2017年02月07日

[東京新聞] 首相の訪米 米政権との間合い測れ (2017年02月07日)

いくら同盟国と言っても、トランプ大統領の要求が理不尽ならばはねつけるべきだ。十日訪米する安倍首相。高圧的なトランプ流が長続きするはずもない。間合いを測ったつきあい方をしてほしい。

米国に対し失礼にならないか、と皮肉のひとつも言いたくなる。首相がトランプ氏への手土産に持参する経済協力の中身だ。

その中にインフラ整備への千五百億ドル(約十六兆八千億円)の投資がある。これを柱に全体で七十万人の雇用創出につなげるのだという。まるで途上国支援ではないか。

米国経済は底堅い。景気拡大局面は八年目に入った。失業率も4・8%と完全雇用に近い水準だ。そんな好調な世界一の経済大国を、二十年にわたってデフレにあえぐ世界一の借金大国が支援する−。奇妙な構図だ。

貧困に苦しむ本当の途上国の民生向上のために、支援するのならともかく、これでは日本の納税者の理解は得られまい。

フォード・モーターはメキシコ工場の建設を断念し、トヨタ自動車も米国内の既存工場にてこ入れして、約四百人の雇用創出を図る計画だ。

腕っ節の強い荒くれ者にすごまれた国や企業が、これをなだめるために貢ぎ物をこぞって差し出す−。繰り広げられているトランプ劇場の粗筋だ。首相の訪米も「朝貢外交」と批判されかねない。

トランプ氏の内向き姿勢で国際秩序が揺らぐなか、首相が日米同盟の重要性をトランプ氏に確認したいのは理解できる。

それでも、トランプ氏が就任したばかりのこの時期に、会いに行くのは得策なのか。事実誤認や思いつきの言動が多く首尾一貫しない人物だ。閣僚との意見不一致も目立つ。米政権の出方をじっくり見極めた方が良いのではないか。

まずは、首相は自由貿易、国際協調という基本原則をトランプ氏に説くとともに、日本車や為替をめぐる誤解を解くことに努めてほしい。

トランプ氏と一緒にゴルフをする計画もあるという。その姿が世界にどう映るのかも想像してみてほしい。好意的な受け止め方ばかりではあるまい。

米国は独裁国家ではないのだから、政権の強権ぶりがいつまでも許されるはずはない。早晩、行き詰まる。

トランプ氏との距離をどうとるのか、首相にはバランス感覚が必要だ。
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[産経新聞] 【主張】「放射能がうつる」いわれなき悪口で傷つけ…相次ぐ原発避難いじめ 差別と偏見許さぬ社会に (2017年02月07日)

東京電力福島第1原発事故の影響で避難した子供たちが、転校先でいじめを受ける問題が相次いで表面化している。

「放射能がうつる」など、いわれなき悪口で傷つける。被災者の痛みを知らぬ卑劣な行いだ。その責を子供だけに問うことはできない。

根拠なく原発事故の影響を不安がり、風評をあおるような大人の行動に、根っこがあることを認識すべきである。

昨年、福島県から横浜市に避難した生徒がいじめに苦しんだ手記を公表した。最近も千葉県に避難した高校1年の女子生徒がいじめに遭ったことを告白した。

女子生徒は小学5年のとき、転校先の同級生から「おまえには放射能がついている」「汚いからこっちに来るな」などと言われた。家族には「心配をかけられない」と黙っていたという。

打ち明けたのは、横浜など各地で原発避難に伴ういじめが報じられ、「同じようないじめに遭う子が減ってくれれば」との願いからだ。女子生徒の場合、「ばかにするな」と言い返すと、その後は言われなくなった。

相手に自分の気持ちを伝えることが必要だと、勇気を持って話してくれたことに頭が下がる。

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東日本大震災から6年近くなる。こうして明らかになったいじめは氷山の一角だろう。子供たちの痛切な思いを受け止めたい。

横浜市の生徒のいじめ問題では、「(原発事故の)賠償金をもらっているだろう」などといわれ、同級生とのゲームセンターでの遊興費などに約150万円を使っていた。

市教委の教育長がこの金銭授受について、「いじめと認定することは難しい」と発言し、大きな反発を招いた。生徒側は撤回を求めている。

多額の金銭授受は、恐喝事件にも問われかねない事態だ。それを把握しながら、指導を怠った学校側の無責任さにあきれる。

まず、学校現場が見て見ぬふりをせず、いじめの芽を摘んでいかねばならない。子供たちの問題は大人社会を顕著に映している。

見えない放射線に科学的根拠なく不安を抱き、いまだに風評被害が払拭されない。「賠償金」という言葉のもとも、大人の陰口にあると考えるべきだ。新聞などメディアを含め差別と偏見を許さない社会をつくることに心したい。
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[産経新聞] 【主張】区長選で自民惨敗 「反改革」姿勢あらためよ (2017年02月07日)

東京都千代田区長選で小池百合子知事が支援する現職が自民党都連の推す新人を圧倒した。

得票数は3倍以上に開いた。就任から半年を経て、「東京大改革」を掲げる小池氏には追い風が強く吹き続けている。

問題は自民党の惨敗ぶりだ。有権者数約4万7千人規模とはいえ、国会がある首都のおひざ元での選挙だ。東京都議会の第一党、政権与党として、なすすべもなかった印象である。

ひと言でいえば、「改革路線」の足を引っ張る勢力とみなされているからではないか。

とくに東京都議会のチェック機能の欠如について、自民党都連が大きな責任を負っていることを自覚しているように思えない。都議選に向け、信頼回復と政策本位の改革論議に注力すべきである。

産経新聞の出口調査では、「小池都政」を支持する人の7割以上が現職に投じ、自民党支持層の6割以上も現職に投票した。

豊洲市場(東京都江東区)への移転をめぐり、自民党は推進役を果たしてきた。だが、土壌汚染の問題で移転が延期される事態となってから、何らかの建設的な解決策を提示できただろうか。

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この問題にメスを入れた小池氏に協力するのか、抵抗するのかもわかりにくい。

都議の報酬の削減案をめぐり、与党会派として協力関係にあった公明党と決裂した。議会改革にも後ろ向きな姿勢を示している。

知事に協力するにせよ、対立するにせよ、東京の改革をめぐり自ら骨太な政策、理念を練り上げ、よりよい結果をもたらすよう取り組んでいく必要がある。

さすがは実績ある「与党」だと有権者に思われなければ、相対的に多い議席を持っていても、その存在意義は低下しよう。

自民党本部の対応にも首をかしげる。東京都連は小池氏と対立する形で選挙戦に臨んだが、党本部には曖昧さがあった。早い段階で厳しい情勢が伝えられ、及び腰に映った。

都議選など今後を展望し、小池氏と真っ向から争う構図を避けたかった面もあろうが、改革を唱える小池氏を超える政策的主張を用意できないのは問題である。

小池氏は地域政党を率い、都議会過半数を目指す。風速は強いが、改革後の東京の姿を描き切れていないことを忘れては困る。
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[東京新聞] 辺野古海上工事 民意は置き去りなのか (2017年02月07日)

日本は法治国家だが民主主義国家でもある。安全保障は国の専管事項でも、選挙に表れた沖縄県民の民意を置き去りにしては、日米安全保障条約で課せられた基地提供の義務は円滑には果たせまい。

政府がきのう、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の「移設」に向けて、名護市辺野古の海上で代替施設の本体工事に着手した。海水の汚濁拡散を防ぐ防止膜の設置を経て、五月にも埋め立て区域の護岸造成を始める、という。

沖縄県や名護市など、地元自治体が強く反対する中での工事の着手である。到底、容認できない。

政府が海上での工事に着手したのは、沖縄県と国とが争っていた裁判で昨年十二月、県側の敗訴が最高裁で確定したためでもある。

菅義偉官房長官は会見で「わが国は法治国家だ。最高裁判決や和解の趣旨に従い、国と県が協力して誠実に対応し、埋め立て工事を進める」と工事を正当化した。

確定判決に従うのは当然だが、日本は民主主義国家でもある。

安倍内閣は自由、民主主義、人権、法の支配という基本的価値を重んじると言いながら、翁長雄志県知事や稲嶺進名護市長に託された「県内移設」反対の民意をなぜないがしろにできるのか。

訓練に伴う騒音や事故、米兵らによる事件など、米軍基地の存在に伴う地元住民の負担は重い。

昨年、米軍北部訓練場が部分返還されたが、それでも沖縄県内には在日米軍専用施設の七割が集中する。日米安保体制を支えるため沖縄県民がより多くの基地負担を強いられる実態は変わらない。

北部訓練場返還はヘリパッドの新設が条件だった。普天間返還も代替施設建設が条件だ。県内で基地を「たらい回し」しても県民の負担は抜本的には軽減されない。国外・県外移設こそ負担を抜本的に軽減する解決策ではないのか。

安倍内閣はマティス米国防長官と、辺野古移設が唯一の解決策と確認したが、硬直的な発想は問題解決を遠のかせる。政府は工事強行ではなく、いま一度、沖縄県民を代表する翁長氏と話し合いのテーブルに着いたらどうか。

稲嶺氏は、海上での工事着手を「異常事態だ。日本政府はわれわれを国民として見ているのか」と批判した。怒りの矛先は、法治国家と言いながら、憲法に定められた基本的人権を沖縄県民には認めようとしない政府に向けられている。本土に住む私たちも、そのことを自覚しなければならない。
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[毎日新聞] 辺野古工事 民意軽視では続かない (2017年02月07日)

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これでは国と沖縄の分断はますます深まり、基地問題の解決にはつながらないだろう。

政府が、沖縄県・米軍普天間飛行場の移設のため、名護市辺野古沖の海上での本体工事に着手した。

「あらゆる手段で移設を阻止する」との姿勢を示してきた県は反発している。今後、埋め立て承認後に状況変化があった時に適用できる、承認の「撤回」などに踏み切る可能性がある。その場合、政府は対抗措置として訴訟を起こすことも検討しているという。そうなれば国と県の対立は、再び法廷を舞台に泥沼化しかねない。

政府は、行政として法的に必要な手続きは踏んでいると言いたいのかもしれない。菅義偉官房長官は記者会見で「わが国は法治国家だ。最高裁判決や和解の趣旨に従い、国と県が協力して誠実に対応し、埋め立て工事を進めていく」と述べ、工事着手の正当性を強調した。

確かに法的な手続きに問題はないだろう。最高裁は昨年12月、辺野古の埋め立て承認の取り消しを「違法」とする判決を下した。判決を受けて、翁長雄志(おながたけし)知事は埋め立て承認の取り消しを撤回し、承認の効力が復活した。政府は約10カ月ぶりに工事を再開し、今回、海上での本体工事に着手したというのが経緯だ。

だが、この問題の本質は、法律や行政手続き上の適否ではない。

辺野古をめぐる対立は、直近では、前知事による埋め立て承認が「県外移設」の公約を覆した形で行われ、反発した沖縄県民が一連の選挙で辺野古移設に反対する民意を示したことに始まる。

安全保障上の必要性から辺野古移設を推進しようとする国と、沖縄の歴史や地方自治の観点から反対を訴える地元の民意が食い違った状況で、これをどう解決するかという政治の知恵が問われている。

代替基地が辺野古にできれば、オスプレイも移る。普天間の危険性を除去し、在日米軍の抑止力を維持するため、日米両政府は辺野古移設が「唯一の解決策」と繰り返し、先日のマティス米国防長官の来日でも確認された。辺野古の海上本体工事は、安倍晋三首相の訪米を控えて着手され、まるでトランプ米大統領への手土産のようにも見える。

だが辺野古移設は、沖縄県民から見れば、県内で危険をたらい回ししているようにしか感じられない。県民の理解がなければ、たとえ代替基地ができても、日米安保体制を安定的に維持するのは難しい。

硬直した思考に陥らず、トランプ政権の発足を仕切り直しの契機ととらえ、日米で辺野古以外の選択肢を柔軟に話し合うべきだ。
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[毎日新聞] 小池旋風 「劇場」に弱かった自民 (2017年02月07日)

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勢いが改めて裏付けられた。東京都千代田区長選は小池百合子都知事の推す現職候補が、自民党の推す新人候補を大差で制した。

小池氏は7月の東京都議選で地域政党による与党勢力の拡大を目指しており、候補の擁立にはずみがつくことは確実だ。自民党をはじめ既成政党には大きな脅威となる。

現職候補という点を差し引いても、強い追い風が吹いた結果だろう。

政治・経済の中枢地域でもある千代田区のトップ選びだけに注目された。自民党は与謝野馨元財務相のおいの新人候補を擁立したが、小池陣営の候補に3倍以上の差をつけられる惨敗だった。

小池氏側は、選挙を「小池知事VS都議会自民党」の代理戦争と位置づけた劇場型の戦術が奏功した。千代田区は都議会自民党の実力者、内田茂都議の地盤でもある。

築地市場の豊洲移転の見直しや、東京五輪・パラリンピックの費用圧縮などを小池氏は主導してきた。改革姿勢が評価され、保守票が自民候補から離反した表れと言える。

政党側が受けた衝撃は大きい。

小池氏は地域政党「都民ファーストの会」を発足させ、都議会で支持勢力が過半数を制することを目指す。都議選で数十人規模の候補の大量擁立を検討しており、選挙構図はこれまでと一変しそうだ。

とりわけ自民党にとって、小池氏らが保守層を巻き込み、支持を広げている事実は重い。都議選は政党の勢いが試される。結果次第では安倍晋三首相の衆院解散戦略などに影響する可能性もある。

政権に復帰して以来、自民党は「1強」状態を強めている。

だが、地方選挙とはいえ自民が「小池劇場」の前に無力だったことは、民意の受け皿次第で状況が大きく変わるもろさをのぞかせたと言える。1強状態も有権者の民主党政権への失望感に支えられたもので、必ずしも安倍内閣の実績に満足し、自民党の基盤が強化されているわけではない可能性がある。

一方で小池氏も完勝におごらず、着実に改革に取り組む必要がある。

都議会自民党との対決構図を強調すること自体が目的化しないよう、注意すべきだ。都議会で公明、民進両党はすでに小池氏に接近している。自民党も小池氏との衝突回避を探るなど、すでに知事主導になっているのが実態ではないか。

それでもなお都議会に「自前の党」を進出させるのであれば、将来的に国政政党を展望するかも含め、有権者に地域政党の目的をより明確に語る必要がある。豊洲問題の対処方針も含め、多くの判断材料の提示に努めなければならない。
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[日経新聞] イランとの対立再燃を避けよ (2017年02月07日)

弾道ミサイルの発射実験を実施したイランに対し、米トランプ政権がミサイル開発やテロ支援に関与した団体や個人を対象に追加制裁を科すことを決めた。イランは報復措置を取ると警告している。

対立を再燃させてはいけない。イランは米欧など6カ国との核合意を足がかりに、国際社会へ復帰しようとしているところだ。対立への逆戻りは中東の緊張を一気に高めることになりかねない。

トランプ大統領はミサイル発射を受けて、「あらゆる選択肢を排除しない」と語り、イランへの圧力を強める姿勢を明確にした。心配なのは核合意の行方だ。

トランプ氏は選挙運動中から、「核合意は最悪だ」として破棄を主張してきた。合意はイランの核開発を制限する見返りに米欧が経済制裁を解除する内容だ。

核合意は欧州やロシア、中国も加わる国際合意であり、簡単に破棄できない。米国が一方的に背を向ければ、イランに核開発再開の口実を与えるだけだ。イランを国際社会の内側にとどめ、核開発を国際監視下に置くほうが核拡散の抑止につながるはずだ。

イランはシリアやイラクなどの情勢にも影響力を持つ。シリア内戦の収拾や過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討は、イラン抜きでは進まない。

核合意に伴って経済制裁が解除された結果、イランの原油生産はほぼ制裁前の水準に戻り、外資の進出も始まっている。国民には経済回復への期待が高まっている。

イランでは5月に大統領選挙を控えている。米国が締め付けを強める結果、対外融和を重視するロウハニ大統領に代わり、米欧との関係改善に否定的な保守強硬派が台頭するようでは逆効果だ。

国連安全保障理事会決議はイランに、核弾頭を搭載できるミサイルの開発を禁じている。イランは抵触の疑いを招く挑発行為を控えなければならない。

米国に核合意の意義を説き、イランに自制を促すのは欧州や日本の役目である。
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[日経新聞] 米金融規制の改革は日欧とも足並みを (2017年02月07日)

米国のトランプ大統領が金融規制を見直す大統領令に署名した。オバマ前政権が金融危機の再発を防ぐ目的で導入した「金融規制改革法」(ドッド・フランク法)が主な対象だ。厳格化の方向だった米国の金融規制が、成長の促進に比重を置いたものへと変質していく可能性がある。

私たちはリーマン・ショック後の金融行政について、過剰規制はお金の流れを滞らせ成長を阻害しかねないと主張してきた。そうした視点に立てば、複雑で厳しすぎるとの批判もあったドッド・フランク法の見直しそのものに、大きな違和感はない。

今後は日本や欧州の金融当局との足並みも乱すことなく、広い視野で見直しを進めることをトランプ大統領に望む。

大統領令は「米国民の資産形成を可能にする」「金融機関の救済に公的資金を投じない」「米企業の競争力を保つ」などの基本原則を記した。そのうえで米財務長官が米国の他の金融当局と協議のうえ、現在のルールが原則に沿ったものかどうかを点検し大統領に報告するよう求めた。

基本原則はおおむね常識的な内容を確認するものが多いが、懸念すべき部分も含まれている。たとえば「国際的な交渉や会合で米国の利益を追求する」といった部分だ。貿易交渉などと同様、金融規制づくりにおいても国際協調に消極的な大統領の姿勢を反映していると解釈できる。

グローバル化した金融市場の規制は国際的に調和をはかっていくことが欠かせない。協調を欠けば投資資金の流れがゆがみ、新たな金融不安定化の芽が生じかねない。一国主義にもとづく規制づくりは危険をはらむ。

米国内には多くの日本や欧州の金融機関が拠点を構える。日欧金融機関からは、米国内の資本規制などが厳しすぎて自由に業務ができない、との声が聞かれる。米経済の成長を促すことが目的ならば、日欧金融機関の声にもよく耳を傾けるべきだ。

これまでのトランプ氏の発言からすると、大統領の狙いは中小企業に対する銀行の貸し渋りを解消することにあるようだ。貸し出しを増やすにはどんなルールが必要か。巨大銀行は再び投機的な取引に傾斜しないか。そうした観点から日欧の当局や金融機関は米規制改革の行方を注視し、意見を伝えていく必要がある。
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[読売新聞] 日米経済協力 相互に国益を満たす連携探れ (2017年02月07日)

日米経済の繁栄は、反目ではなく連携を強めてこそ実現できる。両国首脳は、相互に利益となる協力関係の重要性の認識を共有すべきだ。

安倍首相はトランプ米大統領との日米首脳会談で、新たな日米経済協力の施策を提案する。

米国にインフラ(社会資本)投資などで51兆円規模の市場をつくり、70万人規模の雇用を生み出す案を軸に検討している。

米国内で計画される高速鉄道事業や、3000両の鉄道車両刷新などに向け、日本のメガバンクや政府系金融機関が10年間で約17兆円の資金を供給するという。

効率のよいガス火力発電や、小型原子力発電にも参画する。

一連の事業は、米国内の雇用促進にこだわるトランプ氏の期待に応えるものである。

米高速鉄道などは、日本の経済界がかねて参入を目指していたインフラ輸出につながる。ロボットや人工知能の開発など、日米の技術力を組み合わせるプロジェクトも盛り込まれている。

今回の提案は、米国の雇用創出のみならず、政府が掲げる第4次産業革命などの成長戦略に合致している。日本企業のビジネスチャンスの拡大も期待できる。

日米双方に恩恵を与える経済協力が、両国の信頼関係を前提とするのは言うまでもない。

トランプ氏は、日米自動車貿易を「不公平だ」とやり玉に挙げ、為替政策についても「円安誘導を続けた」と攻撃している。

首相はトランプ氏に対し、事実誤認の見解にはしっかりと反論し、筋違いの「日本叩(たた)き」を改めさせる必要がある。

首相が言うべきことを言わないようなら、米国に配慮した経済協力も「米国が強く出れば、日本は応じる」といった誤ったメッセージを与えかねない。

今回の提案では、アジア地域での日米協力も打ち出した。

液化天然ガス(LNG)基地の整備を進め、米国で増産が見込まれるシェールガスのアジアでの受け入れ拡大を後押しする。

鉄鋼の過剰供給への対処、知的財産保護でも協力を強める。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効が困難となり、存在感を増す中国を牽制(けんせい)する狙いとみられる。

日本にとっては、米国が同意しやすい分野からTPP合意の実質的な実現を図る「名を捨てて実を取る」戦略と言えよう。

そのうえで、首相は自由貿易体制の重要性についても、トランプ氏に理解を求めねばならない。
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[読売新聞] 辺野古海上工事 普天間返還の遅滞を避けたい (2017年02月07日)

米軍普天間飛行場の返還をこれ以上、遅らせてはなるまい。辺野古移設を着実に進めたい。

政府は、沖縄県名護市の辺野古沿岸部で、埋め立てに向けた海上での本体工事の作業を始めた。まずは大型ブロックを投下し、海底に固定する。春にも埋め立て区域を堤防で囲む護岸工事に入る予定だ。

菅官房長官は記者会見で、「作業の安全と自然環境、住民生活に最大限配慮する」と語った。

工事主体の防衛省は、国土交通、法務、環境、警察など関係省庁と緊密に連携し、円滑で効果的な作業に全力を挙げてもらいたい。

日米両政府は早ければ2022年度の普天間飛行場返還で合意したが、沖縄県の反対で作業が中断するなど、工程は遅れている。

辺野古移設は、普天間問題の唯一の現実的な解決策である。移設の遅れは、危険な現状がそれだけ継続することを意味する。

昨年12月の最高裁判決で、翁長雄志沖縄県知事の埋め立て承認取り消しが「違法」とされた以上、政府が作業を急ぐのは当然だ。

政府は、3月末に期限が切れる岩礁破砕許可を県に再申請しない方針を固めた。地元漁協が周辺海域での漁業権を放棄したため、再申請は不要と判断した。更新を不許可にするという翁長氏の対抗手段を封じるためもあろう。

一連の工事には、反対派の妨害活動も予想される。法に基づく適正な取り締まりが欠かせない。

工事開始に対し、翁長氏は「認められない。直ちに停止すべきだ」と反発した。埋め立て承認の「取り消し」でなく、状況の変化を理由とした「撤回」を検討し、あくまで移設を阻止する構えだ。

だが、県は昨年3月の国との和解で、最高裁判決に従い、「誠実に対応する」と確約したはずだ。政府は工事を10か月近く中断し、和解条項を履行した。翁長氏は埋め立てを受け入れるべきだ。

仮に埋め立て承認を撤回するなら、知事権限の乱用だろう。

翁長氏は先月末から約1週間、米国を訪問し、下院議員や米政府の担当者と面会して、辺野古移設への反対を訴えた。訪米は3回目で、翁長氏は「柔軟な議論ができた」と成果を自賛した。

しかし、来日したマティス米国防長官が辺野古移設を推進する方針を表明するなどし、翁長氏の訪米は空回りに終わった。

代替案も示さずに、「反対一辺倒」を唱えるだけでは、米側の理解は広がらない。知事の責任も果たせない。
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[朝日新聞] 辺野古着工 沖縄より米国優先か (2017年02月07日)

沖縄県民の民意を置き去りにし、米国との関係を優先する。安倍政権の強引な手法が、いっそうあらわになった。

米軍普天間飛行場の移設先、沖縄県名護市辺野古で、政府が海上工事に着手した。近く1個11?14トンのコンクリートブロック計228個を、海に投下する作業を始める。

昨年末の最高裁判決で沖縄県側の敗訴が確定し、陸上の工事は再開していた。このタイミングでの海上工事着手は、米国への強い配慮がにじむ。

3日に来日したマティス米国防長官に、安倍首相が「辺野古が唯一の解決策。着実に工事を進める」と約束し、同意をとりつけた。10日の日米首脳会談を前に、その言葉を実行に移しておきたい――。

1996年に日米間で合意した普天間の移設計画は、そもそも沖縄県民の基地負担を減らす目的で始まったはずだ。それがさまざまな経緯のなかで、政府と県民の分断を生んだ。

たび重なる選挙結果で、辺野古移設に反対する民意は明らかだ。それなのに、政府の姿勢は辺野古移設への既成事実を強引に積み重ね、県民があきらめるのを待つかのようだ。これでは分断は埋まるどころか、いっそう深まるばかりだ。

工事の進め方も県民の理解を得ようという姿勢とは程遠い。

前知事の埋め立て承認の際、工事前に政府と県とが事前協議をするはずだった。だが今回、政府から関連文書が県に届いたのは先週末の3日。十分なやりとりをする時間はない。翁長知事が「荒々しいやり方」だと批判したのも無理はない。

工事は海底の地形を変化させ、水産資源に影響を与える恐れがある。このため県漁業調整規則にもとづき知事の「岩礁破砕許可」が必要だが、前知事が出した許可は3月末に切れる。

政府は「地元漁協が漁業権を放棄した」として、許可の更新は必要ないとする。これに対し県は「漁業権の一部変更であって、消失していない」と更新が必要だと主張する。

見解に食い違いがあれば話し合い、一致点を見いだすのが当たり前の姿だ。政府が許可を申請せずに工事を続ければ、県は行政指導や法的な対抗手段をとることを想定する。

政府と県の対立がさらに深まれば、日米関係そのものが不安定になりかねない。

政府がなすべきは、沖縄の声をトランプ米新政権に伝え、辺野古以外の選択肢を真剣に検討することだ。工事を強行することではない。
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[朝日新聞] 大統領と司法 三権分立を脅かすな (2017年02月07日)

トランプ米大統領は、民主社会の根幹である「三権分立」を理解していないのではないか。

すべての難民や、中東・アフリカ7カ国の国民の入国を一定期間禁止した大統領令に対し、司法が待ったをかけた。

西部ワシントン州の連邦地裁が「州の雇用、教育、産業に悪影響を及ぼす」として、本訴で判断が出るまで大統領令の効力を一時停止した。政権は上訴したが、控訴裁は退けた。

この大統領令をめぐっては、信教の自由や市民の平等という、米国の建国以来の理念に反するとの批判がおきている。

憲法違反の疑いが指摘されるだけでなく、多くの移民を雇用する米企業が打撃を受けかねない。米国で学ぶ若者が里帰り先から戻れなくなるなど、市民の「実害」も出ていた。

司法判断により、入国禁止の措置は解かれ、ひとまず混乱は回避される方向だ。ここは、独立した司法の機能がきちんと果たされたと評価したい。

しかし、なお問題が続くのはトランプ氏の反応だ。司法に対し怒りをあらわにしている。

司法の決定内容に不服を表すことは過去の大統領もあった。だがトランプ氏の場合、「いわゆる裁判官」と判事を軽蔑し、「法の執行をこの国から根本的に取り上げる裁判官の意見はばかげている」と、司法の権限への疑問まで示唆している。

大統領も、司法と議会のチェックを受けるのが三権分立だ。その大統領が、判事の資質をおとしめたり、司法の独立を問題視したりすれば、米国の立憲主義が危うくなる。

浮き彫りになったのは、議論を尽くさず拙速な大統領令に走るトランプ政権の危うさだ。

そもそも、入国禁止の対象とされたシリアやイラクなど7カ国の出身者が、米国内で大きなテロを起こした前例は確認されていない。

むしろ最近は、国内で生まれ育った若者がネットを通じて過激思想に感化されて起こすテロの危険性が指摘されている。

特定宗教の排斥と、それに伴う反米感情がテロの土壌を生むことを考えれば、トランプ政権の対応こそが米国をより危険にしている可能性がある。

この問題で米社会の賛否は割れている。トランプ氏の強気の背景には、大統領選で示された自身への支持が続いているとの思いがあるのかもしれない。

だがこれ以上、米社会を分断させる振るまいは慎むべきだ。いま専念すべきは、国民の統合と世界の安定に向けた政策を練る政権の態勢づくりである。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする