2014年10月29日

[東京新聞] 政治資金報告 ずさんさが目に余る (2014年10月29日)

安倍内閣の閣僚に、政治資金をめぐる問題が相次いで発覚している。そのずさんさは目に余る。「政治とカネ」は政治不信の元凶だ。国民を欺いてはいまいか、各議員はいま一度襟を正すべきである。

政治資金収支報告書に虚偽の記載をする人たちは、子どものころ「小遣い帳」を付けたことがないのだろうか。もらったお金と使ったお金の金額と細目を偽りなく書き、帳尻が合わなければ、小遣い帳の体を成さないことがなぜ分からないのか。

ましてや公開が前提の収支報告書である。偽りを書いても平然としていられるのなら、国民を愚弄(ぐろう)していると言うほかはない。

九月の内閣改造に伴って就任した望月義夫環境相がきのう未明に記者会見し、二〇〇八年と〇九年の後援会の収支報告書に、別の会費や会合費を、新年の「賀詞交歓会」の支出と偽って記載していたことを明らかにした。

真実の記載をすると社会的な批判を受ける恐れがあると釈明したが、批判されるような支出を合計六百六十万円もしていたこと自体が許し難い。本当は何に使ったのか、明らかにすべきではないか。

さらに驚きは、虚偽の記載をしておきながら、法令違反はないと開き直り、会計責任者や亡くなった妻に責任を転嫁したことだ。

こんな言い分を繰り返すなら、閣僚のみならず、議員としての資質にも疑問符が付きかねない。

小渕優子前経済産業相が後援会の観劇会で、会費収入を上回る支出を収支報告書に記載していた問題で辞任し、後任の宮沢洋一経産相にも政治資金問題が発覚した。

「SMバー」への政治活動費の支出や、外国人が株式の過半数を保有する企業からの献金受領である。これらはいずれも不適切な支出であったり、違法な献金だ。

こんなことが続けば、「政治とカネ」に対する国民の不信感はいつまでも解消されまい。

ずさんな収支は政治資金に対する規律の緩みにほかならない。安倍晋三首相はじめ政治に携わるすべての人たちは深刻な事態と重く受け止め、政治資金の使途適正化や透明性の確保に、なお一層の政治力を傾注すべきだろう。

国会議員に年間千二百万円が支給されながら使途報告の義務がない文書通信交通滞在費や、約三百二十億円の政党交付金の在り方も合わせて見直したらどうか。

政治にカネがかかることは理解するが、政治がカネでゆがめられることがあってはならない。
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[産経新聞] 【主張】原発賠償条約 安全高め輸出促進を図れ (2014年10月29日)

原発事故をめぐる国際的な損害賠償の枠組みを定めた「原子力損害の補完的補償条約」(CSC)の承認案と関連法案が国会に提出された。

政府は今国会での成立を目指しており、日本の加盟によって同条約は来春にも発効する。日本企業が原発を輸出する環境整備にもつながる。条約への加盟を歓迎したい。

東京電力の福島第1原発事故の教訓を踏まえ、安全性をより高めた原発の開発は日本の責務といえる。そうした原発を海外にも提供することで、世界の原発の安全性向上に寄与すべきである。

条約は原発事故が起きた場合の賠償金負担や責任対象を明記している。賠償責任は原子力事業者だけが負い、日本企業が条約締結国に原発を輸出した場合、相手国の基準で巨額な賠償責任を課せられる懸念はなくなる。

日本はインフラ輸出の促進を成長戦略の柱に位置付けている。なかでも原発は中東やトルコなどと商談を進めており、条約への加盟は受注活動の追い風となる。加盟国を増やす国際的な働きかけも欠かせない。

世界では、福島事故後もエネルギー需要の増加や環境対策などをにらんで原発を活用する流れは変わっていない。海外で建設あるいは計画中の原発は、約180基にのぼるという。

日本が事故を受けて導入した原発の新規制基準は、世界で最も厳しいものだ。この基準に適合した安全性の高い原発を海外に輸出することで、世界で原発事故が発生するリスクの低減に積極的に貢献してもらいたい。

一方、福島原発の廃炉作業への米国企業参加も促しやすくなる。賠償の責任対象が明確化され、自社作業員から訴えられる懸念を抱く米国企業にとっても参入しやすくなるためだ。高い技術を持つ企業の参加を事故収束と福島復興の前倒しにもつなげてゆきたい。

条約には米国やアラブ首長国連邦(UAE)など5カ国が加盟している。原発事故が発生した国に最低で470億円の賠償を義務付け、それを上回った場合には加盟国の拠出金で補う仕組みだ。

ただ、福島事故の賠償額は5兆円近くに達し、この条約の額では不十分だ。政府は懸案の原子力損害賠償法改正を急ぎ、日本で事故が起きた場合には国も一定の責任を負う姿勢を打ち出すべきだ。
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[東京新聞] 読書週間 本で町を元気にしたい (2014年10月29日)

暮らしの場に本の空間がある。書店や図書館。インターネットが盛んになっても、本の魅力は奥深い。読書週間。人をつなぎ、語らいを生む。本の力を軸にした町づくりを応援したい。

多彩な本に触れあえる書店があり、図書館がある。そんな地域は今、全国から次々と消えている。

出版不況の下で地方の事情は厳しくなるばかり。新刊が出ても配本は都市部に偏り、後回しに。ネットメディアが広がり、雑誌も売れない。小さな書店は郊外の大型店に押されてどんどん減っている。

「本屋が町に一つもない」という市町村は全自治体の約二割、三百三十に及ぶ。財政規模の小さい自治体には公立図書館のない町もある。本との出会いを求めようとする人には寂しい。

逆風のなかで、「書店ゼロ」から再び書店の誘致に成功した町がある。唯一の書店が閉店してしまった北海道留萌(るもい)市では二〇一一年、市民の署名活動が実り、東京の大手書店「三省堂」が出店した。

活動の中心にいた英語塾経営の武良(むら)千春さん(53)は、町から書店が消えた日を忘れない。子どもたちが参考書を買いたくても、手にして選べる本屋がない。インターネットで本が買える時代だといわれても、実際に手にしないと分からないものがある。書店に困らない都会の生活者には分かりにくい、切実な欲求だ。

武良さんらは書店だけでなく、病院などで開かれる書籍の出張販売をボランティアで手伝う。年金の支給日にお年寄りが自分のために一冊を、孫のために一冊を。本を届けながら、地域の姿は前よりもよく見えるようになった。

「何を読んだ」。小さな会話から、共感したり、大切なことを学び合いもする。一冊の本が人を結び付けるのはすばらしい。

駅前ビルや高齢者施設、商店などの一角に、市民手作りの私設図書館が増えている。運営の中で町づくりを語りあう人の輪ができ、空き店舗や少子化の対策に一役買っているところも少なくない。財源不足で文化予算は削られがちだが、本の魅力を生かした町づくりを応援していきたい。

武良さんは書店で毎月開く「おはなし会」の読み手を、この秋から地域の小学生に任せている。

数ある本の山から何を読もうか。ゲーム世代の子どもたちも、誰かのために読もうとして、一生懸命に本を選ぶ。その時にしか出会えない一冊が必ずある。
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[産経新聞] 【主張】ブラジル大統領選 経済再生と対立の克服を (2014年10月29日)

中南米最大の経済大国ブラジルの大統領選で、富の再分配を進めてきた労働党の現職、ルセフ氏が僅差で再選された。

新興5カ国(BRICS)の一角を占めるブラジルは景気後退のさなかにある。ルセフ氏は産業界などの声にも耳を傾けて、市場の懸念払拭(ふっしょく)と経済再生に取り組んでもらいたい。

ブラジルの今年の実質経済成長率は1%に届かない見通しで、貿易、財政収支も悪化している。このため、政権の経済政策を批判し、市場重視を訴えた最大野党の候補が激しく追い上げ、大接戦となった。

2003年に政権についた労働党は、経済発展とともに貧困世帯向け補助金などの施策で低所得層の底上げを図った。ばらまきとも批判されたが、中間層は拡大し、失業率は5%を下回っている。

ただ、それは原油や鉄鉱石など豊富な資源に依存している。複雑で高率な税制やインフラ整備の立ち遅れ、煩雑な行政手続きなど、かねて指摘されてきた経済の脆弱(ぜいじゃく)性は解消されていない。

選挙結果を受け、ブラジルの株価、通貨は下落した。リーマン・ショック後の世界経済の牽引(けんいん)役だったBRICSの失速は、日本をはじめ主要国の経済にも影響を及ぼす。世界経済回復のためにも、ルセフ氏は、ブラジル経済の構造改革と産業基盤の強化に真剣に取り組む必要がある。

選挙戦を通じて、ルセフ氏の支持基盤で低所得層の多い北部、開発が進んでいる南部で、国が二分されたとも指摘された。

ルセフ氏は「2期目の最初の約束は対話だ」と述べた。富裕層と貧困層、発展に差のある地域間の対立は新興国・中進国に共通する。安定した政権運営のためには地域融和策も必要となろう。

昨年6月には、交通機関の値上げをきっかけに大規模デモが発生し、一部が暴徒化した。サッカー・ワールドカップ(W杯)開催の巨額資金を教育や貧困対策に回すよう求めるデモも続いた。

16年にはリオデジャネイロ五輪・パラリンピックが開催される。デモ再燃の懸念も含め、世界がブラジルを注視している。

2期目のルセフ政権は、貧困脱却と資源依存の成長から次の段階へと進む転換点とも位置づけられる。対立を乗り越え、安定の中で五輪を迎えてほしい。
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[毎日新聞] 社説:エボラ出血熱 国内対策の再点検を (2014年10月29日)

遠い国の感染症が一気に身近になったと感じた人も多いだろう。流行地である西アフリカのリベリアから、ベルギー、英国を経由して羽田空港に到着した男性ジャーナリストが、エボラ出血熱の疑いで国立国際医療研究センターに搬送された。

ウイルスの遺伝子検査で陰性と判定されたが、今後、感染者が入国する可能性は十分にある。今回のケースをきっかけに、関係者はもう一度エボラ対策に漏れがないか、点検してほしい。

厚生労働省と法務省は今月24日から空港での入国審査の際、全員に流行国の滞在歴をたずねることにした。今回、男性は滞在歴を自己申告し、37.8度の発熱が確認された。エボラ出血熱の可能性が否定できず、国際医療研究センターで血液を採取、国立感染症研究所でウイルス遺伝子の有無を分析した。

今回、こうした対応は円滑に行われた。仮にこれが感染者だったら検疫が功を奏したことになるだろう。ただし、実際に感染者が確認された場合には追加対応策が必要となり、混乱が起きないとは限らない。

まず、同じ飛行機に乗り合わせた人の追跡調査が課題となる。流行国での滞在歴を申告せずに入国し、自宅などで発症する人も出るかもしれない。その際には、家族をはじめ、入国後に接触した人も隔離や監視の対象となる可能性がある。その場合の手順は確認しておきたい。航空機内で発病の疑い例が出た場合の対策も、考えておく必要があるだろう。

不安感から、もっと検疫を強化してほしいと思う人もいるだろう。しかし、入国手続きが大混雑するなど検疫強化にも限界がある。

米ニューヨーク州などは流行国から帰国した医療関係者を、症状がなくても医療機関などに強制隔離する方針を打ち出し、批判された。ニューヨーク州知事は対応を「自宅待機」に改めたが、こうした措置が流行地への自発的支援を縮小してしまうとしたら本末転倒だ。

医療従事者やジャーナリストは、現地で感染拡大を阻止したり、現地の様子を世界に伝えたりするために欠かせない存在であり、行動を過剰に制限することは望ましくない。

エボラ出血熱は、空気感染するわけではなく、患者の血液や排せつ物などに直接触れた場合に、傷口や粘膜などからウイルスが入り、感染する。必要以上に恐れず、防護対策を徹底することが重要だ。

感染症と闘うには、専門性と危機管理能力を備えたスポークスパーソン(情報提供責任者)の役割も欠かせない。何より大事なのは流行地で感染拡大を防ぐことだ。そのための支援を加速させなくてはならない。

2014年10月29日 02時33分
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[毎日新聞] 社説:大阪都構想否決 議会の承認は省けない (2014年10月29日)

「大阪都構想」の制度設計案が大阪府・大阪市両議会でいずれも反対多数で否決された。地域政党・大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長が掲げてきた最大の公約が事実上、頓挫した。

都構想は、設計図にあたる協定書を、住民投票で大阪市民に承認してもらうことで実現可能になるが、その前に府・市議会の承認が必要だ。橋下氏と松井一郎府知事は同じ議案を再提出する構えだが、否決は首長と同様に民意を代表する議会の意思だ。重く受け止めるべきだ。

橋下氏は再提案した議案を議会承認を省略して専決処分し、住民投票に持ち込むことも否定していない。専決処分は地方自治法に規定されているとはいえ、認められるのは議会を招集する時間がない場合などに限られている。政治家の考えを押し通す道具に使うことは権限の乱用であり、許されない。

大阪は、東京一極集中による地盤沈下に対する危機感が強い。都構想はそうした中で橋下氏が提唱した。二重行政の解消と、広域行政を府に一元化して大阪を国際競争力のある都市に再生する狙いだ。大阪市を廃止し、東京都のように複数の特別区に再編する計画だ。

だが、協定書を作る協議会では、維新案に「議論が不十分」などとする反対論が大勢を占めた。行き詰まった橋下氏は出直し市長選に打って出た。再選されると、協議会メンバーから反対派野党議員を排除して維新だけで協定書を作成するなど、強引に手続きを進めた。

そうしてできた協定書は、大阪市を解体して五つの特別区を置くというものだ。だが、特別区にどれだけ権限と財源が配分されるかが明確でないうえ、財政効果や住民サービスの向上にどうつながるかも不透明なままだ。今よりむしろ行政コストがかさむのではという疑問も持たれている。

都構想の頓挫は、維新の孤立を象徴するものだ。橋下氏の手法は反発を招いて離党者が相次ぎ、両議会とも過半数を割り込んでいる。他のどの政党、会派も背を向けており、このまま「議会敵視」を続けていては、溝は深まるばかりだ。

来春には府・市議選がある。都構想の是非を改めて問うのであれば、住民が判断できるもっとしっかりした設計図を作るべきではないか。

二重行政の無駄を解消すべきだという問題意識は議会も持っている。橋下氏は期限を切らず、議会との丁寧な議論で内容を練り直してもらいたい。メリット、デメリットを含め、分かりやすく住民に示す中で、大阪の将来像を一緒に描いていく機運を高めてほしい。

2014年10月29日 02時30分
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[読売新聞] アジア投資銀 過剰な中国主導で大丈夫か (2014年10月29日)

中国の主導する新たな国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)が、設立されることになった。

アジアのインフラ整備促進を目的に掲げ、中国が創設を提唱していた。インドや東南アジアの9か国など21か国が、2015年中の発足で基本合意した。

アジアでは20年までに、鉄道や道路などのインフラ投資の需要が、総額8兆ドル(約860兆円)に上るとの試算もある。

アジア開発銀行(ADB)など既存の国際金融機関だけで、これほどの巨費を賄うのが難しいのも事実である。

インフラ開発を成長の原動力としたいアジア新興国が、AIIBに期待するのは理解できる。

一方、日本は参加を見送った。AIIBの意義や、今後の運営方針が不透明だからだ。オーストラリアや韓国も不参加だった。

中国は今年7月、ロシアやインドなどと協力し、新興5か国(BRICS)による「新開発銀行」を創設することも決めた。

どちらも、国際通貨基金(IMF)体制を主導する日米欧に対抗し、新たな国際金融秩序を構築する思惑があるようだ。

特にAIIBは、中国国内で行き詰まる国有企業に、アジアのインフラ整備という巨大な市場を提供する狙いがあるのだろう。

4兆ドルに膨らんだ外貨準備を有効活用し、「中国シンパ」の国を増やす戦略もうかがえる。

気がかりなのは、AIIBに対する中国の影響力が、突出して強くなりそうなことである。

北京に本部を置き、資本金は1000億ドルを目指す。出資比率は経済規模に応じて決める方針で、中国が過半を占める見通しだ。

国際機関の名の下で、中国企業の受注を条件とする「ひも付き」の融資が乱発され、中国を利する開発案件ばかりが優先されることはないか。融資審査が甘くなれば、環境や人権を無視した開発を助長する恐れもある。

中国に過度に依存した金融支援の枠組みでは、中国経済が変調をきたした際に、開発プロジェクトが滞るリスクも大きくなる。

アジア地域の健全な発展に資する運営が行われているか、日米などが連携して、監視を強めることが重要だ。

潤沢な中国マネーを、アジアの成長に生かす視点も忘れてはならない。ADBの最大の出資国である日本は、ADBとAIIBが適切な補完関係を築けるよう、働きかけるべきである。
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[読売新聞] エボラ熱対策 国内発生に万全の態勢整えよ (2014年10月29日)

日本国内でエボラ出血熱患者が確認された際、速やかに対応できる態勢を築かねばならない。

エボラ出血熱の感染が西アフリカで拡大し続けている。欧米にも飛び火する深刻な状況だ。日本政府は28日、関係閣僚会議を開き、国内の対策を徹底する方針を確認した。

安倍首相は、感染症対策を担う塩崎厚生労働相に対し、国家安全保障会議にも状況を報告するよう指示している。患者が発生すれば、国内に不安が広がるだろう。経済活動にも支障が出かねない。

安全保障の観点を重視するのは当然と言える。

東京・羽田空港で27日、リベリア滞在後に欧州経由で到着した男性に発熱症状が見つかり、政府の指定医療機関に搬送された。検査の結果、幸い陰性だった。

国境を越えた人の往来が活発な中、日本もアフリカ発の感染症と無縁でないことを印象づけた。

男性は、リベリア滞在を自己申告したため、関係機関が速やかに対応できた。厚労省は、この男性が搭乗していた便の乗客名簿を確保して万が一の事態に備えた。機内の消毒も行われた。

ただ、陽性だった場合には、機内で乗客や乗務員に感染する可能性がゼロではない。申告がない場合の対処にも不安が残る。

厚労省は既に検疫を強化している。国際便が到着する空港では、入国者全員に流行国での滞在歴がないかを尋ねている。

エボラ出血熱は、発症までの潜伏期間が最長21日程度と長いため、該当者には、症状がなくても1日2回、健康状態を検疫所に報告するよう義務づけている。これを徹底せねばならない。

検疫所と入国管理局が連携を密にし、可能な限りの水際対策を講じることが求められよう。

対策を強化しても、検疫のすり抜けは起こり得る。国内の医療体制を充実させることが肝要だ。

全国に45か所の指定医療機関があるものの、9県では未整備だ。他県への搬送態勢を整えておく必要がある。西アフリカや欧米では医師や看護師の二次感染が多い。国内でも、防護服の着脱法などの訓練が欠かせない。

西アフリカでは感染者数が1万人を超え、死者は約5000人に上る。来年初めには感染者が140万人にまで増えるという最悪シナリオ通りの勢いである。国際社会が協力し、多発地域での感染封じ込めに当たらねばならない。

日本も、医療支援や治療法の研究開発などで貢献すべきだ。
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[朝日新聞] エボラ対策―冷静な対処が試される (2014年10月29日)

エボラ出血熱は、重い感染症である。だが、その対処はあくまで冷静でなければならない。そのことをいま一度、肝に銘じておきたい。

リベリアに滞在後、東京・羽田空港に着いた男性の感染が疑われ、おとといから都内の指定医療機関に入院している。

きのうまでの血液検査では陰性だったが、引き続き数日程度経過をみることになった。

世界保健機関(WHO)によると、リベリアとシエラレオネ、ギニアの西アフリカ3国での感染拡大は依然続いている。世界全体で今回の感染者は1万141人に達し、うち4922人の死亡が確認されている。

ただ、現状はこの3カ国におおむね封じ込められている。制御を失った状態ではない。

流行地との往来が盛んな欧米では、発熱などで感染が疑われる例が何人も出ているが、これまでのところそのほとんどがエボラではなかった。

欧米での発症確認は、米国4人、スペイン1人の5人、死者は米国の1人だけだ。

これはエボラが患者の血液などを介してしか感染しないからだ。新型インフルエンザのようにせきのしぶきなどで感染するわけではない。流行地以外では限られた患者に適切に対処すれば感染拡大は防げる。

もちろん、日本でも感染者がいつ確認されるかわからない。日本政府は、流行国への滞在歴がある入国者全員に毎日体温など体調を報告してもらうことにした。

国内で発症した場合、指定医療機関に誘導することを含め、現段階ではそうした措置を徹底することが肝要である。

一部の国や地域では、3カ国からの渡航を禁止したり、症状のない入国者を強制隔離したりする動きもある。だが、それは人権を極端に制限するだけでなく、感染症対策を徹底するうえで逆効果となりかねない。

過剰ともいえる隔離や検査を強要すれば、流行地に渡航した人たちが検疫などで虚偽申告したり、密航しようとしたりする可能性を高める。そうなれば流行の制御が難しくなる。

米ニュージャージー州では、流行地でエボラと闘った看護師が、症状もないのに一時強制隔離され、犯罪者のような扱いを受けたと訴えている。非科学的な対応で医療者の士気をくじくようでは、有効な態勢づくりはおぼつかない。

国内の備えを地道に整えつつ、流行地での対策には国際社会で結束して取り組む。その着実な努力が求められる。
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[朝日新聞] 再稼働の地元―立地自治体に限るな (2014年10月29日)

九州電力川内(せんだい)原発1、2号機が立地している鹿児島県薩摩川内市がきのう、再稼働に同意した。市議会の採決を受け、岩切秀雄市長も同意を表明。再稼働に至る地元の同意手続きが一つクリアされたことになる。

だが、政府も電力会社も、これで地元の理解を得られたと考えるべきではない。

原発再稼働に関して、地元の同意も自治体の範囲も法的な定めはない。伊藤祐一郎・鹿児島県知事は自らの判断で、知事、県議会、それに原発立地自治体の薩摩川内市長、同市議会と定めた。

だが、もし過酷事故が起きれば、被害は立地自治体にとどまらない。福島第一原発を見れば明らかだ。同意を得る対象を立地自治体に限るべきではない。実際、周辺自治体は再稼働に必ずしも納得してはいない。

原発から最短5・4キロのいちき串木野市や、市の北半分が30キロ圏内に入る日置市の議会は、再稼働の同意対象に自分たちの市も含めるよう求める意見書を可決した。

30キロ圏に一部がかかる姶良(あいら)市議会も、7月に川内原発の再稼働に反対し、廃炉を求める意見書を可決。電源立地地域対策交付金や使用済み核燃料税が入ってくる立地自治体の議会に公正な判断ができるのか。そんな不信感が語られている。

政府が同意自治体の範囲を地元の判断に丸投げしているために起きている問題だ。

30キロ圏の5カ所で住民説明会が開かれたが、必ずしも理解が進んだとは言えない。県が説明対象を新たな規制基準に基づく審査に限ったため、避難計画の説明もなかった。会場では「再稼働を判断する材料は不十分」との声も上がった。住民にすれば当然である。

川内原発の場合、巨大噴火の可能性や予兆観測について火山学者から異論が出るなど、不安が解消されたわけではない。

避難計画の立案や実行は県と市町村にゆだねられている。県はきょう、避難計画を含む補足説明会を日置市で開くが、さらに機会を増やすべきだ。幅広い地元の人々の疑問や不安に正面から応える責任が、知事や県議会にはあるのではないか。

今後、11月上旬にも鹿児島県議会で再稼働の是非を採決した後、伊藤知事が再稼働の是非を判断する。その際、周辺自治体や住民の意向をくみ上げる努力を重ねるべきだ。それこそが「3・11」後の政治と行政の責任だろう。再稼働の地元とは、どこなのか。川内原発でまず、明確に示してほしい。
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