2014年10月27日

[東京新聞] 御嶽噴火1カ月 火山の国で暮らすには (2014年10月27日)

御嶽山の噴火から一カ月。列島の火山は、その間も休むことなく活動を続けている。火山災害の恐ろしさをあらためて胸に刻み、わたしたちは、それでも前向きに火山と共存していかなくては。

五十七人の死亡が確認され、なお六人が行方不明。火山災害としては戦後最多の犠牲者が出た御嶽山の噴火で思い知らされたのは、不意打ちの恐ろしさだ。

噴火に先立ち、気象庁は三回、火山活動の推移に注意を促す解説情報を出していた。しかし、噴火警戒レベルは「1、平常」が継続され、異変の兆しは周知徹底されなかった。

御嶽山に続き、宮城、山形両県にまたがる蔵王山の動きが怪しくなった。九月三十日以降、火山性微動が断続し、火口湖の一時的な白濁も確認された。仙台管区気象台は十月九日、こちらも「平常」継続のまま解説情報を出した。

宮城、山形両県は火口湖周辺や登山道の入り口の十カ所に注意を促す看板を設置し、万一の際は山頂のレストハウスや避難小屋に逃げるよう明示した。同時に、その避難場所となる四カ所にヘルメットや水、誘導用のメガホンなどを運び込んだ。

二十四日には、鹿児島、宮崎県境の霧島連山・えびの高原で小規模な噴火の可能性がある、と福岡管区気象台が警報を発表した。宮崎県は登山客に対し、航空機で上空から下山を呼び掛けた。

もちろん、日々の火山活動の変化が直ちに噴火に結び付くわけではないが、空振りを恐れてリスクの周知徹底をためらってはならない。今回の蔵王山、えびの高原のような踏み込んだ対応を大切にしたい。火山と共存していくには、まず、正しく恐れなくては。

巨大なカルデラ(陥没地形)をつくる巨大噴火が今後百年間に日本で起きる確率は約1%とする試算を神戸大の巽好幸教授らが発表した。列島の巨大カルデラ噴火は過去十二万年に計十回起きていることから計算されたものだ。

統計学的な数値に浮足立つ必要はなかろうが、過去の事実に目をつぶるわけにもいかない。

火山の国で暮らす以上、リスクがあるなら皆で情報を共有し、減災の努力を怠ってはならない。

幸いなことに、情報を共有するための手段は、ひと昔前に比べて格段に進歩した。携帯電話やスマートフォンは素早く広く、情報を伝えることができる。

犠牲になった人々の死を無にしてはならない。
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[東京新聞] 福島県知事選 選択肢奪った責任重い (2014年10月27日)

原発事故後初の福島県知事選。県政の継承を掲げた前副知事が勝ったとはいえ、各党相乗りにより「脱原発」という重要な争点がぼやけてしまった。有権者から選択肢を奪った各党の責任は重い。

六人の立候補は福島県知事選では過去最多だが、論戦は盛り上がりを欠いた。国政では激しく角突き合わす自民、民主両党が相乗りしたためにほかならない。

初当選した内堀雅雄氏(50)は、民主党参院議員から転じた佐藤雄平現知事の下、副知事を務めた。三選立候補を見送った佐藤氏から事実上、後継の候補に指名され、民主、社民両党がまず支援を決め、自民党が相乗りした。

自民党は、県連が擁立決定した候補を、安倍晋三首相率いる首相官邸と党本部が引きずり降ろして相乗りを決める異例さである。

七月の滋賀県知事選では党推薦候補が敗れた。十一月の沖縄県知事選でも、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への「県内移設」容認に転じた、自民党が推す仲井真弘多県知事の劣勢が伝えられる。

福島で敗れれば、知事選三連敗の可能性も出てくる。消費税率再引き上げ決定や安全保障法制整備を控える政権運営や来年の統一地方選への打撃を、有力候補への相乗りで避けたかったのだろう。

十二万人を超える福島県民が今なお、県内外で避難生活を余儀なくされている。厳しい現実は原子力災害に起因していることを福島県民のみならず、すべての日本国民が忘れてはならない。

今回の知事選は県民自身が「原発との関わり方」をどう考えているのか、意思表示の好機だった。

六候補が県内の原発全十基の廃炉で一致していたが、内堀氏が県外の原発の是非に踏み込むことはなかった。再稼働を進める自民党の相乗りが影響したのだろう。

自民党は連敗を逃れた上に原発政策が明確な争点にならず、安堵(あんど)しているのだろうが、有権者から選択肢を奪った責任は重い。

相乗りを認めた民主党側も同様だ。政権奪還に向けた反転攻勢の好機を自ら放棄したに等しい。

内堀氏は医療、ロボット、再生エネルギーなど先端産業の集積を進めると公約した。復興推進や被災者の生活再建、賠償実現とともに応援したい。

選挙戦では「言うべきことは言う」とも強調した。官僚出身ではあるが、政府に遠慮せず、県民の思いをぶつけてほしい。それが県民の負託に応え、国内外に「福島の今」を発信する道である。
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[産経新聞] 【主張】新福島県知事 設的発想で中間施設を (2014年10月27日)

福島県知事選挙で前副知事の内堀雅雄氏が初当選した。

東京電力福島第1原子力発電所の事故後初めての、地元地域での知事選である。無所属の新人6人が立候補し、過去最多の争いとなった。

新知事となる内堀氏には、国との連携をとりながら福島の復興加速に邁進(まいしん)してもらいたい。

炉心溶融・爆発事故から3年半を経て、いまなお約13万人もの人々が県内外で避難生活を送っており、県政には解決しなければならない課題が山積している。

最優先すべきは、中間貯蔵施設の建設だ。除染で出た放射能汚染土などを安全に保管するために、大熊、双葉の両町で国による建設計画が進められている。

汚染土は約6万カ所に上る現場や仮置き場に保管されたままとなっている。さらなる除染を進めるには、焼却などによる減容化機能を備えた中間貯蔵施設の建設、稼働が必要だ。

同施設の受け入れは、現職の佐藤雄平知事の決断により、今年9月に固まった。それを引き継ぎ、内堀氏は一日も早い完成を目指さなければならない。

しかし、佐藤知事が国に認めているのは建設までで、施設への汚染土の搬入は承認していない。30年後までに福島県外に搬出することも前提条件とされている。内堀氏には難題を乗り越えて搬入への決断も求められる。

原発事故によってそれまでの暮らしを奪われた住民の間には、被災者としての憤りの思いや、そこから生まれる反発感があって当然だ。しかし、第1原発の事故の完全収束までには30?40年を要することが、チェルノブイリ事故の先例からも見えている。

この歳月を少しでも短縮し、将来への足取りを確たるものにするには、建設的な発想が必要だ。原子力に対して否定のまなざしを向け続けるだけでは、肝心の復興が遅れてしまう。

内堀氏には牽引(けんいん)力に富む明るい県政を期待したい。第1原発の周辺地域を、世界最高水準の廃炉技術研究センターとして振興させる青写真も描けよう。

そうした活動には、エネルギーが欠かせない。復興に原子力を積極利用するという発想があってもよいのではないか。前を向かなければ、長いトンネルからの出口は遠ざかる。
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[産経新聞] 【主張】国産旅客機 ものづくりの底力みたい (2014年10月27日)

三菱重工業の子会社、三菱航空機が小型ジェット旅客機「MRJ」を完成させた。来年4?6月に初の試験飛行を行い、平成29年に初号機を納入する計画だ。

半世紀ぶりとなる国産旅客機開発は、日本の航空機産業の悲願だ。事業が軌道に乗れば、国産機生産は新たな成長分野との期待もできよう。

そのためにも、飛行データの蓄積などを通じて、海外勢に負けない国産機の優位性を実証しなければならない。日本のものづくりの底力を示してもらいたい。

100席未満のMRJのような小型ジェット機は、近距離路線網の拡充を目指す航空会社の需要に支えられる有望な分野だ。

MRJの強みは従来機より2割も良い燃費性能などにある。引き続き安全性や経済性を高められるよう技術に磨きをかけ、同時に、収益を確実に上げられるよう、さらなる売り込みが必要となる。

実績のないMRJが顧客の信頼を得て受注を増やす上で、飛行試験や各国の安全審査手続きを着実に進めることが大前提であることを忘れてはならない。

これまで、安全性確保などを理由にMRJの納入時期は3度も延期された。今後も延期を繰り返すようでは、先行するブラジルやカナダの航空機メーカーとの勝負もおぼつかない。

日本は戦後の一時期、連合国軍総司令部(GHQ)から航空機生産を禁じられた。その後、官民でプロペラ旅客機「YS?11」を開発して航空技術の復活ぶりを内外に示したが、採算が合わずに生産を中止した。国産機開発はそれ以来の夢である。

日本企業は現在、米ボーイングとの共同開発・製造などで技術やノウハウを蓄積している。ただ、空白期間が続いた完成機の製造を将来的に根付かせるには、息の長い取り組みが必要となる。

当然、国が果たすべき役割も大きい。官民を挙げて技術開発を進めるべきなのはもちろん、国産機輸出を後押しする政治のトップセールスも欠かせない。

指摘したいのは波及効果の大きさである。航空機部品は数百万点に及び、自動車以上に産業の裾野が広い。炭素繊維複合材など先端技術も多く、国内産業の技術水準の底上げにもつながる。

MRJの開発をその端緒にすべきことは言うまでもない。
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[毎日新聞] 社説:電力会社の提携 効果を国民の利益に (2014年10月27日)

地域独占を続けてきた大手電力会社が、変わり始めた。

東京電力と中部電力が燃料調達と火力発電部門で提携を目指すことで合意した。自由競争を促す電力システム改革に対応するためだ。

脱原発を進めながら電気の供給力を確保し、料金を抑えるには競争原理をバネにした効率化の取り組みが欠かせない。両社の提携をその先駆けにしてほしい。

両社は今年度内に折半出資で共同事業会社を設立する方針だ。新会社は当面、液化天然ガス(LNG)の共同調達と老朽火力発電所の建て替えを担う。発電した電気は、半分ずつ分けあうという。

電力小売り完全自由化が2年後に迫る。燃料費抑制は競争力強化の鍵だ。新会社のLNG調達量は年間約4000万トンと世界最大級になる。ガス産出国との交渉力が強まり、より安く安定的に調達できるはずだ。

現在、国内の発電の9割は火力が占める。再生可能エネルギーが原発の穴を埋めるには時間がかかる。原発依存から脱していくには、今後も火力が頼りだ。ところが、日本の電力会社の燃料費は欧米に比べて割高だから電気料金も高い。企業は国際競争力をそがれ、家庭の負担も重い。提携で燃料費を引き下げ、国民の利益につなげてほしい。

老朽火力発電所の建て替えも重要だ。高効率の発電所に建て替えれば発電コストは下がり、二酸化炭素排出量も減らせるからだ。

原発事故の後始末で資金難の東電は、提携で建て替え資金を確保したい。中部電は首都圏進出のための電源がほしい。提携の背景には、そんな両社の思惑もある。

両社が提携すれば、電力業界での存在感は格段に大きくなる。事実上東電を国有化している政府には、ガス事業も含めた総合エネルギー企業に発展させるというもくろみもあるようだ。

しかし、巨大企業が市場を寡占したのでは競争原理は働かない。国民が電気料金抑制やサービス多様化の利益を受けるには、都市ガスや通信事業者など異業種も巻き込んだ合従連衡を促し、競争を本格化させる必要がある。

兆しはある。関西電力が伊藤忠商事と共同で宮城県内に、中国電力はJFE、東京ガスと共同で首都圏に火力発電所建設を検討している。九州電力も出光興産などと首都圏に火力発電所を建設する方針だという。

ただし送電網を公平に使えなければ、そうした動きも広がるまい。政府は2018?20年に電力会社の発電部門と送電部門を分離する「発送電分離」を予定する。公平な競争条件を確保する制度設計が必要だ。

2014年10月27日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:読書週間 豊かな世界を楽しもう (2014年10月27日)

今日から読書週間が始まる(11月9日まで)。今年の標語は「めくる めぐる 本の世界」。確かに、限りない奥行きを持った本がこの世にはある。老若男女が書物の豊かな世界を楽しむ秋にしたい。

毎日新聞社が全国学校図書館協議会(全国SLA)と実施した第60回学校読書調査で、メディアをめぐって気になる結果が目をひく。スマートフォン(スマホ)で情報を収集する小中高生が激増していたのだ。逆に雑誌や新聞離れが目立った。

スマホはとても便利で魅力的な道具だ。それだけに、うまく活用したい。課題もはらんでいる。よく指摘されるのは、ニュース検索などをする時に、興味のある情報だけを得る傾向があることだ。新聞で多くのニュースに一目で接したり、図書館で並んでいる本を眺めたり、司書に相談したりするのとは、情報との接し方が違う。興味の外にこそ、豊かな世界が広がる場合もあるだろう。

ネットで得られる情報の精度も問題だ。利用者は正しいのかどうかを見きわめる力が求められる。また、ネットを使ったいじめやトラブル、歩きスマホ、視力の低下、ネット依存症など、スマホをめぐる問題はさまざまだ。どのように使うかの教育がますます必要だ。

小中高生の書籍の読書量はこの20年間、概して増加傾向にある。今年は高校生が微減したが、「朝の読書」運動など、学校の読書指導が功を奏しているのだろう。書籍の質を高めたいという声をよく聞く。書籍の質とは何かという議論も必要だ。

16歳以上を対象にした毎日新聞社の第68回読書世論調査でも、スマホの利用が大きく広がっていることが示された。電子書籍を読んだことがある人が21%と初めて2割を超え、読んだ人が利用した端末はスマホが73%と他を圧していたのだ。読んでいるのは漫画と小説が多かった。

電子書籍・雑誌の市場規模は1000億円を超えているといわれる。電子出版の特性を生かした作品提供が工夫されることが期待される。

この調査でもう一つ、注目される結果があった。広島の被爆体験を描いた漫画「はだしのゲン」を読んだことのある人が半分に上り、読んだ人のうち97%が、小中学生が読むことを「問題ない」としていたのだ。松江市の教育委員会が小中学校に閲覧制限を求めて問題になったが、戦争の悲惨さを学ぶ教材として、人々が高く評価しているのがうかがえる。

「はだしのゲン」は開架式の本棚に置くべきだ。この本のページを開いた子供たちは極限状況の悲劇を通して、人間とは何か、社会はどうあるべきかと考えるのではないだろうか。それこそが読書の楽しみだ。

2014年10月27日 02時32分
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[読売新聞] 福島県知事選 復興と帰還を加速する契機に (2014年10月27日)

原子力発電所事故からの復興と避難住民の帰還の加速に向けて、新知事には強い指導力を発揮することが求められる。

新人6人の争いとなった福島県知事選は、前副知事の内堀雅雄氏が大差で初当選した。

自民党県連は当初、独自候補の擁立を目指した。だが、党本部は認めず、民主党などとの相乗りで内堀氏を支援することを決めた。7月の滋賀県知事選に続く敗北の回避を最優先したのだろう。

内堀氏は、自民、民主、公明など各党の組織票を手堅くまとめ、無党派層にも支持を広げた。

選挙戦では、復興を最優先課題に位置づけ、「国や東京電力と直接交渉する」と訴えた。トップセールスで、企業誘致や県産品の販路拡大を進めるとも強調した。

総務省出身の内堀氏は2001年に福島県に出向し、06年から副知事を務めていた。東日本大震災後は佐藤雄平知事の下、原発事故対応や復興の実務を仕切った。

その高い行政手腕に、県民は期待を寄せたと見られる。

原発政策では、6候補とも県内の原発10基をすべて廃炉にすると主張した。熊坂義裕・前岩手県宮古市長は県外の原発の再稼働にも反対したが、浸透しなかった。

原発政策は、国全体のエネルギー事情や安全・経済性などを考慮し、大局的な観点から政府が判断すべきものだ。内堀氏が県外の原発について「言及する立場にない」と明言したのは、妥当だ。

大震災から3年7か月が経過したが、福島再生は道半ばだ。県は、従来以上に復興促進の前面に立ち、市町村への支援や調整、政府との交渉に臨んでもらいたい。

原発周辺に住んでいた12万以上の人たちが今なお、県内外で避難生活を送る。今年4月に田村市で、今月には川内村の一部地域で避難指示が解除された。希望者の帰還を進め、その生活再建をしっかりと支えることが重要だ。

道路や医療・教育施設の整備や、雇用確保などを計画的に推進せねばならない。市町村単位でなく、広域で町づくりを進めるには、県が果たす役割は大きい。

除染作業で生じる汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設も喫緊の課題だ。行き場のない汚染土は県内各地に点在し、復興停滞の一因となっている。政府による用地交渉や工事、汚染土の搬入を県が側面支援する必要がある。

風評被害により、県内の農産物価格は依然、震災前の水準に戻りきっていない。新知事は、正確な情報発信の先頭に立つべきだ。
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[読売新聞] 読書週間 本と出会う場を増やしたい (2014年10月27日)

今日は、文字・活字文化の日だ。

11月9日までの読書週間の始まりでもある。今年の標語は「めくる めぐる 本の世界」だ。

秋のひととき、書店や図書館を巡れば、思わぬ本との新たな出会いがあるかもしれない。

読売新聞の最近の世論調査によると、自宅から気楽に行ける場所に書店が「あった方がよい」と答えた人は79%に上った。多くの人が本との出会いの場を求めていることがうかがえる。

その「街の本屋」が姿を消しつつあるのは、寂しいことだ。全国の書店数は約1万4000店で、2000年の3分の2に減った。雑誌などの販売の低迷や郊外型大型店の伸長が背景にある。書店ゼロの市町村も約330に上る。

地域住民の熱意が実って、書店の誘致に成功した例もある。

市内にあった唯一の書店が閉店した北海道留萌市では、主婦らのグループが東京の大手書店に働きかけて出店を実現させた。朗読会や出張販売会なども行われ、収支は黒字が続いている。

「マイクロ・ライブラリー」と呼ばれる小さな私設図書館の開設も各地で進む。

長野県小布施町の「まちじゅう図書館」はその一つだ。町内に書店はないが、商店や銀行、農家などの一角に書棚が設けられ、個性豊かな蔵書が並ぶ。

アットホームな雰囲気の私設図書館は、全国で500を超えると言われる。インターネットを通じて運営方法の情報交換が行われ、急速に増えている。

図書館は、地域の人たちの対話や交流の場でもある。読書の輪を広げるには欠かせない。

子供の読書を推進するため、学校図書館の役割は重要である。子供たちの好奇心を刺激する書籍を充実させたい。

専門職員である学校司書も、大切な存在だ。多忙な教師に代わって、図書の管理や児童生徒の調べ物のサポートを行う。例えば、オリンピックや月食など、時宜にかなったテーマの本を紹介するのも学校司書の役割だ。

学校司書を置く小中学校は、半数程度にとどまる。今年6月に成立した改正学校図書館法には、小中高校への配置を進める努力義務が盛り込まれた。

学校図書館での読書活動を活性化させる契機としたい。

活字が紡ぎ出す物語の世界に感動し、知識を得る喜びを味わう。読書の楽しさを子供たちに伝えていきたい。
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[朝日新聞] 福島新知事―生活再建に尽力を (2014年10月27日)

震災・原発事故後初めてとなった福島県知事選で自民、公明、民主、社民各党が支援した内堀雅雄氏が当選した。3年7カ月を経て県民の中には対立や先行き不安への疲労感も目立つ。勇退する佐藤雄平知事を副知事として支えた内堀氏には、復興を前に進め、成果を形にすることが求められる。

県内原発の全廃では県民が一致している。着実な廃炉、原発に代わる新たな産業ビジョン、復興財源や人手の確保、放射線被害への取り組み――。

課題は尽きないが、とりわけ急ぐべきは避難者の生活再建だ。直接的な支援は住民と接する市町村が中心でも、県が果たす役割もある。

いわき市は地価高騰と住宅不足に悩む。元の住まいに近く、気候や風土も似ているいわきで新生活を、という長期避難者の流入が続いているからだ。

市は県に宅地開発ができるよう都市計画法上の区分見直しを求めたが「2年以上かかる」と言われた。市は県を飛び越えて国と相談し、特例措置の適用や売却時の所得税の減免といった施策を示すことで、道筋をつけた経緯がある。地元自治体から上がる行政ニーズをくみ上げて国を動かすことは、県の役割のはずだ。

避難先の仮設住宅や借り上げ住宅で暮らす住民と行政をつなぐ役割を担う復興支援員をめぐっても、不満があがる。

市町村ごとの制度に加えて県が独自に取り組んでいるため、縦割り行政の弊害が生じている。「原発事故による避難者は支援できるのに、津波の被災者には支援ができない」「同じ地域にいても他の町の避難者は対象外」といった問題だ。「県が現場の声を吸い上げて整理し、効率化すべきだ」との声も聞かれる。

原発事故の収束も放射線の問題も、将来の見通しがつかない問題だ。人や地域によって事情や受け止め方が異なり、それが賠償問題などともつながって分断を生み、政策を進めにくくしている。それが、福島が直面する問題の難しさだ。

「違い」の尊重は欠かせない。だが、そのうえで広域的な視野から共通項や優先順位を探り出し、国や市町村と調整して限られた予算や人材を効果的に配分していく。現場で閉塞感や焦りが強まっている今だからこそ、県の役割が重要になる。

3年7カ月の経験を生かして何ができるか。新知事の座右の銘は「進取果敢」だという。生活再建をはじめとする福島の復興に力を尽くしてほしい。
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[朝日新聞] 公的年金運用―改革で信頼高めよ (2014年10月27日)

公的年金の積立金の運用を政府が改革しようとしている。論点は?積立金を運用する資産の中身?運用機関の意思決定のあり方の2点だ。

論議の対象は、約130兆円を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。従来、国債などの国内債券に60%、国内株式と外国株式に各12%などという基準で運用していた。これに対し、政府の成長戦略にもとづいて設置された有識者会議が昨年11月の報告書で、国内債券の比率を下げるよう提言した。GPIFは国内株式などの比率を上げる方向で検討している。

超低金利が続き、国債中心の運用を見直すことは理解できる。が、積立金は国民全体のものだ。見直しには、国民の理解を得ることが欠かせない。安倍首相は「できる限り早く見直しを行いたい」としているが、まず急ぐべきは、GPIFの意思決定のあり方の改革だ。

GPIFには現在、大学教授やエコノミストらから成る運用委員会があり、運用方針について議論するが、決定の権限や責任はない。決定権を持つのは理事長1人。130兆円の運用を担うには、心もとない。有識者会議は、合議制の意思決定機関である理事会の設置を提案した。一つの選択肢だろう。

理事会では、投資先の資産配分を決めるのはもちろんだが、その前提としてどの程度のリスクを受け入れるのか決めることが大切だ。一定の運用益を期待するために、国民はどこまでリスクを許容するのか。そのバランスを熟慮し、決定内容を国民に説明する責任がある。

政治からの独立性を保つことも大切だ。公的年金が政治の圧力で株価対策に使われた例が過去にあるからだ。

参考になるのは日銀だろう。日銀の金融政策は、総裁、副総裁と審議委員で構成する政策委員会で決定する。委員会後には、決定事項にだれが賛成し、だれが反対したのかが明らかにされる。日銀も政治の圧力にさらされているが、政府と対立する決定をしたこともある。

だれがどう人選をするのか。海外の公的年金では、担当大臣らが指名委員会を選び、具体的な人選はその委員会に委ねている例もある。GPIF改革でも慎重な制度設計が望まれる。

気になるのは、今回の改革論議の出発点が成長戦略にあることだ。年金の積立金は経済成長のためにあるのではない。将来にわたって安定的に年金の給付を続けること。それを最優先にしなければならない。
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