもよくないため、人材探しに苦労しているようだ。

トランプ氏の取り巻きは、選挙向きのスローガンを考えるのは得意でも、政策通とは言い難い面々だ。「メキシコとの国境に壁をつくる」「不法移民を追い出せば治安はよくなる」と訴えれば支持者受けする、と助言しているのだろうが、その先が続かない。

例年は2月中に議会に送付する予算教書はまだできていない。イスラム圏7カ国からの入国禁止措置は連邦高裁に差し止められたあと、たなざらしのままだ。

安全保障では同盟国に財政負担を求めると強調した。対象は「北大西洋条約機構(NATO)、中東、太平洋のパートナー」だ。

ここに日本は含まれるのか。安倍晋三首相は在日米軍の駐留経費負担について「終わった問題」と述べたが、トランプ氏は本当に理解したのか。再び不安になる。
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[読売新聞] トランプ演説 「強い米国」への道筋が見えぬ (2017年03月02日)

◆超党派による政策実現を目指せ◆

大統領の権限だけで、「米国第一」の公約は実現できない。重点政策を盛り込んだ法案や予算案の成立に向け、自ら議会に歩み寄り、協力を求める姿勢が問われよう。

トランプ大統領が連邦議会で、初の施政方針演説を行った。過激な主張を封印し、「米国精神の再生」をスローガンに、テロ対策の強化と経済活性化を訴えた。しかし、肝心の具体的な道筋は明確にされないままだった。

◆依然深い社会の亀裂

政権発足後も、目立つのは、側近グループによる強引な決定や、各省庁との調整不足、高官人事の遅れ、激しいメディア攻撃だ。

トランプ氏は演説で、「共和党員と民主党員は力を合わせられると信じている」と強調したが、説得力が感じられない。

共和党議員は総立ちで拍手し、民主党議員は座ったまま憮然(ぶぜん)とする対照的な場面が多かった。昨秋の大統領選で深まった国民の分断を象徴していると言えよう。

米国では、予算案や法案を提出する権限は大統領ではなく、議会にある。

共和党は上下両院で過半数を占めるが、民主党の議事妨害を阻むことが可能な議席数には達していない。

政権は、「力による平和」の構想に基づき、国防予算の前年度比1割増を目指す。トランプ氏は「米軍に必要な武器を提供せねばならない」と語り、「軍の再建」を進める決意を表明した。

オバマ前政権下で、国防費は削減傾向にあった。緊縮財政を志向する共和党の主導で、強制的に抑制する予算管理法も成立した。

法改正には、軍備増強の具体像と財源を明示し、上院の6割の賛成を得る努力が必要だ。議会で幅広い支持を得られなければ、絵に描いた餅となろう。

中国の海洋進出を牽制(けんせい)するため、原潜など艦艇の配備を増やす。北朝鮮への抑止力を強化する。核戦力増強にどう予算を配分するのかを示すことも重要である。

◆同盟重視は評価できる

外交分野で、トランプ氏が「米国の指導力」や「同盟国と共有する安全保障上の利益」に言及したことは評価できよう。以前は「時代遅れ」と非難した北大西洋条約機構(NATO)について、「強く支持する」と明言した。

「卑劣な敵」と非難した過激派組織「イスラム国」の掃討でも、同盟国との連携を打ち出した。現実を直視し、国際協調を過度に軽視する態度を改めたのだろう。

留意すべきは、トランプ氏が同盟国に対し、「戦略と軍事作戦の両面で、直接かつ意味ある役割と公平な費用負担を期待する」と注文したことだ。

日米同盟も例外にはなるまい。安倍首相は、トランプ氏と確認した緊密な関係を基礎に、冷静に議論をリードしたい。

経済政策で、トランプ氏は「自由貿易を支持するが、公正な貿易でなければならない」と述べ、保護主義的な主張を繰り返した。

◆保護主義の主張変えず

北米自由貿易協定(NAFTA)の締結や中国の世界貿易機関(WTO)加盟が、米製造業の衰退をもたらしたように語り、米貿易赤字も改めて問題視した。

他国の繁栄が米国を犠牲にして成り立っているかのような、自己中心的な論法を振りかざすのは疑問である。

トランプ氏は、選挙戦で基盤となった製造業地帯の中流世帯の支持をつなぎ留めたいのだろう。

しかし、国際経済は、資金や部品の供給などで、各国の相互依存関係が着実に強まっている。米国は世界中から投資マネーが集中するなど、グローバル化の最大の受益国と言ってもいい。

そうした実態を無視して、保護主義に固執すれば、中間層の雇用が回復して生活が楽になるとの幻想を振りまくだけである。早晩行き詰まるのではないか。

その不安は、演説の目玉である1兆ドルのインフラ(社会資本)投資や、法人税減税などの「歴史的な税制改革」といった大胆な財政政策にも当てはまる。

高速道路や橋など米国のインフラは老朽化が進み、安全面の懸念が高まっている。それを整備し直し、雇用創出の起爆剤にする発想自体は理解できる。

米株式市場も、積極的な財政出動を柱とするトランプ氏の経済政策への期待で活況を呈する。

ただ、巨大なインフラ事業の財源の裏付けや官民の役割分担は見えてこない。企業や中間所得層を対象とする大減税も財政負担となろう。一連の政策を実現する行程を早く示すべきである。
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[朝日新聞] 米大統領演説 危うい軍拡への回帰 (2017年03月02日)

米国が世界にどう関わり、いかに国際秩序の安定をめざすのか。今回も、その構想が明確に語られることはなかった。

トランプ米大統領が初めて連邦議会で演説をした。就任後40日間の「実績」を強調しつつ、1兆ドルのインフラ投資や大型減税などの方針をしめした。

補佐官の辞任や自身の過激発言で政権の混乱が目立つなか、雇用創出や景気浮揚の取りくみを力説することで国民の支持を得る狙いがあったのだろう。

だが、巨額投資と減税をどう両立させるのか、医療保険制度や社会保障をどうするかなど、具体的な施策は依然見えない。

国内の経済と治安改善を強調する一方、多国間の自由貿易枠組みに背を向け、同盟国に負担増を求める姿勢は一貫した。

初の施政方針演説が、そうした「米国第一主義」のアピールに終わったのは残念だった。

国際社会にとって今回とりわけ理解に苦しむのは、トランプ氏が国防費を歴史に残る規模で増額すると言明したことだ。

前日には、前年より約1割増やす、と発言した。オバマ前政権の国際協調路線を改め、1980年代のレーガン政権を彷彿(ほうふつ)とさせる「力による平和」へ転換することを鮮明にした。

米国防費は今も、世界の軍事予算の3分の1以上を占める。その超大国が今なぜ軍拡に走るのか。「米国は世界の警察官ではない」とし、同盟国に「公平な負担」を求める姿勢と、どう整合するのか判然としない。

大国がにらみ合った冷戦は過ぎ、テロなど脅威の実相は変容した。国境を越えた脅威への対応には、軍事力の前に、国際的な協調が肝要であることをトランプ氏は学ぶ必要がある。

防衛産業にてこ入れして雇用を増やす思惑も透ける。だが、中国やロシア、中東諸国を巻き込んだ軍拡競争を加速しかねない。国内だけに目を向けた「米国第一主義」は慎むべきだ。

同時に懸念されるのは、外交や途上国援助の予算を減らして国防費の増額分を捻出する検討が報じられていることだ。

途上国援助が格差や腐敗など紛争の根を絶つために果たしてきた意義は大きい。米国が仲介役を果たせなかったシリア内戦で浮き彫りになったのは、米国に不足しているのは軍事力ではなく、ぎりぎりまで交渉を尽くす外交力だという現実だ。

米国では、議会が予算づくりや立法の権限を握る。短絡的な「力による平和」ではなく、米国と世界の安定と繁栄に真に必要な政策は何かを、議会は冷静に議論してもらいたい。
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[朝日新聞] 東電と原発 運転する資格があるか (2017年03月02日)

福島第一原発の事故を起こした東京電力は、本当に反省しているのだろうか。

そんな根本的な疑問を抱かせる事態が起きている。

東電が早期の再稼働をめざす柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機で、重要施設の耐震性不足など重大な事実が次々と明らかになった。6年前の事故を受けて定められた新たな規制基準による審査が、原子力規制委員会で大詰めを迎えた中での話である。

規制委が東電の広瀬直己社長を呼び、「社長の責任で総点検し、信頼できる申請書を出し直してほしい」(田中俊一委員長)と強く求めたのも当然だ。

事故前より厳しくなった新規制基準も、規制委による最低限の要求に過ぎない。最新の知見に常に目を配り、より高い安全性を確保する最大の責任は電力会社にある。

不都合な情報を軽んじたり、対応が遅れたりする会社に、原発を運転する資格はない。

規制委が広瀬社長を呼び出したきっかけは、柏崎刈羽原発で緊急時対策所と位置づけてきた免震重要棟の耐震問題だ。

東電は「震度7に耐えられる」と説明してきたが、審査のなかで、想定される地震の半分の揺れでも揺れ幅が限度を超える可能性を認めた。14年にはわかっていたという。「部署間の連絡不足で情報が共有されなかった」と東電は弁明したが、それで許される話ではない。

柏崎刈羽原発では、防潮堤の地盤が地震で液状化する恐れがあることなども、東電は最近まで明らかにしなかった。規制委からは「東電は不備を率直に示さない」などと批判が相次ぐ。

地元の自治体も同じだ。

再稼働に慎重な米山隆一・新潟県知事は、東電への不信感をあらわにした。再稼働に一定の理解を示してきた桜井雅浩・柏崎市長も、昨年明らかになった福島第一原発での炉心溶融隠しなどと合わせ「東電の体質への不安が高まった」と述べ、再稼働を「認めない可能性もある」と話す。

東電は07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の事務棟が壊れたことを教訓に、免震重要棟の導入を各地で進め、福島第一原発の事故では現場指揮所となった。ただ、免震工法では新規制基準を満たすのが難しいケースがあることも、他の電力会社の審査でわかっていた。学ぶ姿勢が足りないとの指摘もある。

東電は、組織や社風から見直すべきだと何度も指摘されてきた。もう一度、繰り返すしかない。改めて自覚してほしい。
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