2017年02月16日

[産経新聞] 【主張】金正男氏暗殺 恐怖政治の限界に備えよ (2017年02月16日)

恐怖政治の極まりを印象づけていないか。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が、マレーシアの空港で暗殺された。

正恩氏は、実力者とみなされていた叔父の張成沢氏ら幹部を相次ぎ粛清した。それを主導した金元弘国家保衛相が先月失脚し、多くの同省幹部も処刑されたという。

若い指導者として、頼みにしていた人物さえ信用しない。正男氏が北朝鮮で影響力を持っていたとは思えないが、「政敵」としてとどめを刺したのだろうか。

確かなのは、著しく常軌を逸した体制とその指導者が日本のすぐ近くに存在し、核・ミサイルをもてあそんでいることである。

恐怖政治による体制維持はこれ以上、可能なのか。国際社会は重大な警戒心を持ち、さらなる暴走や崩壊に備える必要がある。

日米首脳が同盟を確認しあうさなかに、北朝鮮は中距離弾道ミサイルを発射した。国連安全保障理事会が非難声明を出すと「全面的に排撃する」と反発する。

対外的な宣伝戦のさなか、第三国で政敵が暗殺された。北朝鮮の手によるものとすれば、残忍なテロ国家の本性がむき出しだ。

注目される出来事は、北朝鮮のテ・ヨンホ元駐英公使が最近、亡命したことである。

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正恩氏が年内の核・ミサイル開発完成を意図していることなどを明かし、体制の先行きに危うさを指摘した。エリート幹部の亡命は他にもあると伝えられる。

不測の事態にどう備えるか。強力な抑止力を持つ米国の役割は大きい。トランプ大統領は北朝鮮の脅威に対する警戒感が強い。ただ、いかに北朝鮮に対処するかの具体策はまだ固まっていない。

韓国では次期大統領選に向け、親北朝鮮の野党指導者が支持を広げている。

核・ミサイルの脅威と直面する日本と米韓両国のより強い結束が欠かせない状態に入っていることを認識したい。

中国の役割も当然大きい。中国はかねて、正男氏を通じて北朝鮮に「改革開放」を働きかけようとしていたのではないか。正男氏を保護してきたのも、そのためだったろう。

さらなる制裁などで北朝鮮に圧力をかける必要性が高まっている。中国も足並みをそろえ、地域の平和と安定に努めるべきだ。
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[産経新聞] 【主張】参院選改革 新たな理念と制度を探れ (2017年02月16日)

参院の各党幹部による選挙制度改革の協議がスタートした。

焦点は「一票の格差」の是正策とされ、既に導入済みの合区の是非に議論が集まりそうだ。

「違憲状態」など司法からの警告に対応することは必要だ。だが、根本的な問題に手を付けないなら、人口変動に伴い線引きの見直し作業を繰り返す次元の「改革」から抜け出せまい。

参院の新たなあり方について、明確な方向性を示す必要がある。その理念を実現するのにふさわしい選挙制度を目指すべきだ。

最高裁が平成25年の参院選を「違憲状態」と断じたことから、昨年の選挙では隣り合う県を合わせる合区が憲政史上、初めて実施された。

これに対し、自民党は「地方代表を国政に送れなくなる」として合区解消を目指している。民進党は逆に、合区の数をさらに増やすべきだと主張する。

特に自民党は、参院は地方代表であることを憲法の上で位置付けるべきだとの考えをもっている。だが、真の意味で地方の民意を反映させることにつながるのか。そもそも地方代表とは何か。

少子高齢化と人口減少、地方の衰退による弊害は拡大し、定数是正や選挙制度によって対処できるレベルではなくなっている。

地方団体には合区への反対論が根強い。だが、合区を逃れても衰退を防げる保証などない。

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政府が、都道府県単位を前提に施策の展開を続けることへの限界も指摘される。

そうした現状に立法府が目をつぶったまま、民意を反映することができようか。

自民党は憲法に言及するのであれば、二院制の役割分担を明確化するなかで、参院に新たな位置付けを与えるべきだ。

衆参の役割を決め直せば、両院の選挙制度が大きく異なるものになってもおかしくない。間接選挙の導入も検討してもらいたい。

各党のうち、公明党はブロック別の大選挙区制を打ち出しており、民進党にも地域ブロック制の考え方がある。自民党に比べ、抜本改革に前向きともいえるが、参院の理念と選挙制度を併せて語る必要がある。

参院が設立されてから70年の節目に当たるという。自党の議席上の損得などを離れた議論をみせてほしい。
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[東京新聞] 金正男氏殺害 恐怖政治に潜む深い闇 (2017年02月16日)

父子三代が権力を継承し「金王朝」とも呼ばれる北朝鮮。後継者相続に敗れた先代指導者の長男が、不慮の死を遂げた。直系家族まで生命を狙われるのか。恐怖政治の闇はどこまでも深い。

クアラルンプール国際空港で十三日、朝鮮人男性が倒れ病院への搬送中に死亡した。韓国統一省は男性が金正恩労働党委員長の異母兄の金正男氏であり、殺害されたのは確実だとの見解を示した。

二人組の女が空港ターミナルで正男氏に薬物のようなものを浴びせて逃走したといい、毒殺説が出ている。

北朝鮮の情報、テロに知識と経験を持つ韓国当局は、現場の状況から、北朝鮮工作員による犯行で、金委員長の指示と承認がなければ起こり得ないとの見方を強めている。

マレーシアにとって重大な主権侵害になりうる事件であり、当局は死因、毒物と犯人の国籍特定を急ぎ、全容を解明するよう望む。国際的な捜査協力も必要だ。

正男氏は故金正日総書記の長男。もし北朝鮮による暗殺だとすれば、外国暮らしが長く、後継者争いからも脱落したはずの人物をなぜ狙ったのだろうか。

韓国各メディアは「金正恩委員長が正男氏を自分の権力を脅かす存在だと警戒し、除去しようとした」と異口同音に報じている。正男氏が家族と共に韓国亡命を望んでいたことが発覚した、北朝鮮への帰国を命じられ拒否したことを金委員長が激怒したなど、情報が錯綜(さくそう)するが真相は不明だ。

北朝鮮には、唯一の指導者にだけ、国民は絶対忠誠を誓うという思想がある。ロイヤルファミリーの直系男子であっても、一人を除いては権力中枢には入れず、最高指導者に兄弟がいることすら国民には伝えられない。

親戚も安泰ではない。正男氏のいとこは韓国に亡命したが、金総書記の実像を公にしたため銃殺された。北朝鮮工作員の犯行といわれる。また、金委員長の母方の叔母夫婦は権力闘争の激しさにおびえて約二十年前に脱出し、今は米国内でひっそりとクリーニング店を営んでいるという。

北朝鮮は核、ミサイル開発だけでなく、党や政府、軍幹部に対する粛清、処刑など恐怖政治を敷いている。今回の事件への関与が明らかになれば、正男氏を保護していたとされる中国は、金正恩体制への不信感をさらに強めるだろう。トランプ米政権は対話より制裁重視に傾くのではないか。
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[東京新聞] 「共謀罪」審議 法相の迷走が目に余る (2017年02月16日)

担当閣僚がまともに国会答弁できないような法案を、なぜ国会に提出する必要があるのか。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」である。

「この大臣、大丈夫か」との言葉がつい出てしまう。金田勝年法相の国会答弁。質問のたびに背後に控える官僚と打ち合わせて答弁したり、答弁が二転三転したり、答えに窮して立ち往生したり。

委員長にたびたび注意されるようなひどい答弁がまかり通るのは、閣僚としての資質はもちろん、組織犯罪処罰法改正案の内容自体に問題があるからではないのか。

安倍内閣は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックのテロ対策には国際組織犯罪防止条約の締結が必要で、そのためには犯罪の実行行為がなくても処罰できる法律が不可欠だとしている。

同条約の国会承認を受け、政府は「共謀罪」を創設する法案を過去三回提出したが、いずれも廃案になった。「共謀罪」ができれば捜査機関の拡大解釈や恣意(しい)的な運用で人権侵害の恐れがあるとして世論が強く反発したためだ。

安倍内閣は法案提出に当たって「テロ等準備罪」に名称を変え、対象犯罪を従来の六百七十六からテロに関わる二百〜三百の犯罪に絞り込み、適用対象も従来の「団体」から「組織的犯罪集団」に限定、犯罪構成要件に準備行為を加えるなど厳格化するという。

これまでの「共謀罪」とは全く別だと訴えるが、犯罪の実行行為がなくても処罰できる点は「共謀罪」と変わらず、人権侵害の懸念が拭い去れない。

条約上、対象犯罪の絞り込みはできないとしていた従来の政府見解との整合性はどうなるのか。既存の法律で対処できるとの指摘にも、政府は耳を傾けるべきだ。

加えて見過ごせないのは、法務省が法相の指示を受けて、テロ等準備罪については法案の国会提出後に議論するよう促す文書を報道機関向けに出したことである。

人権に関わる法案について国会提出前から政府の考えをただすのは何ら不自然でない。「質問封じ」と批判されて当然だ。

答弁能力の欠如を自ら認めたも同然の内容である。法執行をつかさどる法相が、国会の国政調査権を制限し、三権分立に反する文書を出すよう指示したことは、閣僚の適格性に関わる重要問題だ。撤回では済まされない。安倍晋三首相の任命責任は、もちろん重い。
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[日経新聞] 柔軟に働ける制度づくりも忘れずに (2017年02月16日)

政府が残業への規制案を示した。残業時間を実質的に青天井で延ばせる仕組みを改め、月60時間の上限を設けるというものだ。

働く人の健康を確保するため、残業に一定の制限を設けることは妥当だ。ただ、働く時間の配分を本人にゆだねた方が生産性が上がる業務の場合は、そもそも労働時間への規制がなじみにくい。柔軟に働ける労働時間制度の整備も忘れないでもらいたい。

政府の残業規制案は、仕事が集中する時期には月60時間を超える残業も認めるが、年間では720時間以内に収めることを義務づける。忙しい時期は2カ月の平均で月80時間を超えないようにすることなどを検討する見通しだ。

仕事の繁閑に対応するため残業の上限を弾力的に定めるのは適切だろう。上限をどうするか、政労使で議論を深めるべきだ。

現在は労使協定で労働時間規制の適用除外になる建設業や運輸業も、政府は一定の猶予をおいて新規制の対象としたい考えだ。人員配置や業務を見直すには、十分な準備期間が要るだろう。

中小企業は納入先企業からのコストや納期面の要求が厳しく、長時間労働を招きやすい。独占禁止法や下請法の違反がないか、監視を強化する必要もある。

こうした過重労働対策と同時に、経済のソフト化・サービス化といった変化に合わせた労働時間規制の見直しも、求められる。

厳格な労働時間の管理は、工場労働を念頭に戦後に設けられた仕組みだ。働く時間が長いほど生産が増える工場労働には、時間に応じた賃金の支給が適している。だが、時間で成果が測れないホワイトカラーにはそぐわない。

時間でなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度は、独創性や企画力で勝負するホワイトカラーなどの生産性向上を促す。この制度の創設を盛り込んだ労働基準法改正案を政府は国会に提出済みだが、本格審議は見送られ続けている。成立を急ぐべきだ。

人工知能(AI)の普及などを背景に、脱時間給制度を活用したい企業は多い。今の政府の制度設計では対象者が高収入の一部の専門職にとどまるが、さらに範囲を広げていく必要もあろう。

脱時間給の導入企業には、労働時間の上限設定や深夜労働の制限などのどれかが義務づけられる。健康確保策を充実し、制度を使える人を増やせるようにしたい。
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[毎日新聞] 東芝の経営危機 1カ月で打開できるか (2017年02月16日)

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米原子力会社ウェスチングハウスの買収によって混迷する東芝の経営が、さらなる深みにはまった。

14日の予定だった2016年4?12月期連結決算発表は、監査法人の「お墨付き」が得られず、債務超過の回避策なども含め1カ月後に延期した。ウェスチングハウスにからみ経営幹部の不正を指摘する内部通報があり、新たな疑念が生じたためだ。

東芝は最終(当期)赤字4999億円など決算の見通しを示したが、経営への不信が増し15日の株価は大幅に下落している。あと1カ月で直面するいくつかの問題の解決策を見いだしたうえで、再建の明確な道筋も示さなくてはならない。

14日の発表は本来、経営への疑念を払拭(ふっしょく)する場だった。米国での原子力事業で被った7000億円以上の巨額損失の原因や経営陣の責任の有無、債務超過対策のための半導体事業の分社化、銀行の支援姿勢などについて、説得力のある説明をしなくてはならなかった。

株主や取引先、約19万人の従業員と家族らも、そこに関心を寄せ、当面の危機を脱した後の経営が向かう方向にも注目していた。

だが、新たな疑念が浮かんだ結果、発表の延期に追い込まれ、修正の可能性もある決算の見通しと、原子力を統括する志賀重範会長の引責辞任などを明らかにするにとどまった。不透明感は晴れるどころか、ますます強まっている。

東芝は、歴代3社長が引責辞任に追い込まれた2年前の不正会計問題でも、発表の延期を繰り返した経緯がある。

海外子会社まで目が届かなかったというだけでなく、事態収拾策の段取りもおぼつかないようでは信用の低下は止められない。

そもそも目先の疑念を打ち消せても、債務超過解消後の経営には不安がつきまとう。

自己資本を厚くするため、半導体事業を分社化して一部株式を売却する方針だが、稼ぎ頭を切り離して将来の展望は保てるのか。すでに医療機器部門や不動産部門などを手放し、株式市場では「競争力のない事業しか残らないのではないか」と危ぶまれている。

綱川智社長は14日、半導体会社について「外部資本の受け入れは20%未満」としていたのを「過半数の譲渡も含め検討する」と話した。主導権を渡してでも手元資金を増やしたいようだ。柔軟姿勢というよりも背に腹を代えられない窮状がうかがえる。

決算発表延期という異常な事態を通じて明らかになったのは、企業内部を統制する力のなさだ。それを取り戻し、出直しに向けたスタートを切れるか。時間は1カ月しかない。
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[日経新聞] 偽造薬の流通を断固はばめ (2017年02月16日)

薬の偽造品が市中の薬局に出回るという事件が起きた。信頼して薬を服用している患者に健康被害が出かねない、危険な事態だ。政府や医療関係者は原因究明と再発防止に全力を尽くしてほしい。

見つかったのはC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品。この薬は2年前に認可されたばかりで、治療効果が非常に高いとされる。一方で1錠の薬価が5万円以上もする高額品だ。

問題の偽造薬は、奈良県の薬局が正規の流通ルート以外から仕入れ、患者に処方した。異常に気づいた患者の通報で発覚した。

明らかな違法行為であり、捜査当局は偽造した人物をすみやかに見つけだし事件の全容を解明する必要がある。同時に、薬局の責任や不透明な医薬品の流通システムも、問われなくてはならない。

偽造品を扱った薬局は、余った薬を医療機関から買い取り転売する「現金問屋」といわれる業者から仕入れたという。用法などを説明した添付文章もついていなかったことから、その段階で法令違反を疑えたはずだ。だが正規ルートより安いので仕入れたという。

安ければ安いほど薬局の利益は膨らむ。しかし薬は命にもかかわる商品だ。また、この薬は公的な健康保険制度の中で使われるもので、その財源は健康保険料や税金である。医療関係者には高度な倫理観も求められるはずだ。

流通にかかわった関係者には、法令に照らした厳正な処分をする必要がある。と同時に、関係する業界が独自に規律を引き締める努力も求められる。

「現金問屋」といった不透明な流通システムも、見直しの余地はないか議論すべきだろう。製薬企業も偽造品を防ぐため製品の形状や包装に工夫をしてほしい。

医療の世界では膨大な研究開発費を投じた高額な医薬品が次々と登場している。偽造薬でひともうけを狙う犯罪もさらに増えかねない。ネット通販では偽造薬がかねて問題になっている。政府や関係業界は警戒を強めるべきだ。
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[毎日新聞] 金正男氏殺害 独裁国家の非道強まる (2017年02月16日)

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非道な独裁者が専横の度合いを強めている表れではないか。

北朝鮮の金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアの空港で殺害された。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄で、一時は父である故金正日(キムジョンイル)総書記の後継者ではないかとみられた人物だ。

毒物を用いて殺害されたとみられる。現地報道などによると、実行犯は女を含む複数で、北朝鮮の工作員による犯行だという見方が強まっている。

正男氏は2001年に偽造旅券を使って成田空港で摘発された。その後、後継候補から外れて権力の中枢から遠ざけられる一方、中国や東南アジア各地を往来する姿が頻繁に目撃されてきた。

韓国の情報機関は、正男氏の暗殺指令は金正恩政権の初期から出ていたと国会に報告した。金委員長の地位が脅かされるような状況ではなかったという。

それにもかかわらず殺害を命じたとしたら、正男氏が目障りだったからではないか。正男氏はかつて3代世襲を批判したことがある。

金委員長は父の死を受けて5年前に権力を握った。その後、疑い深い性格から次々に高官を粛清した。

金総書記は若い後継者を補佐する「後見役」7人を生前に指名したとみられている。この7人が葬儀で金委員長とともに霊きゅう車に寄り添ったが、現在も要職に残っているのは2人だけだ。

文民の筆頭格で、金委員長にとっては叔父でもある張成沢(チャンソンテク)氏は、国家転覆を図った罪などで3年前に処刑された。軍人で序列最高位だった李英鎬(リヨンホ)軍総参謀長(当時)も政権発足から半年ほどで粛清された。

粛清だけではない。軍を中心に目まぐるしい昇格と降格が繰り返されている。自らの権力を誇示する狙いのようだ。

今回の事件が外国で起きたことも重大な問題をはらむ。北朝鮮の国家機関による犯行であれば、マレーシアの主権を侵害したことになる。

北朝鮮はかつて外遊中の韓国大統領を殺害しようとビルマ(現ミャンマー)で爆弾テロ事件を起こした。日本では日本人拉致を繰り返した。目的のためには手段を問わない北朝鮮の本質は変わっていないのだろう。

金正恩政権は昨年の党大会を経てますます独裁色を強めている。

そんな政権が核実験を繰り返し、弾道ミサイルの開発を進めている。日米首脳会談の直後に弾道ミサイルを日本海へ向けて発射したばかりだ。来月の米韓合同軍事演習に向けて、北朝鮮は挑発の度合いをさらに高めてくる恐れが強い。

政府は、北朝鮮の動向への監視を強め、警戒を怠ってはならない。
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[朝日新聞] 領土教育 複眼的な思考こそ (2017年02月16日)

政府の見解を教えるだけではなく、相手国の言い分も伝え、世界を知り、自分の頭で考えることをうながしたい。

北方領土、竹島、尖閣諸島は「我が国の固有の領土」で、尖閣諸島に「解決すべき領有権の問題は存在していない」――。

そんな記述が小中学校の学習指導要領の改訂案に盛りこまれた。小学5年の社会科と中学の地理、歴史、公民の全分野で、政府見解を教えることになる。

領土は各国のナショナリズムや利害がぶつかり合い、外交上の摩擦の要因になる。子どもたちが日本の主張を知っておくことは大切だ。

だが政府見解は数学の公式とは違う。日本の立場の表明であり、それを学ぶのみでは現実は理解できない。教室で「尖閣に領土問題は存在しない」と教えても、中国船による領海侵入のニュースは流れる。

領土とは何か。隣国はどう考えているか。いかなる歴史的経緯があるか。こうした事実を知って初めて、問題を深く、複眼的に見ることができる。

新指導要領が重視するのは、答えが一つではないテーマを多面的・多角的にとらえ、他者と協働して思考する力だ。領土をめぐる対立は、ある意味で格好の教材ともいえる。

政府見解は今回突然、指導要領に登場したわけではない。文部科学省は3年前、政権の意向を踏まえ、教科書執筆や授業の指針となる指導要領の「解説」に同趣旨の記述を入れた。既に小中の社会科の全教科書が三つの領土について記載している。

だが、法的拘束力をもつとされる指導要領本体と「解説」とでは、重みが違う。教員が指導要領に従わなければ、処分される根拠にもなりうる。

決められた通りに教えることが従来以上に求められるのではないか。自国第一主義の風潮がはびこるなか、独自の工夫を偏向と批判する空気が広がれば、教員は腫れ物に触るような授業しかできなくなるだろう。

文化も経済も、国境を軽々と越えていく時代に、自国の主張が正しいと言いつのるだけでは共感は得られない。育てたいのは、相手の立場を理解し、冷静に考え、議論し、共生の道を探ろうとする人材だ。

教育を通じて一つの価値観や歴史観を植えつける息苦しさと誤りを、この国は過去に経験し、いまは隣国に見ている。

しなやかで、強い社会をつくるために、子どもたちにはどんなアプローチが必要か。領土教育を考えるときにも、この視点を忘れないようにしたい。
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[読売新聞] 子育て介護提言 人口減克服へ将来の不安拭え (2017年02月16日)

◆成長と分配の好循環を作りたい

人口減と超高齢化に立ち向かい、経済の成長力を引き上げる。持続可能な社会システムに転換する。日本が世界に先駆けて実現すべき課題だ。

読売新聞社は「安心の子育て・介護」に向けた提言をまとめた。子育てや介護の支援を強化し、仕事と両立できる環境を整備することが主眼である。

女性や高齢者の活躍を後押しする。多様な人材の登用は、企業活動のイノベーションを促し、生産性を高める。家計に余裕が生じ、将来不安が軽減することで、消費が拡大し、経済が活性化する。出生率の向上にもつながろう。

◆増やそう家族向け支出

子育て・介護分野への分配を増やし、成長の推進力とする。「成長と分配の好循環」を形成することは、政府が掲げる「1億総活躍社会」の目標とも一致する。

政府や自治体の対策には財政的制約もある。企業など民間の力を最大限に活用しなければ、人口減は阻止できない。提言の背景には、こうした時代認識がある。

子育てや親の介護に直面する現役世代の経済的基盤は弱体化している。終身雇用や年功賃金の慣行は崩れつつあり、低賃金の非正規雇用が、働く人の4割を占めるまでになった。結婚や子育てに踏み切れない若年層も多い。

日本は、保育関連など家族向けの公的支出の対国内総生産(GDP)比率が1%台だ。欧州諸国の3?4%を大きく下回る。手薄な支援は少子化の要因でもある。

右肩上がりの経済と人口増を前提にした社会システムは行き詰まっている。高齢者向けに偏った社会保障制度を改め、現役世代への給付を充実させねばならない。

◆1?2歳保育の拡大を

最優先課題は、保育所に入れない待機児童の解消である。潜在需要も含めれば、9万人に上る。

提言は、「カギは1?2歳児保育だ」と訴える。待機児童の7割を占めるこの年齢層の受け皿を大幅に増やすべきだ。

3?5歳児向けの幼稚園を、保育所と一体化した「認定こども園」に移行させるのは、有効な手段だ。主に専業主婦世帯の子供が通う幼稚園は、少子化と共働きの増加で定員割れが目立つ。移行に向けた財政支援の強化が求められる。

ビルの一室や空き店舗などでも開設できる小規模施設も機動的に増やしたい。企業による社員向け施設の設置を促すため、税制面での優遇の拡大が必要だろう。

2025年には団塊の世代が75歳以上になる。提言は、「安心の介護と認知症対策を」として、重度化を防ぐ自立支援型ケアの推進や、認知症対策を総合的に実施するための基本法制定を掲げた。

本人の生活の質を高め、家族の負担を軽減することが大切だ。医療と介護の連携を密にして、必要なサービスを切れ目なく提供できる体制を整えたい。

保育・介護現場では人手不足が深刻化する一方だ。サービス拡充には人材確保が欠かせない。

保育・介護職の平均月給は全産業平均を10万円も下回る。政府は17年度から、保育士について月平均6000円、介護職は1万円の賃上げを実施する方針だが、他産業との格差は依然大きい。提言は一層の処遇改善を求めた。

子育て・介護と仕事の両立には、働き方改革が大前提となる。長時間労働が常態化したままでは、女性の活躍や「介護離職ゼロ」は実現できまい。企業の積極的な取り組みが望まれる。

◆財源確保に工夫が要る

安心の子育て・介護を実現するには、財源の確保が不可欠だ。

高齢化に伴い社会保障費は膨張を続けている。社会保障・税一体改革は、消費増税の延期で枠組みが揺らいでいる。給付の効率化と能力に応じた負担の推進を軸に、練り直す必要がある。

財政の赤字と対照的に、家計の金融資産は1700兆円を超え、半分以上が現預金だ。企業の内部留保も378兆円に上る。「眠れる資金」を活用できないか。

相続税非課税国債は、高齢世帯に集中する個人金融資産を市中に引き出す有力な選択肢だろう。利子をマイナスにする代わりに、将来の相続税を免除する。通常の国債とは異なり、政府に利払い負担がないのが利点だ。

余裕のある高齢者の資産を現役世代の支援強化に生かす。それが成長と分配の好循環への呼び水となるのではないか。

企業には、賃上げや、保育所設置などの両立支援策への思い切った資金投入を期待したい。

活力ある社会を築くため、あらゆる手立てを尽くすべきだ。
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[朝日新聞] 東芝巨額損失 再生へうみ出し切れ (2017年02月16日)

再生への道のりは険しい。

東芝が原発事業で約7千億円の損失を公表した。子会社の米ウェスチングハウス(WH)が受注した原発で、建設費が大きく膨らむのが主な原因だ。

原発部門では、海外の建設工事から撤退する。損失を穴埋めするため、「虎の子」の半導体事業を切り売りする。

東芝では15年に不正会計が発覚した。経営再建のため医療機器や白物家電の事業を売り、「2本柱」と位置づけたのが原発と半導体だ。再び立て直しに追われ、柱はともにやせ細る。

経営責任は重い。原発部門を率いた志賀重範会長が辞任したのは当然だ。ただ、問題の根源は巨費を投じた06年のWH買収にある。歴代経営陣の責任も改めて問われる。

巨額の損失を招いた米国の原発では、工期の遅れが問題になっていた。WHは態勢を立て直すため、建設工事を受け持つ会社を15年に買収したが、裏目に出た。その後判明した建設費の増大が傷口を広げた。

理解に苦しむのは、その買収が、不正会計を受けて東芝本体が出直そうとしている時期に進んだことだ。グループを挙げて管理体制の改善に取り組んでいたはずなのに、なぜリスクの見極めがおろそかになったのか。WHを制御できていなかったとしか思えない。

今回の発表では、損失額を予定日までに確定できないという失態も加わった。正式な決算としてのお墨付きを監査法人から得られず、公表した数字は「見通し」にすぎない。損失の内容を詰める際、WHの管理体制の不備を指摘する内部通報があり、調査に手間取っている。WHの経営者が周囲に「不適切なプレッシャー」をかけた疑いもあるという。

先の不正会計では、経営トップらが部下に過大な収益目標の達成を迫り、利益の水増しにつながった。その反省が生かされていないのではないか。問題を究明し、公表することが急務だ。うみを出し切らないと、失った信頼は取り戻せない。

東芝は、株主や従業員、取引先に加え、社会にも重い責任を負っている。特に、福島第一原発の廃炉をはじめ、多くの原発で安全管理を担っている。

福島第一の事故後、原発の安全規制が国内外で強化され、建設費は膨らむ傾向にある。東芝が、リスクが高まっている原発事業を縮小するのは当然の経営判断だろう。それでも、安全の確保に必要な人材や技術を保ち、メーカーとしての責任を果たさなければならない。
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