2017年02月01日

[東京新聞] 移民・難民排斥 世界に争いの種まくな (2017年02月01日)

これが、自由と人権尊重を標ぼうする国のやることか。トランプ米大統領が打ち出した中東・アフリカ七カ国の国民締め出しとメキシコ国境の壁建設だ。世界に争いの種をまく暴挙でしかない。

世界中で抗議行動が巻き起こっている。トランプ氏は移民・難民の入国規制を「イスラム教徒の入国禁止ではない」と釈明するが、反イスラムを公言してきた人物だ。信用できない。

米国はテロとの戦いにあたり、少なくともイスラム世界との「文明の衝突」にならないよう配慮してきた。

逆にトランプ氏のやり方はイスラム世界の反発を招き、「イスラム国」(IS)など過激派勢力を利するだけだ。世界の分断を進め不安定化させる。米国でも人種対立が深まるだろう。

米国内だけでなく国際社会も撤回を求めているのは喜ばしい。安倍首相もその輪に入って声を上げるべきだ。

不法移民の流入阻止を狙った壁の建設では、トランプ氏は費用をメキシコに払わせると主張する。その傲慢(ごうまん)ぶりにメキシコは反発。両国関係は一気に険悪化した。

米国にとってメキシコは第二の輸出先であり、第三の輸入元だ。メキシコからすると、輸出全体の八割が米国向け。両国は相互依存の関係にある。

ところが、トランプ政権はメキシコの輸入品に20%の課税をする構えも見せている。一方的な課税強化は世界貿易機関(WTO)のルール違反に当たるが、現実になった場合はメキシコも報復に出て貿易戦争に発展する。

しわ寄せは、高いメキシコ製品を買わされる米国の消費者にいく。緊密な通商関係を破壊すれば、自分も損害を被るのが分からないのだろうか。

冷戦時代、中南米の多くの国で米国に後押しされた軍事政権が威を振るった。その後遺症で反米感情は根強くある。二〇一五年に米国がキューバと国交を回復したことで改善されたが、メキシコとの関係悪化の余波は中南米全域に及び、それを台無しにしかねない。

そうなれば、米国は自分の「裏庭」と見なすこの地域で影響力を後退させ、安全保障環境も悪化するだろう。

移民を受け入れる寛容さがもたらした社会の多様性は、米国の活力の源である。トランプ氏は米国らしさを踏みにじる言動が多い。それでは米国は輝きを失う。
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[東京新聞] 仏像盗難判決 条約に従い対馬に返せ (2017年02月01日)

長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像は十四世紀に略奪されたものだとして、韓国の寺に戻せという韓国の地裁判決が出た。事実の証明が不十分なうえ、国際条約にも反する不当な判決である。

仏像は県指定文化財の「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」。二〇一二年に韓国人窃盗団に盗まれたが、韓国中部にある浮石寺が所有権を主張して提訴し、大田地裁が引き渡しを命じる判決を言い渡した。

判決によれば、仏像内部に十四世紀半ばに浮石寺に安置されたことを示す表現があり、海賊集団であった倭寇(わこう)が同じ頃、同寺周辺を何度か荒らしたという記録もあることから、略奪され対馬に持ち出されたとみられるとの判断を示した。

断片的な史実を組み合わせて推論し、仏像盗を正当化しかねない判決だと言わざるを得ない。被告である韓国政府は「浮石寺で制作された仏像だが、略奪されたという証拠はない」と反論していた。

判決は文化財の窃盗、密輸を防ぐ国連教育科学文化機関(ユネスコ)の条約(一九七二年発効)に反する。

条約加盟国から盗まれた文化財は持ち込まれた国が返還するよう定めている。日韓両国は加盟国であり、韓国は条約に従って仏像を対馬に返す義務がある。

韓国の専門家からも判決への批判が聞かれる。日本側に奪われたという記録など証拠がなく、仮に略奪されたとしても適法な手続きで返還を求めるべきだという。日韓の文化財交流への悪影響を懸念する声も出ている。

外国が所蔵する文化財の返還をめぐる論争は、世界各地にある。

植民地時代の韓国では、発掘や収集を通じて多くの文化財が日本に渡った。朝鮮半島由来の高麗仏画など、中世の美術品を所蔵する寺社もある。儒教を国教とした朝鮮王朝が仏教を弾圧し、仏像や仏画が難を逃れて日本に搬出された事例もあるとみられる。

韓国側には文化財返還を求める声が強いが、明らかな略奪品でない限り、外交交渉が必要だ。一一年には朝鮮王朝の儀典、行事の記録をまとめた「朝鮮王室儀軌(ぎき)」が引き渡された。

民間所蔵の文化財については、韓国側と信頼を築いた上で、最も有意義な保存、展示方法は何かを考えるべきだろう。

対馬の仏像は国立の研究所が保管しており、韓国政府は控訴した。上級審が正当な判断をするよう強く望む。
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[産経新聞] 【主張】410円タクシー 利用者本位の競争促進を (2017年02月01日)

東京23区などを走るタクシーの初乗り運賃が初めて引き下げられ、従来の2キロ730円から約1キロ410円となった。

海外に比べて割高と批判されてきた初乗りを値下げし、高齢者や子供連れによる「ちょい乗り」で新たな需要を開拓するのが狙いという。利用者の選択肢が広がる料金体系は歓迎したい。

一方で、6・5キロを超える場合の運賃は実質的に値上げされた。中長距離を利用する乗客が恩恵を受けるような取り組みも、同時に取り入れてほしい。

この10年で全国のタクシー利用者は約3割減少した。厳しい経営環境を打開するためには多様な料金形態だけでなく、利用者本位の質の高いサービスでも健全に競い合うことが欠かせない。

初乗り運賃の引き下げは、業界大手の日本交通が昨春に申請したものだ。国土交通省が昨年夏に実証実験を行い、約1万人対象のアンケートでは6割が「利用回数を増やす」と回答したという。

近距離でも気軽に使える運賃に抑えることで、外国人観光客による新規需要を期待する。高齢者の身近な足として活用される事例も増加を見込む。利用者が気兼ねなく乗車できるように、運転手向けの教育も徹底してほしい。

ただ業界内には、売り上げ減に対する懸念も根強い。初乗り運賃を下げて近距離利用が増えても、中長距離の乗客が減れば減収になるからだ。これを契機にして「利用者から選ばれるサービス業」として改革を進める必要がある。

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すでに新たなサービスでタクシー利用を増やす試みも始まっている。陣痛が始まった妊婦に優先配車するサービスをめぐっては、都内在住の出産が近い妊婦の多くが事前登録しているという。

業界では渋滞に関係なく乗車前に運賃を確定させたり、同じ方向に向かう乗客が相乗りできたりする新サービスも検討している。従来は減車調整などの規制に頼りがちだったが、自らの努力で苦境を乗り切る知恵が求められる。

2020年の東京五輪を控えて都内のタクシーは今後、外国人観光客の利用増が見込まれるが、英語など、多言語対応のサービス充実は遅れている。

観光案内でも使える情報端末も投入するなど、乗客サービスの向上に努めるべきだ。それが真の「おもてなし」につながる。
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[産経新聞] 【主張】米入国拒否 「三権」駆使し暴走止めよ (2017年02月01日)

トランプ米大統領が、イスラム圏7カ国からの入国を禁じる大統領令の阻止を図ろうとしたイエーツ司法長官代行を解任した。

司法のトップが大統領令に正当さはないと判断して抵抗し、その座を追われた格好である。

この問題に対し、オバマ前大統領や与野党幹部、州政府や民間企業も疑義を唱えている。米国は混乱の極みにある。この状況を作り出したのはトランプ氏の独断と暴走である。

行政、司法、議会がその力を駆使して、混乱の収拾を図るべきだろう。米国の無秩序状態は、国際社会の安定をも危うくする。

大統領令は法律と同じ拘束力を持ち、大統領一人の権限で策定でき、政策を速やかに実現できる。それが有効な事案もあろうが、グリーンカード(米永住権)保持者の扱いも定めないまま一律の入国禁止に踏み切ったのは、明らかに拙速である。

米各地の空港が入国者の拘束や抗議で大混乱に陥ったことについて、トランプ氏は「航空会社のシステム故障のせいだ」などとツイッターに投稿しており、意に介するそぶりもみせない。

オバマ氏は「宗教を理由にした差別に反対する」と非難し、共和党の重鎮、マケイン上院議員らも「テロとの戦いで自ら傷を負いかねない」と声明を出した。

野党民主党は大統領令を覆す法案を提出した。15州と首都ワシントンの司法長官が大統領令を「違法」とする声明を出した。西部ワシントン州は連邦地裁への提訴に踏み切った。

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議会は大統領の決定を変えることができ、州政府の訴えを受けて連邦最高裁は大統領令が合憲かどうかの判断を下すことができる。米国の三権が、健全に機能するかどうかが問われる局面だ。

テロリストの流入を阻止しようという目的自体が否定されるものではない。

だが、今回の大統領令がそれに資する内容か。米国の建国の精神に反し、国際的信用を損なうものとなっていないか。

「お前はくびだ」は、テレビ司会者時代のトランプ氏の決めゼリフだったという。その印象のままに大統領選を勝ち抜いた。だが、大統領就任後も独断が万能と考えるのは誤りだ。誤りなき法の執行が可能な政権なのかどうか。世界は見ている。
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[毎日新聞] 視点・トランプ時代/7 民主政治の危機 米議会は何をしている=論説委員・与良正男 (2017年02月01日)

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「多くの国民の不平・不満をすくい上げられなかった政治がルールに基づいた国民の投票という力によって変えられた。極めて健全な民主政治の結果だ」

トランプ米政権の誕生について橋下徹前大阪市長はこう話している。既存政治家の否定やツイッターの多用など新大統領と共通点が多い橋下氏としては当然の評価ではあるのだろう。

同意はできない。ただし「メディアや知識人は政治家に対して国民の声を聴けと言う。で、国民に耳を傾けると今度は大衆迎合主義と言う」という橋下氏の批判は、ある種、ポピュリズム議論の本質をついている。

民主政治とは選挙=民意を重んじ、最後は多数決で決めるものだ。だが昨年来、改めて問われているのは「多数派の選択がいつも正しいとは限らない」という、この仕組みが内包する根源的な問題だと思うからだ。

ダメなら選挙でまた代えればいいというのも民主政治だ。しかしトランプ氏が短期的にも「正しくない行動」を取るリスクは世界的にも大き過ぎる。

暴走を抑えるためにあるのが三権分立の制度だ。米国は建国以来「王様」を嫌い、専制や独裁を否定してきた歴史がある。このため実は大統領の権限は制度上、それほど強大ではない。

例えば大統領には立法権限はない。法律に代わりトランプ氏が早くも乱発している大統領令も、連邦議会が内容を覆し、修正する法律を制定して対抗できる。議院内閣制の下、衆参で与党が大多数を占める今の安倍晋三政権の方が権限は大きいと言えるほどだ。

元々、米大統領制は連邦議会の独走を抑制するためにできたそうだ。今度は議会が大統領の暴走を抑える時だ。とりわけ与党・共和党の責任は大きい。

ところが既に裁判所は一定の役割を果たしているのに対し、肝心の共和党の姿勢がおぼつかないから深刻だ。来年の連邦議会選挙を控え、トランプ人気が続いていると見れば、同氏に追従する一方かもしれない。

「民主政治は最悪だ。これまでに試みられてきた他のあらゆる政治形態を除けば」というチャーチル元英首相の言葉を最近また、よく耳にする。欠点はあるが、民主政治以外の形態は見当たらないと今も私は思う。

だが、このまま独裁型の政治が米国で進めば、人々の不信の目が代議制民主主義そのものに向かうことにならないか。なまじ選挙などしない方が有効だという話にもなりかねない。

だから今後の議会の役割は大きいのだ。もちろん、それは日本においても。
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[毎日新聞] 日米自動車貿易 理不尽な批判に対抗を (2017年02月01日)

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トランプ米大統領が「日本の自動車貿易は公正でない」と批判している。10日の日米首脳会談で主要議題として取り上げる見通しだ。

だが、トランプ氏の発言は事実誤認が多い。安倍晋三首相はまず正確な認識を持ってもらうよう説得に努めてほしい。そのうえでトランプ氏が理不尽な要求を持ち出すようなら、これに屈してはならない。

トランプ氏は先週、「日本は米国車を日本で売れないようにしているのに、日本車を船に何十万台も積んで米国に売ろうとする」と述べた。

「米国第一」を掲げるトランプ氏は、日本の閉鎖的な市場と対米輸出攻勢が米自動車産業の衰退と雇用喪失を招いたと言いたいのだろう。しかし、明らかに誤った認識だ。

日米の自動車貿易は摩擦が激しかった1980?90年代から状況が一変した。2015年の対米輸出は160万台とピーク時の半分以下に減った。

日本メーカーが米国で工場を建設し、現地での生産を進めたためだ。15年の現地生産は380万台超と30年前の10倍以上だ。関連の雇用も150万人を創出している。

日本市場が閉鎖的という主張も一方的だ。乗用車の輸入関税は、米国の2・5%に対し、日本はゼロだ。

日本市場で米国車と同じ条件のドイツ車は販売を伸ばしている。日本市場で輸入車が占めるシェア(軽自動車除く)は16年に9%台と4年連続で過去最高を更新した。輸入車の上位は、ほとんどがドイツ車だ。

米国車が日本に浸透しないのは、燃費性能が良くなかったり、大型車が日本の道路事情になじまなかったりするなど、日本で売れる努力を十分してこなかったためではないか。

トランプ氏に近い米自動車メーカー首脳は「貿易を妨げるのは為替操作」と発言している。日本などが輸出に有利になるよう自国通貨を安値に誘導していると批判したものだ。

しかし、円相場が1ドル=80円程度とかなりの円高水準で推移した時期でも、燃費に優れた日本車が米国で人気を集め、米国車は日本で伸び悩む構図は変わらなかった。

米国の自動車メーカーには、米国と異なる日本の安全基準などを非関税障壁として問題にする声もある。しかし、国民の安全にかかわる問題でもあり、譲るべきではない。

日米首脳会談を控え、安倍首相はトヨタ自動車の豊田章男社長と近く会談する方針だ。日本の自動車メーカーが米国経済で果たしている役割などを確認するとみられる。

首脳会談にあたって、首相は「言うべきことは言う」と述べている。一方的な要求を突きつけられても応じない姿勢で臨むべきだ。
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[日経新聞] 需要創造に挑むタクシー業界 (2017年02月01日)

需要創造を狙った戦略的な料金改定が成功するかどうか。東京のタクシーの挑戦に注目したい。

これまで「2キロまで730円」だった東京23区のタクシーの初乗り料金が「1キロ強まで410円」に下がった。タクシーの乗客の約3分の1は初乗り料金での利用といわれ、値下げの恩恵を実感する人は相当の数に上るだろう。

初乗り料金を安くした狙いは新規需要の創造だ。ハードルを下げることで、日々の買い物や通院、子供の送迎といった短距離の利用を掘り起こそうというわけだ。

「単価が下がっても、乗客の裾野が広がり利用回数が増えれば、増収になる」と都内最大手の日本交通、川鍋一朗会長はいう。

以前のタクシー業界は、需要が落ち込むと減収を補うため値上げし、さらなる乗客離れを招く悪循環を続けてきた。たとえば東京23区では、2000年度に2.5億回だったタクシーの利用件数が、15年度には2億回まで減った。

今回の料金改定はじり貧を跳ね返すための大胆な策だ。状況が悪くなると、政治や行政を頼り規制強化や値上げでしのぐ。そんな古い業界体質から脱却し自らの足で立つ第一歩としてほしい。

残された課題の一つは丁寧な説明だ。今回の料金改定は初乗り料金を安くした一方で、走行距離が6.5キロを超える料金は値上げした。新旧の料金を比べたグラフを車内に貼るなど、全体像をわかりやすく示す努力が要る。

東京以外の都市でも需要喚起の試みに期待したい。IT(情報技術)を活用すれば相乗りサービスのような新機軸が可能なはずだ。自家用車で客を送迎する「ライドシェア」を敵視するばかりではなく、タクシー業界自らが手がけるのも一案ではないか。

供給過剰といわれていたタクシー市場も、人手不足で状況は変わりつつある。働く人に魅力的な職場づくりが不可欠だ。こうした種々の課題に取り組むために、再編統合によって個々の企業の経営基盤を強めることも必要だろう。
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[日経新聞] 脱デフレの長期戦に細心の目配り保て (2017年02月01日)

日本銀行は1月の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で日本経済の先行きにやや強気の判断を示した。2016年度と17年度の実質国内総生産(GDP)は政策委員の見通しの中央値でそれぞれ1.4%増、1.5%増と、16年10月の前回に比べ各0.4ポイント、0.2ポイントの上方修正をした。

トランプ米大統領が打ち出した大型減税や積極財政策への期待から市場で円安・ドル高が進み、海外経済の回復傾向もみられることが見通し好転の要因だ。政府がGDP統計の基準を改定し数字が上振れした面もある。

デフレからの脱却へ長期戦に臨む日銀にとって円安は追い風だが、足元の物価上昇の勢いは弱い。17年度以降の物価予測は据え置いた。頼みの綱の円安に反転のリスクもある。消費者物価上昇率を年2%に高める目標の達成へ細心の目配りが必要だ。

民間銀行が日銀に置く当座預金の一部に「手数料」を課すマイナス金利政策の導入決定から1年がたった。市場金利は大幅に低下したが、黒田東彦総裁が「半年、1年もかからない」と語った実体経済へのプラス効果は「まだ多くは生まれていない」(全国銀行協会の国部毅会長)との声が多い。

貸家市場で銀行の融資過熱によるミニバブルの発生が指摘されるなど、弊害も生まれている。

日銀は昨年9月、長期金利の代表的な指標である10年物国債金利をゼロ%前後に操作する措置を導入し、金融政策の目安を量から金利に変えた。長短の金利差が広がり、資金を仲介する金融機関の利ざやはやや改善した。

米連邦準備理事会(FRB)は昨年末に政策金利を引き上げ、17年中も利上げ継続が見込まれる。長期金利をゼロで固定する日本との金利差拡大の思惑から円安が進みやすい。

だが、こうした構図には変化の兆しがある。トランプ大統領は対日貿易赤字に不満を示しており、ドル高への懸念にも言及した。日銀の政策に不満を示すことも予想される。「為替水準を目標にしていない」(黒田総裁)という説明が通るかどうかは微妙だ。

保護主義の動きが強まり、世界や日本の経済に悪影響を及ぼす展開も懸念される。トランプリスクで追い風が逆風に転じる事態も想定し、日銀と政府は強力な成長戦略の実行と合わせたデフレ脱却の努力を粘り強く続けてほしい。
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[朝日新聞] 春闘本格化 ベアで不透明さ払拭を (2017年02月01日)

2017年の春闘が本格化する。労働組合側では連合が「月例賃金の引き上げ」(ベースアップ)を強く求めている。一方、経団連は、ベアについて、定期昇給や一時金の増額などと並ぶ「柱の一つ」との姿勢だ。

賃金を考える際には、様々な要因が判断材料になる。

労働市場を見れば、職に就く人が増え、失業率は大きく下がった。労働者側の売り手市場であり、賃金が上がる方向に動くのが自然だろう。

では、企業側に払う体力があるか。業種や会社によってばらつきはあるが、全体として見れば、過去と比べ高い水準の利益を出しているのは明らかだ。

企業が懸念を持つのは、経済の先行きだろう。とくに、議論が始まった昨秋ごろは、円高や海外経済の変調で、慎重な姿勢が強かった。

その後、昨年末以降の「トランプ相場」で持ち直したものの、米国の新大統領の保護主義的な姿勢には不安がつきまとう。日米間の貿易や為替相場をめぐり、今後の展開次第では輸出や海外事業に大きな影響が出かねないのは確かだ。

ただ、そうした要因に身構えるあまり、賃上げに過度に消極的になれば、今度は内需の不透明さを強めかねない。むしろ、国内の家計の余力を増すことで、消費をしっかりしたものにできれば、外需の不透明感に左右されにくくなる。

そう考えれば、やはりベアの実現は重要だ。家計収入の基盤が安定してこそ先行きへの不安の払拭(ふっしょく)につながり、消費にも前向きになるはずだ。

安倍首相や日本銀行は、賃金交渉の際に、今後の物価上昇を考慮することを求めている。16年の消費者物価上昇率はマイナスに沈んでおり、日銀が掲げる「2%」に現実感はない。

ただ、原油価格の下げ止まりなどの影響もあり、民間エコノミストの予想でも17年度は0・8%程度の物価上昇が見込まれている。物価の影響を加味した「実質賃金」が抑制されかねない。為替動向など不確定要素が多いとはいえ、注意すべきだ。

連合は、中小企業や非正規労働者の底上げや格差是正も春闘の大きな課題としている。欠かせない取り組みだろう。大企業の正規労働者だけの処遇改善にとどめていては、分断を招きかねない。労働市場が好転している今こそ、全体的な水準の引き上げを進めるべきだ。

雇用や賃金のあり方は、社会の安定の基礎になる。揺れ動く米国社会の現状から、そのことを学びたい。
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[読売新聞] 米政権VS報道 「もう一つの事実」はあり得ぬ (2017年02月01日)

政権に批判的な論調を一切認めない。根拠を欠く主張を「事実」として押しつける。メディアの自由な取材と報道が民主主義に果たす役割を理解していないのではないか。

トランプ米大統領や政権高官の野放図な言動が目立つ。

中東・アフリカ7か国を対象にした入国制限措置について、トランプ氏は声明で「イスラム教徒入国禁止令ではない。メディアは偽って報じている」と強調した。

実際に、米国の空港では、多数のイスラム教徒が入国を拒否されている。一連の報道が非難しているのは、イスラム圏に対する排他的な姿勢だ。トランプ氏一流の問題のすり替えと言えよう。

政権と米メディアの激しい対立は、発足直後から始まった。

トランプ氏は、就任式に集まった聴衆の数が故意に少なく報じられているとして、「私はメディアと戦争をしている。彼らは地球上で最も不誠実だ」と訴えた。

スパイサー大統領報道官も、客観的な証拠を提示しないまま、聴衆が「過去最多だった」とする声明を一方的に読み上げた。

8年前のオバマ大統領就任式の写真と比べて、今回の人出が少なかったのは一目瞭然だ。それでも、トランプ氏側近の高官は、報道官の見解について、「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)だ」と強弁した。

大統領の言葉は、たとえ虚言や誇張であっても、変えようのない事実だとでも言うのか。

トランプ氏は「大統領選で300万?500万の不正投票があった」とも力説した。具体的な根拠はない。得票総数で、民主党のクリントン候補を300万票近く下回った結果を否定したいのだろう。あきれるほかない。

バノン大統領上級顧問兼首席戦略官のメディア攻撃も過激だ。トランプ氏当選を予測できなかった米主要紙を「対抗勢力」と断じ、「屈辱を味わい、しばらく黙って聞いていろ」と言い放った。あからさまな言論統制である。

政権を批判するメディアを貶(おとし)めて黙殺し、支持層に直接、メッセージを伝えるのが、トランプ氏やバノン氏の戦術だろう。自らの正当性を都合良く発信できるツイッターの偏重が典型だ。

報道機関は専門家の意見も聞きながら、個々の施策を吟味し、論評する。世論も幅広く吸い上げている。自由主義社会では、メディアとの健全な関係の構築が政策推進に欠かせないことを、トランプ政権も認識せねばなるまい。
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[読売新聞] 東芝巨額損失 原発出直しの覚悟が問われる (2017年02月01日)

日本のエネルギー政策の行方を左右しかねない経営危機を回避せねばならない。失墜した信頼の回復には、解体的な出直しが必要だ。

東芝が、成長の柱と位置づけてきた海外の原子力事業を縮小し、稼ぎ頭の半導体事業の一部を分社化する方針を打ち出した。

米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の抱える損失が急拡大したことが引き金だ。2017年3月期決算に計上する損失は、最大7000億円に上るという。

東芝は15年に発覚した会計不祥事以降、経営の悪化が鮮明になった。白物家電や医療機器を相次いで切り売りし、窮地を脱したのも束(つか)の間、危機が再燃した。

債務超過に陥る可能性もあり、再生への2本柱だった中核事業の見直しまで迫られた。

その場しのぎの戦略では通用しない。巨額損失を発生させた原因を究明し、再発防止に向けた統治体制の確立を急ぐべきである。

経営への不信感が解消しなければ、再建に必要な金融機関の支援や市場での評価も得られない。

最大の問題は、東芝が子会社の損失を見抜けなかったことだ。

WHは、東芝が06年、原発の海外展開を進めるために巨費を投じて鳴り物入りで買収した。

ところが、WHの企業価値が下落し、東芝は昨年5月に2500億円の損失を計上した。その後、米原発工事の遅れで新たな損失が発生した。東芝が気付いたのは昨年末になってからだった。

福島の原発事故以降、世界的に原発の安全基準が厳格化され、建設コストが高まる傾向にある。だが、東芝は度重なる損失発生を早期に把握できなかった。

目の届きにくい海外事業のリスク管理が甘かったと言わざるを得ない。原発事業を統括する志賀重範会長は退任する方向という。残る経営陣も責任を免れまい。

世界の原発事業は東芝、三菱重工業、日立製作所が欧米メーカーと組んで展開している。3大陣営の一角を占める東芝の事業縮小は、原発ビジネスの合従連衡に影響を与える可能性もある。

東芝は、原発事業を社長直轄として、WHの統治体制を強化する。海外では、原発建設の新規受注からは撤退し、原子炉を含む機器納入などに集中する考えだ。

綱川智社長が「再稼働、保守、廃炉に責任を果たす」として、東芝の果たす社会的役割を強調したのは、当然だろう。日本の原発政策を前進させるためにも、東芝には着実な経営再建を求めたい。
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[朝日新聞] 国産機MRJ 開発体制を立て直せ (2017年02月01日)

日本を代表するものづくり企業の力が試される局面である。

三菱重工業が開発する国産初のジェット旅客機「MRJ」の納入開始が、また先延ばしされた。08年に事業が始まって以来5回目の延期で、当初計画から7年遅れの20年半ばになる。

MRJは、航空機産業を日本の製造業の新たな柱に育てる牽引(けんいん)役として、期待を集めるプロジェクトだ。政府も技術開発に数百億円の補助金を出すなど、支援してきた。遅れの根本的な原因を見極め、開発体制を立て直すことが急務となる。

三菱重工を含む日本企業にとって、旅客機の開発はプロペラ型のYS11以来、半世紀ぶりの挑戦だ。新興国の経済成長を追い風に需要の急増が見込まれる小型機分野にねらいを定めた。

新型機の開発が年単位でずれ込むことは珍しくない。とはいえ、納入が遅れるほど受注競争で海外のライバル企業に後れを取る。開発コストも膨らみ、事業の成功は難しくなる。

度重なる延期の理由は、設計の変更や検査態勢の不備など、さまざまだ。今回は、安全性を高めるため、飛行を制御する機器の配置を分散させることにした。社外から招いた技術者の意見に従ったという。

重要な変更の判断がなぜここまで遅れたのか、首をかしげざるを得ない。宮永俊一社長は記者会見で、安全規制への対応で知見が足りなかったと説明した。開発前の情報収集やリスク分析も不十分だったという。

三菱重工では大型客船の建造が難航し、巨額の損失を出したばかりだ。原因や背景を分析した社内報告書は「他部門の助けを求めない気質や上意下達的な風土」を指摘した。技術の自前主義から生まれる過信、組織の縦割りによるプロジェクト管理の不備は、MRJにも当てはまるのではないか。

三菱重工は、事業のリスク管理体制を見直す改革に乗り出している。MRJはトップの直轄事業にした。欧米メーカーなどで働いた経験を持つ技術者を数多く採用し、自前主義からの転換を進める構えだ。

製造業では、社外の技術やアイデアを積極的に取り込み、革新的な製品を生み出す「オープンイノベーション」が広がる。旅客機開発の経験不足を補うにはこうした発想が大切だろう。

日本のメーカーでは最近、東芝の原発やタカタのエアバッグなど、プロジェクト管理や品質確保でつまずく例が相次ぐ。原因や背景はさまざまだが、技術的な課題だけでなく、組織に根ざす弱点も洗い出してほしい。
posted by (-@∀@) at 11:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする