2016年02月29日

[産経新聞] 【主張】政務活動費 信頼損なう不正断ち切れ (2016年02月29日)

「号泣県議」で改めて注目を浴びた地方議会の政務活動費(政活費)は、議員一人一人の活動が行政の向上につながることを期待して取り入れられたはずだ。

国民がそう信じても、その公金をめぐる不正が絶えない。ずさんさが明らかになるごとに、どうしてこんな人物が当選し、議員が務まっているのかとの疑念が生じる。地方政治への信頼を損なう大きな要因でもある。

堺市議会では女性市議の1千万円にのぼる政活費の不適切な支出が明らかになり、市が詐欺罪などで刑事告訴した。市議会は調査特別委員会(百条委員会)を立ち上げたが、女性市議は再三証言を拒否し、真相解明には遠い。

宮城県議会では、不正支出だと問題視された議長に対する議長辞職勧告決議案が出されたが、与党自民党などが否決した。

号泣した兵庫県の元県議の裁判は、被告が出廷を拒んだため身柄を拘束されるという異様な展開をたどった。

議員が無責任かつ無自覚な態度を改めず、各議会による制度の運用改善など自発的な取り組みがなければ、「そもそも、政活費があるから問題が起きる」と有権者が考えてもおかしくない。

国会のおひざ元である東京都千代田区では、政活費の一部を議員報酬に付け替えようとした「お手盛り」案に強い批判が集まり、区長が議案提出を見送った。有権者やマスコミの監視、批判が改悪を阻止したといえるだろう。

全国的な不信の広がりに対し、都道府県の議長会など地方議会の団体などから大きな見直しの声が聞かれないのは、危機感の薄さを示していないか。

政活費は同議長会などによる国への要望を踏まえ、「議員の政策能力を高める」名目で導入された経緯がある。ばつが悪いから沈黙しているなら、無責任すぎる。

見直しにあたっては、何よりも使途に対する監視体制の強化が欠かせない。むろん、減額や廃止などの動きがあってもおかしくないだろう。

政活費が浮上した背景には、今も批判が強い国会議員に対する各種手当の存在もある。国政でも「政治とカネ」をめぐる不祥事が絶えない。それでも政治資金の規正強化に向けた具体的な動きがみられないことは、再び地方に対する悪いお手本になるだろう。
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[産経新聞] 【主張】G20声明 混乱収束へ具体的行動を (2016年02月29日)

中国・上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、財政、金融、構造改革など「すべての政策手段」を総動員し、世界経済の混乱を収束させるとする声明を採択した。

最近の国際金融市場の変調は、中国経済の減速や原油安、米国利上げなどが複合的に絡む。G20が結束して対処する姿勢を明確にできたのは前進である。

これを国際協調の演出に終わらせてはならない。日米欧や新興国が、国内事情だけでなく海外にも目を配り、効果的に政策を運営する。その具体的な行動こそが世界経済の安定化につながろう。

G20は「世界経済の見通しがさらに下方修正されるリスクへの懸念が増大している」との認識を共有した。通貨の競争的な切り下げを回避し、為替市場での「緊密な協議」を明記したのは、景気悪化を阻止する決意の表れだ。

声明は「金融政策のみでは均衡ある成長につながらない」とも指摘した。もとより、景気を一時的に刺激する金融、財政政策だけでは成長基盤を築けない。同時に生産性や潜在成長率を高める構造改革を進めるべきだ。

とくに注視したいのが中国である。過剰な設備や債務の解消のほか、国有企業改革や金融自由化など課題は多いが、その道筋はいまだに明確でない。

共産党独裁体制下で市場を支配しようとする構図も相変わらずである。市場との対話不足が世界経済の動揺を増幅させていることを厳しく受け止めるべきだ。

G20は、中国などの資本流出を抑える規制の指針作りを進めることでも合意した。ただ、過剰な規制で中国の自由化が後退する事態は許されない。議長国の中国が改革を確実に実行するよう強く迫る必要があろう。

声明は「機動的な財政政策」の実施も求めた。財政的な余力があるドイツや中国を念頭に置いた要請だが、景気が足踏み状態の日本でも、マイナス金利政策の実施に続く追加的な財政出動への期待が高まる可能性がある。

その際には財政健全化を踏まえつつ景気動向を見極め、その必要性を十分に吟味すべきである。

日本は伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の議長国だ。G20だけでなく、先進7カ国(G7)の枠組みを通じて米欧との連携を強めるべきは言うまでもない。
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[東京新聞] 週のはじめに考える サヨナラ金融資本主義 (2016年02月29日)

世界経済を覆っている不安を拭うことはできるのでしょうか。G20の財政と金融の責任者が政策総動員を打ち出しましたが、一時しのぎではないか。

所詮(しょせん)、「モグラたたき」をしても後手後手に回るだけで問題を根治しなければ、また繰り返す−。

経済不安の震源地、中国の上海で開かれた二十カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議。目先のリスクを封じ込めようと躍起になる当局者たちの姿をみると、そんな印象を覚えます。

あふれ出させたマネーによる株価や原油価格の乱高下に慌てる陰で、貧困や経済格差といった問題は一顧だにされていないのです。


◆G20の協調と限界
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危機とまではいえないが、危機になるおそれがある。そんな不安感の下でG20会合は開かれました。いわく現在の世界経済で不安要因といわれるのは、原油安、株価や為替の急激な変動、そして「世界の工場」だった中国経済の減速だといいます。

しかし、忘れてならないのは、元はといえばリーマン・ショック後に日米欧で強力に進めた金融緩和などが招いた事態だということです。それらが複合的に絡み合っているのが厄介なのです。

例えば、原油安になって産油国の財政が苦しくなったので世界で投資していたオイルマネーが引き揚げられ、それが世界同時株安の一因になった。

また、原油価格が為替相場を左右する大きなウエートを占めるようにもなったこと。その原油価格はといえば、中国経済の減速によって原油の需要が減り、それが値崩れを加速させた面がある。このようにマネーを媒介して不安要因同士が絡み合い、共振して危機を拡大させるのです。

そこでG20は、目の前の不安要因を一斉に封じ込めようと、各国が協調して政策総動員することを決めました。すなわちマネーの移動が市場を不安定化させるのだから資本流出対策を打ち出す。自国に有利な通貨安を競う動きが強まれば他国にしわ寄せがいくので通貨安競争をやめる。過剰な生産設備を抱える中国は早く消費主導の経済へと構造改革を急ぐ。余力のある国は財政出動して景気を刺激する、といった具合です。


◆借金日本の異常金利
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でも、これらはどうみても対症療法でしかありません。会合では金融政策の限界論も一部に出たようですが、それでも目先のリスクにとらわれて金融緩和を続け、財政出動に頼るのです。日本と欧州は「まだ追加緩和の余地がある」といった姿勢ですし、米国は昨年末、九年半ぶりに利上げに踏み切ったが、それが中国や新興国からの資本流出を招いたとして今後の利上げに「待った」がかかった格好です。

これでは緩和マネー中毒から抜け出せず、バブルを繰り返すことでしか景気を立て直せない。問題は、立ち直ってもちょっとしたショックで世界同時株安が起きる脆弱(ぜいじゃく)な経済なのです。

それはサマーズ元米財務長官が二年以上前に唱えた「長期停滞論」の通りなのかもしれません。その長期停滞論によれば、実質金利がマイナスで推移しても、国内総生産(GDP)の水準が経済の実力(潜在GDP)を下回ったり、勤労者の所得が増えなかったりすると指摘しました。

まさに日本がその典型です。異次元の金融緩和を三年続けてきたが、一向に物価上昇目標は達成できず、GDPの伸びもほぼゼロ。追加緩和を繰り返し、マイナス金利という手法にまで至りました。世界一の借金を抱えた国なのに金利は下がり続け、とうとうマイナスです。

しかし、これはむしろ借金まみれだからこそのマイナス金利とみるべきかもしれません。国の利払い費が抑えられるからです。すでに無きに等しい財政規律が一層緩むおそれがある。

参考までにサマーズ氏の処方箋はというと、職業教育の拡充や企業の技術革新力(イノベーション)の底上げ、インフラ更新などの公共投資拡大を挙げています。確かに、日本では「革命的」な新製品やサービスが出たとしても小粒化しているといえるでしょう。


◆貧困・不平等の解消を
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「格差拡大は経済成長を妨げる」−。先進国クラブといわれる経済協力開発機構(OECD)が、そんなリポートをまとめたのは一年半前です。それは、消費を担う中間層が減少し、何より所得格差は教育機会の格差となって将来の国富の喪失につながるのだ、といいます。

つまり成長戦略というのなら格差を縮める政策こそが重要なのです。アベノミクスも刷新し、貧困や不平等解消を目指す真の成長戦略をG20会合の場などで堂々と発表してもらいたいものです。
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[毎日新聞] 容疑者の勾留 慎重な運用を広げたい (2016年02月29日)

刑事事件の容疑者や被告に対する身柄拘束の手続きに、変化の兆しが出てきた。

逮捕された容疑者を拘束する検察の勾留請求を全国の地裁と簡裁が却下する件数が近年、大幅に増加している。また、起訴後に被告の保釈を認める割合も上昇している。

裁判所が、容疑者・被告を長期間拘束する必要性について、厳しく審査する傾向が明らかになってきたといえる。過去に、長期間の拘束で自白が強要され冤罪(えんざい)を生んだことは否定できない。身柄の拘束は人権の制約であり、慎重な運用は当然だ。

裁判所は、一層の意識改革を進め、身柄の拘束について適切な審査を尽くしてもらいたい。

逮捕後に最大20日間、容疑者の身柄を拘束する勾留は、検察官の請求を受け裁判官が決定する。1970年代後半以降、却下率は1%未満が続いてきた。だが、2009年の裁判員制度スタートを前に、05年ごろから却下件数が増え始めた。14年の却下率は2・7%で、件数は3000件を超えた。

保釈も同様だ。95年に保釈率は20%を割り込み低下傾向が続いていたが、14年は25・1%まで上がった。

刑事訴訟法では、住所不定で証拠隠滅や逃亡の恐れがあると疑う相当の理由がある場合に限り、勾留を認められると定める。保釈についても、例外を除き権利として認められ、その例外に当たったとしても裁判官の裁量で認められる規定だ。

だが従来、「取り調べに対し否認していれば、検察官の言う通りに裁判所は拘束を認める傾向にある」と、弁護士の間で批判が強かった。

検察が、無罪を主張する人の身柄拘束を長引かせたり、拘束を解くことを条件に自白を迫ったりすることは、「人質司法」と呼ばれる。あってはならないことだ。日本の刑事司法の仕組みの中で、そのブレーキ役として裁判所の責任は重いはずだ。

裁判所の姿勢が変化した背景には、裁判員制度の導入があるといわれる。捜査段階の供述よりも、法廷での証言を重視する傾向が強まった。また、刑事裁判が市民の目にさらされる中で、裁判所は市民の不信感を招かぬよう手続きの公正さに目配りするようになったとみられる。

こうした姿勢をさらに徹底する必要があるだろう。

検察も、容疑者や被告の勾留が必要なのか、その適否を厳密に判断すべきだ。刑事訴訟法改正案に、保釈判断の際に被告の健康や社会生活上の不利益などに考慮することを書き込むなど、法制面でも改善の動きが出ている。司法全体で、さらに透明性の高い刑事手続きを実現してもらいたい。
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[日経新聞] FIFAは信頼の回復を急げ (2016年02月29日)

昨年来、汚職事件で屋台骨が揺らいでいた国際サッカー連盟(FIFA)の新会長に欧州サッカー連盟(UEFA)事務局長で弁護士出身のインファンティノ氏が選出された。

209の国と地域のサッカー協会が加盟し、有数の競技人口を誇るスポーツ団体の正常化は待ったなしだ。透明で清廉な組織運営を世界中のファンが切望している。肝に銘じてもらいたい。

事件を受け、FIFAはすでに会長や理事の任期制限や報酬の開示、さらには権限が膨らんでブラックボックス化した理事会を意思決定部門と実務部門に分ける施策も打ち出した。新会長にはワールドカップ(W杯)をはじめ諸大会の開催や放映権の取り扱いで具体的な成果が厳しく問われよう。

この40年余で、FIFAは主催する大会を増やすとともに、W杯の出場国枠も広げ、保有する様々な権利に絡んで収入を得るビジネスモデルを築いて急成長した。2011?14年の収入はW杯ブラジル大会の放映権料などで7000億円を超えている。

潤沢な収入は新興国での競技の振興に資した面はあるが、一部に金権体質がはびこり、昨年5月以降、米国やスイスの司法当局の手で30人が摘発される事態に陥った。中南米諸国のサッカー協会の会長経験者や放送局幹部らだ。放映権を巡り、賄賂を授受した疑いが強く、捜査は継続中である。

FIFA内部の委員会も、前会長のブラッター氏らの不明朗な金銭授受などを洗い出したほか、前事務局長を12年間の活動停止としたり、旧西ドイツの名手だったベッケンバウアー氏に罰金を科したりと、うみを出すべく懸命だ。新会長には当局の捜査への協力とともに、内部監査や外部からの監視の目の強化により、不正への厳正な対処が求められる。

国や民族の違いを超え、人を一つにする大きな求心力を持つのがサッカーだ。テロや紛争が絶えない今こそ、その価値に磨きをかけてほしい。新会長の責務である。
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[毎日新聞] 若年認知症 働き続けられる支援を (2016年02月29日)

認知症は高齢者だけがなる疾患ではない。65歳未満で発症する若年認知症もあり、厚生労働省の2009年発表の実態調査では4万人弱が確認されている。

もの忘れなどの症状が出て日常の生活に支障をきたすようになっても、年齢が若いために認知症と気付かず、職場でのトラブルが増えて仕事を失うことがある。若年認知症への理解と啓発に努め、早期診断と支援体制を拡充すべきである。

厚労省の調査では、発症年齢は平均約51歳で、男性の方が女性より多いことがわかっている。脳血管性型とアルツハイマー型の二つがほとんどだが、多量のアルコールを飲むことで脳が萎縮するアルコール性認知症もある。

症状としては、仕事やプライベートなことで大事な予定を忘れてしまう▽日付や場所がわからなくなり、出かけた先で迷子になる▽買い物でお金を払うときに間違えてしまう▽車の運転では車線をはみ出したり、ブレーキが遅れたりする−−などが挙げられる。

高齢者の認知症と病理的な差異はないとされているが、受診をためらう人が多く、実際に病院で診察を受けても、うつ病や更年期障害と誤診されることも少なくない。

深刻なのは、発症するのが働き盛りの年代のため、働くことが困難になった場合の経済的困窮や精神的なショックが大きいことだ。住宅ローンや子どもの教育費などの負担がのしかかり、家族全体が困窮に追い込まれることがある。

若年認知症の場合は、40歳以上であれば介護保険の特定疾患の対象となり、訪問サービスやデイサービス、ショートステイなどの介護サービスを受けることができる。ただ、現に働いている人のためのサービスがないため、受給資格は得られても介護保険を利用しない人が多い。

滋賀県守山市の「もの忘れクリニック」(藤本直規医師)は若年認知症の人が仲間と出会って活動できる場を提供し、雇用先の企業や家族へ理解・啓発を促す研修を実施してきた。患者の職場の上司や産業医と情報を共有し、その時々の能力に合った仕事内容に変えてもらったり、必要に応じて配置転換をしてもらったりすることで就労の継続に努めている。

各地の障害者福祉を担っている社会福祉法人の中にも、農作業などを通して認知症の人の就労支援に乗り出し、要介護度の改善に実績を上げているところがある。

「できないこと」よりも「できるところ」に着目し、自尊心を守りながら働き続けられるようにすることが大事だ。社会全体で若年認知症の人を支援していかねばならない。
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[日経新聞] 日本でもシェア経済を根付かせたい (2016年02月29日)

個人が所有するモノや能力、時間をネット経由で他人に貸し出し、対価を得る。こんなシェアリング・エコノミー(シェア経済)と呼ばれる仕組みが様々な分野に広がり始めた。

うまく使えば、新たな経済成長の芽となるだけでなく、過疎地対策など社会的課題の解決にも一役買うだろう。シェア経済をどう伸ばすか、真剣に考えたい。

シェア経済の代表例は住宅の一部を開放し、観光客を泊める民泊だ。貸し手は空き部屋の有効活用で追加収入が手に入り、借り手にとっては「ホテルより安い」「ホストの家族と人間的な触れ合いができる」といった魅力がある。

東京都大田区は1月に民泊条例を施行し、防火対策や近隣とのトラブル防止について一定の要件を満たした物件に「お墨付き」を与える制度を始めた。これまで民泊の仲介は米エアビーアンドビー社の独壇場だったが、大田区の動きに呼応して日本のベンチャー企業が「ステイジャパン」という仲介サイトを立ち上げるなど競争が活発化する兆しもある。

自家用車を使って有償で人を運ぶ配車サービスも注目の的だ。この分野の先駆者である米ウーバーテクノロジーズ日本法人は、ドライバーと乗客を結びつける自社システムを京都府京丹後市に供与することで合意した。同市はタクシーやバスのない公共交通の空白地域が多く、ウーバー型のサービスを導入することで、お年寄りや観光客の足を確保する考えだ。

このほか空き駐車場の貸し借りを仲介するアキッパ(大阪市)のような日本独自のサービスも登場し、市場は活気づいている。

シェア経済の利点は、空き時間や不稼働資産の有効活用によって無から付加価値を創出し、経済全体の生産性を引き上げることだ。

低コストでサービスを提供できる魅力もある。タクシー会社が過疎地で利益を出すのは難しいが、個人が休日に自分の車で乗客を運ぶのは追加コストがほぼゼロで、やる気があればだれでもできる。

一方でシェア経済を社会に根付かせるには、安全や安心の確保が大切だ。事業者が努力するのは当然だが、政府や自治体がルールづくりに関与する場面が今後さらに増えるだろう。だが、そんな場合でも厳し過ぎる規制や「トラブルが1件でもあれば即禁止」といった姿勢は、変革の芽を摘みかねないと関係者は銘記してほしい。
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[読売新聞] 高校生デモ参加 「届け出」でトラブル防ぎたい (2016年02月29日)

高校生が節度を守りつつ、政治活動の経験を積めるようにしたい。

選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、解禁された高校生の政治活動について、文部科学省が学校側の対応をまとめた「Q&A」を公表した。

Q&Aでは、政治活動への参加を例外的に制限・禁止できる具体例などを挙げている。文科省が昨秋、従来の通知を見直し、放課後や休日に校外でデモや集会に参加することを容認したためだ。

行進中、投石や警備活動の妨害に及ぶ。無許可デモを繰り返す団体が主催するデモや、他人の生命・名誉を害する内容を連呼する集会に加わる。部活動での人間関係を背景に、先輩が後輩に支持団体の集会への参加を強要する。

いずれも高校生の行動として、不適切なのは明らかだろう。

議論を呼んでいるのは、校外のデモに参加する際、事前に学校へ届け出をさせることの是非だ。Q&Aは「必要かつ合理的な範囲なら可能」との考えを示し、判断を教育現場に委ねている。

一部の教育委員会では、「届け出は不要」との方針を学校側に伝えている。「届け出制にすると、学校の監視が強まり、生徒を萎縮させる」といった批判もある。

無論、放課後や休日に校外で行う政治活動は、基本的に、保護者の理解の下で、生徒が主体的に判断すべきものである。

ただ、違法行為に発展する恐れがあるデモに、生徒が参加する事態は可能な限り、避けねばなるまい。休日に政治活動ばかりして、学業に支障が出るのも問題だ。

たとえ校外の活動でも、教育上の観点から、学校が把握しておく必要はあるのではないか。

届け出をさせる場合には、学校側の配慮も欠かせない。生徒個人の政治的信条を問いたださないようにするなど、思想・良心の自由に十分留意せねばならない。

政治参加について、生徒がきちんと判断できる力を養う上で、主権者教育は重要だ。

選挙管理委員会による出前授業で、生徒たちに模擬投票を体験させる学校が増えている。地元住民から地域の課題を聞き取り、議会への請願書を作成する「模擬請願」に取り組む学校もある。

安全保障法制など、国論を二分するテーマを積極的に取り上げることも有益だろう。立場の異なる複数の新聞記事を教材に使えば、多角的な視点を提供できる。

教育現場には、政治への関心を高める授業を求めたい。
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[読売新聞] 年金額改定 給付抑制の遅れは放置できぬ (2016年02月29日)

少子高齢化に対応した年金の給付抑制が、一向に進まない。将来世代にしっかりとした年金制度を引き継ぐ上で、放置できない問題だ。

2016年度の年金額は、据え置きとなることが決まった。物価はやや上昇したが、現役世代の賃金が低下したため、改定ルールに基づき、物価・賃金の変動に伴う増減は行われない。

この結果、少子高齢化の進行に応じて自動的に給付水準を引き下げる「マクロ経済スライド」も実施要件が整わず、中止される。

マクロ経済スライドは、年金の改定率を物価や賃金の変動率より少し低くすることで、緩やかに給付水準を下げていく仕組みだ。年金財政の安定化のため、04年の制度改正で導入された。

問題は、物価や賃金が下がるデフレ下や低成長時の適用を制限するルールがあることだ。高齢者の生活を考慮して設けられた。

この制限により、導入後も実施されず、年金水準の高止まりを招いた。15年度に初めて適用されたが、再び実施不能に陥った。

現行制度は、現役世代が負担する保険料を固定し、収入の範囲内で高齢者に年金を支払う方式だ。今の高齢者の給付引き下げが遅れると、その分は将来世代の年金を減らして収支バランスを取る。

給付抑制が予定通り進んでも、将来の年金水準は2、3割下がる見込みだ。さらに減額となれば、若年層の理解は得られまい。

マクロ経済スライドの適用制限を見直し、経済情勢にかかわらず完全実施することが不可欠だ。

だが、厚生労働省が今国会に提出する年金改革関連法案では、完全実施に踏み込まなかった。参院選を控えて、高齢者の反発を恐れる与党に配慮したのだろう。

代わりに、適用制限ルールは残したまま、抑制できなかった分を次回以降に繰り越す方式を取り入れる。物価などが大幅に上昇した際、まとめて差し引くという。

これでは、デフレや低成長が続けば、繰り越しが重なり、いつまでも解消されない。今回の適用中止は、その懸念を一層強めた。物価上昇時の大幅な抑制には、高齢者の強い抵抗も予想される。

法案では、高所得者の年金減額などの課題も先送りされる見通しだ。早期の給付抑制が財政基盤を強化し、子や孫世代の安心につながる。丁寧に説明すれば、高齢者も納得するはずだ。

「痛み」を伴う改革から逃げていては、社会保障制度の維持も財政再建も危うくなる。
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[朝日新聞] 仙台空港 民営化のモデル目指せ (2016年02月29日)

国が管理する空港の先陣を切って、仙台空港がこの夏に民営化される。使われるのは運営権方式という手法だ。滑走路などは引き続き国が保有し、管制業務も公務員が担う。航空会社への路線開設・増便の働きかけやターミナルビルの整備・経営といった「運営権」を民間企業が買い、空港を経営する。

関西空港と伊丹空港の一体運用を進める新関西国際空港会社も同様の手法を採ったが、こちらは株式会社で出発した空港経営が多額の借金を抱え、運営権の売却で経営を立て直すのが狙いだ。税金を投じて全国各地に造った空港を、民営化を通じて地域の拠点にできるかどうか。東日本大震災の被災地でもある仙台が試金石となる。

仙台空港の運営権を得たのは東急電鉄グループと前田建設工業、豊田通商の連合体だ。22億円を支払って少なくとも30年間は経営を担う。

3者は母体となる会社を共同出資で設けた。宮城県と地元市・企業の第三セクターだったターミナルビル会社を買収。店舗を大幅に増やし、格安航空会社用の搭乗施設を新設するなど、総額で340億円を投資する計画だ。航空会社から徴収する着陸料の体系も工夫し、路線網の拡充を目指すという。

安全・安心を最優先に、乗客に負担をつけ回しすることなく、黒字経営を保つ。難題だが、民間の知恵と資金による挑戦に期待したい。

最大の課題は、地元の産業、とりわけ農林水産業や観光事業と連携して地域おこしの一翼を担い、空港経営との相乗効果を実現できるかどうかだろう。

仙台空港の活用策では、震災後にカジノ施設の誘致構想が浮上したこともある。東急なども不動産開発のノウハウを持つが、商業施設や住宅といった「ハード」整備を先行させる考えはないと強調する。

打ち出したのは、東急のアジアの店舗での物産展の開催や近隣の漁港と組んだ輸出の仕組みづくり、伊達政宗にちなみ、空港近くを流れる貞山堀での桜の植樹への支援といった「ソフト」面での対策だ。

各地で取り組みが本格化しつつある地方創生では、深刻な財政難のなかで、地域の産物や文化をどう生かすかが問われている。地元の自治体とも力を合わせ、知恵を絞ってほしい。

仙台空港はJR仙台駅と鉄道で直結しており、東北の空の玄関だ。空港民営化をきっかけに、被災地を含む東北全体が協力し、世界に売り込んでいく機運を高めたい。
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[朝日新聞] 同一賃金 底上げにつなげよ (2016年02月29日)

非正社員であっても同じ仕事なら正社員と賃金に差をつけない「同一労働同一賃金」の議論が本格化してきた。

安倍首相は、参院選前のとりまとめを目指す「1億総活躍プラン」の柱に据えて「ちゅうちょなく法改正の準備を進める」と積極姿勢をアピールする。

非正社員は働く人の4割に達し、賃金水準が低く暮らしが不安定だ。これを機に、待遇改善に本気で取り組んでほしい。

お手本とされる欧州では「客観的な根拠によって正当化されない限り、不利益な取り扱いを受けない」(EUパートタイム労働指令)といったルールが雇用形態ごとに明記されている。

日本にこうしたものが全くないわけではない。有期雇用について定めた労働契約法やパートタイム労働法には、待遇、労働条件について「不合理と認められるものであってはならない」「差別的取り扱いをしてはならない」といった、均衡待遇や均等待遇の規定もある。

にもかかわらず、例えばパートタイム労働の賃金水準はフルタイム労働の約6割。ドイツの8割、フランスの9割と比べて著しく低いのが現状だ。このような賃金差がどうして生じるのか、そこを解きほぐして実効性ある取り組みを進めなければ、底上げにはつながらない。

首相は法改正を強調するが、何を念頭に置いてのことなのか、はっきりしない。例えば労働者派遣法にはパート法のような規定は現在ないが、同様の規定さえ設ければ解決する話でないことは、パートタイム労働の現状をみれば明らかだ。

そもそも日本では、長年かけてルールが定着してきた欧州と異なり、何が「不合理」な取り扱いなのかというルールがはっきりしていない。

非正社員には長年の経験を評価する仕組みがなく、長く勤めても賃金がほとんど変わらないことが指摘されている。これは、「不合理」には当たらないのか。

政府は、何が不合理な違いで、差別的な取り扱いにあたるのか、欧州の事例を参考にしながら指針を作るとしている。非正社員の生活を守る視点で論議を深めてほしい。

その前提として、労使は現状を直視し、ルール作りに積極的にかかわることが必要だ。

経営側には負担増への警戒感もある。総人件費を抑えようとすれば、正社員の待遇を切り下げて低い方へ合わせることにもなりかねない。主眼は非正社員の底上げだという原点を忘れてはならない。
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2016年02月28日

[産経新聞] 【主張】ジカ熱流行 夏に向けた備えを怠るな (2016年02月28日)

ブラジル旅行から帰国した男子高校生が、中南米で広がるジカ熱を発症したことが確認された。世界保健機関(WHO)が今月1日にジカ熱の流行を公衆衛生上の緊急事態と宣言して以降では国内初の確認例となる。

ジカ熱の病原体であるジカウイルスは主にネッタイシマカやヒトスジシマカを媒介して人から人へと広がる。ヒトスジシマカは国内にも広く生息しているが、冬季や早春には活動しないので、今回の確認事例から国内で流行が拡大する恐れはほとんどないという。

ただし、8月にはブラジルのリオデジャネイロで夏季五輪が開催され、日本国内と流行地域との人の往来はこれから急激に増える。夏場に向けての対策にはいまから備えておかなければならない。

ワクチンなどはまだ開発されていないので、当面はウイルスを保有する蚊に刺される機会を減らすことが最も大きな対策になる。

そのための第一の方法は国内でヒトスジシマカを増やさないことだ。4?6月にはボウフラの繁殖しそうな水たまりを減らすといった発生源対策が重要になる。

わが国は1年半前にデング熱の流行を経験したことから、自治体などでも蚊に対する意識が高まった。デング熱もヒトスジシマカで広がる。禍福はあざなえる縄のごとしと言うべきだろう。地道な発生源対策に引き続き力を入れてほしい。

夏場には長袖の着用や虫よけスプレー、蚊取り線香、蚊帳などで蚊に備えることも大切だ。最先端ではないが、生活習慣に根ざした対策は重視したい。

ブラジルなどの流行国がいま取り組んでいる媒介蚊の駆除対策にも、積極的な支援を惜しむべきではない。リオデジャネイロ五輪を考えれば分かるように、海外での流行規模を小さく抑えることは、国内での感染拡大を防ぐうえでも重要な意味を持っている。

ジカ熱は感染者の8割が発症せず、発症しても2?7日程度で回復する人が多い。

ただし、妊婦の感染と生まれてくる赤ちゃんの小頭症との関係が強く疑われるなど、看過できない影響をもたらす事例もある。

国際社会が協力して流行の規模を小さく抑えれば、そうしたリスクも減ることになる。五輪のアスリートを心から応援できるようしっかり備えて夏を迎えたい。
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[産経新聞] 【主張】同一労働・賃金 首相はなぜ言い出したか (2016年02月28日)

仕事の内容が同じなら、雇用形態を問わずに同じ賃金を支払う。こうした「同一労働同一賃金」について、安倍晋三首相が実現に意欲を示しているが、具体像がよくみえない。

制度が定着している欧州では、正規、非正規を問わずに働く人の仕事内容は明確に定められている。これに対し、日本の場合の職務範囲は曖昧で幅広い。

何をもって「同一労働」と評価するのかという基準は難しい。制度導入は決して簡単ではない。

非正規と正規の待遇格差の是正は大きな課題である。雇用慣行などを踏まえて労使で協議を尽くし、現実的な制度設計に取り組む必要があろう。

安倍首相は1億総活躍国民会議で、同一労働同一賃金の実現に向け、検討会を設けたうえで欧州を参考に法改正のあり方を協議するよう指示した。労働契約法などを改正し、不合理な賃金格差の禁止を検討する見通しだ。

また、法改正に先立ち、どのような賃金格差なら容認されるかについての指針もまとめる。学歴や資格の有無などを考慮した事例として示すという。

パートや派遣などの非正規社員として働く人は、全体の約4割に達している。その賃金水準は正社員の6割程度にとどまる。個人消費の活性化のためにも、非正規の待遇改善は待ったなしだ。

ただ、日本では大手企業を中心として仕事内容に関係なく、勤続年数によって給与を引き上げる年功型賃金が残っている。こうした雇用慣行は、同一労働同一賃金とは相いれない仕組みといえる。

産業界には人件費の増加を懸念する声も根強い。企業の賃金原資が限られる中で、正社員の給与などを変えずに非正規の待遇を改善すれば、企業収益の圧迫要因となる恐れもあるからだ。

賃金水準は、企業の事情に応じて労使で決めるのが原則である。非正規の業務を熟練度に応じて評価する制度を取り入れるなど、仕事に取り組む意欲を高めるような工夫も必要だろう。

同一労働同一賃金に対し、自民党はこれまで慎重だった。一転して前向きになった理由は判然としないが、これは働く人全体に影響する大きな改革だ。参院選向けのパフォーマンスで良い顔をするのではなく、丁寧な議論と着実な対策の積み重ねが欠かせない。
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[東京新聞] 東京マラソン 走る障がい者に声援を (2016年02月28日)

今日は東京マラソンが開催され、首都の真ん中を約三万七千人が駆け抜ける。十回目の節目を迎えて車いすレースの部も国際化に踏み出す。走る者のすべてをアスリートとして応援したい。

日本の車いすマラソンの歴史は大分県から始まった。一九八一年、「日本パラリンピックの父」と呼ばれる医師の中村裕氏(二七〜八四年)が尽力した「第一回大分国際車いすマラソン大会」が起源となる。

日本の医学的リハビリテーションの草分けでもある中村氏は「障がい者も外に出てスポーツをやるべきだ」と提唱し、六一年に第一回大分県身体障害者体育大会を実施。車いすで外出することすら珍しかった時代に、画期的なことだった。

その三年後には東京パラリンピックの選手団団長を務め、六五年に身体障がい者の自立を支援する「太陽の家」を別府市に設立、翌年には本格的なリハビリ施設を持つ大分中村病院を開いた。

大分での車いすマラソン大会実施は、それまで安全上の理由などでマラソン参加が認められなかった当時の日本の車いすランナーたちに大きな光をともした。選手たちはこぞって体を鍛え、技術を磨き、記録と勝負に挑んだ。八四年からは夏季パラリンピックの種目にも加わり、今や日本各地で車いすマラソンは行われている。

車いすランナーたちは午前九時五分にスタートする。選手たちには共通の願いがある。

「私たちをアスリートとして見てほしい」

新聞、テレビなどのメディアはともすれば「不慮の事故や病気で車いすになってしまった」という論調になりがちだ。パラリンピック女子競泳で計十五個の金メダルを獲得した成田真由美さんはそのような風潮にくぎを刺す。

「骨折したらギプスをし、目が悪ければメガネを掛ける。それと同じ。足が悪いから車いすに乗っているだけ」

日常生活などで障がいのハンディはもちろんある。しかしスポーツを通じて心身を成長させ、自らの置かれた境遇をむしろ「プラス」に転じさせようとしてきた。その過程においては、一般のアスリートと何ら変わらない。

海外招待選手の参加でハイレベルのレースが予想される今回は、リオデジャネイロ・パラリンピックの代表選手選考会も兼ねる。ぎりぎりまで自身を追い込む鍛錬を重ねてきた真のアスリートたちに、熱い声援を送りたい。
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[東京新聞] フクシマで考える(下) 私たちはどこへ向かう (2016年02月28日)

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中国の旧正月、春節を祝うギョーザが食卓に並んだ。雪が舞った二月、福島市内の仮設住宅に左官業の中野敏信さん(72)=写真=を訪ねた。四畳半二間。薄いサッシ窓が曇る。中国東北部出身の妻(49)が「今日は寒いね」と首をすくめた。

原発事故の前年に結婚した夫妻は敏信さんの郷里、浪江町で暮らしていた。だが事故で土地を追われ、一時は中国にも避難した。

二〇一七年三月までに、放射線量が高い「帰還困難区域」を除く全地域で避難指示の解除が計画されている。全町避難が続く浪江町も対象だが帰還希望者は少ない。

中野さんも、資材が置ける一戸建てを郷里に近い南相馬市やいわき市に考えているが、移住者が殺到し地価が跳ね上がった。手元資金では足りず、毎日早朝から約七十キロ離れた南相馬市の建設現場に通っていたが、三カ月前に足を痛めて働けなくなった。「原発事故がなければ、古い家でもそれなりに暮らせたのに。生活の立て直しはそんな簡単なものではねえな」

避難指示が解除されれば一年後には賠償も打ち切られる。解除の後も被ばくの影響を心配し、避難先に残る人々はすべて「自主避難者」となっていく。

福島県が自主避難を続ける人に行う住宅の無償提供は、一七年三月に打ち切られる予定だ。南相馬市から神奈川県に避難し、被害の完全賠償を求める集団訴訟で原告になった山田俊子さん(75)は言う。「私たちも本当は帰りたい。でも…。住まいという生活基盤を奪うのは、被ばくを避ける権利の侵害ではないでしょうか」

「避難の選択」は震災翌年に成立した子ども・被災者支援法で認められているが、政府は柱の政策を骨抜きにしようとする。

「俺たちはどこに向かっていくのか、羅針盤がほしい」と中野さんは言う。未曽有の原発災害を起こした責任は国と東電にある。その原点に返り、苦境に立つ避難者を切り捨てるようなことをせず、救済と、長くかかる生活再建を支えていくべきだ。 (佐藤直子)
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[日経新聞] 世界経済の安定へ果敢に行動を (2016年02月28日)

中国・上海で開いていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、世界経済の成長持続と市場の安定に向け「すべての政策手段を用いる」との声明を採択し閉幕した。

世界経済の先行きには不透明感が漂う。けん引役が不在のなかで金融市場の動揺が続いている。日米欧と新興国は財政・金融政策を柔軟に運営して経済を下支えしつつ、潜在成長率を底上げする構造改革を加速させるべきだ。

市場との対話を円滑に

経済協力開発機構(OECD)は2016年の世界経済の成長率見通しをこれまでの3.3%から3.0%へと下方修正した。

世界経済の下振れ懸念が強まるなか、G20が政策協調の方向を打ち出したのはひとまず評価できる。大事なのは、各国・地域がそれぞれの抱える課題の解決に向け果断に行動することだ。

もっとも大きな責務を負うのは、世界第2位の経済大国となった中国である。

人民元が安くなるとの観測から中国からの資本流出が加速している。中国当局は市場で元を買い支える介入を続け、外貨準備が急減している。そのことがさらに先行きの元安観測を強め、世界の金融市場を揺さぶっている。

中国当局はまず金融市場に政策意図を丁寧に伝える「市場との対話」にしっかりと取り組む必要がある。

G20に先立ち、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は記者会見し、「競争的な通貨の切り下げには反対だ」などと語った。

こうした記者会見はG20があろうが、なかろうが、定期的に実施すべきものだ。市場との対話が円滑に進み、政策運営への信頼度が高まれば、過度な資本流出の抑制にもつながるだろう。

過剰設備・債務といった構造問題や、国有企業の改革も急がなくてはならない。同時に、景気が想定以上に減速する場合、機動的に財政出動をするような備えをしておくべきだ。

先進国の成長促進策は相変わらず金融政策ばかりが目立っている。G20声明がこの点にクギを刺したのは妥当である。遅れが際立っているのは構造改革だ。

G20は18年までに域内の国内総生産(GDP)を2%以上押し上げる目標を掲げている。しかし、国際通貨基金(IMF)によれば、各国・地域がこれまでに実施した具体策だけでは0.8%程度しか成長率は高まらないという。

欧州は域内の投資基金を通じてインフラ整備を進めるとともに、厳格な域内銀行の資産査定(ストレステスト)を通じて金融不安の芽を早急に摘み取ってほしい。高失業を是正するための労働市場改革への努力もなお不十分だ。

日本は女性や高齢者の就業率を高めるとともに、思い切った規制改革によって成長基盤を強めるべきだ。持続可能な社会保障制度をつくる改革からも逃げてはならない。

G20は競争的な通貨切り下げを回避することで合意した。日銀や欧州中央銀行(ECB)の金融緩和はデフレ阻止が目的だが、通貨安競争に拍車をかけることがないような目配りは要る。

米経済は底堅いものの、ドル高で輸出が低迷し、エネルギー部門を中心に設備投資は鈍い。米連邦準備理事会(FRB)はこうした点にも配慮しながら、利上げをどんなペースで進めるか、打つ手を慎重に探ってほしい。

金融安全網の強化必要

新興国・資源国の経済は正念場を迎えている。中国の減速に伴い原油などの商品価格は大きく下落した。財政難に直面した一部の産油国が政府系ファンドを通じて海外から資金を引きあげる事態にも発展している。

投資マネーが流出した国では自国通貨安とインフレを招き、それが実体経済の足を引っ張る悪循環に陥っている。ロシアやブラジル、南アフリカといった国々は資源に過度に依存しない経済構造づくりが急務だ。

気になるのは、アゼルバイジャンやナイジェリア、ベネズエラといった一部の産油国が資金繰り難に直面していることだ。

IMFや世界銀行は迅速に支援できる態勢を整えておく必要がある。新興国がドル不足に陥った場合に備え、G20で新たな金融安全網の構築も検討すべきだ。

適切なマクロ政策と構造改革を組み合わせて成長を促すとともに、必要に応じて為替市場の安定に向けて協調していく。危機を防止するために積極的に行動する姿勢がG20に求められている。
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[毎日新聞] G20の経済政策 金融緩和依存に決別を (2016年02月28日)

最近の金融市場の動揺は、世界経済の実情を反映していない−−。上海で開かれた主要20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議は共同声明を採択し、株価や為替の激しい変動を警戒しつつも、市場の過剰反応だとする評価を示した。

確かに、1年半ほどの期間に原油価格が1バレル=100ドル超から約30ドルまで急落した激変ぶりを、実体経済の要因だけで説明することは難しいし、株価指数が連日、乱高下を繰り返しているのも異様である。

とはいえ、市場の一過性の過剰反応だと済ませてはならない。なぜ、世界の市場で、このようなパニック的な動揺が続くのか、主要国が取ってきた政策と照らしあわせて真摯(しんし)に分析することが大事だ。

共同声明は、主要国が金融政策、財政政策、構造改革を実行する必要性を唱えた。ただし「金融政策だけでは均衡のとれた経済成長につながらない」とも付け加えている。これまで金融政策に頼り過ぎてきたことへの反省と解釈したい。

最近の市場の混乱は、主要国の経済政策が中央銀行の金融緩和に依存し過ぎたことによる副作用の面が強い。麻生太郎財務相は、中国を問題視し、通貨人民元の安定化などを求めたが、新興国が直面する資金の国外流出や通貨安は、自国内の問題だけが原因ではないのだ。

例えば、日銀や欧州中央銀行が進めるマイナス金利政策、量的緩和といった強力な金融緩和策は円安やユーロ安をもたらし、結果として、人民元の切り下げ圧力となる。米国の金融政策も人民元相場を不安定化させてきた。先進国の政策と密接に関係しているのである。

G20に出席したカーニー英中央銀行総裁は、マイナス金利政策が「世界全体としては(一国の利益が他国の不利益となる)ゼロサムゲームになる」と述べ、拡大に警鐘を鳴らした。「通貨安競争はしない」と声明で唱えながら、事実上の通貨安競争につながる金融緩和を主要国が行うようでは、G20の信頼を損なう。

これ以上、中央銀行の金融緩和策に依存しないという決意を行動で表すことこそG20が協調すべきことだ。

その上で、これまで先送りしてきた各国の構造改革を、強い政治のリーダーシップによって実行する。そうしてはじめて、国によっては一時的な財政出動も正当化されよう。

日本やユーロ圏のように、「できることは何でもやる」と金融緩和路線を突き進めば、市場をより不安定化させ他国も巻き込む。G20の協調精神に反するばかりか、世界経済の混乱が自国経済にも跳ね返ってくることを忘れてはならない。
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[毎日新聞] 桜宮高判決 指導名目の暴力を絶て (2016年02月28日)

大阪市立桜宮(さくらのみや)高の男子生徒がバスケットボール部の元顧問教諭の日常的な暴行と暴言によって精神的に追い詰められた末に自殺するという痛ましい事件から3年が過ぎた。

再発防止に向けて遺族が学校管理者の大阪市に損害賠償を求めた裁判で東京地裁は体罰と自殺の因果関係を認め、約7500万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

わずか17歳で自ら命を絶たざるを得なかった男子生徒と遺族のことを思うと胸が痛む。市は判決を受け止め、同じような犠牲者を出さないためにも部活動をはじめ学校現場から暴力を根絶しなければならない。

判決は元顧問の行為を「教育上の指導として法的に許容される範囲を著しく逸脱した暴力的な虐待行為」であり、「たたかれてやるのは動物と一緒」などと罵倒したことは「生徒の人格の尊厳を傷つける侮辱的な暴言」と指摘した。

元顧問は1994年の就任当初から暴力を繰り返していた。男子生徒が自殺する1年以上前から暴力を告発する通報が市には寄せられていたにもかかわらず、事実上放置した。裁判でも市は自殺の大きな要因として「家族の言動」を挙げるなど責任転嫁の姿勢に終始した。

事件を契機に全国の運動部活動で「指導」と称して、試合でミスしただけの子どもたちを殴る、たたくなどの行為が横行していた事実が表面化した。事件後、文部科学省が実施した調査では中学と高校での体罰の4割前後が部活動中だったことが分かった。暴力は子どもたちの人間性や尊厳を否定する行為であり、競技力を向上させる効果的な方法として容認することは許されない。

文科省は全国に配布した部活動指導のガイドラインで、特定の生徒に対して執拗(しつよう)、過度に肉体的、精神的負荷を与えることなどを許されない行為として示した。大阪市は体罰と暴力行為に関する処分基準を厳格化した。その他の自治体も研修会などの取り組みを進め、体罰や暴力は許されないという意識が学校現場に浸透してきたとの指摘もある。

遺族が提訴に踏み切ったのは「暴力的な指導の抑止」につながる判決を求めてのことだった。判決を受け、父親は「市は元顧問に損害賠償を求め、責任を追及してほしい」と要望し、大阪市も賠償金の負担を元顧問に求める考えを示した。

国家賠償法は、故意または重大な過失があった場合、国や自治体は公務員個人に賠償を求めることができるとしている。元顧問の行為が重大な過失にあたるかどうかは裁判所が最終的に判断するが、部活動における暴力的な指導を抑止し、根絶する上で一定の効果は見込めるだろう。
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[読売新聞] G20と政策協調 市場安定へ行動が求められる (2016年02月28日)

世界的な金融市場の混乱を、これで抑えられるか。先進国と新興国は政策協調を実効あるものとしなくてはならない。

主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。採択された共同声明は、「世界経済の下方リスクと脆弱(ぜいじゃく)性が高まっている」とする厳しい認識を示した。

そのうえで、世界経済の失速回避に向けて、金融政策や構造改革、財政出動といった「全ての政策手段を総合的に用いる」との強い決意を表明した。

世界経済は、中国の成長鈍化や原油安、米国の利上げに伴う新興国からの資金流出など、多くの不安要因に覆われている。

G20が危機感を共有し、市場の安定化へ協調して臨む姿勢を打ち出したことは評価できよう。

各国は、過度な為替の変動が経済に悪影響を及ぼすとの見解で一致した。輸出促進のために自国通貨を切り下げる「通貨安競争」を避けることも確認した。行き過ぎた円高や、人民元切り下げを懸念する市場に配慮した形だ。

会議の焦点は、市場の混乱の震源地とされる議長国・中国が、動揺を鎮めるのに有効なメッセージを発信できるかどうかだった。

中国人民銀行の周小川総裁は、開会前に異例の記者会見を開いて追加の金融緩和策に言及するなど、市場の不信感を和らげるのに懸命だった。李克強首相も構造改革を進める方針を表明した。

だが、中国経済の先行きへの根深い不安を払拭するには、改革姿勢を強調するだけでは足りない。今後の政策の道筋を市場に明示することが求められよう。

麻生財務相が「具体的なスケジュールを伴った構造改革のプランを示す必要がある」と注文をつけたのは、もっともだ。

過剰設備の解消や国有企業の再編など、痛みを伴う改革をやり抜く行動力が欠かせない。

声明が、追加利上げを模索する米国などを念頭に、「政策の負の波及効果を最小化するため、明確にコミュニケーションを行う」と明記したのも妥当である。

新興国からの資金流出など、利上げの悪影響にも目配りしながら慎重な政策判断をしてほしい。

会議では欧州の金融システムの脆弱性も議論された。不良債権処理の加速や、経済を活性化する構造改革に力を注ぐ必要がある。

日本は、マイナス金利政策でデフレ脱却を図る考えを説明した。成長戦略を進め、内需主導の景気回復を実現することが急務だ。
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[読売新聞] FIFA新会長 蔓延する汚職を一掃できるか (2016年02月28日)

汚職にまみれた組織を再生させるためには、新会長の強いリーダーシップが求められる。

国際サッカー連盟(FIFA)の会長選で、欧州サッカー連盟(UEFA)事務総長のジャンニ・インファンティノ氏が勝利した。

スイス出身のインファンティノ氏は、9代目の会長だ。FIFAの会長職は、サッカー先進地の欧州と南米で占めてきた。今回もその流れは変わらなかった。

新会長の最大の任務は、FIFAの信頼回復である。インファンティノ氏は「FIFAの悲しい時期は終わった。人々の尊敬を取り戻そう」と決意を語った。

会長選では、ワールドカップ(W杯)出場チーム数の拡大などを掲げて支持を広げたが、急がねばならないのは、蔓延(まんえん)する汚職を排除するシステムの構築だ。

組織を運営する会長、副会長、理事らに権限と利権が集中する体制の刷新は不可避だろう。

昨年5月、米司法省がFIFA副会長らを起訴したことで、FIFAの実態が暴かれた。国際試合のテレビの放映権などで便宜を図った見返りに、賄賂を受け取っていたとして、副会長らは組織的な不当利得などの罪に問われた。

事務総長時代を含め、30年以上も君臨し続けたゼップ・ブラッター前会長の手法が、腐敗体質を生んだことは間違いあるまい。

競争入札の導入などにより、W杯の放映権料を高騰させ、FIFAの財政を潤した。その資金をアジアやアフリカなどの協会の支援につぎ込み、自らの支持基盤を強固なものにした。

ブラッター氏自身にも、汚職の嫌疑は及んでいる。2011年に副会長のミシェル・プラティニ氏に対し、FIFAを通じて200万スイス・フラン(約2億4000万円)を支払った問題だ。

02年までの活動に対する報酬という名目だったが、FIFA倫理委員会は、法的根拠のない支払いだと断定した。両氏は資格停止となり、会長選の本命だったプラティニ氏は撤退に追い込まれた。

これにより、UEFAでプラティニ氏の右腕と呼ばれたインファンティノ氏に、会長ポストが転がり込んだとも言えよう。

日本サッカー協会の新たな会長に就任する田嶋幸三氏は、FIFAの理事でもある。

国際組織で力を発揮する人材に乏しいのが、日本のスポーツ界の弱点だ。FIFA改革に積極的に関与し、再度のW杯開催を狙う日本の存在感を示してほしい。
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