2017年02月08日

[東京新聞] 牛乳の流通 競争だけが改革なのか (2017年02月08日)

牛乳の流通改革は農政の目玉の一つ。農協の寡占から集荷を開放し、競争さえ持ち込めば、酪農家も強くなり、バター不足も起きなくなるか。搾りたての生乳(せいにゅう)は扱いにくい、特別な商品なのだが。

生乳は農産物の中でも特別な商品だ。日持ちがしなくて、貯蔵も利かず、乳業メーカーで速やかに処理を施す必要がある。

その上、食肉などと違って、品質や味の違いが際立ちにくく、アピールしづらい産物だ。搾乳量も需要も日々や季節ごとに変動し、需給調整も難しい。

放っておけば、酪農家は乳業メーカーに対して立場が弱く、苦労して搾った生乳を安く買いたたかれる恐れがつきまとう。

そんな酪農家に代わり、乳価の交渉に当たるのが、指定生乳生産者団体(指定団体)だ。

北海道、関東、東海など全国十ブロックに一つずつ、農協を中心に組織されている。

生乳の95%が指定団体に集約され、飲用のほか、バターやチーズなど加工用にも回される。

加工用の価格は、飲用よりも安くなる。その差を埋める意味合いで、国が補助制度を設けている。用途の調節も重要な役割だ。

その指定団体がやり玉に挙げられた。

「指定された農協に委託販売する生産者のみに国が財政支援を行うという、現行の方式は見直し…」と、与党がまとめた農業競争力強化プログラムはうたっている。

酪農家の数は十年前の約六割と、減少傾向が続いている。

指定団体の存在が自由競争の妨げになり、酪農家の意欲をそいで生乳の生産量が減少し、結果として昨今のバター不足も起きている−とでも言うのだろうか。

本当に、そうなのか。

第一に、指定団体への出荷は今も強制されているわけではない。

第二に、酪農も完全自由競争にはなじまない。

街中では牛は飼えない。生乳の流通には時間とコストがかかる。過度な競争原理を持ち込めば、郵便と同じで、地域サービスの格差が生じて、遠隔地の小規模酪農家の集荷が滞り、廃業に追い込まれ、バター不足にも拍車がかかる恐れがある−。

このような不安の声が、酪農王国北海道からも聞こえてくる。

日々の食卓に乳製品は欠かせない。何のための牛乳流通改革か、誰のための農政改革か。

私たち消費者も、考えてみるべきなのだ。
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[産経新聞] 【主張】文科省天下り これでも道徳の「本丸」か (2017年02月08日)

文部科学省の天下り斡旋(あっせん)の手口が分かってきた。人事課OBを介し、法の抜け道をつくる。組織的で悪質だ。

これが教育をつかさどる官僚のすることかと、暗澹(あんたん)たる気分になる。

衆院予算委員会の集中審議で、先月、引責辞任したばかりの前川喜平前事務次官は、組織的な斡旋を認め、「万死に値する責任がある」と謝罪した。遅きに失している。

斡旋の調整役を担った人事課OBは「人助けのつもりでやってきた」と釈明した。言葉通りに受け取る人がいるだろうか。

違法行為を生んだ背景を含め、徹底した解明を求めたい。

平成20年施行の改正国家公務員法で、現職職員による斡旋や在職時の求職行為が規制された。翌21年から、このOBが斡旋を始め、一般社団法人「文教フォーラム」がその拠点となった。

その後、人事課が関与する体制ができたというが、こうした仕組みは、歴代事務次官ら上層部も認識していたものだ。

改正法は天下りを一律に悪いといっているわけではない。官民癒着が疑われないよう、透明性を持って行うルールを定めた。それを破り、こっそり裏口から入る脱法行為は許されない。関わった幹部らの責任は免れまい。

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端緒となった元高等教育局長の早稲田大教授への天下りをめぐっては、内閣府の再就職等監視委員会の調査に対し、文科省が想定問答をつくるなど隠蔽(いんぺい)工作を行っていた。

法よりも組織を守る典型ではないか。「公僕」という言葉が死語に思える。道徳教育の旗を振るのにふさわしい役所なのか。

フォーラムの事務所家賃は、文科省が補助金などを出す公益財団法人「文教協会」が負担していた。問題の発覚を受け、両団体は解散するという。

OBはボランティアで斡旋を引き受けていたというが、文科省側から一切の便宜供与はなかったか。組織的斡旋の仕組みをさらに調査する必要がある。

安倍晋三首相は「徹底的に追及し、再発させない決意で臨む」と述べた。天下り規制強化は、第1次安倍政権が硬直した官僚組織の見直しとともに打ち出した。

今回の問題の背景を改めて政府一体で検証し、再発防止を図るべきである。
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[産経新聞] 【主張】北方領土の日 四島主権の明確化譲れぬ (2017年02月08日)

安倍晋三首相は「北方領土の日」の返還要求全国大会で、「私とプーチン露大統領は、戦後ずっと残されてきた課題に終止符を打つ強い決意を共有した」と述べた。

自らの手で、北方領土問題を何とか前進させたいという首相の意気込みはわかる。問題は、それが北方四島の返還に資するアプローチにつながるかどうかである。

トランプ米大統領はプーチン氏を高く評価している。米国以外の主要各国は、ロシアをどう位置付け、付き合っていくかを改めて問われている。日本の交渉姿勢を諸外国が注視していることも、忘れては困る。

今月1日の日露外務次官級協議では、四島での共同経済活動に関し、関係省庁も加えた公式協議を3月に始めることが決まった。

昨年末にプーチン氏が来日した際の首脳会談で、すでに方向が打ち出されていたものだ。

この問題で、日本は双方の法的立場を害さない「特別な制度」を主張している。ロシア側に主権があると認めるわけにはいかない、との判断は当然である。ただ、同様の枠組みは1990年代にも検討され、頓挫している。

交渉の進展を演出するため、ここで主権をめぐる立場を曖昧にすることは許されない。そのような形で経済協力に踏み込めば、居留する人々の居心地をよくし、ロシアによる実効支配の強化に手を貸すことになるからだ。

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北方領土は、先の大戦の終結前に日ソ中立条約を一方的に破棄したソ連が武力で不法に占領した。この事実を覆い隠して、交渉を進めることはできない。

日露双方は、平和条約が結ばれていないことを不正常という。だが、いまだに不法占拠が続いていることこそ、異常なのである。

親露姿勢を隠さないトランプ氏は、ウクライナ南部クリミア半島の併合に伴う対露制裁の解除に関心を寄せているといわれる。

だが、国際的なルールを破った国に対するペナルティーを、相手の出方が変わらないまま、時間とともに風化させてよいのか。

「力による現状変更」という点で、クリミア併合は北方領土問題と同根である。首相は対露制裁でトランプ氏とどう語り合うのか。制裁解除にくみするなら、積み重ねてきた価値観外交との整合性を説明するのは難しかろう。
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[東京新聞] 一つの中国 海峡の安全を守る知恵 (2017年02月08日)

米国の新政権が「一つの中国政策」を揺さぶっている。中国による台湾の平和的統一は遠い道に映るが、この政策が台湾海峡の安全を守る政治的な知恵であったことを忘れてはならない。

中国外交を統括する楊潔〓国務委員が今月初め、米国のフリン大統領補佐官と電話協議し、「両国関係の政治的基礎を擁護すること」を求めた。楊氏が言う「政治的基礎」とは、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」政策の堅持にほかならない。

トランプ米大統領が同政策の見直しに言及したことに高官レベルで強く反発したことは、中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題で絶対に譲歩しないとの強い決意を示したといえる。

トランプ氏は当選直後、就任する前に早くも台湾の蔡英文総統と電話で話した。「一つの中国」政策を露骨に対中交渉カードにするような振る舞いも隠さない。

しかし、一九七九年の米中国交正常化の際に、米国はこの政策に「異論を唱えない」と約束したはずである。台湾海峡の平和と安定に貢献してきた政治的知恵であり、米国が一方的に見直しに動くのであれば、米中断交の可能性すらはらむ危険な賭けであると批判されても仕方がない。

歴史に学べば、中国が九六年に台湾総統選威嚇のためミサイル演習を強行し、米国が空母を派遣して緊張が一気に高まった台湾海峡危機の教訓は重いものがある。

軍事力を増強させた中国は、台湾独立や外国勢力の台湾介入に武力行使も辞さない姿勢を基本としている。だが、トランプ発言のみで、中国メディアなどに台湾介入は「戦争を意味する」などの言説が飛び交うのは危険であり、軽率すぎるであろう。

台湾海峡の平和維持には、国際社会が中国の主張を理解するとともに、台湾の安全を守るための「一つの中国」政策以外の政治的枠組みがないのが実情といえる。

とはいえ、中国はこの政策で台湾を統一する未来像が見えてこない原因をよく考えるべきである。

民主化が進んだ台湾では「台湾人意識」が高まり、共産中国との統一を望まぬ現状維持派が多数である。台湾の平和的統一を目標とする「一国二制度」には、香港行政長官選改革の失敗などで踏みにじられた香港の現実を目の当たりにした、台湾住民の不安も大きい。

蔡政権への圧力だけでは中国の悲願は成し遂げられまい。

※ 〓は、竹かんむりに、がんだれ、虎。
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[毎日新聞] 文科省天下り ルール破りにあきれる (2017年02月08日)

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文部科学省の天下りあっせん問題は、省が積極的に仕組み、組織ぐるみで行われていた構図が次第に明らかになった。

OBを介在させたルール破りは、あきれるほかはない。

これまでの第三者らで構成する文科省調査班報告によると、あっせんをしていた人事課OBは嶋貫和男氏(67)で、2009年の退職直後から始まった。嶋貫氏は人事課に長く、人脈も広かった。

背景には、前年末に施行された改正国家公務員法で、現職の国家公務員は再就職のあっせん行為ができなくなった事情がある。

これを受け、省の人事課などは、現職ではないOBによるあっせんを期待するようになり、嶋貫氏も「後輩たちのために」などという意識で応じたという。

人事課と嶋貫氏の間で、情報と人事資料の交換、調整が双方向で行われ、組織的なあっせん体制ができた。現職のあっせん行為を禁じた法の趣旨を骨抜きにしたといえよう。

そしてこの仕組みは官僚トップの事務次官やそれに次ぐ文科審議官らも複数が承知していた。

また13年に省内で作成された内部文書「再就職支援業務について」から、文科省が関連団体などを通じ、間接的に嶋貫氏のあっせん活動がしやすくなるよう便宜を図っていた疑いも浮上した。

組織の一部が勝手に、慣行的に、独自に、といった言葉で釈明できる事態ではない。文科省が組織として脱法システムを主導し、担当者や幹部らに引き継がれてきたといっても過言ではない。

この問題を集中審議した7日の衆院予算委員会で前川喜平・前事務次官は重大な責任を認め、わびたが、違法性の認識がなかったとした。しかし、現職の人事課員らが嶋貫氏とともに、あっせんの役割を積極的に担っていれば、法に抵触する。

官製談合など官民癒着を背景にした不正が相次ぎ、国民の政治不信、官僚不信が高まった。こうして法が改正され、現職によるあっせん行為が禁じられた。

今回明らかになった仕組みが法にもとることは、当然認識しえたはずだが、そうでないなら官僚世界は感覚や視点がずれているというほかはない。そのずれは大きい。

文科省は退職者も含め、約3500人を対象に調査を進めるという。今月下旬には中間報告、3月には最終結果を出す。他省庁の調査も行われている。実態の全容を明らかにするとともに、根底にある「感覚のずれ」を考える機会ともしたい。

それは「天下り問題」にとどまらないだろう。
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[日経新聞] 持続可能な住宅市場へ政策の大転換を (2017年02月08日)

住宅建設が増えることは景気にはプラスだが、持続可能な水準なのか疑問を抱かざるを得ない。

2016年の住宅着工戸数が96万7千戸と前年を6.4%上回った。消費増税前の駆け込み需要で膨らんだ13年以来の水準だ。なかでも貸家が前年比で10.5%増になった。低金利に加え、節税対策で貸家を建てる人が増えている。

人口が減っている地方でも貸家が大幅に増加している点は首をかしげざるを得ない。業者が一括で借り上げて家賃収入を保証する契約方式が後押ししているが、一部でトラブルも発生している。

全国で空き家が急増しているように、住宅はすでに量的には足りている。人口に続いて20年ごろには世帯数も減少に転じることを考えれば、新規建設よりも既存住宅の有効活用へ、住宅政策の重点を大胆に移す必要がある。

日本では住宅の建物の価値は築20年を超すとほぼゼロになる場合が多い。かつての土地神話を背景に「土地さえ評価すれば建物は無視してもいい」という市場慣行があるためだ。これでは家を適切に修繕する動機づけにならない。

まずは、しっかりと維持管理してきたかどうかが中古住宅の価値に反映される仕組みが要る。その方が購入者も安心できるだろう。

そのためには建物を柱や壁などの構造部分と内装・設備部分に分けて評価する必要がある。シロアリ対策をすれば構造部分の耐用年数は延びるし、給排水管を変えれば設備の価値は回復するはずだ。

すでに大手住宅メーカー10社で構成する「優良ストック住宅推進協議会」は、自らが供給した物件を対象に土地と建物を分けて査定している。建物では構造と内装・設備で別々に評価している。

住宅金融のあり方も問われている。アパート建設向け融資はすでに過熱気味だ。一方で土地に加えて建物の価値も評価して住宅ローンを提供する金融機関は少ない。

住宅の再建築率が低い点も大きな問題だ。住宅着工戸数全体に対する、古い物件を壊して建てた住宅の割合を示す指標で、14年度は9.1%と調査を開始した1988年度以降で最低になった。

古い物件はそのままで農地などに住宅がどんどん建っている。これでは空き家がますます増える。

持続可能な市場にするためには住宅政策を抜本的に改め、住宅を誘導する区域を自治体がしっかりと定めることも必要になる。
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[毎日新聞] 北方領土の交渉 国民の支持が不可欠だ (2017年02月08日)

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日露交渉の道筋が大きく変わり、不透明感が増す中で、今年もきのう「北方領土の日」を迎えた。

1855年に択捉(えとろふ)島の北を国境と定め、日露通好条約が締結された日を記念して制定された。

第二次世界大戦後、ソ連(現ロシア)に占領された北方領土(歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉島)の返還を求める全国大会が、元島民らも参加して毎年開かれている。

大会で安倍晋三首相は、昨年12月のロシアのプーチン大統領との会談で、領土問題の一刻も早い解決を訴えた元島民の手紙を渡し、思いを伝えたことを報告した。プーチン氏は熱心に読んでいたという。

だが首脳会談で、期待された領土問題の前進はなかった。元島民の3分の2はすでに他界し、残る約6300人の平均年齢は81歳を超える。失望感は大きかったろう。

それでも大会は、両首脳が合意した「新しいアプローチ」に望みを託し、領土問題の解決につなげてほしいというアピールを採択した。

元島民の思いを実現すべく、日露両国政府の努力を求めたい。

「新しいアプローチ」がこれまでと大きく違うのは4島の帰属問題を事実上いったん棚上げすることだ。安倍首相は「歴史的経緯ばかりにとらわれず、4島の未来像を描く中から解決を探る」と説明した。

日露共同の取り組みを通じて信頼関係を強化し、平和条約の締結につなげるのが狙いだが、見方を変えれば、領土交渉の入り口にもう一つ新たな課題が設定されたとも言える。

当面の焦点は、両国民による4島での共同経済活動の枠組み作りだ。3月に開かれる最初の日露公式協議に向け、日本側の関係省庁による検討会議もスタートした。

日本側は「固有の領土」という法的立場を侵さない特別な取り決めを求めている。あくまで自国の法制度の適用を主張しているロシア側との妥協点を探らねばならない。

「新しいアプローチ」のもう一つの柱は、元島民らが故郷を訪問できる機会を拡大することだ。航空機の乗り入れや宿泊、長期滞在の可能性などを探る。高齢化が進む元島民の切実な思いにはぜひ応えてほしい。

首脳会談直後の世論調査では、新しい交渉方針を約6割が支持した。しかし、人道措置や経済協力ばかり先行して、日露交渉の核心である領土問題が先送りされることを警戒する声も根強い。

安倍首相は今年の春と9月にも訪露し、今後も交渉を主導する考えのようだが、「4島の未来像を描く」には、国民の支持が欠かせない。幅広い理解を得ながら、慎重に交渉を進める必要がある。
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[日経新聞] クロマグロ漁の違反なくせ (2017年02月08日)

太平洋にすむクロマグロが乱獲で激減し、国際自然保護連合は2014年に絶滅危惧種に指定した。しかし、国内では資源回復のための規定を守らない漁獲が相次いでいる。是正を急がなければ、より厳しい国際規制を強いられることになる。

日本近海を含む中西部太平洋域でマグロ類の水産資源を管理する国際委員会(WCPFC)は14年に、体重30キログラムに満たない未成魚の漁獲量を02?04年平均の半分以下に抑え、親魚の漁獲も平均を超えないルールを決めた。

日本も加盟するWCPFCの決定に基づき、政府は沿岸のクロマグロ漁を承認制とし、地域や漁法ごとに漁獲上限を設けてとりすぎを防止している。

しかし、農林水産省の調べでは、長崎や三重、静岡県など合わせて9県で承認のない漁業者がクロマグロをとったり、とったクロマグロを報告しなかったりする違反が見つかった。

国際会合では、もっと厳しい漁獲規制を導入すべきだとの声が欧米を中心に強まっている。日本の違反発覚でこうした規制強化論が勢いづくのは必至だ。漁業者は、資源管理を徹底しないと資源の減少や厳格な規制となって跳ね返ってくることを自覚すべきだ。

国際的に、密漁や所定の報告をしない漁業は水産資源を脅かす要因とされる。国連食糧農業機関(FAO)はこうした漁業の防止や抑制、廃絶のための国際行動計画を策定。欧州連合(EU)は悪質な漁業による水産製品を域内に流通させない政策を施行した。

東京五輪・パラリンピックの選手村に日本がどのような農水産物を食材として提供するのか、世界の注目度は増す。天然の水産物で問われるのは計画的な資源管理が行われ、生態系の保全に配慮された漁業であることだ。

クロマグロ漁の違反をなくすのは当然であり、違反には厳しい処分を科すべきだ。管理の甘いウナギの稚魚などを含め、水産物流通の透明性を高める対策も急務だ。
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[朝日新聞] 天下りあっせん 文科省だけとは思えぬ (2017年02月08日)

文部科学省の組織的な天下りあっせん問題は、関与を認めて辞めた前事務次官だけでなく、歴代の複数の事務次官もかかわってきた可能性がある――。

仲介役の人事課OBは「月2日勤務で報酬1千万円」の大手生命保険顧問の職をあてがわれていた――。

きのうの衆院予算委員会の集中審議で、文科省の組織ぐるみの関与が次々に指摘された。

だが、参考人として出席した前次官は謝罪を重ねながらも、「法律違反には当たらないと軽信していた」。OB職員も「人助け」だとして第三者からの要請や指示は否定し続けた。

歴代次官や人事課がどうかかわったのか、あっせんが文科行政や税金の使途をゆがめていないか、などの疑問についてはあいまいなまま。さらに踏み込んだ究明が欠かせない。

天下りあっせんは、かつては各省庁の人事担当課が業務として担ってきた。官民の癒着を招く、官製談合の温床になるなどと批判され、第1次安倍政権で国家公務員法を改正。08年末から現役職員によるあっせん禁止などの規制を始めた。

問題のOBが仲介役になったのは、その直後の09年ごろ。OBを使う「抜け道」は、法改正の時から指摘されていた。今回、それが表面化したと見ることもできる。

天下りあっせんは、文科省だけの問題なのか。集中審議では他省庁の実態も問われた。

民進党の江田憲司氏は、税関と地方財務局の職員60人が15年7月1日に退職し、9月1日に40人が一斉に再就職した事例を紹介した。税関から物流や貨物へ、財務局からは地方銀行、金融機関などに再就職していると指摘し、役所の組織的なあっせんの有無をただした。

麻生財務相は「あっせんの事実はないと思う」と答えたが、さらなる調査が必要だ。

国家公務員法は、現役の官僚に利害関係のある企業への求職活動を禁じている。

しかし08年以降、政府に届け出られた再就職約1万1千件のうち、1割を超す1285件が離職当日か翌日の再就職だったことも指摘された。違法性はなかったのか精査すべきだ。

国会の役割は大きい。証人喚問も含め、実態解明への努力を続けてほしい。

現行の天下り規制をつくった安倍首相の対応も問われる。

首相は全府省庁への調査を指示したが、聞き取りだけで全容解明は難しい。「国民の疑念払拭(ふっしょく)に必要なことは何でもする」という掛け声だけでは困る。
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[朝日新聞] 金田法相 責務忘れた「質問封じ」 (2017年02月08日)

閣僚の責務と使命を忘れ、国会、そしてその国会に代表を送りこんでいる、主権者たる国民を愚弄(ぐろう)した話である。

衆院予算委員会で「共謀罪」をめぐる質疑が続いていることを受け、金田法相が「導入のための法案が国会に提出された後で、担当局長も加わって、法務委員会で議論すべきだ」とする文書を事務当局にまとめさせ、報道機関に配布した。

きのうになって「国会に対して審議のあり方を示唆するものと受けとめられかねず、不適切だった」と述べ撤回・謝罪したが、それで済む話ではない。

法相によると、問題の文書は答弁に臨む「自分自身に向けたメモ」だったという。

たしかに、法案の詳細が固まっていない段階では説明できない点もあるだろう。細部にわたる質問には、官僚の手助けを受けたほうが正確な回答ができるという事情も理解できる。

しかし、だから今はまともな答弁をするつもりはない、というのでは考え違いも甚だしい。

共謀罪に関する法案は、この国会の最大の論点のひとつだ。人権と治安にかかわる問題で、国民の関心も高い。

与野党を問わず国会議員が政府の考えをただすのは当然で、それに誠実に向き合い、説明を尽くすのが閣僚の務めである。質疑を通じて疑問や批判がどこにあるかを見きわめ、法案づくりに反映させることは、政府にとっても有益なはずだ。

それなのに、自由な議論を否定するような態度を見せ、自らの正当性を記者に訴えるとは、閣僚としての資質が疑われる。指示されたとはいえ、そんな法相をいさめもせず、文書を作って配布した法務省の役人の状況対応能力の欠如にも驚く。

法相の主張が著しく説得力を欠く理由に、安倍政権の国会運営の強引さも挙げられる。

特定秘密法や一連の安保法制がそうだったように、国会での論戦を通じて数々の問題点が浮上しても、一定の審議時間がくれば質疑を打ち切り、数の力で成立させる。それがこの内閣と与党が重ねてきたやり方だ。

こうした強権的な体質を棚にあげて、「法案が提出された後に充実した議論を行うことが、審議の実を高め、国民の利益にもかなう」などと訴えても、言葉通りには受け取れない。

共謀罪をめぐるこれまでの答弁は、首相をふくめ、過去の政府見解との整合を欠き、都合のいい内容に終始している。加えて、この「質問封じ」だ。

国民の理解を得るまでの道のりは、はるかに遠い。
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[読売新聞] 北方領土の日 元島民の自由往来拡大を急げ (2017年02月08日)

高齢化が進む元島民に残された時間は少ない。それを踏まえ、領土交渉の前進を図りたい。

安倍首相は「北方領土の日」の7日、返還要求全国大会で「島民の皆さんの古里への切実な思いを胸に刻み、着実に進めていく」と強調した。

元島民代表は、「これまでは期待だけで終わる繰り返しだった。共同経済活動などを領土問題解決につなげてほしい」と訴えた。

北方4島の元島民は1月現在、約6500人である。終戦当時から1万人以上も減った。平均年齢は81・5歳に達している。

読売新聞社と北海道大の昨年11?12月のアンケートで、元島民らの半数が「4島一括返還」の見直しを求めた。戦後71年が過ぎる中、領土問題を一歩でも前に動かしてほしい、との思いがにじむ。

政府は、昨年12月の日露首脳会談の合意を基礎に、日露双方が受け入れ可能な形での問題解決に全力で取り組まねばならない。

まずは、元島民らの自由往来の拡大を急ぐことが大切だ。

4島への訪問は現在、元島民や家族を対象とした「墓参」「自由訪問」と、学識経験者らも参加可能な「ビザなし交流」がある。

だが、渡航手段はチャーター船、出入域手続きは国後島沖しか認められていない。波の高さなどに左右されるため、時期も5?10月頃に制限される。政府は、航空機の利用を可能にし、船の出入域手続き地点も増やしたい考えだ。

元島民には、島での居住よりも自由な「里帰り」を望む人が多い。そうした意向を可能な限りかなえることが重要だ。日本人の行き来が多くなれば、ロシア人島民との交流が広がる。領土問題の解決の環境整備にもつながろう。

4島での共同経済活動の実現を目指す政府は、外務、農林水産、国土交通など関係省庁の協議会を設置した。日露両政府が来月、東京で第1回の公式協議を開くことも決まった。

共同経済活動は水産業、観光、医療などの分野が想定される。

しかし、日本の法的立場を害さない「特別な制度」の導入に、ロシア側は慎重な姿勢を崩していない。どちらの国が課税権や警察・司法権を持つのかなど、困難な課題が山積している。

今年に入って、外務省でロシアを担当する局長と課長が交代し、「条約畑」の幹部が起用された。ロシアと国際法の専門家が十分に連携し、関係省庁とも知恵を出し合って、共同経済活動の着地点を模索してもらいたい。
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[読売新聞] 安保関連研究 科学者を縛ってはならない (2017年02月08日)

科学技術の発展を阻害する無用な足かせとならないのか。

研究者の代表機関である日本学術会議の検討委員会が、安全保障に関連する研究に対して、歯止めをかける中間報告をまとめた。

その方策として、「軍事的」な可能性のある研究について、大学などが予(あらかじ)め、「技術的・倫理的に審査する制度」を設けるよう求めている。関係学会にも、研究審査の指針の策定を要請する。

検討委が念頭に置くのは、防衛省が2015年度に始めた「安全保障技術研究推進制度」だ。材料開発といった基礎分野でテーマを定め、大学などの提案の中から選考して、研究資金を配分する。

中間報告は、政府による研究への介入を招くと批判している。

この指摘は当たるまい。防衛省は、研究の進め方などで研究者の自律性を尊重している。他府省の研究資金と同様、研究者が成果を公表し、商品化できる。

戦前・戦中に科学者が軍に協力した反省から、学術会議は1950年と67年にも、「戦争を目的とする科学研究を行わない」などと表明している。中間報告は、これに沿ったものと言えよう。

研究者の間には、安全保障研究に対して、「過去の教訓を忘れたのか」という反発が強い。学術会議が開いたシンポジウムでも、「哲学のない科学技術は凶器だ」などと反対意見が相次いだ。

だが、個々の科学技術研究が、軍事利用し得るかどうかを明確に区別することは、今の時代には、そもそも難しい。

ロケットとミサイルの技術に大差はない。コンピューターやネット技術は、軍事システムの中核を成す。位置情報確認に使う全地球測位システム(GPS)は、米軍の軍事技術そのものである。

技術の多くは、軍事と民生の両面で使える「デュアルユース」だ。軍事利用の恐れがあるという理由で研究領域を狭めては、日本の技術力低下は避けられない。

欧米でも、デュアルユースを念頭に、安全保障分野での研究者の自主性を重視している。中国やインドなど新興国は、宇宙や深海に領域を広げ、研究開発への投資を増大させている。

日本の安全保障環境が厳しさを増す中、デュアルユース研究を強化することは、平和を確保する観点からも国益に適(かな)う。

学術会議は4月にも結論をまとめる。画一的に規制するのではなく、研究者の自由な発想を伸ばす提言としてもらいたい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする