2015年10月31日

[産経新聞] 【主張】一人っ子政策廃止 いびつな国の限界示した (2015年10月31日)

中国共産党は、1979年から30年余り続けてきた「一人っ子政策」の廃止を決めた。

中国では経済成長を支えてきた労働人口の減少と少子高齢化が急速に進み、このままでは将来、社会そのものを支え切れなくなる。

政策転換は、習近平政権が中長期の経済展望に強い危機感を抱いていることを表している。

根本には、共産党の独裁下で市場経済を追求し、その矛盾から生じる国民の不満を力で抑えつけていることがある。いびつな国のありようが限界を迎えたことを示しているのではないのか。

経済だけではなく、社会制度の再構築も課題である。13億4千万人を抱える中国社会が将来、より深刻な危機に陥れば、国際社会にとっても大きな不安定要因となることは言うまでもない。

今年9月にトルコで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、麻生太郎財務相が中国に、人口減少に対応した社会保障制度の構築など、構造改革を求めたのは当然だ。

習政権は都市と農村を差別する戸籍上の格差の解消も含む社会保障改革を人口対策と一体化させるなど、長期的視野に立つ社会改革に早急に取り組む必要がある。

党中央委員会総会(5中総会)のコミュニケは、計画出産の基本国策は堅持するとし、3人目は規制の対象のままだ。一人っ子政策は人口爆発などへの懸念から導入され、違反者には強制的な中絶や罰金が科されてきた。

習政権はまず、国家が一方的に産児制限を課すことが、基本的な人権の侵害に当たることを認識すべきだ。

出生を届けられず戸籍のない子供は、政府が認めただけで1300万人にのぼる。社会の是正には、こうした問題への救済策も欠かせまい。

いま出産時期に当たるのは一人っ子政策開始後の世代が中心だ。都市部の人口が5割を超す中で教育費の高騰などもあり、ネット上の意識調査では「2人目を望まない」との回答が43%を占めた。政策転換の効果も不透明だ。

習政権は、民主活動家や知識人、少数民族への弾圧を続けている。産児制限にとどまらず、あらゆる人権侵害をやめ、若い世代が安心して子育てのできる社会へと変革できるのか。
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[産経新聞] 【主張】物価目標先送り 脱デフレへ政策の強化を (2015年10月31日)

日銀が2%の物価上昇率目標の達成時期を、従来の想定より半年遅い来年度後半ごろとした。

4月に続く先送りである。原油安などで物価が伸び悩んでいるためだというが、脱デフレを目指すアベノミクスが筋書き通りに進んでいない証左として、厳しく受け止めるべきである。

企業収益の改善を賃上げにつなげ、消費を盛り上げるという好循環がないまま、追加金融緩和で物価を押し上げても、強い経済の実現は難しい。政府と日銀が連携し、民間の前向きな経営を促す環境を整えることが肝要である。

日銀は30日の経済・物価の展望リポートで、来年度の経済成長率と物価上昇率をそれぞれ下方修正した。これを踏まえて2%目標の達成時期を先送りした。

消費者物価指数は2カ月連続で下落している。原油安の影響を除けば、物価の基調は着実に高まっているというのが日銀の見立てだが、とても楽観はできまい。

日銀は2年半前に量的緩和を始めたとき、2年程度で2%を達成するとした。それがここまで遅れたのは、経済が力強い成長軌道を描けていないためだ。

消費は伸び悩んだままで、中国の景気減速などの懸念も大きくなっている。日銀は景気や物価がさらに下ぶれしないかどうかを見極め、これ以上、目標達成が遅れないのかについて、明確に説明を尽くさねばなるまい。

一方、市場の一部が期待していた追加緩和は見送られた。物価目標の早期達成を焦って、一段の緩和に踏み切る局面ではないという判断からだ。

追加緩和で円安が進めば食料品などの輸入物価が上昇し、消費をさらに冷え込ませかねない面もある。黒田東彦総裁は、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を実施するとしているが、マイナスの影響も踏まえつつ、引き続き、その是非について慎重に検討してほしい。

無論、経済再生は金融政策だけで果たせるものではなく、政府の役割は極めて重要である。異次元緩和で円安株高が進んだが、それが実体経済の成長につながらないのは、政府の成長戦略が十分な効果をあげていないためである。

民間企業の設備投資を促す税制の見直しや規制緩和などを通じて民需をいかに喚起していくか。そのための手立てを早急に強化すべきなのは言うまでもない。
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[東京新聞] 物価目標先送り 「緩和」頼みは限界だ (2015年10月31日)

日銀が現状の金融政策を維持したまま物価目標の達成時期を先送りしたことは異次元緩和の限界を自ら認めた格好だ。金融政策頼みでデフレ脱却は実現できない。国民生活の底上げこそが鍵である。

「二年で2%の物価上昇目標」だったのが、今回の見直しで達成までに二倍の四年となった。目標達成のためには「何でもやる」と言ってきたのに、現状の金融政策をそのまま続けるのでは、日銀のコミットメント(約束)は大きく揺らぐのではないか。

日銀は三十日の政策決定会合で年間八十兆円もの大量資金を供給する緩和策の継続を決めた。足元の消費者物価は前年同月比で二カ月連続下落し、目標である2%の物価上昇には遠く及ばない。このため市場では追加緩和を予測する声もあったが、黒田東彦総裁は「原油安の影響を除けば、物価の基調は着実に改善」と強調した。

一方で、同日公表の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では2%の物価上昇の達成時期を「二〇一六年度前半」から半年程度先送りした。今年四月に続く先送りである。

ズルズルと先送りが続くようでは、物価目標の政策自体が形骸化し、日銀への信認も低下しかねない。いつまで異次元緩和を続けるのか、政策効果とコストを検証すべきである。

異次元緩和により、行き過ぎた円高は修正されたものの、円安による食料品の値上げなど「悪い物価上昇」が起きている。国債買い取りで銀行に大量に資金が供給されても、資金需要がないので貸し出しに回らず、日銀の準備預金に積み増しされている。この超過預金に付く金利で銀行は潤うが、この金利は国民負担である。

さらに日銀が買い取った国債は金利が上がれば、大きな損失となってこれまた国民負担となる。金融緩和が長期化するほどさまざまなリスクが蓄積され、出口はより困難になる。こうした負の側面に目をつぶったまま異次元緩和の先延ばしは許されないはずである。

金融緩和頼みではデフレ脱却も、まして正常な経済は実現しないのは明らかだ。

失業率や有効求人倍率など雇用指標は表面上改善しているが、消費支出や所得の指標は悪化した。これは雇用の質が落ちているためだ。非正規労働者が四割を占めるなど雇用の二極化が進み、中間層が消失する経済は間違っている。賃金上昇や安定した雇用環境など国民生活の底上げが必要だ。
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[東京新聞] 1億総活躍 「支え合い」の強化こそ (2015年10月31日)

安倍晋三首相が第三次改造内閣のスローガンに掲げる「一億総活躍社会」の実現に向け議論する国民会議がスタートした。来夏の参院選向けの「空手形」で終わらせてはならない。

「一億総活躍」「GDP六百兆円」「出生率一・八」「介護離職ゼロ」−。スローガンや目標だけは勇ましいが、どう実現していくのか、その道筋が全く見えない。

有識者と関係閣僚からなる国民会議の初会合が開かれ、十一月末に緊急対策をまとめることを確認した。有識者から出た意見は、職員の人手不足など介護問題、保育所など少子化対策、長時間労働、非正規雇用など働き方、ひとり親家庭への支援、障害者対策など、実に幅広い。これを一カ月でどうまとめようというのか。

同種の会議は乱立している。初会合で事務局から示された検討課題は、すでに既存の会議で議論が重ねられているものばかり。新しい会議を発足させれば、目先が変わると思ったら大間違いだ。

首相は現在一・四二の出生率を二〇二〇年代半ばまでに一・八まで上げるという。出産という極めて個人的な選択に対し、政府が数値目標を掲げるのに違和感はあるが、子どもを産み育てたい人への支援、環境整備は必要だ。

政府は少子化の要因について、若年層に非正規雇用が拡大したことなどにより賃金が低下し、結婚や出産に踏み切れない人が増えたことや、長時間労働が仕事と家庭の両立を妨げていることなどを挙げている。にもかかわらず安倍政権は、非正規労働者をより増やしかねない改正労働者派遣法を成立させ、長時間労働を促すと懸念させる残業代ゼロ法案の成立を目指す。労働規制を緩めれば、少子化はさらに進んでしまう。

介護を理由に退職する人を二〇年代初頭にゼロにするというのも同様だ。四月には介護報酬が大幅に引き下げられ、介護業者の倒産は過去最多に上っている。介護保険の利用者負担も一部の人は引き上げられた。介護離職者を増やす施策といえる。

まず、「労働市場の劣化」を食い止めるべきだ。長時間労働を是正し、非正規雇用を減らし、賃金を上げる。そうすれば、育児・介護と仕事の両立も容易になるだろう。そして、介護保険サービスの切り崩しをやめ、拡充してもらいたい。支え合いの制度強化だ。

各省庁の予算分捕りのための名目や、参院選向けの安易なバラマキで終わるのはごめんだ。
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[毎日新聞] 社説:三省堂教科書 採択への疑念を生むな (2015年10月31日)

教科書を発行する三省堂が、校長らを集めて検定中の教科書を見せ、意見など聞いたうえ現金を渡していた。明らかなルール違反だ。

影響力がある参加者から、採択における便宜を期待していたのではないか??。そんな疑念を持たれても仕方ないというべき失態である。

学校教科書は、おおむね4年ごとに改まる。

今回の例でいえば、2014年の5月に教科書会社が文部科学省に検定を申請し、検定作業を経て翌15年4月に合格を決定、公表。それを受けて、夏に各教育委員会がどの教科書を使うか採択、16年4月から学校で使い始める。

その過程で、検定中の教科書は外部に見せてはならない。文科省の検定規則が禁じている。

外からの圧力や介入を防ぐためというが、三省堂はその検定途中である14年8月に校長らを集めていた。

また、教科書会社でつくる「教科書協会」は採択に関係する人への金銭の提供を自主的に禁じている。

三省堂はこれらのルールを承知のうえで破ったことになる。

同社は「大変誤った行動で、深く反省している」としているが、とりわけ「公正さ」を求められる学校の教科書選びにまつわることだ。こうした疑念と不明朗さは、信頼を深く傷つけかねない。

そして、これは三省堂だけの問題なのかという懸念もわく。

少子化の進行などを背景に、教科書売り込みの営業競争も激しいといわれる。教科書会社の担当者らが、教科書採択にからんで教員宅を直接訪れ、見本を渡すなどの例があり、文科省が今年の4月と6月、各社や担当者らに戸別訪問などの自粛を求めた経緯もある。

これを機に、教科書採択をめぐるいっそうの情報公開や透明性確保が進められるべきだろう。

しかし、教科書づくりと学校の実情とは遮断された方がいい、というのではない。

教科書の営業とは別に、学校教育現場の教科書の内容に関する具体的な要望、意見、学力の傾向など、教科書の中身をより豊かにするための交流は不可欠だ。

たとえば、次期学習指導要領は、主体的な課題解決型学習「アクティブ・ラーニング」を掲げるが、学校教育現場では指導方法などに戸惑いがあり、授業の支えや指針となる教科書は大きな役割を担うだろう。

採択への期待をにじませたような閉じられた会合ではなく、もっと広く開かれたかたちで、新しい教科書のありようを練る交流機会を根づかせられないものだろうか。

今回の苦い教訓を生かしたい。

2015年10月31日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:2%物価目標 固執は政策の信用失う (2015年10月31日)

日銀の金融政策がいよいよ説得力を失ってきている。

「2年程度で物価上昇率2%を達成する」。2013年4月、日銀は黒田東彦総裁のもと、そう宣言し、大規模な量的緩和を始めた。昨年10月には追加緩和に踏み切り、市場を驚かせた。だが、日銀が描いてみせたシナリオは実現するどころか、現実から遠ざかっている。

30日の金融政策決定会合では、2%の達成予想時期を再び半年延ばして「16年度後半」とした。記者会見に臨んだ総裁は、それでも「政策は効果を発揮している」「(2年程度で2%達成の)物価目標を変える必要はない」の一点張りだった。

市場では、中国経済や国内経済指標の悪化を受けて、日銀が再び追加緩和に踏み切るのではないかとの予測が広がっていた。効果が上がっていない政策を一段と強化したところで、事態の好転は望めず、現状維持を決めたこと自体は、当然だろう。しかし、異次元緩和が効果を発揮しているので変更の必要がなかったという説明は誠実さを欠くものだ。

黒田総裁は、「物価の基調は改善している」と繰り返す。思いのほか下落幅が大きかった原油価格の影響分を除くと、物価はしっかり上昇しているというわけだ。だが、「日銀が異次元緩和により2%達成への本気度を示せば、企業や消費者がインフレを予想するようになり、賃金が上がって消費も増え、物価が上がる」という日銀の筋書きに沿った結果ではない。円安による輸入品の値上がりが主な上昇要因なのである。

もし、期待通りの効果を発揮しているのであれば、政府が経済団体に賃上げや設備投資を直接働きかける必要などないはずだ。

黒田総裁は「2年程度で2%」の目標を掲げたことが「無理だったとも無駄だったとも考えていない」と言い切る。しかし、達成見込みの時期を繰り返し先送りし、追加の緩和もしないというのは、わかりにくく、日銀の政策自体が信用を失いかねない。柔軟で現実的な目標に修正すべきだ。

中央銀行の説明がわかりにくくなっているのは米国の連邦準備制度理事会(FRB)についても言えそうだ。年内の利上げ実施というシグナルを出してみては、世界の市場が混乱すると踏み切れずに先送りする。中央銀行の政策が、自らの大規模緩和が生んだマネーに自由度を奪われているように映る。

経済の長期的な成長力をどのような改革で引き上げるか。そこに関心が集まるべきところ、短期的な金融政策の動向が金融市場を介して経済を左右する主役になっている。いびつな構図は早く正す必要がある。

2015年10月31日 02時40分
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[読売新聞] 民主・共産接近 岡田氏が失う物は少なくない (2015年10月31日)

民主党内で、「お家芸」とも言うべき路線対立が再燃してきた。

岡田代表ら執行部が共産党との連携を模索することに、保守系が強く反発しているためだ。

党政調会長も務めた松本剛明元外相は、「政策の調整なくして、選挙協力があるのか」と岡田氏らを批判し、離党届を提出した。

細野政調会長も、共産党との選挙協力に反対し、「共産党と我々が目指すものは違うと明確に言わないと、民主党の存在意義はない」と強調した。保守系が、日米安保体制を否定する共産党との協調を拒否するのは当然だろう。

民主、共産両党の接近は、共産党が仕掛けた。志位委員長が9月中旬、安保関連法の廃止を目的とする連立政権構想を打ち出した。来年夏の参院選などで野党が統一候補を擁立する構想である。

野党が結集せず、バラバラに戦えば、「1強」の自民党を利する。岡田氏や枝野幹事長は、そう考えつつも、共産党との連立は困難として、連立政権を前提としない選挙協力を追求したい考えだ。

だが、共産党は、政権合意に基づく統一候補の擁立に執着している。民主党への一方的な支援では何も得るものがないからだ。

民主党は2009年に社民党と連立を組んだ結果、米軍普天間飛行場の移設問題を迷走させた末、社民党の離脱と鳩山政権崩壊を招いた。その教訓を踏まえれば、基本政策が一致しない党との連携にはより慎重に臨むべきだろう。

民主党内では今なお、安保関連法を巡る対立も続く。岡田氏は関連法の廃止法案を次期通常国会に提出したい意向だが、保守系の前原誠司元外相らは、「廃止」でなく「見直し」を主張する。

集団的自衛権に関して、あいまいな党見解をまとめたツケだ。

理解できないのは、枝野氏らが「安倍首相は保守ではない。急進改革で、日本が大事にしてきたものを壊そうとしている」などと批判したうえ、民主党こそが「保守本流」と自称していることだ。

自民党の「宏池会」を意識し、穏健な保守票を取り込む狙いだろうが、先の国会での振る舞いは保守とは程遠い。共産党と連携すれば、保守層は一層離れよう。

民主党は25日の宮城県議選で2議席減らし、共産党に第2党の座を奪われた。自民党批判票の受け皿になっていないのは明白だ。

政権奪還を目指すなら、それにふさわしい政策や路線を示すことが欠かせない。岡田氏にその用意があるのだろうか。
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[読売新聞] 辺野古工事着手 基地負担軽減を着実に進めよ (2015年10月31日)

米軍普天間飛行場の辺野古移設の本質は、現飛行場の危険性の除去と、周辺住民の基地負担の軽減である。「新基地」の建設ではない。

この目的に向け、政府は移設を着実に進めるべきだ。

防衛省が辺野古での埋め立て本体工事に向けた作業に着手した。陸上に資材置き場を整備し、年明けに海上作業に入る。2022年度以降の移設完了を目指す。

石井国土交通相は、沖縄県の埋め立て承認取り消しの執行停止に続き、地方自治法に基づく代執行に向けて、県に是正勧告した。

沖縄県は、勧告を拒否する方針だ。翁長雄志知事は「強権極まりない」と政府を非難した。

国交相は11月中にも高裁に提訴する。勝訴すれば、代執行により、承認取り消しを撤回する。前知事の埋め立て承認が正当である以上、関係法に基づき、移設作業の根拠を維持するのは当然だ。

今後、県が防衛省の設計変更などを拒否した場合も、代執行手続きが想定される。移設を完遂するためにはやむを得まい。

菅官房長官は、在沖縄米海兵隊の一部が移転する米領グアムを訪問した。米海兵隊幹部らと会談し、「沖縄の負担軽減に直結する大事な事業だ。目に見える形での協力を期待したい」と訴えた。

12年の日米合意で、海兵隊員約1万9000人のうち、約4000人がグアム、約5000人が米本土などに移転する。20年代前半に始まる予定だ。協定により、日本も費用を3割強負担する。

グアム移転を実現し、約1048ヘクタールに及ぶ県南部の施設返還計画を前進させることが重要だ。

米議会には、辺野古移設をグアム移転の前提条件とみなす議員が少なくない。民主党政権が移設を停滞させた際、グアム移転関連予算を削減したこともある。

翁長氏は、菅氏のグアム訪問を「パフォーマンス」と断じた。辺野古移設が頓挫すれば、沖縄全体の負担を大幅に軽減する海兵隊のグアム移転も滞りかねないことを認識しているのだろうか。

日米両政府は9月、在日米軍施設で環境汚染事故が起きた場合、自治体の立ち入りなどを認める新協定も締結した。返還予定地への事前立ち入りも認める内容で、日米地位協定の事実上の改定だ。

政府は、こうした基地負担軽減策を進めることが大切である。

その点、普天間飛行場の輸送機オスプレイの訓練を佐賀空港へ移転する計画が、地元の反発によって先送りされたのは残念だ。
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[朝日新聞] 原爆症訴訟 政治主導で真の解決を (2015年10月31日)

老いた被爆者たちにこれ以上、裁判を強いるのは酷だ。政治の責任で決着を図るべきだ。

がんや心筋梗塞(こうそく)などの病気になったが、国に原爆症と認定されなかった被爆者たちが起こした裁判で、また国が負けた。東京地裁と大阪高裁でおととい判決が出た18人のうち、17人が原爆症と認められた。

集団訴訟が始まった03年以降、国の敗訴は40件近い。裁判に踏み切ったことでようやく原爆症の認定を受けた被爆者は300人を超えている。

行政の決定が司法に覆され続ける状況は異常だ。被爆者の平均年齢は80歳を超えた。安倍政権は問題の全面解決に向け、すみやかに行動すべきだ。

安倍首相は07年夏に、原爆症認定の基準を見直す、と表明した。与党の国会議員が具体案をまとめ、翌年導入された。爆心地からの距離など、一定の条件を満たす人のがんは原爆症と認められやすくなった。

だが問題は解決しなかった。厚労省が認定にあたり、他の病気と放射線との因果関係に強くこだわったためだ。被爆後に爆心地付近を歩いた入市被爆者は浴びた放射線量が低いとされ、申請をほとんど却下された。

その後も国の敗訴は止まらず、厚労省は13年末に基準を再改定した。ただ実質的には、入市時期や被爆距離の条件をわずかに広げただけだった。

今回勝訴した被爆者はいずれも、厚労省が再改定基準でも原爆症に該当しない、と判断した人たちだ。東京地裁判決は「基準は目安の一つではあるが、該当しなくても原爆症と認められることはある」と断じた。

塩崎恭久厚労相は専門家の意見を聴いたことを理由に、基準のさらなる見直しに慎重な姿勢を示すが、問題の本質を理解してほしい。行政の考え方を司法判断に沿うよう改めない限り、いたちごっこは終わらない。

被爆当時の行動やその後の健康状況を詳しく調べ、一定程度の被曝(ひばく)が疑われるようなら原爆症と柔軟に認める。それが、裁判所の考え方だ。

現実に入市被爆者らにも病気は多発している。微細な放射性物質を取り込む内部被曝の影響を示唆する研究成果も次々と発表されている。

放射線の影響が明らかに否定できない限りは原爆症と認める。そういう方向で認定のあり方を抜本的に改めるべきだ。訴訟で国と争わなければ救済されない現状はおかしい。

被爆者との争いに今度こそ終止符を打つ。そういう指導力を安倍首相に発揮してほしい。
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[朝日新聞] 中国一人っ子 出産規制全廃すべきだ (2015年10月31日)

出産は本来、人間の自由な営みに委ねられるべきものである。政治が強制的に制限するという、いびつな施策をこれ以上続けるべきではない。

中国政府が、一人っ子政策と呼ばれた産児制限を緩める。今週開かれた共産党中央委員会の第5回全体会議で、来年からの経済方針である第13次5カ年計画の概要に盛り込まれた。

多くの国では、家族計画への政府の関与はせいぜい教育・啓発活動までだ。1979年以来続いた一人っ子政策は食糧不足への心配によるものとはいえ、妊娠中絶の強制など深刻な人権侵害を伴い、国際的な批判を浴びてきた。

一昨年の緩和策では「両親いずれかが一人っ子なら2人目を認める」というものだった。今回は、例外なく2人目を認めるという。一歩前進ではあるが、産児制限の制度は残る。全面的に撤廃するべきだ。

国の富強をめざす習近平(シーチンピン)政権は、労働人口の減少と高齢化がもたらす経済成長の鈍化や社会保障負担の増大にどう対応するか、という問題意識から政策変更に踏み切ったのだろう。その観点から考えても、遅きに失したと言わざるを得ない。

人口は、かなりの確かさで将来を予測できる。出生率が下がった中国には、経済的に豊かになる前に高齢化が進むという根本的な懸念があり、一人っ子政策の撤廃を主張する声はかねて強かった。

なぜ遅れたのか。考えられるのは、計画出産を管理する体制が中央から地方まで膨大な人員によって築き上げられ、一種の権益化が進んだことだ。違反者に科せられる罰金が地方政府の財源になったとも伝えられる。行財政のあり方全体が絡んだ構造的な問題である。

いまやっと制限緩和しても、経済効果はそうないかもしれない。大都市では日本同様の少子化が進み、一昨年の緩和による出生増は限定的だった。もし増えても、新たな働き手として社会に加わるのは十数年先だ。

新しい5カ年計画には、労働人口を増やす方策として、農村人口の都市受け入れを促すことが盛り込まれた。このことだけでも、農村の土地問題、社会保障や教育の受け皿など、関連する課題が多岐にわたる。

こうした人口移動のほか、公害など、いわば日本の高度成長期を圧縮する形で諸問題に直面しているのが、いまの中国の姿だ。習政権の国内改革がめざすべき目標は、13億人とこれから生まれる子どもたちが安心して暮らせる国造りに尽きる。
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2015年10月30日

[産経新聞] 【主張】読書週間 「いつだって」近くに友が (2015年10月30日)

秋の読書週間に入っている。11月9日までだ。我を忘れ、本の世界に思いきり遊んでみたい。

この夏以降、本にまつわるさまざまな話題があった。なかでもお笑い芸人、又吉直樹さんの芥川賞受賞は、国民の大きな関心を呼んだ。

昨今は純文学が敬遠されがちであることに加え、出版不況も指摘されるなか、受賞作「火花」の単行本は過去の受賞作と比べても異例の売れ行きである。「火花」を手にとった人が、次は又吉さんが心酔したという太宰治の作品にも触れたい、またその次は…というふうに、文学作品への興味がどんどん広がっていくことを期待したい。

どちらかといえば、いまは文学に対する風当たりが強まりつつあるようにも思われる。文部科学省が6月に出した通知は、国立大の人文社会科学系学部などの廃止や見直しを求めるもので、「文系軽視」との反発を招いている。

このことが感受性豊かな若者世代の文学離れにつながりはしまいかと懸念もされるが、文学など人間への理解、人生への洞察を深めてくれる本を読むことは、知識の涵養(かんよう)だけが目的の読書とは、その意義の点で大きな違いがある。

前者は何より、精神の背骨を鍛え、感情の有酸素運動を促してくれる。没頭の時間のなかで少し立ち止まり、考え、想像し、共感する。その過程において人は、現実には起こり得ない出来事を体験でき、他人の喜怒哀楽や人生さえも自分のことのように味わえる。

読書について吉田兼好は「徒然草」で、見たこともない昔の人を友とするのは至上の慰めだと書いた。昔の人とは限るまい。本の世界ではどんな人とも友になれる。友との交わりで、どれほど気持ちが豊かになることだろう。

8月末、神奈川県鎌倉市の図書館の職員が、死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃいと呼びかけたことも注目された。不登校を助長するとの議論にも耳を傾けねばならないが、図書館の本と出合った子供が登場人物と友達になり、勇気づけられ、新たな生き方に一歩踏み出せるとしたら、それはそれで素晴らしいことである。

「いつだって、読書日和」。今年の読書週間の標語のとおり、一冊に手を伸ばすチャンスはいつだってある。要はそのチャンスを逃さないことだ。いつだって、そばに友達がいると信じて。
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[東京新聞] 核と人類 パグウォッシュ会議を前に 政治を動かすのは市民 (2015年10月30日)

原爆の開発を当時のルーズベルト米大統領に提言したのは物理学者のレオ・シラードだった。シラードは、ナチスドイツが核兵器を先に開発することを恐れていた。だが、日本への原爆使用は「核軍拡競争を招く」と反対した。

米大統領は、核兵器開発の助言は聞いたが、不使用には耳を傾けなかった。それが「核の時代」の始まりの風景だった。

核兵器保有国は旧ソ連、英、仏、中と増えていった。核実験が繰り返され、放射性降下物による汚染が地球規模で広がった。

核実験に伴う健康被害は第五福竜丸だけではない。各国とも軍事機密扱いで、情報がほとんど公開されていないだけだ。秘密が多いのも、核に特有の暗部である。

核の利用は軍事から民生に広がっていく。アイゼンハワー米大統領は、一九五三年の国連演説で「平和のための原子力」という考え方を示した。核不拡散の推進を目的の一つとして、海外での原発建設を進めた。インドが原発からプルトニウムを取り出し、原爆の製造に成功するなど、核の拡散を招いた。

旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(八六年)は多くの死者を出した。福島第一原発事故(二〇一一年)では今も、十万人を超える住民が故郷に戻れないままである。

戦後、核兵器が実戦で使われたことはないが、最近、テロリストによる核の使用が心配されている。過激派組織「イスラム国」(IS)のような組織には、核の抑止力は働かない。原発の安全神話だけでなく、平和利用も核の抑止力も壊れた神話になっている。

希望もある。世論調査会社「ユーガブ」は今年七月「原爆開発は間違いだった」と答えた米国人が62%もいたと発表した。

シラードは晩年、「住みよい世界をつくる協議会」を設立した。核軍拡競争に反対する政治家を支援するのが目的だった。核兵器と戦争の廃絶を目指すパグウォッシュ会議にも関わった。

第六十一回の同会議が来月一日から長崎市で始まる。二百人近い専門家が世界から集まる。

歴史は、学者の知性だけでは政治を動かせないことを教えている。政治家を動かすには、市民(有権者)の力が必要だ。人類は核と共存できるのか。会議では、その答えを探り、世界に向けて発信してほしい。科学者にはそうする責任がある。 (井上能行)

=おわり
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[東京新聞] 辺野古着工 民主主義に背く強行だ (2015年10月30日)

沖縄県名護市辺野古で米軍基地の新設工事が始まった。海兵隊拠点の国外・県外移設を求める県民の民意を顧みない安倍政権の暴走だ。安全保障のみならず日本の民主主義の在り方をも問うている。

米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)返還のため、代替施設の建設地を辺野古に定めた一九九九年の閣議決定から、十六年を経ての本格的な着工である。予定工期は二〇二〇年十月末だという。

普天間飛行場は周囲に住宅が迫る。〇四年には隣接する沖縄国際大に米海兵隊の大型ヘリが墜落した。かつて視察したラムズフェルド米国防長官が「世界一危険」と指摘したこともある。

普天間飛行場の閉鎖、日本側への返還が急務であることに異論はない。しかし、代替施設を同じ沖縄県に造る県内移設に、なぜ県民の多くが反対するのか。政府だけでなく、本土に住む私たちも深く考えねばならない。

米軍に強制的に接収された普天間飛行場の返還要求は以前からあったが、日米両政府間で具体的に動きだした契機は九五年の米海兵隊員による少女暴行事件である。

国土面積の1%にも満たない沖縄県には今も在日米軍専用施設の約74%が集中する。事故や騒音、米兵による犯罪に加え、米軍の戦争に加担しているという心理的圧迫など、基地集中による重い負担を、県民は強いられている。

宜野湾市の中心部を占める普天間飛行場の返還は負担軽減策の象徴だが、日米両政府の結論は同じ県内の辺野古への移設であり、唯一の解決策との立場である。

基地を同じ県内に移しても負担軽減にはならない、なぜ沖縄だけが過重な負担を強いられるのか、日米安全保障条約体制が日本の平和に必要なら、日本国民が等しく基地負担を負うべきではないか。

それが沖縄県民の訴えであり、私たちも共感する。

しかし、安倍政権は選挙で示された県民の民意をも顧みず、「抑止力」を掲げて、県内移設に向けた手続きや工事をやみくもに進める。法令の乱用であり、民主主義への逆行にほかならない。

ドイツの宰相ビスマルクの言葉とされるものに「政治とは可能性の芸術である」がある。

辺野古は、本当に「唯一の解決策」なのか。安倍政権は国外・県外移設など、ほかの可能性を追求する努力をどこまでしたのか。県内移設に反対する県民を押しのけて工事を強行するだけなら、もはや政治の名には値しない。
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[産経新聞] 【主張】日中韓首脳会談 南シナ海の討議を尽くせ (2015年10月30日)

良き隣人関係を演出したいがために、論ずべき話題を避け、不当な振る舞いへの批判を抑えるようなことがあってはならない。

韓国での日中韓首脳会談は、米国による「航行の自由作戦」直後の開催となる。緊張を高める原因を作ったのは、南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進めている中国であることは言うまでもない。

日米、米韓の2つの同盟関係は米国のアジア重視政策の要であり、東アジアの平和と安定の基軸をなす。

この機会に、安倍晋三首相は朴槿恵大統領とともに海洋覇権を追求する姿勢を改めるよう、中国の李克強首相に要求すべきだ。

米国の「航行の自由作戦」について、菅義偉官房長官は28日の会見で「支持」を表明した。それに先立つ安倍首相のコメントは「国際法にのっとった行動だと理解している」との表現だった。中国への配慮もあったのだろうか。

中国の行動に対しては、フィリピンなど周辺国も非難の声を上げている。日中韓、日中の首脳会談を通じ、安倍首相は中国の行動を明確に批判するかどうか。アジアの国々が注視していることを忘れてはならない。

懸念されるのは、韓国政府が態度を明確にしていないことだ。

オバマ米大統領が先の米韓首脳会談で、中国の国際規範に反する行為に「同じ声」を上げるよう朴氏を促した経緯もある。朴氏には地域の安全保障環境を見据えた現実的な対応を求めたい。

11月中旬には、日中韓の他、米国も加わるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や東アジア首脳会議が開かれる。これらの国際会議の場でも、力による現状変更の姿勢を変えない中国を問題視し、自制を求めていくことが重要となる。

3カ国首脳会談に向け、中国の王毅外相は歴史認識問題で中韓が共闘することを示唆し、共同文書に「歴史を直視」と明記することなどを目指しているという。

急速な軍拡で国際社会に懸念を与えている自らの現状こそ、中国が直視すべきものである。

本質的な問題の議論を避けるため、歴史問題を外交カードに用いることもやめるべきだ。そういう出方をするなら、安倍首相が事実に基づく主張で強く反論すべきは当然のことだ。
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[毎日新聞] 社説:新朝鮮通信使 日韓駆ける両輪の涼風 (2015年10月30日)

ソウル都心にある朝鮮王朝の王宮「景福宮(キョンボックン)」を今月11日に出発した日韓両国の市民約50人が、対馬海峡を渡り、ゴールの東京都庁を目指して懸命にペダルをこいでいる。

かつての朝鮮王朝が日本に送った外交使節・朝鮮通信使の道を自転車でたどるイベント「両輪で走る新朝鮮通信使」だ。都庁到着は来月1日に予定されている。

政治レベルの日韓関係は良好とは言えないが、市民交流は活発だ。参加した早稲田大法学部4年の早野孝洋さん(22)は「世界に目を向けるいい契機になる」と話している。

日本と韓国の関係は長い歴史の中で浮き沈みを繰り返してきた。

朝鮮通信使は室町時代に始まっている。しかし、16世紀末に豊臣秀吉が行った2度にわたる朝鮮出兵で両国の関係はいったん途絶えた。その後、江戸幕府を開いた徳川家康が、戦後処理のため朝鮮に働きかけた結果、通信使が再開された。

江戸時代に12回を数えた通信使には多くの知識人が名を連ねた。鎖国していた日本では外国知識人との交流の機会は貴重だった。宿泊先には多くの人々が詰めかけたという。

日韓は今年、国交正常化から50年を迎えた。正常化当時は両国の国力差は大きく、市民交流は細々としたものでしかなかった。

しかし、時代は大きく変わった。韓国の民主化や経済成長を経て、両国の関係は水平的なものになった。民間レベルの交流は幅が広がり、深みも出てきている。

残念ながら民間交流は政治対立を解決する特効薬にはならない。それでも、東アジアに生きる者同士が国境を越えて知り合う意味は小さくない。互いを知ることは、一部の極端な意見に流されない冷静さを育むことにもつながる。

今回のイベントに参加した人の多くは自転車愛好家だという。相手国への事前知識を持たない人もいただろう。長い道中では、時に考え方の違いに驚くこともあったはずだ。それは自然なことだ。むしろ、自分との違いを相手の個性として受け入れるきっかけにした方がいい。

朝鮮通信使の関連資料を、日韓が協力して国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録しようという運動も進められている。

世界遺産を巡っては最近、日本と周辺国のあつれきを生むニュースばかりが目立つ。もしも通信使の登録が実現すれば、後世に残すべき人類共通の遺産という世界遺産本来の前向きなものになるはずだ。

朝鮮通信使の歴史は、負の遺産を乗り越えて友好関係を築こうとする先人の努力に支えられてきた。その精神を今日に引き継ぎたい。

2015年10月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:温暖化適応計画 一体運営の体制つくれ (2015年10月30日)

政府は地球温暖化の被害に備える初の「適応計画」案をまとめた。農業や自然災害など7分野で今後10年間に取り組むべき対策を示した。

世界全体で温室効果ガスの排出削減が進んでも、ある程度の温暖化は避けられない。適応策も、長期的視点の下で、国家戦略として着実に取り組むべきだ。そのためには、省庁横断的な対策実行を主導できる体制づくりが欠かせない。

環境省の専門家会合がまとめた報告書によれば、日本の平均気温は、19世紀末に比べ1度超上昇した。今世紀末には20世紀末に比べ最大で4.4度上昇する恐れがある。

計画案で政府は、高温による水稲の品質低下や収量減、局地的な豪雨による水害など温暖化の影響は各地で表れ始めているとの認識を示し、「気候変動の被害を最小化し、安全・安心で持続可能な社会を構築すること」を基本戦略に掲げた。

具体的な対策としては、高温に耐えるイネや果樹の品種開発▽堤防の整備▽感染症を媒介する蚊の駆除??などが並ぶ。また、サクラの開花時期など季節感の変化が観光産業に与える影響や、災害の増加が保険・金融業界に与える影響などについても検討が必要だとしている。

政府が温暖化の影響に対し、危機意識を示した点は評価できる。しかし、関係省庁それぞれの対策を束ねた印象が強いうえ、裏付けとなる予算や具体的な達成時期は明示されなかった。これでは実効性に乏しい。

温暖化の影響予測には不確実性が伴うので、具体的な予算などを示しにくいことは理解できる。一方で、高温に強い作物の開発は食料の安定供給に結びつく。災害リスクの低い場所への居住を促すコンパクトシティー化は、高齢化や過疎化対策にもなる。こうした多面的な効果を持つ施策を優先することが、効率的で後戻りしない対策となる。

実効性を高めるには、政府全体で体系的に対策を進める必要がある。省庁の縦割りに陥らないよう、政府は総合調整し、一体となって適応計画を運営する司令塔機能を整えるべきだ。温暖化の影響や対策の進捗(しんちょく)状況を評価し、計画を随時更新することは当然だ。

自治体や地域住民の積極的な関与も欠かせない。温暖化の影響の表れ方や深刻度は、気候風土や人口構成などに応じ、地域ごとに異なるからだ。しかし、温暖化への適応策の重要性を認識している自治体は、まだまだ少ないのが実情だ。

どのような災害リスクが高まるのか。特産品にはどのような影響が出るのか。政府には、地域ごとにきめ細かな情報を提供するなどし、住民の関心を高め、自治体の取り組みを促進してもらいたい。

2015年10月30日 02時32分
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[読売新聞] 高校生政治参加 校外の活動にも目配りが要る (2015年10月30日)

新たな通知を、高校生の主体的で節度ある政治参加につなげたい。

文部科学省が高校生の政治活動に関する通知を46年ぶりに見直した。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられるのに伴う措置だ。

文科省は、学校の内外を問わず、高校生の政治活動を一律に禁じてきた。旧通知が出された1969年は、激化した大学紛争が高校にまで広がり、生徒による学校封鎖や授業ボイコットなどの混乱が生じた時期だった。

これに対し、新通知は、放課後や休日に校外のデモや集会に参加することを原則容認した。時代状況が変わる中で、通知を見直すのは理解できる。

高校生が自らの判断で政治活動に加わって、課題を感じ取る体験を通じ、有権者としての意識が醸成される面はあろう。

ただし、高校生はあくまで学業第一であるべきだ。校外の政治活動が容認されるにしても、そこには一定の制限が求められる。

デモや集会への参加が、警備活動の妨害など暴力行為に発展する事態はあってはなるまい。政治活動に熱中するあまり、学業が疎(おろそ)かになっては本末転倒だ。

このような場合、新通知が政治活動を制限・禁止するよう、学校側に要請したのは当然である。

生徒の校外の行動を学校がすべて把握するのは難しい。通知の趣旨を保護者や地域住民にもきちんと説明し、連携して目配りすることが欠かせない。

校内の政治活動に関して、新通知はこれまでと同様、授業中はもとより、生徒会や部活動の時間も含めて禁止すると、改めて明記した。妥当な内容だ。

生徒会や部活動は、生徒たちが自主性や協調性を育む貴重な教育活動でもある。生徒会の場を利用して政党のビラを配る。部活動のミーティングで特定の政党への支持を訴える。こうした行為が不適切なのは明らかだろう。

主権者教育を充実させる観点から、今後、高校生が政治課題について討論する機会は確実に増える。例えば、生徒会主催で討論会を開くケースが想定される。

その場合、大切なのは、特定の政治的主張を取り上げるのではなく、多様な意見が交わされるようにすることだ。安全保障法制や原子力発電所の再稼働など世論を二分するテーマでは特に重要だ。

指導にあたる教師の役割は大きい。自身の主義主張を押しつけることは厳に慎み、中立・公正な立場で生徒に接してもらいたい。
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[読売新聞] 1億総活躍会議 スローガン倒れにならぬよう (2015年10月30日)

安倍首相は「1億総活躍社会」の実現を打ち出したが、国民は具体的なイメージを描きにくいのではないか。

「1億総活躍社会」に向けた具体策を議論する政府の国民会議の初会合が開かれた。11月中に緊急対策をまとめた上で、来春にも中長期的なプランを策定する予定だ。

議長を務める首相は「みんなが活躍できる社会を作るために、それを阻むあらゆる政策を取り除いていきたい」と強調した。

政府は、「1億総活躍社会」の姿について、「50年後も人口1億人を維持」「誰もが家庭、職場、地域で充実した生活を送れること」と説明する。

それらを実現するため、首相は、「国内総生産(GDP)600兆円」「希望出生率1・8」「介護離職ゼロ」という新たな3本の矢を掲げている。

スローガン倒れにならぬよう、国民会議が推進役となり、具体的な目標と工程表をまとめ上げることが重要である。

緊急対策では、出生率の向上と介護離職問題に重点が置かれる見通しだ。成長戦略や女性活躍推進、人口減を念頭に置いた地方創生といった政府のこれまでの政策と重なる部分が多い。

政府の経済財政諮問会議や産業競争力会議、「まち・ひと・しごと創生会議」などで議論を重ねてきたテーマでもある。

国民会議には、これらの会議を兼務するメンバーが目立つ。既存の会議との連携を重視したのだろう。屋上屋を架したことにならないよう、国民会議の位置付けをはっきりさせるべきだ。

政府方針に沿い、自治体は地方創生の総合戦略を策定し、企業は女性登用の行動計画作りを始めている。これからが正念場だ。

国民会議は、従来の政策分野との整合性を考慮して、議論を進めてもらいたい。

どのテーマも、やるべき対策はほぼ出そろっている。国民会議に期待されるのは、施策の優先順位や強化すべき部分を明確にし、実施を後押しすることだろう。

特別養護老人ホームを増設するため、国有地を安く貸し出すなど、新たなアイデアを提示することも求められる。

予想されたことだが、各省庁に「1億総活躍」に絡めて来年度予算の増額を狙う動きが見られる。来年夏に参院選を控え、有権者にアピールしたい与党の思惑と相まって、安易なバラマキに陥ることがあってはならない。
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[朝日新聞] 辺野古、本体工事着手 埋め立て強行は許されぬ (2015年10月30日)

政府はいつまで、沖縄に差別的な歴史を強いるのか。

米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古で政府は、埋め立ての本体工事に着手した。

新基地建設に「NO」という多くの沖縄県民の声に耳を傾けようとせず、一連の手続きを強行する安倍政権の姿勢に、深刻な疑問を感じざるを得ない。

沖縄県民の人権と民意がないがしろにされている。

同時に、沖縄という一地域に過度の負担を押しつける、この国のあり方が問われている。

■沖縄の「NO」の理由

政府に改めて求める。工事を速やかに中止し、県と話し合いの場をもつべきだ。

いま一度、沖縄県民の心情に寄り添ってみたい。

太平洋戦争末期、沖縄は県民の4人に1人が犠牲になる痛ましい地上戦を経験した。本土防衛の「捨て石」とされたのだ。

その沖縄は戦後、平和主義や基本的人権を保障した日本国憲法から隔絶された。米軍統治のもと、「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われ、強権的な支配のなかで米軍基地が広がる。

念願の本土復帰から43年。今なお、国土の0・6%の沖縄に全国の73・8%もの米軍専用施設を抱えている。

戦後70年たつのに、これほど他国軍の基地が集中する地域が世界のどこにあろうか。度重なる事故や犯罪、騒音などの基地被害に脅かされ続けてもいる。それが沖縄の現実である。

それでも、翁長雄志知事は日米同盟の重要性を否定していない。抑止力で重要な米空軍嘉手納基地の返還も求めていない。

こうした歴史をたどってきた沖縄に、さらに「新たな基地建設」を押し付けようとする。そんな政府の姿勢に「NO」の声を上げているのだ。

辺野古に最新鋭の基地が造られれば、撤去は難しい。恒久的な基地になりかねない。

■民意に耳を傾けよ

それに「NO」を告げる沖縄の民意は、昨年の名護市長選、県知事選、総選挙の四つの小選挙区で反対派が相次いで勝利したことで明らかである。

政府にとって沖縄の民意は、耳を傾ける対象ではないのか。着工に向けた一連の手続きにも、強い疑問を禁じ得ない。

翁長知事による埋め立て承認の取り消しに対し、沖縄防衛局は行政不服審査制度を使い、同じ政府内の国土交通相が取り消し処分の執行停止を認めた。

この制度はそもそも、行政機関から不利益処分を受けた「私人」の救済が趣旨である。防衛局は「私人」なのか。政府と県の対立を、政府内の国土交通相が裁くのが妥当なのか。公正性に大きな疑問符がつく。

政府は同時に、地方自治法に基づく代執行手続きにも着手し、知事の権限を奪おうとしている。その対決姿勢からは、県と接点を探ろうという意思が感じられない。

埋め立て承認の留意事項として本体着工前に行うことになっている事前協議についても、政府は「協議は終わった」と繰り返し、「終わっていない」という県の主張を聞こうとしない。

さらに政府は名護市の久志、辺野古、豊原の「久辺3区」に対し、県や市の頭越しに振興費を直接支出するという。

辺野古移設に反対する県や市は無視すればいい、そういうことなのか。自らの意向に沿う地域だけが、安倍政権にとっての「日本」なのか。

この夏に行われた1カ月の政府と県の集中協議も、結局は、県の主張を聞き置くだけに終わった。その後、政府が強硬姿勢に一変したことを見れば、やはり安保関連法を通すための時間稼ぎにすぎなかったと言わざるを得ない。

■日本が問われている

「普天間飛行場の危険性を除去する」。政府はいつもそう繰り返す。しかし、かつて米国で在沖米海兵隊などの整理・縮小案が浮上した際、慎重姿勢を示したのは日本政府だった。

96年の普天間返還の日米合意から19年。本来の目的は、沖縄の負担軽減のためだった。

そのために、まず政府がなすべきは、安倍首相が仲井真弘多(ひろかず)・前知事に約束した「5年以内の運用停止」の実現に向けて全力を傾けることではないか。

米国は、在沖海兵隊のグアム移転や、ハワイ、豪州などへの巡回配備で対応を進めている。

その現状を見れば、「辺野古移設が唯一の解決策」という固定観念をまずリセットし、地域全体の戦略を再考するなかで、代替施設の必要性も含めて「第三の道」を模索すべきだ。

ひとつの県の民意が無視され続けている。民主主義国として、この現実を見過ごすことはできない。

日本は人権を重んじる国なのか。地域の将来に、自分たちの意思を反映させられる国なのか――。

私たちの日本が、普遍的な価値観を大事にする国であるのかどうか。そこが問われている。
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2015年10月29日

[産経新聞] 【主張】辺野古の代執行 移設進める適法手続きだ (2015年10月29日)

米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で、政府は翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事による埋め立て承認取り消し処分を撤回する「代執行」手続きに入った。

また、石井啓一国土交通相は、公有水面埋立法を所管する立場から、取り消し処分を一時執行停止にした。

いずれも、沖縄を含む日本の安全保障を確保し、住宅密集地に隣接する普天間の危険性を取り除く適法な措置だ。これを受け防衛省沖縄防衛局は29日にも埋め立ての本体工事に着手する。

安倍晋三政権が移設への明確な姿勢を示した点を評価したい。

地方自治法は、国が知事に事務を託す「法定受託事務」に関するトラブルによって行政が停滞しないよう、代執行の仕組みを設けている。

知事による法定受託事務が法令に反し、放置すれば「著しく公益を害する」ときには、高等裁判所での判決を経て、所管閣僚が事務を行うことが認められる。

翁長氏は、国が進める辺野古移設に対し、政策的判断として反対している。だが、仲井真弘多(ひろかず)前知事による埋め立て承認を取り消し、対抗することは、法定受託事務からの逸脱にあたる。

代執行という字面から、政府による強権的な措置ととらえるのは誤りである。

安倍首相が翁長氏の取り消し処分について「違法だ。移設の目的は普天間の危険性除去であり、著しく公益を害する」と指摘したのはしごく当然だろう。

翁長氏は、石井国交相による取り消し処分の一時停止について、「内閣の一員として結論ありきだ」と批判している。だが、閣僚が内閣の方針に沿って判断することは何らおかしくない。

政府はなぜ辺野古移設を進めようとしているか。それは、沖縄を含む日本を脅威から守り抜くためだということを、翁長氏ら反対派には改めて考えてもらいたい。

南シナ海では米海軍が航行の自由作戦を始めた。だが、中国は国際法を無視して人工島の軍事拠点化を進める動きを止めない。東シナ海では、尖閣諸島の領有をねらっている。

米海兵隊の沖縄でのプレゼンスは、平和を保つ上で重要な役割を果たしている。辺野古移設の停滞が日米関係の揺らぎと映れば、同盟の抑止力は低下する。そうなってからの後悔は遅いのである。
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