2017年02月26日

[産経新聞] 【主張】北とASEAN 友好から圧力へ転換せよ (2017年02月26日)

北朝鮮の金正男氏暗殺事件は、犯行グループを組織した国家犯罪としての態様が、日ごとに明らかになっている。

猛毒のVXが使われたことも判明した。化学兵器禁止条約の対象である神経剤の使用は、国家テロの証左ともいえよう。入手経路を追及し、凶行の全容解明につなげることが重要である。

一義的には、北朝鮮の妨害を受けながら捜査活動を展開するマレーシア警察当局に、大きな期待がかかる状況に変わりない。

その活動を日本や周辺諸国が強く支援したい。とくに東南アジア諸国連合(ASEAN)の動向はカギを握るものとなろう。

マレーシアの警察当局は、すでに在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官らを重要参考人に挙げ、北朝鮮国籍の男1人を逮捕した。平壌に逃げたとみられる4人の男の身柄引き渡しも求めている。

北朝鮮は捜査への妨害、批判を繰り返し、北朝鮮が暗殺に関与したとの見方について韓国の「陰謀」だと非難している。

こうした主張に対し、ナジブ首相が「無礼」と不快感を表明したのはもっともである。

クアラルンプールの空港で、VXを使い、正男氏を襲撃した実行犯の2人の女は、インドネシア国籍とベトナム国籍だった。

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北朝鮮とビザ(査証)なし渡航が可能なマレーシアはじめ、ASEAN10カ国は北朝鮮と国交があり、友好な関係を維持してきた。このうち3カ国が事件に巻き込まれたのは、偶然ではあるまい。

北朝鮮はASEAN諸国の国境管理の甘さを突き、外貨調達のために合法、非合法の経済活動をしている。工作活動の拠点も置いているようだ。国連安全保障理事会の対北制裁の「抜け穴」になっていることもかねて指摘される。

21日のASEAN外相会議では、正男氏暗殺事件への懸念が表明されたと、フィリピンのヤサイ外相が明らかにした。

暗殺事件を契機に、北朝鮮の異常性、危険性についてASEANが認識を共有すべきだ。同時に、核・ミサイル開発の阻止や拉致問題解決に向けて積極的な役割を果たすことを求めたい。

日米韓や中国などと北朝鮮が顔をそろえる数少ない安保対話の場として、ASEAN地域フォーラム(ARF)もある。北朝鮮への国際圧力を強める場としたい。
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[産経新聞] 【主張】ゴーン社長退任 改革こそ経営者の責務だ (2017年02月26日)

日産自動車を18年にわたって率いてきたカルロス・ゴーン社長が退任し、グループ統括に専念することになった。

経営が悪化した異国の名門企業に乗り込み、世界市場で活躍するグローバル企業として再生させた功績は大きい。

「必達目標」(コミットメント)を掲げ、社内外に説明しながら経営改革を進める。その手法は「ゴーン流経営」と呼ばれた。一方、系列企業との取引など長年のなれ合いを排し、大胆なリストラを断行する姿は「コストカッター」と恐れられ、多くの軋轢(あつれき)も生んだ。

それでも仏ルノーという外資出身の経営者が日本で評価されるのは、改革を自ら主導して確かな実績を残してきたからだ。成長を目指す日本企業が学び取るべき点は今でも多いだろう。

4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)を退き会長に専念し、後任に共同CEOの西川広人氏が就く。ゴーン氏は日産・ルノー連合などグループ全体の提携戦略の強化などにあたるという。

過剰債務に苦しんでいた当時の日産が、ルノーに救済を要請し、海外経験の豊かなゴーン氏が派遣された。村山工場(東京)などの閉鎖や系列取引の見直しでV字回復を果たした。バブル崩壊に伴う経営難に陥っていた大手企業の再生モデルに値するものだった。

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しがらみのない目で課題を洗い出し、「売上高営業利益率」の改善といった具体的な数値目標を掲げた。その実現は自分たちの責任だとして求心力を高め、早期の再建につなげた手法は有名だ。

株主総会は株主との対話集会と位置づけ、個人株主を大幅に増やした。春闘では業界横並びを脱却し、利益が増えれば着実に社員への還元を図った。今の多くの企業は参考にすべきだ。

むろん課題は残る。燃費不正問題を引き起こした三菱自動車の抜本的な経営改革である。ゴーン氏が主導して日産は昨年10月、三菱自を傘下に収めたものの、法令順守などを含めた意識改革は道半ばである。この取り組みはゴーン氏が引き続き指揮してほしい。

かつてゴーン氏は「日本企業の社員は優秀だ。リーダーがふさわしい資質を身につければ、その企業は生まれ変わることができる」と説いた。

改革に踏み切れない経営者にこそ聞かせたい言葉だ。
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[東京新聞] 週のはじめに考える もう“先進国”じゃない (2017年02月26日)

ベル・エポック−十九世紀の花の都の“良き時代”。二十世紀、省エネ日本の“良き時代”は過ぎ去って、今再び時代はパリへ。パリ協定の時代です。

ノルウェー政府年金基金(GPFG)は四年前、石炭関連事業者からのダイベストメントを開始しました。

ダイベストメントとは、投資資金を引き揚げる、すなわち、株式を売り払う、その会社の応援はもうしないということです。

物語は石炭ではなく、石油から始まります。一九六九年の北海油田の発見で、ノルウェーは一躍、世界有数の産油国になりました。

とはいえ、日本と同様水の豊富なお国柄、国内の電力の95%以上が水力で賄われ、石油はもっぱら、輸出に回しています。


◆責任と倫理のもとに
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GPFGは昨年第三・四半期の時価総額で、約九十六兆円を運用しています。世界最大級の公的投資ファンドです。

投資先は六十六カ国・地域約九千社、世界の上場企業の1・3%に及んでいます。このうち日本企業は千四百社、数では三位、時価総額は五兆円に上ります。

ノルウェーでは、天然資源はすべて国民の財産で、将来世代に引き継がれるべきものだと考えられています。

石油事業には高い税率がかけられる。その税収や、国営石油会社の利益、石油関連事業のライセンス収益は、一般の国家財政からは切り分けて、年金基金に繰り入れる。投資先は責任と倫理に基づいて、客観的に判断される。

一昨年暮れのパリ協定では、地球上のすべての国が、ともに手を携えて産業革命前からの気温上昇を二度未満、できれば一・五度に抑えることに合意した。

そして二酸化炭素(CO2)を排出し、温暖化のもとになる化石燃料離れが加速した。


◆今世紀後半排出ゼロ
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CO2の「削減」では追いつかない。今世紀後半に、CO2など温室効果ガスの排出を実質ゼロにする−。低炭素ではなく脱炭素。石炭、石油、天然ガス依存のビジネスを卒業しなければなりません。

「私たちは、責任を果たさなければなりません」と、ノルウェー国会議員のトーステン・ゾルバーグさんは言う。石炭ダイベストメントを主唱した一人です。

石油で富を得ることの“罪滅ぼし”でもあるのでしょうか。

除外の基準は、石炭事業の売上高が三割以上を占めること。この基準に基づいて、これまでに五十九社が投資先から除かれました。

除外された企業の中には、日本の大手電力会社が五社、監視リストにも二社が含まれます。

世界では、ドイツのアリアンツやフランスのアクサといった巨大投資ファンド(保険会社)が、ノルウェーに続いています。アイルランドでは、政府系ファンドの運用資金をすべての化石燃料事業から引き揚げる世界初の法案が、先月下院を通過しました。

パリ協定は、世界をめぐる大河の流れを変えました。投資資金という大河です。

世界のビジネスは、パリ協定を大前提にすでに動きだしています。米トランプ政権独りが、いかに温暖化を否定しようと、この奔流にあらがうことはできません。

温暖化ビジネスに特に力を入れているのが、中国です。

資金の用途を環境分野に限るグリーンボンド(環境債)の昨年の発行額は、前年の二倍近くに急増しましたが、その三分の一を中国が占めています。

またこの夏、中国は、全国統一の排出量取引制度を導入します。

温室効果ガスの排出限度を企業に割り当てて、超過分や足りない分を企業間で売り買いしながら削減義務の達成をめざします。

かえる跳びで前へ進んでいるのが中国で、後戻りの気配があるのが米国ならば、立ち止まって逡巡(しゅんじゅん)を続けているのが日本です。

温暖化対策の切り札と喧伝(けんでん)してきた原発が、福島の事故で座礁したショックから抜け出せず、足踏み状態を続けています。

3・11後、原発の安全対策費は急騰し、新設は進みません。一方で再生可能エネルギーのコストはどんどん安くなる。原発は経済合理性を急速に失いつつあるのです。目先の再稼働にいつまでもこだわり続けていると、彼我の差は開くばかりです。


◆風が吹き、時代が変わる
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「日本は環境先進国だという意識は捨てましょう」

経済協力開発機構(OECD)の玉木林太郎事務次長は、きっぱりと。欧州から見ると、そうなります。温暖化に対する危機感を共有できていないのです。

日本が先頭を走っていたのはかつての省エネ時代。今はもう、パリ協定の時代です。
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[日経新聞] 賃金が力強く上がる基盤を築こう (2017年02月26日)

消費は依然として本格的な回復に遠い。このままでは消費を盛り上げて企業の生産活動や設備投資を活発にし、経済全体を元気にするという政府の筋書きも画餅に帰そう。起点となる賃金の伸びが勢いを増すよう、本気で取り組むときだ。

総務省の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は2016年に月額平均28万2188円で、物価変動の影響を除いた実質で前年比1.7%減となった。14年も2.9%、15年も2.3%の前年比マイナスとなっており、3年連続の減少だ。

付加価値の伸び低迷

14年4月の消費税率引き上げや、円安が進んだ局面での輸入物価の上昇が消費を抑えた面はある。だが、大きく影響しているのは賃金の伸び悩みだ。

厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、現金給与総額は16年まで3年連続で前年比プラスとなったものの、増加率はいずれの年も1%に満たない。

経済界は安倍政権の要請に応えるかたちで賃上げを進めてきたが、基本給を増やすベースアップ(ベア)は大手企業でも力強さを欠く。経団連の会員企業などを対象にした集計では、14年0.3%、15年0.44%、16年は0.27%と、2%以上のベアがざらだった1980年代などと差がある。

賃金の低迷にはいくつかの要因が絡み合っている。まず、1人あたりで生み出す付加価値がこの20年ほどの間、ほとんど伸びていないことだ。

内閣府によると、1人あたり名目国内総生産(GDP)は12年度から増え続けているが、15年度実績(419万1千円)は90年代後半からほぼ変わっていない。賃金の伸びも鈍って当然だろう。

90年代半ば以降、企業の多くは正社員を減らし、人件費を抑えて収益性の確保に努めてきた。だが、成長性の高い事業へのシフトや新しい事業モデルの創造などは遅れた。それが、生み出す付加価値の停滞に表れている。

企業の間で賃金の安い非正規社員の活用が広がり、正社員との二極化が進んだことも、全体として働く人の収入の伸びが鈍化した理由だ。総務省の労働力調査では、非正規社員の比率は16年平均で37.5%と高止まりしている。

社会保険料がじわじわと上がり企業の負担が増していることも、賃上げ抑制につながっていよう。

これらを踏まえれば、賃金上昇のために何をしなければならないかは明らかだ。企業が付加価値を高めるための生産性の向上と、労働市場改革、社会保障改革の3つが欠かせない。

生産性向上は、もちろん第一には企業自身の経営改革にかかっている。コンサルティング・投資会社、経営共創基盤(東京・千代田)が支援する茨城交通(水戸市)は、高速バス路線の新設などを進め、社員の平均年収をこの7年間で2割強増やした。

人工知能(AI)など企業の競争力のカギを握る技術にたけた人材や外国人を採りやすくするために、企業は成果に見合った処遇を徹底する必要もある。

あわせて政策面で、企業がより収益を上げられる環境をつくっていかなければならない。

民間の力を引き出せ

成長分野への新規参入を阻んでいる制度を見直すなど、企業活動を活発にする規制改革に政府はもっと力を入れるべきだ。投資家の声を生かし、経営者に成長投資などの収益力向上の取り組みを促す企業統治改革も重要になる。

労働市場改革では、自らの技能や知識を磨けば、賃金がいまより高い仕事に移っていきやすくなる環境の整備が求められる。

非正規で働く人の賃上げを広げるには、その人の生産性向上を支援することが確実な道だ。衰退産業で働く正社員が成長力のある産業に転じやすくするには、柔軟な労働市場づくりが大事になる。

参考になるのはドイツが2000年代に進めた改革だ。実習生を受け入れる企業を増やすなど職業訓練に力を入れた。さらに民間の人材サービスを積極的に活用し、職業紹介を受けやすくした。日本も人手不足を追い風に、労働市場改革を推進すべきだ。

社会保障は費用が高齢化で膨らまないよう効率化を急がなくてはならない。子育て支援は充実させながら、医療や介護費用は必要なものに絞るなど、メリハリのきいた改革が要る。

賃金を継続的かつ安定的に上げていくための改革は、一朝一夕ではできないものばかりだ。腰を据え、着実に進めたい。
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[毎日新聞] 五輪費用の分担 国は何をしているのか (2017年02月26日)

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約3年半後に迫った2020年東京五輪・パラリンピックの開催費用分担問題が難航している。東京都、大会組織委員会、関係自治体などの思惑や利害が絡み合っているためだ。混乱続きの東京大会への信頼を取り戻すためにも国がリーダーシップを発揮しなければならない。

東京都外につくる仮設の競技会場の整備費約500億円について、小池百合子都知事は「都も負担することを排除せず、検討する」と述べた。開催都市としての責任を踏まえた発言で、10自治体(6道県4政令市)はおおむね歓迎の意向を示した。

だが、組織委員会によると、整備費以外にも輸送や警備などの運営費としてさらに約1200億円がかかる見込みという。各組織がどれだけ負担するのか、先が見えない。費用分担の協議を先送りしたツケが回ってきた形だ。

小池知事は整備費の負担割合に触れなかった。だが、セーリング会場などを抱える神奈川県の黒岩祐治知事は「仮設整備費は100%負担するとのメッセージと受け取った」と話し、運営費も一切負担しない姿勢を示した。

黒岩知事をはじめ関係自治体の首長は昨年末、招致段階の計画通り、仮設施設の整備費については組織委員会が全額負担すべきだという要請書を提出し、東京都には負担の枠組みを変更しないよう求めた。財源不足を理由に自治体などに負担を求めるのは「約束違反」との立場だ。

だが、関係自治体は準開催都市として五輪のメリットを享受できる。地元ににぎわいが生まれるだけでなく、世界中が注目するスポーツの祭典の舞台となることで外国人観光客の増加につながる可能性がある。

招致計画の甘さは批判されるべきだが、原則論を唱えているだけでは問題の解決にはならない。各自治体が「応分の負担」をするのは避けられないだろう。

新国立競技場整備計画やエンブレムの白紙撤回など東京大会は混乱が絶えない。責任の一端は招致活動の先頭に立ってきた国にもある。

安倍晋三首相は昨年のリオデジャネイロ五輪閉会式に登場し、国会では東京大会を「世界一の大会にする」と強調した。国が全面的に支援するという決意の表れだろう。

だが、今回の費用分担問題でも国が火中のクリを拾おうという姿勢は乏しい。複数の組織にまたがる課題の調整役として位置付けられている丸川珠代五輪担当相の存在感は一貫して薄い。

費用分担の話し合いは東京都、組織委員会、国、自治体の4者協議で行われる。最終的な責任を担う国はもっと前面に出なければならない。
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[毎日新聞] 仏大統領選 不安拭えぬ極右の勢い (2017年02月26日)

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フランス大統領選の立候補受け付けが始まった。有力候補は3人に絞られてきたが、その中で反欧州連合(EU)・反移民を掲げる極右・国民戦線党首のマリーヌ・ルペン候補の勢いが止まらない。

最新の世論調査でもルペン氏の支持率は26%で首位を保っている。4月23日の第1回投票で当選に必要な過半数の得票は難しそうだが、上位2候補による5月7日の決選投票に進むのは確実視されている。

中道・右派候補のフィヨン元首相と、社会党出身で独立系候補のマクロン前経済相が、支持率20%前後で2位を争う。

これまでは、どちらが勝ち上がっても決選投票になればルペン氏は敗れるとの見方が強かったが、その差はじわじわと縮まっている。ルペン氏の勢いを侮ることはできない。

懸念される点は二つある。

一つはルペン氏が米国のトランプ大統領と「自国第一主義」で共鳴し合っていることだ。

ルペン氏は、自国通貨の復活、EU離脱を問う国民投票の実施、移民の受け入れ制限などを公約に掲げている。2月初めの決起集会では「グローバル化を支持する勢力に対する愛国主義者の戦い」を宣言し、「自国第一」を訴えて当選したトランプ氏を祝福した。

トランプ氏もまたEUがドイツの経済力を支える道具にすぎないと批判し、ルペン氏の当選でEUが解体に向かうよう促している。米仏が国際社会の分断に向けて手を組むような事態は看過できない。

もう一つの懸念材料は、ルペン氏がロシアのプーチン政権に極めて融和的な姿勢を取っていることだ。

ルペン氏率いる国民戦線はロシアから資金援助を受けていることが知られている。ウクライナ問題をめぐる対露制裁で欧州は結束してきた。それがロシアに厳しいドイツと、親露のフランスとに分断されることになれば、ロシアにとっては「取引」がしやすくなる。

オランド大統領は、米国同様にフランスでもロシアによる選挙戦への介入に警戒が必要だとして、対応策を指示している。

ルペン氏が当選すれば、影響は今秋に総選挙を控えるドイツに波及するだろう。

フランスは、ドイツとともに戦後欧州の統合を支えてきたEUの中核だ。そのフランスがEU離脱へ踏み出すことになれば、ドイツだけではEUを支えきれず、欧州の秩序は不安定化する。その衝撃は、英国のEU離脱の比ではない。

ドイツをはじめ、欧州各地で台頭する反EU・反移民の極右勢力をさらに勢いづかせることにもなるだろう。不安は拭えない。
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[朝日新聞] 大阪都構想 実現ありきはだめだ (2017年02月26日)

大阪市を東京23区のような特別区に分割する案を練る「法定協議会」の設置案が、大阪府・市議会に出された。15年5月に大阪市の住民投票で否決された「大阪都構想」の再始動だ。

地域政党・大阪維新の会を率いる松井一郎府知事と吉村洋文市長は都構想への再挑戦を公約に掲げ、15年11月の知事・市長ダブル選で圧勝した。法定協設置はその民意にこたえるものというのが両氏の考えだ。

ただ、2年前の住民投票は、市内210万人の有権者の3分の2が投票し、反対と賛成の差は1万票余りという僅差(きんさ)だった。市を二分する争いの中、市民が悩み抜いて出した「都構想ノー」の結論はきわめて重い。

これを覆すというのであれば、より明確な民意が不可欠だ。松井、吉村両氏は来秋にも2度目の住民投票をめざす方針だが、橋下徹前市長の時のような、都構想実現ありきの強引な進め方は願い下げだ。

そもそも法定協設置には、府・市議会の議決が要る。維新だけでは過半数に届かない。

カギを握る公明党は、大阪市を残したまま、区の数を絞って区長の権限を強める「総合区」の導入を主張する。松井、吉村両氏は、都構想が住民投票で再否決された場合は総合区にするとして、公明に法定協設置議案への賛同を働きかけている。

だが、大阪市を廃止する都構想はもちろん、今の市内24区を8区に減らすとする総合区案も、行政制度に深く切り込む「手術」だ。移行に要するコストや、住民の利便性低下といった副作用も避けがたい。

松井、吉村両氏は、都構想と総合区のほかに、大阪に選択肢はないと強調しているが、本当にそうか。市民の間では、現行制度を保ったままで改善は図れないのか、と疑問視する声も根強い。切り捨てることなく、耳を傾けていくべきだ。

大阪は経済の低迷に苦しみ、急速な少子高齢化で3大都市圏では最も早く人口減少に直面する。貧困層の増大も深刻だ。

維新は、統合型リゾート(IR)や万博の誘致、交通網整備といった大型事業中心の成長戦略を掲げ、推し進めるには都構想の実現を、と説くが、大阪の今の苦境にどれだけ即効性がある政策かは疑問が尽きない。

大都市・大阪の再生に「万能薬」はない。都構想も総合区も一長一短があるし、まったく別の改革の道筋もありえよう。

住民投票で再び市民の選択を問う前に、知事、市長と議会とで時間をかけ、ほかの選択肢も含めて議論を深めるべきだ。
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[読売新聞] 長周期地震動 高層ビルの揺れから身を守れ (2017年02月26日)

急増する高層ビルの地震対策を急ぎたい。

大地震の際、高層ビルに大きな揺れをもたらすのが長周期地震動だ。その発生が予測される地域について、気象庁が緊急地震速報の中で伝える方針を決めた。2018年度以降の運用を目指す。

長周期地震動は、ゆっくりとした揺れが特徴だ。上層階では揺れ幅が5メートルを超えることもあるという。東日本大震災の際には、壁や天井の破損、家具・備品の転倒などが被害を拡大させた。

発生が懸念される南海トラフ巨大地震では、さらに大きな揺れが見込まれている。

身を守るためには、家具や備品をしっかり固定しておくことが不可欠だ。大地震の時には、勝手に動き出したキャスター付きの事務機器などとの衝突を避けるため、速やかに逃げるしかない。

長周期地震動は、初めの小さな揺れが徐々に大きくなり、長時間続く。対処が遅れれば、身動きできなくなる。新設される速報は、迅速な行動に役立つだろう。

長周期地震動の揺れの程度は、4段階に分かれる。速報は、立っているのが困難な階級3と4が予測される場合に出される。

予測システムの構築を急がねばならない。現行の緊急地震速報と同時に出す際には、伝え方にも工夫が求められる。

気象庁は、速報までには至らない弱い揺れなどの情報も、気象事業者を通じて、ビル管理者らに提供する方針だ。自らのビルの揺れ方を把握し、安全性を向上させるために有効だろう。

概(おおむ)ね10階建てに相当する高さ31メートルを上回るビルは、15年に5万棟を超えた。01年の約2倍だ。16階建て以上のビルの着工数は、毎年約100棟にも上っている。

免震構造のビルも、地震動の周期によっては、効果が発揮されないという。可能な限り最新の研究を踏まえた耐震性を備えたい。

国土交通省は昨年、南海トラフ巨大地震に伴う長周期地震動に備えて、太平洋側の11都府県の都市圏を対策地域に指定した。

この地域で4月以降に建築申請される高さ60メートル超のビルは、長周期地震動を厳格に想定して設計する必要がある。60秒間だった揺れの想定継続時間は、500秒以上になる。家具の転倒や移動を防ぐ措置も講じるよう促す。

既存のビルやマンションでは、耐震評価や補強工事などを実施する場合の支援制度を設ける。

高層ビルが巨大地震による被害を増幅させない対策が大切だ。
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[読売新聞] 著作権料徴収 音楽教室は「聖域」と言えるか (2017年02月26日)

文化の発展のために、著作者の権利保護は欠かせない。その原則を踏まえた議論が必要だ。

ピアノなどの音楽教室での楽曲演奏に対して、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、来年1月から著作権料を徴収する方針を決めた。

対象となる教室を運営するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などの団体・企業は、反発を強める。「音楽教育を守る会」を結成し、ネットに公開質問状を掲載するなど、反対運動を展開している。

対立の背景にあるのが、著作権法の解釈の違いである。

著作権法は、楽曲を公衆に聞かせる目的で演奏する「演奏権」を作曲家や作詞家に認めている。演奏権に基づく徴収は、歌謡教室やカルチャーセンターなどに段階的に広がってきた。

JASRACは、音楽教室だけを対象外にするのは不公正だ、と主張する。著作者保護を重視し、利用者から広く薄く使用料を徴収したい、というJASRACの考えは理解できる。

音楽教室側は、指導のための演奏は、聞かせることを目的にしたものではないと訴える。既に楽譜代などの著作権料は支払っているとも主張する。

2003年から協議を続けてきたが、決裂した場合には、債務が存在しないことを確認する訴訟も辞さない構えだ。

地域に根付いた音楽教室が、音楽のすそ野を広げる役割を果たしてきたことは間違いない。音楽教室側の見解を支持する人は、少なくないだろう。

だが、著作者が権利を有する楽曲を演奏しなければ、教室のレッスンは成り立たない。著作者に敬意を払い、利益を還元するために、演奏にも応分の負担をするという考え方はできないものか。

JASRACにも、音楽教室にとって過大な負担にならないよう配慮することが求められる。

一定の料金内で何回でも演奏できる包括契約の場合、受講料収入の2・5%を徴収する方針だ。

カルチャーセンターを対象とした包括契約の料率は1%だ。センター内の音楽教室以外に、BGMでの利用なども含まれる。こうした事例と比較して、2・5%の料率には再検討の余地もあろう。

著作権法の立法趣旨は「著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」だ。

音楽文化の発展を願うという点で、意見の相違はあるまい。双方が歩み寄り、折り合える解決策を見いだしてもらいたい。
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[朝日新聞] 共謀罪 「テロ対策」が隠すもの (2017年02月26日)

国会で「共謀罪」をめぐる質疑が続いている。だが、費やされた時間に比べ、議論が深まっているとはいえない。

政府が今回の立法をテロ対策と位置づけ、「共謀罪というのは全くの間違い」(首相)としていることが、質問と答弁がかみ合わない理由の根底にある。

経緯をおさらいしたい。

00年に国連で国際組織犯罪防止条約が採択された。条約は、マフィアや暴力団を念頭に、重大犯罪を共謀する行為を犯罪として罰する法律をつくるよう、加盟国に義務づけている。

これを受けて国会に共謀罪法案が3度提出されたが、強い異論があり成立に至らなかった。そこで政府は、対象を「組織的犯罪集団」に限り、犯罪のための準備行為がなされることを要件に加え、呼称も「テロ等準備罪」にすると言い出した。

だが、犯罪が実際に行われる前の段階で摘発・処罰できるようにする本質に変わりはない。危うさをはらむ法律に、テロ対策という見栄えのいい衣をまとわせたため、そもそも何のための立法かという原点が見えにくい図になっている。

問われているのは、人権擁護と治安保持のふたつの価値を、どう調整し両立させるかという難しい問題である。イメージに頼らず、流されず、実質に迫る審議を国会に期待したい。

その際はっきりさせなければならないのは、法案作成や審議の前提となる条約の解釈だ。

政府は一貫して、条約に加盟するには600超の犯罪に広く共謀罪を導入する必要があると訴えてきた。それへの疑義として「各国の事情に即した対応が認められており、現にそうしている国がある」との指摘を受けても、頑として譲らなかった。

ところが一転、対象犯罪を減らすことも可能と言い始めた。絞り込み自体は結構だが、ずいぶん都合のいい話である。

従来の見解が間違っていたのか。あえて過剰な法整備を意図したのか。かつての国会答弁が信用できないとなれば、これからの答弁を信用できる根拠はどこにあるのか。混乱の責任をどう考えるのか――。

これらの疑問に対し、政府は法案が国会に未提出なのを理由に説明を拒んできた。加盟した187カ国・地域の法整備状況についても、報告をまとめたのは野党の要求から1カ月後、それも約40カ国分にとどまる。

こうした誠実とは言い難い対応をしながら「一般市民に累は及ばない」と言われても、説得力に欠ける。議論できる環境をまず整えるのが政府の責務だ。
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