2017年02月05日

[産経新聞] 【主張】米国防長官の来日 新たな同盟強化の起点に 抑止力向上へ自衛隊拡充せよ (2017年02月05日)

平和のために強固な日米同盟が必要であることを再確認した。

トランプ米大統領の信任が厚いマティス国防長官の来日は、日本の防衛とアジア太平洋地域の平和に資する、大きな戦略的意義を持つものだと評価できる。

マティス氏は安倍晋三首相との会談で、安全保障面で米国は日本を「百パーセント」支持すると表明した。

米国の日本防衛義務を定める日米安保条約第5条の適用範囲に尖閣諸島を含むことや、「核の傘」を柱とする拡大抑止の提供についても再確認した。

「核の傘」を確認できた

かけがえのない同盟について、認識を共有した。これを踏まえ、安倍首相はトランプ氏との首脳会談で盤石な日米関係の新たなスタートを切ってもらいたい。

強調しておきたいのは、日米同盟は日本の領域防衛のためだけに存在しているのではない、という点である。

米国のアジア太平洋地域への関心が低下し、米軍の前方展開兵力の維持に疑念が広がれば、地域情勢は悪化する恐れがある。

中国や北朝鮮など「力による現状変更」や軍事的挑発をためらわない国々が日本を取り巻いている。日米同盟が揺らいだと誤解されるほど危険なことはない。

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マティス氏の来日で両国が同盟の抑止力を誇示したことは、地域の諸国民が平和な暮らしを営む上で意義がある。それは日米両国の経済的繁栄にもつながる。

南シナ海で人工島の軍事拠点化を進める中国について、稲田朋美防衛相とマティス氏は会談で「安保上の懸念」を表明し、協力して対処することになった。

オバマ前政権は南シナ海で「航行の自由」作戦を行ったものの、国際ルールを無視する中国の行動を止められなかった。

トランプ政権がどのような南シナ海政策をとるかはまだ見通せないが、日本は当事国として積極的に連携する姿勢を示すべきだ。

既に日本は、フィリピンやベトナムなど中国に圧迫されている国々への巡視船供与など「能力構築支援」を行っている。南シナ海での海上自衛隊の共同パトロールも選択肢となり得るだろう。

安全保障関連法の施行を受け、自衛隊は、台湾海峡有事に備えた図上演習を行った。重要な海上交通路(シーレーン)である南シナ海での紛争も「重要影響事態」となる可能性がある。

これらに備えることが同盟の抑止力を高め、中国に自制を促し、紛争を防ぐことにつながる。

稲田氏との会談を経て、マティス氏は在日米軍駐留経費の日本の負担のあり方を「お手本」と評価した。

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トランプ氏は大統領選のさなか、日本の負担が過小であると繰り返し、主張した。それによって日米間に生じたわだかまりは解消できたのではないか。

日本主体の尖閣防衛策を

強調したいもう一つの点は、尖閣防衛への米国の協力が確認されたことは歓迎すべきであるものの、それに安堵(あんど)して防衛努力を怠ってはならないことである。

米国が差しかける「核の傘」があればこそ、非核国の日本は、核武装する中国が尖閣を狙っていても守りを固めることができる。

日本の領土である尖閣の防衛は、あくまでも一義的には自衛隊が主体で行うものだ。

だが、米政府要人との会談ごとに、尖閣への安保条約適用を確かめて満足するような政府の姿勢がうかがえる。自国防衛の決意と態勢が、なお十分でないことを露呈していないか。

安倍首相がマティス氏に対し、「防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく」と伝えたのは妥当である。肝要なのは有言実行だ。

安倍政権は防衛費を毎年、わずかながら増額し、平成29年度予算案では5兆円超となった。だが、GDP(国内総生産)比では1%にとどまる。

一方、中国や北朝鮮は地域の軍事バランスを崩すようなペースで軍拡をしている。防衛費の思い切った増額に踏み切らなければならないし、敵基地攻撃能力の導入も待ったなしの課題である。

もとより、これらは好戦的な発想に基づくものではない。自衛隊と日米同盟の強化こそ、平和を保つ近道であり、経済的繁栄の基盤の確保にも欠かせない。
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[東京新聞] 週のはじめに考える 誰のための「核心」か (2017年02月05日)

中国の習近平氏が共産党の「核心」とされました。権力を国威発揚や社会の締めつけでなく、格差是正など民のための政治に使ってほしいものです。

先月末に春節(旧正月)を迎えた中国は、一年のうちで最もはなやいだ雰囲気に包まれています。都市部では禁止されているところもありますが、伝統的な爆竹音が街のあちこちで聞かれました。

新年の宴に招いてくれた上海の友人宅の壁には、真新しいカレンダーが掛けてありました。中山服姿の習氏と軍幹部でもある彭麗媛夫人の軍服姿の大きな写真をあしらったものでした。習氏は二〇一五年秋に天安門広場で軍事パレードを閲兵した際に、詰め襟の黒い中山服を着用しました。

聖域ともされた人民解放軍の高級幹部の汚職摘発にも切り込み、中国トップの座について四年強で権力を固めた習氏の権威を象徴するかのようなカレンダーでした。

友人は「昨年暮れに屋台で買い求めましたが、この図柄のカレンダーが飛ぶように売れていました」と話していました。


◆賛美やおもねり
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昨秋の党の重要会議で、習氏は「党中央の核心」とされました。「核心」は重要問題で最終決定権を持つとされ、集団指導体制をうたう七人の最高指導部のうち名実ともに「一強」となった形です。

気がかりなのは、習氏が権力基盤を固めるにつれ、対外的には力を背景にした大国主義、内政面では言論の自由や人権派弁護士の抑圧など、社会的な締めつけが強まっていることです。

こうした社会の息苦しさと裏腹に、民衆の間には習氏賛美の声やおもねりの姿が目立つようになっています。習氏夫妻カレンダーの人気はそうした雰囲気と無縁ではないでしょう。

買い求めた友人ですら「偉大な中国を復興しようとする強い指導者には期待したいが、文革の悲劇を招いた毛沢東のような独裁政治の教訓を忘れてはならない」と自戒するように語りました。世界に目を向ければ、トランプ米大統領のポピュリズム的な政治手法が問題視されています。


◆党指導下での法治
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習氏が権力を固める大きな武器となった「トラもハエもたたく」という反腐敗闘争も、民衆の不満に働きかけて指導者が人気を集めるという意味では、社会を分断させ三権分立などの制度を軽視する危険性をはらんでいるでしょう。

習政権は来春にも、検察や警察をしのぐ権力を持つ「国家監察委員会」を新設する方針だと伝えられます。公務員の腐敗撲滅を徹底する狙いがあるようですが、反腐敗闘争がさらに習氏の政敵追い落としに使われかねないとの不安はぬぐえません。

中国の最高裁にあたる最高人民法院トップは先月、「司法の独立」「三権分立」などを否定する発言をし、波紋を広げました。習政権は「依法治国(法に基づく統治)」を唱えていますが、習氏の権力掌握に伴い、共産党の指導の下での法治という側面が色濃くなっているのが気がかりです。

党の最高指導部人事を話し合う秋の党大会をにらんでか、習氏は最近、首都北京と商都上海の市長に、自身の地方幹部時代の側近をあてる人事を行いました。


◆先人の遺訓を胸に
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都市と農村の格差是正、命や健康に直結する大気や水の汚染改善、特権にあぐらをかく国有企業改革など急務といえる民生への目配りより、強権的な統治の確立が優先されているように映ります。

対外的には、中国は南シナ海の実効支配強化を「国際法違反」とした仲裁裁判所の判決を「紙くず」と切り捨てるなど、近年は力による支配を進めてきました。

習氏は今年初の外遊先スイスで演説し「大国は小国と対等になるべきで、自国の主張を押し付ける覇権者になるべきではない」と主張しました。中国が「核心的利益」とする台湾問題での「一つの中国」政策すら取引材料とちらつかせるトランプ新政権をけん制する狙いがあるのでしょう。

時間を巻き戻し、日中が平和友好条約に調印した三十九年前を振り返ってみましょう。訪中した園田直外相が〓小平副首相との会談で「繁栄し強国となっても覇権を求めないことを実証してほしい」と要望し、〓氏は「中日両国はともに覇権を求めないことを確認しよう」と応じました。

米新政権の「取引外交」に応戦しようと習氏は覇権を否定したようですが、覇権を求めないことは中国の大原則だったはずです。経済力を背景にした強引な海洋進出が力による「覇権主義」として周辺国の脅威になっていないか、習政権は先人の遺訓を胸に、ふるまいを改めてほしいものです。

※〓は、登におおざと
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[日経新聞] 不当表示を許さぬ課徴金命令 (2017年02月05日)

不当な表示で消費者の信頼を裏切ることが、どれだけ重大な結果をもたらすのか。あらためて企業に対する警鐘が鳴った。

三菱自動車の燃費不正問題で、消費者庁は同社に約4億8500万円の課徴金を納付するよう命じた。景品表示法にもとづく課徴金の命令は、2016年4月の制度導入以来、初めてとなる。

三菱自動車は、燃費算定の前提となる「走行抵抗値」の操作などにより、水増しした燃費性能をカタログやウェブサイトに掲載していた。

消費者庁は、軽自動車、普通車の計9車種について、実際より著しくよいものだと誤解させる表示だったと判断した。再発防止を求める措置命令を出すとともに、今回、普通車について課徴金を命じた。同社から軽自動車の供給を受けて販売していた日産自動車にも措置命令を出した。

正しい表示があってこそ、消費者は安心して商品を選べる。市場が健全に成長していくためにも、正しい表示は不可欠だ。

だが、問題ある表示はあとを絶たない。課徴金制度が導入されたのも、ホテルや百貨店などで相次いで発覚した「食」の偽装がきっかけだった。

いったん企業が消費者の信頼を失えば、取り戻すのは容易ではない。今回の燃費不正は業界の再編にまでつながった。コンプライアンス体制の強化は、企業にとって生命線だといえる。

自社の表示に問題はないか、きちんと管理体制がとれているか、常に点検し、万一、問題が見つかればすぐに対応することが必要だ。企業が自ら不当表示に気づいて消費者庁に申告したり、一定の手続きに沿って消費者に返金したりすれば、課徴金が減免される仕組みもある。

課徴金制度には、不当表示への強い抑止効果が期待されている。一方、実際の運用は始まったばかりだ。消費者庁は制度を適切、迅速に執行するとともに、制度について一層の周知を進めてほしい。
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[日経新聞] 日米同盟を強めアジアの安定に貢献を (2017年02月05日)

多くの国民がほっとしたことだろう。来日したマティス米国防長官が、尖閣諸島を含む日本防衛に米軍がしっかりと関与していく方針を明確にした。指摘するまでもなく、日米同盟はわが国の外交・安保の基軸である。アジア太平洋地域の安定のため、この絆をより強固にする道筋を考えたい。

トランプ大統領は選挙戦で「米軍受け入れ国は駐留経費を全額払うべきだ」と主張し、在日米軍撤退の可能性をほのめかした。マティス氏が初の訪問先に日韓を選んだのは、米国はアジアを見捨てるとの臆測を打ち消すためだ。

「安心してください」。マティス氏が一連の行事終了後の記者会見で、わざわざこんな言い方をしたのは、日本側の懸念をよく理解していたからだろう。

駐留経費の問題がすべて片付いたわけではない。日米両政府とも「協議では全く話題にならなかった」と説明するが、何やら不自然である。今回は太陽に徹したトランプ政権が一転して北風を吹かしてくるかもしれない。

大事なのは、我が国を守るためのグランドデザインを自ら描き、それに基づき、思いやり予算の適正額を主張することだ。安保と通商を取引することは、絶対に避けなければならない。

マティス氏と稲田朋美防衛相の会談では、アジアの地域情勢の分析に多くの時間が割かれた。日米だけの協力でなく、韓国、オーストラリア、インドなどを含めた複層的な安保のネットワークづくりも話し合われた。

こうした戦略はオバマ前大統領の時代から進められてはいた。しかし、オバマ氏とフィリピンのドゥテルテ大統領とのあつれきなどもあり、必ずしも順調とはいえない状況にあった。

北朝鮮の核開発、中国の海洋進出などで地域に波風が立つ中で、これでは安心できない。今回、日米は東南アジア諸国の海上警備能力の向上を支援していくことを申し合わせた。こうした合意を着実に前進させていきたい。

自民党の保守派には「日米で中国を押し返そう」など勇ましい発言をする向きが少なくない。会見で対中政策について聞かれたマティス氏は「外交的努力に訴える」と語るにとどめた。

過激なもの言いで物議を醸すトランプ政権でさえ、安保担当者の言動はかくも慎重である。その言葉の重さをよく認識したい。
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[毎日新聞] 検索サイト 削除基準の議論さらに (2017年02月05日)

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ネット社会で検索サイトが果たす役割を踏まえ、個人の権利と情報の公益性のバランスを考えるきっかけとすべきだろう。

検索サイトに児童買春の逮捕歴が表示される男性が事業者に削除を求めた仮処分の申し立てで、最高裁が削除を認めない決定をした。

プライバシーを公開されない利益が、表現の自由との比較で「明らかに優越する」場合に削除を認める。最高裁はそう見解を示した。児童買春は強い非難の対象で、今も公益性があるというのが今回の判断だ。

一方、最高裁は、書かれた事実の性質や公表されることによる被害の程度など、削除請求に対し考慮すべき要素を6項目挙げた。削除をめぐる争いが増える中、一定の基準を掲げたことは評価できる。

検索結果の削除には高いハードルが設けられた。ただし、デマや名誉毀損(きそん)、プライバシーの暴露など公益性が明らかに低い場合、基準にのっとって削除を請求しやすくなった。

注目されるのは、最高裁が検索結果について、検索事業者自身による表現行為の側面を持つと指摘したことだ。事業者はこれまで、自らを情報の媒介者にすぎないとして削除義務を否定してきたが、それでは済まないということだ。

グーグルやヤフーなどは既に独自基準を定めて削除要請に対応しているが、自主的な取り組みをさらに進めていくべきだ。

ニュースサイトを設けて記事を配信する報道機関も同様の責任を負う。報道各社は独自の判断でサイトからの記事削除を決めている。どんな基準が望ましいか、一層考えていく必要がある。

時間が経過した個人情報の削除を認める「忘れられる権利」も今回注目された。欧州では法的権利として認められているものだ。

当事者の男性は6年前、女子高生に金を払いわいせつ行為をした。その行為の重さと時間の経過をどうとらえるか。1審は、「忘れられる権利」を国内の裁判で初めて認めたが、最高裁は言及しなかった。

ただし、最高裁の決定は「記事掲載時の社会的状況とその後の変化」を基準の一つに挙げた。一定の時間の経過を考慮すべき要素と位置づけたと読みとれる。

ネットにずっと前歴が残っていれば、更生の妨げになる可能性がある。配慮は当然必要だ。「忘れられる権利」については、事例ごとに丁寧に議論を積み重ねていくべきだ。

自由に情報が流通し、共有できる社会を、今後も守っていかなければならない。そのためには、ネット利用者一人一人の人権への配慮が欠かせない。
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[毎日新聞] 視点・トランプ時代/9 政治と科学 ここでも事実の軽視か=論説委員・鴨志田公男 (2017年02月05日)

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「私たちの自由は奪えない」

「事実と科学の検閲を阻む」

地球温暖化対策にかかわる環境保護局(EPA)や農務省など米政府機関の関係者らが、ツイッターに非公式アカウントを開設し、トランプ政権を批判するつぶやきを次々に流している。政権が打ち出した検閲まがいの指示に反発してのことだ。

ロイター通信などによれば、これらの機関は、メディアや一般向けの情報提供を一時停止するよう指示された。EPAの研究成果やデータは政権が起用した幹部の検討後でなければ、発表ができなくなったという。

トランプ氏が温暖化に懐疑的なことは広く知られている。この他にも、ワクチン接種の副作用で知人の子供が自閉症になったと主張するなど、科学的根拠を欠く発言を続けてきた。EPAなどへの指示は明らかに行き過ぎだ。自説に不都合だからといって、国民の共有財産とも言える科学的データを、覆い隠そうと言うのだろうか。

大統領就任式2日前、米航空宇宙局と米海洋大気局は地球の平均気温が昨年、3年連続で観測史上最高を記録したと発表した。温暖化の主因は二酸化炭素などの人為的排出だというのが両機関の見解だ。これは世界の科学界の共通認識でもある。

オバマ前大統領は科学技術担当補佐官を置き、助言を求めていた。今のところトランプ氏には、そんな動きもない。

米科学振興協会のホルト最高経営責任者は「科学の進歩は公開性、透明性、アイデアの自由な流れがあってこそだ」との声明を発表した。政権に抗議する「科学者の行進」を実施しようという動きも広がっている。

トランプ氏は2009年に、オバマ前大統領の温暖化対策を支持する新聞の意見広告に名前を連ねたことがある。温暖化対策は経済発展につながる。米国は世界の手本になるべきだ。広告はそう訴えていた。

京都議定書に続く温暖化対策の枠組み合意を目指した、国連の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の開幕直前のことだ。あいにく会議は合意に至らなかった。トランプ氏の真意は不明だが、温暖化が事実かどうかとは別に、合意をビジネス上の利益につなげようと考えていたようにも思える。

科学をおろそかにする国は、国民が事実に基づき、合理的な判断をすることを難しくする。

ジョージ・オーウェルの風刺小説「1984」はそうした国家の危うさを描いている。

科学の世界に「ポスト真実」を持ち込む権利は、大統領にもないはずだ。
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[朝日新聞] 日米関係 確かな基盤を築けるか (2017年02月05日)

マティス米国防長官が韓国に続いて日本を訪れ、安倍首相や稲田防衛相らと会談した。

トランプ大統領は選挙中、同盟軽視とも受け取れる発言を重ねていた。マティス氏が初の訪問先に日韓両国を選んだのは、東アジアへの米国の関与を確約し、同盟国の不安をぬぐう狙いがあったとみられる。

中国の東シナ海や南シナ海での海洋進出について懸念を共有し、尖閣諸島は「日本の施政下にあり、日米安保条約第5条の適用範囲だ」と明言。在日米軍駐留経費の日本側の負担増には触れず、日米の経費分担は「見習うべきお手本」と述べた。

さらにマティス氏は記者会見で「日本のような長年の同盟国が最優先だ」とも語った。

従来の立場は基本的に継続する――。それが今回の訪日のメッセージだったのだろう。

日本政府としてはひと安心かもしれないが、これでトランプ政権への不安が払拭(ふっしょく)されたかと言えば疑問が残る。問題はトランプ氏自身にあるからだ。

大統領と閣僚の発言の食い違いが目立つ。マティス氏の姿勢が政権全体で共有されているかどうかも分からない。トランプ氏が通商と安全保障をからめる「ディール(取引)外交」に走り、政権の方針が大きく変わる可能性も否定できない。

国際社会にとって最大の懸念は、米国と中国との関係の行方が不透明なことだ。

トランプ氏は昨年12月、台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統との電話会談に続き、中国と台湾の「一つの中国」の原則を疑問視する発言にまで踏み込んだ。

米中間には潜在的な対立関係があるが、貿易や投資では強い補完関係にある。慎重に行動し安定を図るのが、これまでの対中外交の作法だ。トランプ氏にはそうした国際社会の現実への理解が欠けている。

大統領上級顧問のバノン氏は昨春のラジオ番組で、南シナ海で5年から10年以内に米中戦争が起きる可能性を指摘した。そのバノン氏は、米国の安全保障戦略を練る国家安全保障会議(NSC)のメンバーだ。

米中関係の行方は、アジア太平洋地域の、ひいては世界の平和と安定を左右する。

日米関係を地域の確かな基盤とするためにも、10日の日米首脳会談で、トランプ氏が中国にどう向き合おうとしているのかを首相は問うべきだ。

国際秩序を保つ努力を続けることが、米国の利益にもなる。そのことをアジアや欧州の米国の同盟国などとともに、トランプ氏に説かねばならない。
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[朝日新聞] 豪雪と地震 重なった時にどうする (2017年02月05日)

地震大国日本は、世界でまれに見る雪国でもある。全国の市町村の約3割は豪雪地帯の指定を受け、2千万人が暮らす。

幸いにも、こうした地域では近年、大きな被害をともなう地震が真冬に起きたことはない。日本海中部地震は1983年5月、中越地震は2004年10月だった。しかし、それはただの偶然に過ぎない。

災害は、季節や風の強さ、時間帯などが少し異なるだけで、まったく違う顔を見せる。

東日本大震災では低体温症で30人を超す人が亡くなった。地震と津波が襲った翌朝、各地で気温は氷点下を記録した。

厳冬期の寒冷地はさらに過酷な気象条件になり、被災者は命の危険にさらされる。

たとえば札幌市は、早朝の地震で11万棟が全半壊し、死者は2千人と想定している。加えて、建物に閉じ込められた6千人が、2時間以内に救助がなければ凍死する。体育館などに11万人が身を寄せるが、停電のため暖房がきかない恐れが高い。

「避難した後」に人々を待ち受ける事態を体験・検証するため、先月中旬、日本赤十字北海道看護大(北海道北見市)の体育館に防災の専門家や保健師ら約100人が泊まりこんだ。

外気の最低気温は零下19・5度。天井が高いため、これだけの人数がいても館内は暖まらず、就寝時の室温は約1度だった。ダウンコートにマフラー、冬用の寝袋。それでも寒さで目が覚める。ふつうの備蓄毛布ではとても眠れないだろう。

衛生管理の点から、避難所に土足で入るのは避けよと言われる。しかし靴下で体育館に立てば、あっという間に体温を奪われる。日ごろ「血栓を防ぐために水を飲んで」と説く参加者たちも、屋外の仮設トイレに行くつらさを考え、いつのまにか水分をひかえてしまった。

暴風雪で道路がふさがれれば物資の補給も滞る。一晩ならともかく、高齢者や幼児が幾晩も過ごせるか。過ごしたとき、どんな健康状態になるか。

寒冷地に特有のこうした課題への危機意識が自治体や住民にまだ乏しい、と同大の根本昌宏教授は警鐘を鳴らす。

災厄が重なる事態を考えると気が沈む。だが「想定外」という言い訳はもはや通用しないことを、数々の失敗を通じて、私たちの社会は学んできた。

完璧な準備は不可能だ。それでも、問題意識をもち、最悪のケースを頭に描きながら、対策の空白を少しでも埋めてゆく。そうした努力の積み重ねで、被害の広がりを抑えこみたい。
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[読売新聞] 米国防長官来日 尖閣「安保適用」を協調の礎に (2017年02月05日)

トランプ新政権との間で、日米同盟を強化するための重要な一歩になったと評価したい。

マティス米国防長官が来日し、安倍首相、稲田防衛相らと会談した。首相はマティス氏の早期来日を歓迎し、「揺るぎない同盟を更に確固たるものにしたい」と述べた。

マティス氏は、対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の尖閣諸島への適用を明言した。「日本の施政を損なういかなる一方的な行動にも反対する」とも語った。

中国は東シナ海で軍用機・艦艇の動きを活発化させ、尖閣諸島周辺の日本領海に公船を恒常的に侵入させている。マティス氏の見解は中国への強い牽制(けんせい)となろう。

自衛隊と米軍は従来以上に緊密に連携し、中国の独善的な海洋進出を抑止することが重要だ。

マティス氏は、南シナ海での中国の軍事拠点化について「地域の信頼を踏みにじった」と批判した。日米両国が東南アジア諸国と協調し、中国に自制を促したい。

首相は、今後の日米同盟に関して「日本は防衛力を強化し、役割の拡大を図る」と強調した。マティス氏も「現状に慢心してはいけない。日米両国が防衛力に投資することが重要だ」と説いた。

日米同盟は、アジア太平洋地域の平和と繁栄を支える公共財だ。中国の急速な軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発などの不安定要因が拡大する中、日本がどんな役割を果たすかが問われる。

国内総生産(GDP)の1%にとどまる防衛費の増額も含めて、できることを着実に進めたい。

米国など関係国との共同の演習や警戒監視活動を拡充することが大切である。首相が先月、国会で言及した敵基地攻撃能力保有の検討も本格化させるべきだ。

在日米軍駐留経費のあり方について、一連の会談では議題にならなかった。ただ、マティス氏は記者会見で「日米の経費分担は他国のお手本になる」と評価した。

米軍再編経費を含め、同盟国で最も多い年間約7612億円にも上る日本の負担を踏まえた発言とみられる。妥当な認識である。

トランプ大統領は選挙中、駐留経費の大幅な増額要求に言及している。首相は10日のトランプ氏との会談で、日本の負担を改めて丁寧に説明する必要がある。

首相とマティス氏は、米軍普天間飛行場問題について、辺野古移設が「唯一の解決策」との認識で一致した。沖縄県の反対で遅れが生じている移設作業を着実に前進させることが求められる。
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[読売新聞] 地方自治法改正 内部統制と監査を強化したい (2017年02月05日)

公務員の不祥事を防止し、行政を適正に運営することは、地方自治の根幹である。自治体への住民の信頼も高めよう。

総務省は、自治体の内部統制を制度化し、監査機能を強化する地方自治法改正案を今国会に提出する方針だ。

独立した会計検査院が国費の使途をチェックする政府機関に比べて、自治体は、外部の監視の目が届きにくい。それを効果的に補う仕組みを整えねばならない。

法改正のきっかけは、2008?10年に全都道府県・政令市で発覚した不正経理である。

会計検査院による国庫補助事業の検査で、取引業者に物品を架空発注して裏金を作るなどの事例が相次いで見つかった。神奈川県の約33億円など、不正経理の総額は約111億円にも上った。

自治体は、行政改革の進展で職員数が減少傾向にある。近年は、個人情報の大量流出など、情報技術(IT)化に伴う新たなリスクにも直面している。

多くの民間企業では、一人の職員に業務を任せきりにせず、複数で支出を確認するなど、不祥事を防ぐ内部統制が定着している。

公金を扱う自治体では、より高い職業倫理が求められる。トップの責任を明確にし、適正な業務遂行体制を構築するのは当然だ。

改正案では、内部統制に関する方針の策定を首長に義務づけ、責任者を置くなどの体制整備を求める方向だ。首長は毎年度、報告書を作成し、議会に提出する。都道府県と政令市を対象とし、その他の市町村は努力義務とする。

自治体は、民間の事例も参考にして、内部統制の実効性を高め、職員の意識改革を図るべきだ。

自治体の監査委員は、財務や行政運営が適正かどうかを調べる役割を担う。だが、監査は形骸化しがちで、専門性に欠けるとの批判がある。監査で是正を指摘されても、実際にどう対応するかは自治体の裁量に委ねられている。

このため、監査基準の策定と公開を義務づける。監査委員には是正を勧告できる権限を与え、自治体に勧告の尊重を求める。

有識者を監査専門委員に任命することも可能にする。IT関連の高額な契約など、妥当性の判断が難しい課題に取り組むためだ。

監査の効果を高めるには、制度改革だけでなく、監査委員事務局の体制を強化し、職員の研修を充実させることが重要だろう。

職員の内部統制と、監査委員によるチェックを「車の両輪」として機能させねばならない。
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