2017年03月23日

[産経新聞] 【主張】公示地価 実需冷やす投機の監視を (2017年03月23日)

今年1月時点の公示地価は、住宅地の全国平均が9年ぶりにマイナスから横ばいに転じた。2年連続の商業地の伸びが住宅地にも及んできたのだという。

再開発が進む都市部中心に地価は上昇傾向にあり、その流れは地方の一部にも波及している。

超低金利を反映し、利益率の高い不動産融資が急増していることが、地価を押し上げる要因の一つとなっている。実需を伴わない投機的な取引が地価を歪(ゆが)めぬよう監視が欠かせない。

一方で、都市部以外の住宅地では、調査地点の4割以上が前年より値下がりし、地価の下落がなお続いている。過疎地域から都市部への移住を促すなど、将来を見据えた土地政策を進めたい。

商業地の全国平均は前年に比べて1・4%伸びた。都市部の駅前などで上昇が目立つ。東京、名古屋、大阪の三大都市圏は3・3%の上昇をみせた。住宅地は0・5%の伸びである。

注目したいのは地方の中核都市の騰勢だ。札幌、仙台、広島、福岡の「地方4市」は、住宅地が2・8%、商業地が6・9%とそれぞれ大きく値上がりした。中心市街地で大規模マンションや商業施設の建設など再開発の動きが活発化しているためである。

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警戒が必要なのは投資マネーだ。投資ファンドなどが多額の資金を地方に投じ、バブル的な値上がりが目立ち始めたからだ。

急激な地価高騰は、実需に基づく土地取引を冷やし、景気回復にも悪影響を及ぼしかねない。地方銀行の不動産融資が適正かどうかも含め、政府は、土地売買の実態を正確に把握する必要がある。

最近は値上がりした都市部を避け、郊外に住宅やアパートを建てる動きも強まっている。だが、人口減少に伴う将来の値下がりリスクを見込んでいるのだろうか。

住宅地が郊外に拡散すると、上下水道整備などのインフラ投資にも費用がかかる。その結果、都市中心部の再開発が停滞し、空洞化が進みやすいとの指摘もある。

地方自治体が進める郊外の開発規制緩和が、こうした動きを強めていないか。そうだとすれば、都市中心部に商業施設や病院などを集約化するよう、国が模索している「コンパクトシティ」づくりにも逆行しかねない。効率的な都市機能を喪失するような規制緩和のあり方は再考すべきである。
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[東京新聞] 改正道交法施行 クルマ社会を問う契機 (2017年03月23日)

利便性と引き換えに、代償も払ってきた。クルマ依存社会を問い直す一つの契機としたい。高齢ドライバーの認知症対策が強化された。年代にかかわらず、運転免許を手放すことは社会貢献である。

先週、改正道路交通法が施行された。七十五歳以上の認知機能のチェックを厳しくして、事故に歯止めを掛けるのが狙いである。

三年に一度の免許更新時の検査で、認知症のおそれがあると判定された人に、医師の診察を義務づけた。認知症と診断されると、免許の停止や取り消しになる。一時不停止や逆走、信号無視など十八の交通違反を一つでもした人にも臨時検査を課す。

これまでは認知症のおそれありとの検査結果が出ても、交通違反をしない限り、受診せずに済んでいた。だが、次の免許更新時までに認知機能が大きく衰えて、重大事故を起こす危険性があった。

例えば、横浜市で昨年十月、集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、七人が死傷した事故である。運転していた八十代の男性は二〇一三年の更新時の検査では異常がなかったのに、事故後に認知症が疑われた。

横浜地検は今年二月、自動車運転処罰法上の処分を保留して釈放した。刑事責任を問えないと考えたもようだ。被害者側の無念はいかばかりか想像するに余りある。

社会の高齢化につれて、こうした悲劇の多発が懸念される。二五年には六十五歳以上の認知症患者はおよそ七百万人、五人に一人に達すると見込まれている。事故の加害者にも、被害者にもさせないまちづくりを進める必要がある。

免許を自主返納すれば、身分証になる顔写真入りの運転経歴証明書を申請できる。有効期限が切れたり、停止や取り消しになったりしたら返納できない。自主返納は年々増え、一六年は約三十四万五千件と十年間で十八倍になった。

自治体によって異なるが、証明書には特典が付く。タクシーやバス、鉄道の運賃、スーパーや飲食店、理髪店の代金、温泉施設の宿泊料などの割引のほか、信用金庫の金利優遇もある。工夫を凝らして返納を促したい。

とりわけ地方では、買い物や通院を支える地域の公共交通網が重要になる。行政頼みでなく、住民参加型の移動サービスを広げたい。クルマの自動ブレーキ搭載義務化を併せて急がねばならない。

ドライバーの都合で落ち度のない人が犠牲になる理不尽をどう克服するか。知恵が問われる。
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[東京新聞] PKO日報 国民を欺く情報隠蔽 (2017年03月23日)

情報の保管を把握した後も、その事実を隠し、公表すらしようとしない。実力組織である防衛省・自衛隊にはびこる隠蔽(いんぺい)体質を改めなければ、先の戦争のように国民を再び不幸へと導きかねない。

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊の日報をめぐり、「破棄した」として当初、不開示とされた電子データが、統合幕僚監部だけでなく、実際には陸自にも保管されていたことが分かった。

しかも、過去の説明とつじつまを合わせるため、防衛省・自衛隊の幹部職員が陸自での保管の事実を隠すよう指示した。消去を命じた可能性も指摘される。事実なら組織的隠蔽との批判は免れまい。

稲田朋美防衛相は、直轄の防衛監察本部に「特別防衛監察」の実施を指示した。誰がどういう意図で陸自のデータを隠そうとしたのかなど事実関係を徹底調査し、速やかに公表すべきである。

日報は、昨年七月に首都ジュバで起きた武力衝突を「戦闘」と報告していたが、安倍内閣は「法的な意味での戦闘行為はなかった」と言い繕った。今月十日には派遣部隊を五月末をめどに撤収することを決めたが、治安の悪化が理由ではないと強弁している。

武力衝突後も派遣を延長し、安全保障関連法成立で可能になった「駆け付け警護」任務を与え、実績づくりを優先した安倍内閣だ。

PKO参加五原則に抵触し、派遣の正当性が崩れる「戦闘」を認めた日報は、日本の軍事的役割の拡大を目指す安倍内閣には「不都合な真実」だったのだろう。

政権の意向を忖度(そんたく)せざるを得ない状況に防衛省・自衛隊を追い込んだとしたら、安倍晋三首相や稲田氏の責任は重大だ。特に、防衛省・自衛隊を掌握できず、結果的に国会の虚偽答弁を繰り返した稲田氏の資質は厳しく問われる。

実力部隊である自衛隊の行動は正確な情報に基づき、国民に選挙で選ばれた文民が統制する必要がある。文民統制(シビリアンコントロール)である。

安全保障に関する情報が隠蔽されたり、正しく伝わらなかったとしたら、国としての判断を誤る。情報隠しはいやが応でも、国民を欺き、夥(おびただ)しい犠牲を強いた大本営発表を想起せざるを得ない。

防衛省・自衛隊はこれまでも度々、情報隠しが指摘されてきた。実力組織の宿痾(しゅくあ)を理由にしてはならない。隠蔽体質が改善されなければ、信頼回復への道は遠い。
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[産経新聞] 【主張】日欧EPA 早期妥結で自由貿易貫け (2017年03月23日)

欧州を歴訪した安倍晋三首相が一連の首脳会談で、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の早期合意を目指す方針を確認した。

自由貿易を推進するため、新たな通商秩序を築くことは、それ自体が保護主義の台頭を阻む上で大きな意義を持つ。決意表明にとどまらず、着実に進展させてほしい。

日本の通商戦略は、トランプ米政権が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を通告したことで大きく揺らいだ。

体勢を立て直すうえでも、すでに動き出している日欧EPAを進めて欧州の巨大市場とのつながりを深めることは、極めて妥当かつ不可欠である。

米国に翻弄される前に、日欧双方が結実させようとしている交渉に最優先で取り組むべきだ。

安倍首相がドイツ、フランス、イタリアの各国やEUと行ったすべての首脳会談で、EPAが議論された。ユンケル欧州委員長は共同記者発表で、交渉の年内合意に自信を示した。

交渉の妥結が、反保護主義を世界に示すうえでの「象徴的なメッセージ」になるという安倍首相の認識は正しい。

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無論、国益がぶつかり合う交渉では、克服すべき課題が多い。例えばEUは農畜産物の自由化を求めているが、日本側はTPP以上の市場開放は難しいとしている。当初、目指した昨年中の合意を果たせなかったのも、関税などで対立が残ったためだ。

EU域内ではオランダ下院選に続き、仏大統領選や独連邦議会選など重要な政治日程が控える。自由化のメリットより「負の影響」を懸念する国内世論が高まれば、域内の総意は形成しにくい。

だが、交渉の停滞は保護主義の潮流を世界中で勢いづかせることにつながりかねない。

先の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明では、保護主義への対抗という記述が米国の反対で盛り込めなかった。これに対し、安倍首相と先進7カ国(G7)議長国であるイタリア首相との会談では、G7として保護主義に対抗するメッセージを出す方針で一致した。

もとより、トランプ大統領が簡単に耳を貸すとは考えにくい。ならば、自由貿易交渉の成果を示すしかない。その意味でも日欧交渉の進展は重要なものとなる。
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[毎日新聞] 日露2プラス2 警戒怠らず対話継続を (2017年03月23日)

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日本とロシアの外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が3年4カ月ぶりに行われた。

議論は平行線に終わったが、北東アジアの安定に日露間の信頼醸成は欠かせない。ロシア側のペースにならないよう警戒を怠らず、戦略を固めて対話の継続を目指したい。

今回の協議で一致点を見いだすのが難しいことは予想されていた。ただロシア側は特に、協議の再開自体に意味があった。

もともとロシアとの2プラス2は、2013年4月の安倍晋三首相の公式訪露にあたって、日本側が提案して始まった。北方領土問題の解決に向けた信頼関係の構築に加え、中国をにらんだ戦略的な狙いもあった。最初の協議はこの年の11月に東京で開かれた。だが、翌年のウクライナ危機の後、対話は中断されたままだった。

今回、再開を持ちかけたのはロシア側だ。ロシアは米英仏など5カ国とも2プラス2の枠組みを持っているが、いずれもウクライナ危機後は中断されている。日本との協議再開には、国際的な孤立からの脱却を印象づける狙いがあった。

日本側もわかってはいたが、幅広い関係強化を進めて安倍首相の4月訪露につなげるため再開に応じた。

協議では、ロシアによる北方領土への地対艦ミサイル配備などの軍備強化や、北朝鮮に対する日米韓の弾道ミサイル防衛(BMD)の強化などで日露の立場は対立した。

対北朝鮮でも、国連安保理決議の順守を求める大前提では一致したものの、米国とともに厳しい圧力で臨む日本と、対話再開を求めるロシアとの溝は埋まらなかった。

背景には日露の世界戦略の大きな違いがある。日本にとって北東アジアの安全保障に米国の関与は不可欠だが、ロシアは米国の影響を排除した、中国を含む地域主導の安全保障体制を構築するよう主張している。米国主導の包囲網を警戒するロシアと、中国の海洋進出を脅威と考える日本との安保観の違いは大きい。

ロシアは今回、シリアで進める医療支援や地雷除去への日本の協力を求めた。だがシリア内戦ではアサド政権を支援するロシアと、反体制派を支援する米欧が対立しており、ロシア主導の作戦に日本が乗ることは難しい。こうした揺さぶりには、シリア情勢に対する日本の認識の違いをはっきり伝えるべきだ。

北朝鮮や中国をにらみ、北東アジアの緊張緩和と安定を築くうえでロシアの関与は欠かせない。そのためには、戦略の違いを踏まえたうえで対話を続ける必要がある。合意された防衛当局間の交流再開を呼び水に、信頼醸成を進めたい。
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[毎日新聞] 退位有識者会議 官邸の代弁者では困る (2017年03月23日)

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天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議が議論を再開した。衆参両院の正副議長の下、与野党が立法形式で基本合意したことを踏まえ、退位後の呼称などの検討を始めた。

天皇が退位した最後の例は200年前にさかのぼる。ただし、象徴天皇としては初めてとなる。退位や皇位継承をどう円滑に実現するか。丁寧な議論が必要だ。

第一の課題は、退位した天皇の呼称や活動内容である。退位した天皇は歴史的に「太上(だいじょう)天皇」(上皇(じょうこう))と呼ばれた。有識者会議の専門家ヒアリングでも「上皇」を支持する意見があった。これとは別に「前(さきの)天皇」とする意見もある。

退位した前天皇と即位した新天皇がいるなかで、象徴や権威の「二重性」が起きない配慮が求められる。

古くは上皇が権力を維持したまま「院政」を敷き、天皇と争うことが少なからずあったが、象徴天皇制が定着した現代では本質的な問題ではない。いずれにせよ国民に理解される呼称を考えるべきだろう。

象徴の二重性を生じさせないために、退位後の公的な活動が制約されるのはやむを得ないのではないか。

もう一つの課題は、皇太子さまが天皇になると次の皇太子が不在になることだ。皇太子は皇位を継承する天皇の男の子を言うが、今の皇太子ご夫妻に男のお子さまはいない。

皇太子は次の天皇としての地位であるだけでなく、天皇に代わって国事行為の「臨時代行」を務めたり、全国的な恒例行事に出席したりするなど重要な役割を持つ。

このため皇位継承順位1位となる秋篠宮さまの明確な地位や待遇に関する検討も欠かせない。過去には「皇太弟」と呼ぶ例もあった。増える公務への支援体制も議論となろう。

次代を担う「世継ぎ」として国民になじんでいる皇太子の不在について議論が起きる可能性もある。

先に正副議長がまとめた見解は女性宮家創設の検討を政府に求めている。すぐに女性の皇太子につながる議論ではないが、安定的な皇位継承のための議論は深めるべきだ。

有識者会議は昨年夏に退位の意向を示唆した陛下のおことばを受けて設置されたが、御厨貴座長代理が「一代限りの特例法」の方向を早々と示し、不適切な対応だった。首相官邸の代弁者のような姿勢は困る。

議論を引き取った大島理森衆院議長は「国会は有識者会議の下請け機関ではない」と押し返し、正副議長は野党にも配慮して特例法による退位の根拠規定を皇室典範の付則に置くという見解をまとめた。

有識者会議の結論は今後の退位と皇位継承を新たに規定する。見識ある提言を示してほしい。
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[日経新聞] 日欧はEPA早期合意で自由貿易を守れ (2017年03月23日)

トランプ米政権が環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を決め、「米国第一」を掲げて保護主義的な政策に傾いている。そんな中で日本と欧州は結束し、世界の自由貿易体制を守るという強い決意を示さねばならない。

安倍晋三首相が欧州4カ国を訪問した。メルケル独首相やオランド仏大統領らとの会談で、自由で開かれた経済や貿易が重要との認識で一致したのは当然だ。

欧米各国では、移民や難民の増加も背景に経済のグローバル化への反発が強まっている。英国の欧州連合(EU)離脱決定や、トランプ米政権誕生の原動力にもなった。しかし、自由貿易は世界の繁栄の礎である。それに背を向けて国を閉ざせば経済は低迷し、豊かになる機会を失いかねない。

米国が内向き志向を強めている今、日本と欧州は自由貿易体制を守り、保護主義に歯止めをかける必要がある。そんな立場を確認できた点で安倍首相の訪欧はいちおうの評価ができる。

問われているのは、言葉だけではなく、日本とEUの経済連携協定(EPA)の合意という具体的な成果だ。

交渉は足踏みし、想定より遅れている。安倍首相とトゥスクEU大統領らは年内の大枠合意をめざす方針を確認したが、本来は昨年中に合意しておくはずだった。

交渉で残された最大の焦点は関税の削減・撤廃だ。たとえばEUはチーズなどの乳製品や豚肉などの市場開放を求めているが、日本の農業関係者が抵抗している。

仮に日本が一定の市場開放に応じなければ、EUは日本の乗用車や電子機器にかける関税の撤廃を受け入れないだろう。そろそろ日本とEUの双方が政治レベルで事態の打開をめざすときだ。

米国のTPP離脱の背後で、EUは米国を除くTPP参加国との自由貿易協定(FTA)を急ぐ方針だ。メキシコとFTA改定の交渉をしているほか、オーストラリアやニュージーランドとの交渉開始も視野に入れている。

日本とEUがEPAで合意すれば、焦った米国がTPP復帰を検討する契機になる可能性はある。日欧が自動運転車などの分野で協力できる余地も広がる。

「自由貿易の旗を高く掲げる」(安倍首相)のはきわめて大事だが、日欧EPAの合意という成果が伴わなければ、首脳の本気度が疑われるだろう。
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[日経新聞] 人手の不足も映す地価動向 (2017年03月23日)

地価は引き続き緩やかな上昇が続いている。国土交通省が公表した公示地価(1月1日時点)をみると、商業地に続いて住宅地も下落から脱した。不動産市場への資金流入が地価を押し上げている。

地価上昇の理由は幾つかある。ひとつは低金利で借り入れコストが低下した不動産投資信託(REIT)が積極的に物件を取得している点だ。金融機関の不動産向け融資も高水準になっている。こうしたお金は地方都市にも向かい、地価上昇のすそ野を広げている。

それを実需が下支えしている。訪日客の増加をにらんだホテルや商業施設向けの土地取得が活発だ。オフィスの空室率をみても東京などの大都市に限らず、主要都市で低下している。

ここ数年続くこうした構図に加えて、最近目立つようになってきた新たな特徴もある。人手不足が地価に影響し始めた点だ。

REITの取得物件をみると、人手不足への対応として高機能化が進む物流施設が増えている。この結果、全国の工業地の上昇率は住宅地を上回っている。

一方で、人手不足による建築費の上昇で首都圏のマンション価格が高止まりし、売れ行きが鈍い。持続的な賃金上昇による所得環境の改善がないと、住宅地の上昇は続かないだろう。

人口動向の影響も色濃くうかがえる。都道府県別の上昇率をみると、人口が増えている沖縄県が住宅地では最も高かった。

反対に、全国の住宅地で下落率が最大になったのは千葉県柏市の郊外だった。大都市圏ですら人口が伸び悩むなか、魅力が薄れると大きく下落するということだ。

現在の地価動向は景気実態をおおむね反映しているといえるのだろう。地価水準をみても、ほとんどの地域でリーマン・ショック前の2008年よりも低い。

一方で、大阪の道頓堀のように上昇率が40%を超す地点もある。不動産融資は過熱気味なだけに、バブルの芽はないのか、政府や日銀はよく注意してほしい。
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[朝日新聞] 大学と軍事 若手にも考えてほしい (2017年03月23日)

大学などの研究機関は軍事研究に携わるべきではないとする声明案を、日本学術会議の委員会がまとめた。あすの幹事会を経て4月の総会で採択される見通しで、その意義は大きい。

文系、理系をあわせた科学者の代表機関である学術会議は、1950年と67年に「軍事目的の科学研究を行わない」との声明を出している。

今回の声明案は、軍事研究が学問の自由や学術の健全な発展と緊張関係にあることを確認したうえで、過去の二つの声明を「継承する」としている。

自衛のための研究を容認する声もあったため、いまの言葉で正面から宣言する方式でなく、「継承」という間接的な表現になった。物足りなさは残るが、予算削減などで総じて厳しい研究環境を迫られるなか、科学者たちが集い、学問の原点を再確認したことを評価したい。

もちろん、これで問題がすべて解決するという話ではない。筑波大での学生アンケートでは、軍事転用を見すえた技術研究に賛成する意見が、反対を上回った。「転用を恐れたら民生用の研究も自由にできない」との理由が多かったという。

たしかに同じ技術が軍民両用に使われることは多い。研究開発した技術の使い道に、最後まで責任を負うよう科学者に求めるのは、現実的ではない。

だが、民生用に開発した技術が軍事転用されることと、最初から軍事目的で研究することとの間には大きな違いがある。

軍事が科学技術の発展を加速させた歴史は長い。一方で、国家に動員された科学者が積極的に軍事研究に携わった結果、毒ガスや生物兵器、核兵器が開発され、おびただしい人の命を奪ったことを忘れてはならない。

50年と67年の声明は、科学技術の牙を人類に向けてしまった歴史に対する痛切な反省に基づく。学術会議や大学には、こうした問題の本質を若い世代に広く伝える責務がある。しかしその営みは極めて不十分だった。

学術会議が議論を進めているさなかに、米軍の資金が大学の研究者に渡っている実態が判明した。これも「伝承」の弱さを裏づける証左の一つだろう。

今回の声明案は、資金の出所がどこか慎重に判断するのとあわせ、軍事研究と見なされる可能性があるものについて、大学などには技術・倫理的な審査制度を、学会には指針を、それぞれ設けるべきだとしている。

若手研究者もぜひこうした場に参加して、多角的な議論に触れ、科学者の責任とは何か、考えを深めていってもらいたい。
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[朝日新聞] 震災障害者 もう孤立させぬために (2017年03月23日)

地震で負傷し、障害が残った「震災障害者」を孤立させないでほしい。95年の阪神大震災で障害者になった人たちと支援団体が先月末、政府に要望した。

東日本大震災では約6千人が重軽傷を負った。昨年の熊本地震でも2千人を超す。

傷が癒えても心身の機能が元に戻らず、多くの人が障害者となることは、阪神の被災地で問題視されてきた。

だが実際どれだけの人に障害が残ったか、全容をつかむすべは今のところない。周囲に悩みを打ち明けられず、孤立しがちだと当事者たちは指摘する。

地震大国の日本では、誰もが震災障害者になりうる。どんな支えが望ましいか。過去の教訓に耳を傾け、考えたい。

まずは、誰が震災障害者になったかを行政が把握できる仕組みが必要だろう。

今の公的支援としては、災害弔慰金法に基づく最高250万円の災害障害見舞金がある。東日本では岩手、宮城、福島3県で今年1月までに92人が受給した。熊本では昨年末までに4人だという。だが、支給対象は、両腕・両足の切断や両目失明といった最重度の障害だけだ。

兵庫県と神戸市の10年の調査では、阪神大震災で少なくとも349人が障害を負ったが、約8割は見舞金の対象外だった。東日本や熊本でも似たような状況である可能性がある。

神戸市にある支援団体「よろず相談室」は改善策として、被災者が自治体に障害者手帳の交付を求める時に提出する医師の診断書の書式を改めるよう提案する。障害の原因欄に「震災・天災」を加えることだ。

兵庫県と神戸市はすでに採用している。ほかの自治体もすぐに検討してもらいたい。

その上で、被災者の置かれた実情に気を配り、寄り添って支える仕組みが必要だ。

震災障害者は、家族や住居、仕事も失うといった複合的な困難に直面しがちだ。悩みを抱え込み、苦しむケースが目立つ。

よろず相談室は07年から月1回、震災障害者と家族、支援者が思いを語り合う「集い」を開いてきた。阪神大震災で下半身不随になった飯干初子さん(70)は「おしゃべりをするうちに、笑って生きていこうという気持ちになれた」と振り返り、「ほかの被災地でも同じような場を」と願う。

障害を負った人々が前を向いて生きられるよう、手を差し伸べる。社会全体で協力すれば、決して難しくはあるまい。「ひとごとではない」と考える人を増やしていきたい。
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[読売新聞] 公示地価上昇 実需に基づき緩やかに着実に (2017年03月23日)

地価の回復傾向が、一層確かなものになってきた。日本経済のデフレ脱却につなげたい。

国土交通省が発表した1月1日時点の公示地価は、回復が遅れていた住宅地が、わずかながら上昇に転じた。

リーマン・ショックのあった2008年以来9年ぶりのプラスである。前年より上昇幅が拡大したり、下落幅が縮小したりした都道府県は36に及んだ。

全用途と商業地は2年連続で上昇し、上げ幅も拡大した。先行して持ち直していた東京、大阪、名古屋の3大都市圏の上げ幅が横ばいとなり、札幌、仙台、広島、福岡の「地方中枢都市」が、それを上回る伸びを示した。

交通の便の良い地方都市などでも上昇地点が増えている。

地価上昇の裾野が全国に広がってきたと言えよう。

日本銀行の金融緩和政策で住宅ローンなどを借りやすい環境になっている。外国人観光客の急増を受けた店舗やホテルの新増設ラッシュ、2020年東京五輪を見据えた都市部の再開発なども不動産取引を後押ししている。

商業地の上昇率で上位5位までを大阪市内の繁華街が独占したのは、訪日客要因の代表例だ。

効果的なインフラ整備も土地の需要に弾みをつける。首都圏の環状道路である圏央道は9割が開通し、周辺で工場や物流センターの引き合いが大幅に増えている。

こうした実需に基づく緩やかな地価上昇を着実に続けていくことが大切だ。地価上昇を、新たな投資や消費の呼び水として経済の好循環を実現する。そのために、官民を挙げて知恵を絞りたい。

高齢化や人口流出が進む地方圏では、地域の特色を生かした振興策が地価動向のカギを握る。

名古屋市の通勤圏にある岐阜県岐南町は、充実した子育て支援の成果で若い世帯が増え、地価が安定的に上昇している。

新産業の誘致や観光資源の発掘に努める自治体もある。政府は、規制改革を進め、地域の取り組みを支援することが求められる。

一方で、だぶついた緩和マネーが不動産投機に向かう「バブル」の誘発には警戒が要る。

銀行の不動産業向け新規融資は昨年、前年比15%増の12兆円まで膨らみ、過去最高を記録した。

全国で最も地価の高い「山野楽器銀座本店」は前年より25%上昇し、バブル期を超える1平方メートルあたり5000万円に達した。

政府・日銀は、投機的な取引への注意を怠ってはなるまい。
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[読売新聞] 首相欧州歴訪 経済連携協定の合意を急ごう (2017年03月23日)

日本と欧州による巨大な自由貿易圏が誕生すれば、米国の保護主義的な動きへの牽制(けんせい)効果を持とう。戦略的な観点から交渉を急ぎたい。

安倍首相がブリュッセルで欧州連合(EU)のトゥスク欧州理事会常任議長らと会談し、日本とEUの経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結を目指すことで一致した。独、仏、伊首脳との個別会談でも、その方針を確認した。

首相は共同記者発表で、EPAについて「交渉の妥結が世界に発する象徴的なメッセージは極めて重要だ」と強調した。トゥスク氏も、「日本とEUが自由で公平な世界貿易制度に関与することが非常に大切だ」と指摘した。

両者が「反保護主義」で足並みをそろえ、EPAの早期合意の目標を共有した意義は大きい。

日本とEUの国内総生産(GDP)は世界の3割を占める。日本がEUに農産物などの市場を開放すれば、競争相手の米国の輸出業者には不利に働く。米国に環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を促す効果も期待できよう。

EUにとっても、日本への輸出拡大のメリットを得ることは、英国に続く加盟国のEU離脱の防止に間接的に寄与する。

EPA交渉は、目標だった昨年中の大筋合意が見送られた。日本は自動車関税、EUはチーズなど農産加工品の関税撤廃をそれぞれ要求し、調整が難航しているためだ。これ以上の遅れは許されまい。双方が歩み寄るべきだ。

5月下旬にはイタリアで主要国首脳会議(サミット)が開かれる。議長のジェンティローニ伊首相と安倍首相は、先進7か国(G7)が「サミットで、いかなる保護主義にも対抗するとの強いメッセージを発する」ことで合意した。

G7は世界経済の発展に主導的な役割を担っている。日本は欧州各国と連携し、「米国第一」を掲げるトランプ米大統領に対し、自由貿易が各国の利益となることを粘り強く説明せねばならない。

一連の首脳会談で、北朝鮮の核・ミサイル問題や、東・南シナ海の秩序維持の重要性に関する認識をメルケル独首相らと共有したことは貴重な成果だ。中朝両国に対する外交圧力になろう。

オランド仏大統領との会談では、原子力分野の協力を強化することで一致した。フランスの高速炉の実用化に向けて、日仏共同の運営組織の設置を目指す。

日本にとって、使用済み核燃料の再利用は重大な課題だ。技術協力を着実に進めたい。
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2017年03月22日

[産経新聞] 【主張】長時間労働の是正 過労死防ぐ歯止めとせよ (2017年03月22日)

政府の働き方改革で最大の焦点だった残業時間の上限規制をめぐり、政府と経団連、連合の3者が合意した。

月45時間、年360時間までを原則とし、繁忙期の特例として月100時間未満、年720時間とする。

長時間労働の是正は喫緊の課題である。労使協定を結べば、実質的に際限なく働かせることができる現行と比べれば、前進といえよう。今後も残業削減への歩みを進めたい。

労働者の心身の健康を守るには、たとえ特例で認められるといっても、月100時間に及ぶような長時間残業は問題である。経営者は、あくまでも例外的な措置だと認識する必要がある。

労働基準法は、労働時間を1日8時間、週40時間を上限としているが、労使の合意で残業させることは可能だ。

厚生労働相の告示で、現行は月45時間、年360時間までが基準となっている。だが、労使が特別条項を結べば、青天井で残業させられる仕組みがある。

これこそが長時間労働を招く要因となっており、法改正で歯止めをかけるのは妥当である。繁忙期でも月45時間を超える残業は年6カ月までとし、単月で最長100時間未満とした。これに違反した場合の罰則も導入するという。

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上限をめぐり、連合の神津里季生会長が「月100時間ぎりぎりまで残業させて良いわけではない」と強調するのは当然だ。月80時間を超える残業は、「過労死ライン」とされる労災認定基準に該当する。産業界がこの上限を許容範囲と受け取らぬよう、政府は指導や監視を強めるべきだ。

残業上限が規制されても、勤務簿などに記録が残らない「サービス残業」が増えるのでは本末転倒だ。過重労働の是正には、業務の無駄を見直して効率的な働き方を進めるという、生産性向上の視点が重要になる。

終業から始業までに一定の時間を空ける「インターバル規制」を普及させることでも合意した。労働者の疲労回復を促すためのルールで、欧州などで導入が進んでいる。働く人の健康を守る観点からも積極活用すべきだ。

人手不足の深刻化で、優秀な人材確保には待遇改善が重要になっている。過労死の悲劇を繰り返さないためであるのはもちろん、意識改革は経営に欠かせない。
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[東京新聞] 「共謀罪」閣議決定 刑法の原則が覆る怖さ (2017年03月22日)

政府が閣議決定した組織犯罪処罰法改正案の本質は「共謀罪」だ。二百七十七もの罪を準備段階で処罰できる。刑事法の原則を覆す法案には反対する。

盗みを働こうと企(たくら)む二人組がいたとしよう。だが、人間というのは犯罪を共謀したからといって、必ず実行に移すとは限らない。現場を下見に行ったとしても、良心が働いて「やっぱり悪いことだからやめよう」と断念する、そんなことはいくらでもある。

共謀罪が恐ろしいのは、話し合い合意するだけで罰せられることだ。この二人組の場合は共謀し、下見をした段階で処罰される。そんな法案なのだ。何も盗んではいないのに…。


◆当局の解釈次第では
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今回の法案では二人以上の計画と準備行為の段階で摘発できる。準備行為とは「資金または物品の手配、関係場所の下見その他」と書いてある。ずいぶん漠然としてはいないか。「その他」の文字が入っているから、捜査当局にどのように解釈されるか分からない心配もある。

犯行資金をATMで下ろすことが準備行為に該当すると政府は例示するが、お金を引き出すというのはごく日常的な行為である。それが犯罪なのか。どう証明するのか。疑問は尽きない。

共謀罪の考え方は、日本の刑事法の体系と全く相いれない。日本では既遂を処罰する、これが原則である。心の中で考えただけではむろん犯罪たり得ない。犯罪を実行して初めて処罰される。未遂や予備、陰謀などで処罰するのは、重大事件の例外としてである。

だから、この法案は刑事法の原則を根本からゆがめる。しかも、二百七十七もの罪に共謀罪をかぶせるというのは、対象犯罪を丸暗記していない限り、何が罰せられ、何が罰せられないか、国民には理解不能になるだろう。


◆現行法でも締結可能
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この法案は「キメラ」のようでもある。キメラとはギリシャ神話に登場する怪物だ。一つの体に獅子とヤギと蛇が組み合わさった姿をしている。目的である本体は国連のマフィア対策の条約締結だ。その体に「共謀罪」がくっつき、政府が強調する「テロ防止」がくっついている。

安倍晋三首相は国会答弁で「東京五輪のために必要な法案だ」という趣旨の発言をした。これは明らかな詭弁(きべん)というべきである。そもそも日本はテロに対して無防備ではない。テロ防止に関する十三もの国際条約を日本は締結している。ハイジャック防止条約、人質行為防止条約、爆弾テロ防止条約、テロ資金供与防止条約、核テロリズム防止条約…。同時に国内法も整備している。

例えば爆発物に関しては脅迫、教唆、扇動、共謀の段階で既に処罰できる。サリンなど化学物質などでも同じである。

むしろ、政府は当初、「テロ等準備罪」の看板を掲げながら、条文の中にテロの定義も文字もなかった。批判を受けて、あわてて法案の中に「テロリズム集団」という文字を入れ込んだ。本質がテロ対策でない証左といえよう。

「五輪が開けない」とは国民に対する明白な誤導である。本質は共謀罪の創設なのだ。

確かに国連の国際組織犯罪防止条約の締約国は百八十七カ国・地域にのぼる。だが、そのために共謀罪を新設した国はノルウェーやブルガリアなどだけだ。むしろ国連は「国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めている。「共謀罪がなくとも条約の締結は可能だ」とする日弁連の意見に賛同する。

そもそもこの条約は国境を越えて行われるマフィアの犯罪がターゲットだ。麻薬やマネーロンダリング(資金洗浄)、人身売買などで、テロ対策の条約ではない。少なくともこの条約締結のために、刑事法の大原則を覆してしまうのは本末転倒である。

危惧するのは、この法案の行く末である。犯罪組織の重大犯罪を取り締まるならともかく、政府は普通の市民団体でも性質を変えた場合には適用するとしている。米軍基地建設の反対運動、反原発運動、政府批判のデモなどが摘発対象にならないか懸念する。


◆行く末は監視社会か
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専門家によれば、英米法系の国ではかつて、共謀罪が労働組合や市民運動の弾圧に使われたという。市民団体の何かの計画が共謀罪に問われたら…。全員のスマートフォンやパソコンが押収され一網打尽となってしまう。もはや悪夢というべきである。

実は捜査当局が犯行前の共謀や準備行為を摘発するには国民を監視するしかない。通信傍受や密告が横行しよう。行き着く先は自由が奪われた「監視社会」なのではなかろうか。
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[産経新聞] 【主張】日露協議 領土「置き去り」が心配だ (2017年03月22日)

北方領土の返還へつながる進展はみられず、安全保障では両国間の深い溝があらわになった。

東京での日露外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)や北方領土の共同経済活動をめぐる次官級協議の印象だ。

「成果」らしきものは安倍晋三首相の4月下旬のロシア訪問を確認したことではないか。それにしても、何のための訪問で、どんな結果が期待できるかは不透明である。

最大の問題は、共同経済活動の協議に移ったとたん、日本側が肝心要の北方四島返還を明確に要求する場面がみられない点だ。対露外交の後退を危惧する。

日本側は2プラス2で、北方領土は日本固有の領土だとして、対艦ミサイルや新たな師団を配備するロシア側の方針に抗議した。

そもそも、ロシアには四島に一兵たりとも置く権利はない。増強はおろか、ロシア軍の撤退を岸田文雄外相と稲田朋美防衛相が迫るのが筋である。

ロシアのショイグ国防相は共同記者会見で、国防のため新師団などを配備すると公言してはばからなかった。信頼醸成を高めるはずの2プラス2の結果がこうでは、どれほどの意味があったのか。

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共同経済活動をめぐり、ロシア側は「ロシアの法律に矛盾しない条件に基づく実現」を求めた。もし受け入れれば、日本の主権を損ねかねない。日本側は養殖やクルーズ船観光などを提案したが、前のめりしすぎていないか。

安全保障分野で、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止で協力するという総論では一致した。しかし、ラブロフ外相は国連安保理決議に基づく制裁は北朝鮮を対話に戻すためだと主張した。

北朝鮮はまともな対話ができる相手でなく、重大な脅威であるという認識さえ共有できない。

日米のミサイル防衛(MD)に関し、ロシア側は「北朝鮮の脅威に釣り合っていない」と批判した。稲田氏は「北朝鮮からの脅威に対処する以上のものではない」と説明したが、これはおかしい。ロシアや中国の核・ミサイルにも対応していくべきではないか。

中国の南シナ海進出に懸念を示しても、ロシア側から返答はなかった。日露の接近について、「対中牽制(けんせい)につながる」という狙いも政府内では語られる。だが、そう単純にはいかない現実を見据えるべきである。
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[日経新聞] 米国の北朝鮮への強硬姿勢は本気か (2017年03月22日)

米トランプ政権が北朝鮮に強硬姿勢で臨む構えをみせている。日本、韓国、中国の3カ国を歴訪したティラーソン国務長官は、情勢次第で先制攻撃も辞さない考えを表明した。日本にも重大な影響を与える政策変更である。どこまでが本気で、どこからが駆け引きなのか。注意深く見守りたい。

「20年間の(朝鮮半島の)非核化の努力は失敗した。違うアプローチが必要だ」。ティラーソン氏は安倍晋三首相らとの会談でこう強調した。韓国では軍事力行使の可能性について「あらゆる選択肢を検討する」と明言した。

オバマ前政権は「戦略的忍耐」を掲げ、北朝鮮が核開発を断念するならば話し合いに応じるとしてきた。米国が圧力に軸足を移す背景には、トランプ大統領の人柄もあるが、北朝鮮の軍事技術の急速な進歩がある。

先の北朝鮮のミサイル発射を巡り、韓国はいったんは「大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではないか」との見方を示した。その後、間違いとわかったが、米本土に到達可能な技術水準に至るのはさほど遠くなさそうだ。地球の裏側のできごととみてきた米国も真剣に取り組まざるを得なくなった。

課題は北朝鮮に影響力を持つ中国の出方だ。ティラーソン氏の訪中に合わせてトランプ氏は「中国はほとんど協力していない」と非難した。ただ、北京でのティラーソン氏は来月の習近平国家主席の訪米を歓迎する発言に終始し、協議の中身はよくわからなかった。

どんな外交も、対話と圧力の適切な組み合わせが重要である。北朝鮮の挑発行為は国際社会の常識を外れており、その意味で米国がアプローチを修正することは理解できる。他方、かつてのイラク戦争のような無謀な戦いにつながることがあってはならない。

安倍政権は米国だけでなく、関係が冷え込んでいる韓国とも緊密に連携し、上手にバランスを取る役割を果たしてほしい。

不測の事態への備えも忘れてはならない。万が一だが、米朝が戦闘状態に陥った場合、自衛隊ができること、できないことは何なのか。日米の調整を進め、有事に国論が二分しないようにしなくてはならない。

政府は2013年に策定した現在の「防衛計画の大綱」を今年秋にも改定する。こうした機会に日本を取り巻く安保環境を国民に丁寧に説明すべきだ。
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[毎日新聞] 「共謀罪」法案 説明の矛盾が多過ぎる (2017年03月22日)

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テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が閣議決定された。

政府はかつて「共謀罪」新設の関連法案を3度提出したが、廃案になった。名称を変えた今回の法案も、組織犯罪が計画段階で幅広く処罰可能となる本質は変わらない。

法整備は、国際組織犯罪防止条約の締結に欠かせないと政府はいう。

確かに条約締結には意義がある。国際社会が手を結ぶことは必要だ。

最大の焦点は、締結のためにテロ等準備罪の創設が必要かどうかだ。

条約は、重大な犯罪の合意(共謀)を処罰できる法整備を締結国に求めている。だが、こうした処罰の規定は人の内心に踏み込む。捜査側の対応次第で国民生活も脅かされる。

日本の刑法は、犯罪行為に着手した時点で処罰の対象とするのが原則だ。例外的に殺人の予備や内乱の陰謀など重大な犯罪では未遂以前の行為を罰せられる。だが、その数は70程度に限られている。

今回の法案は従来の原則からかけ離れている。

条約は各国の国内法の原則に従って法整備することを認めている。ならば現行法で条約締結は可能だというのが民進党など野党の主張だ。

一方、政府はそれでは締結に不十分だという。政府が国会に提出した資料では、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうち、条約締結時に共謀罪などを新設したのは4カ国で、残りはもともとの国内法で対応した。これをどう見るか。

なぜ法整備が条約締結のための必要条件なのか。法学者ら専門家の見解も分かれる。まずは政府が丁寧に説明し、議論の土台とすべきだ。

それにしても、これまでの政府の説明には矛盾が目立つ。

最大のほころびは対象犯罪数だ。条約が法整備を求める4年以上の懲役・禁錮の刑を定める犯罪数は676あり、選別はできないと政府は説明してきた。だが、公明党の意見をいれ、今回の法案では対象犯罪を277に絞り込んだ。これでは過去の説明と整合しない。

法案の再提出に当たり、唐突にテロ対策の看板を掲げたことも理解できない。条約はマフィアによる犯罪収益の洗浄などへの処罰を目的としたものだ。

安倍晋三首相が、東京五輪・パラリンピックのテロ対策を理由に「法整備ができなければ開催できないと言っても過言ではない」などと発言するに至っては、まさに首相が批判する印象操作ではないか。

共謀罪から絞り込んだ要件にも懸念が出ている。組織的犯罪集団に市民が入る余地はないのか、といった点などだ。政府は「共謀罪とは別物だ」との説明を繰り返してきたが、明らかに共謀罪の延長線上にある。
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[日経新聞] 十分な審議が必要な「共謀罪」 (2017年03月22日)

政府は組織犯罪処罰法の改正案を閣議決定した。テロや組織的な犯罪を、実行される前の計画段階で処罰できる「テロ等準備罪」を新設するのが目的だ。いまの国会での成立を目指す。

テロ等準備罪はこれまで3回にわたり「共謀罪」の名称で法案が提出されたが、「処罰対象が不明確」「恣意的に運用されかねない」といった批判が強く、いずれも廃案になっている。

今回の法案では、適用の対象を「組織的犯罪集団」に限定した。処罰するためには重大な犯罪を計画したことに加え、現場の下見といった準備行為が必要となるような見直しも行った。

法律の乱用を防ぐといった観点から、こうした修正は評価できる。しかしこの法案の必要性や意義について、そもそも国民の間に理解が深まっているとは言いがたい。国会審議の場では成立を急ぐことなく、十分な時間をかけて議論を尽くす必要がある。

共謀罪の制定は、国際組織犯罪防止条約を締結するため各国に課せられた義務の一つである。だが廃案が続いたこともあり、今回政府は国民が理解しやすいテロを前面に出して必要性を訴えてきた。

当初の法案の中に「テロ」の文言がなく、与野党から指摘を受け慌てて盛り込むことになった背景にもこうした事情がある。

テロも組織犯罪の一形態とは言えるが、国会審議ではまず、資金洗浄や人身売買、薬物取引など条約がうたう「本来」の組織犯罪対策のあり方などについて十分に議論すべきではないか。現に日本は暴力団犯罪など組織犯罪の脅威にさらされている。

テロ対策も2020年の東京五輪をにらんで欧米並みに取り組むのであれば、この条約に便乗するだけでは中途半端に終わってしまいかねない。テロを正面から定義することからはじめ、海外と比べて法制度や捜査手法の面でどのような問題、課題があるのかを分析し、国民に問うていく。こうした作業が必要なはずだ。
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[毎日新聞] G20と国際協調 米国の専横が際立った (2017年03月22日)

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世界経済を支えてきた国際協調体制を揺るがすものだ。

主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、これまで共同声明に明記していた「反保護主義」の文言を削除した。「米国第一」を唱えて、自国産業の保護を優先するトランプ米政権が主張を押し通した結果だ。

反保護主義は、2008年のリーマン・ショック直後のG20首脳会議(サミット)が声明に盛り込んだ。

世界経済が悪化すると、各国は自国産業を守るため、関税引き上げに走りがちになる。報復を招き、景気をさらに冷え込ませかねない。

負の連鎖を防ぎ、世界経済の安定的な成長を図ろうと、その後もG20は「あらゆる形態の保護主義に対抗する」と声明でうたった。主要国が足並みをそろえ、保護主義に歯止めをかける役割を果たしてきた。

だが、トランプ政権は米国の貿易赤字削減を掲げ、対米黒字国への高関税などを検討している。米国の要求を通しやすい2国間協議を進める方針も打ち出しており、従来の声明は妨げになると判断したようだ。

今回のG20では、欧州勢などが米国に異論を唱えた。しかし、米国に押し切られて、声明は「経済に対する貿易の貢献を強化する」と反保護主義から大きく後退した。

地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の実施を促す文言も外された。協定に否定的なトランプ政権の意向が反映されたとみられる。自国の主張や利益を優先し、協調に背を向ける米国の専横が際立った。

G20は国益の異なる主要国が政策協調を図り、世界経済を成長に導く枠組みだ。各国は、協調がより大きな国益に結びつくと判断してきた。その重要な柱が反保護主義だ。

世界的な保護主義の機運は一段と高まる恐れがある。英国は来週、欧州連合(EU)に離脱を通告する。フランス大統領選では反EUを掲げる党首が世論調査で首位を争う。各国が保護主義阻止で結束する必要性は増している。

G20の声明は、世界経済について「成長は望ましいペースより弱い」との懸念を示した。成長を阻害する保護主義に反対できないようなG20では存在意義が問われる。

G20議長国のドイツは7月のサミットに向けて貿易分野の議論を継続する方針を示した。5月には主要7カ国(G7)サミットもある。先進国だけのG7は世界経済の成長により重い責任があるはずだ。

欧州歴訪中の安倍晋三首相は独仏首脳と会談し、自由貿易の重要性を確認した。日欧の首脳はトランプ大統領に粘り強く働きかけ、翻意を促してほしい。
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[朝日新聞] 豊洲百条委 都の無責任体質に驚く (2017年03月22日)

土壌汚染がわかっていた豊洲への市場移転を、誰が、いかなる判断に基づいて決めたのか。

東京都議会百条委員会による石原慎太郎元知事らへの証人喚問を終えても不透明さは残ったままだ。かわりに浮き彫りになったのは、決定にかかわった人々の驚くべき無責任ぶりだ。

質疑から、都が東京ガスと01年に「水面下」で交わした文書の存在が明らかになった。豊洲の汚染物質の処理は都条例の範囲にとどめるとし、完全除去までは求めない内容だ。交渉の基調となり、11年に都は「今後の汚染対策費は東ガスに負わせない」とする協定を結んだ。

政策を進める際に、相手の事情を踏まえ、譲歩や妥協をせざるを得ない場面はある。

だがそのためには、状況を掌握し、他の方策も検討したうえで決断することが不可欠だ。とりわけ費用が百億円単位になる事業とあれば、最上層部が知らないでは済まされない。

実際はどうだったか。

石原氏は豊洲問題について「大きな流れに逆らいようがなかった」と証言し、当時の浜渦武生副知事に一任したと述べた。豊洲移転を表明した10年、「知事が歯車を大きく回すしかない。それがリーダーとしての責任だ」と会見で語った石原氏の、これが実像なのか。

浜渦氏は05年までナンバー2として石原氏の名代を務めた。だが、市場問題に携わったのは01年文書を結ぶ前までだとし、「私のどこに責任があるのか」と気色ばんだ。元市場長らも水面下交渉について「知らない」をくり返した。

汚染対策に巨費を投じた末に、こんな情けないやり取りを目の当たりにしなければならない都民は、その気持ちをどこにぶつければいいのか。

もうひとつあきれたのは、都がいま保管している01年文書は原本ではなく、作成の6年後に東ガスからファクスで送られた写しだという事実だ。重要な合意が引き継がれず、幹部で共有もされない根底に、こうしたずさんな文書管理がある。

小池百合子知事は、市場問題の経緯の検証が今後の移転判断に「影響を及ぼす」と述べる。検証はむろん大切だが、それが進まないことが判断の先送りを続ける理由にはなるまい。

明らかになった無責任体質の反省に立ち、意思決定過程を透明にして、後世の批判に耐える都庁の態勢を築く。それが、知事が率先して取り組むべき課題だ。豊洲移転の是非についても、そのプロセスの中で結論を出していかねばならない。
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