2017年02月12日

[東京新聞] 安倍・トランプ会談 蜜月の影響見定めねば (2017年02月12日)

日本にとって、米国との関係が重要であることは言うまでもない。しかし、あまりに傾倒しすぎると、外交の選択肢を狭める。適度な間合いも必要だ。

トランプ米大統領による大統領選期間中の日本に関する発言内容を考えれば、トランプ氏就任後、初の日米首脳会談は、安倍晋三首相にとって、胸をなで下ろす会談だったと言えるのではないか。まずは日米安全保障体制である。


◆片務的との誤解を解く
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トランプ氏はかつて「日本が攻撃されたら米国は助けに行かなければならないが、米国が攻撃されても日本は助ける必要がない」「われわれは日本などを防衛しているが、彼らは(経費を)支払っていない」などと述べ、米軍撤退に言及したことがある。

日米安保体制は米国だけが義務を負う「片務的」で、日本が「ただ乗り」しているとの主張だが、日本は条約で課せられた基地提供義務を誠実に果たし、条約の義務以上の在日米軍駐留経費を負担している。明らかな誤解である。

今月三、四両日来日したマティス国防長官の発言により、新政権の誤解は解けているかにも見えたが、大統領本人がそうした認識を共有していることが重要だ。

大統領は共同記者会見で「日本国民に米軍を受け入れていただき感謝します」と語った。大統領からアジア太平洋地域への米軍関与の継続と、日本の役割に対する理解が得られたことは意義がある。

沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)返還問題では、名護市辺野古での代替施設建設が「唯一の解決策」であることが、共同声明に明記された。残念でならない。

沖縄県には在日米軍専用施設の約70%が集中する。同じ県内で基地を「たらい回し」にする「県内移設」では、県民の基地負担は抜本的には軽減されない。


◆尖閣適用が示す脆弱性
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中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発を考えれば、この地域における警察力としての米軍展開は当面、認めざるを得ないとしても、一地域に過重な基地負担を強いる安全保障体制はいびつだ。

両首脳には「国外・県外移設」の検討を引き続き求めたい。

共同声明によると、日米両首脳は沖縄県の尖閣諸島が、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第五条の対象だと確認した。

日本が有効に支配し、施政権下に置く以上、尖閣諸島に武力攻撃があった場合、米軍が防衛義務を負うことは条約上、当然だ。

尖閣諸島の領有権を主張し、公船などによる領海侵犯を繰り返す中国けん制の意図は理解するが、政権交代のたびに確認する必要があるのか。確認しなければ履行されない恐れがあるなら逆に条約の脆弱(ぜいじゃく)性を示すことにならないか。

共同声明は「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」とも強調した。トランプ氏がかつて日本の負担増に言及したことを意識したのだろう。

しかし、すでに五兆円を超えた防衛費のこれ以上の増額や、憲法違反と指摘される集団的自衛権の行使まで容認した「軍事」分野での役割拡大には同意できない。

米国でどんな政権が誕生したとしても、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならない、戦後日本が貫く平和主義を揺るがせてはならない。

首相が共同会見で言及したように、地域紛争や難民、貧困、感染症など、世界はさまざまな課題に直面している。こうした課題の解決に向けた「非軍事」分野での貢献こそ日本の役割だ。

これらは米国にとっても平和と安定を脅かしかねない深刻な課題である。「米国第一」を掲げて内向きになりつつある米国に、関心を失わないよう促し続けるのも、日本の役割ではないか。

経済問題も首脳会談の大きな柱だった。トランプ氏が環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を宣言した通商問題や、各国批判を強めている為替問題を協議するため麻生太郎副総理とペンス副大統領らによる枠組み新設で合意した。

協議は担当閣僚らに委ねられ、トランプ氏の対日批判は鳴りを潜めたが、火種は残された形だ。


◆多角的、重層的関係こそ
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フロリダ州にあるトランプ氏の別荘やゴルフ場への招待、大統領専用機への同乗など、首相に対しては異例の厚遇ぶりである。

移民政策をめぐって対立する欧州主要国と対峙(たいじ)するためには、日本を味方に付けた方が得策との判断があるのかもしれない。

首脳同士の個人的な信頼関係構築が重要だとしても、トランプ氏との蜜月関係が日本外交全体にどういう影響があるのかも見定めなければなるまい。

過度に米国に傾斜せず、首脳同士だけではない、多角的で重層的な日米関係構築こそ必要である。
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[産経新聞] 【主張】日米首脳会談 揺るがぬ同盟への決意だ 「自由」の恩恵に資する対話を (2017年02月12日)

安倍晋三首相とトランプ大統領が、揺るぎのない日米同盟をさらに高めていく決意を示した。

両国はもとより、アジア太平洋地域や世界の平和と繁栄に寄与する合意として評価したい。

就任後のトランプ氏の言動について、国際社会は従来の価値観や国際秩序を破壊するものと警戒した。会談は、そうした懸念を払拭する一助ともなろう。

両首脳は、自由で公正な貿易ルールの構築や、双方に恩恵をもたらす経済協力を確認した。着実にその成果を挙げ、排外主義や保護主義に陥ることのないよう努めてもらいたい。

個人的信頼も深まった

強固な日米同盟は、安全保障上の努力に加え、経済面でも密接な連携が支えとなる。全体として、トランプ氏が際立った対日批判を控えたことも、日米協調の側面をアピールする要因になった。

トランプ氏は記者会見で「(安倍首相とは)非常に気が合う」と語った。別荘に招かれ、首相が個人的な信頼を深めれば、両国関係にとりプラス面は多いだろう。

安全保障に関し、マティス国防長官が先に来日した際の日米合意を、トランプ氏が全面的に確認した意味は大きい。日米安保条約第5条に基づく米国の日本防衛義務について、米軍の「核および通常戦力の双方」を用いることを共同声明に明記した。

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単に尖閣諸島への第5条適用にとどまらず、軍事力の行使をためらわない中国や北朝鮮を抑止する効果的なメッセージとなる。

厳しさを増す地域の安保環境への懸念を共有し、同盟の強化や他の同盟・友好諸国との安保協力を進めることでも一致できた。

日米への牽制(けんせい)のつもりか、中国は南シナ海での演習のため、海南島からミサイル駆逐艦などの艦隊を出港させた。この海域では、中国軍の早期警戒機が米軍哨戒機に300メートルまで異常接近する挑発を行ったばかりだ。

トランプ氏がアジア太平洋地域での「航行の自由が非常に重要だ」と強調し、在日米軍の受け入れについて「感謝する」と語った点にも注目したい。

法の支配に基づく国際秩序の重要性を認め、「力による現状変更」に反対する基本的な価値観を共有できた意義は大きい。

経済問題では、日本企業が米国での現地生産で多くの雇用を生み出してきたことを首相が説明した。トランプ氏は自動車輸出や通貨政策に関して誤った認識に基づいて発言していた。誤りを正す機会を早めに得られてよかった。

ただ、これをもって、トランプ氏の対日観が改まったとみるのは早計だろう。世論を意識し、再び恫喝(どうかつ)的な対日批判を強めることも予想しておかねばなるまい。

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保護主義抑える努力を

麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領が経済対話を行う枠組みに懸案を委ねたのは、そうした事態に備える面がうかがえる。

要求に応じるためではなく、米国が排外主義に振れれば、その修正を求める場にもすべきだ。それでこそ双方の利益につながる。

トランプ氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を決定しており、日米を含む2国間協定を軸にした通商戦略を志向する姿勢を打ち出している。

2国間協定が選択肢の一つであることは否定しない。だが、これに応じた場合、米側は自国の利益のためにTPP以上の要求を突きつけ、受け入れを迫るだろう。

共同声明は、日米間の貿易・投資を深化させるだけでなく、アジア太平洋地域の経済関係を強化するよう努めることを明記した。日本は多国間連携の意義を引き続き説いていくべきだ。

首相が会見で、地域の経済に国家資本による介入があってはならないと指摘したのは、中国を念頭に置いたものだろう。米国のTPP離脱で、各国の視線は中国に向かっている。トランプ氏はその現実を直視してもらいたい。

共同声明で、両国経済を強化する財政、金融、構造政策の必要性を確認した意味も小さくない。日銀の金融緩和について、円安誘導だと批判するような、不当な干渉を避けることにつなげたい。

イスラム圏7カ国の入国禁止の大統領令について、首相は会見で「内政問題」としてコメントするのを避けた。価値観を共有する同盟国として、トランプ氏に忠告する言葉はなかったのだろうか。
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[日経新聞] 日米は新経済対話を冷静に進めよ (2017年02月12日)

トランプ政権になって初の日米首脳会談が開かれ、互いの経済関係を深めるための新たな対話を始めることで合意した。米側は通商分野でいきなり過大な要求をしてこなかったが、これで一件落着したわけではない。首脳同士の信頼関係を上手にいかし、冷静に協議を進めてほしい。

安倍晋三首相は今回の訪米ではトランプ大統領との個人的な信頼の構築を最重視した。トランプ政権は歴代政権と比べて人事が遅れており、下からの実務的な積み上げによって日本の考えを伝えるのは難しいとみたからだ。

個人的信頼はできた

特定の7カ国からの入国をいきなり差し止めようとしたトランプ政権の強引な手法は、海外からも米国内でも厳しい批判にさらされている。そうした中で日本がためらいなく歩み寄ったことには、賛否両論あろう。ここはしばらく様子見をしておいた方がよい、というのも一案である。

ただ、日本が安全保障を米軍に大きく依存している状況を勘案すれば、ときの米政権と距離を置くという選択肢は現実には難しい。ゴルフ用語を用いて「刻むという言葉は私の辞書にはない」と述べた安倍首相の言葉遣いはともかく、個人的な信頼関係の構築を目指したのは妥当な判断である。

重要なのは、せっかく築いた信頼関係をどういかすかだ。麻生太郎副総理・財務相とペンス副大統領をトップとする経済協議の枠組みをつくったが、そこで日本が一方的に押し込まれることになれば、何のためのゴルフ外交だったのかという話になる。

会談後に発表した共同声明は、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を踏まえ「日米間で2国間の枠組みに関して議論する」と明記した。これが日米2国間の自由貿易協定(FTA)を指すのか現時点では判然としない。

米国を含む12カ国によるTPPは新たな世界標準となる貿易・投資ルールを定めている。日本はその重要性を米国になお粘り強く説明していく必要がある。

同時に、アジア太平洋地域全体の自由貿易圏をつくる構想の一里塚になるのであれば、日米FTAの可能性を最初から拒む必要はない。両国は日米とアジア太平洋地域の貿易・投資を拡大していくためのあらゆる方策を率直に議論してほしい。

トランプ氏はこれまで日本の対米貿易黒字をやり玉にあげ、日本市場は閉鎖的だと主張してきた。最初の首脳会談とあってか露骨な日本批判を控えたが、先行きに過度な楽観は禁物だろう。

記者会見では米ゼネラル・モーターズ(GM)や米フォード・モーターなどの名をあげ、製造業の雇用増加を重視する立場を改めて示した。

米政権は日本の自動車メーカーにも、米国での雇用増加や生産拡大を迫る公算が大きい。米国向け輸出の制限といった要求すら出てくる可能性がある。

日本は不合理な要求には毅然と反論しなければならない。その一方でインフラやエネルギーなどの分野での協力を広げ、個別分野の対立が日米経済全体の悪化につながらないようにする工夫や柔軟な発想を求められる。

日本企業も、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の行方を含めてトランプ政権の政策に警戒を怠ってはならない。

通貨安批判に反論を

気になるのは、トランプ氏の為替相場への認識だ。中国経済に触れる中で「為替の切り下げには苦情を言ってきた。公平な土俵でなければならない」と発言した。

日本にも「通貨安誘導」といった批判の矛先を再び向けるおそれはある。日本は最近の約5年間、円売り介入をしていない。日米協議の場などで日本の立場を丁寧に主張し続けるべきだ。

安全保障の面では、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象であることを共同声明に明記した。トランプ政権がアジア太平洋地域への関与に消極的とみられている中での再確認には大きな意味がある。海洋進出を狙う中国へのけん制材料となるだろう。

安倍首相は日本が安保面での役割を拡大させていくことに意欲を示した。強固な日米同盟の構築に向け、具体的に何をするのかをわかりやすく説明すべきだ。

避けなければならないのは、通商と安保を取引することだ。両国民に疑念を抱かれるような不透明な取引は結局、うまくいかないものだ。取引好きなトランプ氏とゴルフ場で何を話したのか。安倍首相は隠さず明らかにすべきだ。
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[毎日新聞] 日米首脳会談 厚遇の次に待つものは (2017年02月12日)

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「米国第一」を唱え国際協調に背を向けかねないトランプ米大統領とどういう日米関係を築いていくか、日本外交の難しい挑戦が始まった。

安倍晋三首相がワシントンを訪れ、トランプ氏の就任後初めての会談を行った。

自由貿易や日米同盟の重要性が再確認され、沖縄県・尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることが共同声明に明記された。

日本側は、これまでのトランプ氏の発言から不安がぬぐえなかったが、両国関係は順調に滑り出したように見える。


日本を満足させた声明
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経済と安全保障の二つが中心議題になったが、懸念されたのが経済分野だった。

日米経済について、共同声明は「自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米と地域の経済関係を強化する」とうたった。

焦点の自動車問題について、首相は日本企業の現地生産と雇用創出の実績を説明し、トランプ氏は米国への投資を歓迎した。日本側が心配していた為替に関しては、円安誘導との批判はなかったという。

トランプ氏は日本の自動車貿易や為替政策を問題視していたが、ひとまず抑制的に振る舞ったようだ。

また、麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領のもとでの経済対話創設で合意した。日米の利害がぶつかりやすい経済分野は閣僚級の実務協議に委ねる。提案した日本にとっては、過激な発言を繰り返すトランプ氏の関与を薄められる仕組みだ。

一方、安全保障分野は「揺らぐことのない日米同盟」とのメッセージを強調したうえで、尖閣への安保条約適用や、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発で米国が同盟国の防衛に完全に関与することを確認した。

首相への厚遇ぶりも異例だった。

両首脳は会談後、大統領専用機に同乗してトランプ氏の別荘があるフロリダ州に移動した。ゴルフを楽しみ、2夜続けて夕食をともにする。

今回の首相訪米は、トランプ氏との間で日米関係の重要性を再確認するのが主目的だった。その意味で、共同声明は日本側にとっておおむね満足いく内容となった。

ただし、これからさまざまな場面で譲歩を迫られることとセットになる可能性もある。先に日本が取りたいものを与え、米側の要求を拒めなくする戦術かもしれない。

経済では、トランプ氏は2国間の通商協定に意欲的だ。離脱を表明した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)のような多国間交渉よりも、米国の圧倒的な経済力を盾に相手の譲歩を引き出しやすいからだ。

日本は2国間交渉に否定的だが、頭から拒むわけにいかなかった。経済対話の議論が進むにつれ、交渉入りを迫られる場面も予想される。

トランプ氏が前面に乗り出し、日本に自動車や農産物で一方的な市場開放要求を突きつけかねない。

日本に必要なのは、理不尽な主張にはきちんと対抗していくことだ。

多国間の貿易・投資で高水準の自由化を図るTPPの意義も粘り強く説いてほしい。

尖閣諸島への安保条約適用についても、米国が明言したからといって、日中間で尖閣をめぐる武力衝突が起きた場合、米国が必ず対日防衛義務を果たすとは限らない。


「対米追随」では危うい
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また、トランプ氏から尖閣への安保適用という言質を取ったことで、日本が通商交渉で米国の無理な要求を受け入れるようでは困る。

在日米軍の駐留経費の負担問題は取り上げられなかったが、今後、防衛費の増額などの形で「応分の負担」を求められる可能性もある。

米中関係の行方も気になる。首相の訪米にあわせるように、トランプ氏と中国の習近平国家主席の電話協議が行われ、米国は、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」政策を維持する考えを伝えた。

それ自体は前向きな動きだが、トランプ政権が日本と中国を競わせるようにして、自国に有利な条件を引き出そうとするかもしれない。

日米で中国に対抗すると思い込んでいたら、米中関係を正確に認識することができない。日本は中国との関係改善に積極的に動くべきだ。

自国の安全保障を米国に依存する日本は、「対米追随」と批判されながらも、その路線を歩んできた。

それでも米国が、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった共通の価値観に基づいて国際社会を主導しているうちは、矛盾は表れにくかったかもしれない。

だがトランプ政権は、そういう価値観を必ずしも重視していない。

イスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令について、首相が共同記者会見で「内政問題なのでコメントは差し控えたい」と語ったのは残念だ。国際社会の問題であり、メッセージを発信すべきだった。

「揺らぐことのない日米同盟」を確保するため、ただトランプ氏にすり寄るだけでは、日本は国際社会からの信頼を失いかねない。

日本は、米国が内向きにならず、国際協調に関与し続けるよう、つなぎ役を果たす責任がある。
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金田法相 「答弁できぬ」が問題だ

毎日新聞
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[読売新聞] 日米首脳会談 経済で相互利益を追求したい (2017年02月12日)

◆個人的信頼を基に同盟強化せよ

初の首脳会談としては上々の滑り出しである。政治、経済両面での強固な連携をアジアの平和と繁栄に生かしたい。

安倍首相がワシントンで、トランプ米大統領と会談した。「日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認した」との共同声明を発表した。

両首脳は、会談に加えて、フロリダ州での会食、ゴルフなど1日半も行動を共にする。米側の異例の厚遇を、個人的な信頼関係を深める機会としたい。

◆尖閣「安保適用」は重い

日米が緊密な同盟をアピールすることは、地域の安定に寄与する。両首脳の親密な関係は、両国間で意見の相違があっても、双方が歩み寄り、生産的な結論を見いだす機運となる効用があろう。

「米国第一」主義を振りかざすトランプ氏の型破りの外交には、多くの国が懸念を持つ。日本は、良き友人として、国際協調の重要性を粘り強く説き、適切な助言ができる関係を目指すべきだ。

トランプ氏は、首相の年内の来日招請を受諾した。両首脳が対話を重ね、地域情勢の認識や外交政策をすり合わせて、日米が国際社会で主導的な役割を担う体制を構築したい。

首脳会談では、沖縄県・尖閣諸島に日米安保条約5条が適用されることを正式に確認した。中国を念頭に、東・南シナ海での航行の自由や国際法に基づく海洋秩序を維持する重要性でも合意した。

こうした内容を閣僚に加え、トランプ氏本人が認め、文書に明記したことは重い意味を持とう。

日米両国が防衛協力を強化し、同盟の実効性を高めることが、独善的な海洋進出を加速させる中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への最大の抑止力となる。

日本も、米国に依存するだけでなく、「積極的平和主義」の下、自衛隊の国際的な役割を拡大することが大切である。

外務、防衛閣僚の安保協議委員会(2プラス2)を早期に開催し、ミサイル防衛の拡充や、自衛隊と米軍の共同対処能力の向上について具体策を検討すべきだ。

米軍普天間飛行場の移設問題で両首脳は、辺野古移設が「唯一の解決策」との認識で一致した。

同盟の中核である在日米軍の駐留を持続可能なものにするため、移設作業を着実に進め、基地周辺住民の負担軽減を実現したい。

◆自由貿易の対話深めよ

経済分野で両首脳は、日米両国とアジア太平洋地域の経済関係を強化することで一致した。

その協議の枠組みとして、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領の下に日米経済対話を創設することで合意した。財政・金融政策からインフラ(社会資本)、エネルギー分野などの事業協力、貿易まで幅広く取り上げるという。

この中で気になるのは貿易だ。トランプ氏は「貿易関係を自由で公平なものにし、両国が恩恵を受けねばならない」と語った。米貿易赤字の是正が念頭にあろう。

日本は「自由で公正なルール」を重視しており、貿易については日米で同床異夢の面もある。

それでも、日米両国が「損得」を争うのではなく、政策協調や共同事業を通じて「相互利益」を追求する関係を目指すことが重要である。

今回、トランプ氏が重視する2国間協議である日米自由貿易協定(FTA)交渉の提案はなかった。新政権の態勢が十分に整わない中で、当面は、日米が協調する姿の演出を優先したのではないか。

FTA交渉となれば、農業分野で環太平洋経済連携協定(TPP)を超えるレベルの市場開放を迫られかねない。そんな警戒感が日本国内では根強い。今後の米側の出方を注視する必要がある。

◆投資環境の整備が重要

米国のTPP離脱を踏まえ、首相は、アジア太平洋の自由で公正な通商ルールを「日米がリードすることが一番重要だ」と指摘した。知的財産の侵害などは許されないとも強調し、中国を牽制(けんせい)した。

経済対話などを通じて、保護主義の排除に向けて、米国の理解を広げることが大切である。

自動車問題で、首相は、日本企業の米国内での雇用や投資面の貢献を詳細に説明した。トランプ氏は、日本企業の対米投資の拡大に期待を表明し、「受け入れ環境の整備に力を尽くす」と語った。

トランプ氏はトヨタ自動車などを名指しし、米国内での工場立地を要求してきた。企業の自由な経営判断を抑え込む手法は長続きしまい。透明性の高いルールに基づき、税制面で進出を支援するなど、正攻法に立ち戻る必要がある。
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[朝日新聞] 日米首脳会談 「蜜月」演出が覆う危うさ (2017年02月12日)

ここまで世界に注目された日米首脳会談は、おそらく例がないだろう。安倍首相がトランプ大統領と会談した。

型破りな発言が続くトランプ氏と、経済や安全保障政策をめぐり一定の合意が得られた。そのことは、日本にとって安心材料とは言えるだろう。

だが一方で、トランプ氏の登場はいまなお、世界を不安と混乱に陥れている。

グローバルな課題について、多国間の協調によって利害を調整する手法を嫌い、二国間のディール(取引)に持ち込もうとする。その余波で、米国が体現してきた自由や民主主義などの普遍的な価値と、その上に立つ国際秩序が揺らぎつつある。

両首脳が個人的な信頼関係をうたい、両国の「蜜月」を演出しても、それが国際社会の秩序の維持につながらなければ、意味は乏しい。

■移民・難民は内政か

「米国第一」を掲げて保護主義と二国間の交渉へと走る超大国を、多国間の枠組みに戻るよう説得できるか。日米首脳会談を見守る世界の関心は、その点にあったはずだ。

しかし、安倍首相が国際協調の重要性をトランプ氏に全力で説いた形跡はうかがえない。

経済分野では、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとする経済対話の枠組みを新設することになった。

首相は「アジア太平洋地域に自由かつルールに基づいた公正なマーケットを日米両国のリーダーシップで作り上げていく」と語り、日米対話を基礎に世界経済に貢献する意欲を示した。

だが、日米両国だけで世界の成長と繁栄を達成できるわけではない。ますます複雑・多様化する貿易と投資の実態に合わせ、多くの国と地域を巻き込みながらヒト、モノ、カネの自由な移動を促すことが不可欠だ。

その牽引(けんいん)役として期待されていたのが、環太平洋経済連携協定(TPP)だった。

TPPからの離脱を決めたトランプ氏に対し、首相は翻意を迫ったのか。TPPが持つ経済的・戦略的な意義については説明したようだが、共同声明には「米国がTPPから離脱した点に留意する」と明記され、離脱にお墨付きを与えた形になった。

トランプ氏が大統領令で打ち出した難民や中東・アフリカ7カ国の国民の入国禁止についても、首相は会談では触れず、記者会見で「入国管理はその国の内政問題なのでコメントは控えたい」と語るのみだった。

欧州の主要国が相次いで懸念の声をあげ、移民に頼る大手企業が悲鳴を上げる。特定宗教を狙い撃ちにするような入国制限は、テロ対策としての効果が疑わしいばかりか、分断と憎悪を招き逆効果になりかねない。

地球温暖化や貧困、感染症への対策など、世界が力を合わせるべき課題は目白押しだ。それらに背を向けかねないトランプ氏を説得するのは、日本の役割だろう。

■多角的な外交こそ

だが、首脳会談で首相が力を注いだのは、尖閣諸島の防衛などに米国が関与するとの言質を取り付けることだった。

その視線の先には、東シナ海や南シナ海で強引な海洋進出を続ける中国がある。

だとしても、視界不良の世界にあって、旧来型の対米一辺倒の外交は危うい。

共同声明は「日本は同盟における、より大きな役割及び責任を果たす」と明記したが、それは何を意味するのか。きちんと説明されていない。

安全保障関連法の運用が始まり、防衛費の拡大傾向も続くなか、自民党などでは米国の要求に便乗するかのような「防衛費増額論」も広がる。

だが「日米同盟の強化」だけが地域の安定を築く道なのか。

日本としてより主体的に、中国や韓国、豪州、東南アジア諸国などとの多角的・多層的な関係を深めていくべきだ。そのことは日米基軸と矛盾しない。

もう一つ、今回の会談が示したのは、日本の相変わらずの姿勢とは裏腹に、トランプ氏が中国との関係を重視し、アジア外交を複眼で見ていることだ。

■「国際益」をめざせ

トランプ氏が中国の習近平(シーチンピン)国家主席と電話で協議したのは、日米首脳会談の直前のこと。中国と台湾がともに中国に属するという「一つの中国」政策を尊重する姿勢を初めて伝えた。

トランプ氏の脳裏には中国との取引も選択肢にあると見るべきだ。「日米蜜月」が中国を抑止し、日本を守るという発想だけでは、もはや通用しない。

共同声明は、日米同盟を「アジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎」だとうたった。ならばトランプ氏との関係も、旧来型の「日米蜜月」を超える必要がある。

適切な距離を保ちつつ、国際社会全体の利益、「国際益」のために言うべきことは言う。そんな関係をめざすべきだ。
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