2015年07月31日

[東京新聞] 礒崎首相補佐官 法的安定性損ねる暴言 (2015年07月31日)

安全保障法制関連法案をめぐる参院特別委員会の審議では、法的安定性が再び論点になった。「関係ない」との発言が首相官邸内から飛び出し、政権の本音では、との疑念が強まっているからだ。

二十七日に参院で審議入りした安保法案はきのう、安倍晋三首相も出席して三日間開かれた特別委員会での総括質疑と集中審議を終えた。来週からは週三日の定例日を設けて審議する、という。

参院特別委で野党側が厳しく追及したのは、礒崎陽輔首相補佐官が二十六日の講演で、安保法案に関連して「法的安定性は関係ない。時代が変わったのだから政府の(憲法)解釈は必要に応じて変わる」と述べたことだった。

法的安定性は憲法を頂点とする法体系や解釈、適用を頻繁に変えずに安定させ、人々の法に対する信頼を守る法治国家の大原則だ。時の権力者が勝手に憲法解釈を変えてしまえば、憲法が権力を制限する「立憲主義」は崩れる。

首相はきのうの特別委で、礒崎氏を電話で注意したことを明らかにし、「法的安定性を確保するのは当然だ」と答弁した。

歴代内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使を一転容認した昨年七月の閣議決定について、首相は「憲法解釈としての論理的整合性と法的安定性は維持されている」と強弁してきた。

しかし、多くの憲法学者や元内閣法制局長官が指摘するように、現行憲法は他国同士の戦争に参戦する集団的自衛権の行使を認めておらず、一内閣の判断で憲法解釈を変えてしまうこと自体が法的安定性を損ねている。

礒崎氏は安保政策を担当し、憲法解釈を変更した閣議決定や安保法案づくりを主導してきた。

その際、礒崎氏には安全保障上の必要性さえ掲げれば、憲法をどう解釈しても構わない、との誤った考えがあったのだろう。「法的安定性は関係ない」との発言は、つい本音が出たのではないか。

「憲法違反」の安保法案に反対する国民の声には耳を傾けようとはせず、法案成立を急ぐことは、法的安定性を損ね、憲法の平和国家理念、専守防衛政策に対する重大な挑戦である。

誤った考えでつくられた法案を成立させるわけにはいかない。

特別委は礒崎氏を三日に参考人招致することを決めたが、首相は礒崎氏を更迭し、安保法案を撤回すべきだ。安保政策の見直しが必要なら、法的安定性を重視する補佐官の下で出直すべきである。
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[産経新聞] 【主張】最低賃金 中小の後押し欠かせない (2015年07月31日)

賃金の下限額である今年度の最低賃金について、全国平均で1時間あたり18円引き上げ、798円とする目安額が答申された。

過去最大の上げ幅となったのは、経済の好循環を実現するために賃上げで個人消費を刺激し、企業活動の活発化を目指す政府の意向を反映したものだ。パートやアルバイトなど非正規社員の着実な処遇改善につなげる必要がある。

ただ、大幅な引き上げに中小・零細企業が対応できるかという懸念が残る。円安による原材料費の上昇などで経営環境が厳しい企業も多い。

賃上げを無理強いし、雇用に悪影響が出るようなら本末転倒だ。中小企業が賃金原資を確保できるように後押しする政策的な配慮が不可欠だ。

4年連続で10円超の引き上げとなった。目安額通りに最低賃金が上がると、引き上げ率は今春闘での妥結水準を上回る。最低賃金が最も高い東京は907円、神奈川県で906円などとなり、最も低い鳥取、高知、長崎など7県で693円となる。

すでに都市部の外食産業などでは人手不足が広がり、最低賃金の水準ではパートやアルバイトを確保できなくなっている。そうした職場では賃上げだけでなく、正社員への登用など処遇全体の改善に取り組むことも課題となろう。

重要なのは、景気回復が遅れている地方の中小・零細への影響も注視してゆくことだ。最低賃金引き上げは経営体力が脆弱(ぜいじゃく)な企業に対しても強制力を伴うからだ。

経済産業省や公正取引委員会は、下請けに不当な値引きを求めた企業名を公表するなど、不公正な取引の取り締まりに乗り出している。円安に伴うコスト増の適正な価格転嫁を認めるなど、収益基盤の強化を図るべきだ。

IT(情報技術)導入を促すなど、生産性を高め、収益力向上につなげる取り組みへの支援も欠かせない。

最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の受給額を下回る「逆転現象」は昨年度で解消された。これが「勤労意欲をそぐ」としてここ数年、最低賃金が大幅に上がった理由の一つでもある。

実際の引き上げ幅は今後、各都道府県の地方審議会で決まる。そこでは地域経済の実態を踏まえた判断が求められる。
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[東京新聞] 厚木騒音訴訟 米軍機こそ規制がいる (2015年07月31日)

自衛隊機の夜間飛行を差し止める判断は、二審でも維持された。厚木基地(神奈川)の騒音被害は、想像以上にひどい。爆音の主因はむしろ米軍機の方で、政府は運用規制を米国側と交渉すべきだ。

基地騒音訴訟は一九七〇年代から始まり、裁判所は住民の騒音被害を認め、国に損害賠償を命じてきた。だが「飛行差し止め」までは認めてこなかった。厚木基地の騒音訴訟で、一審の横浜地裁が初めて、午後十時から翌午前六時までの自衛隊機の飛行差し止めを命じた。二審の東京高裁もこれを支持した意義は大きい。

とくに今回、二〇一六年末までの“未来の損害”まで許容したことは画期的だ。国が支払う金は一審より約二十億円増えて、計約九十四億円になる。厚木基地を使う米海軍第五空母航空団が一七年ごろに岩国基地(山口)に移駐することが日米政府間で合意されていることを踏まえたわけだ。

住民たちの粘り強い取り組みが、こうした新しい判断の枠組みをつくったともいえ、大いに評価できる。横田基地(東京)や嘉手納基地(沖縄)など各地の騒音訴訟にも影響を与えるだろう。

だが残念なのは、この司法判断が出ても、根本的な解決にはつながらないことだ。厚木基地では海上自衛隊と米海軍の飛行機が離着陸を繰り返しているが、実は自衛隊機は一審判決前から夜間・早朝の飛行は自主規制しているのだ。騒音の主因は米軍機の方にある。米空母の艦載機は年間二百日程度、基地に離着陸している。自衛隊は輸送機や哨戒機などプロペラ機が主であり、爆音を出すのは米軍の戦闘攻撃機だ。

騒音のひどさは最高で一二〇デシベルにもなる。電車のガード下でほぼ一〇〇デシベルだから、被害の大きさは理解されよう。基地から一キロ離れた住宅街でも、七〇デシベルの騒音が五秒継続する回数が年間二万回以上もある。

睡眠は妨害されるし、会話も電話も聞こえなかったりする。あらゆる生活の妨げだ。健康被害も生むし、精神的にも苦痛を受ける。

今回の司法判断では米軍機について「使用を許可する行政処分がない」という理由で訴えを退けた。ならば、政府が米国側と協議すべきではないか。

約二百万人が影響を受ける騒音問題だ。安全保障条約や日米地位協定があることは理解するが、国民の健康と生活のために政府が米国側と話し合うべき重要課題だと考える。
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[産経新聞] 【主張】自民「慰安婦」提言 河野氏に質すのが先決だ (2015年07月31日)

慰安婦問題で自民党は「日本の名誉と信頼を回復するための提言」を安倍晋三首相に提出した。誤った認識を正していく積極的な対外発信を求めたのは当然である。

だが、それを怠り、謝罪を優先してきたのは誰なのか。政権を担ってきた責任を自覚し、国益の回復に努めるべきだ。

昨年8月、朝日新聞が「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治氏の証言を虚偽と認め記事を取り消すなどした。これを契機に、自民党が特命委員会を設けて検討し、総務会で了承した。

提言は、平成5年の河野洋平官房長官談話発表時の記者会見で、河野氏が調査結果を越え「強制連行」を認める発言をしたことを批判している。同氏の発言や朝日の吉田証言報道が「事実に反する認識を広めた大きな原因になった」とし、「重大な問題」と厳しく指摘した。

それならなぜ、自民党は党会合や国会で、直接、河野氏の見解を質(ただ)す作業を進めないのか。

河野氏は今年6月、日本記者クラブで村山富市元首相と対談し、「日韓関係は非常にスムーズに進んでいたのに、ここ数年で残念な状況になった」と、関係悪化を安倍政権に責任転嫁するような発言もしている。

国際会議で慰安婦が「性奴隷」と表現されたことに日本政府が抗議した際、河野談話が持ち出され、「立場に矛盾がある」と指摘されたこともある。

事実をないがしろにし、謝罪外交の果てに出された作文といえる河野談話の見直しは急務であることを改めて指摘したい。

提言では、慰安婦について「女性の人権と尊厳を著しく傷つけたという点に議論の余地はない」としている。安倍首相も国会などの場で、「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされてきた方のことを思い、非常に心が痛む」と繰り返し述べてきた。

客観的事実に基づく反論は、こうした多くの日本人が共有する心情を否定するものではない。

先に行われた国連の女子差別撤廃委員会の準備会合に、「慰安婦は性奴隷ではない」と訴える団体が出席して意見を述べた。「このような異なった意見があることを初めて知った」という委員もいたという。

事実の説明を積み重ね、日本の信頼を取り戻したい。
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[毎日新聞] 社説:厚木騒音判決 被害解消に国は動け (2015年07月31日)

高裁でも住民の健康被害に配慮した判決が言い渡された。

米軍と自衛隊が共同で使用する厚木基地(神奈川県)の騒音訴訟で、東京高裁が「睡眠妨害の程度は相当に深刻だ」として、午後10時から翌日午前6時までの自衛隊機の飛行差し止めを1審・横浜地裁に続き、命じた。高裁段階で飛行差し止めを命じたのは初めてだ。

厚木基地での訴訟は、これが第4次になる。1976年に提訴された第1次訴訟以後、裁判所は騒音被害を認め賠償を命じてきた。だが、被害はいまだ解消されていない。

国がその時々の賠償金支払いでお茶を濁し、本気で騒音対策に取り組んでこなかったと批判されてもやむを得ないだろう。その結果が、「差し止め」という厳しい高裁の判断につながった。

中谷元防衛相は「受け入れがたい」として上告の検討を表明したが、基地周辺の騒音低減の実現こそ国が最優先で向き合うべき課題だ。

自衛隊が国の平和と独立を守るため、平時に訓練を重ねることの大切さを判決は認める。一方で、周辺住民の睡眠を妨害するほどの騒音は健康被害に直接結びつき、軽視できないとも判決は指摘する。

自衛隊機を飛行させることの必要性は認めるとしても、限度を超えるうるささを「がまんしろ」と、長年にわたって住民に強いることは許されないという理屈だ。

そのため、緊急性が認められない自衛隊機の飛行については、時間帯を制限することができると高裁は示した。そうした考え方は理解できる。現状でも夜間の原則飛行自粛が掲げられるが、騒音状況は改善されていない。ならば、夜間や早朝の飛行の必要性を自衛隊がより厳しく吟味すべきなのは当然だろう。

ただし、高裁は1審に続き、より騒音被害が大きい米軍機の飛行差し止めは「防衛相に権限がない」と退けた。司法の限界を改めて示した。住民救済は、政府の役割である。

騒音に占める比重が大きい米空母艦載機が2017年ごろまでに厚木基地から岩国基地(山口県)に移される予定だ。高裁判決は、来年末まで将来分の被害賠償も認めた。その頃までは騒音の軽減が難しいと判断したためだ。だが、賠償すればいいというものではあるまい。

厚木基地以外も、岩国基地や横田基地(東京都)など、米軍と自衛隊が共用する全国の基地で騒音訴訟が起きている。国はさらに防音対策を尽くすべきだ。それでも不十分ならば、住民の置かれた厳しい立場を米国側に説明し、騒音を出す軍用機の離着陸を減らす。そうした交渉にも取り組んでほしい。

2015年07月31日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:安保転換を問う 存立危機事態 (2015年07月31日)

◇想定がころころ変わる

集団的自衛権を行使する「存立危機事態」とはどんな場合かを想定した、政府の国会答弁が揺れている。

南シナ海で集団的自衛権を使って停戦前の機雷掃海をする可能性について、安倍晋三首相は衆院審議では「南シナ海は迂回(うかい)路がある。なかなか想定しえない」と否定的だった。

ところが、参院の特別委員会で、首相は「南シナ海は迂回ルートなどもあるので想定しにくい」と断ったうえで、「基本は(武力行使の)3要件に当てはまれば対応していく」と軌道修正した。

短期間の変化は、集団的自衛権の3要件があいまいで、政府の判断次第で解釈が変わり得ることを示す。何のために行使が必要かという、立法事実の希薄さも反映している。

政府は、シーレーン上の海峡が機雷封鎖されて原油の輸入が滞り、日本の存立が脅かされる「存立危機事態」にあたると判断されれば、集団的自衛権を行使して機雷掃海することが可能になるという。

だが、仮に南シナ海のマラッカ海峡に機雷が敷設されたとしても、首相自身が認めているように、他の海峡を通るなどの迂回ルートがあるため、ただちに原油の輸入が止まるとは考えられない。

それに広い海域に、どの国が何を目的に機雷をまくのか。南シナ海は日本だけでなく、中国など他の国々にとっても重要なシーレーンだ。

それでも、首相が南シナ海の機雷掃海に前向きな発言をしたのは、中東のホルムズ海峡での機雷掃海という事例が根拠を失いつつあり、説明がつかなくなってきたためだろう。

遠く離れたホルムズ海峡での機雷封鎖を「存立危機事態」と認定するのは無理がある。また、イランと欧米などは、核開発を制限する見返りに制裁を解除することで合意した。制裁解除で原油輸出を増やそうとしているイランが海峡を封鎖するというシナリオは現実離れしている。

首相は当初、ホルムズ海峡での機雷掃海を集団的自衛権の代表例としていたが、その後「典型例でなく、海外派兵の例外」と修正した。

首相が南シナ海の機雷掃海を排除しなかったのは、中国の台頭など安保環境の変化を訴えることで、憲法違反との批判に対抗する狙いもありそうだ。南シナ海でも集団的自衛権を行使する選択肢を残すことで、中国への抑止力とする思惑もあるだろう。

安全保障関連法案では、「存立危機事態」の認定にあたっては政府が総合的に判断する仕組みだ。だが、事態の想定がこんなにころころと変わるようでは、政府を信頼して判断を任せることは到底できない。

2015年07月31日 02時32分
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[読売新聞] 集団的自衛権 法的安定性は確保されている (2015年07月31日)

安全保障関連法案は、法的安定性や、過去の政府見解との論理的整合性を十分に確保している。政府は、この点を繰り返し丁寧に説明し、国民の理解を広げねばならない。

参院特別委員会の法案審議が本格化してきた。民主党は、礒崎陽輔首相補佐官の「法的安定性は関係ない」との発言を問題視し、礒崎氏の更迭などを求めている。

礒崎氏の発言は、集団的自衛権の行使の限定容認について説明する中で出たものだ。政府見解と相いれず、失言なのは間違いない。政府・与党幹部は、もっと緊張感を持つべきである。

安倍首相は、礒崎氏の発言は不適切だとの見解を示しつつ、「安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要があるとの認識を示した」と一定の理解も示した。時代の要請に応じて、可能な範囲内で憲法解釈を見直すことは大切だ。

北朝鮮は、日本を射程に収める数百発の弾道ミサイルを配備し、核開発を進める。中国も、東シナ海で領海侵入やガス田施設建設、南シナ海でも大規模埋め立てなどの現状変更を試みている。

特に、大量破壊兵器とミサイル技術の進展と拡散は、日本にとって深刻な脅威である。

この現状に対応するには、集団的自衛権行使の限定容認や、自衛隊と米軍の防衛協力の拡充を通じた抑止力の強化が欠かせない。

弾道ミサイル発射を警戒中の米軍艦船が攻撃されるケースは、まさに日本の存立が脅かされる事態であり、集団的自衛権の行使を可能にしておく必要がある。

一方で、安保法案は、存立危機事態や必要最小限の武力行使といった厳格な要件を定めることで、過去の最高裁判決や政府見解の基本的な論理を踏襲している。

本来、抑止力向上の観点では、昨年5月に有識者会議が提言した全面的な行使の容認が望ましかった。だが、これを退け、限定容認にとどめたのは、法的安定性を重視したためにほかならない。

そもそも、憲法9条と現実には様々な乖離(かいり)がある。多くの憲法学者が自衛隊の存在や国際平和協力活動を「違憲」と決めつける。長年の国会での安全保障論議や、自衛隊の国内外での実績と評価を無視した硬直的な主張である。

国会では、もっと現実を直視した議論が求められよう。

参院特別委には、衆院では審議に加われなかった少数6会派も参加している。次世代の党と新党改革は安保法案に前向きだ。より多角的な質疑を展開してほしい。
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[読売新聞] 厚木騒音訴訟 海自機飛行差し止めは必要か (2015年07月31日)

判決により、自衛隊の活動に悪影響が及ばないか、懸念される。

海上自衛隊と米海軍が共同使用する厚木基地の第4次騒音訴訟で、東京高裁は、1審の横浜地裁と同様、自衛隊機の夜間早朝の飛行差し止めを命じる判決を言い渡した。

「必要性・緊急性がある場合など、客観的にやむを得ない場合」を除き、午後10時から午前6時までの飛行を禁じた。米軍機の飛行差し止めについては、「国に権限がない」と却下した。

高裁は、自衛隊機の飛行に関し、「高度な政治的判断や防衛戦略上の判断を要する」として、防衛相の幅広い裁量権を認めた。

飛行目的に比べて離着陸による騒音被害が過大な場合は、防衛相の裁量権を逸脱し、差し止めの対象となるという見解も示した。こうした考え方は理解できる。

だが、判決が、騒音の主因は米軍機であると認定しながら、自衛隊機の飛行を差し止めたことには、矛盾を感じる。

海自は、既に夜間早朝の訓練飛行を自主規制しており、昨年度の離着陸は53回にとどまる。騒音の軽減効果が限定的な飛行差し止めは、果たして必要なのか。

飛行差し止めは、2016年12月末までに限定した。米軍の空母艦載機が17年頃までに岩国基地に移駐する予定で、その後は「騒音の発生状況が大きく変わる可能性がある」という理由からだ。

無期限の差し止めを命じた1審判決に比べ、自衛隊に対する一定の配慮はうかがえる。

海自は、哨戒機P3Cや救難飛行艇US2など約40機を厚木基地に配備し、警戒監視や、海難事故の救助、離島からの急患搬送などの任務に対応している。

判決が、現行の夜間早朝の飛行について、「すべてに緊急性が認められるわけではない」と認定したことには、疑問を拭えない。

緊急性はなくても、夜間の救助活動などを想定した訓練は不可欠だろう。防衛省幹部は「訓練と実任務は不可分だ」と語る。

中国が一方的な海洋進出を続ける中、自衛隊機の活動の重要性は高まっている。中谷防衛相が「受け入れがたい」として、上告の意向を示したのは、うなずける。

判決は、基地の騒音訴訟で初めて、将来分の損害賠償も認めた。賠償額は計94億円に上る。被害の深刻さを重視した結果だろう。

無論、厚木基地の騒音問題は放置できない。政府は、米軍機の岩国移駐を着実に実行するなど、一層の努力をするべきだ。
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[朝日新聞] 参院審議―歯止めなき「違憲」法案 (2015年07月31日)

政府の説明を聞けば聞くほど納得できなくなる。

参院に移った安全保障関連法案の審議で、改めてあらわになったのは、歯止めを欠いた法案の危うさである。

象徴的なのは、南シナ海での戦時の機雷掃海だ。

安倍首相は、集団的自衛権を使って南シナ海で機雷除去を行う可能性について「(武力行使の)新3要件に当てはまれば、対応していく」と述べた。

同じ首相が、先月の衆院審議ではこう言っていた。「南シナ海には迂回路(うかいろ)がある。なかなか想定しえない」

首相がこだわっていた中東のホルムズ海峡は、遠い。日本の存立が脅かされる「存立危機事態」が起きると言っても幅広い国民の納得を得るのは難しい。そこで今度は、中国の進出が目立つ南シナ海を強調し始めたように見える。

「想定しえない」から「対応していく」へ。わずか2カ月で変化した首相答弁は、拡大解釈の余地を大きく残した法案の無限定な性格を映し出す。

米軍など他国軍への兵站(へいたん、後方支援)についても、質問者が突けば突くほど、法案の対象が広がっていく。

共産党の小池晃氏が「米軍のミサイル、戦車は運べるか」と問うと、中谷防衛相は「除外した規定はない」。ロケット弾の提供についても「排除する規定はない」。爆撃に向かう米軍の戦闘機に空中給油することも否定しなかった。

これだけ対象が広がっても、憲法が禁じる「武力行使との一体化」にはあたらないというのだから、驚くばかりだ。

小池氏はさらにこう問うた。「米軍ヘリが敵の潜水艦を攻撃し、海上自衛隊のヘリ空母(護衛艦)に着艦して燃料補給を行う。こういう活動が可能になるということか」

中谷防衛相はこれも否定せず「海自の護衛艦は魚雷の攻撃を受けない安全な場所で活動を行う」と答弁した。

兵站を担う護衛艦が常に安全な場所にいられるはずがない。戦場の現実を無視した机上の空論と言うほかない。

首相はきのうの集中審議で、集団的自衛権の行使を容認しても「(他国の)戦争に巻き込まれることは絶対にないと断言したい」と述べた。

何を根拠に「絶対に」と言い切れるのか。政権が正しいと言えば正しい、安全だと言えば安全だ、合憲だと言えば合憲だ、そういうことなのか。

これで国民の納得がえられると思っているなら、甘すぎる。
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[朝日新聞] 新国立競技場―「政治」の責任はどこへ (2015年07月31日)

文字通りの「トカゲのしっぽ切り」ではないか。

いや、「後進に道を譲る勇退で、定例の人事」と説明しているのだから、トカゲのしっぽ切りにもなっていないか。

白紙に戻った新国立競技場の建設問題で、文部科学省の担当局長が定年まで1年半余を残して辞職する。責任を問う声が出ていただけに、詰め腹を切らされたとみるのが自然だろう。

しかし、担当局長が辞めれば済む話ではない。

安倍首相は、自ら本部長を務める東京五輪・パラリンピック推進本部の会合で、「内閣全体として責任を持って競技場の建設を進めていく」と強調した。文科省任せの態度をやっと改めたが、総工費や工期が迷走した失敗を繰り返さないためには、これまでの政策決定と事業実施過程の検証が欠かせない。

とりわけ官僚を指揮し、最終責任を負うはずの「政治」が厳しく問われるのは当然だろう。

まず、下村博文文科相だ。

その責任を問う声は、野党に加え与党からも上がっている。ところが下村氏は、五輪に向けて「責任を果たすことが最も重要」と語り、官邸も擁護する。

9月の自民党総裁選後に内閣改造が見込まれるから、下村氏をはずすとしても他の人事と一緒にした方が無難だ――。政権がそんな考えだとしたら、国民の反発はさらに増幅するだけだろう。

次に、森喜朗・元首相。

東京五輪の組織委会長であり、その前年にラグビーW杯を開く日本ラグビー協会の重鎮でもある。その森氏が、両大会の主会場に予定されてきた新競技場の問題に影響力を持つことは関係者の誰もが認める。

しかし本人は「私がやっているように思われ、迷惑だ」「もともとあのスタジアム(のデザイン)は嫌だった」と、まるでひとごとのようだ。

そして、安倍首相である。

今月に計画を撤回したのはいいが、その1週間前に国会で、計画見直しは「間に合わない」と答弁していた事実は消えない。「1カ月ほど前から検討してきた」とも釈明したが、誰に何を検討させ、どんな回答を得て決めたのか不明なままだ。

過ちの責任と原因追及をうやむやにし、情報を明かさない姿勢が続く限り、再び失敗する恐れはぬぐえない。

「政と官」の役割分担と責任を踏まえつつ、とるべき責任をとる。これが本来の政治のあるべき姿だ。文科省が設ける第三者委員会の検証でこと足れり、とはいかない。
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2015年07月30日

[産経新聞] 【主張】TPP閣僚会合 世界に範示す合意果たせ (2015年07月30日)

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合が米ハワイで始まった。大筋合意への最後の機会と位置づけられる重大な局面である。

知的財産などの残された論点は、各国の国内事情で譲歩が難しいものばかりだ。日本も重要農産品関税の扱いで厳しい判断を迫られている。

だが、この機を逃して合意を先送りするわけにはいかない。各国は、高水準の自由化で成長を促すTPP本来の意義を再確認し、質の高い協定となるよう政治決断しなければなるまい。

特にTPPを成長戦略の柱とする日本は、自らの国益追求だけでなく、米国と途上国などの利害を調整し、合意を確実にする積極的な役割を果たしてほしい。

日本は米国との間で、コメの輸入枠の扱いなどについて詰めの協議を残している。国内農家が強く警戒する「聖域」だが、まず、この決着を急ぎたい。

交渉参加国の中で経済力が突出する日米の対立は、TPP交渉を停滞させる原因だった。その解消こそが合意の大前提である。

交渉全体の焦点はルール分野での対立だ。新薬データの保護期間は、新薬メーカーの多い米国が期間を長くするよう求めるのに対して、後発医薬品を重視するオーストラリアなどが反発している。

国有企業の優遇策を制限する交渉ではマレーシアやベトナムが多くの例外扱いを求めている。

いずれも、各国の政治的な圧力が背景にある。とりわけ、10月に総選挙を控えるカナダは他国との協議の遅れが目立ち、合意の障害にならないか気がかりだ。

もちろん、各国が最終局面で少しでも有利な内容を求めるのはわかる。だが、そればかりでは到底歩み寄りは期待できまい。

TPPは本来、関税撤廃を原則とし、21世紀にふさわしい貿易・投資の枠組みを構築する野心的な取り組みだ。協定の実現は、企業のビジネス機会を広げるだけでなく、消費者全体の利益をもたらすはずだ。

巨大な経済連携の構築は世界の潮流だ。先進国と途上国、さらに社会主義国まで参加するTPPは国際化が進む世界経済そのものであり、通商協定の標準となり得る枠組みだ。経済覇権を追求する中国を牽制(けんせい)する意味合いもある。

今こそ大局的な見地に立って日米が交渉をリードしてほしい。
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[東京新聞] 最低賃金上げ 格差はなお縮まらない (2015年07月30日)

最低賃金の目安を本年度は全国平均で時給十八円上げることが決まった。果たしてこの額が、安倍晋三首相が言う「大幅な引き上げ」なのだろうか。格差は縮まらず、消費も伸びようがない。

最低賃金は、国が定める一時間あたりの賃金の最低額だ。原則、パートタイムなど非正規を含めたすべての労働者に適用される。

毎年一回、労使の代表が入る厚生労働省の審議会で議論し、経済規模などに応じて都道府県を四つのランクに分け、目安を示す。これを基に地方の審議会が都道府県ごとの最低賃金を決める。

最低賃金すれすれで働く人はパートやアルバイトなど非正規がほとんどで、改定は働く貧困層の生活に大きな影響を与える。

全国平均は七百九十八円となった。上げ幅は2・3%。引き上げ額は現行方式になった二〇〇二年度以降で最大となった。

だが、この程度では不十分だ。消費税が引き上げられ、一四年の物価上昇率は前年比3・3%に上った。労働組合の中央組織である連合の集計によると、今年の春闘では昨年を上回る2・2%の賃上げを達成。労働組合側は二つを足した5・5%は、上げ幅の最低ラインと主張していた。春闘の果実は非正規労働者にはもたらされないためだ。しかし、それにも遠く及ばなかった。

働く側にとって最低賃金の水準はまだ、低い。最低の県で一日八時間、フルタイムで働いた場合、月収は十二万円程度にしかならない。これでは生活を維持するのに十分な額とは言えない。パートであれば、さらに下がるのだ。

非正規の割合は全労働者の四割近くを占める。年収二百万円以下の労働者は一千万人ともいわれる。アベノミクスの恩恵は一部の富裕層に限定され、格差は広がるばかりだ。物価の影響を除く実質賃金は五月に前年同月比横ばいになったが、それまでの二十四カ月間は前年を下回っていた。

地域間格差も依然として大きい。地方の人口流出を食い止めるためには、賃上げが欠かせない。

民主党政権下ではあるが、政府は五年前に「早期に全国最低八百円とし、(二〇年までに)全国平均千円を目指す」ことを閣議決定した。最も高い東京都で改定されても、九百七円と目標には遠い。連合は労働者が最低限の生活を営むためには、東京都で時給千九十円が必要だとする。

働く低所得層の生活底上げを急ぐべきだ。
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[東京新聞] TPP大詰め 懸念に応える交渉を (2015年07月30日)

環太平洋連携協定(TPP)はハワイで始まった閣僚会合でヤマ場を迎えている。農業や食の安全などで国民が抱く不安を解消できないなら、合意には反対せざるを得ない。

TPP交渉はオバマ大統領に権限を委ねる法案が六月下旬、米国議会で可決されたことで土俵が整い、妥結に向けた動きが加速した。ただ、日米間の焦点であるコメの最低輸入量のほかにも、知的財産、国有企業改革など先進国と途上国の利害がぶつかるテーマが残されており、妥結か漂流かは予断を許さない。

日米など環太平洋の十二カ国が参加するTPP交渉は、関税だけではなく、食品や医療から公共事業まで幅広い分野が対象となったため、暮らしに直接影響が出かねないと不安や反発が広がった。

まず農業分野がある。米国は当初、関税の完全撤廃を強く求め、重要五項目(コメ、麦、豚肉・牛肉、乳製品、砂糖)を守りたい農業団体の猛反発を招いた。

農業は酪農や畜産業も含め、就業者が減っているが、北海道から沖縄までさまざまな条件下で営農者の生活基盤であることに変わりはない。競争力のある大規模農業は米国、オーストラリア、ニュージーランドに限られ、カナダは日本と同じく乳製品の市場開放を拒んでいる。過去の自由化交渉でも例外扱いが認められてきた農業分野で完全撤廃が反発を招いたのは当然といえる。

食の安全に対する消費者の関心は高い。食品添加物の使用や残留農薬は国によって基準が異なり、遺伝子組み換え食品は日本では表示義務があるが米国にはない。基準の統一で規制が緩和されるのではないかとの不安が広がった。

医療保険分野では、国民皆保険の日本で米国の狙い通り民間保険が拡大すれば、所得による医療格差が広がりかねない。企業や投資家が自由化ルール違反を理由に相手国政府を訴える「ISDS条項」は、訴訟大国である米国を利する可能性が指摘されてきた。

TPPは秘密交渉で、こうした分野でどんな交渉が行われているのか情報が開示されないため、国民の不安が増幅した面は否めない。例えば、ほぼ合意に達しているとされる「食の安全」では日本の基準に心配された変更はなく、農業では関税の完全撤廃は避けられるとの見通しが伝わるが、決着まで安心はできない。政府交渉団は国民の理解が得られる成果を最後まで追求すべきだ。
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[産経新聞] 【主張】熱中症対策 原発停止の夏に終止符を (2015年07月30日)

九州北部と東北北部の梅雨明けが29日に発表された。台風の上陸、接近などの影響で、7月下旬の日本列島は猛暑と豪雨が同居する不安定な天候が続いたが、これから8月半ばにかけては太平洋高気圧が張り出し、暑さが最盛期を迎える。

改めて、熱中症予防に万全を期したい。

熱中症は、高温多湿の環境で体の熱を十分に放出できず、体温調節機能が低下して起こる。めまいや吐き気、脱力感のような「軽い症状で済むだろう」といった軽視は禁物だ。

総務省消防庁によると、今年4月27日から今月26日までに熱中症で救急搬送された人は2万3千人を超え、28人が死亡している。

特に、体温調節がうまくできない高齢者や乳幼児のいる家庭では、熱中症が命にかかわる場合があることを肝に銘じたい。

具体的には、炎天下の外出や運動を避けるとともに、水分と塩分をこまめに補給し、十分な睡眠と休養をとって体調管理を心がけることが予防の基本だ。

室内や夜間も油断してはならない。エアコンなどを使って室温を下げることも大切だ。気象庁や厚生労働省も冷房の「適切な利用」を呼びかけている。

この場合の「適切な」は、「無駄をなくして控えめに」という意味ではない。節電を意識しすぎて健康を害することのないよう「積極的に冷房を使い、熱中症を未然に防ごう」ということだ。

福島第1原発の事故以降、5度目の夏を迎えた今年も、原発は稼働していない。電力供給への不安から、「節電を迫られる雰囲気」は国民に広く浸透している。もともと節電意識が高いお年寄りの中には、冷房の使用に後ろめたさを感じる人もいるだろう。

原発停止によって生じた過剰な節電意識は、高齢者などの命を脅かす要因になりかねない。また、福島原発事故以降は日本の二酸化炭素排出量が増えている。原発停止は経済的な損失だけでなく、国民の生命や地球環境に対するリスクも増大させている。

この現実を直視すれば「原発がなくても、夏を乗り切れる」などとは、到底、言えまい。

節電よりも国民の健康が大事なのは、当然のことだ。

そのためには「原発が稼働していない夏」を、今年限りにしなければならない。
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[毎日新聞] 社説:浄化水海洋放出 漁協の決断無にするな (2015年07月30日)

東京電力福島第1原発の汚染水対策で、地元漁協が苦渋の決断を下した。原子炉建屋周囲の井戸(サブドレン)から放射性物質を含む地下水をくみ上げ、浄化後に海へ流す計画を容認することにしたのだ。

漁協には計画の実施で放射性物質の海洋への流出を抑制し、漁業の復興につなげたいという期待がある。しかし、浄化した汚染水の海洋放出は初めてで、風評被害が拡大しかねないという懸念も根強く残る。

汚染水対策を進めるうえで放出はやむを得ない措置だが、政府と東電は漁業者の複雑な思いを真摯(しんし)に受け止め、計画の実施に関する情報公開や安全管理を徹底してもらいたい。漁協の決断を無にするようなことがあってはならない。

福島第1原発では、敷地の山側から地下水が建屋に流れ込み、溶け落ちた核燃料に触れることで、高濃度汚染水が発生し続けている。サブドレン計画では原子炉建屋周囲の計41本の井戸から地下水をくみ上げる。溶融燃料に触れてはいないが、事故の影響で放射性物質を含んでおり、浄化処理後に海洋に放出する。地下水の流入量は現在の1日300トンから150トンに半減できるという。

東電は敷地の海側に遮水壁を建設したが、地下水が上昇しないよう一部は開いたままだ。隙間(すきま)からは放射性物質が漏れている。計画が進めば、隙間を閉じる作業ができ、汚染地下水の海への流出を食い止める効果も見込める。

ただし、計画の実施で建屋の外の地下水位が急に下がると、建屋の汚染水が外に出る恐れがある。地下水の適切な水位管理が不可欠で、原子力規制委員会は、東電の作業を厳しくチェックする必要がある。

汚染水対策は一歩前進することになるが、残された課題はまだ多い。

建屋周囲の地盤を凍らせて地下水の流入を防ぐ凍土遮水壁は、4月から試験凍結が始まったものの、まだ効果は見通せない。政府と東電は多核種除去設備(ALPS)で高濃度汚染水の浄化処理を進めているが、放射性物質のトリチウム(三重水素)は除去できず、敷地内のタンクに保管している。規制委は海洋への放出を求めているものの、地元の理解を得られる段階にはない。

今年2月、2号機の建屋屋上にたまっていた汚染水の外洋流出を東電が公表していなかったことが発覚し、サブドレン計画を巡る交渉は棚上げされていた。東電はその後、すべての放射線測定データを公表するなどの再発防止策を示した。失敗を繰り返せば風評被害を防ぐことはできず、漁業者の不信も募る。結果的に廃炉作業の遅れにもつながることを東電は肝に銘じてもらいたい。

2015年07月30日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:安保転換を問う:民主党 安保観をより体系的に (2015年07月30日)

安全保障関連法案の参院での審議が始まり、民主党など野党に対案の提出を促す発言が政府・自民党から相次いでいる。安倍晋三首相は「一致点を探るのは与野党の責任」として対案提出を求めたが、民主党は政府案の追及を優先する構えだ。

政府案を説明する自らの責任を脇に置いて、野党にことさら対案提出を迫るのは、筋違いだ。民主党も内部対立を封印するため、政策の取りまとめを手控えるようでは困る。野党第1党にふさわしい安全保障観をより体系的に整理して、国会論戦にのぞんでほしい。

民主党は今春、集団的自衛権について「安倍政権が進める行使は容認しない」との見解をまとめ、武力行使を伴う中東・ホルムズ海峡での機雷掃海など、政府案が想定する対応には現実的な必要性がないと結論づけた。だが、行使について、将来的な可能性まで排除したわけではなく、党内の議論は集約できていない。

その後、沖縄県・尖閣諸島に武装した漁民が上陸した場合などに対処する領域警備法案を維新の党とともに衆院に提出した。米軍への後方支援に関する政府の重要影響事態法案では、地理的制約を維持した周辺事態法改正で対処を検討している。

参院審議にあたり、党内には対案策定を急ぐべきだとの意見もあった。だが、北沢俊美元防衛相が「国民が求めるのは対案ではなく廃案だ」と語るように今は沈静化している。枝野幸男幹事長は「違憲法案への対案などあり得ない」と強調する。

そもそも、対案を求める与党側が、本気で野党と一致点を探ろうとしているかは疑問だ。維新の党は個別的自衛権の観点から対処しようとする独自案を今回、衆院に提出した。ところが与党は2度協議をしただけで、政府案の衆院での強行採決に踏み切ってしまった。

一方で、民主党も党内論議を放置すべきではない。「遠くは抑制的、近くは現実的(に対応)」との説明は具体的に何を意味するのか。同党の見解は「近隣有事における日米同盟協力の深化などについて必要な措置を取るべき」だとの姿勢も示している。与党に言われて対案を提出する義務は無いとはいえ、自主的に政策を体系的に整理する必要はある。それは与党を利するどころか、逆に議論を深めることにつながろう。

最近の世論調査での内閣支持率急落にもかかわらず、民主党への支持が回復しないのは政権担当能力への国民の根強い不安の反映だろう。国会での政府案の追及と同様に、安倍政権との対立軸を明確にしていく責任も忘れてはならない。

2015年07月30日 02時35分
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[読売新聞] 自民慰安婦提言 誤解拭う対外発信を強めたい (2015年07月30日)

日本の名誉が不当に傷つけられている事態は、看過できない。事実誤認を的確に正すため、対外発信力を戦略的に強化することが急務である。

自民党が、慰安婦問題をめぐる海外の誤解を解消し、日本の名誉と信頼を回復するための提言を安倍首相に提出した。

いわれなき批判に対し、政府が様々なチャンネルを通じて、関係者に正確な情報を提供し、積極的に反論するよう求めている。

首相は「提言をしっかり受け止める」と述べた。提言内容を今後の政府の施策に迅速かつ適切に反映させねばならない。

ある米国の高校教科書は慰安婦に関し、「日本軍が最大20万人にも及ぶ14歳から20歳の女性を徴用した」と記している。日本政府が抗議したが、誇大な数字や不正確な記述は是正されていない。

米国議会などの慰安婦批判決議には、「性奴隷」という歪曲(わいきょく)した表現が頻繁に使われている。

このままでは、誤った認識が拡散し、既成事実化しかねない。

提言は、昨年8月、朝日新聞が吉田清治氏の慰安婦強制連行の証言を虚偽と認めたことが一つの契機となった。32年間も「十分な検証もせず記事を捏造(ねつぞう)し続け」た朝日新聞の責任は、取り返しがつかないほど大きい、としている。

1993年の河野洋平官房長官の談話については、河野氏が談話発表後の記者会見で、強制連行の「事実があった」と述べたことを「重大な問題」と指摘した。

談話自体は強制連行は確認できないとの認識で作成されたが、河野氏の発言により、強制連行があったかのような誤った認識が世界に広がった、と認定している。

後に自民党総裁、衆院議長を務めた河野氏に対する自民党の見解としては、異例と言える。

政府は、強い危機意識を持って、慰安婦問題に関する海外広報戦略に取り組む必要がある。

留意すべきは、反論の方法を誤ると、かえって「女性の人権軽視」といった誤解を与え、国際社会の反発を招きかねないことだ。

提言は「女性を民間業者が募集し働かせ、女性の人権と尊厳を著しく傷つけた点に議論の余地はない」と明記した。この前提を踏まえた反論こそが説得力を持つ。

政府は、請求権問題は法的に解決済みとの立場だ。それでもアジア女性基金を設立し、韓国などの元慰安婦285人に、首相のお詫(わ)びの手紙と償い金を渡した。

こうした事実も伝え、効果的な内外への発信に努めるべきだ。
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[読売新聞] TPP閣僚会合 合意へ交渉カードを出し切れ (2015年07月30日)

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の大筋合意を目指す、大詰めの閣僚会合が始まった。

TPPは、日米など12か国が高いレベルで貿易や投資を自由化し、アジア太平洋地域の経済成長を加速させる構想である。世界経済の4割近くを占める自由貿易圏を構築する意義は、極めて大きい。

5年にわたる曲折を経て、ようやく醸成されたTPP合意への機運を生かさねばならない。参加国は、温存してきた交渉カードを、今こそ切るべきだ。

これまでの交渉で、31分野にわたる協定のうち約8割で決着の道筋がついたとされるが、妥協の難しい案件ほど積み残しとなっている。楽観は禁物だろう。

交渉全体の妥結には、経済規模の大きい日米が、2国間協議で合意することが不可欠だ。

今回を逃せば、来年秋に大統領選を控えた米国で国内産業の保護を求める声が強まり、決着のハードルはさらに高くなろう。日米が決裂し、TPP交渉全体を漂流させる事態は避けねばならない。

米国産コメの無関税輸入枠の拡大規模や、日本製自動車部品の関税を引き下げる時期など、主要な対立点で日米の距離は縮まってきたという。

折り合うために一定の譲歩をしつつ、いかに国益を守るか。甘利TPP相は戦略的かつ、したたかに交渉に臨んでもらいたい。

全体交渉では、米国など先進国と新興国の溝が埋まるかどうか、なお予断を許さない。

国有企業への優遇撤廃に関しては、各国に例外措置をどの程度認めるかを巡って協議が続く。

投資分野でも、進出国の協定違反で損失を受けた企業が、相手国の政府に損害賠償を求めることができる「ISDS条項」に、豪州や新興国が難色を示している。

知的財産分野では、新薬開発のデータ保護期間の扱いが焦点だ。大手製薬会社の多い米国が「12年」を主張し、安い後発医薬品を早く使いたい新興国は「5年以下」を求めて対立するが、ここへきて妥協を探る動きも出てきた。

両者の間を取って「8年」案を提示している日本が積極的に調整役を務め、打開を目指したい。

気がかりなのは、カナダの2国間協議の遅れだ。今秋に総選挙を控え、乳製品などの市場開放に応じにくい事情がある。

日米には、カナダ抜きで大筋合意を図るべきだとの声もあるが、TPP参加国の結束という点で望ましい対応とは言えまい。
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[朝日新聞] 原発再稼働を考える―稼働ゼロの実績を土台に (2015年07月30日)

東日本大震災後、すべての原発が止まって、まもなく2年がたつ。冷暖房に電気を多く使う夏も冬も、大規模な停電を引き起こすことなく乗り切った。

4年前の福島第一原発事故は国家存亡の危機を招き、今も収束していない。原発の怖さを知ったからこそ、不便はあっても原発は止まったままにしたい。各種の世論調査で、半数以上が再稼働に反対しているのは、そんな思いの表れだろう。

だが、安倍政権は原発に回帰しようとしている。8月には九州電力川内原発(鹿児島県)を再稼働させて、いずれは日本の電源の2割以上を原発でまかなうことを目指している。

なし崩しの原発回帰に、反対する。国民生活に負担がかかりすぎないよう配慮しつつ、再稼働しない努力を最大限、するべきだ。目指すべきエネルギー社会は、再生可能エネルギーが主軸であり、原発が基本的な電源となる社会ではない。

■避けられた電力不足

朝日新聞は11年7月に社説で「原発ゼロ社会」を提言した。

◆古い原発や危険度の高い原発から閉め、20?30年後をめどにすべてを廃炉にする。稼働させる原発は安全第一で選び、需給からみて必要なものに限る

◆節電・省エネ対策を進めつつ、再エネの開発・普及に全力をあげる。当面は火力発電を強化しても、長期的には脱原発と温暖化防止を両立させる

◆多様な事業者の新規参入を促す電力改革を進め、消費者側の知恵や選択が生きる分権型のエネルギー社会に転換する

基本的な考え方は、今も変わらない。しかし、この4年間で状況は変わった。

最も劇的だったのは、原発による発電がゼロになったことだ。4年前は、全国で原発が動いていた。その後、定期点検のため次々に休止し、一時的に関西電力大飯原発(福井県)が動いたものの、13年9月以降、一つの原発も稼働していない。

この間、心配された電力不足は起きなかった。緊急電源をかき集めてしのぐ局面もあったが、節電の定着をはじめ、火力の能力を高めたり電力会社の垣根を越えて電力を融通しあったりすることで、まかなえた。

ただし、原発稼働をゼロのまま定着させる環境が盤石になったとは、まだ言えない。

大規模発電所から遠方の大消費地に電気を送る集中立地型の供給態勢は、原発事故後もそのまま残る。システムの脆弱(ぜいじゃく)さは克服されていない。電力使用量のピーク時に大きな火力発電所が故障すれば、不測の事態が起きる可能性も消えてはいない。

■システムはなお脆弱

電力の9割を火力に頼っている現状が持続可能とも言えないだろう。エネルギー源を輸入に頼る以上、為替や価格の変動リスクに常にさらされる。

電気料金にしても、国民や日本経済が値上げをどの程度まで許容できるのか。詳細な調査もないままに、値上げが生活や経済活動に深刻な影響を与えることは避けなければならない。

国民生活に深刻な影響を与えるリスクはゼロとなっていない。そう考えれば、最後の手段としての再稼働という選択肢を完全に否定するのは難しい。

それでも、個々の原発に対する判断は、きわめて慎重でなければならない。「この原発を動かすことで、どんな不利益を回避できるのか」「電力を広域的に融通して電力需要に応えてもなお、再稼働は必要なのか」といった観点から納得のいく説明ができなければならない。

原発の安全性が立地条件から見ても十分に確保されていることや、周辺の住民が避難できる手段が整っていることは、当然の前提になる。稼働ゼロの実績は、それだけ再稼働へのハードルを高くしている。

こうした状況のもとで、できるだけ早く再エネを育て、分散型の電力システムへと切り替えていく。そのためには、新たな方向へと誘導する政策努力が欠かせない。

政府は改革の道筋を立て、送電網の充実、原発のゴミ処分などに資源を集中させる。廃炉を進める態勢づくりや、収益源だった原発を失う立地自治体への支援、原発関連の事業者への経過措置も必要になる。

■原点は福島第一原発

ところが、安倍政権は逆を行こうとしている。「原発依存度を可能な限り低減する」としながら、原発を維持する方向へ転じて「原子力規制委員会がOKした原発はすべて動かす」と判断を丸投げした。規制委は、発電所に限って物理的な安全性を見るにすぎず、政策全体に責任を負うものではない。

立地自治体には「国が責任を持つ」といいながら、具体的な中身はない。川内原発の場合でも住民の安全確保や、火山噴火の問題は積み残したままだ。

原発を考える原点は、福島第一原発の事故にある。今、原発は動いていない。この実績を生かすことを考えるべきである。
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2015年07月29日

[東京新聞] 岩手いじめ自殺 子の痛みにさとくあれ (2015年07月29日)

学校は子どもの痛みに鈍感になっていないか。岩手県矢巾(やはば)町の中学二年村松亮君(13)の自殺はいじめが一因とした学校の調査結果はそんな不安を募らせる。いじめ克服を掲げても機能しないでは。

村松君が列車に飛び込み、自ら命を絶ってから二十日余り。自殺といじめの関わりを調べた学校の報告書では、現場の危機意識の欠如があらわになっている。

「づっと暴力、づっとずっとずっと悪口」「ボクはついにげんかいになりました」「もう市(死)ぬ場所はきまってるんですけどね」

担任の先生とやりとりしていた生活記録ノートには、追い詰められていく様子や自殺をほのめかす文言が多く残されていた。事実上の遺書となってしまい残念だ。

調査では、担任は「死」の文字を四月に初めて目にしてから常に気遣っていたという。しかし、問題を一人で抱え込み、校内で情報を共有して対処することを怠った。家庭との連携も欠いていた。

一年から二年にかけて、バスケットボール部で強いパスを出されたり、机に頭を押さえつけられたりした六件のいじめがあった。驚かされるのは、先生たちがいずれも、からかいやちょっかい、けんかと捉えていたことだ。

表面上はそう見えても、いじめを否定する根拠にはならない。子どもが心身の苦痛を感じれば、全ていじめ行為である。先生たちの認識がはなから間違っていたとすれば、致命的と言うほかない。

大津市の中学二年男子の自殺をきっかけに、いじめ防止対策推進法が定められたのは二年前だ。

学校は基本方針を立て、福祉や心理の専門家を加えた対策組織を設けねばならない。早期発見のための調査を定期的にしたり、自治体にいじめ情報を知らせたりする義務が課せられている。

矢巾町の中学校も態勢を整えていたのに機能不全に陥っていた。なぜ担任任せになったのか。なぜ組織的に動けなかったのか。学校の調査は踏み込み不足で、問題の核心が見えない。

先生たちが忙しすぎ、子どもとの関係がなおざりになっていないか。評価を気にし、いじめから目を背ける風土はないか。町教育委員会が置く第三者委員会は現場の意識や体質にまで立ち入って調べ、教訓をしっかりと引き出してほしい。

いじめはこの学校だけの問題ではない。どこでも起こる。子どものSOSに即応できるか。全ての学校で再点検せねばならない。
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