2017年02月21日

[産経新聞] 【主張】金正男氏暗殺 「北」に事実を突きつけろ (2017年02月21日)

北朝鮮の金正男氏暗殺事件をめぐり、マレーシアは、駐北朝鮮大使を召還した。

北朝鮮側の事件対応への抗議のためだ。外国の主権を一顧だにしない陰惨な要人暗殺事件は、北朝鮮政権の主導によるとみられている。当然の対応だろう。

マレーシアの警察当局は国際刑事警察機構(ICPO)の協力をあおぎ、真相の解明に乗り出している。

日本を含む関係各国も捜査に全面的に協力し、「事実」を北朝鮮に突きつけてほしい。

金正恩朝鮮労働党委員長の兄、金正男氏は13日、クアラルンプールの空港で襲われ、死亡した。毒殺とみられるが、毒物は特定されていない。

マレーシアの警察当局はすでに外国籍の女2人、北朝鮮国籍の男1人を逮捕し、北朝鮮国籍の4人の氏名を特定した。

4人は犯行当日にマレーシアを出国し、ジャカルタかスラバヤ、ドバイ、ウラジオストクを経由してすでに北朝鮮に帰国しているとされる。いずれもICPO加盟国の都市である。正式な国際情報照会手配(青手配)を通じて足取りの詳細を明らかにし、非加盟国の北朝鮮に確認を迫るべきだ。

駐マレーシアの北朝鮮大使は死亡男性が外交官用旅券を所持し、北朝鮮の保護下にある国民だとして、司法解剖に抗議し、遺体の引き渡しを求めた。この問題を国際法廷に訴えるとも述べた。

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金正男氏は死亡時「キム・チョル」名義の旅券を所持しており、北朝鮮がこれを真正旅券と認めるなら、国家として偽名旅券を付与していたことになる。国際法廷に訴えるなら、訴えればいい。

過去には、大韓航空機爆破や韓国の朴正煕大統領夫人殺害事件でも、実行犯は日本人を偽装していた。今回の事件でも実行犯役の女らは、日本のテレビ関係者をかたる男に雇われたとの情報がある。日本の当局も可能な限り、捜査を支援すべきだろう。

日本国内もこれまで、北朝鮮の工作員による数々の事件の舞台となってきた。拉致事件は、その最も悪質な典型例である。北朝鮮は国家機関による誘拐であることを認めて謝罪しながら、被害者の再調査にすら応じていない。

北朝鮮の実相を改めて明らかにするためにも、暗殺事件の捜査に全力を尽くしてもらいたい。
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[産経新聞] 【主張】敵基地攻撃能力 国民守る方策を決断せよ (2017年02月21日)

自民党の高村正彦副総裁がNHKの番組で、外国からのミサイル攻撃を防ぐ敵基地攻撃能力の保有について、政府としての検討に前向きな考えを示した。日本維新の会の片山虎之助共同代表も同調した。

北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力は現実の脅威である。弾道ミサイル防衛の能力を高めることに加え、敵基地攻撃によって危機を回避する方策を考えるのは当然といえる。

安倍晋三首相も1月の国会答弁で、検討に意欲を示した。いかにして国民を守り抜くかは、すべての政治家に課せられた責任だ。意欲を口にするだけでなく、導入を決断し、具体的検討を防衛省自衛隊に指示してもらいたい。

安倍政権は平成25年に閣議決定した防衛計画の大綱の中で、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」と、保有に含みを持たせてきた。

しかし、これまで具体的な進展はなかった。その間にも、北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力の強化が進んだ。北朝鮮が今回発射した新型弾道ミサイルは固体燃料で自走式車両から発射された。見つかりにくく奇襲的に運用できるため、脅威度は格段に増している。

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残念なのは同じ番組での公明党の山口那津男代表の発言だ。「敵基地攻撃能力は米国しか持っていない」と、自衛隊のミサイル防衛の整備しか言及しなかった。

日本が攻撃能力を持つことへの拒否反応がある。だが、それはすべてを米国に依存しようという姿勢の表れともいえる。

北朝鮮が近い将来、米本土への核攻撃能力を持ち、米国の対北姿勢が及び腰になったらどうするのか。自らの抑止力を考えておかなければ、有事の際の対処力は損なわれてしまう。

敵基地攻撃能力や、将来的には「敵地攻撃能力」を整えることは日米同盟の抑止力を確かなものとする上でも欠かせないだろう。

指摘しておきたいのは、安倍首相や高村氏らが、いまなお専守防衛を強調している点である。これは、軍拡に余念がない中国や北朝鮮を相手に、自らの抑止力に大きなブレーキをかける元凶だ。

政府は耳に心地よい言葉として専守防衛を唱えてきた。だが、それでは平和を守りきれなくなっている。現実を国民に正直に説明すべきである。
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[東京新聞] トランプ政権1カ月 汝の敵も愛さねば (2017年02月21日)

敵を仕立てて人の怒りをあおり、自分の求心力を高める。これがトランプ流の統治術だ。国民統合を図るべき指導者がのめり込む危険なゲームを憂える。

大統領選で繰り返した暴言や極論も、就任すれば収まるだろうという期待は裏切られた。

政権発足から一カ月。トランプ米大統領はメキシコ国境の壁建設命令やイスラム圏七カ国からの入国禁止令と、公約通りの政策を打ち出した。


◆眼中には「固定客」だけ
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選挙中、自分の言動によって深まった社会の分断を癒やす気はない。逆に対立をあおり、人々の憤怒を利用する。

就任演説はワシントン政治を牛耳るエリートや貿易相手国への宣戦布告に等しかった。

一方で「あなたたちは再び無視されることは決してない」と温かく呼び掛けた先は、自分を大統領の座に押し上げてくれた支持者だ。国民全般ではない。

トランプ氏の眼中には、そうした「固定客」しかいないようだ。世界中から非難を浴びた入国禁止令も、固定客ならば支持してくれると踏んでいるのだろう。

それでなくても攻撃的で敵対的なトランプ氏を、振り付けているのがバノン首席戦略官兼上級顧問だという。白人至上主義や外国人排斥の論調を展開する極右ニュースサイトを運営していた。

トランプ氏はそんな過激な人物を国家安全保障会議(NSC)の常任委員に抜てきした。NSCは国の安全保障に関する最高意思決定機関。党派を問わずこの人事に危惧が広がったのは当然だ。

自由、平等という建国の精神が束ねてきた多民族国家・米国は、それを顧みないトランプ政治が続けばむしばまれる。


◆「ロシア」が政権の火種
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トランプ氏は国外にも敵を求める。イスラエルとパレスチナの二国家共存にこだわらない姿勢を示したことは、入国禁止令に続いてアラブ世界の反発を買った。イランには大統領選以来攻撃を続け、対立は深まるばかりだ。

標的とする相手との争いで、力に訴える挙に出ないよう願いたい。

その外交では、ペンス副大統領と国務、国防両長官が欧州やアジアを回り、内向き姿勢のトランプ氏におののく同盟国の不安払拭(ふっしょく)に躍起だ。

トランプ氏も中国の習近平国家主席に「一つの中国」の原則尊重を表明した。蔡英文・台湾総統と電話会談したのに加え、「一つの中国」を取引材料にすることも辞さない意向をほのめかしていたのが、対中関係をいったんリセットした格好だ。安倍晋三首相との間では同盟強化を確認した。

こうして歴代政権の方針を踏襲する方向に傾いているものの、予測不能を是とするトランプ氏のことだ。テーブルをひっくり返すような言動を再び行う可能性は否定できない。

トランプ氏が前のめりだったロシアとの関係修復は、窓口役のフリン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の辞任でつまずいた。しかも、大統領選の最中にトランプ陣営がロシアの治安機関と接触していた疑惑が発覚し、政権は大きな火種を抱え込んだ。

ロシアは民主党のヒラリー・クリントン陣営などにサイバー攻撃を仕掛けていたが、トランプ陣営がこれに関与していなかったかどうか、連邦捜査局(FBI)だけでなく議会も追及する構えだ。

トランプ氏はこの疑惑に関する報道を「偽ニュースだ」と決めつけ、主要メディアを「米国民の敵だ」とまで攻撃した。

これを共和党の重鎮マケイン上院議員は「報道の自由抑圧は独裁者がまず最初に始めることだ」と批判する。自由主義陣営を代表する米国のトップが独裁者呼ばわりされる事態は嘆かわしい。

入国禁止令は司法から二度にわたって待ったがかかり、大統領補佐官辞任や労働長官指名者の辞退と、政権は始動した途端に迷走した。支持率は四割台で低迷している。立て直しが急務だ。


◆万民のための指導者に
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だが、公約の所得税減税構想は、トランプ支持層の白人労働者層よりも富裕層が受ける恩恵の方が大きくなり、格差是正どころかその逆に働きそうだ。

グローバル化に置き去りにされた人々がトランプ氏にかける期待は大きい。その分、裏切られたと知れば失望も深くなる。固定客ばかり相手にするトランプ流にはもろさがある。支持の裾野を広げないと、早晩行き詰まる。

為政者はやはり万民のために働くものだ。自分と異なる立場や意見も尊重しなくてはならない。敵ではないのだから。

トランプ氏がそんな当たり前のことに気付けばいいのだが…。
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[日経新聞] 閣僚の答弁に緩みが目立つ (2017年02月21日)

今国会は序盤から閣僚の答弁が乱れ、野党の追及を受ける場面が目立っている。閣僚が所掌する重要案件を十分に説明できないようでは国政を安心して任せられない。5年目に入った安倍政権の緩みと言われないよう緊張感を持って国会審議に臨んでほしい。

野党は文部科学省の組織的な天下り問題で松野博一文科相、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)の日報問題で稲田朋美防衛相、テロ等準備罪(共謀罪)法案で金田勝年法相の責任を厳しく追及している。野党4党は稲田、金田両氏の辞任も要求している。

南スーダンPKOへの陸上自衛隊の参加を巡り、野党の一部はかねて「現地情勢が悪化し活動を継続できる状況ではない」と指摘してきた。今回は昨年7月に首都ジュバで起きた大規模な武力衝突に関する日報の有無と記述内容が焦点になっている。

防衛相は日報は「廃棄」されたといったん説明。だが2月に入って電子データが昨年末に「発見」され、その報告を今年1月下旬に受けたと公表した。野党は「存在している日報を意図的に隠蔽したのではないか」と批判し、日報に記述された近隣での「戦闘」が本当にあったのなら陸自の活動継続は憲法違反だと指摘している。

もし隠蔽はなかったとしても、防衛相への報告が1カ月も遅れたのは大きな問題だ。防衛省・自衛隊はこれを機に部隊の安全や活動に関する情報保全と報告体制を根本から見直す必要がある。

金田法相はテロ等準備罪の新設がなぜ必要なのかという基本的な説明が二転三転している。詳細な国会での質疑は法案提出後にすべきだという趣旨の文書を官僚に作成させて報道陣に配った対応も首をかしげざるを得ない。

野党側があえて細かい質問をしている場合もあるとはいえ、今国会は閣僚が政府見解の紙をただ読んだり、官僚から助言を受けたりする姿が目立つ。充実した国会審議につながるよう気を引き締めて公務にあたってほしい。
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[毎日新聞] 財政の悪化 国会は危機感に乏しい (2017年02月21日)

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前半国会の焦点である2017年度予算案は月内にも衆院を通過する見通しだ。歳出規模が5年連続で過去最大を更新し、国債依存度は35%と借金漬けだ。しかも審議入り直前、政府は財政健全化の指標としている基礎的財政収支(PB)の将来試算が悪化したと発表した。

本来なら国会論議を通じて健全化に向けた青写真を示すことが必要なはずだ。しかし、政府からは消極的な姿勢しか伝わらない。野党も具体案を欠き、議論は低調だ。国会の危機感が乏しいのではないか。

安倍晋三首相は今国会の施政方針演説で17年度予算案を活用し「成長と分配の好循環を創り上げる」と述べたが、PBの20年度黒字化という政府目標には触れなかった。過去の演説で必ず言及してきたものだ。

PBは社会保障や公共事業といった政策経費を税収などで賄えるかを示す。16年度は20兆円の赤字(国と地方の合計)だが、黒字化すると、新たな借金に頼らずにすむ。

しかし、内閣府の試算によると、日本経済が実力以上に成長しても、20年度の赤字は8・3兆円と、昨年7月の試算より3兆円近くも増える。昨年の円高で企業収益が低下し、法人税収などが減ることが主因だ。

首相は、政府目標に触れなかった理由を民進党から問われ、「累次(複数回)にわたって申し上げてきたので省いた」と答えた。目標達成が難しくなり、後ろ向きになったとみられても仕方がないだろう。

PBの試算悪化は、経済成長に伴う税収増を当てにしてきたアベノミクスの限界を示すものだ。成長頼みではなく、膨れあがった歳出の抑制に本腰を入れることが不可欠だ。

もともと首相は痛みを伴う歳出抑制に及び腰だ。首相のブレーンである浜田宏一・内閣官房参与は最近、PBの20年度黒字化にこだわる必要はないとの考えを示した。浜田氏は財政拡張による景気刺激策を主張している。政府の黒字化目標棚上げにつながらないか、気がかりだ。

25年ごろには団塊の世代が75歳以上となり、医療費の急増で財政はさらに悪化する恐れがある。歳出抑制によるPBの黒字化すら困難なら、超高齢化社会を乗り切る持続可能な財政の構築はおぼつかない。

衆院予算委員会の議論は、野党も文部科学省の天下り問題などの追及に力を注ぎ、財政健全化のやりとりは踏み込み不足だった。しかし、将来世代につけを回さない財政の確立は与野党共通の課題だ。

日銀が金融緩和で長期金利を低く抑えているため、金利上昇という市場の警告機能が働いていない。それだけに財政規律を維持していくには、政治の責任が重いはずだ。
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[日経新聞] 懸念を拭えないトランプ政権の1カ月 (2017年02月21日)

トランプ米大統領が就任して1カ月がたった。政権幹部の辞任劇があったり、司法と衝突したりするなどごたごた続きだ。やや現実的になった分野もあるが、世界が抱く懸念を払拭するにはほど遠い。職責の重さを自覚し、ふさわしい振る舞いをしてもらいたい。

米国は政権交代ごとに政府高官が多数入れ替わるため、出だしでもたつくことは珍しくない。それでもトランプ政権の出だしはあまりに多難である。ギャラップの世論調査によると、目下の支持率は41%。歴代政権の同時期の平均値より21ポイントも低い。

トランプ氏は、既成権力への人々の嫌悪感を糾合する形で当選した。自分が最高権力者になったにもかかわらず、大衆扇動的な手法は変わらない。

イスラム圏の7カ国からの入国制限は連邦高裁で否定された。移民制限を進めるにしても、民族・宗教の対立をあおるようなやり方は好ましくない。

来日したマティス国防長官が日米同盟の価値を再確認したことは評価できる。とはいえ、司令塔は誰で、政権全体としてどこへ向かおうとしているのかは、相変わらずよくわからない。

就任前にロシアと接触していた問題の責任を取り、フリン国家安全保障担当大統領補佐官が辞任した。政権発足3週間余での幹部更迭は前代未聞である。

「昨夜、スウェーデンで起きたことを見たはずだ」。トランプ氏は先週末の支持者向け集会で、ありもしなかったテロ事件に言及した。メディア報道をよく「偽ニュース」と罵るが、これでは天に唾するようなものだ。

より危惧すべきは、不確かな話をうのみにする人であるとわかったことだ。目にしたのが、米国のどこかが核攻撃を受けたという偽ニュースでなかったのは、不幸中の幸いである。

北朝鮮の弾道ミサイル発射に際し、衆人環視のもとで機密情報の報告を受け、側近と対応を協議したのも大統領らしからぬ振る舞いだった。公職に就くのは初めてなので、政権運営の基礎知識が乏しいのだろう。

歴代の米大統領の回顧録を読むと、酒も遊びも控えなくてはならないかごの鳥の日々への恨み節がよく出てくる。超大国の指導者というのは決して楽しい仕事ではないはずだ。トランプ氏にはまずそれをわかってほしい。
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[毎日新聞] 天皇退位と国会 接点探る誠実な議論を (2017年02月21日)

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天皇陛下の退位を実現するため、立法形式を巡る与野党の隔たりをどう埋めるか。衆参両院の正副議長が8党と2会派から個別に意見を聞き、調整に向けた作業を始めた。

与党の自民、公明両党は、首相官邸の方針である今の陛下一代限りの特別立法を支持し、民進、共産、自由、社民など多くの野党は恒久制度化のための皇室典範改正を訴えた。

3月に国会としての見解をまとめる考えという。党利を超えて妥協点を誠実に探ってほしい。

与党は、普遍的な退位の要件を設定できないとして恒久化は困難と主張している。これに対し、天皇の意思を確認し皇室会議が決定することを要件にできるというのが民進党の立場だ。制度化が前提であり、皇位継承を具体的に定める皇室典範改正が必要という意見だ。

与党には、民進党に配慮して退位の根拠規定を皇室典範に追加し最小限の法改正を行う考えもある。聴取の際、正副議長側はこの案での調整に含みを残したという。

それでも、退位の具体的な規定は特別立法に委ねられるため、野党内には慎重論が消えない。立場の違いを無理に解消しようとすれば、与野党の対立先鋭化を招くだけだろう。

溝を埋めるには、将来的な視点からの検討も必要だ。皇位や皇室の継承をどう維持、安定させるかという問題に期限を設けて取り組む意思を与野党が示すことが欠かせない。

近代以降、皇位継承は天皇が亡くなった場合にだけ行われてきた。退位にも道が開かれれば世代交代が早まると予想される。そうなると皇族の減少の問題が一段と深刻になる。

皇位継承の資格を持つ皇族は皇太子さまをはじめ4人しかいない。陛下の孫世代では10歳の悠仁さまだけだ。男系男子に限定される皇位継承が将来行き詰まる恐れがある。

現在、皇族18人のうち未婚の女性皇族は7人いるが、結婚すれば皇籍を離脱する。皇位継承者だけでなく皇室全体の将来を思えば、できるだけ早く対応を検討する必要がある。

男系継承を重視する安倍晋三首相も皇位継承の安定化を検討する考えを示している。

結婚しても皇族に残ることができる女性宮家の創設を求める意見もある。野田内閣当時に提起した民進党に加え、公明党も聴取で女性宮家を含む皇室制度の在り方を検討したい考えを明らかにした。いずれ女性天皇の議論も避けられないだろう。

正副議長のもとで行われた前回までの与野党協議の議事録が公開された。国民総意を得る土台となる。国民の関心は将来の皇室像に及ぶ。与野党が皇室の未来に共通の認識を持つことが、接点を探るカギだ。
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[読売新聞] 「退位」各党聴取 一代限りか制度化で溝がある (2017年02月21日)

国民の多くが納得できる成案を得るために、各党は真摯(しんし)に議論を進めてもらいたい。

天皇の退位に関する問題で、衆参両院の正副議長が各党・会派から意見聴取を行い、議論が始まった。

天皇陛下の退位には、全党が理解を示した。意見が割れたのは、皇室典範を改正して、将来の天皇にも適用される恒久的な退位制度を創設することの是非だ。

自民党は、制度化に必要な要件の設定は、極めて困難だと主張した。「退位は一代に限った対応とするのが望ましい」という意見も提示した。特例法の制定を念頭に置いたものだ。

仮に、天皇の意思を退位要件とすると、「天皇は国政に関する権能を有しない」と定めた憲法4条に違反しかねない。こうした理由で、制度化に否定的な自民党の姿勢には、うなずける面もある。

公明党は、天皇の終身在位制は維持されるべきだとしつつ、特例法での対応を支持した。

民進党は、皇室典範に「天皇はその意思に基づき、皇室会議の議により、退位することができる」との規定を設けるよう求めた。

憲法2条が、皇位継承は「皇室典範の定めるところ」によると規定していることに照らし、一代限りの特例法は「違憲の疑い」があるとの見解も示した。共産党も皇室典範の改正を主張している。

自由党は、皇室典範改正を容認する一方で、「本来、摂政を置くことが望ましい」と強調した。

衆参両院の正副議長は、3月中旬までに国会としての意見を政府に提示する。政府は、有識者会議の提言も参考にして、関連法案を今国会に提出する方針だ。

憲法は、天皇の地位を「国民の総意に基づく」と定める。退位に関しても、多くの党の合意により、案をまとめることが望まれる。各党が歩み寄る道筋をつけるのが、正副議長の役割だろう。

自民党は「憲法及び皇室典範と立法措置の関係を明確にする必要がある」とも言及している。

民進党が指摘する憲法上の問題に配慮し、皇室典範の付則に特例法の根拠規定を新設する案を示唆したものだと言えよう。検討に値するのではないか。

民進党内には「妥協すべきではない」という強硬論もある。議論を前に進めるには、互いの意見に耳を傾ける姿勢が重要である。

意見聴取では、皇位の安定的継承の議論を求める声もあった。退位の問題とは別に、女性宮家の創設なども今後、検討すべきだ。
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[朝日新聞] PKO日報 防衛相の責任は重大だ (2017年02月21日)

あまりにもひどい防衛省・自衛隊の混乱ぶりである。

南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊をめぐり、防衛省が「廃棄した」としていた日報が見つかった。

12年の派遣開始以来、すべての日報が電子データの形で残されていた。稲田防衛相は「隠す意図はなかった」というが、これまでの政府の国会答弁の前提が覆る事態だ。防衛省・自衛隊の情報管理に加え、文民統制の機能不全があらわになった。

発端は情報公開請求を受けた防衛省が昨年12月、日報は「廃棄した」として不開示としたこと。自民党議員らが再調査を求めたのを契機に、電子データが残っていたことが判明した。

それを防衛省が稲田氏に報告するまで約1カ月かかったのも不可解だ。どの部分を黒塗りするかの判断に時間を要したというが、まず発見した事実だけでも報告するのが当然だろう。稲田氏が省内を統率できているのか、強い疑問を禁じ得ない。

深刻なのは、報告が遅れた問題について防衛省が調査委員会を設けようとすると、国会審議への影響を懸念する与党が反対し、取りやめたことだ。

国会審議のために真相究明への動きを封じるとは本末転倒である。与党も与党だが、それで断念する防衛省も防衛省だ。

情報公開請求された昨年7月の日報は、首都ジュバで起きた政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘を生々しく記録していた。そこでは繰り返し「戦闘」という記述が出てくるが、稲田氏らは「戦闘」とは認めず「衝突」と言い換えて答弁してきた。

「戦闘」と認めれば、憲法やPKO参加5原則に抵触し、部隊の撤退を迫られるためだ。

驚いたのは、制服組トップの河野克俊・統合幕僚長が記者会見で、事実上、日報に「戦闘」の言葉を使わないよう部隊を指導したと語ったことである。

日報の意義を損なう行為だ。現場の感覚が反映されてこそ、日報の意味がある。そうでなければ、政府として的確な状況判断に生かすことはできない。

防衛省・自衛隊は、過去にも同じような不祥事を繰り返してきた。海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺をめぐる訴訟では、東京高裁が14年、国による文書隠しを認定。今回、その教訓が生かされていない実態を露呈した。

稲田防衛相の責任は重大だ。

真相究明と実効性のある再発防止策を今度こそ、講じる必要がある。そのためにはまず、外部専門家らをまじえた調査委員会の設置は不可欠だ。
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[読売新聞] MRJ納入延期 いつまで視界不良が続くのか (2017年02月21日)

日本の製造業の裾野を広げる国産初のジェット旅客機がまた、つまずいた。開発体制の早急な見直しが求められる。

三菱重工業が開発中の「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の初号機の引き渡しが、さらに2年先送りされた。延期は今回で5度目である。納入は、当初予定より7年遅れの2020年半ばまでずれ込む。

国産旅客機開発は、プロペラ機「YS―11」以来、半世紀ぶりで、トヨタ自動車など大企業や政府系金融機関も出資する一大プロジェクトだ。部品供給で中小企業の参画も促し、航空機を製造業の新たな柱に育てる狙いがある。

繰り返される納入の延期は、日本のもの作りへの期待と信頼を裏切ることになりかねない。

宮永俊一社長は、延期の理由について「開発前に、安全性のリスク分析を、もう少し勉強すべきだった」と語った。

社外から招いた米航空機業界出身者の指摘を受け、機体の安全性を高めるための設計変更が必要になったと判断したという。

MRJは航空当局の型式証明を得るため、飛行試験を米国で始めていたが、開発が最終段階を迎える中で、重大な設計変更に追い込まれた。これまでの開発過程で十分なチェックが行われていなかった、と言わざるを得ない。

三菱重工は、米ボーイングなど旅客機メーカーへの部品供給で豊富な実績を誇る。だが、部品の約7割を海外から調達し、自ら主体となって設計・製造を手がけるのはMRJが初めてだ。

開発の迷走を招いたのは、三菱重工が、過去の航空機事業に関する技術や経験を過信したからではないか。組織の縦割り主義による弊害も要因とみられる。

三菱重工は、子会社の三菱航空機が主導するMRJ開発を宮永社長の直轄事業とし、防衛・宇宙部門トップを子会社の新社長に送り込んだ。遅きに失した感はあるが、受注を優先する体制から開発重視に切り替える狙いは分かる。

三菱重工は、造船部門でも工事の遅れで2000億円超の損失を計上したばかりだ。海外から受注した大型豪華客船の建造費が当初見込みより膨らんだ。

社内調査は「大型客船の建造実績に基づく、楽観的で拙速な判断が原因だ」と総括した。

造船、航空機と主力部門で相次ぐ納入延期は、リスク管理の甘さを露呈している。MRJのテコ入れを機に、社内風土の抜本的な見直しに取り組むべきである。
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[朝日新聞] 天皇退位問題 思惑や打算超え協議を (2017年02月21日)

天皇陛下の退位をめぐり、衆参両院の正副議長による政党・会派への意見聴取が行われた。

退位を認める点に違いはないが、自民、公明などが陛下一代限りの措置を唱えたのに対し、民進、共産などは将来も適用される制度づくりを主張した。

朝日新聞の社説は、退位のルールを定めることが大切で、当面、特別法で手当てするとしても引き続き皇室典範の改正に取り組むべきだと主張してきた。

ルール抜きで一代限りの退位に道を開けば、この先、政権や多数党の意向で天皇の地位が左右される恐れが生まれ、禍根を残すことになるからだ。

自民党などは、退位の要件を設けるのは難しいという。たとえば天皇の意思をそこに盛りこめば、「天皇は国政に関する権能を有しない」という憲法の規定に触れると指摘する。

理解に苦しむ話である。

皇室会議などの議決を併せて必要とすれば、進退を天皇の自由な判断に委ねることにはならず、憲法の趣旨に反するとは思えない。そもそも意思を確認しないままでは、まさに強制退位になるではないか。制度化を避けるために、筋の通らぬ理屈を展開しているとしか見えない。

この問題を考えるにあたっては、昨年夏の陛下のお気持ち表明をきっかけに、人々の間に醸成された認識を踏まえることが肝要だ。それはおおよそ次のようなものといえよう。

天皇は、国民に寄り添い、ともにある存在であってこそ、国民統合の象徴たりうる。高齢などによって務めを果たすのが難しくなり、天皇自身がそれを良しとしないのであれば、人権の見地からも在位を強いるべきではない。将来の天皇にも起こりうる構造的な課題ととらえ、対応することが求められる――。

「一代限り」は、事の本質を見ず、多くの国民の思いにも反する案と言わざるを得ない。とりわけ、党内のオープンな議論を封じ、幹部だけで政権の意向に沿う見解をまとめた自民党の姿勢は大いに疑問だ。

この間の政府・与党の動きを貫くのは、退位をあくまでも例外とし、明治憲法とともに導入された終身在位制にこだわる考えだ。背景に、当時と同じように天皇を超越した存在と位置づける保守層への配慮や、政権運営のためには皇室に関する微妙な問題への関与を極力避けたいという意向が見え隠れする。

そんな思惑や打算を超えて、国民の総意に向け、あるべき姿を追求する。それが国会、なかでも中立の立場で調整の任にあたる正副議長の責務である。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする