2015年04月30日

[産経新聞] 【主張】日米首脳会談 地球規模の同盟実践を TPP妥結で経済新秩序築け (2015年04月30日)

「世界の中の日米同盟」への大きな歩みを記した。

安倍晋三首相とオバマ大統領の首脳会談は、両国の協力関係を地球規模へ拡大する方針を確認し、内外に強く発信した。首相は「同盟の歴史に新たな一ページを開いた」と語った。

「不動の同盟国」を支える柱は、改定された防衛協力指針(ガイドライン)に基づく関係の強化である。日本の防衛に加え、世界の平和と安定に両国が手を携えていく路線を敷いたといえる。

《「南シナ海」が試金石に》

併せて、両首脳は経済分野でも共に世界の秩序を維持、構築していくことを確認した。安全保障、経済のいずれにおいても、念頭には台頭する中国への対処があるが、オバマ政権は日本との連携重視の姿勢を鮮明にした。

新ガイドラインを現実に機能させるための安全保障法制の見直しや貿易交渉、それに伴う国内対応など、同盟のステージを現実に高めるための課題は多い。それらの取り組みを加速させる、両首脳の指導力が一層求められる。

会談後の会見で、大統領は日本を「地球規模のパートナー」と位置付け、歓迎式典では同盟が「未来に照準を合わせている」とも語った。首相は「同盟が世界の平和と繁栄に主導的な役割を果たす」と会談で応えた。

自由と民主主義、基本的人権、法の支配といった、同盟の根幹にある基本的価値の共有を両首脳が改めて強調した意義も大きい。

経済大国になったとはいえ、共産党支配が続く中国は、軍事力を背景に国際ルールを無視した行動を繰り返している。そうした国が国際秩序の担い手を目指すことは受け入れられないと、日米は再確認した。

発表された共同ビジョン声明は、中国による南シナ海進出やロシアのクリミア併合を念頭に「力や強制による現状変更」を認めないと強調した。

具体的な大きな課題として、南シナ海で岩礁の埋め立てを進める中国をどう押さえ込んでいくかが浮上している。両首脳はこの問題でも、中国の一方的な現状変更の試みに反対することを確認した。他の同盟国、友好国を巻き込み、それを阻む方策を打ち出せるかは新たな日米関係にとっての試金石となろう。

大統領が、昨年4月の日本訪問時に続き、日米安保条約に基づき、尖閣諸島への米国の防衛義務に言及した点も評価したい。

ウクライナ情勢に関し、首相がロシアからの5月の対独戦勝記念式典への招待を断ったことを伝え、先進7カ国(G7)の連携を重視する立場を明確にしたのも、妥当なことだ。

《新投資銀でも連携保て》

今の世界経済は、膨張する中国の経済力を踏まえ、新たなルールと秩序を形成すべき転換期にある。その中で同盟がいかに対応していくかも日米間の課題として極めて重みを増している。

だからこそ、日米は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結を急がねばならない。

両首脳は、農業などの関税分野で対立する日米協議に「大きな進展があった」との認識を共有したとしているが、首脳会談の成果というにはまったく物足りない。 米議会が大統領に通商交渉の権限を委ねる、法案の審議が見通せない事情もあるのだろうが、交渉停滞を避けるため、具体的な合意時期のメドを示すべきだった。他の参加国にも妥結を働きかける具体的な行動を求めたい。

最近のオバマ大統領は「世界経済のルールを作るのは中国のような国ではない」と繰り返し、中国の恣意(しい)的な経済運営への牽制(けんせい)を強めている。安倍首相が会見で、「TPPは中国にも模範となるような経済圏」だと説明したのも、同じ問題意識からだろう。

米国はアジアに重点を戻すリバランス政策を掲げているが、中でも経済面では「米中」シフトよりも、日米両国が主導すべきTPPに軸を置く姿勢をとっている。なおさら両首脳には世界経済の秩序作りへの役割が求められる。

中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関し、両首脳は公正な組織運営の確保が重要との認識で一致した。結束の維持が肝要だ。アジアや欧州の参加国にも、中国の覇権主義への警戒心はある。日米の出方を注視していることを忘れてはならない。
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[東京新聞] 日米首脳会談 物言う同盟でありたい (2015年04月30日)

戦後七十年という節目の日米首脳会談である。敵国同士の和解は先人の努力の賜物(たまもの)だが、相手に物を言わず、従うだけでは「同盟国」とは言えない。

ホワイトハウスで行われた安倍晋三首相とオバマ大統領との首脳会談。終了後発表した「共同ビジョン声明」で両首脳は、日米がかつての「敵対国」から「不動の同盟国」となったと宣言した。

日本の首相にとって、小泉純一郎氏の二〇〇六年以来、九年ぶりの公式訪問だ。首相がリンカーン大統領を顕彰する記念堂を訪問する際、大統領が案内役を買って出るなど、厚遇ぶりも目立つ。


◆不戦が戦後の出発点
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共同記者会見の冒頭、大統領は「お互いのために」と日本語で切り出し、「これが日米同盟の本質だ。世界にとっても教訓になる。首相がアーリントン国立墓地を訪れたことに感謝する。過去を克服できることを示す」と述べた。

首相も「私たちには一つの夢がある。平和と繁栄で満ちあふれた社会をつくることだ。日米が新しい時代を切り開く決意を、大統領と確認した」と応じた。

七十年前まで戦火を交えた両国が和解し、世界の平和と繁栄に力を合わせることは、国際社会にとって教訓となり得る。地球規模で広げたい、望ましい姿である。

その出発点が、日本が二度と侵略戦争をしないと反省し、その決意を憲法に書き込んだことにあることをいま一度思い起こしたい。

その後、日米安全保障条約を締結、改定し、米軍に日本駐留を認める一方、自衛隊という実力組織を持つに至ったが、「専守防衛」政策の下、抑制的な防衛力整備、安全保障政策に努めてきた。

それが、戦後日本の繁栄につながり、日本が再びアジア・太平洋地域の軍事上の懸念材料とならなかった要因でもある。


◆憲法制約あるはずだ
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そのアジア・太平洋地域で、新たな懸念材料となっているのが中国の台頭であり、今回の首脳会談でも、日米両国が同盟強化を確認した主たる背景となっている。

共同会見で首相は、中国の海洋進出などを念頭に「いかなる一方的な現状変更の試みにも一致して断固反対する」と表明し、大統領も中国による南シナ海での岩礁埋め立てや施設建設に日米が懸念を共有していることに言及した。

首脳会談の開催に合わせて、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改定したのも、自衛隊と米軍が連携を強化すれば、中国を念頭に、抑止力が高まるというのが、日米両政府の説明だ。

環太平洋連携協定(TPP)交渉の妥結を急ぐのも、貿易ルールづくりに先手を打つ意味合いがあるのだろうし、アジアインフラ投資銀行(AIIB)参加を日米がそろって見送ったのも、中国への警戒感からだろう。

中国はすでに世界第二の経済大国であり、今後も成長が見込まれる。大統領が言うように「平和的台頭は歓迎」されるべきであり、中国に対しては、力による現状変更は許されないと、今後も粘り強く説いていくべきだろう。

首相は「いかなる紛争も力の行使ではなく、国際法に基づいて平和的に解決されるべきだ」と述べた。平和憲法を持つ日本の首相なら、なおさら発言は当然だ。

しかし、再改定後の新指針は自衛隊の役割を大幅に拡大し、活動地域も地球規模に広げる。政府自身が長年、認めてこなかった「集団的自衛権の行使」も前提だ。

海外で武力の行使をしない「専守防衛」の憲法規定や、極東を対象範囲とする日米安全保障条約の枠組みをも超える。

周辺国に軍事大国化の意図を疑われ、軍拡競争の「安全保障のジレンマ」に陥ってはならない。力による刺激は建設的ではない。

新指針に対する米国の歓迎ぶりは、内容が同盟国に役割分担を求める米国の意向に沿ったものだからだ。首相自身も目指す方向性だとはいえ、日本の首相なら米国の意向をくむより、憲法の制約をまず伝えるべきでなかったか。

米国との合意を盾に国内の異論を封じ、安全保障法制整備を強行することがあってはならない。


◆沖縄県民の反対無視
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米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)について、首相は翁長雄志県知事が名護市辺野古への「県内移設」に反対していることに言及し、両首脳は辺野古移設が唯一の解決策であると確認した。これでは翁長氏の真意は伝わらず、県民の意向は無視されたも同然だ。

在日米軍基地の74%という過重な基地負担を一地域が負う同盟関係はやはりいびつだ。

これ以上、辺野古移設を強引に進めれば、ほかの米軍基地も県民の敵意に囲まれ、脆弱(ぜいじゃく)性を抱え込むことになる。「不動の同盟」関係とは言えなくなる。
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[毎日新聞] 社説:日米同盟強化 中国けん制に偏らずに (2015年04月30日)

日米両国は、戦後70年という歴史の節目でかつての交戦国同士が和解し、「不動の同盟」に発展したことを確認し合った。そのこと自体は意義がある。しかし、同盟を強化する動機が、台頭する中国をけん制することに偏り過ぎてはいけない。

安倍晋三首相が、日本の首相としては初めて米議会上下両院合同会議に登場し、「希望の同盟へ」と題して英語で演説した。

首相は日米の出発点が明治維新に先立つ150年以上前にさかのぼるとして「アメリカとの出会いとは民主主義との遭遇だった」と語った。日本の近代化が米国に支えられてきたことへの謝意でもあった。

◇重層的な地域安定策を

さらに首相は同じ価値観に基づく日米同盟を、世界に貢献する「希望の同盟」と呼ぼうと訴えた。

米国は国際政治から軍事、経済、文化の各方面でいまだに絶大な力を持った国だ。ベトナム戦争やイラク戦争など米国はいくつもの過ちを犯してきたが、米国の民主主義はそれを修復するダイナミズムも持っている。そんな米国との関係が日本外交の基軸であることは間違いない。

しかし、演説で際立ったのは、中国の軍事的拡張や中国中心の経済秩序を日米同盟によって抑止またはけん制しようとする意図だ。

首相はアジアの海について「三つの原則」を提起した。国際法に基づいて主張すること、自己主張のために武力や威嚇を用いないこと、そして紛争の解決は平和的手段によること、である。

名指しこそ避けたものの、中国向けに語られたことは明らかだ。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)についても「単なる経済的利益を超えた、安全保障上の大きな意義がある」と強調した。

オバマ米大統領と安倍首相との個人的な信頼関係は決して強いものではなかった。それでも今回、米国が首相を厚遇したのは、日本の新たな安全保障法制がオバマ政権の「リバランス(再均衡)政策」を積極的に補完し、かつ首相の訪米で最終段階に入ったTPP交渉に弾みがつくと判断したからだろう。

逆に安倍政権は、自衛隊による対米支援活動を全世界規模に広げる方針を打ち出すことで、東アジアに対する米軍の関与を確かなものにしたいという狙いがあった。

つまり今回の日米同盟強化は、中国をにらんでの打算の産物でもある。しかし、中国の国力は今後も伸びていく。日米中3カ国がアジア太平洋で共存していく長期ビジョンがなければ、日米同盟がかつての旧ソ連向けと同様に、中国封じ込めを主目的にするものになってしまう。

日米同盟がアジア地域の安定に貢献するには、より複眼的で重層的なアプローチが必要だろう。米国にとっても、アジアの近隣諸国に信頼される日本であってこそ、同盟の相手として価値があるはずだ。

演説で看過できないのは、首相が新たな安保法制について「この夏までに成就させます」と、事実上の対米公約に踏み込んだことだ。

集団的自衛権の行使容認や日米軍事協力の飛躍的な拡大を柱とした安保法制は、首相の訪米直前に自民、公明両党間で実質合意に達したばかりである。まだ法案の閣議決定すらなされていない。

◇辺野古移設は再考を

日本の安保政策を根本的に転換させる重大な法制であるにもかかわらず、あらかじめ期限を切って他国に成立を約束したのは、国会をはなはだしく軽視するものだ。野党がいくら抵抗しようとも、強行採決で成立させるという宣言に等しい。

歴史認識に関しては「先の大戦に対する痛切な反省」を表明した。歴代首相の認識と変わりはないとも語った。首相に対して、米国主導の戦後秩序に挑戦しているとの懸念があることへの釈明だろう。

今回の米議会演説は戦後70年の首相談話の先取りとも言われてきた。両者は目的を異にするものだが、国内外の関心を集めている首相談話の作成にあたっては、より明確で賢明な歴史認識を示す必要がある。

演説に先立つ日米首脳会談では、沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設問題が話し合われた。首相は、訪米に先立って沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事と会談し、知事から同県辺野古移設案への反対表明があったと大統領に説明した。しかし、それ以上の議論には発展せず、首相は「辺野古移設が唯一の解決策という立場は揺るぎない」と伝えている。

これは明らかに間違っている。

日米同盟の中核である在日米軍基地の4分の3が集中するのは沖縄県だ。その沖縄から辺野古移設は受け入れられないという明確な意思が繰り返し示されているのに、首相は直視しようとしない。

多くの不利益を強いられながら、日米同盟を実質的に支えているのが沖縄であることを考慮するならば、首相は沖縄とのこじれた関係を解きほぐすために全力を注ぐべきだ。

その方法とは、辺野古移設の実現がもはや政治的に困難であることを認め、普天間の危険性除去という原点に立ち返って米国との再交渉に臨むことだと私たちは考える。

2015年04月30日 02時30分
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[読売新聞] 日米首脳会談 世界平和と繁栄に役割果たせ (2015年04月30日)

◆対中国で「法の支配」を広めたい◆

戦後70年の節目に、日米両国が世界の平和と繁栄の維持に向け、主導的な役割を果たす意志を明示した意義は大きい。歴史的な会談と言える。

安倍首相とオバマ米大統領がワシントンで会談し、「日米共同ビジョン声明」を発表した。声明は「かつての敵対国が不動の同盟国」となり、アジアと世界のために協働していることを「和解の力を示す模範」と評価した。

安倍政権の「積極的平和主義」と、オバマ政権のアジア重視のリバランス(再均衡)戦略を通じ、日米が連携する方針も示した。

◆「不動の同盟」発信せよ◆

日米同盟は、東西冷戦中も冷戦終焉(しゅうえん)後も、地域を安定させる「国際公共財」との信頼を得てきた。今後も両政府は、政治、経済両面で世界に貢献すべきだろう。

声明は、日米関係の歩みに関連し、「過去の経験は教えとすべきであるが、将来への可能性に制約を課すべきではない」と指摘した。歴史認識を巡る中韓両国の日本批判を想定したとみられる。

首相は、共同記者会見で、慰安婦問題について、「非常に心が痛む。河野談話を見直す考えはない」と強調した。

日本は戦前・戦中への反省を踏まえつつ、未来志向で国際社会に関与することが大切である。

会談では、新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)の策定で日米同盟の抑止力と対処力が一層強化されると確認した。

オバマ氏は、尖閣諸島が日米安保条約5条に基づく米国の防衛義務の対象だと改めて明言した。

◆新防衛指針の具体化を◆

新指針は、平時から有事まで、自衛隊と米軍の切れ目のない協力を可能にする。日本周辺に限定されていた日米協力も地球規模に拡大する。いずれも画期的だ。

日米の部隊運用の調整機関や共同作戦計画を具体化し、新指針の実効性を高めたい。安保関連法案は今国会で成立させるべきだ。

米軍普天間飛行場の辺野古移設について、首相は、「唯一の解決策との立場は揺るぎない」と強調した。米軍の新型輸送機オスプレイの訓練の県外移転など、沖縄の負担軽減に努める考えも示した。オバマ氏は協力を約束した。

同盟の根幹である米軍の日本駐留を持続可能なものにするため、日米双方が基地周辺住民の負担軽減に力を入れる必要がある。

辺野古移設をめぐる日米両政府と沖縄県の主張の違いは大きい。だが、普天間飛行場の固定化を避けるには、ぶれることなく移設を進めることが欠かせない。

中国について、両首脳は、南シナ海での岩礁埋め立てを念頭に、「一方的な現状変更の試みに反対する」との立場で一致した。

日米が連携し、「法の支配」に基づく自由で開かれたアジア太平洋地域を発展させ、そこに中国を取り込むことでも合意した。

オバマ氏は、中国の強引な海洋進出について「力を拡大しようとしている。そうしたやり方は間違っている」と批判した。

東シナ海における防空識別圏の設定や恒常的な領海侵入、南シナ海での飛行場建設など、中国の一方的な行動は看過できない。

軍事、経済両面で台頭し、自己主張を強める中国に、いかに独善的な行動を自制させるかは、国際社会の共通課題だ。

日米両国は、国際ルールに沿った話し合いによる問題解決を中国に働きかける必要がある。

環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、会談では、先週の日米閣僚協議の「進展」を歓迎した。日米協議の前進が12か国の全体交渉を推進するとして、日米が早期妥結を主導する方針も確認した。

TPPは、成長が著しいアジアに高いレベルの自由貿易・投資ルールを確立し、将来的には安定的な国際経済秩序に中国を組み込むという戦略的な重要性を持つ。

◆TPP早期妥結図ろう◆

米国産米の輸入量拡大など、残された課題の克服へ、日米双方の一層の努力が求められる。

交渉の妥結には、米大統領に通商一括交渉権(TPA)を付与する法案の早期成立が不可欠である。オバマ氏には、議会の説得工作を加速させる責任がある。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)について、首相は、個別融資案件の厳重な審査など「公正なガバナンス」の必要性を指摘した。オバマ氏も、融資基準の透明性の確保が重要だと語った。

AIIBには、国際金融機関としての運営の公平性などに強い懸念がある。日米両国が参加を見合わせているのは妥当だ。今後も中国の出方を慎重に注視したい。
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[朝日新聞] 日米首脳会談―核廃絶へ、次は行動だ (2015年04月30日)

「広島、長崎の被爆70年において、核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末を思い起こす」

オバマ米大統領と安倍首相が、核不拡散条約(NPT)再検討会議に関して、共同声明を発表した。

米国では原爆投下は正当だったという意見が根強い。そんな中、トップが核の非人道性に踏み込んだことは意義深く、核廃絶への一歩と評価したい。

被爆国の日本は、もとより核廃絶の先頭に立つべき国だ。最大の核大国である米国と連携し、果たしうる役割は大きい。

声明の背景には、NPTに基づく核不拡散体制が揺らいでいることへの危機感があった。

非核保有国の間では、米ロ中英仏など核保有国の核軍縮のスピードが遅く、「核なき世界」への展望がいっこうに開けぬことへの不満が高まっている。

日米両国はその実現に向けた努力を改めて宣言した。積極的に行動していく責任がある。

声明は「即時に採らねばならぬ措置」として、米国とロシアの交渉を通じたいっそうの核削減をかかげた。さらに、議会の抵抗で米国が批准できていない包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効も挙げた。

いずれも、当事国の米国がただちに着手すべき課題だ。

ただ、楽観はできない。

共同声明は、核軍縮はあくまで段階的に進められるべきだ、との考えを強調した。

「核兵器は非人道的。だから国際法で明確に禁止しよう」とする一部の非核保有国の動きには距離を置くものだ。

米国は核兵器を安全保障の根幹に据え、日本はその傘に依存する。にわかに非合法化に応じられないにしても、非核保有国側の失望は必至だ。

NPT再検討会議では、核の非合法化が論点となりそうだ。日米としてもっと歩み寄る道を探ってもらいたい。

一方で声明は、日米安保体制の核の傘のあり方には言及しなかった。

オバマ政権は核兵器の役割低減に力を注ぐ。核保有の目的を「相手からの核攻撃の抑止」に限り、相手より先に核を使わないと約束する政策も視野に入れる。だが日本は核実験を繰り返す北朝鮮や、中国の核の脅威を理由に、「核の傘」の維持にこだわる方針を崩さない。

核の脅しで身を守ろうとする発想を変えない限り、相手の核依存も変わるまい。

核廃絶を実現するには「核の傘」からの脱却が不可欠だ。その具体的な道筋を、日本が率先して探っていく必要がある。
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[朝日新聞] 日米首脳会談―「和解の力」を礎にして (2015年04月30日)

戦後70年の日米首脳会談である。訪米した安倍首相とオバマ大統領がホワイトハウスで会談し、安全保障、経済の両面で、強い連携をうたいあげた。

両首脳の共同声明では、こんな認識が示されている。

「かつての敵対国が不動の同盟国となり、アジアや世界において共通の利益や普遍的な価値を促進するために協働しており、和解の力を示す模範となっている」

70年前、米国を中心とする連合国との戦争に敗れ、占領された日本。そこから民主主義国として再出発し、憲法9条と日米安保条約を基盤に平和国家を築いてきた。

その延長線上に、日米とアジアの未来を描けるか。まさに、和解の力が針路を定める原点でなければならない。

両首脳が意識しているのは、大国化した中国の存在である。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の18年ぶりの改定は対中戦略の一環だ。

両首脳が合意への決意を示した環太平洋経済連携協定(TPP)も、米国中心の国際秩序にいかに中国を組み込むか、という発想が根底にある。

日米にとって中国は明確な敵ではない。経済の関係を深め、安全保障上の危機を回避するため、知恵を絞って向き合うべき相手である。必要なのは、やはり和解の力に違いない。

今回の訪米で、米側が安倍首相の歴史認識に注目しているのも、そのためだ。米国や中国、韓国と共有できる歴史認識に立って、粘り強く地域の安定をめざすことが日本のリーダーには求められる。

共同会見でオバマ氏は「日本の軍事力の展開にすぐに大きな変化があるとは思わない」と述べた。日米同盟の強化とあわせて「中国との軍同士の協力も強化したい」とも語った。

同盟の目的は、地域の安定であり、中国と敵対することではない。そんな考えが鮮明に表れている。

気がかりなのは、沖縄の普天間問題だ。辺野古以外の選択肢を模索しない両政府の姿勢は、日米安保の効果的な運用を妨げる可能性がある。

首脳会談の開かれた28日は、沖縄にとって「屈辱の日」とされる。52年にサンフランシスコ講和条約で日本が主権を取り戻す一方、沖縄などが米国統治下に残された。首脳会談は沖縄を再び置き去りにする内容だったと言うほかない。

この断絶を放置して同盟強化をうたってもむなしい。ここでも、和解の力が試される。
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2015年04月29日

[産経新聞] 【主張】電源構成案 原発活用は現実的選択だ (2015年04月29日)

電源に占める原子力発電の比率を東日本大震災前の約30%から20?22%に引き下げる一方、太陽光などの再生可能エネルギーは、水力を含めて22?24%と現行の2倍程度に高める。

2030(平成42)年時点の電源構成目標として政府が示した案は、今後も原発を一定規模で継続活用する方針を明記したものである。資源が乏しい日本にとって現実的な判断といえよう。

電力の安定供給を確保し、電気代の上昇を抑制して地球環境対策を進めるうえで原発は不可欠だ。政府は方針に従って原発に向き合い、安全性を確認した原発の早期再稼働を主導すべきだ。

電源構成目標は、海外における資源開発や燃料調達など、長期的なエネルギー政策を立案するための基礎と位置付けられている。

経済産業省の有識者会議に示された政府案によると、液化天然ガス(LNG)と石炭、石油を燃料とする火力発電比率を50%台半ばに設定し、残りを再生エネと原発で賄うとした。

国内では東京電力福島第1原発事故後、一昨年9月から稼働原発がゼロの状態に陥っている。現状では電源の9割近くを火力に依存しており、料金上昇や温室効果ガスの排出増を招いている。

こうした弊害を除去するうえでも、中長期的な電源構成の目標を立て、極端に火力に偏った状況を見直すのは妥当かつ急務だ。

重要なのは、原発を含め多様な電源を効率よく組み合わせ、活用する姿勢だ。それは先進国で最低水準のエネルギー自給率を向上させることにつながり、安全保障の観点からも重要である。

今後も継続して原発を活用するには、稼働開始から40年を経た高経年原発の運転を例外的に延長するだけでなく、建て替え、新増設なども欠かせない。政府は早急に計画を具体化させるべきだ。

環境負荷が小さく、自給率向上に資する再生エネを高めるのは当然である。地域産業としての期待もある。だが、太陽光や風力は供給安定性に欠け、発電コストが高いなど多くの課題を抱える。

固定価格買い取り制度の導入で、家計や企業の負担金も急増している。政府案には3年ごとに電源構成を見直す方針も盛り込まれた。競争入札で再生エネのコストを引き下げるなど、実態を踏まえた制度改革も欠かせない。
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[産経新聞] 【主張】ASEAN 「対中」で日米が後押しを (2015年04月29日)

マレーシアで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が、中国による南シナ海での岩礁埋め立て強行について、「深い懸念を共有する」との議長声明を発表した。

ASEAN10カ国は、その大半が経済的に中国と強く結び付いており、個々には対中関係で濃淡がある。それでも、南シナ海問題では結束して声を上げたことを評価したい。

注目すべきなのは、国際ルールを無視した中国の海洋進出に対し、日米両国も時を同じくして懸念を鮮明に打ち出した点だ。ASEANの結束を、日米が後押ししていくことが重要である。

中国は南シナ海の複数の岩礁を埋め立て、滑走路を建設するなど軍事拠点化を急いでいる。力による現状変更の試みは看過できない。南シナ海の大半を領海とする中国の主張も根拠がない。

間近で脅威に直面しながら、ASEAN諸国は経済関係を考慮して、中国との対立を避ける傾向にある。議長声明も、中国に配慮する文言が模索された。

会議では、フィリピンのアキノ大統領が中国批判を展開し、「大規模な埋め立ては地域の平和と安全を脅かしている」とASEANの結束を呼びかけた。

すでに、ASEANは中国との間で、南シナ海での紛争回避のための「行動宣言」を採択し、法的拘束力を持つ「行動規範」への格上げを目指している。だが、中国は行動を自制しておらず、格上げの協議も進んでいない。

南シナ海問題で、米国家安全保障会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長は、中国への強い警戒感を示すとともに、オバマ大統領と安倍晋三首相の首脳会談の議題になると位置付けた。

首脳会談に先立つ日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)でもこの問題が取り上げられ、「法の支配が重要」との認識で一致した。

委員会後の会見で、ケリー米国務長官は中国を念頭に「小国に対する大国の特権」は認めないと強調し、中谷元(げん)防衛相は「南シナ海の問題は日米、地域共通の関心事項だ」と語った。

改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)は、国際社会での両国の協力拡大もうたった。ASEAN支援をその実例とすべく、取り組んでほしい。
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[東京新聞] 「大阪都」投票へ 自治の在り方考えたい (2015年04月29日)

「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が告示された。大都市の在り方を直接、住民に問う過去に例のない試みだ。その結果が左右するのは、大阪の将来ばかりではない。無関心ではいられまい。

橋下徹大阪市長が掲げる都構想は、人口二百六十万人の大阪市を五つの特別区に分割し、都市開発やインフラ整備などの権限を大阪府に集中させるものだ。特別区は公選区長と議会を持ち、福祉や教育などの住民サービスを担う。

五月十七日の投票で賛成が反対を一票でも上回れば、大阪市は二〇一七年四月で廃止され、東京とほぼ同じ形の自治制度に移行することになる。

橋下市長が率いる大阪維新の会は「大阪市が政令指定都市として強い権限を持つため、府市が競い合って大規模開発や病院運営などを手掛ける二重行政で無駄を生んできた」と指摘。広域行政を府に一元化することで、財政効果は向こう十七年間で二千六百億円に上ると主張する。

府市両議会で野党の自民、民主、公明、共産は「市を廃止しなくても二重行政は解消できる」と反論し、「維新が言うほどの財政効果はなく、サービスの水準も低下する」と主張する。

商都と呼ばれた大阪の地盤沈下は指摘されて久しい。裕福な住民は郊外に流出し、生活保護受給者が全国でも群を抜いて多い。

このような状況の中で持続可能な大都市の将来像をいかに描くのか。その論点は本来、地方政治の最重要課題だったはずである。

ところが、異論に耳を傾けようとしない橋下市長と野党四党の間で議論が深まることはなく、都構想は一時、暗礁に乗り上げた。

両議会での議論が熟さぬまま突然、住民投票が決まったのは、都構想に反対していた公明党が「住民投票実施には協力する」と不可解な方針転換をしたためである。

自民党の姿勢も有権者を困惑させる。大阪府連は都構想に反対だが、安倍政権は悲願の改憲で手を組める橋下市長を後押しする。橋下市長が“勝利”すれば、中央政界への影響は必至という。

実施に至る経緯に疑問が残ることは残念だが、今回の投票が、これからの自治の在り方を考える試金石であることは間違いない。

政令市は二十市に増え、二重行政の問題は大阪に限らない。浜松市のように過疎地域を抱える政令市もある。その将来像をどのように描くか。大阪の試行錯誤は、他の大都市にも一石を投じよう。
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[東京新聞] 経済・通貨外交 和解が新たな地平開く (2015年04月29日)

台頭する中国を前にして日米の経済外交が迷走している。日本は米国と連携しながら中国、韓国との関係改善、和解を通じて東アジアの安定と経済発展に重要な役割を果たす時ではないか。

「二十年後、三十年後に米国は締め出されているかもしれない」−。陰りが見え始めているとはいえ、唯一の超大国アメリカの大統領が今月十七日の記者会見で口にした言葉に、多くの人が驚いたのではないか。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の実現が三月末、確実になった。これに対し、日米が主導する環太平洋連携協定(TPP)は難航している。失敗すれば米国はアジア経済圏で足場を失い、締め出されてしまうという危機感をオバマ大統領の厳しい顔が示していた。

それにしても、経済・通貨外交でこれほどの情報収集の失敗はあっただろうか。

先進国の参加を止めてAIIBの影響力を削(そ)ぎたい米国と日本の根回し、情勢判断とは裏腹に英国など先進国は雪崩を打って参加を表明。領土問題で中国と対立するフィリピンやベトナムも加わった。一方、領土や歴史認識での深刻な対立もあり、米国とともに取り残される形となった日本は今、参加すべきかどうか難しい判断を迫られている。

ただ、より大きな問題は「締め出される」という米大統領の言葉が浮き彫りにした保護主義の影ではないか。

TPPなどの地域経済協定は、相手国を選別しない自由な貿易秩序づくりを目指しながら行き詰まっている世界貿易機関(WTO)の補完と位置付けられている。

そのTPPが日米によるAIIBへの対抗策、中国包囲網に変質すれば、中国も検討中のアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)で対抗し、自由貿易の理念とは逆の地域主義や保護主義、新たな紛争につながりかねない。

この分水嶺(れい)ともいえる時期に日本はどんな役割を果たせるのか。同じ敗戦国のドイツは、戦後の長い年月を費やして周辺国との和解を進め、欧州の経済統合を主導している。

成長するアジア経済圏で対立を避け、自由で安定した経済秩序をつくるため、日本はまず中国、韓国との関係を改善し、周辺国との和解を通じた経済外交に取り組むべきではないか。和解と信頼なくしてアジアに新たな地平を開くことはできない。
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[毎日新聞] 社説:原発温存の電源構成 これでは納得できない (2015年04月29日)

これでは4年前の原発過酷事故以前に逆戻りしてしまう。経済産業省が2030年の電源構成(エネルギーミックス)案を公表した。原発比率20?22%、再生エネ22?24%という数字で、3・11後にふさわしい構成とは言い難い。

福島第1原発の事故前、電源に占める原発の比率は3割弱で、30年に5割以上まで増やす計画だった。再生可能エネルギーは約1割(水力を含む)で、2割程度にする目標を掲げていた。

原発事故を経験し、政策は変わったはずだ。昨年閣議決定したエネルギー基本計画は、「再生エネの導入を最大限加速し、再生エネ・省エネの導入や火力の効率化などにより、原発依存度を可能な限り低減させる」との方針を示している。

◇原発回帰への意思表明だ

国民の多くも、「原発に頼らない社会」を目標とした、積極的な原発低減策を期待してきた。その期待には応えていない。

事故後、新規制基準は原発の運転年数を原則40年までとした。これを守るなら、既存の原発をすべて再稼働し、建設中の原発を稼働させても、30年の原発比率は15%程度にしかならない。

これを上回る原発20?22%という数値は、老朽原発の運転延長か、原発の建て替え・新増設を意味し、「原発依存」の表明となっている。再生エネ22?24%も最大限の導入からは程遠い。ここにも、原発の枠を先に確保する「原発優先」主義が影響している。

私たちは、地震国日本にとって原発のリスクは大きすぎ、できるだけ早く原発から脱することをめざすべきだと主張してきた。経済的なリスクやエネルギー安全保障の観点から再稼働をすべて否定はしないが、原発を動かし続ける限り使用済み核燃料がたまり続けるという点も考えれば、原発は持続可能性のあるエネルギー源とは考えられない。

電源構成も、核のゴミの処分を将来世代に押し付けたまま現世代の経済活動ばかりを考えることの是非を抜きには語れないはずだ。

にもかかわらず、今回はそうした困難な問題を置き去りにしたまま原発温存を打ち出しており、同意できない。

電源構成の数値をはじく上での前提にも疑問がある。政府は再生エネを拡大できない理由として固定価格買い取り制度(FIT)や送電網の拡充などによるコスト高をあげる。確かに、電力料金の上昇は無視できないが、原発依存を減らすためなら、ある程度のコストを負担することもやむをえないのではないだろうか。さらに、送電網拡充の費用を誰がどう負担するかの議論も必要だ。

ただ、送電網の拡充は今すぐ必要なわけではなく、再生エネを系統に入れにくい制度の改善が先決だ。廃炉によって余る送電網の有効活用や送電網に負担の少ないエネルギーの地産地消も重要で、これを進めればさらなる拡大の余地はあるのではないだろうか。

新たに示された発電コストの試算では原発の発電コストの下限が最安値となっている。しかし、安全対策のコストや事故対応費が十分に反映されているのか疑問が残る。追加安全対策を取ったからといって事故発生頻度を半減させる計算の仕方には異論もあるはずだ。専門家の見解をさらに広く聞いて、国民が納得できる説明を尽くしてほしい。

◇疑問残る政策の決め方

政府が原発で2割以上を確保したいと思っても、簡単ではないという現実にも目を向ける必要がある。

老朽原発を運転延長しようと思えば安全対策コストがかさむ。立地自治体や住民の了解を得るのもむずかしい。経営判断で廃炉を決める電力会社は今後もあるだろう。たとえ延長できたとしてもトラブルが増す可能性はあり、安定運転できる保証はない。

それなら、より安全な新世代原発を建設しようとの議論も出てきそうだ。しかし、トラブルで完成が何年も延期され、建設コストが膨れあがっている例も海外にはある。今後、電力自由化が進むと、市場原理で原発が押し出される可能性も否定できない。

こうした現実に目をつぶって、原発頼みの数値を掲げてしまうとどうなるか。再生エネと省エネを最大限進めつつ、二酸化炭素を削減していこうとする社会変革をにぶらせ、原発の電力が足りないとなった時に、結局、化石燃料を使うという事態になりかねない。そうなれば、二酸化炭素が増加し、海外に燃料費を払うことになってしまう。

そもそも、国民の目から見て釈然としない電源構成が出てくるのは、政策決定の方法が原発事故前と変わらず、旧態依然としているためでもあるだろう。電源構成を検討している審議会は原発維持・推進派がほとんどで、まず原発比率ありきなのではないかと疑わせる議論の進め方にも問題がある。

こうしたやり方では国民の信頼も協力も得られないのではないだろうか。まずは、脱原発依存という政策目標をはっきりさせた上で、電源構成を考えるべきだ。

2015年04月29日 02時30分
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[読売新聞] 2030年電源構成 エネルギーの安定に資するか (2015年04月29日)

◆原発新増設の必要性を明示せよ

電力は日本の経済・社会を支える極めて重要なインフラである。

電源構成の将来像は、安全性はもとより経済性やエネルギー安全保障、地球環境への影響を総合的に判断して定めるべきだ。

経済産業省の有識者会議が、2030年の望ましい電源構成案を公表した。これを踏まえ、5月中にも政府案が決定される。

東日本大震災前に29%だった原子力発電の比率を「20?22%」とし、10%の再生可能エネルギーは「22?24%」に倍増する。残りは火力発電で賄う内容だ。

◆高コスト体質が心配だ

政府は、電源構成をもとに温室効果ガス削減目標を定め、6月の先進7か国首脳会議で示す。

安全性の確保を前提に一定の原発比率を維持する。環境負荷の小さい再生エネは、コストを勘案しながら最大限活用する。燃料を輸入に頼る火力は抑制する。こうした方向性は妥当だろう。

燃料費が安く、昼夜を問わず発電するベースロード電源は、原発と石炭火力、再生エネの水力・地熱の合計で56%とした。

経産省や自民党が掲げたベースロード電源6割という安定供給の条件にも配慮したと言える。

問題なのは、震災前より家庭で2割、企業は3割も上がった電気料金が、30年になってもあまり下がらない見通しであることだ。

発電費用の高い再生エネの拡大によって、電力の高コスト体質が改善されないためである。

電気料金の高止まりのハンデを負って、日本企業は厳しい国際競争を勝ち抜けるか。家計のやり繰りが苦しくならないか。経済成長や国民生活への影響を、しっかり検証する必要がある。

発電費用が低く、二酸化炭素を排出しない原発は、料金抑制と環境保全の両面で貢献しよう。

経団連は、電力コストや供給の安定性を重視して、原発を25%超とし、再生エネは15%程度にすべきだとする提言をまとめている。政府はこうした意見にも耳を傾け、有識者会議の示した電源構成案の妥当性を精査すべきだ。

無論、将来の電源構成を掲げるだけでは、電力の90%を火力に依存する危機的な現状を解消できない。安全性を確認できた原発の再稼働を着実に進めることが、何より重要だ。

◆最終処分場確保も急務

気がかりなのは、原発を運転開始から40年で廃炉にする原則を厳格に適用していくと、2030年の原発比率は最高でも15%にとどまることである。

新規制基準に基づく安全審査をパスすれば、運転期間は最長60年間に延長できる。原子力規制委員会による審査を円滑に機能させ、既存の原発を有効活用したい。

30年以降も原発を主要電源として利用し、必要な人材を確保・育成するには、原発の更新や新増設は欠かせない。政府は今夏に予定する電源構成の正式決定にあわせて、将来的に原発を新増設する方針を明確に打ち出すべきだ。

使用済み核燃料を再処理して活用する核燃料サイクル政策の停滞も、解消が急がれる。

青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場が稼働しないと、多くの原発で使用済み核燃料の保管場所が満杯になり、運転が継続できなくなる恐れがある。

放射性廃棄物の最終処分場の確保も避けて通れない課題だ。政府が前面に立ち、候補地の選定に道筋をつけねばならない。

◆費用対効果の検証を

国内で自給できるクリーンな再生エネはできるだけ伸ばしたいが、費用対効果の面で今回の比率目標が現実的かどうか、さらなる検討が必要だろう。

現在、再生エネの大半を占める大規模水力は、ダムの新規開発が見込めず、大幅な上積みは望み薄と見られる。

このため、比率を22?24%に高めるには、発電単価が原発の2?3倍も高い太陽光や風力などを中心に増やさねばならない。

現行の固定価格買い取り制度で国が既に認定した太陽光や風力などの全発電設備が稼働すると、計2・7兆円の負担金が電気料金に上乗せされる。目標達成には、さらにコストがかかる。

再生エネの発電量低下に備えた火力のバックアップ電源を維持するだけでも、最大で年7000億円の費用が要る。

天候や時間帯に応じて発電量が大きく変動する再生エネの比率が高まると、電力の需給調整が困難になるという技術的な問題もある。これらにどう対処するかが、大きな課題となる。
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[朝日新聞] 外務省の広報―報道の自由を損なう (2015年04月29日)

日本政府は外国メディアに不当な圧力をかけているのではないか。そう疑われても仕方のない事態が起きている。

ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネの東京特派員カルステン・ゲルミス氏が5年余りの任期を終えるにあたって日本外国特派員協会の会報誌に回顧談を寄せ、「外務省からの攻撃にさらされるようになった」と振り返った。昨年夏、安倍政権を「歴史修正主義」と批判する記事をゲルミス氏が書いたところ、フランクフルトの日本総領事が同紙の本社を訪れ、編集幹部に抗議したのだという。

その際、総領事は「中国が反日宣伝に利用している」「金が絡んでいると疑い始めざるを得ない」と侮辱したと、ゲルミス氏は書いている。この点について外務省は否定する。

記事に対し外務省が反論するのなら、投稿などオープンな方法で伝えればいい。わざわざ本社に乗り込んで抗議するのが適切な方法だったのか。メディア側に圧力と受け止められれば、対外広報としては失策だ。

報道の自由は民主政治の根幹のひとつである。このことを外務省はどれだけ理解しているのだろうか。

米紙の東京特派員が、在米日本大使館幹部から圧力と疑われるメールを受け取っていたことも明らかになった。慰安婦問題で安倍政権批判のコメントを寄せた学者について「よく分からない人物」と評し、別の学者に取材するよう勧める内容だった。外務省は「あくまで個人的な意見」と釈明するが、特派員としては政府の圧力と受けとっても当然だ。

フランスに本部を置く「国境なき記者団」が今年2月に公表した報告は、報道の自由度ランキングで日本の順位を昨年から二つ下げ61位とした。昨年12月に施行された特定秘密保護法によって、取材のやり方次第で記者が懲役刑を受ける可能性が生じた点を重くみたためだ。

米国の非営利団体「フリーダムハウス」も同様の理由から、日本の報道の自由度が下がったと判断している。

これらの見方がすべて妥当とは限らない。ただ欧米でそんな見方が広がっていることは、意識しておく必要があろう。

外務省は外国の世論に直接働きかける「広報文化外交」を重視している。積極的に情報を発信し、日本の政策や文化への理解を深めてもらう狙いだ。しかし、いま起きているのは、外務省が率先して自国の印象を損なっているという倒錯である。根本的に考え直した方がいい。
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[朝日新聞] 原発の比率―40年超を前提にするな (2015年04月29日)

経済産業省が、2030年の電源構成(エネルギーミックス)について、きのうの審議会に骨子案を示した。省エネ対策を進めて年間の電力需要を今より17%(1961億キロワット時)減らしたうえで?水力を含む再生可能エネルギーの割合を22?24%?原子力は20?22%程度、とする中身である。

原発比率を「20?22%程度」とすることには、問題がある。

というのも、「20?22%」は事実上、40年超の原発も運転し続けることを前提にした数字だからだ。この水準を維持するには、原発を新増設するか運転を延長するしかないが、政府は「新増設は考えていない」との姿勢を崩していない。

福島第一原発の事故後、原子炉等規制法が見直され、原発は40年を寿命とする原則が決まった。この法律と整合しない数値を示すことに、正当性はあるのだろうか。

国内で建設が始まった当初、原発は30?40年の寿命が前提とされてきた。だが、新規立地が難しくなり、主として経済的な要因から運転延長が認められてきた経緯がある。

ただ、運転を長く続ければ原子炉圧力容器などが劣化し、安全性も下がる。事故後は「供給側の事情に配慮するような発想を切り離す」ことを目指して、運転を40年に制限することが改正法に盛り込まれた。

法律には原子力規制委員会の特別な審査に合格すれば1回だけ最長20年の延長が認められる規定がある。

ただ、これは法案をつくる時点で、電力不足に陥る懸念があったために「極めて例外的」なケースとして設けられたもので、規制委の田中俊一委員長も規制委発足時の会見で「(特別審査への合格は)相当困難」との認識を示している。

国内の原発は運転開始から30年を超えるものが多く、40年規制を自動的に当てはめるだけで、30年時点での原発比率は15%程度に低下する。

大地震の恐れや活断層などの問題があったり、十分な避難計画が策定できなかったりする原発については寿命をまたずに閉めることを踏まえれば、比率はさらに下がるはずだ。

電力会社側は「40年には科学的根拠がない」として、関西電力が3基について運転延長を申請する準備に入っている。しかし、審査に通るかどうか、現時点では見通せず、40年超を前提にすることには無理がある。

骨子案をもとに、政府は6月にも電源構成を決める。原発比率は再考するべきである。
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2015年04月28日

[産経新聞] 【主張】日米新防衛指針 平和守る同盟の再構築だ (2015年04月28日)

「対中国」で切れ目ない対応を

厳しさを増す安全保障環境に備え、日米同盟を格段に強化し、日本の平和と繁栄を確かなものにするための有効な手立てだ。

ニューヨークでの日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)で、18年ぶりに改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の意味合いである。

新指針は、政府与党が今国会で成立を目指す安全保障関連法案とともに、集団的自衛権の限定行使容認など政府の新たな方針を、自衛隊の現実の運用に適用する土台となるものだ。

《抑止力の実効性高めよ》

政府は関連法案の早期成立に加え、新指針に基づく日米間の調整を急ぎ、実効性のある抑止力の強化を実現してもらいたい。

新指針の最大の特徴は、日米による「切れ目のない」協力にあるといえよう。

平時の警戒・監視活動に始まり、離島占拠など「有事」には至らないグレーゾーン事態、国際紛争に対処する米国など他国軍への後方支援、集団的自衛権の行使を含む有事まで、緊張の度合いに応じて協力する態勢を整える。

1997年に策定された指針は、日本有事における協力に加え、主に朝鮮半島有事を念頭に、周辺事態での米軍への後方支援に重点を置いていた。

だが、周辺事態では米軍が危機に陥っても、自衛隊が武力を行使して助けることを認めていなかった。後方支援の活動範囲も日本の領域と「非戦闘地域」に限られ、十分とはいえなかった。

北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威には今も警戒すべきだが、深刻さの度合いを増しているのは中国の軍事的台頭である。

世界第2位の経済大国になった中国は対外的に強気の姿勢をとるようになった。軍拡に走り、尖閣諸島(沖縄県)を隙あらば奪おうとしている。南シナ海では東南アジア各国と支配を争う岩礁を勝手に埋め立て、飛行場など軍事施設を建設中だ。

力による現状変更をはかる中国の傍若無人な海洋進出を押さえ込まなければならない。その際、いきなり武力行使には至らないものでも、相手の多様な出方に対応できなければ、日本の主権、領土を守ることは困難となる。切れ目のない日米の安保協力が重要だ。

宇宙・サイバーなど、新しい戦略分野での協力も急がなければなるまい。

もう一つの特徴は、日本が新指針と安保法制を通じて自衛隊の役割を広げ、米国と手を携えながら、国際社会での平和構築に力を尽くそうとしていることだ。

オバマ大統領は中東政策をめぐって、米国がもはや「世界の警察官」ではないと表明した。米国防費削減の流れの背景にも、米国民の内向き志向がみてとれる。

《自衛隊の新たな役割も》

オバマ政権の国際秩序維持の決意が揺らいでいるようにもみえるが、それでも米軍は依然として最強であり、世界の自由と秩序を根底から支える存在だ。

アジア太平洋重視という、米国のリバランス政策をより確実なものにするため、日本は平和への役割分担を強め、米国をアジア太平洋地域の安全保障につなぎとめる必要性が出てきた。米軍側からは、南シナ海での自衛隊の監視活動を期待する声もある。これにどう応えるかも課題となろう。

米国の強いコミットメント(関与)を地域で保つことは、日本単独で守りを固めるよりも合理的な選択肢といえるだろう。

こうした方針は一部で批判のある「戦争協力への道」とはまったく異なる。平和への役割分担のために、どのような方策をとるかの政策判断である。

自衛隊と米軍の関係にとどまらない。オーストラリアなど自由と民主主義の価値観を共有する友好的な第三国とも、協力を推進していくことが有効だ。

新指針は新しい安保協力の出発点にすぎない。車の両輪となる安保法制の整備を今国会で確実に実現し、同盟の再構築につなげなければならない。

日米の調整機関の常設や共同作戦計画、訓練の進展も重要な課題だ。同時に、海外派遣など役割の拡充に応じ、自衛隊の編成、装備、人員の充実が不可欠だ。

この大きな政策転換について、安倍晋三首相が国民への説明に尽力すべきはもちろんである。
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[東京新聞] 防衛指針と安保法制 「専守」骨抜きの危うさ (2015年04月28日)

日米防衛協力指針の再改定と安全保障法制の整備により、自衛隊が海外で武力の行使をする恐れが高まる。戦後日本の「専守防衛」政策は根本から覆る。

ニューヨークでの日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)。主要議題は自衛隊と米軍の役割分担を定めた「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定である。

指針は一九七八年、日本への武力攻撃に備えて初めて策定され、九七年には朝鮮半島など日本周辺での緊急事態「周辺事態」を想定した内容に改められた。今回の再改定は十八年ぶりの見直しだ。


◆地球規模に活動拡大
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指針は国会での承認が必要な条約とは違い、立法、予算上の措置を義務付けてはいない。しかし、それは建前にすぎない。過去の例では、九七年指針に基づく周辺事態法など、指針に沿って新しい法律がつくられているのが実態だ。

米国との約束に基づき、日本政府が法整備を進める構図である。

今回は、指針再改定の日米協議と並行して、安保関連法案づくりが進められた。与党協議もきのう実質合意に達した。五月十四日にも関連法案を閣議決定し、国会提出するという。指針再改定と安保法制整備は、安倍晋三首相の就任に伴って始まった、日本の防衛政策を根本から見直すための「車の両輪」だ。

背景には中国の軍事的台頭とともに、安倍首相が掲げる「積極的平和主義」の下、自衛隊の軍事的役割を大幅に拡大し、活動地域も地球規模に広げる狙いがある。

再改定された新指針には、日米両国の活動・行動がおのおのの憲法、法令などに従って行われることに加え、「日本の行動及び活動は、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる」ことも明記されている。


◆海外で武力行使に道
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専守防衛とは、政府答弁によると「もっぱらわが国土及びその周辺において防衛を行う」「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使」することだ。

海外での武力の行使を放棄した平和憲法に則した抑制的な安全保障政策でもあり、日本国民だけで三百十万人の犠牲を出した先の大戦の深い反省に立脚している。

しかし、新指針には専守防衛を逸脱する内容が含まれている。

例えば、新たに項目を立てて明記された「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」である。

米国や第三国が武力攻撃された場合、日本が直接攻撃されていなくても、日本の存立が脅かされ、国民の生命や権利などが根底から覆される明白な危険がある場合、自衛隊と米軍が共同対処することを定めている。日本にとって「集団的自衛権の行使」である。

協力して行う作戦例に挙げられているのは、自衛隊による米軍武器の防護や機雷掃海、敵を支援する船舶の阻止、後方支援などだ。

首相は「受動的、限定的」な活動と説明してきたが、そのような作戦に踏み込めば、自衛隊も攻撃対象となり、応戦を余儀なくされる可能性は排除できない。敵側を殺傷したり、自衛隊側に犠牲者が出ることも覚悟せねばなるまい。

政府・与党はそうした危険性をどこまで認識しているのか。憲法九条の下で許され、専守防衛にも合致する活動と言い張るのか。

新指針にも明記された他国軍への後方支援にも懸念がある。「重要影響事態法案」と「国際平和支援法案」だ。

周辺事態法を改正する重要影響事態法案は現行法から地理的制限を撤廃し、米軍以外も支援対象とする。武器・弾薬補給も可能だ。

政府が日本の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」と認定すれば、自衛隊の活動範囲は地球規模に拡大する。平和憲法からも、極東を対象とした日米安全保障条約からも逸脱する。

国際平和支援法案は、これまで特別措置法で対応していた「国際社会の平和と安全」の確保のために活動する他国軍への後方支援を随時可能にする一般法だ。

国連決議などを必要とし、例外なき国会の事前承認が前提だ。戦闘現場では実施しないとの制限も付くが、戦闘現場は戦況によって刻々と変わる。専守防衛にそぐわない、犠牲覚悟の危険な任務だ。


◆戦後否定、認められぬ
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安保関連法案の内容は膨大、複雑、多岐にわたる。にもかかわらず、政府は新法は別として、現行法の改正案十本を一つの法案にして一括提出するという。高村正彦自民党副総裁は八月上旬までに、という成立期限まで明言した。あまりにも乱暴な進め方だ。

海外で武力の行使をしないという、戦後日本の生き方を否定する安保政策の変更であり、慎重な検討が必要だ。安易に認めるわけにはいかない。重大な局面を迎えていることを自覚したい。
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[毎日新聞] 社説:新日米防衛指針 国民不在の「安保改定」 (2015年04月28日)

これは自衛隊が米軍に世界規模で協力するという約束である。日米両政府は、自衛隊と米軍の役割分担を定めた新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)をまとめた。自衛隊の海外での活動は飛躍的に拡大し、日米安保体制は極東の範囲を超えて世界に広がる。国会を素通りして日米安保条約の改定に等しい大転換が行われることは同意できない。

ガイドラインは冷戦下の1978年、旧ソ連の日本侵攻に備えて作られた。冷戦終結後の97年には朝鮮半島有事などの周辺事態を想定して改定された。18年ぶりの再改定となる今回は、中国の海洋進出や軍拡への対応を意識し、地理的制約が取り払われた。協力範囲は世界中に拡大し、宇宙やサイバー空間にも及ぶ。

◇食い違う双方の思惑

再改定を提案したのは日本側だ。

オバマ政権は、アジア重視の「リバランス」(再均衡)政策を掲げるが、米国の力は相対的に低下している。中国は東シナ海や南シナ海で海洋進出を活発化させている。

日本側は「このままでは日本を守れない」「いざとなったら米国に守ってもらえないかもしれない」と考えた。そのため集団的自衛権の行使容認など安保法制の整備によって自衛隊の活動を拡大し、米国をアジアに引き付けようとしている。

この提案は、米国には渡りに船だった。米国は財政難で国防予算を削減している。日本、豪州、韓国など同盟国との協力強化や、同盟国同士の多国間協力により、米国の負担を肩代わりさせたいと考えたからだ。

同盟強化では一致しているものの、双方の思惑は微妙に食い違う。

今回、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)がガイドラインにあわせてまとめた共同文書には、沖縄県・尖閣諸島は日本防衛義務を定めた日米安保条約5条の適用範囲と明記された。ガイドラインには尖閣諸島を念頭に「島しょ防衛」が盛り込まれた。

それでも現実に尖閣周辺で日中に不測の事態が生じた場合、米国が日中間の争いに介入するかは、その時にならなければわからない。日本が米国を引き込むために自衛隊の活動をいくら拡大しても、米国が日本の期待通りに動く保証はない。

一方、米国は自衛隊が将来、南シナ海で米軍と共同で警戒監視を行うことに期待感を示す。だが、自衛隊が南シナ海にまで活動を拡大することが日本の力に見合ったものなのか、地域の安定や日本の国益につながるのか、国民の理解はあるのか、政府は冷静に判断すべきだ。

新たな安保法制の法案は5月中旬に閣議決定され国会に提出される予定だが、ガイドラインはすでに新法制の内容を反映している。

周辺事態という地理的制約は取り払われ、平時から緊急事態まで切れ目のない日米協力や、グローバルな日米協力が強調されている。

日本、朝鮮半島、台湾海峡の有事にとどまらず、東シナ海、南シナ海、インド洋、中東までのシーレーン(海上交通路)を中心とした世界各地の緊急事態を視野に入れている。

「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」の項目では、(1)武力攻撃に至らないグレーゾーン事態を含む平時(2)地理的制約なしに後方支援が可能な重要影響事態(3)日本が武力攻撃を受けた事態(日本有事)(4)他国が武力攻撃を受け集団的自衛権の行使が可能な事態(5)日本での大規模災害??での協力がずらりと並ぶ。

◇一層進む軍事の一体化

ガイドラインの文書には集団的自衛権の言葉は直接、登場しないが、行使を認める際の要件が明記され、具体的な作戦として、シーレーンの機雷掃海、弾道ミサイルの迎撃、艦船防護、強制的な船舶検査(臨検)などが例示された。米国に向かう弾道ミサイルを自衛隊が迎撃することが、憲法9条で認められた武力行使の範囲内と言えるのだろうか。

有事に設置する日米の協議機関を平時から常設することも決まり、日米の軍事一体化がさらに進む。

日米安保条約は5条で米国の日本防衛義務を、6条で日本と極東の平和と安全のために日本が米軍に基地を提供することを定めている。

ガイドラインが日米安保条約の極東の範囲を超えていることは明らかだ。政府は、ガイドラインの中核は日本防衛で、それを超えるものはオプションであって、安保条約の枠組みは変わらないというが、オプションというレベルではない。国会で安保改定の手続きを踏まずに、実質改定するようなものだ。

ガイドラインは協力の枠組みを定めたもので法的拘束力はないと政府はいうが、現実には対米約束となる。本来は憲法があり、日米安保条約があって、そのもとにガイドラインと、現実に自衛隊を動かすための安保法制が車の両輪として存在するはずだ。まるでガイドラインと安保法制が憲法や安保条約の上位にあるかのようだ。

しかも安保法制の法案が国会で審議される前に、ガイドラインが日米で合意され既成事実化するのは、順番が逆だ。これでは、際限なく自衛隊と米軍の一体化が進むことになる。国民を置き去りにした安保政策であってはならない。

2015年04月28日 02時30分
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[読売新聞] ネパール大地震 国際社会の手厚い支援が要る (2015年04月28日)

国際社会が協力し、生存者の救出や保護を急がねばならない。

ネパール中部でマグニチュード7・8の地震が発生した。インドやバングラデシュ、中国なども強い揺れに見舞われ、4か国の死者は3900人を超えた。

被害が甚大なのは、震源に近いネパールの首都カトマンズだ。多くの住宅やビルが倒壊し、生き埋めになる住民が相次いだ。道路をふさいだがれきが、救助活動を阻む。重機も足りない。

余震を恐れ、多くの人が屋外で避難生活を続ける。水や食糧、医薬品などが不足している。

交通や通信網が寸断され、被害の全容ははっきりしない。犠牲者はさらに増えるとみられる。ヒマラヤ山系では地震に伴う雪崩も発生し、登山で訪れていた日本人男性1人が亡くなった。多くの登山客が下山できずにいる。

地震発生から72時間が過ぎると、生き埋めになった人の生存率は大きく下がるという。28日午後が救助作業の一つの目安だ。一人でも多くの被災者を助けたい。

中国、インド、米国など各国が捜索・救援隊などを送り込んだ。日本政府は、2500万円相当の支援物資の提供を決め、70人の国際緊急援助隊も派遣した。他国チームとの連携が不可欠である。

ネパール周辺は、二つのプレート(岩板)がぶつかる世界有数の地震多発地帯だ。1934年には1万人以上が死亡した。

地震対策は著しく遅れている。観光以外に主要産業がなく、財政基盤が脆弱(ぜいじゃく)なため、ネパール政府は防災にまで手が回らない。

今回、倒壊したのは、レンガを積んでモルタルで固めただけの建造物がほとんどだ。

地盤が軟弱なカトマンズ周辺の特性を踏まえ、建造物の耐震化などの減災対策を進めることが重要である。各国には、救助活動の後も、復旧・復興へ向けた息の長い支援が求められる。

3月に仙台市で開かれた国連防災世界会議で「仙台防災枠組み」が採択された。災害への備えができていない途上国に対し、国際社会が財政面や技術移転、人材育成などの支援を進める内容だ。

その実効性が問われよう。

大地震の発生が懸念されていたネパールでは、日本の大学の研究者や国際協力機構(JICA)が、被害予測や防災体制の調査に携わってきた。

日本には、幾度もの震災を乗り越えた経験がある。その知見をネパールのために活用したい。
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[読売新聞] 防衛協力新指針 日米同盟の実効性を高めたい (2015年04月28日)

平時から有事まで、切れ目のない自衛隊と米軍の共同対処の大枠が整ったことを評価したい。

日米両政府は、外務・防衛担当閣僚の安保協議委員会(2プラス2)で、新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)を決定した。

安保法制の全容が固まったことを踏まえ、集団的自衛権の行使の限定容認に伴う様々な協力が盛り込まれた。海上自衛隊による米軍艦船の防護や、海上交通路(シーレーン)での機雷掃海などだ。

日本の安全確保にとって、長年の懸案だった自衛隊に対する憲法解釈上の制約の緩和は、米軍との機動的かつ柔軟な協力を大幅に強化する画期的な意味を持つ。

軍備増強や海洋進出を続ける中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への抑止力も強まる。

有事に至らないグレーゾーン事態でも「アセット(装備品)防護」による米艦防護を可能にする。

米軍も自衛隊への支援を強化する。南西諸島を念頭に置いた島嶼(とうしょ)防衛の協力は象徴的だ。作戦は自衛隊が主体的に実施し、米軍は支援・補完する立場だが、米軍の関与が明確になることで、他国に対する牽制(けんせい)効果は大きい。

双方向の協力の拡大で、日米の信頼関係は一層深まるだろう。

新指針は、自衛隊と米軍の部隊運用に関する日米共同調整所などの「同盟調整メカニズム」を平時から設置する、と明記した。

1997年策定の現指針は、危機発生後に設置するとしていた。より早い段階から日米が情報を共有し、共同対処することの重要性は、東日本大震災での米軍の「トモダチ作戦」で再認識された。

日米が効率的に役割分担し、危機の芽を迅速に摘める仕組みとすることが大切である。

現指針は、朝鮮半島有事を想定した周辺事態での日米協力に力点を置いた。新たな指針は、世界規模の日米同盟を目指し、協力の対象や地理的範囲を拡大する。

周辺事態を「重要影響事態」に改めるのに伴い、米軍に対する自衛隊の後方支援の地理的な制約を外し、日本周辺以外でも支援できるようにすることは意義深い。

新指針は、あくまで日米協力の大枠を定めるものだ。自衛隊と米軍の部隊を効果的に動かすには、様々な有事のシナリオを想定した共同計画の策定が欠かせない。

その計画に基づき、共同訓練を実施する。問題点を検証し、計画の内容を見直す。このプロセスを着実に繰り返すことこそが、日米同盟の実効性を高めよう。
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[朝日新聞] 日米防衛指針の改定―平和国家の変質を危ぶむ (2015年04月28日)

実に18年ぶりの「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)改定である。

日米両政府が今後の安全保障政策の方向性を確認する新指針には、「切れ目のない」「グローバルな」協力がうたわれ、自衛隊と米軍の「一体化」が一段と進む。憲法の制約や日米安保条約の枠組みは、どこかに置き忘れてきたかのようだ。

これまでのガイドラインは、1978年に旧ソ連の日本侵攻を想定し、97年には周辺事態を想定して改定された。今回はさらに、次元の異なる協力に踏み込むことになる。

改定の根底にあるのは、安倍政権が憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使容認に踏み切った、昨年7月の閣議決定だ。それを受けた安保法制が今国会の焦点となる。

その審議を前に、新指針には早々と集団的自衛権の行使が反映されている。自民党と公明党との間で見解の割れる機雷掃海も盛り込まれる。

対米公約を先行させ、国内の論議をないがしろにする政府の姿勢は容認しがたい。

■戦後日本の転換点に

「積極的平和主義」のもと、国際社会での日本の軍事的な役割は拡大され、海外の紛争から一定の距離を置いてきた平和主義は大幅な変更を迫られる。

それはやがて日本社会や政治のあり方に影響を与えることになろう。戦後日本の歩みを踏み外すような針路転換である。

その背景には、大国化する中国に対する日本政府の危機感がある。

――軍事的に日本より中国は強くなるかもしれない。それでも、中国より日米が強ければ東アジアの安定は保たれる。緊密な日米同盟が抑止力となり、地域の勢力均衡につながる。

そんな考えに基づき、より緊密な連携機能を構築して、共同計画を策定。情報収集や警戒監視、重要影響事態、存立危機事態、宇宙やサイバー空間の協力など、日本ができるメニューを出し尽くした感がある。

だがそれが、果たして唯一の「解」だろうか。

中国の海洋進出に対して一定の抑止力は必要だろう。だがそれは、いま日本が取り組むべき大きな課題の一部でしかない。経済、外交的な手段も合わせ、中国という存在に全力で関与しなければ、将来にわたって日本の安定は保てない。

軍事的な側面にばかり目を奪われていては、地域の平和と安定は守れまい。

■あまりにも重い負荷

新指針が示しているのはどのような日本の未来なのか。

まず多額の防衛予算を伴うはずだ。5兆円に近づく防衛費は自衛隊が海外での活動を広げれば、さらにふくらむ可能性が大きい。財政健全化や社会保障費の削減を進めながら、防衛費の大幅な拡大に国民の理解が得られるとは考えにくい。

自衛隊員への負荷はいっそう重いものとなる。

特に、戦闘現場に近づく活動が見込まれる陸上自衛隊には、過酷な任務が待ち構えている。海外で治安維持の任務にあたれば、銃を撃ったり、撃たれたりする危険がつきまとう。とっさの判断で現地の人を撃つ場面がないとは言い切れない。

国際社会で日本の軍事的な関与が強まれば、それだけテロの危険も高まるだろう。

近年は、警備の手薄な「ソフトターゲット」が攻撃される例が目立つ。外交官やNGO関係者ら日本人対象のテロを、より切実な問題として国内外で想定しなければならない。

将来的には、過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで自衛隊が米軍の後方支援に派遣される可能性もゼロとは言えない。南シナ海では、すでに米軍が警戒監視などの肩代わりを自衛隊に求め始めている。

■問われる方向感

メニューを並べるだけ並べながら日本が何もしなければ、かえって同盟は揺らぐ。米国から強い要請を受けたとき、主体的な判断ができるのだろうか。

安倍政権の発足から2年半。日本の安保政策の転換が急ピッチで進められてきた。

安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(NSC)を創設し、国家安全保障戦略(NSS)を初めて策定。特定秘密保護法が施行され、武器輸出三原則も撤廃された。

新指針では、「政府一体となっての同盟としての取り組み」が強調されている。政府が特定秘密保護法の整備を進めてきたのも、大きな理由の一つは、政府全体で秘密を共有し、対米協力を進めるためだった。

安倍政権による一連の安保政策の見直しは、この新指針に収斂(しゅうれん)されたと言っていい。

だが、国内の合意もないまま米国に手形を切り、一足飛びに安保政策の転換をはかるのは、あまりにも強引すぎる。

戦後70年の節目の年に、あらためて日本の方向感を問い直さなければならない。
posted by (-@∀@) at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 朝日新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする