2015年06月30日

[産経新聞] 【主張】ギリシャ危機 国民投票への逃げ許すな (2015年06月30日)

国の命運にかかわる重大な判断を、唐突に国民に丸投げしたのには唖然(あぜん)とした。

ギリシャ支援問題で欧州連合(EU)が求める財政再建策について、同国が、その賛否を問う国民投票を7月5日に行うことを決めた。

再建策の受け入れを拒むチプラス首相が民意を盾に突破を狙う瀬戸際戦術だが、あまりに危険な賭けといえよう。同国がデフォルト(債務不履行)に陥る懸念が一気に高まりユーロ圏離脱も現実味を増している。

ギリシャ危機の再燃で欧州経済が動揺すれば、世界経済のリスクとなりかねない。チプラス政権は国民投票に逃げ込まず、最後までEU側と歩み寄りへの知恵を絞るべきである。

日本も米国や欧州と連携して金融市場の混乱への監視を強め、危機が拡散しないよう万全を尽くさねばならない。

ギリシャへの金融支援は6月末で期限が切れる。だが、チプラス首相が国民投票を表明したため継続交渉が打ち切られた。このままでは国際通貨基金(IMF)などへの返済が滞る。

支援国側は年金支給額の削減などを求め、合意すれば支援を11月末まで延長する考えだった。チプラス首相が拒んだのは「反緊縮」の政権基盤が揺らぐためだ。

ただ、その判断を国民に委ねるのは無責任すぎる。国民の間で緊縮策への不満が大きいのは確かだが、ユーロ圏残留を望む声も多い。交渉決裂から1週間程度では議論の深めようもなかろう。

チプラス政権は預金流出が加速して金融不安が広がらぬよう、銀行営業を停止する資本規制をせざるを得なくなった。さらにEU側に対して支援を延長するよう改めて求めているという。だが、その前に国民投票を再考するなど、政権の責任で財政破綻を回避する手立てを講じるのが筋だ。

欧州では、債務危機への反省から、金融危機の拡大を防ぐための仕組みが整備された。このためギリシャがデフォルトに陥ったとしても、その影響は限定的だという見方が一般的だ。

だからといって、市場の混乱が広がらないとの楽観はできない。29日の東京株式市場では日経平均株価の終値が今年最大の下落幅となった。世界的な金の流れはわずかなきっかけで大きく変化する。十分な留意が必要だ。
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[産経新聞] 【主張】自民勉強会発言 与党議員の自覚に欠ける (2015年06月30日)

国会議員としての自覚にあまりにも欠けた発言であり、見過ごすことはできない。

自民党若手有志の勉強会で、安全保障関連法案に批判的な報道機関に広告収入などで圧力をかけるべきだとする意見が相次いだという。

報道、言論の自由は民主主義の根幹をなす原則である。重要法案への報道姿勢や論調が気にくわないのなら、「言論の府」の一員として言論で対峙(たいじ)すべきだ。それ以外の方法で対抗しようという発想自体が間違っている。

発言がどう受け取られ、国会審議に迷惑をかけることになるのか。与党議員としての、そんな最低限の想像力さえない。

自民党の谷垣禎一幹事長は勉強会を主催した党青年局長を更迭し、発言した議員3人を厳重注意処分とした。安倍晋三首相も遺憾の意を表明したが、対応が速やかであったとはいえない。

勉強会では議員から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ」といった発言があり、講師役の作家、百田尚樹氏からも「それはだめだ」と、たしなめられたのだという。

百田氏にも「沖縄の2つの新聞社はつぶさなあかん」といった発言があったとされるが、民間人と国会議員の言葉の重さは分けて考えるべきだろう。

安保関連法案をめぐっては「徴兵制につながる」といった国民をミスリードするおかしな報道は確かにある。これに対しても丁寧な説明で反論し、誤解を解くことが求められる。圧力で言論を封じても国民の理解は進まない。

問題発言があった議員らは、安倍首相の応援団を自任する当選2回の衆院議員だった。自民党は小選挙区制の定着などで派閥が弱体化したこともあり、若手議員の教育を怠ってはいないか。

「ハト派」議員の会合やテレビ出演の自粛が伝えられる通り党幹部の要請であるなら、自党議員を信用していない証左であろう。

発言問題はお粗末の限りだが、安保関連法案の是非とは本来、まったく関係がない。

この問題を、法案に反対する陣営が廃案に追い込むためのキャンペーンに利用するのは、お門違いである。政府・与党は正すべき誤りを正し、国会の場で、国民を守るための本格論戦を堂々と展開してほしい。
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[東京新聞] 秘密保護法 監視役が果たせるのか (2015年06月30日)

政府が初めて特定秘密保護法に基づく秘密指定の運用状況に関する国会報告をした。衆参両院には「情報監視審査会」が置かれている。本当に客観的なチェックができるのか、その機能が試される。

「特定秘密」と指定された件数は計三百八十二件だった。防衛省が二百四十七件、内閣官房が四十九件、外務省が三十五件などだ。暗号や情報収集衛星関連、武器関連が大半を占めている。

秘密保護法が強い批判を受けたのは、行政機関の「長」が恣意(しい)的に重要情報を秘密指定してしまわないかと懸念された点だ。本来、国民に知らされるべき情報であっても、政府が隠しては、主権者として正しい判断ができなくなる。そのため、秘密の指定が的確であるかどうかは厳格かつ慎重に検討されねばならない。

内閣府に「独立公文書管理監」などを置く仕組みが設けられてはいるものの、“身内”の監視機関である。そこで、衆参両院に設けられた「情報監視審査会」が重要な役目になるはずだ。

審査会は今回の報告を踏まえ、秘密指定に誤りがないか適切に調べねばならない。委員の国会議員には監視役としての自覚を十分に持ってもらいたい。衆院の場合だと、八人の委員のうち、自民党が五人、民主党、維新の党、公明党が各一人という構成である。これが機能しなければ、たんなる政府の追認機関になる。

政府の外側から特定秘密を知ることができる唯一の存在である。秘密の概要が示された「特定秘密指定管理簿」も今回、提出されたものの、内容はあまりに茫漠(ぼうばく)としている。今後、さらなる情報開示を求め続けねばならない。国民の代表として、審査会は秘密指定の妥当性などについて調べ、その権限を最大限に発揮すべきである。

ただし、元来、欠陥のある制度でもある点を再確認したい。仮に不適切な秘密指定が判明し、指定解除をするよう政府に勧告することはできても、その法的拘束力はない。

政府は「安全保障上の必要性」を理由に、審査会への秘密提供を拒否することもできる仕組みだ。明らかに政府が国会に優越している構図だ。

秘密保護法は与党の強行採決で成立したときに、国民の「知る権利」を阻害することが強く批判された。秘密でない一般情報さえ提供されにくくなる恐れがある。法の廃止を求める動きが根強いことも忘れてはならない。
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[東京新聞] ソーラー機 夢もあり意義もある (2015年06月30日)

しばし日本で翼を休めたスイスの太陽電池飛行機が、米ハワイに向けて愛知県営名古屋空港から飛び立った。目指すは化石燃料を使わない世界一周飛行。夢も意義もある大冒険の成功を祈りたい。

太陽エネルギーだけで飛ぶ「ソーラー・インパルス2」=写真=は今年三月、アラブ首長国連邦のアブダビを出発し、インドなどを経て中国・南京からハワイに向かう途中の今月一日夜、太平洋上の悪天候を避けるために予定外の名古屋空港に舞い降りた。

機体の一部不具合を修理し、天候の回復を待ち、昨日未明、ほぼ一カ月ぶりに離陸した。

翼の端から端まではジャンボ機より長い七十二メートルもあり、約一万七千枚のソーラーパネルを装着。昼間に太陽エネルギーを蓄え、夜間も四基のプロペラを回す。機体の重さは二・三トン。徹底した軽量化が図られている。

スイス人冒険家、ベルトラン・ピカール氏(57)らのグループがこのプロジェクトに乗りだしたのは二〇〇三年。企業やスイス政府の支援を得て機体を開発し、化石燃料を使わぬ世界一周という前人未到の冒険の準備を進めてきた。

ピカール氏とアンドレ・ボルシュベルグ氏(62)の二人が交代で操縦し、計三万五千キロを飛ぶ。

ピカール氏の父ジャック・ピカールは一九六〇年、最も深い海、マリアナ海溝チャレンジャー海淵(かいえん)に人類で初めて到達した。祖父オーギュスト・ピカールは三一年、水素気球で初めて成層圏に到達した。冒険一家の三代目である。

ボルシュベルグ氏は元スイス空軍のパイロット。今回の世界一周で最も過酷な太平洋上、名古屋−ハワイ間の飛行を担当し、一回二十分、一日合計二〜六時間程度の仮眠を繰り返しながら、窮屈な操縦席で五昼夜連続の操縦に挑んでいる。

不時着と長期間の待機は、実用化への道がまだ険しいことを物語る。でも、これは、困難に挑戦するばかりの冒険ではない。再生可能エネルギーの新時代を切り開こうという冒険は、夢は大きく、その意義はさらに大きい。

図らずも日本の空に迷い込んできた不思議な飛行機に、わたしたちの胸は躍った。その挑戦が大きく実を結ぶことを期待したい。
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[毎日新聞] 社説:「報道圧力」発言 安倍首相の認識を問う (2015年06月30日)

自民党若手議員の勉強会で安全保障法制をめぐり報道機関へ圧力をかけようとする発言が出たことの波紋が広がっている。

安倍晋三首相は谷垣禎一幹事長に表現の自由に配慮する姿勢を伝えたが、言論統制への懸念を深刻に受け止める必要がある。ことは党や政権の体質に関わる。安易な幕引きを図ってはならない。

反応が鈍かった発覚当初とは打って変わった党の対応ぶりである。執行部は勉強会「文化芸術懇話会」代表の木原稔青年局長を更迭し、1年間の役職停止とするなど収拾を急いでいる。「マスコミを懲らしめる」と広告主への圧力行使に言及した大西英男衆院議員ら発言した3議員は厳重注意処分を受けた。

会合では作家の百田尚樹氏が沖縄の新聞2紙を「つぶさないといけない」などと語ったことも大きな問題となっている。谷垣氏が「報道や言論の自由を軽視し、沖縄県民の思いを受け止める党の努力を無にする発言がなされた」とようやく一連の発言を批判したのは当然である。

それでも、言論統制を肯定するような発言の問題をどこまで正面から受け止めたのか、疑念がつきまとう。谷垣氏は処分について「与党の政治家はとにかく物事が進む状況を作る自覚が必要だ」と国会の与野党攻防を念頭に置いたような説明をした。会合に途中まで出席した加藤勝信官房副長官も国会答弁で木原氏について「懇話会の規律を維持する責任を果たしていない」などと述べるにとどめた。これでは安保法制が審議される国会への影響を考慮して渋々、収拾に動いたと取られかねない。

一番の問題は、首相が発言の誤りをただし、言論の自由を守ろうとする姿勢が伝わってこない点だ。

首相は当初、発言した議員の処分について国会で問われ「私的な勉強会で自由闊達(かったつ)な議論がある」と述べ、慎重姿勢を示していた。民主主義を守るため国民に保障された表現や言論の自由と、国会議員の暴言による政治責任はおよそ別次元の問題であろう。谷垣氏と「表現の自由は民主主義の根幹」との認識を確認したというが国会答弁では「大変遺憾」との見解を示すにとどまっている。

自民党は党の憲法改正草案で表現の自由の保障に関し「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」は例外とする条文を追加している。安全保障問題は公益に属するとして言論の自由を規制しても構わないという空気が党内にあるとすれば、見当違いもはなはだしい。

「のど元過ぎれば」で済む問題ではない。首相は言論の自由をめぐる認識を国会で進んで表明し、国民からの疑念払拭(ふっしょく)に努める時である。

2015年06月30日 02時34分
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[読売新聞] 新国立競技場 工費圧縮へ設計から出直せ (2015年06月30日)

2520億円もの巨費を投じることに、果たして国民の理解を得られるのだろうか。

下村文部科学相が、新国立競技場の建設計画の見直し案を公表した。建設費は、基本設計時の1625億円を約900億円も上回る額となった。

ラグビーワールドカップ(W杯)の開幕4か月前となる2019年5月に完成する予定という。

2本の巨大アーチで開閉式屋根を支える特殊構造は、工費が膨らむ主因とされながらも、変更に至らなかった。

開閉式屋根を設けるのは、工期の関係から、20年の東京五輪後に先送りされる。屋根の設置費を除いても、これほどの額を要するとは、驚かされる。巨大アーチを用いる構造そのものを取りやめる選択肢はなかったのか。

国内の著名建築家は、工費を抑え、ラグビーW杯にも間に合う代替案を示していた。下村氏は「間に合う可能性もないわけではない」と語った。それならば、大胆な見直しを決断すべきだ。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、斬新なデザインが国際オリンピック委員会(IOC)から「大きな評価と期待」を得たと強調し、現行デザインでの建設に固執する。

しかし、メインスタジアムに巨費を投じることは、開催費用の削減を図るIOCの五輪改革の流れに逆行するだろう。悪(あ)しき前例を作れば、財政事情を理由に、五輪開催に尻込みする都市が出てくるかもしれない。

財源確保のメドが立たぬまま、見切り発車する下村氏の姿勢も問題である。建設費には、国費のほか、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が運用する基金を取り崩して、振り向ける。

スポーツ振興くじ(toto)の売り上げのうち、競技場建設に充てる割合は、現行の5%から10%に引き上げられる見通しだ。

東京都にも、500億円超の負担を改めて要請する。

ただし、こうした措置を合わせても、2520億円に及ばないのは明らかだ。下村氏は、寄付など「民間の協力もいただく」と述べたが、目算が甘すぎる。

JSCが12年に総工費1300億円を想定して国際コンペを実施して以降、建設費が何度も大きく変動する迷走には、あきれるばかりだ。JSCと、所管の文科省の責任は重い。将来に禍根を残さぬよう、徹底検証が必要である。

新国立競技場を東京五輪の「負の遺産」にしてはなるまい。
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[読売新聞] ギリシャ危機 混乱の拡大防ぐ最善の努力を (2015年06月30日)

欧州発の経済混乱を回避するため、関係する各国・機関は、事態打開へ全力を挙げるべきだ。

ギリシャ支援を巡る欧州連合(EU)などとギリシャとの協議が決裂した。

EU側は、年金減額や増税といった構造改革案の受け入れを条件に、6月末の支援期限を11月末まで延長する妥協案を示した。

だが、ギリシャは突如、EU案の是非を問う国民投票を7月5日に行う方針を表明した。これに猛反発したEU側は、期限通りに支援を打ち切ることを決めた。

交渉決裂を受けた週明け、東京市場の平均株価が600円近く下落するなど、世界の市場に混乱が波及している。

菅官房長官は記者会見で、「日本も問題の情勢分析、対応に遺漏がないようにする」と述べた。

日米をはじめ各国の金融当局は、EUや国際通貨基金(IMF)と緊密に連携し、危機拡大を食い止める必要がある。

ギリシャは30日、IMFに対する約15億ユーロの債務の返済期限を迎える。資金不足で債務不履行(デフォルト)に陥る恐れが強い。

EUが支援打ち切りを決めたのは、貸し手の大半が各国政府や中央銀行で、ギリシャがデフォルトになっても、市場への悪影響が限られると判断したのだろう。

しかし、様々な思惑が錯綜(さくそう)する市場では、ギリシャ問題が想定外の打撃をもたらす懸念は拭えない。過小評価は禁物である。

無論、事態の沈静化を図る最善の道は、ギリシャがEU側の改革案を受け入れ、支援延長を実現することだ。

チプラス政権が国民投票を唐突に打ち出したのは、「民意」を盾にEUへ譲歩を迫る狙いがある。投票の結果、EU案を受け入れるのなら、反緊縮路線を変更する名分が立つとの計算もあろう。

ギリシャ国民は、EUとの交渉経過やデフォルトがもたらす影響を十分に知らされていない。政権が国民に最終判断を丸投げするのは、あまりに無責任だ。

ギリシャ政府は、銀行の休業や預金引き出し制限などの資本規制に踏み切った。現金自動預け払い機(ATM)に長い列ができるなど国民に不安が広がっている。

こうした規制は一時しのぎに過ぎない。ユーロ圏からの離脱が現実味を帯びれば、ギリシャ経済が深刻な苦境に陥るのは必至だ。

国民をこれ以上苦しめないためにも、ギリシャ政府は譲歩の必要性を国民に真摯(しんし)に説明し、EU側に歩み寄らねばならない。
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[朝日新聞] 日本の財政再建―やはり先送りは危うい (2015年06月30日)

日本の財政は、借金漬けだ。国の借金残高は今年3月で1053兆円、国内総生産(GDP)の2倍と先進国の中で最悪の水準であり、債務危機にあえぐギリシャをも上回る。借金の8割強は、国債である。

今年度予算では、財源不足を補うための36兆円余の新たな国債や、満期を迎えた分の借り換えなどで、総額170兆円の国債を発行する。

こんなに借金を重ねて大丈夫なのか。発行後に国債が売買される市場で国債価格が急落(金利が急上昇)しないのか。

■市場に潜む危うさ

国債の大半は、国内の資金、もとをたどれば国民の貯蓄でまかなわれている。逃げ足の速い海外マネーに頼っているわけではないから、大丈夫。こう説明されることが多い。

おカネの流れを見れば、その通りだ。ただ、この流れに潜む構図を見落としてはならない。

「異次元」とも称される、日本銀行による大胆な金融緩和策である。

この政策の柱として、日銀は大量に国債を買っている。昨年秋の緩和策第2弾を経て、そのペースは、政府が市場で発行する分の最大9割に及ぶ。

日銀が政府から国債を直接買う「引き受け」は、法律で禁じられている。かつて政府の戦費調達などに日銀が手を貸し、激しいインフレを招いた反省からだ。現状は金融機関を経て購入しているとはいえ、引き受けも同然と言える。

何が起きるか分からないのが、市場だ。「日本の国債だけは価格が暴落しない」というわけにはいかない。投機筋などによる売り浴びせをきっかけに混乱が広がれば、企業の借り入れや住宅ローンの金利が急上昇し、景気の悪化に伴って税収が減る一方、国債の利払いは増える。ギリシャの惨状は遠い外国の話ではなくなる。

そんな事態を避けるには、政府が「借金を返していく」という姿勢を示し続け、「すき」を見せないことだ。今は日銀が国債の大量購入で波乱の芽を封じ込めている格好だが、日銀の黒田総裁自身が政府に財政再建の大切さを説いていることがそれを物語る。

■成長頼みは禁じ手

20年度の基礎的財政収支の黒字化を目指す政府の財政再建策は、借金を返していく意思を問う試金石だ。

ところが、である。

毎年名目で3%台という、実現が難しい成長を前提として、税収も伸びていくと見込む。増税については、1回延期した消費税率の10%への引き上げこそ織り込むものの、それ以上は封印。歳出の抑制・削減策も、メニューこそ並べたが、具体案や実行への道筋は先送りした。

経済成長に伴う税収増を目指すのは当然としても、それに頼ることは「期待」頼みの財政再建であり、禁じ手だ。確実な手段は、歳出の削減と増税の二つ。ともに痛みを伴う。

まずは歳出の抑制・削減だ。あらゆる分野にメスを入れる必要があるが、焦点は国の一般会計の3分の1を占める社会保障分野だ。高齢化に伴い、放っておけば毎年1兆円近いペースで増え続ける。

医療や介護、年金など、社会保障は「世代」を軸に制度が作られ、現役世代が高齢者を支えるのが基本的な仕組みだ。しかし、同じ世代の中で資産や所得の格差が開いていることを考えれば「持てる人から持たざる人へ」という軸を加え、制度を改めていくことが不可欠だ。

財政難の深刻さを考えれば、歳出の抑制・削減だけでは間に合わず、増税も視野に入れるべきだ。

柱になるのは消費税の増税である。景気にかかわらず増えていく社会保障をまかなうには、税収が景気に左右されにくく、国民全体で「薄く広く」負担する消費税が適している。3年前に政府が決めた「社会保障と税の一体改革」は、そうした考え方を根本にすえる。

安倍政権は10%を超える増税を否定するが、それではとても足りない。欧州の多くの国が付加価値税(日本の消費税に相当)の税率を20%前後としていることからも明らかだ。

所得や資産に課税する所得税や相続税も、豊かな層に応分の負担をしてもらう方向で見直す。そんな税制を目指したい。

■避けられない痛み

いずれも痛みを伴う改革だ。しかし、社会保障を持続可能にし、将来世代へのつけ回しをやめるには、避けて通れない。

財政の再建から逃げ、放置すれば、いずれ破綻(はたん)しかねない。いったんそうなれば、国民の生活がもっと大きな痛みを強いられる。

選挙で選んだ代表を通じ、法律を改正して制度の再設計や負担増を受け入れるのか。金利急騰といった市場の圧力に追いたてられて取り組むのか。

民主主義の手続きに基づく負担の分かち合いを選びたい。
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2015年06月29日

[産経新聞] 【主張】原発ゼロの夏 電力危機は去っていない (2015年06月29日)

今年も7月から、夏の節電期間を迎える。

電力業界は家庭や企業に対して自主的な節電を呼びかけることにしており、政府はこれで夏場の電力需要期を乗り切れるとみている。

だが、電力不足は解消されていない。

電力各社は、すべての原発が稼働を停止する中で火力発電の増強や他社からの融通を駆使するなど、電力確保に躍起となっている。「原発ゼロ」に伴って電気料金も上昇しており、家計や企業を圧迫している。

台風などの災害による発電所のトラブルも懸念される。「電力は足りている」との油断は禁物である。わが国が置かれている電力危機を忘れてはならない。

節電期間は9月までの3カ月間で、数値目標は設定しない。無理のない範囲で上手な節電を心がけることに異存はない。だが、節電頼みでは根本的な解決にならないことを、厳しく認識すべきだ。

東日本の供給予備率は安定的な電力供給に最低限必要な3%を上回り、8%を確保した。だが原発比率が高かった関西電力と九州電力の予備率は、融通分を合わせてもぎりぎり3%だ。九電の川内原発は再稼働に向けて最終段階にはあるが、楽観はできない。

関電では今月、姫路第2火力発電所でトラブルが発生し、対策工事の影響で最大100万キロワット近い供給力の低下が見込まれる。このため、他社からの調達を増やし、3%の予備率を何とか維持する綱渡り状態にある。

国内の全原発が一昨年9月から稼働を停止し、これを補うために運転開始から40年以上を経過している老朽火力もフル稼働している。このため、設備故障などによる計画外停止が増えていることにも留意したい。

発電所の故障をきっかけに突発的な大規模停電に発展すれば、社会や経済の混乱だけでなく、身体の安全も脅かされる。そうした事態を回避するためにも、政府は安全性を確認した原発を早期に再稼働させるなど、電力の安定供給を早急に確立する必要がある。

4月には、電力改革の一環として、全国的に電力需給を調整する「広域運用機関」が発足した。電力が不足した地域に対し、余裕のある地域からの電力供給を指示することができる。監視や指示には相応の技能も必要だ。人材育成も同時に進めなくてはならない。
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[産経新聞] 【主張】韓国徴用工訴訟 解決済み覆す不当判決だ (2015年06月29日)

韓国の裁判所で、戦時徴用をめぐり日本企業に賠償を命じる判決が続いている。

日韓の戦後賠償問題は昭和40年の国交正常化に伴う両国協定で、個人補償を含め解決済みであることを明記している。これを覆す不当な判決である。国家間の取り決めを無視して信頼を損なうのは韓国側ではないか。

問題の判決は24日、韓国の光州高裁で出された。戦時中に名古屋の軍需工場などで勤労挺身(ていしん)隊員として働いた韓国人女性や遺族らが賠償を求めた訴訟の控訴審で、1審に続き、三菱重工に賠償を命じた。高裁段階で賠償命令が出たのは3件目となるが、不当な賠償命令に応じる必要はない。

韓国最高裁が3年前に個人請求権を認める判断を示して以降、同種の訴訟が相次いで起こされている。だが国交正常化に伴う日韓請求権・経済協力協定で、日本は無償供与3億ドル、政府借款2億ドルの経済協力などを約束し、両国とその国民(法人を含む)の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。

韓国は国交正常化交渉当時の外交文書を公開した際、官民の合同委員会で日本側が拠出した無償3億ドルに個人の補償問題の解決金などが含まれているとの見解を示している。

韓国は、日本からの無償、有償合わせ5億ドルの資金をインフラ整備などに充てることで経済発展を果たした。個人補償の問題があるなら協定に従い、解決する責任は韓国政府にある。

韓国政府が「司法の独立」を盾に責任ある態度を取らないなら、問題をこじらせ自らの首を絞めるばかりだ。解決済みの賠償問題が蒸し返されては、日本企業の投資など経済関係にも悪影響は避けられない。

韓国の不当な要求は世界文化遺産をめぐっても起きている。「明治日本の産業革命遺産」で、「強制徴用」などとして徴用工の説明を盛り込むよう求めていることだ。朝鮮半島の人々に求めた戦時労働は戦争末期で「遺産」の時代と異なるほか、日本人にも適用されていた国民徴用令に基づき合法的に行われた勤労動員である。

「強制」という言葉をかぶせて非難するのは、事実誤認の言いがかりであろう。歴史の事実を冷静にみることが、互いの信頼につながるはずだ。
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[東京新聞] 長官選改革否決 香港の民主は死なず (2015年06月29日)

香港行政長官選挙の政府改革案が否決された。立法会は中国当局の干渉を受ける「普通選挙」にノーを突きつけたといえる。真の民主選挙を求める道は長く険しいが、ひるまずに歩を進めてほしい。

昨年秋から香港を揺るがせてきたのは、二〇一七年の行政長官選挙の改革をめぐる争いだった。

中国の国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会が昨夏、普通選挙案を決め、その内容を踏まえて香港政府が議会にあたる立法会に選挙改革案を提出した。

中国は、香港の有権者が一人一票を行使できる「普通選挙」と宣伝した。だが、親中派が多い業界代表でつくる「指名委員会」で過半数の支持がなければ候補になれず、その候補も二人ないし三人に限定する仕組みであった。

中国当局が望ましくないと考える候補を事前に排除できるやり方である。これでは民主派は選挙のスタートラインにも立てない。

立法会の議論で、親中派議員は「一票を手にすることは、ないよりも良い」と主張した。これに対し民主派議員は「民主派を排除する偽の普通選挙だ」と反論した。

中国当局のコントロール下にある名ばかりの普通選挙案であるというのが実態で、立法会が否決したのは健全な判断であろう。

採決で形勢不利とみた多くの親中派議員が定足数割れによる流会などを意図して退出した。住民から託された投票権を放棄したのは強く責められても仕方がない。

だが、否決は民主を求める戦いの再起動にしかすぎない。一七年長官選では、経済界代表などでつくる千二百人の「選挙委員会」で選出する従来の間接選挙が続く。

香港基本法で、行政長官と立法会議員の選出は将来、住民の直接選挙に移行すると定められている。まずは、来年の立法会選で民主派が勢力を伸ばすことが、二二年の長官選に向けて真の普通選挙を実現する第一歩となろう。

中国は全人代が基本法の解釈権を持つことをたてに、「法治」の形を借りて中央の意思を強行しようとした。香港住民はそこに一国二制度が骨抜きにされる危険性を感じ取り、昨年秋には「占拠」という抗議行動を起こしたといえる。

立法会の前で一人の老人が「子や孫のため真の普通選挙を」と書いたプラカードを掲げていた。

立法会は香港の民主が死んではいないことを示したが、正念場はこれからだ。平和的手段での息の長い戦いがさらに求められる。
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[東京新聞] ギリシャ危機 悲劇はだれも望まない (2015年06月29日)

財政危機のギリシャと欧州連合(EU)など債権団との支援交渉が「決裂」したことはギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥るおそれを強めた。最後の最後まで打開交渉の努力を続けるべきだ。

土壇場での「奇策」に驚きと落胆を禁じ得ない。ギリシャ側が債権団の要求について国民投票で賛否を問うから現行支援策を一カ月延長してくれと求めたことだ。今月三十日の支援期限を目前にした突然の要請は、あっさりと債権団側に拒否されて、交渉は暗礁に乗り上げた。

同日には国際通貨基金(IMF)への十五億ユーロ(約二千百億円)の返済が控えており、別の支援でも得られないかぎりデフォルトの可能性大である。そこから先は財政破綻、ユーロからの離脱が現実となり、金融不安やハイパーインフレといった危機が国民生活を襲いかねない。

直近の世論調査では、ユーロ圏残留を望む国民の方が上回っている。ユーロ圏各国も、「支援疲れ」しているドイツも含めギリシャが離脱すればユーロの信認低下や、財政状況が良くない他国への信用不安の拡大を懸念している。

にもかかわらずチプラス首相は、瀬戸際戦術で交渉を長引かせてきた揚げ句、支援期限を越えた来月五日に国民投票を行う不可解な行動に出た。議会も認めた。

「反緊縮」政策を訴えて一月の総選挙で当選した首相だから、債権団の求める増税や年金改革は受け入れがたいのだろう。首相は債権団の要求に反対票を投ずるよう国民に求めたが、それでは展望はなく自らの保身でしかない。支援の継続やデフォルトを回避するには、国民に条件受け入れの理解を求めるべきだったはずだ。

もはや債権団が投票自体に反対している以上、事態の打開策にはなり得ない。「捨て身のような策」ではなく、三十日の期限まであらゆる交渉を模索すべきだ。週明けには金融機関からの一段の預金流出が予想され、預金引き出しの制限や一時的な銀行閉鎖など万全な対策が必要だ。

ギリシャはすでに二〇一二年にデフォルトを起こし、外国銀行などの債権者に借金棒引きを求め大きな混乱を招いた。現在は債権者がEUなど公的部門に置き換わっているため、デフォルトが起きても影響は限定的との見方もある。

しかし、ユーロの暴落や世界でより一体化が進む金融市場への打撃は予想しにくい。金融当局や中央銀行の対応が試されそうだ。
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[毎日新聞] 社説:骨太の方針 財政への危機感が薄い (2015年06月29日)

政府は、経済財政運営の指針「骨太の方針」を、あす閣議決定する予定だ。2020年度までの新たな財政健全化計画が柱だ。

国の借金は1000兆円を超え、今回の計画は再建の一歩に過ぎない。だが、歳出抑制は「目安」にとどまり、借金返済は高い経済成長を前提とした税収増頼みだ。危機感が乏しいと言わざるをえない。

健全化の指標とする基礎的財政収支は、社会保障費や公共事業費などの政策経費を新たな借金に頼らず税収などでどれだけ賄えるかを示す。15年度の赤字は16.4兆円(国・地方の合計)に上る。政府は20年度までの黒字化を目標にしており、その道筋を描けるかが焦点だった。

骨太の方針は、国内総生産(GDP)の成長率を「実質2%、名目3%」に高めるとした。内閣府の試算では、この水準の成長が続くと、赤字は7兆円圧縮される。

しかし、日本経済の実力である潜在成長率は0%台半ばに過ぎない。政府は新しい成長戦略も閣議決定するが、人材育成やIT(情報技術)活用など内容は小粒で、成長底上げに力不足の感は否めない。

さらに、高成長を続けても20年度に9.4兆円の赤字が残る。歳出改革が重要だが、具体策は乏しい。

中間目標として、18年度の赤字の対GDP比を1%程度に縮小(15年度は3.3%)する方針が盛り込まれた。政策経費は社会保障費だけで年1兆円近く増える計算だが、全体の伸びを18年度までの3年で計1.6兆円程度に抑えるという。

だが、歳出抑制は、厳格な目標ではなく、あいまいな「目安」とされた。経済動向に応じて柔軟に財政出動を行う方針も明記したため、歳出抑制は骨抜きになる恐れがある。

社会保障費の抑制につながる裕福な高齢者の医療費負担増や年金減額もほとんど言及されなかった。痛みを伴う改革は先送りされた形だ。

17年4月の消費再増税を控え、歳出抑制による景気悪化を避けたいという「成長重視派」が優勢だった。「経済再生なくして財政健全化なし」という安倍晋三首相の意向を反映したものだ。だが、歳出の効率化を進めなければ、再増税に対する国民の理解も得られないだろう。

骨太の方針は、日本経済の現状について「四半世紀ぶりの良好な状況」との認識を示した。この機をとらえて思い切った歳出改革に踏み出さないのなら、いつ着手するのか。

健全化計画は、首相が昨年、消費再増税の延期を決めた際に策定を表明した。だが、財政への信認をつなぎとめられるか不安が残る。16年度予算編成に向け、首相は歳出改革で明確な指示を出すべきだ。

2015年06月29日 02時32分
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[毎日新聞] 社説:視点・安保転換を問う 抑止力=論説委員・倉重篤郎 (2015年06月29日)

◇歴史認識もその一助に

新安保法制の目的は、抑止力の向上だ。安倍晋三政権8月の最大のイベントは戦後70年談話に示す歴史認識だ。一見別物だが、一緒に論じたらどうか。

歴史認識とは、戦前の日本のあり方に対する総括と発信にある。天皇陛下が新年に「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていく」と述べられたことがまさにその作業となろう。

1931年に起きた満州事変については、70年談話懇談会の座長代理を務める北岡伸一氏が6月3日付本紙オピニオン面のインタビューに答えている。「他国に軍隊を送り込み、人を殺傷し、財産を奪い、主権を制限することが侵略であり、満州事変は明白な侵略だった」

この基本認識を国民が改めて共有し、政治指導者が真摯(しんし)に繰り返し発信することが、戦争を抑止する力になる、と思う。

なぜならば、第一に、それは戦争に対する日本国の自制力として働く。あの戦争の原因と惨状を学び、侵略と植民地支配の加害者側にいたことを再認識することは、戦争一般への否定のみならず、二度と近隣諸国に迷惑をかけてはいけない、という国民意識面での歯止めを作り出す。それは、今最も危惧されるナショナリスティックな排外主義に対しても抑止的に働く。

第二に、それは同時に相手国政府、国民の自制をも促す。95年の村山富市首相談話が、日本の対アジア外交を悪化させぬ最後のとりでとしていかに役立ってきたか。もし、現政権が侵略という歴史的事実を曖昧にするのであれば、相手国政府のみならず国民世論全体を敵に回す。それは見えないところに蓄積され、時を見て爆発し、相手国政府の政策をしばる。共産党一党支配の中国でもそれは同じだ。

第三に、それは現行の抑止力論議の足らざる点を補完する。植木千可子早大教授によると、抑止力は軍事力のみでは実現できず、自国の能力、意図を相手国に正しく伝える意思疎通と、状況についての共通認識、つまり対話力が不可欠だ。その対話力は、歴史認識という土台部分がしっかりと建造されていないとうまく機能しない、と思う。

第四に、歴史認識は効果的なソフトパワーだ。ドイツではブラント首相がユダヤ人追悼碑にひざまずき(70年)、ワイツゼッカー大統領が「過去に目を閉ざすもの」を批判した(85年)。政治指導者の節目での所作と発信が膨大な軍事費に匹敵する歴史和解力を持つこともある。

それは政治指導者が「戦争は断じてありえません」と叫ぶ以上の抑止効果を持つだろう。

2015年06月29日 02時30分
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[読売新聞] 口永良部1か月 避難の長期化に備えた支援を (2015年06月29日)

帰島が実現するまで、避難者に対するきめ細かな支援が求められる。

鹿児島県屋久島町の口永良部島にある新岳の爆発的噴火から、29日で1か月を迎えた。

噴火活動は収まる気配がない。18、19の両日には小規模な連続噴火が発生した。

気象庁は、火山性地震が依然として多発していることや、ガスの噴出状況などから、さらに噴火が続く恐れがあるとして、厳重な警戒を呼びかけている。

爆発的噴火の直後、口永良部島の86世帯137人は、屋久島に全島避難した。避難生活は長期化の様相を呈している。

島民は自宅の被災状況さえ確認できていない。車や家畜を島から運び出すこともかなわない。不安は、いかばかりだろうか。

避難者の一部は、避難所から、町が用意した屋久島内の公営住宅に移った。親類や知人宅に身を寄せる人や、町外に転居した家族もある。8月初旬には、町が建設中の仮設住宅に27世帯が入居することになっている。

分散して当面の生活を営まざるを得ない島民にとって、コミュニティーの維持は重要な問題だ。

被災の全体像の調査が手付かずのため、被災者生活再建支援法などに基づく国の公的支援の対象になるかどうか、現時点でははっきりしない。町は避難者に見舞金の支給を始めた。今後も生活支援に力を注いでもらいたい。

新岳の監視には、引き続き万全を期す必要がある。町が避難解除の是非を判断する際、十分なデータが欠かせないためだ。

気象庁の職員は現在、口永良部島にほとんど近づけない状況だ。地震計などをどう機能させ続けるかが、課題となっている。

観測機器に送電している島内の発電所も、いつまで自動的に稼働するのか、定かでない。長時間の停電にも対応できる観測機器の設置を検討すべきだろう。

大惨事となった昨年9月の御嶽山噴火は記憶に新しい。今月には浅間山で小規模の噴火が発生した。箱根山の大涌谷や阿蘇山などでも、火山活動が活発化した。

活動火山対策特別措置法(活火山法)改正案が、今国会で審議されている。火山周辺の自治体に、噴火警戒レベルに応じた避難計画の策定を義務づけることが柱だ。火山防災の強化につなげたい。

火山活動の変化を的確に捉えるには、専門家の知見が不可欠だ。不足する火山専門家の育成も忘れてはならない。
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[読売新聞] 郵貯限度額上げ 自民党提言の「含意」はどこに (2015年06月29日)

郵便貯金の限度額引き上げを急ぐ必要があるのか、甚だ疑問である。

自民党が、ゆうちょ銀行の貯金限度額を1000万円から段階的に3000万円に引き上げるべきだとする提言をまとめた。

かんぽ生命保険の加入限度額についても、現在の最大1300万円から2000万円に増額する方針を掲げた。政府に対し、今年9月末までの実施を求めている。

提言は、利便性などを考えれば、現行の限度額は低すぎると指摘している。しかし、2012年4月の郵政民営化法改正時の付帯決議は、限度額を「当面は引き上げない」と明記している。この趣旨に反するのは明らかである。

郵政グループは、政府が100%出資する国有民営の企業だ。政府の信用を背景に貯金集めに走れば、競合する地域金融機関から預金が流出することになろう。

金融業界が、限度額の引き上げによる「民業圧迫」に強い懸念を示しているのは当然である。

地域金融機関との業務提携などを目指すゆうちょ銀の経営戦略とも整合性を欠く。政府は、提言の是非を慎重に検討すべきだ。

郵政グループは、持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀、かんぽ生命の計3社の株式を、今秋以降、同時に上場する予定だ。

ただ、3社の株式がどのようなペースで市場に売却されるのか不透明である。ゆうちょ銀株などを全て売却する完全民営化は、努力目標に過ぎない。

限度額の引き上げは、株式の売却が軌道に乗り、完全民営化への道筋がはっきりした段階で着手するのが筋だ。

ゆうちょ銀の貯金残高は約180兆円とメガバンクの2倍近い。巨額の資産の半分以上を占める国債は低金利で、運用益は思うように上がっていない。展望もなく貯金を増やせば、運用難に拍車をかける恐れがある。

日本郵政の西室泰三社長は4月の記者会見で、限度額撤廃が望ましいとしつつ、「金融界全体からみて正しい方向かどうか疑問を持っている」と述べた。

ただ、個々の郵便局は貯金額などに応じて手数料が増えるメリットがあり、全国郵便局長会(全特)は引き上げを求めている。

一昨年の参院比例選で、自民党の全特出身候補が党内トップ当選を果たした。自民党は昨年の衆院選公約に限度額見直しを掲げた。来年の参院選でも郵便局に集票力を発揮してほしい。そんな意図を込めた提言ではないか。
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[朝日新聞] ギリシャ問題―危機の端緒にするな (2015年06月29日)

ギリシャ債務危機がふたたび世界経済の火だねとなりそうだ。金融支援をめぐってギリシャと欧州連合(EU)はぎりぎりの交渉を続けてきたが、年金削減などEU側が求める厳しい改革案をギリシャが拒否。その賛否を問う国民投票を7月5日に実施するとしている。これに強く反発したEUは現行の支援を今月で打ち切ると表明した。

ギリシャは国際通貨基金(IMF)への約2千億円の借金返済が期限のあすまでにできず、債務不履行(デフォルト)になる恐れが強まっている。

心配なのは、週明けの金融市場への影響である。これが引き金となって世界経済危機に発展するようなことは絶対避けなければならない。主要国の金融当局は警戒を怠らず、必要なら連携して対応にあたってほしい。

今回、EUが最終的に支援拒否やむなしと判断した背景には、ギリシャがデフォルトとなっても影響は限定的とみていることがある。ギリシャ向け債権の多くをすでに民間金融機関から切り離し、EUやIMFが引き受けている。公的管理によって、リスクをなんとか制御できると考えているのだろう。

ただ、そんな筋書きどおりにいかないのが過去の経済危機の教訓である。日本に長期停滞をもたらす要因となった1997年秋の金融危機は、最初の三洋証券のデフォルトを当局も市場も過小評価していた。だが破綻(はたん)の連鎖は、すぐに北海道拓殖銀行や山一証券など大手へと広がり、とりかえしのつかない事態になった。

2008年の米金融大手リーマン・ブラザーズの破綻でもそうだった。未曽有の世界経済危機につながると予測できていたら、米政府はあのようなリーマン処理を選択しなかったろう。

市場にはさまざまな思惑があり、どんな経路から危機につながってしまうのか予測しにくい。ギリシャ危機にしても、想定外のリスクが十分にありうると覚悟していたほうがいい。

ギリシャ経済を大混乱に陥らせないために、少なくとも欧州中央銀行(ECB)によるギリシャの銀行への資金繰り支援は当面ある程度、続けざるをえないのではないか。

欧州統合の理念からいえば望ましくはないが、ギリシャのユーロ離脱の可能性も視野に入れる必要が出てきた。EUが対応を誤れば、この問題は財政が比較的悪いとみなされているスペインやイタリア、ポルトガルにも連鎖しかねない。経済危機の火だねを、ていねいに消していく細心さが求められている。
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[朝日新聞] 新国立競技場―新たな選択肢で出直せ (2015年06月29日)

後世に残す国民の巨大な財産を、こんな「どんぶり勘定」で造ってはならない。ここは一度立ち止まって出直すべきだ。

2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の計画が迷走している。文科省などがゼネコン2社と結ぶ契約額が、また一気に跳ね上がることが明らかになった。

総工費2520億円。基本設計段階から約900億円も膨らみそうだ。12年ロンドン五輪の主会場の4倍近くにのぼる建設費は、野放図に過ぎる。

文科省の所管で建設を担う独立行政法人、日本スポーツ振興センター(JSC)の見立てがあまりに甘い。国際コンペで採用したザハ・ハディド氏の案では、当初予算1300億円だったものが3千億円になる試算が出たため昨年春、延べ床面積を2割減らして1625億円に抑えたはずだった。それからわずか1年。資材などの高騰で説明できる誤差ではない。

しかも、売り物だった開閉式屋根の設置を先送りし、1万5千席分の可動式席もやめて仮設にする節約をしたうえで、この金額だから驚く。

建築費を押し上げ、工期が延びる元凶と専門家から批判されるのが、屋根を支える2本の巨大なアーチ構造だ。

今月に入り、建築家の槇文彦氏らが、アーチを造らない一般的な工法での代替案を示した。工期を短縮でき、1625億円に収まるプランだという。

それでもJSCは、現行案に固執しているようだ。その理由の一つは、設計をやり直すと19年秋にあるラグビー・ワールドカップに間に合わないとされる点だ。しかし、槇氏らの案では工期は間に合うとしている。

JSCは、ハディド氏の案が五輪の招致に貢献した点にもこだわっているようだが、重要なのは今後の有効活用だ。国際オリンピック委員会(IOC)も、開催都市にとって有益な遺産となることが大切という理念を打ち出したばかりだ。

文科省とJSCが早急にやるべきなのは、議論を国民にオープンにする形で、冷静な選択肢を示すことだ。限られた予算と工期の中で何ができ、何ができないのか。五輪後の維持費をどう賄うのか。ハディド氏も含む幅広い専門家らの知恵を集めて代替案を練り直す時である。

時間切れを理由にした見切り発車は五輪のイメージを傷つけるだけでなく、将来世代に負の遺産を残す。透明な手続きと合理的な計画で国民が納得した事業を完遂することこそが、五輪の「レガシー」となろう。
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2015年06月28日

[東京新聞] 週のはじめに考える わが街に爆弾は降った (2015年06月28日)

空が戦争の舞台になったのは二十世紀。太平洋戦争では、日本の街にも爆弾が降りました。空襲に苦しむのは市民。それは二十一世紀も変わりません。

太平洋戦争末期の一九四五年八月二日に米軍が岐阜県高山市上空で散布した伝単(でんたん)、つまり空襲予告ビラが、名古屋市にある民営の資料館「ピースあいち」に展示されています。このように日本語で書かれています。


◆空襲予告ビラも降る
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「数日の内に裏面の都市の内全部若(もし)くは若干の都市にある軍事施設を米空軍は爆撃します。この都市には軍事施設や軍需品を製造する工場があります。軍部がこの勝目のない戦争を長引かせる為に使ふ兵器を米空軍は全部破壊しますけれども爆弾には眼(め)がありませんからどこに落ちるか分(わか)りません。御承知の様に人道主義のアメリカは罪のない人達を傷つけたくはありません。ですから裏に書いてある都市から避難して下さい…」

裏面には高山、佐賀、浦和など十二の都市名があります。そのうち高山と鳥取を除く十都市が予告通り空爆されました。

目のない爆弾の都市への投下が人道主義であるはずはありませんが、その延長線上で、米軍は広島、長崎を原爆で破壊することになります。無差別爆撃の思想が行き着く果ての姿です。

人道主義の言い訳のような予告ではありますが、市民はなぜ、逃れることができなかったのか。

早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)と大阪空襲訴訟の大前治弁護士の共著『検証防空法』(法律文化社)は、その一例として、青森空襲の経緯を追跡しています。

米軍機が青森市上空で伝単の散布を始めたのは四五年七月二十日ごろでした。市民は次々郊外へ避難しましたが、当時の県知事と市長は、退去を禁じて消火活動などを義務付けた防空法に基づき「二十八日までに青森市に帰らないと町会台帳から削除し、物資配給を停止する」との通告を発し、避難した市民を引き戻しています。

米軍機が焼夷(しょうい)弾で青森の街を焼き払ったのはその二十八日夜。七百人を超す市民が死亡しました。「逃げるな」と命ずる防空法は何を守ろうとしたのでしょう。


◆戦傷市民に補償なし
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太平洋戦争の空襲被害は四十七都道府県すべてに及び、犠牲になった非戦闘員は五十万人以上といわれます。国から恩給が支給される旧軍人・旧軍属やその遺族とは異なり、民間の空襲被害者には何の補償もありません。

戦傷市民は名古屋、東京、大阪で国を相手に訴訟を起こしましたが、すべて敗訴に終わりました。

先行した名古屋空襲訴訟で最高裁が示した考え方が「受忍論」です。国家の非常事態で皆が被害を受けたのだから、被害は等しく我慢すべきだ、としたのです。

では、立法措置で救済することはできないのか。

名古屋空襲で左目を失った杉山千佐子さんが「全国戦災傷害者連絡会」を組織し、国会への働き掛けを始めたのは七二年。議員立法を目指した戦時災害援護法案は八九年までに何と十四回も廃案になりました。政府は「民間人は国と雇用関係がなかった」と、援護法での救済を拒み続けました。

二〇一一年には超党派の議員連盟が発足し、新たに空襲被害者援護法案の骨格を固めました。しかし、その後の選挙で関係議員が相次いで落選し、法案提出の見通しが立たなくなってしまいました。

戦後七十年を数え、被害者の高齢化は進む。名古屋市など民間戦傷者への見舞金制度を設けた自治体はありますが、国は、このまま時間切れを待つのでしょうか。

救済運動の先頭に立ってきた杉山さんは今年、百歳です。


◆日本も仕掛けた空襲
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無論、被害ばかりに目を奪われるわけにはいかない。日本は、空襲を仕掛けた側でもあります。

三八年から四三年まで、日本は中国四川省重慶と近郊都市への空爆を繰り返しました。重慶爆撃です。死者一万人以上、倒壊家屋一万五千棟といわれます。無差別爆撃以外の何物でもありません。

ライト兄弟の初飛行は一九〇三年。イタリア軍機が初めて空から爆弾を投下したのは一一年。人類は、飛行機の発明からわずか八年で空襲を始めたわけです。

空襲は、前線と銃後の境界線をなくし、市民を傷つけます。第一次大戦13%。第二次大戦70%、ベトナム戦争90%…。全死者に占める非戦闘員の割合の増え方が、空襲とは何かを物語ります。

過去の話ではありません。今は無人機が街を爆撃します。機上に人はいなくなっても、攻撃される街では今も変わらず、市民が暮らしているはずです。

市民はいつまで、犠牲にならなくてはならないのでしょうか。
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[産経新聞] 【主張】新国立競技場 混乱収拾へ首相の出番だ (2015年06月28日)

五輪を開催する上で、メーン会場は開催国の国情を映す鏡になる。

新国立競技場(東京都新宿区)の建設をめぐる国や都の混乱は、2020年東京五輪・パラリンピックの開催能力に大きな疑問符をつける問題であることを、改めて指摘したい。

建設費は当初の予定を約900億円上回り、約2500億円に膨らむ見通しだ。事業主体の文部科学省は近く建設業者と工事契約を結ぶ方針だが、建設費の一部負担をめぐる国と東京都との対立に出口は見えない。

混乱を収めるには、この国家プロジェクトの責任者である安倍晋三首相が前面に出て、関係機関や国民に理解を求めるしかないのではないか。

開閉式屋根の設置先送りや、観客席の一部仮設化など、相次ぐ計画変更には国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も懸念を示している。

20年五輪の招致に際し、IOCに「安心、安全、確実」な大会運営を約束し、「日本にやって来るアスリートにも責任を持っている」と強調したのは、他ならぬ安倍首相である。

新国立競技場の計画を前進させて世界の信頼や、招致時にみられた国内の一体感を、一刻も早く取り戻してほしい。

約500億円とされる都の一部負担に舛添要一知事が慎重なのは、住民監査請求を意識してのことだ。都側の懸念をぬぐうためにも、国は建設費や一部負担額の根拠を開示する必要がある。

将来、同じ問題を繰り返さないため、今回の混乱の経緯を検証し、責任の所在を明らかにすることも当然である。

日本の首都に国際規格を備えたナショナル・スタジアムを構え、世界的な国際競技大会を開く。そんな国民やスポーツ界の願いが、新国立競技場の出発点にあることを忘れてはならない。大観衆の大歓声は、競技に一層の感動や興奮を与える。

「新国立」を五輪に間に合わせることは、国民の願いをかなえると同時に、日本の力を世界に示すことにもなる。

「東京に任せてよかった」と世界をうなずかせることは、「信用」という遺産となって20年以降の日本を支えるだろう。その説明を尽くせば、国民や都民の理解も得られるはずだ。
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