2016年04月30日

[産経新聞] 【主張】首相欧州歴訪 対中国で認識の共有図れ (2016年04月30日)

安倍晋三首相は、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に欧州を訪問し、会議に参加するイタリア、フランス、ドイツ、英国の首脳らと会談する。

サミット本番では、経済政策をはじめテロ、難民対策など国際的な課題や、対中国、対ロシア政策で、メンバーである先進7カ国(G7)が協調し、力強いメッセージを発信できるかどうかがカギとなる。

事前のすりあわせとなる歴訪で、とりわけ重要なのが、中国の一方的な海洋進出に対する脅威の認識を共有することである。

中国は南シナ海の軍事化を進め、これに反対する日米や東南アジアの周辺国、インド、豪州などアジア太平洋の海洋国家が軍事、外交的連携を強めている。

一方、G7の欧州勢は、東・南シナ海から遠く、中国との経済的な結びつきもあって、切迫した問題として受け止めにくい。

民主主義や法の支配という普遍的価値観を共有するG7には、力による現状変更を阻止し、航行の自由を守る使命がある。この点を、安倍首相は強調すべきだ。

サミットに先駆けて開かれたG7外相会合は、海洋安全保障に関する声明で、中国を念頭に拠点構築や軍事利用の自制を求めた。

これに対し、中国は「強烈な不満」を表明し、G7各国に抗議するなど、反省がみられない。サミットでは改めてより強い要求を突きつける必要がある。

北朝鮮は36年ぶりとなる党大会を前に、ミサイル発射の挑発を繰り返した。拉致など人権問題を含め、北朝鮮への対処も日本が議論を主導しなければならない。

欧州ではパリとブリュッセルがテロに見舞われた。難民危機でも苦境に立たされている。英国は欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票を控える。

英独仏伊そしてEU首脳との個別会談では、これらの問題に耳を傾け、サミットの議論に反映させるとともに、日本が協力姿勢を示すことも重要だろう。

サミットは首脳同士が小人数で緊密に議論する場である。オバマ米大統領は今回が最後となり、5度目となる安倍首相が、議長として指導力を示す格好の機会だ。

G7が足並みをそろえて存在感を示し、日本の国益にもかなうよう議論をまとめてゆく。その手応えをつかんでもらいたい。
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[産経新聞] 【主張】三菱自の燃費不正 これで「存続」できるのか (2016年04月30日)

四半世紀にわたりデータを捏造(ねつぞう)してきた。そう聞けば、いったいこの会社は不正なしに、ものづくりができるのだろうか、と疑問を抱く。

軽自動車の燃費試験データの偽装を公表した三菱自動車の相川哲郎社長は、会社の存続が問われる事態であるとの認識を示したが、十分な危機感に基づいたものだろうか。

長期間の捏造を認めながら、肝心の対象車種や台数などは「調査中」として公表していない。これでどうやって顧客に説明するのか。国内受注が半減したのも当然だろう。

全容解明への取り組みの遅さを露呈するトップの説明で、会社の今後など展望できない。

三菱自では米当局から燃費試験の実施を求められるなど、販売全体の9割を占める海外からも疑念の目を向けられている。同社だけの問題にとどまらない。自動車大国として、世界の中での日本の信頼が問われよう。

国土交通省への報告では、燃費偽装が発覚した軽自動車でデータを実際に計測していたのは一部にとどまり、多くは計算上の架空データを使用していた。

同社は新車開発をめぐり、短期間に5回も燃費性能目標を引き上げた。競争の激化が理由だが、達成を焦った開発陣が偽装に手を染めたとの見方もある。不正の経緯と動機の解明が欠かせない。

さらに軽自動車以外でもこの25年間、国の基準とは異なる不正な方法で測定していたという。同社は平成12年と16年にリコール隠し事件を引き起こし、消費者離れを招いて経営不振に陥った。

三菱自はグループ各社からの支援を受け、法令順守の徹底などで会社の再生を誓ったはずだ。しかし、実際にはその間も水面下で不正が繰り返されていたことになる。企業体質と呼ぶしかない。

同社は購入者に対してガソリン代の差額分の補償などを検討している。政府は適正な燃費試験で同社製の軽自動車がエコカー減税の対象から外れた場合には、減税分を同社に負担させるという。

これらも経営への打撃となるが、自ら不正をただす取り組みをみせない限り、これまでのようなグループ支援は見込めない。各社の株主にも説明がつくまい。

国交省も、長年にわたる同社の不正行為を見抜けなかった事態を重く受け止める必要があろう。
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[東京新聞] 民衆とマネー資本主義 貧富の格差は正さねば (2016年04月30日)

若者や弱い立場の人々を苦しめている貧富の格差。それを正そうという新たなうねりが日本はもちろん、先進国で広がり始めています。

重厚な低音の声優として活躍した大平透さんが先日、八十六歳で亡くなりました。白黒テレビに子どもたちがかじりついたころはスーパーマン。バブル経済が崩壊した一九九〇年代にはテレビアニメ「笑ゥせぇるすまん」、喪黒福造の不気味な語りが印象的でした。

曰(いわ)く「この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり、そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします…」


◆広がる心のすきま
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三年前の二〇一三年、忘れていたこのせりふを呼び覚まされる事件がありました。人気漫画「黒子のバスケ」を並べる書店や関連イベントの会場に脅迫文を送り付けた容疑で、三十六歳の派遣社員の青年が逮捕されたのです。

希望の進学がかなわず、年収が二百万円を超えたことがないという青年は裁判で「手に入れられなかったものをすべて持っている作者のことを知り、人生があまりに違いすぎると愕然(がくぜん)とした」「負け組に属する人間が、成功者への恨みを動機に犯罪に走る事件は、今後の日本で頻発するかもしれない」と述べたのです。

バブル崩壊後、企業のリストラがすすみ、非正規でしか就職できなかった若者に広がる失望、無力感、そして妬(ねた)み…修復できないほど広がった心のすきまとは社会の断裂ではなかったでしょうか。

あの事件から三年。止まらない格差の拡大は社会の大きな課題となり論議が広がっています。国内はもちろん、米国でも欧州でも。

九一年に冷戦が終結してから二十五年。当初は独裁や全体主義に対する民主主義の勝利と称賛されました。ところがリーダーの米国をはじめ民主主義の先進国で貧富の格差がどんどん広がります。

膨張するマネー、資本の力は「冷戦に勝利したのは民主主義ではなくて資本主義…」とさえ言われるようになりました。その金融資本主義も〇八年のリーマン・ショックで力を落とし、今、二つの壁に見直しを求められています。


◆パナマ文書は警告する
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ひとつは長期停滞の可能性です。資本主義は発展するにつれて欲望が飽和し、収益のあがる投資先がなくなって長期停滞する−かつて経済学者のケインズはこう指摘しました。最近では資本主義の終焉(しゅうえん)論も耳にします。

もうひとつは格差に立ち向かい、不公正を正そうとする民衆からのうねり、新たな波です。

格差社会の象徴になった米国の大統領選挙では、格差と不公正の是正を訴えるサンダース候補が支持を集めています。その主張のひとつが「大銀行解体論」です。

大銀行に集まる巨額のマネーは少しでも利益のあがる投資先を求めて世界のあらゆる商品、市場を投機の対象に右往左往し、時に破綻し、暮らしの土台である経済を根底から揺さぶります。巨大銀行を分割して金融バブルを防ぐのが解体論の狙いです。米国の中央銀行のひとつ、ミネアポリス地区連銀の総裁も同じ考えを表明するなどウォール街も無視できない動きになりつつあります。

不公正を正す動きも出てきました。富裕層の脱税の抜け道になっているタックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴く「パナマ文書」です。

新たなうねりは日本でも見え始めています。

バブル崩壊から二十年の〇九年、民主党が掲げた「コンクリートから人へ」は多くの共感と期待を集め、政権交代が実現しました。新政権は未熟で、国民の期待は失望に変わり、自公政権が復活。企業収益重視の旧来型の政策で経済を立て直そうとしますが、消費が伸びず行き詰まっています。

そのはずです。格差が広がれば富める者はもう買う物がなくなり、貧しいものは節約するしかないのですから。


◆人への投資はだれが
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格差是正を求める声が高まる中、国民の審判を受ける参院選挙を前にした安倍晋三首相は、同一労働同一賃金や介護、保育士の給与引き上げなど人への投資を重視した政策へと転換せざるをえなくなっています。

「笑ゥせぇるすまん」では、客は心のすきまを埋めてもらう代わりに交わした喪黒福造との約束を守れず、家庭が崩壊したり犯罪に走るという悲劇の結末を迎えます。人間の弱さ、愚かさを浮き彫りにするストーリーです。

でも格差と不公正が生み出す心のすきまは私たちの手で、社会の力で埋めなければなりません。埋めることはできるはずです。それは民主主義の力であり、政治を動かす力でもあります。
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[毎日新聞] 「ひとみ」失敗 連鎖ミスの徹底究明を (2016年04月30日)

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交信途絶が続いていたエックス線天文衛星「ひとみ」の運用を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が断念した。電力を供給する太陽光パネルが機体から全て外れており、機能回復はできないと判断した。

日本のエックス線天文学は、銀河中心部に超巨大ブラックホールが存在する可能性を突き止めるなど、これまで数々の成果を上げてきた。ひとみは世界的にも注目を集めていただけに、極めて残念な結果だ。

衛星の姿勢制御ミスが重なって機体が異常な速度で回転し、太陽光パネルの取り付け部などに想定外の力が加わったことが、機体分解の原因だという。JAXAはなぜミスの連鎖が起きたのかを徹底的に究明し、再発を防がなくてはならない。

ひとみは今年2月、H2Aロケット30号機で打ち上げられた。日本のエックス線天文衛星としては6代目で、約310億円が投じられた。

ひとみとの交信が途絶えたのは3月26日だ。JAXAによれば、制御システムの誤作動でひとみが自らの姿勢を把握できなくなり、回転を始めた。回転を止めようと小型エンジンを噴射したが、地上から送っていた噴射手順のデータに誤りがあり、逆に回転を速めてしまった。その結果、機体が分解したらしい。

制御システムの誤作動や、噴射手順のデータの誤りを事前にチェックできなかった理由は、まだ分かっていない。他の衛星でも同様のトラブルが起きないか点検が必要だ。

日本のエックス線天文衛星は、2000年2月にアストロEの打ち上げに失敗した。05年7月に打ち上げた5代目の「すざく」も、観測装置のトラブルで予定通りの観測ができなかった。これで3基連続のトラブルで、日本の衛星運用への信頼が揺らぎかねない事態である。

世界の研究者に与える影響も大きい。ひとみには最新鋭のエックス線望遠鏡とエックス線検出器が搭載され、米航空宇宙局(NASA)をはじめ世界の研究者200人以上が開発に参加した。本格運用開始後は、他国の研究者からも観測テーマを公募して運用する「公開天文台」となるはずだったからだ。

3月までの試験観測では従来にない高解像度の観測データが届き、研究者の期待は高まっていたという。

ひとみの次のエックス線天文衛星は、欧州宇宙機関(ESA)が28年に打ち上げを計画しているだけで、研究に12年間の空白が生じる可能性がある。ひとみの後継機の開発に期待する声も出るかもしれない。同じ設計なら、開発期間は短く、費用も削減できるだろう。

だが、まずはミスの原因究明を最優先すべきで、議論はその後だ。
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[毎日新聞] メーデー 「働く」をもっと考える (2016年04月30日)

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連合系のメーデー中央大会がきのう、東京・代々木公園で開催された。「労働者の祭典」に、改めて働くことについて考えたい。

低賃金の非正規雇用が全体の4割になる一方、長時間の過酷な労働で過労死する正社員も後を絶たない。劣悪な労働条件で若者を食い物にする「ブラックバイト」も横行している。多様で切実な課題が労働に関して持ち上がる時代になった。

メーデーは1886年に米国の労働者が低賃金と長時間労働の改善を求めてゼネストを行ったのが始まりとされる。連合のメーデーのリーフレットに「8時間は労働に、8時間は眠りに、そしてあとの8時間はわれわれの自由に」の言葉が掲げられているのはそのためだ。

ところがスローガンとは逆に、日本では1990年代から長時間労働による労災や過労死が増え続けてきた。経営者がコスト削減のため低賃金の非正規雇用を進め、それに伴って数が減り続けている正社員に仕事が集中するためだ。経済のグローバル化で24時間の企業活動が求められ、消費者のニーズに応えるため土日や深夜の営業が増えていることも業務量の増大をもたらしている。

労働基準法は働く人を守るための法律だが、政府は経営者側の要求に応えるかたちで同法を改正し、労働時間規制を緩和してきた。連合は長時間労働の改善を主張してきたが、残業代が減ることを懸念する現場の労働者からは賃上げを優先する声が強いというのが現状だ。

その間、労働組合は加入者が減って衰退の一途をたどってきた。連合が発足した89年には労組の組織率は25・9%、組合員数は1223万人だったが、2014年には17・5%、985万人にまで減少した。

春闘でも大企業の正社員の賃上げ要求が中心で、賃金以外の労働条件や組合に加入していない非正規雇用の労働者の待遇の改善に関しては対応が遅れてきた。労組にかつてのような社会的存在感や政治に対する影響力が見られなくなった一因とも指摘される。

ただ、今年の春闘では政府の賃上げ要請を受けながらも、大企業の労組は要求水準を抑えめにし、下請け企業へ利益を適正に配分するよう経営側に求めた。その結果、多くの中小企業で大手を上回る賃上げ回答が見られている。非正規のパート職員の労組加入も増えている。

現政権は同一労働同一賃金の導入を目指している。非正規社員の賃金を上げようとすると、正社員の働き方や賃金水準にも影響する可能性がある。働く人全体の利益のためにどのような運動を展開するかは労組にとっても試金石になるだろう。
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[読売新聞] デジタル教科書 「紙」の補助的役割にとどめよ (2016年04月30日)

学習効果や健康への影響が十分に検証されていないまま、教科書のデジタル化に道を開くことには疑問を禁じ得ない。

文部科学省の有識者会議が、2020年度をめどに小中高校でデジタル教科書の使用を認める報告案を示した。

当面は、現行の紙の教科書と併用するものの、将来的には、「紙」か「デジタル」かを選べる選択制の導入も検討するとしている。

タブレット型の情報端末に教科書のデータを取り込んだのが、デジタル教科書だ。図面や写真を拡大したり、文章や線を何回も書き込めたりする機能を備え、インターネットにも接続できる。

例えば、理科で宇宙や人体の仕組みを学ぶ際、デジタル教科書を使い、写真で視覚に訴える授業を行うことを想定している。

情報技術の進展に伴い、デジタル技術を活用した教材の開発が進んでいるのは確かだ。そうした教材を使った学校で、子供たちの関心が高まったという声も聞く。

だが、それらはあくまで、学習の基盤となる教科書を補助する副教材だ。「紙」との併用が基本とはいえ、教科書自体をデジタル化する必要は本当にあるのか。

書き込み機能を使わせると、どんな色や太さの線を選ぶかに子供たちの意識が向きがちだとの指摘がある。教科書の内容の理解が浅くなっては元も子もない。

端末をネットに接続して、調べものをする場合、次から次へとサイトをたどるうちに、本来の目的を見失う恐れがある。自分の頭でじっくり考える力の育成にはつながらないのではないか。

学校などがきちんと管理していないと、有害情報にアクセスする事態も起こりかねない。

デジタル教科書を自宅に持ち帰るようになれば、子供たちがその操作に没頭し、本を読む時間が減少することも懸念される。

教科書検定に関して報告案は、「紙」と「デジタル」の内容を同じにすることで、「紙」だけで済ませるという。デジタル教科書の端末に追加機能として入れる音声や動画は、検定対象としない。

追加機能の内容のチェックは、教科書を選定する教育委員会などに委ねる方向のようだが、きちんと質を確保できるのだろうか。

有識者会議は、財政的な観点から、デジタル教科書の無償配布は困難としている。仮に保護者の負担となれば、低所得層への配慮が欠かせない。

様々な課題があるだけに、文科省には慎重な検討を求めたい。
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[読売新聞] 企業メセナ 地道な社会貢献こそが大切だ (2016年04月30日)

文化振興に企業の力は欠かせない。

文化・芸術への支援を意味するフランス語に由来する企業メセナを、さらに定着させたい。

クラシックを低価格で気軽に楽しめる音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が5月3?5日、東京・有楽町の東京国際フォーラムを主会場に開かれる。

今年が12回目で、例年30万?40万人が訪れるゴールデンウィークの一大イベントである。

この音楽祭の運営で大きな役割を果たしているのが企業メセナだ。総事業費の約4分の1を、100社超の企業が分担する。

企業メセナの活動費の総額は年900億円に上り、文化庁の年間予算約1000億円に匹敵する。普及の背景には、企業の社会的責任への関心の高まりがある。

社会貢献の可視化は、企業のイメージ向上につながる。バブル期にはメセナがブームとなり、多くの企業が人目を引く内容や金額を競い合った。

金融危機などで景気が悪化すると、こうした風潮は鳴りを潜めたものの、地道な社会貢献としての活動は脈々と続いてきた。地に足の着いたメセナの裾野を、さらに広げていくことが大切だ。

企業メセナ協議会は東日本大震災後、加盟企業の寄付を原資に被災地の郷土芸能を支援するファンドを設け、計250件に1億5000万円を助成した。今回の熊本地震後にも、熊本、大分両県を対象に同様のファンドを作った。

文化に焦点を当てたメセナならではの視点だろう。

協議会の昨年のメセナアワードでは、しずおか信用金庫(静岡市)による伝統工芸を次世代に引き継ぐ試みが優秀賞を獲得した。

小学生から「あったらいい地場産品」のデザイン画を募る。それを基にした職人の作品を、提案した子供に届ける。地域への愛着を育む試みは今後も重要だ。

今年度から、協議会の文化芸術振興プロジェクト「創造列島」が本格始動する。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて全国で文化イベントが展開される。

五輪憲章は、オリンピックをスポーツだけでなく、文化・教育と一体となった活動と位置づける。文化庁は大会組織委員会とも連携し、伝統芸能などの関連イベントを20万件実施する方針で、メセナがこれを側面支援する。

日本文化の海外発信は、企業メセナで見落とされがちな切り口だった。訪日する外国人客が日本文化に親しむ好機ともなろう。
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[朝日新聞] 被災と子ども 心開ける場をつくろう (2016年04月30日)

いらいらする。黙りこむ。指しゃぶりをする。眠れない。

「また大きな地震が来たらどうしよう」と涙目で訴える。

熊本県を中心に続く地震で、心に傷を受けた子どもたちの様子が報告されている。

大人が災害への対応に追われるなか、子どものストレスは見過ごされがちだ。一人ひとりに目を配り、支える必要がある。

子どもは、気持ちや体験を言葉でうまく伝えられない。しかも反応は一人ひとり違う。

頑張る大人を見て、気持ちを出すのを我慢したり、無理に笑顔を見せたりする子もいる。

まずは安心させ、様子をしっかり見る。話をよく聞き、「大変だったね」「こわかったね」と受けとめる――。

そんな姿勢が、周りの大人には欠かせないと専門家は言う。

大きな災害の後は「心的外傷後ストレス障害」(PTSD)が心配される。後になって、つらい体験を繰り返し思い出したり、集中できなかったりする。

文部科学省が東日本大震災翌年の2012年、被災地の保護者を対象に調べた結果では、幼稚園児の20%、小学生の18%、中学生の12%にPTSDを疑われる症状が見られた。

こうした事態をできるだけ防ぐには、子どもが心を開放でき、ストレスを発散できる時間と場所が重要である。

例えば、国際的な子ども支援団体の一員の「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、熊本県益城町の避難所5カ所に「こどもひろば」を開設している。

主に四つから14歳の子どもを受け入れ、集まった子どもたちでお絵かきや紙芝居、ボール遊びなど遊び方を決めていく。

子どもの居場所をつくり、同じ世代の子が一緒に遊ぶことを通じて日常を取り戻せるようにするのが狙いだ。

熊本県西原村にある村立にしはら保育園は、子どもたちに園庭を開放している。

避難所になった学校の校庭が駐車場として使われるなか、子どもが思いきり体を動かせる場を、と考えたという。

被災地では連休明けの再開を目指し、準備を進めている学校が多い。学校のスタートは、子どもが日常を取り戻すためにも重要だが、心の傷がすぐに癒えるわけではない。

阪神大震災後の兵庫県教委の調査では、心のケアが必要と判断された小中学生数がピークを迎えたのは震災3年後だった。

保護者や教員だけでなく、地域や支援団体も含め、さまざまな目で子どもを見守り続けることが欠かせない。
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[朝日新聞] 日銀物価目標 現実見すえ、修正を (2016年04月30日)

日本銀行が物価を2%上昇させる目標時期をまた先送りした。新たな達成時期のめどはこれまでより半年延ばし、「2017年度中」である。

13年4月に黒田東彦総裁のもとで異次元緩和に乗り出した時は、2年で達成するという目標を掲げていた。それを最大5年に引き延ばす計算だが、実現への道筋は見通せていない。

もはやこの試みは行き詰まっている。目標も、それを実現するための手段も、現実を見すえて見直すべき時期に来ている。

「2年」と期間を区切っての短期決戦で、日銀が金融市場に投入するお金の量を2倍に増やす異例の政策には当然、弊害や副作用も予想された。それでも国民や企業に染みついたデフレ心理を払拭(ふっしょく)するには、それくらい思い切った金融政策が必要、というのが日銀の立場だった。

その後、お金の投入量をさらに増やしたが、消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率はほぼゼロで、3月はマイナスになった。原油相場下落の影響が大きいが、目算違いは否めない。

黒田総裁は目標実現のためなら「出来ることは何でもやる」と言い続けてきた。その通り、大量の国債を買い取るなど異次元緩和で金融市場へのお金の量を増やし、2月には日銀史上初めてマイナス金利政策まで導入した。

しかし、こうした政策は必ずしも経済の好循環を生まず、経済成長にも結びついていない。デフレ心理を払拭できないまま、異次元緩和の限界と弊害が次第に明らかになっている。

とりわけマイナス金利政策の導入後、株価や為替相場が乱高下するなど金融市場の不安定さが目立ってきた。銀行の収益への影響も大きく、経済界には「悪影響のほうが大きい」との受け止め方が広がっている。

これまでの日銀のやり方から言えば、インフレ目標の達成が遠のいたのなら追加緩和をするところだ。にもかかわらず、日銀は28日の金融政策決定会合で目標達成時期を先送りしつつ、追加緩和を見送った。日銀自身も、これ以上の異次元緩和の拡大に問題があることを意識し始めたのではないか。

日銀には早期に政策を修正することが求められる。インフレ目標やその達成時期を絶対視せず、もっと柔軟に対応したほうがいい。現実的な目標水準に変え、一刻も早く異次元緩和からの出口戦略を練るべきだ。

ただでさえ正常化には10年、20年かかると言われる。これ以上深入りしたら、永久に出られなくなりかねない。
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2016年04月29日

[産経新聞] 【主張】昭和の日 呼べば「時代」は帰り来る (2016年04月29日)

伝説の大女優と呼ばれた原節子さんの訃報が伝わった昨秋、「昭和がまた遠くなった」との嘆息が国民の間にもれた。

「昭和が遠く…」はごく日常的に、例えば場末の小さな劇場が閉館したといった場合でさえも感傷交じりに語られる。

「あの時代」が日本人の記憶の中にしっかりと生きている証左でもあろうか。しかし昭和元年生まれの人は今年でちょうど90歳を迎える。国民のおよそ4人に1人は平成生まれだ。昭和が語られる機会もおのずと減り、時代の原風景の記憶は確実に風化しつつあるといえよう。

それでも、いやそうだからこそ昭和が歩んだ道を改めて振り返りたいのである。いま国内外で直面する諸問題を解決する上でも大きな意義があるに違いない。

きょうは「昭和の日」である。言うまでもなく、この日は昭和時代の天皇誕生日だった。昭和天皇の崩御後は「みどりの日」となったが、昭和天皇の遺徳をしのび、昭和を顧みる日がほしいとの国民の熱望を受け、平成19年からは昭和の日と改められた。今年で10回目となる。

祝日法に「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」とうたわれているように、昭和のキーワードは激動と復興である。

先の大戦で国土は荒廃し、国民は窮乏を余儀なくされた。犠牲者が数千人に及んだ昭和23年の福井地震や34年の伊勢湾台風など、幾多の自然災害にも襲われている。石油ショックという深刻な経済危機もあった。しかし国民はそのつど困難を克服し、復興を果たし、さらなる発展をもたらした。

日本人の勤勉さに負うところではあるが、国民と苦楽を共にされた昭和天皇を中心に国民が心を寄せ合ったことも忘れたくない。

元号の「昭和」は漢籍の中の「百姓(ひゃくせい)昭明、協和万邦」に由来し、国民の平和と世界の共存繁栄を願う意味があるという。昭和の日本はまさに元号の意を体現したすばらしい国家へと成長し、平成にたすきをつないだ。

もっとも昭和が残した課題は少なくない。憲法はもはや現下の国際情勢にそぐわず、家族や地域の人間関係は希薄化した。国民はいま一度、心を一つにした歴史を思い起こすべきではなかろうか。

昭和はまだ、呼べど帰らぬほどには遠くなっていないはずだ。
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[産経新聞] 【主張】単純労働者の容認 社会コストどう負うのか (2016年04月29日)

外国人労働者の大量受け入れは、それに伴う社会コストの増大など将来にわたる影響も踏まえて判断すべき政策だ。

目先の労働力を確保するため、「受け入れありき」で結論を出す愚を冒してはなるまい。

自民党の「労働力確保に関する特命委員会」がまとめた提言案は、原則として学者や技術者などの「高度人材」しか認めてこなかった現状を改め、単純労働者の受け入れを容認するよう求めている。

介護や農業など人手が足りない分野について「個別に精査して受け入れを進めていくべきだ」と踏み込んだ。単純労働者という用語そのものもなくせという。

外国人にも開かれた国家という価値観は重要だ。しかし、欧米での移民問題をめぐる混乱をみれば、受け入れが大きな困難を伴うことは明らかだろう。

提言案の作成過程で、将来に及ぼす影響が十分議論された形跡はみられず、特命委でも「なぜ日本が欧米の後追いでやるのか」といった疑問や異論が残っている。

「共生の時代」という聞こえのよい言葉を使っただけでは済まされない課題が山積している。

最も懸念されるのは、政府が永住権取得を簡単にする「日本版高度外国人材グリーンカード」構想を性急に実現しようとしている点だ。安倍晋三首相は永住権取得までの在留期間を「世界最短にする」と力説している。

「高度人材」と「単純労働者」の区分けをなくした場合、職種にかかわらず、短い在留期間で永住権を与えるのだろうか。もっと丁寧な議論と説明が必要だ。

企業側には外国人を「若くて安い労働力」と期待する傾向が強かった。だが、「高齢になる前に母国に帰ってもらえばよい」といった都合のいい考え方など、そもそも通用しなくなる。永住者の老後には、行政上の責任が生じることを忘れてはならない。

低年金や無年金の永住者は増えないだろうか。すべてを生活保護で対応するとなれば、国家財政への影響は計り知れない。子供の教育環境の整備も求められる。

特命委は「受け入れ枠」の設定に言及しているが、永住者は職業を自由に選べる。転職者が相次げば人手不足の「穴埋め」にはならず、日本人との競合も生じる。将来へのコストも含めた、多角的な視点からの議論が欠かせない。
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[東京新聞] 金融政策維持 仏の顔は三度まで… (2016年04月29日)

物価上昇目標の達成を先送りしながら日銀が金融政策の現状維持を決めたのは、異次元緩和の限界を示した格好だ。金融政策頼みに無理があり、アベノミクスは軌道修正を急ぐべきだ。

実に四度目の「後ズレ」表明である。原油安の影響や新興国経済の減速といった外的要因はある。二月に始めたマイナス金利政策の効果が出るまでには半年程度かかるとの理屈もあろう。それでも「仏の顔も三度まで」と言うように四度目ともなると、さすがに金融政策への信頼性や日銀の本気度が疑われよう。

二〇一三年四月に始まった異次元緩和は「二年で2%」の物価上昇達成を華々しく掲げた。しかし、ズルズルと達成先送りを続け、四度目の今回は「一七年度前半ごろ」から「一七年度中」とした。つまり遅ければ一八年三月末まで丸五年かかることになる。

この間にも市中の大半の国債などを買い入れる量的緩和を拡大し、奇策といわれたマイナス金利も導入した。しかし、きのう朝発表の三月の消費者物価指数は五カ月ぶりに下落に転じた。年明け以降の円高も定着し、熊本地震の影響も深刻だ。それでも今回、日銀が動かなかったのは政策の手詰まり感が顕著で、緩和すれば「弾切れ」の恐れがあるからだろう。

「中央銀行の歴史上、最強の緩和策」「緩和の手段はいくらでもある」。異次元緩和の限界論に対し、黒田東彦総裁は強弁してきた。なるほど手段はたくさんあるのかもしれないが、肝心なのは「効果がある手段」かどうかだ。いくら薬の種類や量を増やしても、効かなければ、かえって副作用のリスクが増すだけだ。

物価が上昇しないのは緩和が足りないからではない。むしろ金融緩和の一本足打法であるアベノミクスの限界を示すばかりだ。

一時的に円安・株高が実現し、大企業や富裕層は潤った。しかし、それだけだ。富は中間層以下や地方に行き渡らず、消費の担い手である中間層は細り、国内総生産(GDP)の七割を占める「消費」「投資」は増えないのである。物価も上昇しない。

アベノミクスはこの三年間、円安・株高を享受した。だが効果的な成長戦略を実現できないまま、年初から日本経済に逆風となる円高に見舞われている。構造改革を進めるべき猶予期間が切れた今、物価上昇−デフレ脱却のためには所得再分配に力点を置き、格差是正、中間層育成を急ぐことだ。
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[東京新聞] 活断層と認定 志賀原発は動かせない (2016年04月29日)

北陸電力志賀原発(石川県)の直下を走る断層が、地震を起こす恐れのある活断層と認定された。活断層が連動して動く怖さは、熊本地震で骨身に染みた。過去に学べば、志賀原発は動かせない。

熊本地震の激しい揺れで、目が覚めたということなのか。

志賀原発1号機直下の活断層が、ようやく認定された。

原発の真下を走る古い地層のずれ(S−1断層)は、いつかまた激しく動く、つまり地震を起こす恐れを秘めた活断層なのか、そうでないのか。

3・11後の原発新規制基準では、活断層の真上には、原子炉建屋など重要施設は設置できない。

二十九年前、北陸電は、S−1断層の試掘調査を実施した。

その図面をもとに、活断層の疑いを指摘したのは、かつての規制機関である経済産業省の原子力安全・保安院だった。3・11後の二〇一二年七月、原子力規制委員会が発足する二カ月前のことである。その図面が決め手になった。

規制委の有識者会合は昨年七月、「活断層の可能性は否定できない」と結論づけていた。そしてようやくその評価が規制委に認定された。

志賀原発は約四年間、指摘のあった地震の危険にさらされていたことになる。

私たちは今まさに、熊本地震のさなかにいる。日本が地震国であること、地震活動の計り知れなさ、予測しがたさ、強大さなどをまざまざと見せつけられている。

「否定できない」以上はクロだ。危険がある。1号機は、速やかに廃炉にすべきである。2号機の原子炉建屋の直下に活断層はないものの、周辺機器に冷却水を送り込む配管の下を横切っている。

冷却がいかに大切か。私たちは福島の事故に思い知らされた。

防災は歴史に学べ。3・11以来の鉄則に照らしてみれば、2号機も動かすべきではない。

2号機は新しく、出力は一三五・八万キロワットと大型だ。電力自由化の競争時代、失いたくないという電力会社の台所事情も分かる。

だが、日本列島に活断層は二千カ所以上あるといわれ、未知の部分も多い。再稼働の適合審査に臨むにも、膨大な対策費用がかかるだろう。

原発依存はもはや経営リスク。これも大震災の教訓だ。

北陸電は、水力を含む再生可能エネルギーの比重が高い。率先してそちらへ舵(かじ)を切るのも、企業としての“防災”ではないか。
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[毎日新聞] 観光立国 日本人も楽しまないと (2016年04月29日)

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日本を訪れる外国人旅行者の数がぐんぐん伸びている。昨年は1974万人と、かつて政府が2020年の目標として掲げた2000万人に迫った。好調さを受けて引き上げられた目標は、20年に4000万人、30年に6000万人だ。

他方で気になるのが、日本人による旅行である。海外旅行も国内旅行も振るわない。観光庁によると、昨年は45年ぶりに、海外からやって来る旅行者が日本から海外に向かった旅行者を上回った。海外からが前年比47%増だったのに対し、日本から海外へは、4%減である。

国内旅行(14年)も、人数が前年比5・7%減、旅行の消費額が同8・1%減だった。政府は「観光立国」を唱え、経済効果を期待して訪日外国人の増加に力を入れる。だが、そこに住む国民が観光を日常的に楽しまない、楽しめない、では、むなしく、真の観光立国とは呼べない。

国民が旅行好きの国は、海外から訪れても楽しいはずだ。日本人が海外に出向けば、海外にあって日本にないものに気付いたり、逆に日本の魅力を再発見したりできる。そうした実体験は、海外の人を迎える際にも役立つだろう。旅先での外国人旅行者と日本人旅行者の交流は、金額では表せない資産となる。

ではなぜ、日本人の旅行、特に観光目的の旅が低迷しているのか。

人口減少もあるだろうし、円安が日本人の海外旅行を割高にした面もある。特に着目したいのは低い有給休暇の取得率だ。オンライン旅行予約が専門の米エクスぺディア社が主要26カ国を対象に調査したところ、日本人は有給休暇の取得率で最低の韓国に継ぐ2番目の低さだった。さらに、自分の有給休暇が何日かを知らない人は50%超と最多で、10%前後の他国との差が際立った。

盆暮れや祝日のある週末に旅行をすれば、費用がかさみ、特に所得の低い世帯はためらってしまうだろう。日数や行き先が制限されたり、渋滞や混雑がストレスになったりもする。平日の旅行はといえば、子どもの学校があり難しい。

欧州では、春や秋にも学校の休みを作り、地方によって日をずらすことで家族旅行がしやすくなっている国も少なくない。気軽に旅行を楽しめる工夫ができないものだろうか。

大型連休が始まった。この機会に、国内外の旅行に出かけるという人も多いだろう。

この時期、例年なら観光客でにぎわう熊本や大分は、大地震からの復旧途上である。旅行者の受け入れで制約も多いはずだ。しかし、人が訪ねてくるということは、そこに住む人を元気付ける。訪ねられるようになった所から、足を運んでみたい。
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[毎日新聞] 「0増6減」通過 身内の延命で決着とは (2016年04月29日)

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迷走を続けた揚げ句に、「1票の格差」の是正に向けて衆院が出した結論は今回もまた、その場しのぎの対応策だった。

衆院の選挙制度改革について、小選挙区を当面、「0増6減」する自民、公明の与党案が衆院本会議で可決された。与党案は参院審議を経て今国会中に成立する見通しだ。この決着を強く批判したい。

再三指摘してきたように、与党案は議席配分に人口比をより反映させる仕組みとして衆院議長の諮問機関が答申したアダムズ方式の導入を2020年以降に先送りする策だ。

なぜ先送りか。定数減の影響を受ける現職議員をできるだけ少なくしたいという自民党の事情以外に理由は考えられない。緊急課題である格差の抜本是正よりも身内の延命を優先したといっていい。

同時に審議された民進党案は10年の国勢調査を基に直ちにアダムズ方式を取り入れ、小選挙区を「7増13減」する内容だ。この方が合理的なのは明らかであるにもかかわらず与党が数で押し切った形だ。

本来、議員の選び方の基本となる選挙制度の改革は、少なくとも与党と主要野党が合意したうえで実現させるべきである。ところが、民進党にも当初からあきらめムードが漂い、先週の審議入り以降、1週間足らずで採決に至ったのは残念だ。

最高裁は過去3回の衆院選について「違憲状態」と判断し、都道府県にまず各1議席配分する現行の「1人別枠方式」が「格差が生じる主因」と指摘して撤廃を求めてきた。

このため国会審議では、与党案では別枠方式が残り、最高裁の要請に応えられないとの意見が野党から出たが、与党側は「段階的に措置を講じる」などと答えるだけだった。

与党側は区割りを調整して「1票の格差」を2倍未満にすると強調。アダムズ方式先送りの理由については、10年の国勢調査は古い調査で、20年調査が直近だとも答弁した。これも「無理やりこじつけた説明」ではなかったろうか。

与党案が成立しても、小選挙区の区割り見直し作業と有権者への周知期間が必要だ。熊本地震を受け、与党内では夏の参院選に合わせて衆院選を行う同日選は難しくなったとの見方が広がっているが、仮に年内に衆院選が行われる場合には現行制度のままでの選挙となる。

しかも20年の国勢調査後にアダムズ方式を導入するといっても、実際の衆院選に適用されるのは22年以降となる見通しだ。その間、何回、衆院選があるか分からず、政治状況が変われば導入が再度先送りされる可能性も否定できない。有権者は今後も注視していくことが必要だ。
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[読売新聞] 衆院選改革法案 1票の格差是正へ仕組み整う (2016年04月29日)

衆院小選挙区選の「1票の格差」を是正する法的な枠組みが整うこと自体は、評価できよう。

自民、公明の与党が提出した衆院選挙制度改革の関連法案が衆院を通過した。5月中旬にも成立する。

法案の柱は、「アダムズ方式」に基づき、都道府県定数を10年ごとに配分し直すことだ。格差は、衆院選挙区画定審議会設置法が基本とする「2倍未満」に継続的に収まる。1月の有識者調査会の答申に沿った制度改革である。

最高裁は、過去3回の衆院選の格差を「違憲状態」と認定し、現行制度の見直しを求めていた。

今後、都市部に住民が流入し、地方の人口減が一段と進むのは避けられまい。将来の人口変動に対応し、格差を縮める客観的な仕組みを定める意義は小さくない。

アダムズ方式は、人口の少ない県に比較的手厚く定数を配分し、地方に一定の配慮をしている。

与党案は、2020年国勢調査からアダムズ方式を導入する。当面の是正策として、15年簡易調査に基づき、青森など6県の定数を各1減らす「0増6減」とともに、全国的に区割りを見直す。

政府には、制度改革を円滑に実施することが求められる。自治体と連携し、有権者への周知も徹底してもらいたい。

おおさか維新の会は、定数削減の検討などを盛り込んだ付帯決議を条件に与党案に賛成した。

一方、民進党は、10年調査に基づきアダムズ方式を実施する法案を国会に提出し、否決された。

選挙制度は民主主義の基盤だ。本来は幅広い合意で見直すのが望ましい。与党と民進党がアダムズ方式導入で一致しながら、導入時期を巡る溝を埋められなかったのは残念だが、「違憲状態」の解消を急ぐには、やむを得まい。

疑問なのは、定数削減である。小選挙区の6減に加えて、比例選の定数も4減少する。

定数を減らせば、多様な民意が反映されにくくなる。法案審議を通じた国会の行政監視や立法の機能も低下しかねない。ひいては国民の不利益につながろう。

定数が少ないほど、格差是正が困難になる点も見過ごせない。これ以上の削減は避けるべきだ。

多くの党が公約で、定数削減を掲げたのは、消費税率の引き上げで国民に痛みを強いた以上、議員自ら「身を切る」姿勢を見せざるを得ないとの判断からだろう。

それなら、定数でなく、政党交付金や議員歳費を減らす方が理にかなっている。
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[読売新聞] ボランティア 安全に留意して被災地支援を (2016年04月29日)

熊本地震の被災地で、ボランティア活動が本格化している。大型連休には、大勢の人が被災地に足を運び、支援に汗を流すことだろう。

善意の力が、被災者の生活再建につながることを期待したい。

ボランティアの受け入れは、地元の社会福祉協議会が開設した災害ボランティアセンターが窓口となっている。避難者が多い熊本市や益城町など、熊本県内の15市町村に設置された。

センターは、住民の要望を聞いた上で、インターネットを通じて必要な人数や作業内容を発信し、訪れたボランティア希望者を現場に振り分けている。

被災家屋の清掃や家具の移動、避難所の運営支援など、作業内容は様々だ。希望者の体力などに配慮した人員配置が大切である。

特定の市町村にボランティアが集中しないようにするため、県の社会福祉協議会が調整役を派遣するといった工夫も必要だろう。

被災地では、余震が頻発している。大雨による土砂災害の恐れもある。ボランティアの人たちが二次災害に巻き込まれないよう、センターは被災現場の状況を正確に把握しておかねばならない。

熊本市では、壊れた屋根に雨漏り防止用のブルーシートをかけてほしいといった要望が多い。しかし、「応急危険度判定」で問題のあった建物へのボランティアの派遣は見送っている。

安全確保が最優先であることを考えれば、適切な判断である。

参加する側にも細心の注意が求められる。ヘルメットや防じんマスクなどで身を守るだけでなく、万が一に備え、ボランティア保険への加入も欠かせない。

ボランティアの募集対象を地元住民に限っている地域も多い。

全国から受け入れていた益城町では、大型連休中は県内在住者に限っている。宿泊先の確保が厳しいことなどが理由だ。

ボランティア活動に向かう人たちの車で道路が渋滞し、支援物資の輸送が滞るような事態になっては、本末転倒だ。参加希望者は被災地に赴く前に、現地の状況を自らチェックしてもらいたい。

災害ボランティアは、1995年の阪神大震災で注目された。2004年の新潟県中越地震や11年の東日本大震災で定着した。

実績を積んだ約90のボランティア団体が、今回も現地入りしている。団体間で活動情報を共有する新たな取り組みも見られる。

自治体と連携し、きめ細かな支援を続けていきたい。
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[朝日新聞] 安保違憲訴訟 司法の真価が問われる (2016年04月29日)

集団的自衛権の行使を認めた安保関連法は憲法に反するとして、市民ら約500人が東京地裁に訴えをおこした。今後も各地で提訴が予定されている。

裁判所は、正面からこの問いに答えてもらいたい。各地での判決を積み重ねたうえで、憲法の番人である最高裁が最終判断を示す。その司法の責務をまっとうしてほしい。

昨年の安保法制の国会審議を思い起こしたい。

多くの憲法学者や元最高裁判事らが、「違憲である」「立憲主義の否定だ」と声をあげた。過去の政府答弁と明らかに食い違う憲法解釈の説明に、疑問を感じる国民も多かった。

しかし政府与党は「違憲かどうか最後に判断するのは最高裁だ」「100の学説より一つの最高裁判決だ」と反論し、数の力で法を成立させた。

耳を貸す相手は最高裁でしかないという政権の姿勢を、そのまま司法への敬意の表れと受け取るわけにはいかない。

そもそも安倍政権は政府内の「法の番人」だった内閣法制局への人事措置により、チェック機能をそいだ。立法府である国会も数の論理が支配した。

三権分立の一翼を担う司法の役割が、いまほど重く問われているときはない。

原告側は、平和に生きる権利を侵されたとして、賠償などを求めている。憲法改正手続きを経ずに9条を実質的に変えられてしまい、国民の「憲法改正・決定権」が侵害されたと訴えている。

これまでの判例を振り返れば原告側のハードルは高い。

日本の裁判では、具体的な争いがなければ、法律が合憲か違憲かを判断できないとされる。抽象的に安保法の廃止などを求めた別の訴訟は「審査の対象にならない」と門前払いされた。

審査に入ったとしても、憲法判断は訴えの解決に必要な場合以外は行わないという考えが、司法関係者の間では一般的だ。

今回も裁判所がその考え方に立てば、賠償の求めを退けるだけで、憲法判断は避ける方向に傾くこともありえる。

原告には自衛隊員の親族や、基地周辺の住民らも名を連ねている。裁判というテーブルに議論を載せるためにも、具体的な主張をめざしてほしい。

訴えの根本にあるのは、立憲主義を軽んじる政治のあり方に対する深刻な危機感である。

憲法をめぐる真剣な問いを、裁判所は矮小(わいしょう)化することなく、真摯(しんし)に受け止めるべきだ。国の統治機構への信頼をこれ以上損なってはならない。
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[朝日新聞] 衆院選挙制度 自らを律せない立法府 (2016年04月29日)

住んでいる地域によって一票の価値に不平等が生じる。この理不尽を改めるためだったはずの衆院の選挙制度改革が、中途半端に終わることになった。

衆院の特別委員会で審議された与野党二つの関連法案のうち自公案が賛成多数で可決され、衆院を通過した。参院審議をへて近く成立する。

衆院定数は小選挙区で6、比例区で4削減され、小選挙区画の見直しで格差が2倍未満となるよう調整される。有識者の調査会が導入を求めた「アダムズ方式」に基づく定数配分の抜本見直しは、2020年の国勢調査以降に先送りされる。

問題点は二つある。

過去3回の衆院選での2倍以上の一票の格差を「違憲状態」とした最高裁は、「1人別枠」という定数配分方式の「速やかな撤廃」を求めている。自公案ではこの方式による配分が実質的に残ることになり、新方式に基づく選挙ができるのは22年以降になるという。それまでに衆院選は、少なくとも一度は必ず実施される。

また、次の衆院選に向けても、新たな選挙区画で格差が是正されるのは来年以降だ。それまでに衆院が解散されれば、14年選挙の「違憲状態」と何も変わらないまま選挙が行われることになる。

最高裁が、格差が2倍を超えた09年衆院選を「違憲状態」と判断したのは11年3月だ。この間、小選挙区定数を5減らす緊急避難策はとったが、抜本改革は手つかずだった。

その後も各党協議で結論が出せず、有識者の調査会に検討を委ねたあげく、抜本的に制度が改まるのは判決から10年以上も先になる。この間、不利益をこうむるのは有権者だ。定数減による現職議員への影響を最小限にしようと、先送りを図った自民党の責任は大きい。

衆院を通過した自公案は、付則で「望ましい選挙制度のあり方について、公正かつ効果的な代表という目的が実現されるよう、不断の見直しが行われるものとする」とうたっている。

趣旨には賛同する。だが、あるべき制度の議論より、どうすれば自らに有利かの議論ばかりが目立った最大与党の姿を見せつけられれば、議員任せの「改革」には期待できない。

衆参両院の役割分担も視野に入れた選挙制度や、不祥事が後を絶たない政治資金のあり方も含め、長期的で、幅広い視野の検討が必要だ。そのために、法に基づく首相の諮問機関である「選挙制度審議会」の再立ち上げを考えるべき時ではないか。
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2016年04月28日

[東京新聞] サミットに向けて 麓の声は聞こえるか (2016年04月28日)

主要国のリーダーが集まるサミットとは、本来、山の頂上を意味する言葉。構えばかりが大きくなって麓の声が届かぬならば、存在意義は薄れよう。

初の主要国首脳会議、ランブイエ・サミットがパリの南西五十キロほどの森の中に残る古城で開かれたのは一九七五年。フランスのジスカールデスタン大統領と当時は西ドイツのシュミット首相が主導し、第一次石油危機などで行き詰まった先進国の経済政策を調整することが目的だった。


◆協定なくとも毎年続く
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仏、西独のほか米国、英国、イタリアに日本という六カ国(カナダは翌年から)が参加。ジスカールデスタン大統領は「城が狭いので…」という口実でメンバーを絞り、首脳と随員各三人だけが二泊三日で泊まり込み、膝詰めで話し合う方式にしたと伝えられる。

サミットに、開催に関する協定や憲章があるわけではない。無用だとの批判も浴びてきたが、首脳同士が腹を割って、を旨とするサミットはその後も毎年開かれてきた。各分野の閣僚会議も開かれるようになるなど、構えが大きくなってもいる。「もう、やめよう」という話にならないのには、それなりの理由があるはずである。

七〇年代が経済サミットの時代なら、八〇年代は政治サミットの時代だった。変容のきっかけは、七九年末の旧ソ連のアフガニスタン侵攻。G7首脳、つまりサミットのメンバーにレーガン米大統領、サッチャー英首相ら対ソ強硬派がそろったことも影響した。対ソ強硬姿勢は、核兵器削減を定めた初の条約である中距離核戦力全廃条約の締結という成果をもたらした、とも言われる。

やがて、ソ連は崩壊する。サミットは、それまでは敵だったソ連の支援に動く。九一年のロンドン・サミットでは、G7首脳とゴルバチョフ・ソ連大統領との会談が実現。ソ連の国際通貨基金(IMF)と世界銀行への特別加盟に道を開いた。ソ連崩壊に伴う世界的規模の混乱を回避すべく機能した、ということでもある。

冷戦終結後のサミットは、地球規模の課題、例えば経済のグローバル化や地球環境の問題への対処が重みを増してきた。冷戦終結で喧伝(けんでん)された「資本主義の勝利」に修正が必要になってきた、ということでもある。

首脳同士が議論するにとどまらず、各国の市民が国境を超えて連携し、サミットを動かそうという時代に入った、と見ることもできる。市民がサミットに求めてきたものは、国益のぶつかり合いではなく、公正な世界である。


◆市民も求め、関与する
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例えば九九年にドイツで開かれたケルン・サミットでは、重債務貧困国の問題が問われた。世界中から集まった市民が“人間の鎖”となって会場を取り巻き、結果として、先進国が総額七百億ドルの債権を事実上、放棄するという踏み込んだ救済策を引き出した。

非政府組織(NGO)の積極的な提言を背景として、地球環境の問題も、近年のサミットで大きな成果を残してきた。

昨年のドイツ・エルマウでのサミットでも議長のメルケル首相が温暖化対策を最重要議題と位置付け、首脳宣言に強い目標を盛り込んだ。その流れが同年末、国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議(COP21)でのパリ協定採択につながっている。

伊勢志摩サミットまであと一カ月。今回は何が生まれるのか。

中国経済の減速が影を落とす世界経済の問題、テロ対策のほか、議長を務める安倍晋三首相は中国の海洋進出や北朝鮮の問題に意欲を示している。G7として足並みをそろえるべきものは、それだけではない。

サミットの関連行事として、参加七カ国の若者が参加するジュニアサミットが三重県桑名市で開かれ、十五〜十八歳の各国代表二十八人が二十六日、「桑名コミュニケ(声明)」を発表した。

経済格差の問題では「富が一握りの人に集中する傾向があり、政治不信や過激なナショナリズムが高まっている」として公平な社会の実現を求め、地球温暖化対策では「カーボン・プライシング(炭素価格制度)の仕組みを導入し、再生可能エネルギー技術などへの投資を促せ」と提言している。言いっ放しにさせては、なるまい。


◆次の時代を考える
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五月二十三、二十四日には、内外のNGO、NPOが連携し、災害、持続可能な開発目標など十五のテーマで提言発表を行う「市民サミット」も同県四日市市で予定されている。

麓には、次の時代を懸命に考える市民の声が響いているのである。どれだけくみ取れるか。構えばかりが仰々しく麓の声が頂に届かぬようでは、サミット開催の意義は薄れていくだろう。
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