2017年02月06日

[産経新聞] 【主張】検索削除判断 表現の自由には重責伴う (2017年02月06日)

過去の逮捕歴に関する記事をインターネットの検索サイトから削除するよう求めた仮処分申し立てで、最高裁は削除を認めなかった東京高裁の決定を支持した。

「表現の自由」を重視した妥当な判断である。一方で最高裁は「検索事業者の表現の自由と比較して、プライバシーが優越することが明らかな場合には、検索結果の削除を求めることができる」とする基準を示した。

削除の可否は個々の事案のケース・バイ・ケースであり、検索事業者の「表現行為」には自由と、これに伴う責任があると認定したものだ。掲載事項が無制限に認められたものではない。

検索事業者は従来、情報発信者と検索者を機械的につなぐ「媒介者」にすぎず、責任は負わないとの立場をとってきたが、最高裁はこれを否定した。ただグーグルやヤフーなどの検索大手はすでに、削除要請などに対して柔軟に応じる姿勢を示している。今後も検索サイトの運営には、重い責任を負わなくてはならない。

仮処分を申し立てた男性の逮捕歴は、児童買春の容疑だった。最高裁は「児童買春が児童に対する性的搾取及び性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることに照らし、今なお公共の利益に関する事項であるといえる」と判断した。罪種で判断を分けることについては異論もあろうが、おおむね社会通念に沿った意見であると評価できる。

続きを読む

今後は「表現の自由」と「プライバシー」のどちらが優先されるか、個々の判例の集積で示されることになる。だが、一義的にはまず、表現者である検索サイト側が判断すべき問題だろう。

それは記事配信を行う、産経新聞などの報道機関にとっても同様の責務である。

プライバシーが表現の自由に明らかに優越すると判断すれば速やかに記事を削除する。同時に、安易に削除要請に応じることも戒めなくてはならない。

男性の申し立てを認めたさいたま地裁は国内で初めて「忘れられる権利」を認定したが、東京高裁は「忘れられる権利は法律で定められたものではない」と指摘し、地裁決定を取り消した。

法律にない以上、この問題への言及を避けた最高裁の判断は当然といえる。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[産経新聞] 【主張】一極集中の是正 地方高齢者への支援急げ (2017年02月06日)

安倍晋三政権が旗を振る東京一極集中の是正に成果がみられない。

総務省の人口移動報告によれば、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は21年連続で転入超過となった。大阪圏と名古屋圏は4年連続の転出超過だった。

より条件の良い働き口を求め、人々が集まってくるためだろう。東京五輪に向けて、こうした流れはさらに強まるとみられる。

地元に残りたくても、思うような仕事が見つからない。進学や就職を機に若者が転居するのはやむを得ない。

一極集中への歯止めには、大学などで身に付けた知識を活用できる仕事の創出が不可欠だ。地方創生も、そこにもっと重点を置いた取り組みを急ぐべきである。

転入超過だった東京圏でも、その人数は5年ぶりに減少した。少子化で若者の絶対数が減ったことが要因だという。代わって、今後増えるとみられるのが地方で1人暮らしをしてきた高齢者だ。

要介護状態になくとも、通院や買い物などの日常生活が困難だという人は多い。こうした高齢者が東京圏に住む子供などを頼って同居や近居を選ぶケースはすでに目立っている。

東京圏の高齢化がさらに進めば、病院や福祉施設の不足がさらに深刻化する。

こうした高齢者は、少しのサポートがあれば、住み慣れた地域で暮らし続けられる。地方高齢者の生活支援の強化を求めたい。

続きを読む

例えば、安価な家賃の高齢者住宅を整備し、病院への送迎、役所の窓口での手助けといったサービスを、公的事業として展開してはどうか。これらはコンパクトな町づくりの推進にもつながる。

東京一極集中の是正は、国土形成に関わる問題でもある。人口が集中する東京圏は、経済の牽引(けんいん)役を担ってきた。

だが、この成長モデルは長く続かない。食料を供給してきた地方が疲弊すれば、東京圏も機能しなくなるからだ。

東京直下型地震も予測されている。国家の危機管理の上でも大阪圏などとの多極化が望ましい。

五輪後を見据え、東京圏をどう位置付け、人口集積によらない新たな成長モデルをどう築くか。

安倍政権には、早期に国家のグランドデザインの検討に入ってもらいたい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] アフリカ独裁国 小さな国の大きな前進 (2017年02月06日)

西アフリカ・ガンビアで選挙敗北後も居座りを続けていた大統領を、周辺国連合が圧力をかけ退任させた。一見、手荒に見えるが、貧しい小国の政権交代、民主化を後押ししたと注目したい。

人口二百万人のガンビア。昨年十二月の大統領選で現職ヤヤ・ジャメ氏は敗北したが、再選挙を要求し任期満了後も退陣を拒んだ。

十五カ国でつくる西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はガンビア民主化への深刻な危機だと判断し、軍事介入も辞さない姿勢を見せた。二十二年間、政権を維持してきたジャメ氏は抗しきれず国外に逃れた。当選したアダマ・バロウ氏が今月半ばにも大統領就任式に臨む。

これまでアフリカでは、ある国が政情不安になると、周辺国が自国民と同じ民族の保護などを理由に介入し、何度も紛争が起きた。ガンビアの場合、周辺国が軍事、外交両面で圧力をかけ、流血事態を避けながら政権交代を促した。

西アフリカでは、クーデター、内戦や独裁という苦難を経ながら民主化の道を歩む国がある。

アフリカで人口が最多のナイジェリアでは二〇一五年の大統領選で現職がいち早く敗北を認め、支持者同士の大規模な衝突もなく新政権に移行した。リベリアは内戦を経て〇六年に女性大統領が誕生した。一四、一五年にはエボラ出血熱まん延という非常事態に直面したが、復興を目指している。

一方で、一人の指導者が二十〜三十年間統治したり、父子二代で権力を継承する独裁国家がある。経済成長が著しい国でも、ルワンダでは現職大統領が憲法改正をして長期政権を目指し、エチオピアは政権が野党や反対勢力を弾圧している。

アフリカ全体では民主化は一進一退に見えるが、公正な選挙で平和的な政権交代が保証されるよう国際社会が支えるべきだ。

日本は国連機関と共にアフリカ開発会議(TICAD)を主催している。天然ガスや地熱発電開発、感染症対策など医療と衛生、農業ではコメの生産指導など多様なプロジェクトがある。民衆の生活向上を援助することが、必ず民主化につながるはずだ。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[東京新聞] 千代田区長選 区民都民のためであれ (2017年02月06日)

政策論争よりも、政局争いが前面にせり出した東京都千代田区長選だった。五選を果たした石川雅己氏(75)だが、高齢や多選への懸念をどう払拭(ふっしょく)するか。区民との向き合い方こそが試されるだろう。

首都の真ん中に位置する千代田区の首長選びとはいえ、これほど脚光を浴びたことがかつてあっただろうか。もっとも、多くのまなざしは、皮肉にも、候補者の頭上を通り過ぎて、背後に控えた人たちに注がれた。

現職の石川氏を支えた小池百合子知事と、与謝野馨元財務相のおいで、新人の与謝野信氏(41)を推した地元選出の内田茂都議だ。

自民党都連幹事長を長く務めた内田氏は、都議会の実力者といわれる。先の知事選に絡み、都連との確執を抱えた小池氏は、都議会自民党が主導してきた都政を「ブラックボックス」と批判して、透明化を強く進めている。

いつしか区長選は、内田氏ら都連と小池氏の対立を映した「代理戦争」と呼ばれた。七月の都議選、さらに次期衆院選に影響を与えうる前哨戦と意味づけされた。

都議会の勢力図はどう塗り替わるか、皮算用をはじくのも興味深いに違いない。だが、区民不在のいわば空中戦が目立ち、政策論争が後退しがちだったのは残念だ。

英国の国民投票や米国の大統領選の経緯を顧みれば、民主主義の可能性と限界を見つめ直すべき時代に入ったのではないか。規模の大小を問わず、一つ一つの投票機会を丁寧に扱うことが重要だ。

「代理戦争」というステレオタイプが、有権者の投票行動を左右した面はなかったか。政治勢力がつくり出す空気に押し流されては、民主社会が危うくなる。

有権者が冷静に投票先を決めるには、多様かつ正しい情報へのアクセスが欠かせない。メディアが果たすべき役割は大きく、責任は重い。あらためて自戒したい。

千代田区には日本の政官財界の中枢が集積し、昼間の人口は八十万人を上回る。実際の住民はおよそ六万人だが、都心回帰の動きは著しく、十五年間で五割近く増えた。

二十三ある特別区は、首長と議会の二元代表制で成り立つ基礎的自治体だ。なのに、町づくりの権能や税源を都によって制約されてきた歴史がある。

かつてそれに異を唱え、自治権の拡充を求めて「千代田市」構想を打ち出したのは、石川氏だ。真の住民自治、団体自治をどう確立するか。骨太の改革を巡り、小池氏と連携してもらいたい。
posted by (-@∀@) at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 原発内部の確認 廃炉の道一段と険しく (2017年02月06日)

[PR]

廃炉の道が、従来の想定よりも一段と険しいことが浮かび上がった。

炉心溶融を起こした東京電力福島第1原発2号機で、原子炉圧力容器の下部に初めてカメラが入った。作業用の足場に堆積(たいせき)物があることが確認された。溶融した核燃料の可能性が高いと見られている。

東日本大震災から6年近くを経たが、内部が確認できたことは、廃炉作業にとって一歩前進だ。

だが、東電の解析によれば、現場の放射線量は1分足らずで人間が死亡するほど高く、溶融燃料と見られる堆積物は広範囲に飛散していた。東電はカメラ付きのサソリ型ロボットを月内にも投入し、本格調査する予定だったが、見直しを迫られた。

このままでは、30?40年かかるとされる廃炉期間が拡大し、2兆円から8兆円に見直された廃炉費用もさらに膨れあがることは確実だ。

廃炉費用は東電が負担することになっているが、結局は、電気料金を支払う消費者の負担となる。

技術開発の進め方は妥当か。廃炉費用を抑制する方策はないのか。政府と東電は、事故対応のあり方を、抜本的に見直す必要がある。

福島第1原発事故では1?3号機で炉心溶融事故が起きた。政府と東電の廃炉工程表では、2018年度に1?3号機のいずれかで溶融燃料の取り出し工法を決め、21年中に取り出しを始めることになっている。

そのためには、溶融燃料がどこにどのように分布しているかや、性状を把握しておく必要があるが、いまだによく分かっていない。

今回、2号機は内部調査の入り口でつまずいた。それでも1、3号機よりはましだ。この2基は水素爆発で原子炉建屋が壊れるなど損傷が激しく、調査はうまくいっていない。

炉心溶融が起きた1979年の米スリーマイル島原発事故では、溶融燃料の取り出しが始まったのは事故から6年後、作業が終了したのは11年後だ。溶融燃料は圧力容器内にあり、内部を水で満たして放射線を遮りながら遠隔操作で取り出した。

福島第1原発1?3号機は圧力容器外に核燃料が溶け出ており、作業はより困難だ。取り出した溶融燃料の保管方法や場所も未定だ。政府と東電は内外の英知を集め、一層の技術開発に取り組むべきだ。

廃炉工程を考える上で、忘れてはならないのは、廃炉の進展度合いが地域の復興や住民の帰還にかかわることだ。その一方で、無理な作業工程を設定すれば、作業員の労災や被ばくのリスクを高めかねない。

困難な道のりだが、政府と東電には、情報公開を徹底するとともに、廃炉の課題を着実に克服していく取り組みが求められる。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 日本のビールも世界で勝負を (2017年02月06日)

酒税法が改正され、ビール系飲料にかかる酒税が段階的に統一される見通しになった。ビールは減税、発泡酒などは増税となる。国内の税制に合わせ低価格品の開発に注力してきたビール各社はこれを機に、世界市場をみすえ質の高いビールに力を入れてほしい。

ビールの税率は長く高止まりしていたため、各社は味はビール風だが税率の低い商品を開発してきた。海外ではほとんど売れず、価格競争による国内シェア争いは経営の体力を奪った。ビール系飲料全体の市場規模も1994年のピーク時より3割減っている。

いびつだった税制が変わるのを機に、新ブランドを立ち上げては廃止するやり方を改め、長く愛され、国際競争力につながる商品開発やマーケティングに目を向けたい。国内でしっかり収益源に育てられれば海外展開の道も開ける。

世界のビール業界では近年、買収によりトップ企業グループへのシェア集中が進んでいる。日本メーカーが規模の競争でこれから太刀打ちするのは簡単ではない。

ただし韓国、台湾などのアジア向けを中心に、日本のビール輸出は毎年2割以上のペースで伸びている。訪日観光でファンになった人などが日常的に購入するようになってきたという。

米国では業界再編による味の画一化の影響もあり、クラフトビールと呼ばれる個性派ビールのシェアが10%を超えた。米欧でも日本のビールの勝機は十分ある。各社が近年、相次ぎ買収した海外の酒メーカーの持つ生産設備や販路も、うまく活用したい。

ビール減税は大手以外の企業にも追い風になる。日本でのクラフトビールの市場シェアはまだ1%程度だが、減税になれば値下げできる。複雑だった税制が簡素化されれば海外メーカーの目がこれまで以上に日本市場に向く。国内市場の競争環境も変わるわけだ。

規模は大きいが内向きだったビール業界が、いかに国際プレーヤーに脱皮するか。他の内需型産業に手本を示してほしい。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[毎日新聞] 視点・トランプ時代/10止 中東政策 思い上がりは混沌招く=論説委員・布施広 (2017年02月06日)

[PR]

入国規制の米大統領令を聞いて、ユダヤ人迫害を思い出した。第二次大戦時、ナチス・ドイツはユダヤ人を識別すべく彼らに六芒星(ろくぼうせい)(ダビデの星)のバッジを付けさせ、収容所にも送った。

何を大げさな、とトランプ政権の支持者は言うだろうか。ユダヤ人大虐殺(ホロコースト)と違って大統領令は誰も殺傷していないではないかと。

だが、国や民族、宗教などで人々を差別、隔離する発想は全く同じだ。入国禁止の対象となった中東・アフリカ7カ国はいずれもイスラム協力機構の加盟国(シリアは資格停止中)で人口の総計は2億人を超える。連邦地裁が大統領令を問題視して差し止めを命じたのは当然だ。

辛酸をなめたユダヤ人のイスラエル建国を後押ししたのは米国である。ゆえに両国が特別な関係にあるのはいいとして、米国が内向きになるとイスラエルに似てきて、その分イスラム諸国が両国への反発を強める傾向があるのは注意を要する。

例えば2001年の米同時多発テロ後、ブッシュ(息子)政権は先制攻撃論に基づくイラク戦争を始めて泥沼に入った。イスラエルは81年のイラク原子炉空爆などの「防衛的先制攻撃」を続け、これが先制攻撃論の原形になったと言われる。

また、トランプ大統領がメキシコ国境に造る壁は、イスラエルがテロ防止を理由に建設した分離壁からの着想とされる。国際司法裁は分離壁を「違法」としているが、トランプ政権はイスラエルが首都と主張するエルサレムへ米大使館を移す構えも見せ、両国の緊密化が顕著だ。

これに対する反発が怖い。中東は怨念(おんねん)の地だ。同時テロの首謀者ウサマ・ビンラディン容疑者は04年、「パレスチナとレバノンで米国とイスラエルの同盟がなした不正な行いや圧制」が、自分に同時テロを決意させたとビデオ声明で語った。

これをそのまま信じる必要はないが、米国自身も反省したはずだ。例えば同時テロの独立調査委員会が04年にまとめた報告書は、テロ防止策としてイスラム世界に米国の理想を明確に示す必要性を説いている。

さらに超党派の「イラク研究グループ」は06年、米政府に対しイラク周辺国との関係改善と中東和平に対する直接的な関与を提言した。今も有益な勧告だが、トランプ政権はたぶん一顧だにしないだろう。

だが、思い上がって過去の教訓を無視すれば、中東における米国像はゆがみ、混沌(こんとん)の時代がやってこよう。国際社会もいや応なく巻き込まれる。=「トランプ時代」おわり
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 毎日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[日経新聞] 「共謀罪」は十分な説明なしには進まない (2017年02月06日)

テロや組織的な犯罪を、実行する前の計画段階で処罰する「テロ等準備罪」の新設を目指し、政府が組織犯罪処罰法の改正を検討している。いまの国会に法案を提出し、成立を図る構えだ。

この法案は国際組織犯罪防止条約を締結するための前提として、各国に整備が義務付けられた法律という位置づけだ。

これまでは「共謀罪」法案として3度国会に出されたが、「処罰対象が不明確で、恣意的に運用されかねない」といった批判が強く、いずれも廃案となった。

こうした経緯を踏まえた結果であろうが、法案提出の前から始まっている国会の論戦では理解に苦しむ場面が多い。

2020年の東京五輪対策やテロ防止を過度に強調したり、条約上絞り込めないと明言していた600超の対象犯罪を半数程度に削る姿勢を見せたり、政府側の対応はあいまいで二転三転している。

イメージの悪さを払拭する必要からか、「共謀罪とはまったく違う」「発想を変えた新たな法律だ」との説明も聞かれた。だが共謀罪とまったく違うなら肝心の条約が締結できなくなってしまう。こうなると一体何を目指しているのかさえよく分からない。

犯罪の共謀を罰する規定は、現行制度でもすでに爆発物取締罰則や国家公務員法などに13あるという。問題は共謀罪を新たに設けるということより、条約に便乗するような形で幅広く網をかけようとしてきた政府側の姿勢であることを指摘しておきたい。

各国が一致して組織犯罪を封じ込めていくという条約の意義は大きい。これに加わらないと、外国との容疑者引き渡しが滞るなど不利益があることも理解できる。

ただ条約の重点は本来、資金洗浄や人身取引などの組織犯罪に置かれている。もちろんテロも組織犯罪の一つで、同じような対策が有効だが、「テロのため」だけを強調すると本質からずれてしまわないだろうか。

そもそも国民の権利の侵害につながる懸念を持つ法案である。「本当に条約を締結するために不可欠なのか」「どの程度、処罰対象を限定することが可能か」といった疑問点も多い。

まさかカジノ法のときのような、駆け込み的成立を狙っているわけではなかろう。ここはまずは腰を据えて、分かりやすく説明していく必要がある。
posted by (-@∀@) at 12:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] カジノ誘致構想 住民の不安を解消できるのか (2017年02月06日)

カジノを導入すれば、地域に様々な問題が生じる。誘致を目論(もくろ)む自治体は、深刻な弊害に目をつぶったまま、構想を具体化するつもりなのか。

昨年12月のカジノ解禁法の成立を受けて、関係自治体の動きが活発化している。

大阪市と府は、経済団体とともに構想案をまとめた。臨海部の人工島・夢洲の約70ヘクタールに大型複合施設を整備する。2024年頃の開業を見込み、市長・知事直轄の部局を近く共同設置するという。

計画実現には、国から区域指定を受けて、事業者を募る必要がある。いち早く青写真を掲げ、意欲をアピールする思惑があろう。

ここは、立ち止まるべきだ。

カジノを不安に思う住民は少なくない。昨年秋の読売新聞の府民世論調査では、誘致反対が半数を超えた。地元経済界にも「ギャンブル依存症対策など宿題が多い」「もの作りで雇用を生むのが本来の姿だ」などと消極論が残る。

夢洲は1977年に開発が始まり、約3000億円の公費が投入された。大阪五輪の選手村建設が計画されたが、招致の失敗で空き地がたなざらしになっている。

失政のツケを、カジノと25年の大阪万博誘致で解消しようという発想は安直すぎないか。

府が1月に公表した影響調査報告書は、年6300億円の経済効果や7万人の雇用創出をうたう。依存症対策などについては、諸外国のカジノ規制策が「我が国でも有効だ」などと説明している。

だが、「カジノ運営会社だけが利益を吸い上げ、地方創生につながらない」と分析する専門家は少なくない。反社会勢力の介入を防ぐ方策の検討も不十分だ。

アジア各国には既に、幾つものカジノがある。交通網の整備など、巨額の先行投資に見合う経済効果が得られる保証はない。

北海道や九州の自治体でも、カジノの計画が浮上している。

訪日客を増やす狙いだが、外国人が果たして日本観光にカジノを期待しているのだろうか。

自治体は、カジノを頼りにする前に、活用できる地域の魅力がないか、再点検すべきだ。

横浜市では、経済活性化をうたって誘致に前向きだった林文子市長が「ギャンブル依存症対策の研究を優先すべきだ。具体的な動きは難しい」と慎重論に転じた。

夏の市長選に向け、新人の候補予定者が「カジノ反対」を主張し、争点に掲げたためだろう。市民に堂々と説明し切れないような施策を再考するのは当然である。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[読売新聞] 日本映画活況 魅力ある作品をもっと見たい (2017年02月06日)

世界的な数々の名作を生んだ日本の映画界が、活気を取り戻しているのは、うれしいことだ。

昨年1年間の映画館の入場者数は、42年ぶりに1億8000万人を超えた。家庭用ビデオが普及していない1970年代前半の水準に戻った。

邦画と洋画を合わせた興行収入は前年比8・5%増の2355億円に上り、過去最高を記録した。邦画収入が大幅に増え、全体の63%を占める。近年は、邦画優位の傾向が定着している。

特に、アニメ作品を中心にした魅力ある娯楽作が人気だ。アニメ・ファンタジー「君の名は。」と、危機管理をテーマに据えた特撮映画「シン・ゴジラ」が、それぞれ興行収入の1、2位を占めた。

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)による口コミを通じて人気が広がった。作品ゆかりの地を訪ねる「聖地巡礼」は社会現象になっている。

被爆前後の広島を舞台にしたアニメ「この世界の片隅に」は、キネマ旬報の作品賞に選ばれた。

資金不足で当初は作品化が危ぶまれたが、賛同者から出資を募る「クラウドファンディング」を始めると、目標の2倍近い約3900万円が集まった。映画ファンの後押しにより、良質の作品が日の目を見た典型例と言えよう。

今の活況をいかに維持し、さらに盛り上げていくか。それが映画界の課題である。

シネマ・コンプレックス(シネコン)の普及などにより、1年間に公開される邦画の本数は20年前の約2倍に増えたものの、観客が少ないと、上映の機会が減らされる。大ヒット作の陰で、忘れ去られる作品は数多い。

資金難のために、才能を発揮できずにいる若手制作者もいるだろう。アニメ制作現場では、過酷な労働実態が問題となっている。

将来の日本映画を担う人材を育成するためには、制作環境の改善が欠かせない。

文化庁は、若手アニメーターらを対象に、年間約2億円の制作支援事業に取り組んでいる。

気鋭の制作者を発掘して、優れた作品を世に送り出す。それが評判を呼んで、次作には企業などから制作資金が集まる。こうした好循環を生み出したい。

政府は昨年11月、映画産業の海外展開に関する検討会議を発足させた。急成長する中国の映画市場への進出も視野に、国際共同制作の支援などを進める。クール・ジャパンの一環として、日本映画の魅力を積極的に発信したい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] GPS捜査 明確なルールが必要だ (2017年02月06日)

言うな、残すな、広めるな。

明らかになったのは、警察の徹底した秘密主義である。

捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末をとりつけて居場所を監視する「GPS捜査」について、警察庁の運用マニュアルの一部がわかった。窃盗事件を審理している東京地裁が開示を命じた。

GPSを使ったことを、取り調べ時に容疑者に明かさない、捜査書類に書かない、報道機関に発表しないなど、「保秘の徹底」を説くもので、06年に全国の警察に通達していた。

文書の存在は知られていたが、警察庁は多くを黒塗りにしてきた。例えばGPS捜査の対象として七つの犯罪をあげていることがうかがえるが、それが何かは今も公になっていない。

適正な手続きに基づかなければ刑罰を科すことはできない。刑事司法の大原則だ。しかしこのマニュアルの下では、GPS捜査が行われたことを外部の者は知りえず、捜査の行きすぎの有無を弁護人や裁判所がチェックする機会も奪われる。

実際、ある窃盗事件の取り調べでは、捜査員がマニュアルに従い、容疑者に「GPSは使っていない」とうその説明をしていた。東京地裁の事件では、被告が途中で気づいて取り外したGPS端末を捜査員が押収しながら、経緯がばれないように目録に「白色塊」と記載した。

いずれも警察への信頼を失わせる行いである。

容疑者が、いつ、どう動いたか、情報把握が捜査に役立つことは大いにあるだろう。だが、期間の制約がないまま常時監視下におき、捜査終了後もその事実を当人に知らせず、移動の記録がどう扱われるかもはっきりしない。そんな運用は人権侵害のおそれが極めて高い。

GPS捜査が合法か違法かをめぐっては司法の評価も割れており、近く最高裁が統一判断を示す。その結論も踏まえ、警察の恣意(しい)を許さぬどんな措置をとるべきか、議論を深める必要がある。技術の進歩にルールが追いつかず、実務が先走る状況に歯止めをかけねばならない。

警察当局も最近になって姿勢を一部見直し、裁判所の令状をとったうえでGPS捜査を行う例が見られるようになった。捜査機関任せにせず、こうした第三者の目を入れる方向でチェック体制の確立を急ぐべきだ。

その際は、通達やガイドラインといったあいまいな取りきめではなく、法律で定めるのが適切だ。監視期間や事後の通知などの手続きを明確にし、人権保障と捜査の両立を図りたい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[朝日新聞] 無電柱化 防災の観点から本腰を (2017年02月06日)

空を見上げれば電柱と電線が視界に入る。日本の道路の無電柱化率は1%と、先進国で断トツに低い。電柱は災害時に倒壊すれば、避難路をふさぎ、電線が垂れ下がる危険もある。

昨年12月、無電柱化推進法が施行され、国や自治体、電力・通信事業者が責任をもってとりくむよう定められた。今後は無電柱化を加速させるべきだ。

いま日本には約3550万本の電柱がある。年に7万本ずつ増えている。政府は1980年代から電線を地中に埋める事業を進めてきた。だが、比較的進んでいる東京23区でも7%、大阪市で5%にとどまる。

ロンドン、パリ、香港で100%、台北95%、ソウル46%と比べても少なさがきわだつ。

日本では終戦後、復興を優先し、安価で短期間に工事できる電柱で電線を張った。それが見直されないまま時がすぎた。

細い道路事情や、当初から地中に埋めた他国との差はあろう。しかし道路は国土交通省、通信は総務省、道路使用は警察庁、電力は経済産業省など、縦割り行政が意思決定の遅れを招いたとの批判も強い。省の壁をこえて協力すべき時だ。

問題はコストだ。道路の下に管を埋め、ケーブルを通すと、1キロあたり5・3億円かかる。3分の2は国と自治体、残りは電力や通信事業者の負担だ。

国交省は線を入れる管を浅い層に埋めるなどし、従来より最大3割削減できると提案する。だが、劇的な普及には不十分だ。関連企業をまきこみ、さらに安い工法を開発し、事業者や自治体が踏み切りやすい環境づくりにとりくんでほしい。

災害の際、電柱は凶器になる。東日本大震災では約5万6千本、95年の阪神大震災でも約8千本が倒れるなどし、消防車が通れず、避難者や救援の行く手を遮った。03年の台風では沖縄県宮古島市で800本、13年には埼玉県越谷市で竜巻により46本が損壊した。

首都直下地震が心配される東京都では、小池百合子知事が無電柱化推進条例の制定や、都道での新設禁止をとなえ、東京五輪に向け整備を進める。昨年すでに条例をつくった茨城県つくば市、観光に力をいれる京都市、金沢市も前向きだ。

こうした自治体が広がり、その動きを政府が資金面や技術開発で後押ししていきたい。

住民の協力も欠かせない。電線の地中化は地上機器の置き場が必要な上、停電時は電柱より復旧に時間がかかるとされる。社会が無電柱化に関心を持ち、理解を深めることが大切だ。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする