2014年11月30日

[産経新聞] 【主張】黒人暴動 「ひとつの米国」忘れるな (2014年11月30日)

米中西部ミズーリ州ファーガソンで、武器を持たない黒人少年を射殺した白人警官が不起訴となり、反発した一部の黒人が暴徒化し、全米各地に抗議デモが広がった。

背景には、警察権の行使や司法の過程で、少数派の黒人が多数派の白人に比して不当に扱われているという黒人側の根深い不信感がある。混乱を速やかに収拾し、着実に人種間の融和を目指してもらいたい。

今年8月に起きた事件は、防犯ビデオの映像のような確たる証拠がなく、警察側は正当防衛を主張したが、少年は両手を上げていたとの反対の目撃証言もあった。

刑事事件の起訴、不起訴は、無作為に選ばれた一般市民で構成する地元の大陪審が決める。この事件の審理は長時間に及ぶなど異例な点もあったが、手続き通りに行われている。

事件発生時に続き、今回も一部で放火や略奪に発展したのは残念だ。暴力などの違法行為は、けっして許されるものではない。抗議はあくまでも平和的に行われるべきだ。

黒人少年の両親も「失望しているが、平和的に抗議してほしい」との声明を発表している。

オバマ米大統領は記者会見で、真っ先に「米国は法治国家だ。(不起訴処分を)受け入れる必要がある」と強調した。

米司法省はこれとは別に、警官に公民権法違反に当たる行為がなかったかどうか、調査を始めている。当局側もすべてのプロセスを尽くそうとしており、その行方も見守りたい。

奴隷制の歴史を持つ米国は、人種差別撤廃を求める公民権運動の結果、1964年に公民権法を成立させた。それから半世紀がたってなお、人種の違いを原因とする問題は絶えない。

犯罪で収監される割合は、やはり黒人が白人よりはるかに大きい。オバマ氏自身が言うように、「黒人社会は取り締まりが公平に行われていないと感じている」との指摘も少なくない。

人種的な偏見に加え、経済や教育格差が、黒人社会の貧困層の固定化につながっている。

黒人で初めて米国の指導者となったオバマ氏は、党派や人種を超えた「ひとつの米国」を目標に掲げた。長い時間はかかるだろうが、その理想に向かって努力を重ねる米社会であってほしい。
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[産経新聞] 【主張】少子化対策 各党は総合プランを示せ (2014年11月30日)

各党の政権公約(マニフェスト)で、少子化対策をメーンに掲げたものは一つもない。危機意識が薄いのではないか。

昨年の年間出生数は103万人弱で最低記録を塗り替えた。政府の推計では、これから本格的に減り始め、50年後には50万人を切るとされる。

国民が急速に減るのを食い止めなければ、国家は成り立たない。少子化対策は日本が危機を乗り切るための最重要課題であるとの認識が必要だ。

衆院選は、その議論を深める好機である。各党には、論戦を通じて出生数を増やすための具体策を語ってもらいたい。

地方の「消滅」の危機がクローズアップされたこともあり、各党が人口減少対策に言及するようになったことは一歩前進である。

だが具体性に欠けており、多くは地方活性化や女性の活躍推進政策の一環で論じられている。

少子化対策として各党が掲げているものとしては、待機児童の解消や仕事と子育ての両立支援が主流だ。自民党は待機児童解消策として「平成29年度末までに約40万人分の保育の受け皿を確保」と具体的数値も挙げている。

このような子供が生まれてからの対応も重要だが、より問われているのは、子供が生まれてこない現状の打開である。

日本の少子化の最大要因は未婚・晩婚にある。低収入のため結婚したくてもできない人や、結婚しても子供を持つことをためらう夫婦が少なくない。異性に出会う機会に恵まれない若者も増えてきている。少子化に歯止めをかけるには、こうした要因を一つずつ解決していくしかない。

各党が雇用政策や地方活性化策としてばらばらに示しているのも工夫が足りない。財源確保や政策実現のスケジュールを含めた総合プランとして、少子化対策への基本姿勢を明確にすべきだ。

政府が人口の将来像を描く「長期ビジョン」の骨子案で、「まず目指すべき水準」として合計特殊出生率を1・8程度に引き上げるとした。これに対し、「産めよ殖やせよ」の政策につながるとの批判が出ている。

結婚や出産が個人の選択であることは言うまでもない。ただ、政策効果を上げるには目標を掲げることも重要だ。過去の常識を打ち破る、思い切ったアイデアを競い合うべきだ。
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[東京新聞] 週のはじめに考える わたしの「お米物語」 (2014年11月30日)

新米が出そろう季節。なのに、いつにも増して米価は落ち込み、農家の士気は上がりません。実りの月を送りつつ、コメのこと、農業のこと、考えます。

ふるさとレンジャーは、客席の大人に語りかけました。

<米を、種から育ててみて、初めて分かったことがある。心と体で感じ取ったことがある>

愛知県常滑市西浦南小学校の五年生二十三人が、秋の学習発表会で披露した「お米物語」というお芝居のフィナーレです。

ふるさとレンジャーは、地元の良さを見つけてくれる正義のキャラクター。五年生の創作です。

五年生は社会科で「わたしたちの食生活と食料生産」について勉強します。それを受け、総合学習の時間のテーマを決めました。

「米作りを通して日本の食文化に触れよう」です。

「私たち、おコメのことを知らな過ぎる。なぜおコメは白いのか。どこで、どれだけ採れるのか。本当に食べると太るのか…」

担任の瀬古素子先生(57)のそんな思いもありました。

実際にバケツで稲を育ててみた=写真、西浦南小提供。四月から作業を始め、九月に刈り取った。もみすりや精米も体験した。災害時用の炊飯袋で煮て食べた。コメ作りには八十八の手間をかけたといわれるが、その意味が少しわかった。小さな白い花が咲くのを初めて見た。五粒の種から五十本の穂が伸びた。それぞれに平均百三十粒の小さな実り。五粒から六千五百粒−。

「お米物語」は、その“収穫物”。子どもたち一人一人の気付きや驚きを、瀬古先生は台本に盛り込みました。


◆主食とはいうものの
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名古屋市東区で和食の店を営む黒川明人さん(44)は、オランダ・ハーグのイタリア料理店などで、長年修業を積みました。

帰国して自分の店を開くとき、真っ先にしつらえたのが、ご飯を炊くかまどです。京壁師が紅殻で塗り上げた柿色が、鮮やかです。

「海外で暮らすと、そのすごさがよく分かる。炊きたての白いご飯は、うちのメーンディッシュなんですよ」と、黒川さん。

主食、すなわち国民のメーンディッシュと言いながら、今はまだ有り余る食材の渦にのまれて、コメ離れは止まりません。

コメはほぼ100%自給できるのに、主食用穀物の自給率は約六割しかありません。

この秋コメの価格が急落し、ほとんどの銘柄が一俵(六十キロ)一万円を割り込みました。去年の七割ほどにまで、落ち込んだものも出ています。日本一おいしいといわれる新潟の魚沼産コシヒカリさえ、過去最安値を記録しました。

ただでさえ高齢化が進む中、廃業するコメ農家がまた増えて、耕作放棄地が拡大します。日本の食文化を支える土台、原風景を生み出す土壌が、大げさではなく今危機に瀕(ひん)しているのです。

その上、米国は環太平洋連携協定(TPP)への参加を迫り、コメ市場の扉を大きくこじ開けようとしています。

政府は、高い補助金をつけて、牛の餌米などへの転作を勧めつつ、担い手と呼ばれる中核農家のもとに田んぼを集め、コメ作りの大規模化を図ろうとしています。大型の機械を入れて、効率よくコメを作って、輸入米に価格で対抗するためです。

ところが、たとえば福井県美浜町の担い手(40)は「畦畔(けいはん)管理、つまり草取りなんかが自分でできる範囲でしか、田んぼは引き受けられませんよ」とつぶやきます。

個人で十五ヘクタールの経営規模は、体力的にも、もう限界に近く、真夏に草取りに出る時などは、「時間までに帰らなければ様子を見に来てほしい」と家族に言い置いていくという。そんな重労働。

出来、不出来はお天気次第で、相手は生き物です。農業は、経済の物差しだけでは測れない。

稲作という文化を守るには、コメを食べ続けるしかありません。


◆学びたい、伝えたい
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コメを選ぶか、パンか、それともパスタか、ラーメンか。もちろん好みの問題です。とはいうものの、命を養い、命をはぐくむ食べ物のこと、農業のこと、私たち、街暮らしの消費者は、あまりに知らな過ぎではないですか。

「お米物語」は、こんなセリフで結ばれます。

<祖先が築いてきた日本の食文化。もっともっと学びたい>

ふるさとレンジャーは収穫の喜びを地域に伝えていくそうです。
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[毎日新聞] 社説:教研集会判決 橋下流手法への警告だ (2014年11月30日)

労働組合に便宜供与しないと規定した労使関係条例を根拠に、教育研究集会の会場として大阪市教職員組合に市立小学校を貸さなかった市の処分は裁量権を逸脱し違法である。大阪地裁はそう判断し、市に賠償支払いを命じた。組合というだけで使用を認めないことに合理的理由はないという妥当な判決だ。

判決はさらに、違法な処分を正当化するために、この規定を適用することは職員の団結権を保障する憲法28条に違反すると踏み込んだ。橋下徹市長は「団結権侵害の意図はない」と控訴する意向だが、司法が違憲と断じた意味は重い。組合に便宜供与を一切認めないという条例は見直しが必要だ。

市教組は約40年前から学校を借りて教研集会を開いてきた。教職員が授業や指導のあり方を議論し地域住民らも参加する。組合活動の側面があるといっても教育上の意義があり、学校教育の支障になったわけでもない。しかし市はそれらを考慮せず、2012年に条例が施行されると途端に不許可とした。

条例制定のきっかけは、橋下氏が初当選した11年の市長選で、市幹部や市職員の労組が組織ぐるみで橋下氏の対立候補の現職を支援したことが明るみに出たことだ。04年には市職員のヤミ年金といった職員厚遇問題が発覚しており、労使の癒着が市政不信を募らせていた。橋下氏がこうした市の体質を改めようとしたこと自体は理解できる。

橋下氏は条例を根拠に市庁舎から労組事務所を退去させてもいた。だが、大阪地裁は9月に今回と同様、違法と認定し、規定の適用を違憲とした。このほか橋下氏は労組との関わりを尋ねるアンケートを職員に強制した。これも中央労働委員会が「組合を弱体化する意図がある」として不当労働行為と認定している。

当該の条例は、庁舎内での労組の政治活動をなくして適正な労使関係を築くのが目的であるはずだ。労使の癒着など問題を招くとは思えない組合活動まで締め付けるのはやり過ぎだ。条例をたてに過度な規制を行えば、職員を萎縮させ、市政運営にもマイナスとなる。

橋下氏は労組のほか議会などを既得権益勢力と決めつけて攻撃する手法で注目を集めてきた。だが、最大の公約に掲げた大阪府・市を統合再編する「大阪都構想」は議会に反対され事実上頓挫した。反対する野党議員を協議から排除するなど強引に手続きを進めたことが大きな原因だ。

意見が異なる相手と協議を尽くさず抑え込もうとする橋下流手法はもう限界に来ている。対立ばかりを深めていては、橋下氏が唱える改革どころか市政は停滞するばかりだ。

2014年11月30日 02時40分
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[毎日新聞] 社説:豊かな海づくり 森林や河川と一体的に (2014年11月30日)

日本沿岸の水産資源を守り、河川や海の環境保全を呼びかける「全国豊かな海づくり大会」が今月中旬、奈良県で開かれた。

各都道府県に会場を移しながら毎年開き、今回は34回目。沿岸海域の環境は公害がひどかった時代に比べ改善した。しかし、漁獲量は落ち込み、生物の種類も減る傾向にある。この国を育んできた恵みを将来の世代に引き継ぐため、豊かな海の大切さを改めて認識したい。

奈良県のような海に面していない県での開催は2007年の滋賀、10年の岐阜以来。「森は海の恋人」との言葉通り、豊かな海は山と川の恩恵に支えられている。森林と水資源に富んだ奈良県での開催は、山と川、海を一体にとらえる視点が欠かせないとの考えからだ。

たとえば瀬戸内海だ。工場排水や埋め立てなどで「ひん死の海」と言われたが、今、水質は大きく改善した。年200件を超えた赤潮発生も昨年は83件だ。だが、その恵みはかつてとは比べものにならない。

漁獲高は1980年代半ばの40万トン台から、ここ数年は20万トン前後に減った。特にアサリなどの貝類の減少が著しい。海草や海藻が群生する「海のゆりかご」とも言われる藻場(もば)、河口の干潟などの自然の海岸が減ったためとみられる。

貝類などのえさとなる植物プランクトンの増殖を支える栄養塩類の減少も大きい。ある海域では30年前の半分までになったという。栄養塩は、雨水が山に積もった落ち葉や田畑などを通り、多くの生物がいる川を流れることによって、海に供給されてきた。

しかし、森や農村地帯の荒廃が、その流れを途絶えさせつつある。豊かな海づくり運動は、稚魚や稚貝を放流して自然界で大きくする「栽培漁業」が大きな柱だが、海がやせていくのを食い止めなくては効果は持続しない。

かつての「汚さない」「きれいにする」から、一歩踏み込んだ発想が求められる。その延長上にあるのが「里海」という考えだろう。「里山」にならって、海を利用しながら守り育てる試みである。

最近は、漁業者が山で植樹し、林業者が藻場や干潟の整備をするといった活動も一部で始まった。山と海の子どもが交流する校外活動の場を設け、草の根から取り組む動きもある。

この流れを加速するため、林業、農業、漁業に分かれた縦割り行政の壁は取り除かなくてはならない。農水省という一つの役所で完結できるはずだ。壁がなくなれば、山あいの自治体と海沿いの自治体との連携など、森林や河川と一体となった豊かな海づくりがもっと広がるだろう。

2014年11月30日 02時30分
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[朝日新聞] (衆院選)憲法と首相―立憲主義には逆らえない (2014年11月30日)

12月2日に公示される衆院選には、いままでの選挙とは違った重みが加わっている。

改憲のための法的手続きが整ってから、初めての国政選になるということだ。

6月の改正国民投票法の成立で、衆参両院で3分の2以上の賛成があれば、改憲案を発議し国民投票にかけられるようになった。未確定だった投票年齢が、4年後までには18歳以上とすることで決着したからだ。

いまの憲法を「みっともない」と言っていた安倍首相は、この選挙で憲法改正をどう訴えるのか。朝日新聞との会見でこう語っている。

「憲法改正は国民的な議論と理解が不可欠だ。国会で3分の2の多数を形成するのは簡単ではない。同時に国民の中で、憲法改正の議論が深まっている状況では、残念ながらない」

今回は訴えの正面にはすえず、機が熟するのを待つということか。党の公約でも、憲法改正は末尾でわずかに触れているだけだ。

だが、自民党はこうした表向きとは違う動きをみせる。

■憲法の私物化

首相は改正国民投票法が成立した直後、集団的自衛権の行使を認める9条の解釈変更に踏み切った。歴代内閣が「行使できない」としてきた憲法解釈の大転換である。

憲法についてのこんな線引きを、いつから首相ができるようになったのだろう。

自民党が12年に発表した憲法改正草案は、戦争放棄の9条1項の後に「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」との条文を加えている。

その趣旨は個別的、集団的を問わず、「自衛権の行使に何らの制約もないように規定した」のだという。

集団的自衛権の行使を認めるならば、この改正案を国会に示し、3分の2の賛成を得て国民投票に問う。これが憲法に定められた手続きのはずだ。

野党も交えた議論や国民投票をへなければできないことを、閣議決定ですませてしまう。憲法の私物化であり、立憲主義への反逆にほかならない。

■改憲への中期戦略

自民党の改正草案はすべての条項にわたっている。

ただ、実際は関連する条項ごとに個別に改正案を発議することが国会法で決められており、いっぺんに全面改正はできない。

首相は「自民党は改正全文を示している。その中で3分の2の多数派を形成できるものから行っていくというアプローチが、一番現実的ではないか」と話している。

どういうことか。

党憲法改正推進本部の幹部は「9条改正をやりたいが、世論を真っ二つにする問題。9条は2回目以降に延ばさざるを得ない」と話す。国民の抵抗が少ない条項から改正し、まずは国民の改憲への抵抗感をなくすとの狙いだ。

そこで最初のテーマとして浮上しているのが、有事や大災害時に、法律と同じ効力のある政令制定を内閣に認める緊急事態条項の新設だ。

自民党はすでに衆院憲法審査会で、このための具体的議論に入りたいと提案している。首相に極めて大きな権限を与えるものだが、首都直下型地震などが想定される中、危機への備えなら野党や国民の理解を得やすいというわけだ。

党幹部は、16年夏の参院選をめどに最初の改正案をまとめたいと公言。改憲に向け、地方議会に意見書を可決するよう促したり、各地で党員向け研修会を開いたりしている。

首相は憲法改正は遠い先の課題のようにいうが、実は準備は着々と進めているのだ。

■個人より国家を尊重

憲法は不磨の大典ではなく、必要なら改めればよい。

ただ、それにしても自民党草案は問題だらけだ。端的なのが、個人の尊重を定めた13条の扱いだ。

一人ひとりが国家からの介入なしに自由に生きる。この近代の人権保障の核心を、13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定する。

だが、自民党草案は13条から「個」を奪い、「人として尊重される」と改めた。

さらに、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」の尊重には、「公共の福祉」に代え、「公益及び公の秩序」に反しない限りとの縛りをかけている。

わずかな文言の違いではあるが、個人よりも国家に重きを置く思想が色濃い。これは、立憲主義の精神とは正反対だ。

安倍首相の今回の衆院解散劇を見ると、新たな民意を得ることで憲法改正を含めた政策実現への推進力を得たいという狙いは明らかだ。

だが、たとえ選挙で多数を得た者であったとしても、憲法を恣意(しい)的に操ることが許されるわけではない。
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[読売新聞] 集団的自衛権 行使容認の意義を堂々と語れ (2014年11月30日)

◆安保法制整備へ各論が問われる◆

日本の安全保障環境は近年、一段と厳しさを増した。北朝鮮は核や弾道ミサイルの性能を高め、中国は軍備増強と海洋進出を加速させる。国際テロの脅威も拡散している。

日本の平和と安全を確保するには今、何をすべきか。各党は、責任ある論戦を展開してほしい。

安倍政権は7月、集団的自衛権の行使を限定容認する新たな政府見解を閣議決定した。「国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」などに、必要最小限の武力行使を可能にする。

◆抑止力の向上が急務だ

安倍首相は街頭演説で、新見解について「日本の70年にわたる平和国家の歩みにゆがみはない。地域や世界の平和を守る責任を果たすために有意義だ」と力説した。

軍事技術が発展し、国際情勢が激動する中、日本単独の個別的自衛権による防衛では限界がある。日米同盟と国際連携を強化し、抑止力を高めることで、紛争を未然に防ぐ考え方は妥当だ。

自民党政権公約は、新見解を基に「平時から切れ目のない対応を可能にする安全保障法制を速やかに整備する」と明記した。

公明党は、「国民の命と平和な暮らしを守る法制の検討を進める」と足並みをそろえた。「国民の理解が得られるよう丁寧に取り組む」とも強調している。

次世代の党も、「個別的・集団的自衛権行使の要件を明確化する安全保障基本法を整備」と訴え、行使容認に前向き姿勢を示す。

来年の通常国会では、関連法案の審議が最大の焦点となろう。

◆解釈変更に問題はない

自公両党などは、集団的自衛権の行使容認を反映する法制の必要性について、堂々と、かつ丁寧に国民に訴え、理解を広げる努力を尽くすことが大切である。

民主党は公約で、政府の憲法解釈の変更を「立憲主義に反する」と批判し、「行使一般を容認する憲法の解釈変更は許さない」との従来の主張を繰り返した。海江田代表も、解釈変更という手続きに「大いに問題がある」と言う。

だが、解釈変更は内閣の公権的解釈権に基づき、過去の政府見解との整合性を維持している。国会は今後、関連法案を審議し、司法も違憲立法審査が可能だ。まさに憲法の三権分立を体現する。

「立憲主義に反する」との主張は、独善的に過ぎよう。

民主党は行使の可否の見解をまとめていない。賛否両論があるため党内論議を避け続ける姿勢こそ「大いに問題」ではないか。

維新の党は、「現行憲法下で可能な『自衛権』行使のあり方を具体化し、必要な法整備を実施する」と公約するが、分かりづらい。

行使容認に前向きな日本維新の会の一部と、慎重な結いの党が合流したため、あいまいな表現になったのは、言い訳になるまい。米軍艦船の防護、ミサイル防衛などの具体的事例に即して、自らの立場をきちんと説明すべきだ。

新たな政府見解では、武装集団による離島占拠など、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」への対処を強化することも重要な柱である。

グレーゾーン事態に関して、民主、維新、次世代の3党は、「領域警備法の制定」を掲げた。民主、維新両党の5項目の共通公約にも同じ内容が盛り込まれている。

尖閣諸島周辺で中国公船の領海侵入、小笠原諸島では中国漁船のサンゴ密漁が常態化した。自衛隊や海上保安庁が連携し、切れ目のない対処や、効果的な武器使用を可能にすることが急務だ。

領域警備法の整備も必要だが、自衛隊法への領域警備任務の追加や海上保安庁法の改正といった方法もあり得よう。どんな法整備が有効なのか、議論を深めたい。

◆「恒久法」も検討したい

新政府見解では、自衛隊の国際平和協力活動の拡充も可能になった。国連平和維持活動(PKO)に参加中、他国部隊などへの「駆けつけ警護」を容認し、憲法の禁じる「武力行使との一体化」の対象を戦闘現場などに限定した。

国際社会で自衛隊がより大きな役割を果たすことは、日本の存在感と発言力を高める。安倍政権が標榜(ひょうぼう)する「積極的平和主義」の具体化にもつながろう。

単なるPKO協力法の改正でなく、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の整備も検討に値する。新たな海外任務が必要になる度に、特別措置法を制定する従来の手法では、迅速な活動ができない。

この問題についても、各党は積極的に論じ合ってもらいたい。
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2014年11月29日

[産経新聞] 【主張】政治とカネ 疑惑断つ取り組みを示せ (2014年11月29日)

すでに選挙区に戻って活動している前衆院議員らの頭に、「今度の選挙ではとりわけ倫理性が問われている」との意識がどれだけあるだろう。

政治資金の収支の巨額の食い違い、選挙区内でのうちわ配布など、法を守る精神の欠如を示す事例が相次いだ国会直後の衆院選である。

有権者の厳しいまなざしを受け止めれば、おのずと「政治とカネ」のあり方が選挙の主要な論点と位置付けられる。税金である政党助成金も関係している。各党は政治資金の透明性向上を国民に約束してほしい。

率先して取り組むべきなのは自民党である。解散のほぼ1カ月前、女性2閣僚が辞任したのはいずれもカネや選挙絡みだ。その他の閣僚にも不適切な資金処理が表面化した。個々人の責任が大きいとはいえ、どうしたら再発を防げるかについて、党内で真剣に議論された形跡はない。

それどころではない。観劇会をめぐる不透明な収支の説明ができないまま経済産業相を辞任した小渕優子氏に対し、自民党は求めに応じて公認することにした。

小渕氏の元秘書らに対する東京地検特捜部の捜査が始まり、小渕氏は無所属で出馬するとの観測もあった。「選挙で勝てる候補を選んだ」といった公認理由が漏れてくるのを聞いて2度驚いた。

自民党の政権公約に「政治とカネ」が見当たらないのは、取るに足らない問題だと考えているからだろうか。自浄能力の欠如を隠そうともしていない。

野党幹部の不適切な資金処理も判明した。与野党で政治資金規正法改正などに取り組むことも期待されたが具体化しなかった。

今回の解散について「疑惑もリセットか」との指摘がある。大事なのは具体的に資金の透明化が前進するかどうかだ。できなければ与野党双方に責任がある。

公明党は、公民権停止や失職を含め、会計責任者への政治家の監督責任を強化する法改正を主張している。民主党は政治資金に関する情報公開の推進、維新の党は「総合的な制度の見直し」をうたう。活発に論争してほしい。

ずさんな収支報告が相次ぐ実態には、平成20年に始まった政治資金監査人制度が機能しているのか疑問も生じる。登録した弁護士や公認会計士らによるチェックの実態を検証すべきではないか。
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[産経新聞] 【主張】欠陥エアバッグ 事態の認識甘すぎないか (2014年11月29日)

事は人命に関わる問題だ。対応の遅れは許されない。被害対応や情報開示で後手に回る限り、火の手は広がるだけだ。

自動車部品大手タカタのエアバッグ欠陥問題が拡大する様相だ。調査の過程で最大ユーザーであるホンダの米当局に対する大量の報告漏れも明らかになり、巨額の制裁金が科される可能性もでてきた。

経営トップであるタカタの高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)が、いまだ公の場で説明責任を果たしていないことには首をかしげる。事態をこれ以上、悪化させないためにも誠実な対応が求められよう。

国土交通省も急遽(きゅうきょ)、対策本部を設置して国内のリコール(回収・無償修理)対応などに本腰を入れ始めたが、あまりに遅い。

このままでは、日本の自動車産業全体のブランドイメージまでが大きく傷つきかねない。政府も強い指導力を発揮して、事態の早期収拾を促すべきだ。

タカタはエアバッグ生産で世界第2位でシェアの2割を占める。ホンダをはじめ日米欧の名だたる自動車メーカーに納入しており、リコール対象は全世界で既に1000万台を超えている。

問題のエアバッグは2000?07年ごろ、米国やメキシコの工場で生産された。衝突時に高圧ガスでバッグを膨らませる装置に不具合があり、作動時に金属片が飛散する危険があるという。

旺盛な需要がある北米市場に生産拠点を構えたことにより、製造コストは大幅に低減されたという。だが、結果として品質管理が手薄になっては元も子もない。

日本では、いまのところ負傷例は確認されていないが、米国では欠陥との関連が疑われる死亡事故も報告されている。

リコール対象は当初、事故の発生率が高い米南部の高温多湿地域などに限られていたが、米運輸省は対象を全米に拡大するよう命じた。タカタやホンダの対応を消極的だと見て、不信感を募らせていることが背景にあるようだ。

リコールに際し原因究明を優先する日本と、最悪を想定し早めに踏み切る米国では微妙な認識の違いがあるにせよ、安全対応に強い不安の声が上がるのは当然だ。

問題を限定的に捉え、事態を悪化させたケースは、過去にもあった。そうした教訓が生かされなかったのは残念だ。
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[東京新聞] 自民の「公正」要請 TV報道、萎縮させるな (2014年11月29日)

テレビの総選挙報道に「公正」を求める文書を、自民党が在京各局に出していた。形は公正中立の要請だが、街頭インタビューのあり方まで注文した内容は、圧力と受け止められてもしかたない。

文書が出されたのは衆院解散の前日の二十日で、在京キー局の編成局長と報道局長宛て。差出人は自民党の筆頭副幹事長、萩生田光一氏と同報道局長の福井照氏の連名になっている。

「お願い」の体裁をとっているが、プレッシャーを感じさせる内容だ。

衆院選について、選挙期間が短く報道の内容が大きく影響しかねない、とした上で「過去にあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道し、大きな社会問題となった」と、一九九三年に民放が放送法違反を問われた事件をあえて指摘。続けて出演者の発言回数や発言時間、ゲスト出演者やテーマの選定、街頭インタビューや資料映像まで四項目を列挙し、一方的な意見に偏ることがないよう求めている。

自民党がここまで神経質に、具体的に「要請」する狙いは何か。文書にはないが、行間には争点になっているアベノミクスや安全保障、原発再稼働などで自民党に対する批判的な識者、意見、街頭インタビューの露出を減らし、批判の広がりを抑えようとする意図がにじんでいる。

言うまでもなく、報道番組は公正でなければならず、内容は報道機関であるテレビ局が自らの責任で決める編集権を持っている。

報道の姿勢について言えば、賛否を足して二で割るのが「公平、中立、公正」というわけではない。政権や政策の問題点を批判し、議論の材料を提供するのは報道の重要な役割で、公正さの判断は視聴者である有権者に委ねられている。

報道内容をそれぞれの立場で吟味し、最終的に投票先を決める。政権が公正中立を定義するようなことになれば、報道は政府の宣伝の道具になりかねない。

政権担当者であるが故に、さまざまな批判にさらされるのは当然で、民主主義国のリーダーである首相には、厳しい批判を謙虚に聞く度量が求められる。都合の悪い報道を抑え込むかのような印象を与える今回の文書は、報道の自由に対する首相や政権の姿勢に疑問を抱かせかねない。

文書を受け取ったテレビ局は萎縮することなく、凜(りん)とした姿勢で報道を続けてほしい。
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[東京新聞] 米黒人青年射殺 問われる国民の融和 (2014年11月29日)

米国で黒人青年を射殺した白人警官が不起訴となり、黒人らが抗議を激化させている。今なお残る差別と格差。その解消こそ、米国初の黒人大統領オバマ氏が、全力で取り組むべき課題だ。

ミズーリ州ファーガソンで八月九日、黒人青年=当時(18)=が白人警官に射殺された。警察は暴行された警官の正当防衛と説明。大陪審は今月二十四日、警官の主張を認め不起訴処分とした。これに反発する抗議行動が全米各地に拡大、一部が暴徒化した。

黒人らが怒りを募らせたのは大陪審の構成が白人九人、黒人三人と人種的に偏っていたためだ。黒人住民が三分の二を占めるファーガソンの警官五十三人中、黒人は三人だけだったことが警官と黒人住民との対立構図を際立たせ、警官だった担当検事の父親が黒人に殺された過去も疑念を呼んだ。

怒りの背景にあるのは差別への強い不満だ。米国での黒人の人口比率は13%。一八六三年に奴隷解放が宣言され、五十年前に選挙、教育、雇用などでの人種差別撤廃を定めた公民権法が制定されたが、差別や格差はなくならない。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、服役経験者の割合は黒人男性では3%、白人男性が0・5%、親が服役中の子どもが黒人では十五人に一人だったのに対し、白人では百十一人に一人と、人種による犯罪率の高さに大きな差があった。犯罪につながるような格差をなくすことが急務だ。

発砲した白人警官は米テレビのインタビューに、ズボンとベルトの間に手を突っ込み近づいてきた黒人青年が武器を持っていると思い身の危険を感じた、と話している。相手が銃を所持していると思い発砲−事件は銃社会の問題も浮き彫りにした。黒人のホルダー司法長官は連邦政府としても捜査を進めていることを明らかにした。

人種間の融和を訴え圧倒的な支持で当選したオバマ大統領だが、人種問題で目立った成果はない。今月の中間選挙では上下両院とも野党共和党が過半数を制し、政策の手詰まり感、社会の分断は進むばかりだ。国連人権高等弁務官は声明で、米国では警官と衝突して死亡する黒人が多いことなどを指摘、人種問題が司法に及ぼす影響を調査するよう求めるなど、米国社会のありようには国際的にも疑問の声が上がっている。

「初の黒人大統領」の意義を色あせさせないためにも、残り任期の二年間、国民の融和のため本腰を入れるべきではないか。
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[毎日新聞] 社説:安倍政治を問う 歴史認識と外交 (2014年11月29日)

◇戦後70年を見据えて

安倍政権の近隣外交は、日中首脳会談が約2年半ぶりに行われるなど一部に改善の兆しはあるものの、展望を開くには至っていない。

特に、中国、韓国との関係修復に懸念材料となっているのが日本との歴史認識の違いである。中国とは、首脳会談前に「困難」の克服に向けて「若干の認識の一致をみた」が、日本国内でも歴史観の対立があり、衝突の火種になる恐れがある。

来年は戦後70年、日韓国交正常化から50年の節目だ。歴史認識の問題が改めて問われることになる。

◇村山談話が到達点に

安倍晋三首相は、第1次内閣時のキャッチフレーズである「戦後レジームからの脱却」こそあまり用いなくなったものの、持論の歴史認識に根差した言動を続けてきた。

「侵略の定義は定まっていない」と発言し、各国の懸念を招いて軌道修正する。前回の首相在任中、靖国神社に参拝しなかったことを「痛恨の極み」と述べて参拝を果たすと、米政府から「失望」が伝えられた。

私たちはその都度、戦後の日本が東京裁判を受諾したサンフランシスコ講和条約を原点として国際協調路線を歩み、その延長線上に慰安婦問題の河野洋平官房長官談話(1993年)や、植民地支配と侵略に関わる村山富市首相談話(95年)を積み上げてきたことを主張してきた。

「侵略」を認めて「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明した村山談話は、政府による戦争責任論の到達点と言えるだろう。背景には、日本が自ら戦争責任を判断してこなかった事情がある。

中国とロシアは来年、第二次世界大戦戦勝70周年記念行事の合同開催で合意している。中露は、第二次大戦後の秩序見直しは認めない立場で一致しており、中国が歴史を絡めて対日批判を強める可能性もある。

翻って安倍政権は村山談話の継承こそ明言したものの、首相周辺には村山談話を上書きする形で、新たな首相談話を求める声がある。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」は評価を得つつあるが、中国、韓国との関係を打開するビジョンはうかがえない。

本当に「対話のドアはオープン」か。力に頼りがちな安倍政治にはなお危うさを感じざるを得ない。歴代内閣が踏襲し、国際社会が受け入れている村山談話を発展させるならともかく、理念を骨抜きにするような新談話を出すべきではない。

戦後50年の95年、歴史認識をめぐる国会決議が論争を巻き起こした。

自民・社会・さきがけの与党3党内で意見を一致させる作業が難航し、明確な謝罪のない、あいまいな内容にとどまった。衆院では辛うじて可決したものの、野党の新進党が欠席し、自民党からも欠席者が多数出た。参院では提案も見送られたという経緯がある。村山談話は不十分な決議を補う性質のものである。

ことは政府同士にとどまらない。国民の相互不信も高まっている。

7?8月に実施された日中共同世論調査によると、相手国によくない印象を持っている人は、日本側が過去最悪の93%で、中国側は86.8%だった。5?6月に実施された日韓共同世論調査によれば、現在の日韓関係を「改善する必要がある」「望ましくない状況だ」と考える人は、日本で6割、韓国で7割に上る。

◇「政治化」を防ぐ知恵

国民感情を制御するのはどの国も容易でない様子が浮かび上がる。

今年は第一次世界大戦の開戦から100年にあたる。

安倍首相がオーストラリアで主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席していた今月15日、日本国際政治学会の大会において、第一次大戦をめぐる興味深い発表があった。

未曽有の犠牲を出した第一次大戦後、欧米では国際連盟の設立など、紛争の平和解決を図る「新外交」が模索されるようになった。しかし、日本では軍事力による領土や市場の拡大を正当視する「旧外交」が主に持続されたため、無謀な第二次大戦の道に帰着したのではないか??。

アメリカ現代史を専門とする油井大三郎・東京女子大教授がそう語ると、国際法学者の大沼保昭・明治大特任教授が、日本人の怒りを買った20年代の人種主義を念頭に欧米中心主義の問題点を指摘した。現代中国には大東亜共栄圏と重なる危険を感じるが、「非欧米共通の夢」という側面もないわけではない、と。

世界の潮流を見失わずに、ナショナリズムの暴発をどう防ぐか。この難問を考える時、日本で「忘れ去られた戦争」とも呼ばれる第一次大戦に学ぶべきことは少なくない。

歴史認識の政治問題化を防ぐのに貢献した有識者による歴史共同研究のような知恵も必要ではないか。

歴史の問題で国論が分裂しては、平和国家としての戦後の歩みも誤解されかねない。いったん火が付くと日本全体に与える影響は大きい。有権者の関心を集めるのは難しい分野だが、党派を超えて国際社会を納得させる合意を目指してほしい。

2014年11月29日 02時30分
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[読売新聞] 高浜延長申請へ 40年超える原発運転の試金石 (2014年11月29日)

安全性を確認できた原子力発電所を、長期にわたって有効活用していくことができるか。その試金石となろう。

関西電力が、高浜原発1、2号機について、運転開始から40年経過後も、運転の継続を目指す方針を発表した。

原発の運転期間は原則40年と定められているが、原子力規制委員会の安全審査をクリアすれば、最長20年の延長が認められる。

関電は12月上旬から原子炉の劣化状況などの特別点検を開始し、早ければ来春にも規制委に安全審査を申請するという。安全性の確保を最優先し、点検作業に万全を期さねばならない。

関電の八木誠社長は、運転延長を申請する理由について、「必要な工事の実施にメドがつき、経済性も見通せた」と述べた。

原発停止を補っている火力発電の追加燃料費は、今年度上半期で5000億円にのぼり、関電は3期連続で赤字決算となった。

特別点検と安全対策に1000億円を超える費用をかけても、高浜1、2号機の運転を延長した方が、中長期的なメリットが大きいと判断したのだろう。

発電コストの上昇により、関電の家庭向け電気料金は、東日本大震災前より月2000円近く上昇し、「原発ゼロ」が続けば、追加値上げに追い込まれかねない。

家庭や企業に過度な料金負担を強いる事態は避けるべきだ。関電が電力安定供給と料金抑制を図るため、高浜1、2号機の運転延長を決めたのは理解できる。

問題は、厳しい安全審査をパスできるかどうかである。

新規制基準は、火災の発生・延焼を防ぐため、原発では一定の難燃性を備えた電源ケーブルを使うよう求めている。

関電は、膨大な費用と時間のかかるケーブル交換を避け、防火塗料を塗るなどの措置で耐火性能を確保したい考えだが、規制委が許容するかどうかは不透明だ。

原子力規制委の田中俊一委員長は、「新しい炉ではないので、審査は相当厳しくなる」との見方を示している。

規制委の基準では、2016年7月までに安全審査が終わらないと、「40年廃炉」の原則が適用され、再稼働できなくなる。

規制委が安全を最優先に、念入りに審査を行うことは当然だ。しかし、同時に遅滞なく審査を進めることも求められる。

いたずらに手続きに時間を浪費し、結果的に「時間切れ」となる事態は避けるべきだ。
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[朝日新聞] (衆院選)TVへ要望―政権党が言うことか (2014年11月29日)

衆院選の報道について、自民党がテレビ局に、〈公平中立〉〈公正〉を求める「お願い」の文書を送った。

総務相から免許を受けているテレビ局にとって、具体的な番組の作り方にまで注文をつけた政権党からの「お願い」は、圧力になりかねない。報道を萎縮させる危険もある。見過ごすことはできない。

自民党の萩生田光一・筆頭副幹事長と福井照・報道局長の名前で出された文書は、20日付で在京の民放キー局5社に送られた。NHKは来ているかどうか明らかにしていない。

文書は、過去に偏った報道があったとしたうえで、出演者の発言回数と時間▽ゲストの選定▽テーマについて特定政党への意見の集中がないように▽街頭インタビューや資料映像の使い方の4点を挙げ、公平中立、公正を期すよう求める。

選挙の際、報道機関に公正さが求められるのは当然だ。なかでもテレビ局は、ふだんから政治的に公平な番組を作らねばならないと放送法で定められている。日本民間放送連盟の放送基準、各局のルールにも記されている。政権党が改めて「お願い」をする必要はない。

文書には〈具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実として認めて誇り、大きな社会問題となった事例も現実にあった〉ともある。

1993年のテレビ朝日の出来事を思い浮かべた放送人が多いだろう。衆院選後の民放連の会合で、報道局長が「反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようという考え方を局内で話した」という趣旨のことを言った問題だ。

仲間内の場とはいえ、不適切な発言だった。局長は国会で証人喚問され、テレビ朝日が5年に1度更新する放送局免許にも一時、条件がついた。

ただし、放送内容はテレビ朝日が社外有識者を含めて検証し、「不公平または不公正な報道は行われていない」との報告をまとめ、当時の郵政省も「放送法違反はない」と認めた。文書がこの件を指しているとすれば、〈偏向報道〉は誤りだ。

放送に携わる者の姿勢が放送局免許にまで影響した例を、多くの人に思い起こさせた威圧効果は大きい。

選挙になるとテレビ局には与野党から様々な要望が寄せられるという。テレビ局は受け取った要望書などを、公平に公表してほしい。有権者にとっては、そうした政党の振る舞いも参考になる。
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[読売新聞] 地方創生 人口減止める活性化策を示せ (2014年11月29日)

人口減対策と東京一極集中の是正は、日本の存立にもかかわる重要課題だ。各党は、厳しい現状を直視し、具体策を競うことが求められる。

日本の総人口は、2008年をピークに減少に転じた。出生率が現水準のままなら、今の約1億2700万人から60年には8700万人に落ち込むと推計される。

特に地方では、少子化に都市部への人材流出が重なり、状況は深刻だ。このまま人口減が続けば、「消滅自治体」が続出しよう。

安倍政権は今夏、人口減対策や地域活性化を図る「地方創生」を看板政策に掲げた。先週、地方創生関連2法を成立させた。今後5年間の総合戦略などを近く策定する。

自民党は政権公約で、地方自治体向けの自由度の高い交付金や、商店街の「地域商品券」発行を支援する交付金の創設を掲げた。公明党も、地方の人材流出防止や定着促進を支援する交付金の新設を盛り込んでいる。

新交付金は自治体の創意を引き出す効果が期待される。ただ、自治体に数値目標などの明示を求めるなど、一定の要件を定めるべきだろう。地域商品券には、バラマキにならない工夫が必要だ。

自民党公約は、地方での若者の雇用創出・人材育成を打ち出した。一方で、「地方創生特区」の創設や「高次都市機能」の強化なども並ぶが、効果は不透明だ。

歴代の自民党政権は、「国土の均衡ある発展」を目指したが、東京一極集中と地方の過疎化を防げなかった。過去の失敗を検証し、縦割り行政とバラマキを徹底して排除しなければ、地方創生は看板倒れに終わるだろう。

民主党公約は、「国・地方関係抜本改革推進法」の制定、一括交付金制度の復活、地域の発想に基づく規制改革などを列挙した。国の出先機関見直しなど、地方への権限・財源移譲にも取り組む。

問題なのは、従来通り「地域主権改革」を掲げ、国家主権を否定するかのような不適切な表現を使い続けていることだ。

維新の党は、「地方にできることは地方に任せる」として、「道州制への移行」を主張する。

地方分権は地域活性化の一つの有力な手段だが、それだけで人口減少に歯止めをかけるのは不可能だ。民主、維新両党の公約からは、人口減社会に対する自治体と同様の危機感が伝わってこない。

活力ある社会の維持へ、各党はもっと知恵を出し合うべきだ。
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[朝日新聞] 地球温暖化―日本も目標設定急ごう (2014年11月29日)

地球の温暖化をめぐる世界の取り組みが、真剣味を増している。ところが残念なことに、主要国の一つである日本が立ち遅れている。

国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP20)が12月1日からペルーで始まる。国際責務をどう果たすか、日本は目標を掲げる努力を急ぐべきだ。

日本はいまも原発事故を抱えている。そのため温暖化対策をめぐっても、発電に占める原発の比率が見通せない問題が論議のネックとされてきた。

だが、原発問題に結論が出なくとも目標を定める道はあるはずだ。再生可能エネルギーや省エネなど幅広い方策を重ねることで、温室効果ガスの削減幅を設けることはできる。

このまま日本が停滞を続ければ、世界の足を引っ張る存在ともなりかねない。政府は積極的に議論を進めるべきである。

気候変動に関する政府間パネルは今月、7年ぶりに公表した報告書で「温暖化は疑う余地がない」「人為起源のガスが原因だった可能性が極めて大きい」との科学的な確信を示した。

報告書は産業革命以後の温暖化を2度未満に抑える重要性を説く。それには2050年に世界の温室効果ガス排出量を2010年比でほぼ半減し、2100年までには自然吸収量と釣り合わせる必要があるという。

欧州を始め、多くの国が報告書を真剣に受け止めている。

2大排出国の米中の動きが象徴的だ。今月の首脳会談で、米国は二酸化炭素排出量を25年に05年比26?28%減らすと発表。中国も30年ごろに排出量を減少に転じることなどを表明した。

欧州連合(EU)はすでに30年に1990年比40%減、ロシアも同25?30%減を表明した。

それぞれ目標の妥当性や実現性に疑問も残るが、議論の土台を示した態度は評価できる。

ひるがえって世界5位の排出国である日本はどうか。20年以降の目標は来年3月が提出のめどなのに、まだ動きはない。

日本には省エネ先進国のイメージがあるが、今はGDP当たりのガス排出量で英独仏などと変わらない。もはや「優等生」でもない以上、欧米から大きく見劣りする目標は出せない。

日本の原発停止によって増えた二酸化炭素の排出量は、国内全体の約1割でしかない。残り約9割の排出対策を語れない理由にはならない。

例えば、温水供給や冷暖房などの熱関連では太陽熱や燃料電池に大きな可能性がある。輸送の効率化も有効だろう。議論すべきことは原発だけではない。
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2014年11月28日

[東京新聞] 手漉き和紙 途切れぬ文化遺産に (2014年11月28日)

千三百年の歴史をもつ「日本の手漉(てすき)和紙技術」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。高く評価された和紙の伝統を、人類の宝として、しっかりと後世に伝えたい。

本美濃紙(ほんみのし)(岐阜県美濃市)、細川紙(ほそかわし)(埼玉県小川町、東秩父村)と既に登録済みの石州半紙(せきしゅうばんし)(島根県浜田市)をグループ化した和紙技術として登録が決まった。いずれも、コウゾを原料に手漉(てす)きで作られている。

ユネスコの政府間委員会では、教育現場で手漉きの体験活動が行われるなど、世代を超えて伝統的な知識や技術が受け継がれ、地域社会のつながりを生んでいることが評価された。

製紙は大陸伝来の技術とされ、日本書紀には、七世紀初頭、製法を知る僧侶が朝鮮半島から来たとの記録が残る。日本最古の紙とされるのは、奈良・正倉院に残る七〇二年の美濃、筑前、豊前の戸籍用紙。つまり、千三百年の歳月に耐えてきたのである。

大陸から伝わった「溜(た)め漉き」技法から、やがて、独自の「流し漉き」が考案された。原料のコウゾ、ミツマタなどの長い繊維を均一に絡み合わせるため、ネリと呼ばれる植物性粘液を加えた紙材液を流し動かして漉き上げる技法である。熟練した手さばきを要するが、流し漉きにより、ごく薄く、しかも、非常に丈夫な和紙が作れるようになった。

和紙は、文字や絵を伝える媒体としてばかりでなく、障子となり扇となって、日本の暮らしや文化の中に息づいてきた。薬品を使うことなく真っ白な紙を漉くためには、清らかな水が欠かせない。和紙の伝統は、日本の風土と深く結び付いてもいる。

今回の登録について、文化庁の青柳正規長官は「これほど完璧に良質の紙を作るのは、いまでは日本だけになっている」と述べた。

しかし、和紙づくりの現場では、紙漉き職人だけでなく、紙漉きに必要な木の枠組みを作る職人も減っているのが現状だ。

むろん、機械で漉くこともできる。だが、薬品の入った糊(のり)や水道水を使う機械漉きの和紙には紙魚(しみ)がつき、劣化しやすい。

天然素材の手漉き和紙は、手間がかかる。効率が求められる産業の論理とは相いれないだろう。でも、文化の考え方は違う。

他に類を見ない質の高さが認められたのである。その手漉きの伝統が途切れぬよう、人類の宝として守っていきたい。
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[産経新聞] 【主張】与党公約 実績よりも「今後」を語れ (2014年11月28日)

与党は衆院選でアベノミクスを続ける意義を問うという。その判断材料となる政権公約(マニフェスト)に有権者は納得できるだろうか。

自民、公明両党の公約が出そろった。いずれも経済政策を前面に掲げ、特に自民党は「景気回復、この道しかない」と題し、雇用・賃金の改善や企業倒産減少など第2次安倍晋三政権の実績をアピールした。

だが、問われているのは4月の消費税増税後の景気低迷が長引き、再増税を延期した現実を見据え、今後いかに適切な経済政策をとるかである。

首相が「アベノミクス解散」と銘打って経済を衆院選最大の争点とするなら、アベノミクスの課題を検証し、成長路線を強化する実効性ある改善策が不可欠だ。選挙戦で丁寧に説明してほしい。

成長戦略となる「第3の矢」では、業界や関係省庁の強い抵抗がある「あらゆる岩盤規制」を打ち抜くという。ただ、反発の強い農協改革ひとつをとっても「議論を深め、着実に推進する」との指摘にとどまっている。選挙を控え、当たり障りのない表現にしたと受け取られよう。

再増税を延期しても、財政再建の手は緩めないとした。だが、個別政策を羅列するばかりではバラマキ傾向が強まる懸念を招く。

一方、公明党は家計の負担増への対応を重視している。平成29年4月の再増税と同時に、食料品など生活必需品への軽減税率導入を打ち出した点は評価できる。

安倍首相が自らの歴史的使命と位置付けてきた憲法改正にとって、衆院選は改正がなぜ必要か、どこから改正すべきかを国民に語りかける重要な機会である。

自民党が公約末尾で「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出」などと、短い言及にとどまったのはどうしたことか。

むしろ、改正には慎重な立場をとる公明党の方が、憲法を当面する重要課題と位置付け、現行憲法の9条に自衛隊の存在を明記する規定を置くといった「加憲」の考え方を具体的に説明している。

すでに憲法改正草案をまとめている自民党は、発議要件を緩和する96条の先行改正など、優先順位をつけて国民に訴えるべきだ。

両党が集団的自衛権の言葉を用いていないのもおかしい。重要な安全保障政策の転換を図った意義を堂々と説いてもらいたい。
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[東京新聞] 高浜原発40年 延命の大義はどこに (2014年11月28日)

関西電力は、四十年の“寿命”を迎えた高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転延長に向け、特別点検を実施する。老朽化で事故のリスクは高くなり、対策に多額の費用がかかるのに、なぜ。

小渕優子前経済産業相は先月辞任直前、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)と会い、運転開始から四十年の七基の老朽原発を、廃炉にするか、運転延長を申請するか、早急に判断するよう直接訴えた。

新規制基準に初めて「適合」とされた九州電力川内原発を再稼働させやすいよう、政府には、原発を減らす姿勢も示す必要があったのだろう。それでも、事実上の廃炉勧告だったのではなかったか。

大津地裁は昨日、高浜3、4号機と、同じ関電の大飯3、4号機の再稼働差し止めを求めた滋賀県民らの仮処分申請を退けた。万一の琵琶湖汚染などへの心配は多くの人の共有するところだろう。

3・11後に改正された原子炉等規制法は、原発の運転期間を四十年と定めているが、電力会社の特別点検を経て、原子力規制委員会が認めれば、一度だけ、最長二十年間延長できる。

特別点検は、再稼働の審査以上に厳格になり、対策費もかさむ。それでも廃炉にしたくないのは、その瞬間に、原発は一気に資産価値を失って、巨額の赤字が出るからだ。再来年に迫った電力小売りの全面自由化をにらみ、財務内容を悪化させたくないからだ。

政府は廃炉にされる原発が、一度にではなく、年々少しずつ資産価値を失っていくことにして、損失分は電気料金に上乗せし続けることができるよう、会計制度を改める。

廃炉になった原発から出る使用済み燃料の処分についても、支援を広げる方針だ。

なのになぜ、ハードルの高い運転延長を選ぶのか。さらなる優遇を引き出せるとでもいうのだろうか。電力会社は、四十年廃炉を前提に、費用を積み立ててきたはずではなかったか。

特別点検は、事業者が実施し、核分裂で生成された中性子の影響で、原子炉がもろくなっていないかなどをチェックする。

長く使えば使うほど、老朽化が進み、もろくなる−。当たり前のことではないか。ましてや、さまざまな核物質が飛び交い、高熱を生み出す原子炉だ。その危険は極めて高い。

四十年寿命は原則にのっとり厳守すべきである。
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[産経新聞] 【主張】前支局長初公判 韓国司法の矜持をみたい (2014年11月28日)

韓国司法にとって、ここが正念場ではないか。大統領府や政府の意向に左右されることなく、法治国家における司法の独立性や矜持(きょうじ)を世界に示すことができるか。公判の行方を注視したい。

韓国の朴槿恵大統領に関するコラムをめぐり、名誉毀損(きそん)で在宅起訴された産経新聞ソウル支局の加藤達也前支局長に対する事実上の初公判が、ソウル中央地裁で開かれた。

問題とされたコラムは、旅客船「セウォル号」沈没事故当日の朴大統領の所在が明確でなかったことの顛末(てんまつ)について、韓国紙の記事などを紹介し、これに論評を加えたものだ。

加藤前支局長は意見陳述で「韓国の政治や社会の状況として、ありのままに日本の読者に伝えようとしたものだ」と述べ、無罪を主張した。

公人である大統領に不都合な報道だからといって、公権力の行使で対処するのは、民主主義国家のありようとはいえない。

本紙は、報道、表現の自由に反する起訴自体を不当と訴え、撤回を求めてきた。日本新聞協会や「国境なき記者団」など国内外から多くの非難声明が出され、欧米メディアも韓国当局を批判する社説を掲げてきた。公判は世界が注目するなかで行われる。

「セウォル号」の沈没事故では犠牲者の多くが修学旅行中の高校生だったこともあり、乗客の救助より自らの脱出を優先させた船長らに韓国国民の多くが激しく憤った。そうした世論を受けて朴大統領は「殺人に等しい行為」と発言し、検察当局は殺人罪での船長の起訴に踏み切った。

船長の行動は非難されて当然のものだった。それでも、事故船舶の船長を「殺人罪」で裁こうというのは、国際常識から大きくかけ離れている。

死刑を求刑された船長に対し、光州地裁は遺棄致死罪などで懲役36年の判決を言い渡した。遺族らは強く反発したが、殺人罪を回避した判断は妥当といえた。

司法の独立性を示したともいえる。検察は行政庁だが、裁判所は司法権を行使する場である。

加藤前支局長の公判では傍聴席から怒声が飛び、廷外では卵が投げつけられた。法治をうたう民主国家の法廷にふさわしい光景ではない。法と証拠のみに基づく、冷静で厳正な判断を望みたい。
posted by (-@∀@) at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 産経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする