2014年10月28日

[産経新聞] 【主張】ウクライナ議会選 民意背に露介入はね返せ (2014年10月28日)

ウクライナ議会選挙でポロシェンコ大統領の与党をはじめロシア批判勢力が圧勝し、親露派は大幅に後退した。大統領は「欧州への道が支持された」と勝利宣言した。

南部クリミア半島の武力併合などロシアによる侵略に対し、ウクライナの民意が明確にノーを突きつけたものだ。

ロシアのプーチン大統領は改めてこの選挙結果を重く受け止め、ウクライナの領土主権を侵害する行為を直ちに停止すべきだ。

選挙では、親露派の妨害でクリミア半島のほか東部ルガンスク、ドネツク両州の主要地域で投票が実施できず、定数450のうち約25議席が空席となる。親露派は来月初め、支配地域で独自選挙を強行する構えだ。

プーチン氏が半年以上に及ぶウクライナ危機を通じて狙っているのは、同国を欧州との緩衝地帯とすることだ。ウクライナ分裂の固定化につながる東部2州の独自選挙は認められるものではない。

新議会にも注文がある。2004年の民衆政変「オレンジ革命」の翌年に誕生した親欧米政権は、内紛や経済不振、ロシアの圧力などで破綻した。ロシアの露骨な侵略に直面している今、各政治勢力は小異を捨てて団結し、危機に対処するときである。

東部では、9月の停戦合意後もウクライナ軍と親露派武装勢力の戦闘が断続的に起き、死者が出ている。戦闘にはロシア軍兵士が加わったとみられている。

国際社会はプーチン政権に対して停戦の完全履行を求めるだけでなく、武力で併合したクリミアのウクライナへの返還などを求め続けてゆく必要がある。ロシアが前向きに応じない限り、さらなる制裁強化を含む、厳しい対応を検討するのは当然である。

安倍晋三首相は来月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせプーチン氏と会談する予定だが、そこでロシアにウクライナから手を引くよう、はっきりと要求してもらいたい。

日本の北方領土は先の大戦終結前後、ソ連軍が混乱に乗じて武力で不法占拠した。「力による国境変更の試み」という点でクリミア併合と同根の暴挙だったことを忘れてはならない。

日本としても、つぶさにウクライナ情勢を見つめ、国際社会と協調して対露圧力を緩めないことが大切だ。
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[東京新聞] 名古屋議定書 参加の遅れは損になる (2014年10月28日)

「歴史的成果」−。名古屋議定書の採択時、議長国日本に贈られた賛辞である。あれから四年。生物の力を資源として、永く使い続けるために結んだ約束は、その日本を抜きにして動き始めた。

今月、韓国・平昌(ピョンチャン)で開催の国連生物多様性条約第十二回締約国会議(COP12)の会期中、生き物からの恵みを世界が公平に分け合うルールの名古屋議定書が発効し、その第一回締約国会議(MOP1)が併せて開かれた。

日本は議決権のないオブザーバーとしての参加になった。議定書を国会で承認する批准の手続きが、遅れているためである。

名古屋議定書は、二〇一〇年に名古屋市であったCOP10で採択され、まとめ上げた議長国の手腕が称賛さえ浴びた。

例えば先進国(利用国)の企業などが、途上国(提供国)の生物資源と呼ばれる植物や微生物などを利用して、薬品や化粧品などを開発、販売する場合、その利益を公平に分け合うためのルールである。提供国は、支払われた利益の一部を生物資源の保全に役立てることになっている。

百九十四締約国・地域のうち、欧州連合(EU)やスイスなどが承認し、発効した。現在は五十四カ国・地域に増えている。中国は批准に向けて準備を進めているが、米国は条約に加盟していない。

議定書は、生物資源の提供国に取引のための明朗な手続きを定めること、利用国には、その手続きを企業がきちんと守るよう、国内ルールの整備を求めている。

日本の批准が遅れているのは、バイオ関連業界などから「議定書の内容があいまいで、研究開発に支障を来す」と、批准を見合わせるよう求める声が上がっているためである。

だが、もともと名古屋議定書は、途上国に豊富な生物資源を、その国に保全してもらい、人類が末永く使い続けるためのルールではなかったか。議定書に参加しない利用国には、資源を提供しないということにもなりかねない。

議定書のあいまいな部分は今後、締約国会議で詰めていくことになる。その議論に参加できねば、日本に不利なルールになりかねない。批准を急ぐべきである。

日本は、地球温暖化防止のルールを定めた京都議定書の第二約束期間からも離脱した。このままでは「約束を守れない国」と世界の不信も買いかねない。
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[東京新聞] エボラ感染拡大 万全な防止態勢が急務 (2014年10月28日)

エボラ出血熱の感染拡大が続いている。感染者は一万人を超え、日本でも西アフリカに滞在し、羽田空港に到着した男性が発熱し、検査を受けた。冷静さを保ち、万全な防止態勢づくりを急ぎたい。

エボラ出血熱は西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネを中心に流行。今月に入り、スペインでの感染、米テキサス州でリベリア人患者を治療した女性看護師への感染が判明。ニューヨークでも二十四日、ギニアから帰国した男性医師への感染が確認され、男性が地下鉄にも乗っていたことから不安が一気に広がった。一部の州は西アフリカから帰国する医療従事者全員の隔離措置を導入し、人権侵害との批判も出ている。

日本では、西アフリカ三カ国に滞在した人に体温や体調を空港や港などにある検疫所に入国後二十一日間報告するよう義務付け、国際線のある全国三十空港で入国者全員にエボラ出血熱流行国への滞在歴を確認するなど、対策を強化した。しかし、体調チェックは自己申告で水際作戦には限界もある。元厚生労働省医系技官で医療法人財団「綜友(そうゆう)会」医学研究所長の木村もりよさんは「感染者が入国してきたことを想定して対応することが必要」とした上で▽検疫は厚労省、国内での対処は地方自治体などと対応が一元化されていない▽エボラ出血熱など最も危険な感染症の分析や、ワクチン開発などができる実験施設が稼働していない−など感染拡大防止態勢の問題点を指摘する。

世界保健機関(WHO)によると、エボラ出血熱による疑い例も含む感染者は二十三日までに一万百四十一人、死者は四千九百二十二人。死亡率が高い上、ワクチンや治療法もなく不安が広がっている。一方で、患者の血液などの体液や体液に汚染された物質に触れた際に感染し、症状のない患者からは感染せず空気感染もしない。

光明もある。WHOは二十日、感染者二十人を出したナイジェリアの流行終息を宣言。富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬の日本での対エボラ出血熱使用も事実上、容認された。

英国では患者ではないシエラレオネ人が入居を断られ、パリ近郊の小学校ではギニアから帰国した児童がいることを理由に他の親が子どもの登校を拒否するなど、欧米では過敏ともいえる反応も伝えられている。エボラ出血熱感染の特徴をよく理解し、根拠のないパニックや差別を引き起こさないようにすることも重要だ。
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[産経新聞] 【主張】子育て新制度 混乱なき移行に尽力せよ (2014年10月28日)

来年4月からの「子ども・子育て支援新制度」は、円滑にスタートできるのだろうか。

幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」の一部に、認定返上を検討する動きが出ている。文部科学省や厚生労働省が別々に支給してきた補助金の見直しで、数千万円もの減収となるケースが生じるからだ。

園児1人当たりの補助単価が低く設定された大規模な園や、自治体が手厚い助成を行ってきたところほど影響は大きい。新制度移行後も補助額は大きくは変わらないと政府が説明してきた経緯もある。見通しと制度設計に甘さがあったとの批判は免れまい。

親の就労の有無にかかわらず利用できる認定こども園は、新制度の目玉となるものだ。待機児童の有力な解消策として普及に期待がかかる。このままでは新制度そのものが根底から揺らぎかねない。政府は早急に改善策をとり、混乱なき移行に努めるべきだ。

看過できないのは、5月に補助金基準案を提示した段階から、こうした事態が生じる懸念があったのに放置してきたことだ。

政府が「子ども・子育て会議」で補助金加算など激変緩和措置を講じる方針を示したのは今月24日である。あまりにも遅い対応だと言わざるを得ない。

すでに各園では来年度の園児募集の時期を迎えている。認定こども園として運営してきたところが突如、幼稚園や保育所に戻ったら、戸惑うのは利用者である。

こうした補助金の不足が生じる背景には、認定こども園のみならず新制度の財源確保の道筋がいまだに付いていないことがある。

政府は平成29年度に年間1兆1千億円が必要と試算している。めどが立っているのは、消費税率を10%に引き上げた際の増税分から充てられる7千億円だけだ。残る4千億円の算段はこれからだ。消費税増税による7千億円にしても、税率引き上げの正式決定はまだ行われていない。

これでは各自治体を含め、思い切った事業計画や助成予算を立てづらいのは当然である。認定こども園の補助を増額するにしても、追加の財源が必要となる。

少子化は最大の国難である。首相が掲げる「女性の活躍推進」を絵に描いた餅に終わらせないためにも、財源の確保に全力であたらなければならない。
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[毎日新聞] 社説:TPP交渉 日米は原点に立ち返れ (2014年10月28日)

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に参加する12カ国による閣僚会合が、年内合意への道筋を描けないまま終了した。

「重要な進展を得た」という声明とは裏腹に、早期合意への意欲が失われかねない状況だ。交渉全体のカギを握る日米両国は、この協定に参加した原点に立ち返り、交渉をまとめる努力を尽くすべきだ。

TPPは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)で参加国の首脳が集まる11月中旬に首脳会合を開き、大筋合意にこぎつけるのが目標だ。今回の閣僚会合はその道筋をつける節目になると期待されていた。

しかし、貿易・投資ルールを中心に協議した全体会合は、医薬品の開発データの保護期間などを巡る知的財産権、国有企業の優遇策を見直す国有企業改革などの分野で米国と新興国との溝が埋まらなかった。参加国間の利害対立が一段と大きい関税など市場アクセス分野は、各国が2国間協議で打開を目指したが、こちらも大きな進展はなかったようだ。

交渉を停滞させている大きな原因は日米協議の行き詰まりだ。両国は参加国全体の国内総生産(GDP)の約8割を占め、協議の行方は交渉全体を左右する。他の参加国はそれを見極めようとしているからだ。

甘利明TPP担当相とフロマン米通商代表部代表は、日米首脳会談に合わせて4月に立て続けに3回会談したのをはじめ、今年に入ってこれまで6回の協議に臨んでいた。そして7回目の今回も、日本の農産品関税や自動車の非関税障壁を巡る対立は解消できずに終わった。

12カ国は来月初旬のAPEC閣僚会議の日程に合わせて、改めて閣僚会合を開くという。しかし日米協議が実質的に決着しない限り、交渉全体の年内合意に向けた機運は高まらないだろう。両国はその責任を改めて認識する必要がある。

TPPはアジア太平洋地域で、貿易・投資の幅広い分野を対象に高いレベルの自由化を目指す枠組みだ。成長著しいこの地域の活力を取り込むことは、日米両国の経済成長にとって欠かせない条件といえる。

透明で公平な経済のルールを共有することで、この地域で存在感を増す中国をけん制する狙いもある。TPPによる経済連携は、日米両国の安全保障にとっても大きな意義を持つ。シンガポール、ブルネイなど4カ国で始まった協定に米国、そして日本が参加したのは、そうした多様な意義を見いだしたからであろう。

日米とも農業分野を中心に譲歩が難しい政治的な事情を抱えている。しかし、両国の首脳はTPPの重要性を思い起こし、そうした困難を乗り越える努力を求められている。

2014年10月28日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:政治資金問題 使い道がひどすぎる (2014年10月28日)

政治とカネをめぐる不信が増幅している。政治資金問題で辞任した小渕優子前経済産業相の代わりに入閣したばかりの宮沢洋一経産相に不適切な政治資金の収支が早くも発覚、問題化している。

深まるばかりの小渕氏の疑惑も含め、一連の問題は政治資金の使い道に関する規律がゆるんだ実態を反映したと言わざるを得ない。各党は資金の透明化に加え、使途の適正化に向けた議論を本格化すべきだ。

2閣僚辞任で幕引きとはとてもいかぬ状況である。宮沢氏の政治資金管理団体はこともあろうに「SMバー」への政治活動費の支出が発覚した。これだけでも驚きだが、自ら代表を務めていた政党支部が、法律で禁じられる外国人が50%超の株式を保有する企業からの献金を受領していたことも新たに判明した。違反する企業だと事務所は認識していなかったと宮沢氏は言うが、収支の掌握がずさんというしかない。

宮沢氏は東京電力株600株の保有も問題視されている。閣僚の株保有について定めた規範に沿い、信託の手続きを取ると政府は説明している。だが、エネルギー政策をめぐり厳正たるべき経産相の人選だけに細心の注意を払うべきだった。

小渕氏の疑惑も膨らむ。後援会員が参加した「観劇会」をめぐる政治団体の収支は不透明なままだ。小渕氏側による選挙区内のワインやカレンダーの配布が公職選挙法に抵触する疑いも指摘されている。もはや議員として適格性すら問われよう。

野党は江渡聡徳防衛相の政治資金収支報告書の訂正問題も追及している。宮沢氏ら閣僚が説明を尽くすべきなのは当然だ。小渕氏に関しては国会も実態解明に手をこまねいていてはなるまい。

同時に、与野党を通じて求められるのは政治資金の使途の適正化に向けた取り組みの強化だ。

小渕氏のように贈答や飲食に政治資金がふんだんに使われる実態はまったく疑問だ。国会議員の政治資金の支出は人件費を除き、1件1万円超は記載する。資金を適切に使おうとする自覚が全般になお、不足していないか。事務所の運営やスタッフの選任も政治家の責任だと心得るべきだ。

政治とカネをめぐっては維新の党が国会議員に年間1200万円支給される文書通信交通滞在費の使い道を透明化する法案を国会に提出した。多くの政党は黙殺しているが、無視できない課題のはずだ。

政党助成制度の導入で政治資金には公金も投入されている。従来にも増して使い道に注意すべきにもかかわらず、不適切な出費が次々と判明するのでは情けない限りだ。政党が一歩踏み出す時である。

2014年10月28日 02時31分
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[読売新聞] 「イスラム国」 過激派の勧誘に惑わされるな (2014年10月28日)

テロを正当化する過激派の宣伝が、先進国で新たなテロを生む。

この悪循環を断ち切らねばならない。

カナダの首都オタワで中東行きを計画していたイスラム教徒の男が、兵士1人を射殺した後、国会議事堂内で銃を乱射した。男は衛視に射殺された。

モントリオール郊外や米ニューヨークでも、男が兵士や警官を殺傷する事件が起きた。

いずれの事件の犯人も、イスラム過激主義に共鳴していたことが分かっている。ニューヨークの事件の犯人は、過激派組織「イスラム国」のサイトを見ていた。

イラク、シリア領内で勢力を拡大するイスラム国の過激思想が、一連の事件の背景にある可能性は否定できまい。

イスラム国には、各国の若者が戦闘員として加わっている。先進諸国は、戦闘員が帰国してテロを起こす事態を警戒していた。

だが、今のところ、一連の事件の犯人が戦闘員だった形跡はない。先進国における“国産テロ”と言えよう。新たな脅威だ。

単独犯であることも特徴だ。仲間との謀議などがないため、捜査当局にとっては、事前の察知が難しい点が大きな問題だろう。

日本では、イスラム国に外国人戦闘員として加わる目的で、シリアへの渡航を企てたとして、男子大学生が私戦予備・陰謀容疑で警視庁の捜索を受けている。

男子学生は、イスラム法学が専門の元大学教授から渡航方法の助言を受け、イスラム教に入信した。「この世界が嫌で死にたい。シリアで殺されてもいい」と語っているという。一緒に住んでいた男性も同行予定だったとされる。

イスラム法による支配を正当化する巧みな誘いが、疎外感を抱く者の心に付け入っているのか。

イスラム国は、大量殺りくや奴隷制を肯定する凶悪組織だ。今年に入り、人質の身代金で約22億円を手にした。米国が9月に製油施設を空爆するまでは、原油の密売で1日約1億円を得ていた。

テロ組織としては類のない資金力を背景に、大がかりな宣伝戦を仕掛けているのだろう。各国は、イスラム国の真の姿をネットなどで広く知らせる必要がある。

無論、最も重要なのは、イスラム国の壊滅だ。米国などの有志連合は、イラク、シリア領内で550回以上の空爆を行ってきたが、戦闘は一進一退の状態にある。

有志連合には、戦術面で足並みの乱れもある。共闘態勢を立て直すことが急務である。
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[読売新聞] 原発賠償条約 事故収束の加速にも有益だ (2014年10月28日)

原子力事故の損害賠償に関する国際条約に加盟する意義は大きい。

米国などと緊密な協力関係を築き、東京電力福島第一原子力発電所の事故収束の加速にもつなげたい。

政府が、原発事故の賠償の枠組みなどを定めた「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」に加盟する方針を決め、その承認案と関連法案を国会に提出した。今国会での成立を目指す。

原発事故は発生国だけでなく、周辺国にも被害が及びかねない。CSCは、万一の際に賠償などが円滑に進むよう、国際的なルールを決めておく狙いがある。

すでに米国、アルゼンチン、モロッコなど5か国が加盟しているが、原発の出力合計の要件を満たしておらず未発効だ。日本が参加すれば発効条件を満たす。

この条約は原発事故に備え、各国が最低470億円を用意するよう義務づけている。賠償額がそれを超えた場合は、一部を加盟国の拠出金で支援するが、5兆円に迫る福島第一原発の賠償額を考えれば、備えが十分とは言えない。

むしろ、大きな効果が見込めるのは、賠償責任の所在などが明確化される点だ。

CSCは、事故の賠償責任は全て電力会社が負い、裁判は事故の発生国で行うと定めている。

福島第一原発の事故収束や廃炉作業は、米国技術の活用が求められている。だが、米国企業は、新たな事故が起きた場合、米国で被害者に巨額の訴訟を起こされると懸念し、二の足を踏んでいる。

条約締結で、今後の賠償責任を東電が負うことが明確になれば、積極的な協力が期待できよう。

福島の事故収束は、汚染水処理でつまずいている。前例のない廃炉作業も、日本単独での取り組みには限界がある。

スリーマイル島事故に対処した米国の技術やノウハウを、溶融した核燃料の取り出しなど困難な作業に生かしたい。

CSC加盟は、日本メーカーにとっても、原発輸出に伴うリスクを軽減する利点がある。

世界で建設中や計画中の原発は200基近くに上る。日本の原発輸出には、世界最高レベルとされる安全性能や安全基準を国際的に広める意味がある。

原発事故が起きた場合に備えた法整備が不十分な新興国も多い。日本メーカーが輸出を予定しているトルコやベトナムも、CSCに未加盟だ。政府はこれらの国に加盟を呼びかけ、原発を巡る国際協力の基盤整備に貢献すべきだ。
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[朝日新聞] 大阪都案否決―正攻法でやり直そう (2014年10月28日)

大阪市を五つの特別区に分割し、広域行政は大阪府に一元化する大阪都構想案が、大阪府・市議会で否決された。橋下徹市長が率いる大阪維新の会以外の主要会派が反対した。法に基づき、都構想の是非を問う住民投票はできなくなった。

橋下氏は「議会ではなく住民が決める問題だ」と反発し、住民投票をするべきかを問う別の住民投票条例案を出す考えを示した。首長権限で議会承認を飛ばす専決処分も視野に入れる。

だが、議会承認は、法に明記された要件だ。市議会が新たな条例案を通す可能性も低い。民意を直接問いたいという橋下氏の思いは理解できなくもないが、専決処分のような強引な手段では、都構想への住民の支持が失われるリスクもあろう。

やり直したいなら、橋下氏はあくまで正攻法で臨むべきだ。

議会と橋下氏の対立が深まったのは、都構想案をまとめる法定協議会をめぐってだった。

維新は3月の出直し市長選での橋下氏再選を根拠に、反対派府議を協議会から締め出した。市議会の反対派も協議をボイコットし、都構想案は維新議員だけで完成した。民主的な正統性は疑問というしかない。

もっとも、自民や公明など反対派も責務を果たしたとはいえない。市議会の集中審議には橋下氏を呼ばず、事務方にだけ質問した。弁舌を封じる作戦らしいが、あまりに情けなかった。

橋下氏も各党も、冷静に考え直してほしい。いま取り組まなければならないことはなにか。

大阪は深刻な危機に直面している。高齢化と生活保護受給者の多さは群を抜き、東京との経済格差は拡大するばかりだ。

橋下氏は府市の二重行政こそが元凶とし、解決策として都構想の具体化に力を注いできた。賛否はおくとしても、問題提起としての意義は大きかった。

都構想案に対しては「新しい特別区が財政的に立ち行くか」「行政コストがかえって増えないか」といった重大な疑問がいくつも出ている。

橋下氏は「車を買うのに設計図を一から見るか」と語り、住民投票で結論を出すのが先だというが、それは乱暴すぎる。大阪市をひとたび解体すれば、もうやり直しはきかない。

維新以外の各党は、法定協議会に反対派を戻すことを決め、協議の再開を求めている。橋下氏はぜひ応じてもらいたい。

来年4月の府・市議選まで半年を切った。大阪の改革は都構想で進めるべきか否か。有権者が判断できるよう、橋下氏と野党は誠実に議論してほしい。
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[朝日新聞] 大学入試―実現できる制度設計を (2014年10月28日)

大学入試をてこに、高校や大学の教育、さらには社会の意識を変える。文部科学相の諮問機関の中央教育審議会が、そんな大胆な答申案をまとめた。

ポイントは3点ある。

高校では基礎的な知識が身についているかを見る「高等学校基礎学力テスト」を導入する。

大学入試では、センター試験を廃止し、知識の活用力を問う「大学入学希望者学力評価テスト」を始める。大学の個別試験では、面接や志望理由書など「人が人を選ぶ」入試をする。

答申案は言う。「試験の点数のみに依拠した『公平性』の観念という桎梏(しっこく)は断ち切らなければならない」

たしかに、高校生や大学生の学力を担保する新たな仕組みは必要だ。18歳人口が減って「大学全入時代」を迎え、受験を勉強の動機づけにすることが難しくなった。学力試験を経ない推薦やAO(アドミッション・オフィス)入試を、入学者確保の手段とする大学も増えている。

答申案は、こうも訴える。これからの社会では知識を覚えるだけでなく、自ら課題を見つけて解決を探り、多様な人々と協働する力が必要だと。その方向性にうなずく人も多いだろう。

だが問題は、描いた理念をどう実現するかである。その点で答申案はまだまだ生煮えだ。

まず入試で見ようとする「主体的に生きる力」「協働する力」などの新しい学力は抽象的なままだ。評価手法の具体的な検討もこれからだ。高校の学習内容を定め、テストの土台となる学習指導要領は、中教審にまだ諮問さえされていない。

「学力評価テスト」に「合教科・科目型」「総合型」の問題を盛り込むともいうが、その問題例は示されていない。

「基礎学力テスト」は高校2、3年生に年2回ほど行うというが、部活動や行事への影響はどうなるのか。

個別試験も、一般入試だけで5万人も受ける大学で、どこまで記述や面接など、きめ細かな選抜ができるのか。選抜の基準をどうつくるかも問われる。運営の負担も並大抵ではない。

改革は、高校や大学の協力なしには進まない。子どもや保護者を不安にさせないよう、具体案を示し、実現可能な制度設計をする必要がある。

入試は過熱する競争の弊害が問題になり、日本の教育問題の焦点であり続けた。特に大学入試は小学校からの教育のありようを一変させる影響力を持つ。

国は専門家会議を設け、答申後1年をめどに具体化するという。拙速ではない議論を望む。
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