2014年10月25日

[産経新聞] 【主張】マタハラ判決 意識改革の契機としたい (2014年10月25日)

最高裁が「妊娠による降格などの不利益な扱いは原則として違法」との初判断を示し、男女雇用機会均等法の趣旨の徹底を求めた。

女性の活躍なくして国の未来はありえない?として、政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」を発足させている。妊娠や出産を理由に女性が職場や職位にとどまれないようでは、その実現も遠い。

最高裁の判断を、働く女性に対する意識改革の契機としたい。行政や各企業、事業所も、新たなルールづくりや啓発活動などの対応を急ぐ必要がある。

理学療法士の女性は広島市の病院のリハビリ部門で副主任を務めていたが、妊娠を機に軽い業務への転換を求めたところ、副主任を外され管理職ではなくなった。

「女性労働者を萎縮させる」などとして病院側に損害賠償などを求めたが、1審広島地裁は「女性の同意を得た上の措置」として請求を棄却した。2審広島高裁も「管理職の任免は使用者側の経営判断」として1審を支持した。

2審判決を破棄して審理を差し戻した最高裁は「原則違法」の例外として、「女性が自由意思で承諾しているか、業務上の必要性など特段の事情がある場合」に限ると基準を示した。

ただし、1、2審と最高裁の判断が分かれたように、承諾が自由意思によるものだったか、「業務上の必要性」とは具体的に何を指すものか、曖昧で分かりにくいところもある。事業所の規模、職種によっても「特段の事情」は大きく異なるだろう。

まずは最高裁の判断を大原則と受け止め、事業所ごとに労使で共通認識を持つことが肝要だ。

働く女性が妊娠・出産を理由に職場で不利益を被ることや、職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けることを「マタニティーハラスメント(マタハラ)」という。

被害者団体の「マタハラNet」は被害を4類型に分類している。解雇や降格を強いる「追い出し型」、長時間労働を強いる「パワハラ型」、「自己中心的」「迷惑」などという「言葉によるいじめ・無視型」、そして、上司が悪意なく「子供のことを第一に考えろ」などという「昭和の価値観押し付け型」の4つだ。

いまの社会通念に反した言動をしていないか、自らの胸に手を当て、省みてみたい。
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[産経新聞] 【主張】中国4中総会 法治は強権の道具なのか (2014年10月25日)

中国共産党は、北京での中央委員会第4回総会(4中総会)で、「法に基づく統治(法治)の強化」などを盛り込んだ決定を採択し閉幕した。

中国独特の法体系の下でも、13億人の国民に法が平等に適用されるならば、一歩前進だ。これまでは有力者の影響で法が恣意(しい)的に用いられ、社会をゆがめてきたからだ。

しかし、そもそも中国が抱える根本的な問題は、党が法の上にあることだ。

中国では、法の支配に名を借りた強権支配が一段と強まっている。新疆ウイグル自治区の人権状況改善を訴えた穏健派のウイグル族学者に「国家分裂罪」で無期懲役の判決が下された。インターネットで体制を批判した知識人は、81歳の高齢者まで容赦なく逮捕されるなど弾圧が目立っている。

中国市場に進出した外国企業も新たな独占禁止法の運用で巨額の罰金を徴収されている。優位に立つ外資に対する締め付けとみられるが、これも法律の名の下で正当化されている。

中国は三権分立による権力の相互チェックを認めていない。大会後のコミュニケは「党の指導が法治の最も根源的な保証となる」とし、党の指導の重要性を繰り返し強調した。これでは、一党独裁を続けるために法治を掲げていると言わざるを得ない。

香港の「一国二制度」のあり方をめぐって民主化デモを続ける学生たちと当局の対立も、まさに同じところに問題の根がある。

コミュニケは、「法律に基づき『一国二制度』を保証し、香港の長期の繁栄と安定を維持する」としているが、香港当局と中国の行動は、これに反している。

中国が1997年の香港返還で約束した「一国二制度」では、「高度な自治」が保証されなければならない。

「市民指名」による候補者擁立を求めてデモを続ける学生たちと香港政府の対話も実現したが、政府側は「香港基本法」を盾に歩み寄りを拒否した。中国流の法治を口実に歩み寄りを拒否するなら、最初から対話の意味はない。

中国は国際的な公約を反故(ほご)にしようとしていると非難されてもやむを得ないだろう。

中国では天安門事件から政治改革が先送りされてきた。このままでは中国での法治は強権支配を補強するだけに終わってしまう。
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[東京新聞] 年功賃金議論 政府・財界主導許すな (2014年10月25日)

またも強引に労働制度の改悪を進めるのだろうか。安倍晋三首相が政労使会議で年功序列の賃金体系を見直すよう求めたのは不当な介入である。議論の進め方も、その中身もあまりに乱暴すぎる。

安倍政権の考え方はこういうことのようだ。年齢や勤続年数に応じて昇給する年功型賃金では労働生産性が低くても中高年社員の給与は高い。年功型から成果型に変えれば成果に見合わない中高年層の賃金を下げられ、全体の生産性が向上し、企業業績は上がる−。首相は「若い子育て世代の賃金を手厚くすべきだ」と述べた。それは総額人件費を抑えたい経営側の期待に沿う議論の進め方だ。

そもそも賃金制度は労使の議論の積み重ねで決められるもので、政府の口出しは筋違いだ。不当な介入もさることながら議論があまりにずさんではないか。

年功型賃金は、新卒一括採用や長期安定雇用を原則とした日本型雇用制度のいわば柱である。働き手は終身雇用など安定的な生活保障と引き換えに会社への帰属意識を高め、転勤や長時間労働も受け入れてきた。勤続年数を重ね、経験の蓄積に応じて賃金が上がるのは、それなりに合理性があったのである。

確かに中途採用者や出産休業から復帰する社員らにとって問題があるかもしれないが、それこそ企業ごとに対応を検討すればいいことだ。政労使会議では年功制の廃止を決めた日立製作所などの例が持ち出されたが、そんなグローバル企業ばかりではない。

問題なのは「働き方」と不可分であるのに賃金体系だけを取り出し、いきなり「年功型は見直すべきだ」と求めるやり方である。正規と非正規の格差や雇用流動化の是非などを含めた広範な議論を労使でじっくり深めるべきなのだ。

議論の場も考えるべきだ。そもそも政労使会議は、政府と労働組合、使用者(財界)の三者とはいっても、実態は「政府・財界連合」対「労」の構図である。政治献金を再開し「政策をカネで買う」との批判もある経団連と、企業寄りの政策で応える安倍政権は二人三脚で労働制度改革を推し進めている。

春闘の賃上げをめぐり政府の介入を許したことで労働改革への口出しも予想されてはいたが、これ以上は許すべきではない。

成長戦略を論じる経済財政諮問会議は、財界と政府に同調する学者ら都合いい人選だが、そこに労働界を加えて議論してはどうか。
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[東京新聞] 海女サミット 伝統をどう維持するか (2014年10月25日)

海女の伝統漁法が揺らいでいる。厳しい仕事に見える。後継者はごく少ない。三重県志摩市で始まる「海女サミット」。世界でもまれな海女文化を通じ、海と生きる人々の暮らしをともに考えたい。

素潜りで、海底のアワビや海藻類など海の幸を採るのが海女である。日本と、済州島(チェジュド)を中心とした韓国だけにしかいない。

その海女が激減している。

漁の技の継承はおろか、存続の危機に立たされ、きょうからのサミットのシンポジウムも後継者対策がテーマになる。

二〇一〇年の調査で、国内の海女は約二千百人。三十年間で四分の一に減っていた。半数近い約千人が三重県鳥羽・志摩に集中し、百人を超えたのは石川県輪島市や千葉県南房総、静岡県伊豆など数カ所だけだった。この夏には、中核地域の鳥羽・志摩で八百人を割ってしまったこともわかった。

一方、韓国の済州島は一二年末で約四千八百人。こちらも四十年前の三分の一に落ち込んでいる。

高齢化が進んでいる。たとえば鳥羽・志摩では、子育てを終えて後を継ぐ三、四十代の女性はいるが、二十代は五人だけ。海女の平均年齢は六十五歳になる。

でも二十代の若い海女たちは元気だ。地元の女性も、よその地から望んで移り住んだ女性も。

祖母、母も海女という三代海女の鳥羽市の女性(23)は、高校生の時から“弟子入り”。大阪の会社の理解を得て、勤めながら海女を続けている。家の本業が民宿で、採れたものを客が食べて喜んでくれるのがうれしい、という。

水産資源の枯渇も海女にとっては厳しい。中でも単価の高いアワビが、海水温上昇や密漁などで激減しているのが痛い。

三重県などはアワビの稚貝を定着させる漁場の造成実験や、餌の藻場の回復に取り組んでいる。副業とはいえ、収入が不安定では次代の担い手も現れにくい。

海女漁の今の平均年収は百万円ほどという。夏場のアワビ収入が減った分を春の海藻類、秋冬のナマコ漁で補っているという。

高齢化や資源の枯渇などによる後継者不足は、海女に限った問題ではない。

人口減や若者流出は、地方共通の課題だ。漁業のまちが海とどう向き合っていくのか。歴史的に女性に向いた仕事となってきたと言いながら、私たちは海女について知らないことがまだ多い。

海と人とのかかわりに迫るためにも、その議論に耳を傾けたい。
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[毎日新聞] 社説:中国4中全会 民主化なき法治は疑問 (2014年10月25日)

北京で開かれた中国共産党の重要会議、第18期中央委員会第4回総会(4中全会)は「法に基づく国の統治」を全面的に推進するという方針を決めた。立法機関である全国人民代表大会(全人代)や、裁判所、検察など司法機関の改革で「法治」の徹底を目指す狙いだ。

政策も法の執行も権力者の意向に左右される「人治の国」とみられてきた中国がどこまで「法治」を実現できるのか。中国が政治、経済両面で国際的な影響を強める中、隣国・日本も無関心ではいられない。

中国では高度成長の時代が終わり、社会の不公正に対する国民の不満がかつてなく高まっている。習近平政権は危機意識もあり、2年前の発足直後から汚職摘発を進め、最高指導部である政治局常務委員経験者の周永康氏の立件にまで踏みこんだ。「法治」推進の狙いは腐敗を抑える制度改革に結びつけることだ。

会議後に公表されたコミュニケは「法の下の平等」を明記した憲法を「核心」と位置付け、重大な政策決定について「終身責任追及制」を創設することや情報公開を進める方針を打ち出した。また、省を超えた案件を扱う最高人民法院の巡回法廷開設なども盛り込まれた。

中国では地方幹部が違法な土地収用や公共事業を推し進めて私腹を肥やしたり、司法に介入したりする例が後を絶たない。住民の反発を招き、暴動に発展するケースもある。改革にはこうした権力の私物化を防ぐ狙いがある。

経済的な意味もある。昨秋の3中全会は「改革の全面的深化」を打ち出し、政府の役割を減らして市場に「決定的な役割」を与えると決めた。実現には法制度の整備、公正な運用が欠かせない。企業間の紛争も増え、外国企業だけでなく、中国企業にとっても公正な司法制度の重要性が高まっている。

無論、中国が進める「法治」は三権分立など西側をモデルにしたものではない。憲法も社会主義制度堅持を掲げる。「中国の特色ある社会主義的法治」であり、「共産党の指導」が前提だ。コミュニケは党改革も求めるが、党を監督するシステムに関する言及はない。

民主化要求デモが続く香港については「法的手段を用いて主権、安全、利益を守る」としているが、中国にとってデモは「違法行為」だ。中国国内を含め、「法治」が共産党の統制強化のための手段として利用される危険性も大きい。

権力を監視し、暴走を防ぐ機能を持つ民主主義制度を欠いたままで、「法治」を徹底し、社会の公正を保つことができるのか。習政権が今後打ち出す具体的な政策を注視していきたい。

2014年10月25日 02時30分
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[毎日新聞] 社説:カナダ銃撃 「イスラム国」の幻想砕け (2014年10月25日)

イスラム過激派組織「イスラム国」への空爆参加を決めたカナダで恐るべき事件が起きた。イスラム教に改宗した30代の男が22日、首都オタワにある戦没者慰霊碑を警備中の兵士1人を射殺し、国会議事堂に侵入して警官らと銃撃戦の末に射殺された。「イスラム国」の呼びかけに応えたテロとみられている。

カナダではその2日前にも大都市モントリオール近郊で、イスラム教に改宗した男が兵士を車ではねて殺害する事件が起きていた。二つの事件の関連は不明ながら、同国議会が今月上旬、イラクでの空爆を承認してから、「平和で安全」のイメージが強かったカナダでは一転、不穏な情勢が続いている。

というのも、反「イスラム国」で連携する有志国連合に対し「イスラム国」側が市民殺害などを呼びかけているからだ。イラクでの空爆に参加したオーストラリアでは先月、同国出身の「イスラム国」幹部の指令によって無差別テロを計画したとして15人が一時拘束された。5月にベルギーのユダヤ博物館で4人が殺害された事件では、逮捕されたフランス人の男が以前、「イスラム国」に参加していたとみられている。

テロの脅威は確実に増大している。有志国連合を支持し、人道支援を申し出ている日本にとっても人ごとではない。警戒と備えは不可欠だ。

だが、そもそもテロに大義はない。「イスラム国」のせいで「イスラム教=恐ろしい宗教」といったイメージが独り歩きしているのも問題だ。同組織の異教徒虐殺や女性の性奴隷化などは決して許されないし、その激越な主張を支持する人は、16億人とされる世界のイスラム教徒の中で、まさに大海の一滴に過ぎまい。

にもかかわらず、日本を含む世界各国で「イスラム国」への合流を望む者が後を絶たないのは、この組織が世界の不合理に挑戦しているような幻想があるからだ。たとえば20世紀初頭、列強が中東を恣意(しい)的に線引きしたこと(サイクス=ピコ協定)への反発は昔からある。だが、同協定に異を唱え、すでに独立した国々の中に力ずくで別の国をつくろうとする「イスラム国」もまた、恣意的な線引きをしようとしているのだ。

こうした現状に「否」を突きつける主体は、あくまで中東とイスラム圏の国々である。ネットを駆使して自らの主張を発信する「イスラム国」に対し、中東の国々やアラブ連盟(加盟22カ国・機構)、イスラム協力機構(加盟57カ国・機構)などの組織はもっと反論していい。米国などの空爆だけでは問題は解決しまい。「イスラム国」の主張を論破し、まつわる幻想を打ち砕くことこそ、組織弱体化を図る本筋だろう。

2014年10月25日 02時31分
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[朝日新聞] 忘れられる権利―ネット空間にルールを (2014年10月25日)

インターネットの検索サイトに自分の名前を入力すると、犯罪とのかかわりを示すかのような検索結果がいつも出てくる。

困った男性の訴えに対し、東京地裁が今月、検索最大手グーグルに検索結果の一部を削除するよう命じた。

検索サイトはいまや暮らしの中で欠かせない便利なものだ。だが、根拠のない情報を含むサイトに導くこともある。

その運営会社はかねがね、検索結果の内容や真偽に責任はなく、中立的な仲介者にすぎないと主張してきた。

しかし、裁判所は責任を明確に認めた。検索結果の表題や内容の抜粋はものによっては人格権を侵し、会社は削除しなくてはならないと判断した。

まっとうな決定である。本来は問題サイトの情報そのものの削除が筋だが、責任者が不明だったり、依頼に応じなかったりすることが少なくない。検索で出てこなければ、不特定多数の目に触れることはない。

同様の判断は、欧州司法裁判所が5月に示した。あるスペイン人が過去に遭ったトラブルを示す検索結果が問題になり、「忘れられる権利」という言葉が話題になった。

この後、欧州では検索結果の削除依頼が急増し、多くは逮捕歴や過去の反社会的な行動についての情報だという。

処罰を受けた後も、半永久的に自分の過去がさらされるのは酷であり、更生を促すうえでも望ましくない。まして無関係のことで窮地に立たされることがあってはならない。

一方、だからといって検索サイトの情報表示をむやみに操作するのも問題がある。検索サイトが市民の情報アクセスの面で果たす公益性は高いからだ。

例えば政治家など公的な立場にある人の過去の発言や行動など、仮に本人が不都合ととらえて削除を求めても、広く共有、提示されるべき情報がある。

どんな場合なら検索結果の操作が許されるかは、当事者が受ける影響と公益をくらべて慎重に判断すべき問題だ。

運営会社にとっては削除の当否を個別に吟味するより、削除依頼にすべて応じる方がコストは低い。だが、市民の情報力が大きく影響を受けるだけに、そのやり方は社会全体で論議を加えていくべきだろう。

政府が夏にまとめた大綱で、個人データに関する規制は、政府から独立した第三者機関が担うことになった。ネット検索とプライバシーの関係をめぐり、この機関がどんな役割を担うかも検討を深めるべきだ。
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[朝日新聞] 中国と法治―誰のための改革なのか (2014年10月25日)

中国共産党の最高指導機関である中央委員会の第4回全体会議が開かれた。4中全会と呼ばれ、主要テーマは「法にもとづく国家統治」だった。

行政や司法の信頼性を高める改革は歓迎すべきだが、そこに込められた真の狙いは、共産党の一党支配をより強固にすることとみるべきだ。

発表されたコミュニケは、法体系のいっそうの整備、人材育成などを含め、幅広く課題を挙げている。中国の問題状況を直視したものと言っていい。

注目されるのは「幹部による司法への関与、介入を責任追及する制度を設ける」と明記した点だ。地方の党・政府幹部が事件の捜査や裁判に口出しをし、身内や業者に便宜を図ることが横行しているからだ。

行政機関についても、責任追及の仕組みづくり、住民参加、情報公開などを今後の方針として盛り込んでいる。

各地方の行政、司法は、権利意識を高めつつある住民とじかに接する部分でもあるだけに、習近平(シーチンピン)指導部としては重視せざるを得ないところだろう。

中国は建国後、幾たびの混乱をへて、70年代末に本格的な法整備が始まった。以来、政府機関での手続きや裁判所の対応が少しずつ改善されてきた。

それがさらに前進するのであれば、中国の国民はもちろん、中国で活動する外国人、外国企業にとってもプラスになる。

だが、この法治をめぐる改革は、党中央が地方の隅々まで統制しなければならない、という点にそもそもの目的がある。コミュニケは「党の指導の堅持」を繰り返し強調している。

では党中央は、つねに清潔で正しいといえるのか。それはどう担保されうるのか。その答えは示されていない。

習指導部のもとで、最高指導部メンバーだった周永康氏ら多くの党幹部が「党規律違反」として取り調べを受けている。周氏の側近らは今回の会議で党籍?奪(はくだつ)処分が決まった。

前例のない反腐敗キャンペーンは、党の自浄能力を示すとしている。だが、それはむしろ、最高指導部の権力が腐敗と結びつきやすいことを物語る。

疑問はまだある。習氏は一昨年の演説でも「憲法にもとづく法治」をうたった。しかし、憲法に明記してある諸権利の保障を訴える市民を次々と拘束し、投獄している現実をどう説明するのか。

一党支配システムの堅持と、真の法治はそもそも両立しえない。いまの中国が抱える矛盾の根源はそこにある。
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[読売新聞] 中国4中総会 独裁強化の「法治」ではないか (2014年10月25日)

国際社会が共通認識とする「法の支配」とは全く異質の中国式「法治」が強化される。一党独裁の堅持が狙いだろう。

習近平政権下で4回目の中国共産党中央委員会総会(4中総会)は「法治の推進」をうたう声明を採択、閉幕した。

最大の焦点である周永康・前党政治局常務委員に対する処分は先送りした。習政権は7月、最高指導層の常務委員の不正は問わないという不文律を破り、周氏を摘発したものの、今回は、党内の安定に配慮したとみられる。

周氏の後ろ盾だった江沢民・元総書記を中心とする勢力に加え、官僚の多くも、習氏の強引な手法に異論を持つとされる。習氏は、党内情勢を慎重に見極め、処分内容を決めることになろう。

総会声明には、司法に介入した幹部の責任追及や、行政機関の政策の合法性を審査する機構設立などの具体策が盛り込まれた。

地方指導者らの専横を抑えるのが目的だろうが、実際にどこまで実行されるかは不透明だ。

声明は、憲法に基づく「共産党の指導」を堅持し、「社会主義法治」を構築する決意を強調した。事実上、党が法を支配する現体制を守り抜く意思表示だろう。

これでは、真の「法治」が実現するはずがない。

習政権が「法治」を掲げるのは、党の統治の綻びが表面化していることへの危機感の裏返しだ。

官僚の腐敗や独裁、不公正な司法などに対する国民の不満は根強い。民主化や人権向上の要求も高まっている。政権にとって「法治」は、一連の問題への厳格な対処を正当化する手段ともなろう。

学生らのデモが長期化する香港に関して、声明は、「一国二制度の実践を法に基づいて保障し、長期的な繁栄と安定を維持し、香港同胞の権益を守る」と記した。

表向きは香港の「高度な自治」を尊重しつつ、実際は、デモを「違法行為」として実力で取り締まる方針は一切変更しない。そんな“宣言”とも受け取れる。

こうした強硬姿勢一辺倒では、デモの早期収拾は難しい。

経済成長の減速も、習政権の大きな不安材料である。

7?9月期の国内総生産は前年同期比7・3%増で、5年半ぶりの低水準となった。不動産市況の悪化が響いたようだ。「中国リスク」を嫌う日本など海外からの投資の減少傾向も続いている。

国際的な信用の確保には、経済分野でも中国式ではない「法治」の確立が欠かせない。
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[読売新聞] 野生鳥獣の食害 効率的駆除で農作物を守ろう (2014年10月25日)

シカなどの野生鳥獣が農作物を食い荒らす害が後を絶たない。実りの秋の今、農家のダメージは深刻だ。政府と自治体は、計画的に駆除を進める必要がある。

環境省は、ニホンジカとイノシシを、新たに設けた「指定管理鳥獣」に指定する方針だ。都道府県が駆除計画を立て、民間業者などに捕獲を委託できるようになる。夜間の銃猟も解禁される。

5月に改正された鳥獣保護法は、増え過ぎた鳥獣を適正規模にまで減少させる「管理」の概念を強く打ち出した。保護を重視してきた鳥獣行政の転換が鮮明になった。「指定管理鳥獣」の新設も、その流れの一環だ。

野生鳥獣による野菜や果実などの食害は年200億円に上り、シカとイノシシによる被害が6割を占める。それを考えれば、現実的な対応だろう。

シカに樹皮を食べられた樹木が枯死し、植生に変化が生じている地域がある。森林の保水力が失われ、土壌流出の危険性も指摘されている。対策は急務だ。

2008年に施行された鳥獣被害防止特措法に基づき、地域住民が報酬をもらって駆除などに加わる被害対策実施隊が、800以上の市町村に設置されている。害獣の駆除数は、増えてきている。

だが、それ以上のペースで、生息数が増加している。

特に、シカの繁殖力は強い。本州以南の生息数は261万頭と推定される。温暖化による積雪の減少や、餌場となる耕作放棄地の増加が、繁殖に拍車をかけているとみられる。このままでは、25年度には500万頭に達する。

環境省と農林水産省は、現在の生息数を10年後に半減させることを目指しているが、達成は容易でないだろう。

最大の課題は、駆除を担う人材の不足だ。わな猟や銃猟の免許保持者は10年現在、19万人で、40年前の3割余りに減少した。免許保持者の高齢化も著しい。60歳以上が6割を超えている。

講習会の開催などを通し、後継者の確保が欠かせない。

効率的な駆除には、詳細な生息調査も重要だ。長野県は独自の調査結果を基に、生息数が多い地域で重点的に捕獲を実施している。昨年度の捕獲数は目標を上回り、食害の被害額は、ピーク時の6割に抑えられた。

シカなどの群れを餌場に誘導し、まとめて捕獲する。少ない人員で多くを駆除するには、こうした工夫も求められるだろう。
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